JP2005082855A - Al合金材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温強靱性に優れたAl合金材料を提供する。
【解決手段】 高温強靱性に優れたAl合金材料は、金属Alマトリックスと金属間化合物相3とで構成されており、前記金属間化合物相3としては、金属Alを介在することなく隣接する複数の金属間化合物粒子1,2で形成されているものが含まれ、該金属間化合物相3の平均寸法が5μm以下であり、かつ金属間化合物の体積分率が50〜90%である。
【選択図】 図1(b)

Description

本発明は高温強靱性に優れたAl合金材料に関するものであり、好適にはエンジン部品(ピストン、コンロッドなど)などのような温度400℃程度までの耐熱強度及び軽量性が要求される機械部品を製造するのに有用なAl合金材料に関する。
Al合金材料は軽量性に優れているという特徴を有している。近年、地球環境問題への意識の高まりから自動車などの輸送機の軽量化が求められており、鉄合金からAl合金への材料置換が進みつつある。しかし溶解鋳造によって製造された従来のAl合金では、温度が150℃を超えると十分な強度を確保できない。主な強化機構が微細析出物による析出強化であるため、高温にさらされた際の析出相の粗大化による強度低下を抑制できなかったからである。
そこで溶解鋳造に代えて、急冷凝固を利用した方法(粉末冶金法など)によって製造される分散強化型のAl合金材料が開発されている(特許文献1〜3など)。すなわち特許文献1では、Ti、Feを含む種々の元素を添加した溶融Al合金を急冷凝固し、得られた粉末や薄片を集成して加工成形固化して金属間化合物の安定相又は準安定相からなる粒子をアルミニウムマトリックス中に均一に分散させることによって、高温での強度低下を防止している。しかしこの特許文献1のAl合金材料は、室温では引張強度約800〜900MPa程度(ビッカース硬さ約150〜250程度)であるが、温度300℃では引張強度は約300MPa程度と大きく低下している。また特許文献2にも前記特許文献1と同様の技術が紹介されているが、高温強度も特許文献1と同程度である。特許文献3ではアルミニウム合金粉末を冷間静水圧プレスすることによってアルミニウム合金成形体を製造するに際して、アルミニウム合金粉末の粒径分布をコントロールすることによって、該粉末中の晶出物を微細にすることによって、成形体の機械的強度を高めている。しかし特許文献3の方法では、成形体の機械的強度を調べるために試験片を作製する際に、該成形体を温度420℃で熱間押出(押出比13)している。このような押出が可能であることから明らかなように、特許文献3の方法でも、アルミニウム合金成形体の高温強度は不十分である。
一方、急冷凝固を利用した分散強化型のAl合金材料を製造する方法としては、上述の粉末冶金法の他、スプレイフォーミング法も知られている(特許文献4など)。特許文献4では、スプレイフォーミング法によればプリフォームを作製する際に全体の冷却が均等化され組織がより均一になるとしており、このプリフォームを圧延することによって得られる成形体は、優れた高温強度と超塑性特性を備えているとしている。なお特許文献4の方法では、プリフォームの気孔(ミクロポア)率が1%前後となっている。しかし本発明者らの検討によれば、この特許文献4の成形体でも、高温強度は不十分である。
特許第2911708号公報 特公平7−62199号公報 特開平5−195130号公報 特開平9−125180号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高温強靱性に優れたAl合金材料を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属間化合物の量が少ないときには金属間化合物は、単独で存在しているものが多いが、金属間化合物の量を多くすると複数の金属間化合物が、金属Al(マトリックス)を介在することなく互いに隣接して集合体(連続体)を形成しやすくなること(以下、これら金属間化合物粒子の単独体及び集合体を、金属間化合物相と総称する)、そして金属間化合物の量(体積分率)を増大するだけでなく、前記金属間化合物相自体を微細化すると、Al合金材料の高温強靱性を十分に高められることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るAl合金材料は、金属Alマトリックスと金属間化合物相とで構成されており、前記金属間化合物相としては、金属Alを介在することなく隣接する複数の金属間化合物粒子(集合体)で形成されているものが含まれ(単独の金属間化合物粒子が金属間化合物相を形成していてもよい)、該金属間化合物相の平均寸法が5μm以下であり、かつ金属間化合物の体積分率が50〜90%である点に要旨を有するものである。前記金属間化合物は、例えば、Cr、Fe、及びTiから選択された少なくとも1種とAlを含むのものが好ましく、Al合金材料としては、例えば、Cr:5〜20質量%、Fe:0〜12質量%、Ti:0〜12質量%を含むものが好ましい。これらCr、Fe、及びTiは、下記式で算出される値Xが50〜90となる範囲で含有していることが推奨される。
