JP2010116623A - 金属発泡体および金属発泡体の製造方法 - Google Patents

金属発泡体および金属発泡体の製造方法 Download PDF

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眞 小橋
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Abstract

【課題】高い強度を示すとともに気泡率が高く微細な気泡を有する金属発泡体、および、微細な気泡が均一に分散した金属発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属発泡体は、珪素を含むアルミニウム合金からなり、平均気泡径が2mm未満である。本発明の金属発泡体は、珪素を含むアルミニウム合金からなる合金粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を調製する調製工程と、前記混合粉末を成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を前記アルミニウム合金の固相線温度以上液相線温度未満の温度で加熱して前記発泡助剤粉末を発泡させる加熱発泡工程と、を経て作製される。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属発泡体に関するものであって、特に、アルミニウム合金からなる金属発泡体に関するものである。
金属発泡体は、マトリックス金属中に気泡が形成されてなる多孔質体であって、各種構造物の軽量化への貢献が期待されている。また、金属発泡体は、多孔質で比表面積が大きいため、エネルギー吸収能が高く、熱容量が大きく、断熱特性、吸音特性などに優れる機能性材料としても有望である。現在、アルミニウム、鋼、銅、ニッケル、チタンなどの発泡体が提案されているが、中でも発泡アルミニウムに関する研究が数多く行われている。
従来、発泡アルミニウムの製造方法としては、発泡溶融法、ガス膨張法、プリカーサ法などが知られている。たとえば、特許文献1には、プリカーサ法による発泡アルミニウムの製造方法が開示されている。特許文献1では、アルミニウム粉末、珪素粉末および水素化チタン粉末の混合粉末を圧粉成形し、この圧粉体を加熱することで水素化チタンを発泡させて発泡アルミニウムを得ている。珪素粉末は、水素化チタンの発泡により形成される気泡を微細にする役割を果たす。そのため、たとえば実施例1の平均気泡径は2.0mmである。
特開2007−100176号公報
特許文献1では、原料粉末としてアルミニウム粉末と珪素粉末との混合粉末を用いるため、得られる発泡アルミニウムは、Al−Si合金からなる。そのため、純アルミニウムからなる発泡体では不十分であった強度が補われる。しかしながら、アルミニウム粉末と珪素粉末とを単に混合して用いると、珪素の含有割合に大きなバラツキ(偏析)が生じ、均一な組成の発泡体が得られないという問題がある。組成が不均一な発泡体は、所望の強度を示さない場合がある。
均一な組成の発泡体を得るためには、特許文献1の比較例に示されているように、アルミニウム粉末と珪素粉末のかわりにAl−Si合金粉末を用いればよい。ところが、前述のように、珪素粉末は、気泡を微細にする役割を果たす。そのため、Al−Si合金粉末から作製される発泡アルミニウムは、均一な組成ではあるが、加熱中に隣接する気泡が癒着しやすく気泡径が大きくなる傾向にある(比較例1の平均気泡径は3.0mm)。平均気泡径が大きい発泡体は強度の面で問題がある。そればかりか、平均気泡径が大きいと発泡体の形状や寸法が制限され、たとえば、平均気泡径程度あるいはそれ以下の厚みをもつ板状の発泡体は製造が困難である。また、一般に、平均気泡径が小さい気泡が均一に分散して存在する金属発泡体は、エネルギー吸収能が高く、制振性などに優れる。そのため、強度の面でも制振性の面でも微細な気泡が均一に分散して存在する金属発泡体が望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑み、高い強度を示すとともに微細な気泡を有する金属発泡体、および、微細な気泡が均一に分散した金属発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の金属発泡体は、珪素を含むアルミニウム合金からなり、平均気泡径が2mm未満であることを特徴とする。
