JP3247001B2 - ピリリウム化合物を用いた2本鎖核酸の検出方法、ピリリウム化合物を含有するプローブ及びそれを用いた標的核酸の検出方法、新規ピリリウム化合物 - Google Patents

ピリリウム化合物を用いた2本鎖核酸の検出方法、ピリリウム化合物を含有するプローブ及びそれを用いた標的核酸の検出方法、新規ピリリウム化合物

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    • C12Q2563/00Nucleic acid detection characterized by the use of physical, structural and functional properties
    • C12Q2563/173Nucleic acid detection characterized by the use of physical, structural and functional properties staining/intercalating agent, e.g. ethidium bromide

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核酸の光学的手段を用
いた検出に有用な新規なピリリウム塩に関する。本発明
は更に核酸の光学的手段を用いた検出に用いるピリリウ
ム塩を含む染色剤及び該染色剤を用いた核酸の検出方法
に関する。更に核酸レベルでの変異の有無の検出のため
のプローブを用いたハイブリダイゼーション法における
ハイブリッド体の検出に有用なピリリウム塩を含む核酸
染色剤及び該染色剤を用いたハイブリダイゼーション法
による核酸の検出方法に関する。
【0002】また、本発明は、生物試料、例えば、細
菌、酵母、かび、藻類、原生動物等の微生物、動植物の
細胞、組織、及び染色体の染色方法及び観察法に関す
る。更に、該生物試料中の核酸の特定配列の検出や同定
にピリリウム塩を標識剤として含むプローブを用いたi
n situハイブリダイゼーションによる核酸の検出
方法に関する。
【0003】
【従来の技術】物質がDNAの二重らせんと相互作用し
得る形式としては、インターカレーターのように核酸塩
基対の間に入り込む場合と、二重らせんの溝に埋め込ま
れる場合、更に、二重らせんに寄り添う形で入り込む場
合が知られている。
【0004】その中で、インターカレーターは、一般に
は電子の広がりを持つ平面状の化合物で、核酸塩基対の
積み重なりの延長線上、すなわち二重らせんの軸上に核
酸塩基対間の距離と同じような距離で、核酸塩基対と平
行な位置に配向する。そして、DNA中にインターカレ
ートしたときに光学的な吸収スペクトルが長波長側にシ
フトしたり、吸収強度が減少したり、あるいは蛍光強度
が増大するという特徴がある。例えば、遊離状態等のD
NAと相互作用を生じていない場合よりも、DNAと相
互作用を生じている場合(インターカレートしている場
合)の方が蛍光強度が増大する色素は、その性質を利用
して、アガロースゲル電気泳動を始めとする各種核酸の
検出操作に用いられている。
【0005】よく知られたインターカレーターとして
は、アクリジンオレンジ、プロフラビン、エチジウムブ
ロマイド、ドーノマイシン、アクチノマイシン等が挙げ
られる。特に、エチジウムブロマイドとアクリジンオレ
ンジは有名である。
【0006】しかし、これらの色素の大部分は励起波長
が紫外領域であるため、強力な紫外線ランプを使わざる
を得ないため、人体に有害とならないような特別な配慮
が必要である。例えば、DNA検出時には、作業者は眼
や皮膚を紫外線から守るための装備が必要であり、その
ための装置も市販されている。また、DNAの泳動パタ
ーンの写真を撮るためには通常トランスイルミネーター
のような装置が使われているが、その場合のカメラの露
出調整は直接目で見て行なうことができないので試行錯
誤による煩雑な作業である。また、アガロースゲルから
DNAを切り出す場合に直接目で見る場合には、保護具
等を使用しても紫外線の照射から完全には逃れることが
できない。更に、紫外線で励起される色素を利用する溶
液系のDNA検出では、常に強力な紫外線を照射し続け
ることになり、有害なオゾン等の発生も生じる。また、
紫外線照射によってDNAそのものがダメージを受ける
場合もある。さらに、生きている細胞中でのハイブリダ
イゼーションを行って、生細胞の検出を行うin situ hy
bridizationが注目されつつあるが、標識として紫外線
で励起する色素を用いた場合には検出に用いる紫外線に
よって細胞自体がダメージを受ける場合もある。
【0007】一方、医学、生物学等の分野では、微生
物、ヒト細胞あるいは動物細胞などの生物標本を顕微
鏡、もしくは、その他の手段で観察し、研究、診断等を
行うために染色することは広く一般に行われている。こ
のような用途に利用される染色法は、一般に2種類に大