X=5.11×[Cr]+3.33×[Fe]+3.24×[Ti]−10
[式中、[Cr]はCrの含有量(質量%)を、[Fe]はFeの含有量(質量%)を、[Ti]はTiの含有量(質量%)を示す]
残部はAl及び不可避的不純物であってもよい。
上述したようなAl合金材料は、Al合金の溶湯(例えば、上述したような成分組成の溶湯)を、ガス/メタル比が5Nm3/kg以上の条件でスプレイフォーミングしてプリフォームを作成した後、このプリフォームの空孔を圧潰することによって製造できる。
本発明のAl合金材料によれば、微細な金属間化合物相が多量に存在しているため、高温強靱性を十分に高めることができる。
本発明のAl合金材料は、金属Al(マトリックス)と金属間化合物相とで構成されており、前記金属間化合物相には、単独の金属間化合物粒子で形成されているものがあってもよいが、少なくとも、金属Alを介在することなく隣接する複数の金属間化合物粒子(集合体)で形成されているものが含まれる。そして本発明のAl合金材料は、金属間化合物が多く、かつ金属間化合物相が微細になっている点に特徴がある。このようなAl合金材料は、高温強靱性に極めて優れている。以下、詳細に説明する。
Al合金材料では、金属Al(マトリックス)部分の強度が低い為、Al合金材料の強靱性を高めるためには金属間化合物を増量するのが有効と考えられる。しかし金属間化合物を増量しても高温強靱性は飽和し、十分な高温強靱性を得ることは困難であった。この理由について鋭意検討した結果、金属間化合物を増量すると、金属間化合物相が粗大化して欠陥寸法が大きくなるため、高温強靱性が十分に上昇せず、また金属間化合物が過剰になると靱性が低下していく為であることが明らかとなった。すなわち金属間化合物が多いAl合金材料では、材料の破断強度は下記式(1)に表すような特性を示す(なお金属間化合物の量は一定とする)。
σB=c×KIC÷a0.5 …(1)
(式中、σBはAl合金材料の破断強度を示し、KICは破壊靭性値を示し、aは欠陥寸法を示し、cは正の定数を示す)
上記式(1)から判るように、破壊靭性値KICの低下や欠陥寸法aの増大は、いずれも破断強度σBの低下に結びつき、特に欠陥寸法aの増大は破断強度σBの低下に劇的な影響を与えるのである。金属間化合物はマトリックス(金属Al)よりも高強度であるため、金属間化合物を増大させることによって材料強度は高まるが、金属間化合物が多くなってくると塑性変形能の高いマトリックス部分が少なくなってKICが低下し、また金属間化合物も粗大化し易くなって欠陥寸法aが増大するため、総合的には破断強度σBは低下し始めるため、破断強度を十分に高めるのが困難だったのである。例えば特許文献1〜3に記載されているような一般の粉末冶金法では、金属間化合物を増大した場合には欠陥寸法aの増大が極めて顕著となるため、高温強靱性を十分に高めるのが困難であった。また特許文献4のスプレイフォーミング法を採用した場合でも条件が不適切であったために、欠陥寸法aの増大が著しく、高温強靭性が不十分となっていた。
そこで本発明では欠陥寸法aの増大を防止し、高温強靱性を十分に高めている。加えて本発明者らの検討によれば、クラックや傷などの外的因子を除くと、該欠陥寸法aは、金属間化合物粒子の大きさ(粒径)そのものではなく、金属間化合物相[金属間化合物粒子の単独体、金属間化合物粒子の集合体(連続体)]の大きさに支配されることが明らかとなった。以下、図1(a)及び図1(b)を参照しながら、説明する。図1(a)は金属間化合物粒子の単独体1(粒径a1)の一例を示す概念図であり、図1(b)は金属間化合物粒子の集合体(連続体)の一例を示す概念図であり、該図1(b)より明らかなように該集合体3は、金属Al(マトリックス)を介在することなく隣接する複数の金属間化合物粒子1,2によって構成されている。