なお、「金属発泡体」は、金属粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を加熱して金属粉末を溶融させるとともに発泡助剤粉末を発泡させてなる多孔質体である。したがって、金属の融点未満の温度で金属粉末を加熱して得られる焼結体とは異なる。また、「珪素を含むアルミニウム合金」には、たとえば、特許文献1の実施例に記載されているような、珪素がアルミニウムに偏析している状態を含まず、全体としてほぼ均一な組成を想定している。
また、本発明の金属発泡体の製造方法は、珪素を含むアルミニウム合金からなる合金粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を調製する調製工程と、
前記混合粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を前記アルミニウム合金の固相線温度以上液相線温度未満の温度で加熱して前記発泡助剤粉末を発泡させる加熱発泡工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の金属発泡体は、珪素を含むアルミニウム合金からなる。そのため、純アルミニウムからなる発泡アルミニウムよりも高強度である。また、本発明の金属発泡体は、平均気泡径が従来の発泡アルミニウムよりも小さい。そのため、本発明の金属発泡体は、エネルギー吸収能に優れ、振動に対して高い減衰能を示す。
また、本発明の金属発泡体の製造方法によれば、原料粉末として、純アルミニウム粉末ではなくアルミニウム合金粉末を含む混合粉末を用いるため、組成が均一な金属発泡体が得られる。そのため、珪素の添加による金属発泡体の強度の向上効果が、十分に発現する。また、加熱発泡工程において混合粉末を成形した成形体をアルミニウム合金の固相線温度以上液相線温度未満の温度で加熱することで、微細な気泡が均一に分散して存在する金属発泡体を容易に製造することができる。微細な気泡が均一に分散して存在する金属発泡体は、高いエネルギー吸収能を発揮する。
以下に、本発明の金属発泡体および金属発泡体の製造方法を実施するための最良の形態を説明する。
[金属発泡体]
本発明の金属発泡体は、珪素を含むアルミニウム合金からなる。強度の面では、珪素を少しでも含有するアルミニウム合金であれば、純アルミニウムよりは高強度となるが、珪素(Si)の含有割合が固溶限以上で共晶点でのSi量未満であるとよい。なお、Si含有量を表す「固溶限」および「共晶点」とは、Al−Si系2元合金の平衡状態図において定義され、「固溶限以上で共晶点でのSi量未満」を具体的に数値で表すと、1.66質量%以上で11.7質量%未満である。Si量が共晶点でのSi量以上になると、硬質な初晶Siが晶出して金属発泡体自体が硬質となり、エネルギー吸収能、特に振動に対する減衰能が求められる場合には不向きである。アルミニウム合金を100質量%としたときのSi含有量が3質量%以上、5質量%以上さらには6質量%以上、10質量%以下さらには9質量%以下である金属発泡体は、微細な気泡が発生しやすく高気泡率の金属発泡体を製造しやすい(後述)ため好ましい。なお、アルミニウム合金は、Siと不可避不純物の他、Cu、Fe、Mg、Mn、Cr、Ti等のアルミニウム合金に一般的に含まれる合金元素を一種以上含有してもよい。ただし、これらの元素の含有割合は、珪素の含有割合よりも少ないものとする。
なお、本発明の金属発泡体は、微視的な元素分析を行っても、場所による組成のバラツキがほとんど無い。これは、後に詳説するが、本発明の金属発泡体が、アルミニウム合金からなる合金粉末を原料として作製されるからである。