別される。第一は、生物標本中に存在する観察すべき部
分の染色に利用できる特定成分を色素で着色する方法で
ある。染色原理としては、色素そのもので対象を染色す
る場合と様々な化学反応を通して特定成分の存在部位に
着色成分を沈着させる場合がある。これらは、病理検査
などで頻用される方法で、様々な対象成分に対して様々
な染色法が考案されている。これらの染色法は、主とし
て特定成分もしくは特定形態、あるいは特定領域の可視
化を目的とし、組織等の比較的マクロな対象の観察に用
いられることが多い。
【0008】これに対して、第二の染色法は、蛍光染色
法と呼ばれる方法である。蛍光染色法の基本操作におい
ては、まず、染色すべき特定成分の存在部位に蛍光性色
素が導入される。導入法としては、色素自体の対象特異
的親和性を利用する場合(エチジウムブロマイドによる
核酸染色など)や、色素に抗体等の対象特異性をもった
物質を結合させ、その特異的親和性を利用して染色対象
に導入する場合などが挙げられる。これらの蛍光染色法
は、生物学などの研究的分野で頻用されている。観察対
象が蛍光である蛍光染色法は、信号の検出感度が高く、
先に述べた着色による染色法に対して、より精密で、ミ
クロな対象を取り扱うことが可能となり、通常、特定成
分の検出を主目的にする場合が多い。
【0009】通常の染色法、蛍光染色法いずれの方法で
も、細胞等の染色の対象となる標本は、染色以前にアル
デヒド類などを用いた固定を行うのが一般的である。こ
れは、染色に用いる色素、その他試薬の標本中への透過
性を向上させると共に、染色にともなう様々な操作中に
標本が破壊されることを防ぐ効果を持つ。また、固定操
作と同様に直接の染色操作の他に余剰の色素、試薬等を
除く洗浄操作等も必要である。これは、染色の際のバッ
クグランドを下げ、安定した結果を得るために欠かせな
い。
【0010】一方、近年、発癌機構、癌の転移機構が明
かにされるにつれ、染色体の転座及び染色体欠失がこれ
らの機構と深くかかわっていることが知られるようにな
った。つまり、細胞癌遺伝子として挙げられているもの
は正常細胞では増殖シグナルの受容、伝達あるいは転写
の調節などに携わっているものであり、この遺伝子の突
然変異や異常な増幅、または盛んに転写されている遺伝
子近傍へのこの遺伝子の転座、他の遺伝子との結合など
によってこれらが癌遺伝子として活性化されることが明
らかにされてきている。また、癌抑制遺伝子が染色体か
ら欠失することも癌化の機構と絡んでいるものと考えら
れている。更に、各種遺伝子病においても、遺伝子欠
損、転座が明かにされている。このように染色体レベル
での遺伝子の異常の検出による診断が可能であれば、正
常染色体を異常に移入して造腫瘍性を抑制したり、遺伝
子欠損を補うことによる癌や遺伝子病の治療の可能性も
拡大される。
【0011】染色体異常を知るための方法としては、F
ISH(FluorescenceIn Situ H
ybridization)がある。この方法は、調べ
たい遺伝子に対応するプローブを作製し、それと染色体
上の遺伝子とのハイブリッド形成能をみるもので、現状
において最も正確な方法とされている。この方法では、
用いるプローブによって検出対象の遺伝子は限定される
ので、検出対象が明かな場合はこの方法を直接利用でき
るが、染色体全体についてスクリーニングする場合には
必ずしも適当な方法とはいえない。そこで、染色体全体
について検索し、その中から形状異常から転座が疑われ
るものや、長さが異常で欠損が疑われるものなどの異常
が起きていいる部位のスクリーニングを行ってから、異
常部にターゲットを絞ってFISHを行うことで、より
広範で、精度の高い遺伝子診断が可能となると考えられ
る。
【0012】このようなスクリーニングを行うには染色
体を識別、同定しておく必要がある。染色体の識別、同
定法としては、染色体の分染による方法が利用されてい
る。この分染による染色体の識別は、様々な前処理の後
に特殊な染料や蛍光色素を用いて染色体上に縞(バン
ド)を染め出し、その分布と濃淡の関係が、染色体ごと
に一定しており、また個々の染色体において特徴的であ
ることを利用するものであり、染色体の識別や異常の検
出に利用されている。
【0013】一般的な染色体の分染法としては、例え
ば、ギムザ染色(Gバンド)、キナクリン染色(Qバン
ド)及びRバンド染色などが知られている。ギムザ染色
では、トリプシン処理により生じた染色体の高次構造上
のひずみが染色体の粗密の状態として分染、観察され
る。また、蛍光色素であるキナクリンによる染色は、染
色体がその縦軸に沿って濃淡の縞模様に染め分けられる
もので、これを蛍光顕微鏡によって観察することができ
る。その蛍光パターンは個々の染色体に固有であるの
で、これにより染色体の識別と同定を行うことが可能と
なる。キナクリンによって分染される部分は、A−T対
の豊富なところとされており、先に挙げたギザム染色と