上記のような金属間化合物を有するAl合金材料では、応力負荷時に材料が歪むと、金属Al相(マトリックス)は塑性変形するが、金属間化合物1,2は塑性変形しないために、金属間化合物1,2に応力が集中し、この集中した応力が金属間化合物粒子1,2の強度を超えた場合に破壊が始まる。応力の集中度合いは、塑性変形できない領域(すなわち金属間化合物相3)の大きさに依存する。したがって金属間化合物粒子自体の大きさ(粒径a1,a2)が小さくても、前記塑性変形できない領域(金属間化合物相3)が大きいと、応力集中による破壊の起点となる。従って金属間化合物を増量して材料の高温強靱性を高めるためには、金属間化合物自体を微細化するのではなく、金属間化合物相3を微細にする必要がある。
金属間化合物の量は、具体的には50体積%以上、好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上とする。金属間化合物相を微細にした場合には金属間化合物量が多くなるほど、Al合金材料の高温強靱性を高めることができる。なお金属間化合物が多すぎても、破壊靭性値KICの低下が顕著となって、却って高温強靱性が低下する。従って金属間化合物は、90体積%以下、好ましくは87体積%以下、さらに好ましくは85体積%以下とする。また破壊靭性値KICの低下の有無は、例えば、ビッカース硬さを測定したときの圧痕に割れが生じるか否かで判断できる。
金属間化合物相の平均寸法(金属間化合物相の構成単位である金属間化合物粒子の大きさと区別するため、外郭寸法と称する場合もある)は、具体的には5μm以下、好ましくは4.5μm以下、さらに好ましくは4.0μm以下とする。該外郭寸法を小さくするほど欠陥寸法aを小さくでき、金属間化合物量を増大させたときの強靱性向上効果が阻害されるのを防止できるため、Al合金材料の高温強靱性を高めることができる。外郭寸法の下限は、特に限定されないが、0.1μm以上(例えば0.5μm以上)であっても高温強靱性を十分に高めることができる。
なお金属間化合物相の平均寸法(外郭寸法)は、Al合金材料のSEM写真に無作為に複数の直線を引き、この直線上にある金属間化合物相の長さを測定し、その平均値を算出することによって求める。例えば図1(a)に示す単独体の例では直線4上の長さa1を測定し、図1(b)に示す集合体の例では直線4上の長さa1と長さa2の合計を測定し、これらを平均する。
前記金属間化合物は、Alと他の金属からなる化合物である。金属間化合物は、一般にマトリックス(金属Al)よりも高硬度(低延性)であって上述したような特性を示すため、該Al以外の金属は特に限定されないが、例えば、Cr、Fe、Tiなどが挙げられる。これらCr、Fe、及びTiは、いずれもAlと金属間化合物を形成し、材料の強化に寄与する。
Cr、Fe、及びTiは、金属間化合物が所定量を逸脱しない範囲で、及び金属間化合物が所定の大きさ以上とならない範囲で、単独で又は適宜組み合わせて添加することができるが、少なくともCrを添加することとし、必要に応じてFe及びTiを添加するのが望ましい。FeとAlの金属間化合物はアスペクト比の大きな形状となって金属間化合物相を粗大化させ易く、TiとAlの金属間化合物は晶出温度が高いために後述するスプレイフォーミング法によってAl合金材料を製造しようとするとスプレイフォーミングの出湯ノズルの周辺で凝固してノズルの閉塞が生じやすくなるのに対して、Crにはかかる不具合はないためである。
Crを必須添加元素とし、必要に応じてFe及びTiを添加する場合、各元素の量は、以下に示す量にすることが推奨される。
Cr:5〜20質量%
Crは非常に低密度(例えば、3.0g/cm3程度)の金属間化合物を形成し、軽量化及び強化に寄与する点で有用である。しかしCrが少なすぎる場合、金属間化合物の量を確保して強靱性を十分に高めるために残りのFe及びTiを大量に添加しようとすると、Fe及びTiの過剰添加に起因する上述の問題が発生しやくなる。これらの観点からはCr量は、例えば5質量%以上、好ましくは7質量%以上とすることが推奨される。一方、Crが過剰になると金属間化合物が所定量以上になりやすい。従ってCr量は、例えば20質量%以下、好ましくは19質量%以下とすることが推奨される。
Fe:0〜12質量%
FeもCrと同様に金属間化合物を形成して材料の強化に寄与するが、上述したようにCrと異なり、金属間化合物相を粗大化させやすく、多量の添加は強靱性の低下を招く。また密度が高く(約3.8g/cm3程度)、Al合金材料の軽量性を阻害する。従ってFeは、例えば12質量%以下、好ましくは11質量%以下とすることが推奨される。
Ti:0〜12質量%
Tiは微細な金属間化合物を形成して材料の強化に寄与し、かかる観点からはCrよりも望ましいが、スプレイフォーミングする場合にはノズル閉塞の原因となり、製品の安定製造が難しくなる。従ってTiは、例えば12質量%以下、好ましくは11質量%以下とする。