本発明の金属発泡体は、気泡率が面積率で50面積%以上70面積%以下であるとよい。なお、本明細書において「気泡率」は、金属発泡体の断面において、自動画像認識により算出した断面全体の面積100%に対する、同じく自動画像認識により算出した気泡の部分の合計面積の割合であらわすこととする。気泡率が55面積%以上さらには60面積%以上であれば、軽量化効果はもちろんのこと、エネルギー吸収能、たとえば振動に対する減衰能が向上するため好ましい。しかし、気泡率が増加するにつれて強度は低下するため、気泡率を70面積%以下とするのがよい。なお、焼結体では、焼結体の強度の面でも製造工程の面でも、気孔率(すなわち気泡率)を高くするのは困難である。
本発明の金属発泡体は、平均気泡径が2mm未満、好ましくは0.5mm以上2mm未満である。なお、本明細書において「平均気泡径」は、金属発泡体の断面観察を行い、200〜300個程度の気泡の最大径を測定して得た測定値の算術平均値とする。強度の面でもエネルギー吸収能の面でも、平均気泡径は、小さいほど好ましいが、平均気泡径は、1.5mm以上1.9mm以下さらには1.7mm以上1.9mm以下であるとよい。
また、平均気泡径が従来よりも小さいことで、金属発泡体の形状の自由度が上がる。つまり、本発明の金属発泡体において平均気泡径が2mm未満であることで、板状部や棒状部などの肉厚の薄い部位をもつ形状であっても作製可能であり、強度低下の問題も回避される。すなわち、本発明の金属発泡体は、厚さが2mm以下の肉薄部を有してもよい。
本発明の金属発泡体は、軽量、高強度、エネルギー吸収能(制振性)などの特性から、自動車用構造材として利用できる。具体的には、エンジンヘッドカバー、ヒートインシュレータ、吸・排気パイプ、各種ワッシャ材、フロントピラーなどが挙げられる。自動車用構造材の他にも、繊維機械用部品などに利用できる。
本発明の金属発泡体は、アルミニウム合金からなる合金粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を加熱して、合金粉末を溶融させるとともに発泡助剤粉末を発泡させることで作製できる。以下に、本発明の金属発泡体も製造可能な本発明の金属発泡体の製造方法を説明する。
[金属発泡体の製造方法]
本発明の金属発泡体の製造方法は、微細な気泡が均一に分散した金属発泡体を容易に作製することが可能であり、上記本発明の金属発泡体をも製造可能である。本発明の金属発泡体の製造方法は、主として、調製工程、成形工程および加熱発泡工程を経て金属発泡体を製造する。以下に、各工程を説明する。
調製工程は、合金粉末と発泡助剤粉末との混合粉末を調製する工程である。所定の質量比となるように秤量した合金粉末と発泡助剤粉末とを、粉末の混合に一般的に用いられる混合機により混合すればよい。このとき、潤滑剤、結合材などを必要に応じて添加してもよい。合金粉末および発泡助剤粉末は、両者の合計を100質量%としたときに、発泡助剤粉末の含有割合を0.3質量%以上1.5質量%以下さらには0.4質量%以上1質量%以下とするとよい。発泡助剤粉末の含有割合が0.3質量%未満では、気泡率の高い金属発泡体が得られないため望ましくない。発泡助剤粉末の含有割合が多いほど、気泡率の高い金属発泡体が形成されやすくなるが、1.5質量%以下とすることで、粗大な気泡の形成が抑制される。
合金粉末は、珪素を含むアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金の組成は、製造する金属発泡体の合金組成に応じて選択すればよい。しかし、発泡性の面から、珪素(Si)の含有割合が固溶限以上で共晶点でのSi量未満であるのが望ましい。なお、発泡性については、加熱発泡工程の説明で述べる。また、合金粉末としては、Al−Si合金鋳塊を粉砕したりAl−Si合金溶湯を粉化したりして得られる粉末が使用可能であり、たとえばアトマイズ粉末は市販されており容易に入手できる。合金粉末の平均粒径に限定はないが、150μm以下の金属発泡体の製造に一般的に用いられるサイズが望ましい。