Cr(及び必要に応じてFe、Ti)を添加する場合、金属間化合物の量及び大きさが所定の範囲となる限り、これらCr、Fe、及びTi以外の金属間化合物形成元素を添加してもよく、残部は実質的にAl(すなわちAl及び不可避的不純物)であってもよい。
なおCr(及び必要に応じてFe及びTi)を添加し、残部を実質的にAlとする場合、本発明者らは下記式(2)で算出される値Xが、金属間化合物の量(体積分率)と精度良く一致することを実験的に確認している。従ってかかる場合、該値Xが、上述した体積分率の範囲内となるように、Cr、Fe、及びTiの添加量(含有量)を調整することが推奨される。
X=5.11×[Cr]+3.33×[Fe]+3.24×[Ti]−10 …(2)
[式中、[Cr]はCrの添加量(質量%)を、[Fe]はFeの添加量(質量%)を、[Ti]はTiの添加量(質量%)を示す]
本発明のAl合金材料は、例えば、以下のようにすれば製造できる。すなわち所定成分のAl合金(例えば、Cr並びに必要によりFe及びTiを含有するAl合金。好ましくは残部は実質的にAlであって、前記Cr、Fe及びTiが上述した範囲に制御されており、成分的に金属間化合物の量が確実に所定範囲となるように制御されているAl合金)の溶湯を、スプレイフォーミングしてプリフォームを作成した後、このプリフォームの空孔(気孔)を圧潰することによって製造できる。スプレイフォーミング法によれば、粉末冶金法にくらべて組織(金属間化合物相)を微細化できる。
そしてスプレイフォーミング法を採用する場合、冷却速度を十分に速くすることが重要となる。冷却速度を十分に速くすると、金属間化合物の晶出核生成頻度が多くなるために金属間化合物粒子の粗大化を防止でき、金属間化合物粒子を微細化できると共に、微細なために隣接粒と接触する頻度も小さくなり、金属間化合物相の外郭寸法も小さくできる。なお一般のスプレイフォーミング法では、強度向上のためにプリフォームを緻密化しているが、緻密なプリフォームを形成できる程度の緩い凝固状態を形成するためには冷却速度を遅くする必要がある。このため一般のスプレイフォーミング法では、微細な金属間化合物相は形成されていない。この点、特許文献4でも気孔率が1%以下となっていることから明らかなように、冷却速度が遅く、金属間化合物相も粗大となっている。
スプレイフォーミング法の冷却速度は、例えば、ガス/メタル比(単位質量あたりの溶湯に吹き付けるガスの量)によって制御できる。本発明では、ガス/メタル比を5Nm3/kg以上、好ましくは6Nm3/kg以上、さらに好ましくは7Nm3/kg以上とする。ガス/メタル比が大きい程、冷却速度を速くできる。なおガス/メタル比の上限は特に限定されないが、ガス/メタル比が大きすぎるとプリフォームの歩留まり(溶湯の堆積効率)が低下する。従ってガス/メタル比は、例えば、20Nm3/kg以下、好ましくは15Nm3/kg以下とすることが推奨される。
上述したような急冷条件でスプレイフォーミングを行うと、プリフォームの気孔率は例えば10体積%以上となるため、プリフォームのままでは強靱性が不足する。従って該プリフォームの空孔を圧潰して、プリフォームを緻密化する必要がある。
圧潰手段は、特に限定されないが、プリフォームを略等方向的に加圧(プレス)する方法、特に熱間で該加圧をする方法(熱間静水圧プレス処理など)が推奨される。熱間静水圧プレス処理(HIP処理;Hot Isostatic Pressing)では、例えば、温度450〜600℃、圧力80MPa(800気圧)以上、時間1〜10hrの条件が推奨される。温度及び圧力が低すぎたり時間が短すぎると気孔が残留し易くなり、温度が高すぎたり時間が長すぎると金属間化合物相が粗大化しやすくなるためである。好ましい温度範囲は、500〜600℃程度、特に550〜600℃程度である。好ましい圧力は、900MPa以上、特に1000MPa以上である。なお圧力の上限は特に限定されないが、圧力をかけすぎても効果が飽和するため、通常1500MPa以下とする。好ましい時間は、1〜5hr程度、特に1〜3hr程度である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実験例1〜5
下記表1に示す成分組成のAl合金の溶湯(溶解温度:1100〜1200℃)をスプレイフォーミング(使用ガス:N2)し、基板上にAl合金プリフォームを形成した。得られたプリフォームをSUS製の缶に装填し、13kPa(100Torr)以下に減圧した状態で温度550℃で2時間保持して脱気し、缶を密封してカプセルを形成した。得られたカプセルをHIP処理[温度:550℃、圧力:100MPa(1000気圧)、時間:2hr]して、緻密なAl合金材料(試験材)を得た。
この試験材の特性を以下のようにして評価した。