発泡助剤粉末は、加熱により分解して気体を発生する。発泡助剤粉末としては、発泡アルミニウムの製造に一般的に用いられる粉体を使用すればよい。たとえば、水素化チタン(TiH)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)等が挙げられる。特に、珪素を含むアルミニウム合金を用いた金属発泡体の製造には、500〜600℃で分解して水素ガスを発生するTiHが最適である。
成形工程は、調製工程で調製された混合粉末を成形して成形体(プリカーサ)を得る工程である。成形工程には、金型成形、ラバープレス、圧延などの方法から、作製する金属発泡体の形状に応じた方法を適用すればよい。この際、成形体の気孔率が、1体積%以下さらには0.8体積%以下となるように圧縮されるのが望ましい。なお、成形工程を省略して混合粉末のまま直接加熱した場合には、発泡助剤粉末から出る気体が混合粉末の隙間から外部に出てしまい、ポーラス材を作製することは困難であると推測される。
加熱発泡工程は、成形工程で成形された成形体を上記のアルミニウム合金の固相線温度以上液相線温度未満の温度で加熱して発泡助剤粉末を発泡させる工程である。成形体をそのまま加熱炉に入れて自由発泡させてもよいが、所定の形状の型内で成形体の形状を拘束するのが望ましい。成形体の発泡が型で制限されることで気泡の成長が抑制される結果、大きい気泡の発生が抑制されるためである。なお、成形体を型により拘束して加熱する場合には、離型性に優れるグラファイトからなる型を使用するのが望ましい。また、少なくとも対向する一対の面で区画された対向面間に成形体を挟持した状態で、加熱するとよい。加熱は、真空中、不活性ガス雰囲気中のいずれで行っても構わない。
成形体は、固相線温度T以上に加熱されることで、アルミニウム合金粉末が半溶融状態となり、同時に、発泡助剤粉末が分解して気泡が発生して膨張していく。このとき、加熱発泡工程における加熱温度がアルミニウム合金の液相線温度Tを超えないようにする。成形体の加熱温度がTを超えると、発泡性が必要以上に高くなりすぎるため、微細な気泡を成形することが困難となる。
また、加熱発泡工程において、微細で均一に分散する気泡が得られるような良好な発泡性を得るためには、上記のTとTとの差がある程度必要である。TとTとの差が小さいと、Tを超えるとすぐに半溶融状態のアルミニウム合金における液相の占める割合が高くなり、気泡が成長しすぎたり隣接する気泡同士が癒着しやすくなったりすると考えられるからである。つまり、加熱発泡工程における加熱温度は、液相率により定義することが可能である。液相率が70質量%以上90質量%以下さらには75質量%以上85質量%以下で加熱発泡工程を行えば、適度に固相が存在することで気泡の成長や癒着が抑制され、微細で均一に分散する気泡が得られやすい。つまり、Si含有量にかかわらず、上記液相率の範囲となる温度で加熱発泡工程を行うのが望ましい。
図6は、Si含有量の異なるAl−Si合金の温度と液相率の関係を示すグラフである。図中、Siの前に記した数字は、Al−Si合金を100質量%としたときのSi含有量[質量%]である。また、純アルミニウム(1質量%程度の不純物を含む)と6061(JISで規定されるAl−Mg−Si系合金であってMg:0.75質量%、Si:0.68質量%)の温度と液相率の関係も合わせて示す。図6から、微細で均一に分散する気泡を得るためには、液相率を考慮してアルミニウム合金を100質量%としたときの珪素の含有量が5質量%以上さらには6質量%以上、10質量%以下さらには9質量%以下であるアルミニウム合金粉末を用いるとよいことがわかる。換言すれば、珪素の含有量がこの範囲にある上記本発明の金属発泡体は、微細で均一に分散する気泡をもつ。図6から、珪素含有量が10質量%を越えると、液相率を70〜90%とすることが困難になってしまうため望ましくない。また、たとえば、図6で「7Si]と示されるSiを7質量%含むアルミニウム合金(「Al−7%Si合金」と略記)を合金粉末として用いる場合には、Al−7%Si合金の固相線温度はT=580℃、液相線温度はT=630℃であり、590℃以上625℃以下さらには600℃以上620℃以下の温度で加熱発泡工程を行うのが望ましい。
成形体を加熱する際の昇温速度に特に限定はないが、10〜20℃/分で上記の所定温度まで昇温させるとよい。また、成形体が所定温度に到達したら直ちに、あるいは所定温度で所定時間成形体を保持した後に、気泡を含む半溶融状態のアルミニウム合金を冷却して固化させることによって、金属発泡体が得られる。保持時間は、0〜30分さらには0〜20分が望ましい。長時間保持すると、比較的低温であっても気泡が成長しやすいが、30分以上保持しても気泡の成長に特に影響はないからである。また、保持時間を20分以下とすることで、金属発泡体の表面に発生する凹凸が抑制される。また、冷却は、気泡が所望の形状を保った状態でアルミニウム合金が固化する条件で行えばよく、冷却速度が200〜300℃/分程度の空冷が望ましい。
なお、冷却過程において、発泡助剤粉末の成分(TiHであればTi)がアルミニウム合金に固溶するが、既に述べたように、発泡助剤粉末は少量使用されるのみであるため、アルミニウム合金の特性に悪影響はない。
以上、本発明の金属発泡体および金属発泡体の製造方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の金属発泡体および金属発泡体の製造方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
[金属発泡体の作製I]
(調製工程)合金粉末としてAl−7%Si合金粉末、また、比較例として6061合金粉末および純Al粉末を準備した。これらの金属粉末の平均粒径は、Al−7%Si合金粉末が約70μm、純Al粉末が約30μmであった。また、発泡助剤粉末として、TiH粉末を用いた。TiH粉末は、篩により45μm以下とした。Al−7%Si合金粉末、6061合金粉末または純Al粉末と、TiH粉末と、をボールミルにより混合して混合粉末を得た。混合割合は、混合粉末を100質量%としてTiH粉末を0.5質量%とした。
(成形工程)混合粉末を一軸プレスにより直径12mm長さ10mmの棒状に成形後さらに1mmの厚さまで長手方向に順に圧延し、板状プリカーサを得た。
(加熱発泡工程)70mm×18mmに切り出した板状プリカーサを赤外線大型イメージ炉(以下「加熱炉」と略記)で真空雰囲気において加熱して金属粉末を半溶融状態とするとともにTiH粉末を発泡させた。板状プリカーサは、500℃で20分間予熱後、15℃/分で所定温度まで昇温させ、所定温度に達した時点で加熱炉から取り出し、4℃/秒で空冷した。取り出すときの温度を、Al−7%Si合金の固相線温度(T=580℃)より低い560℃、T以上で液相線温度(T=630℃)未満の580〜620℃およびT以上の640〜750℃の範囲でそれぞれ変化させ、複数の金属発泡体を作製した。なお、加熱発泡工程における温度は、加熱炉内の温度を熱電対で測定した値である。それぞれの混合粉末を用いて作製した金属発泡体の厚さ方向の断面写真を、取り出した温度毎に、図1に示す。
いずれの金属粉末を用いても、金属粉末が溶融するとともにTiH粉末が発泡することで、気泡をもつ金属発泡体が得られた。しかし、純Al粉末を用いた場合には、690℃以下で形成される気泡は、板状プリカーサ内で厚さ方向へ剥離するように亀裂状に成長した。同様に、6061合金粉末を用いた場合には、660℃以下で形成される気泡は、板状プリカーサ内で厚さ方向へ剥離するように亀裂状に成長した。これは、温度が低く液相率が低い中で、TiH粉末の発泡が活発に発生したためである。いずれも、温度が上昇すると円形に近い気泡が形成されたが、5mmを超えるような大きな気泡が多数観察された。
一方、Al−7%Si合金を用いた場合には、固相線温度未満の560℃では、板状プリカーサに反りが発生するのみであった。固相線温度以上での加熱により、微細な気泡が均一に分散して形成された。しかし、温度が液相線温度以上に上昇すると気泡は大きく成長し、700℃以上では3mmを超えるような大きな気泡が多数観察された。
[評価:平均気泡径および気泡率の測定]