[金属間化合物相の平均寸法及び体積分率]
試験材を鏡面研磨し、研磨面の組織を走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線検出器(EDX;energy dispersive X−ray spectrometer)を併用して調べた。すなわちSEM写真における金属Al相と金属間化合物相との区別を、EDXによって行った。次いでSEM写真(倍率:500倍)に基づいて、金属間化合物の面積率を測定し、この面積率を体積率とした。またSEM写真(倍率:2000倍)に無作為に長さ50μmの直線を5本引き、この直線上にある金属間化合物の長さ(金属間化合物集合体については、集合体の長さ)を測定し、その平均値を金属間化合物相の平均寸法とした。
[強靱性(硬さ・靭性)]
材料の強靱性は、一般にビッカース硬さ及び靭性と相関があるため、該ビッカース硬さ及び靭性によって材料強度を評価した。すなわち室温又は温度400℃におけるビッカース硬さを、荷重5kgf(室温の場合)又は荷重1kgf(400℃の場合)の条件で測定した。
また400℃におけるビッカース硬さを測定した材料の永久くぼみ(圧痕)をSEM観察(倍率:500倍)し、圧痕周囲の割れ発生の有無を調べ、下記基準で評価した。
靭性良(○) :割れ発生なし
靭性不良(×):割れ発生あり
実験例6〜15
下記表2に示す成分組成の溶湯を、ガス/メタル比:8〜12Nm3/kgの条件でスプレイフォーミングする以外は、上記実験例1〜5と同様にした。
実験例1〜5の結果を表1及び図2に示し、実験例6〜15の結果を表2及び図3に示す。
Figure 2005082855
Figure 2005082855
図2から明らかなようにガス/メタル比を調整することによって、金属間化合物相の平均寸法を制御できる。また図3から明らかなように、成分組成を調整することによって、金属間化合物の体積分率を制御できる。なお実験例12では、Tiが過剰なため、スプレイフォーミング中にノズルが閉塞し、Al合金材料(試験材)が得られなかった。
そして表1〜2から明らかなように、金属間化合物の体積分率が低すぎる例(実験例15)では室温及び400℃でのビッカース硬さが低すぎ、また金属間化合物相の平均寸法が大きすぎる例(実験例1、11、13、14)では靭性が不十分で割れが発生したのに対し、金属間化合物相の体積分率が適切であって平均寸法も十分に小さい例(実験例2〜10)では、室温及び400℃でのビッカース硬さが高く、また靭性にも優れていて割れが発生しない。
本発明のAl合金材料は、軽量でありかつ高温強靱性にも優れているため、耐熱強度が求められる種々の部品(例えば、ピストン、コンロッドなどのエンジン部品などのような温度400℃までの耐熱強度が求められる部品)に有利に利用できる。
図1(a)は単独の金属間化合物の一例を示す概念図である。 図1(b)は金属間化合物の集合体の一例を示す概念図である。 図2はスプレイフォーミングのガス/メタル比と金属間化合物相の平均寸法との関係を示すグラフである。 図3はAl合金材料の成分組成と金属間化合物の体積分率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1,2…金属間化合物
3…金属間化合物相
4…直線

Claims (4)

  1. 金属Alマトリックスと金属間化合物相とで構成されており、前記金属間化合物相としては、金属Alを介在することなく隣接する複数の金属間化合物粒子で形成されているものが含まれ、該金属間化合物相の平均寸法が5μm以下であり、かつ金属間化合物の体積分率が50〜90%であることを特徴とするAl合金材料。
  2. 前記Al合金材料は、Cr:5〜20質量%、Fe:0〜12質量%、及びTi:0〜12質量%を、下記式で算出される値Xが50〜90となる範囲で含有するものである請求項1に記載のAl合金材料。
    X=5.11×[Cr]+3.33×[Fe]+3.24×[Ti]−10
    [式中、[Cr]はCrの含有量(質量%)を、[Fe]はFeの含有量(質量%)を、[Ti]はTiの含有量(質量%)を示す]
  3. 残部はAl及び不可避的不純物である請求項2に記載のAl合金材料。
  4. Al合金の溶湯を、ガス/メタル比が5Nm3/kg以上の条件でスプレイフォーミングしてプリフォームを作成した後、このプリフォームの空孔を圧潰することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のAl合金材料の製造方法。
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