作製した金属発泡体の平均気泡径および気泡率を測定した。平均気泡径は、金属発泡体の厚さ方向の断面で観察される全ての気泡の直径の最大径を測定し、算術平均値を求めた。なお、平均気泡径の測定は、580℃または600℃で取り出したAl−7%Si合金からなる金属発泡体について測定した。結果は、それぞれ0.58mm(580℃)、0.83mm(600℃)であった。気泡率は、図1に示す金属発泡体の断面において、自動画像認識により算出した断面全体の面積100%に対する、同じく自動画像認識により算出した気泡の部分の合計面積の割合(面積%)として求めた。取り出し温度に対する各金属発泡体の気泡率を図2に示す。
6061合金粉末を用いた場合ならびに純Al粉末を用いた場合には、温度の上昇に伴い、気泡率、平均気泡径ともに増大する傾向にあることがわかった。しかし、温度が高くなりすぎると、大きく膨らんだ気泡内部の水素が外へ抜けてしまい、発泡体は収縮した。一方、Al−7%Si合金粉末を用いた場合には、580℃で形成された微細な球状の気泡が、高温になるにつれてそのまま成長して気泡率が増加したと考えられる。しかし、640℃以上では、粗大な気泡が見られるようになった。これは、液相の占める割合が100%となったことで、気泡が成長しすぎたり隣接する気泡同士が癒着しやすくなったりしたためであると考えられる。
また、上述のように、加熱温度が高くなりすぎると気泡が大きくなってしまう可能性が出てくる。しかし、Al−7%Si合金粉末を用いた場合に、液相率を約70〜90%となるように加熱することで、微細な気泡を均一に発生されることができたと考えられる。そのため、珪素の含有量が7質量%以上であれば、より低い加熱温度であっても最適な液相率とすることができる。したがって、図6を考慮すると、Si含有量が7質量%以上10質量%以下であれば、微細な気泡を均一に発生させることができる可能性が高い。
[金属発泡体の作製II]
次に、上記の手順で作製したAl−7%Si合金粉末とTiH粉末とからなる板状プリカーサ(厚さ1mm)を70mm×18mmに切り出し、2枚のグラファイト板の間に配設した状態で、加熱炉内で加熱して金属発泡体を作製した。板状プリカーサは、一方のグラファイト板の中央に載置した。このグラファイト板の四隅には、厚さ3mmのスペーサが固定されており、その上からもう一枚のグラファイト板を載置して固定した。下側のグラファイト板には、端面に開口し中央部へと延びる挿通孔が設けられており、挿通孔に熱電対を挿入して板状プリカーサの載置された中央部の温度を測定した。
板状プリカーサは、500℃で20分間予熱後、15℃/分で所定温度まで昇温させ、所定温度に達してから取り出すまでの時間(保持時間)を0、5、15、30、60分と変更して、複数の金属発泡体を作製した。なお、保持時間の間の加熱温度(保持温度)は一定とした。また、取り出してからの冷却速度を4℃/秒(空冷)とした。保持温度を600℃とした金属発泡体の厚さ方向の断面写真を、保持時間毎に図3に示す。
[評価:平均気泡径および気泡率の測定]
上記の手順で作製した金属発泡体の平均気泡径および気泡率を測定した。結果を図3および図4に示す。なお、平均気泡径および気泡率は、前述と同様の方法により求めた。
640℃になった時点で取り出した金属発泡体(図示せず)および600℃で5分以上保持して得た金属発泡体は、TiH粉末の発泡により上側のグラファイト板に接触した。また、保持温度が580℃以上では、保持時間をとることで気泡率を高くする効果が見られた。しかし、30分以上保持しても、気泡率、気泡径ともに大きな変化は見られなかった。特に、600℃で5〜15分保持することで、気泡率が50面積%を超え平均気泡径が2mm未満である、金属発泡体が得られた。
[金属発泡体の作製III]
保持温度を610℃、保持時間を0分とした他は、[金属発泡体の作製II]と同様にしてAl−7%Si合金からなる金属発泡体を作製した。なお、前述の方法により気泡率および平均気泡径を測定したところ、60面積%および2mm未満であった。
また、比較例として、保持温度を690℃、保持時間を0分とした他は、[金属発泡体の作製II]と同様にして純Alからなる金属発泡体を作製した。前述の方法により気泡率および平均気泡径を測定したところ、70面積%および2mm以上であった。
[評価:制振性]
得られた金属発泡体(厚さ3mm)を10mm×160mmに切り出して試験片を作製し、中央加振法による損失係数の測定を行った。中央加振法は、三角治具で固定された試験片の中央部をランダム加振(振幅:1.0×10−7〜1.0×10−5、周波数:20000Hz以下)する方法であって、加振により得られた周波数応答関数から半値幅法にて損失係数ηを算出する。周波応答関数の測定には、小野測器製DS−2000を用いた。結果を図5に示す。
純Alからなる金属発泡体では、損失係数ηは0.0083であった。一方、Al−7%Si合金からなる金属発泡体では、純Alからなる金属発泡体よりも気泡率が低いにもかかわらず、0.016という高い損失係数ηを示した。これは、Al−7%Si合金からなる金属発泡体に、微細な気泡が均一に分散して存在するためである。なお、Si含有割合が6.5質量%以上7.5質量%以下であるアルミニウム合金からなり、気泡率が55面積%以上65面積%以下、平均気泡径が2mm未満の金属発泡体であれば、誤差範囲であり、上記のAl−7%Si合金からなる金属発泡体と同等の減衰能を示すと考えられる。
珪素を7質量%含むアルミニウム合金からなる金属発泡体の断面図を、純アルミニウムおよび6061合金からなる金属発泡体の断面図とともに示す。 図1に示す各金属発泡体の気泡率(面積%)を示すグラフである。 珪素を7質量%含むアルミニウム合金からなる金属発泡体の平均気泡径および断面図を示す。 珪素を7質量%含むアルミニウム合金からなる金属発泡体の気泡率(面積%)を示すグラフである。 純アルミニウムからなる金属発泡体および珪素を7質量%含むアルミニウム合金からなる金属発泡体の制振性を示すグラフである。 組成の異なるアルミニウム合金および純アルミニウムの温度と液相率の関係を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 珪素を含むアルミニウム合金からなり、平均気泡径が2mm未満であることを特徴とする金属発泡体。
  2. 前記アルミニウム合金は、珪素(Si)の含有割合が固溶限以上で共晶点でのSi量未満である請求項1記載の金属発泡体。
  3. 厚さが2mm以下の肉薄部をもつ請求項1または2記載の金属発泡体。
  4. 前記アルミニウム合金からなる合金粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を加熱して該合金粉末を溶融させるとともに該発泡助剤粉末を発泡させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の金属発泡体。
  5. 気泡率は、面積率で50面積%以上70面積%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の金属発泡体。
  6. 珪素を含むアルミニウム合金からなる合金粉末と加熱により分解して気体を発生する発泡助剤粉末との混合粉末を調製する調製工程と、
    前記混合粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を前記アルミニウム合金の固相線温度以上液相線温度未満の温度で加熱して前記発泡助剤粉末を発泡させる加熱発泡工程と、
    を含むことを特徴とする金属発泡体の製造方法。
  7. 前記加熱発泡工程は、前記アルミニウム合金の液相率が70質量%以上90質量%以下で行われる工程である請求項6記載の金属発泡体の製造方法。
  8. 前記加熱発泡工程は、少なくとも対向する一対の面で区画された対向面間に前記成形体を挟持した状態で行う工程である請求項6または7記載の金属発泡体の製造方法。
  9. 前記アルミニウム合金は、珪素(Si)の含有割合が固溶限以上で共晶点でのSi量未満である請求項6〜8のいずれかに記載の金属発泡体の製造方法。
  10. 気泡率が面積率で50面積%以上70面積%以下である金属発泡体の製造方法である請求項6〜9のいずれかに記載の金属発泡体。
  11. 前記発泡助剤粉末は、TiH粉末である請求項6〜10のいずれかに記載の金属発泡体の製造方法。
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