は染色状態が異る。Rバンド染色は、蛍光色素であるc
hromomycin A3をG−C対に結合させた
後、A−T対に特異的な非蛍光色素であるdistam
ycin Aでの処理を行うもので、G−C対の豊富な
ところのみがRバンドとして染め出され、Qバンド染色
やGバンド染色とは逆の濃淡で染色されるのが特徴であ
る。これらの分染方法の中では、着色法によるGバンド
染色法に比べて、Qバンド、Rバンド染色法は信号の検
出感度が高く、より精密なミクロな対象を取り扱う上で
有効である。
【0014】この染色体の分染において、染色体の部位
に特異的な染色剤の種類を増やすことによって、より高
精度での染色体の識別、同定が可能となるので、既にあ
る分染用の試薬(染色剤)に加えて、これらとは異る部
位を特異的に分染する染色剤を開発することは、染色体
の識別、同定をより精度良く行う上で重要となってきて
いる。
【0015】一方、ピリリウム環またはチオピリリウム
環の2、4及び6位が置換もしくは未置換のフェニル基
で置換されたピリリウムまたはチオピリリウム化合物の
塩はこれまで数多く報告されている。その多くは、記録
材料用としてのものであり、例えば米国特許第4,341,89
4号明細書ではそれらは増感剤として電気光導電性組成
物に有用であることが記載されている。生物学的領域で
は、特開昭59−133460号公報に生物学的試料中
の細胞を染色する染色剤として、2,4,6−トリフェ
ニルピリリウムまたはチオピリリウム化合物、これら化
合物のピリリウム環またはチオピリリウム環に置換され
たフェニル基の一つを置換スチリル基で置換した化合物
等を用いることが記載されている。また、特開平1−1
53683号公報では、これらのフェニル置換基の少な
くとも2個がアミノ基を有する時、ガンの治療において
良好な効能を有することが記載されている。
【0016】核酸の検出に、励起波長が紫外領域である
色素を用いると、上述したような問題が起るため、それ
を回避する手段として、可視光で励起可能な色素を用い
ることが考えられているが、現在核酸の染色に利用され
ている可視光励起型の色素はストークスシフトが20〜
30nmと小幅な場合が多く、検出の際のS/N比が悪
いという欠点を有する。
【0017】また、アガロースゲル電気泳動等におい
て、核酸と相互作用したときの蛍光強度の増加の程度
が、二本鎖核酸と相互作用していない時に比べてより大
きい程、検出時のS/N比が良くなり検出感度を高める
ことが可能となるが、可視光励起型のものでは十分な蛍
光強度の増加を示すものは知られていないのが現状であ
る。
【0018】以上のように、紫外線励起型の色素の有す
る問題を解消する上で、ストークスシフトが大きく、核
酸との相互作用時の蛍光強度が相互作用していない状態
でのものに比べて充分に大きな可視光励起型色素に対す
る要望が高まっている。
【0019】また、従来の細胞などの生物試料の染色法
では、ホルムアルデヒド等を用いた試料の固定や、余分
な色素の洗浄除去などの操作が再現性のある安定した結
果を得るためには不可決である。
【0020】例えば、試料の固定操作は、色素等の試薬
の透過性を良好なものとするために、あるいは標本とし
た際の形態保持のために重要である。また、通常、染色
用の色素や他の試薬等は、標本に対して大過剰に使用さ
れる。これは、操作(染色)時間の短縮等の効果を持つ
が、同時に高いバックグランドの原因にもなる。このた
め、各操作間の洗浄操作は、観察や測定時のバックグラ
ンドを低くしてより正確な判定を得る上で重要なもので
あり、入念に行われる。しかしながら、これらの操作は
時間を要する繁雑な操作であり、大量の試料を処理する
場合には、より迅速な処理操作を行う上での障害となっ
ていた。従って、煩雑で長時間を要する試料の固定や洗
浄などの操作の省略や簡便化が強く望まれている。
【0021】さらに、従来使用されてきた蛍光色素は、
フェード現象の強いものがほとんどで、励起光照射後、
速やかに蛍光が消失してしまう。このため、通常の染色
とは異なり、蛍光像の長時間観察は困難で、蛍光染色に
よる永久標本作製もほとんど不可能であった。このた
め、長期間保存が可能な蛍光染色標本作製法の開発は、
大きな課題であった。
【0022】また、染色体の分染の分野においては、上
述のように、従来の染色剤とは異る染色パターンを得る
ことができる染色剤に対する要望が高まっている。更
に、上記の生物試料の染色の場合と同様に、染色体の分
染においても、試料のアルデヒドなどによる固定や、余
分な染色剤の洗浄などの操作は時間と労力を要するもの
であり、マススクリーニング等のための試料の大量の処
理を、より迅速に行う上で障害となっていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2本
鎖核酸を効率的に検出することのできる方法を提供する
ことにある。また、本発明の目的は、所定の塩基配列を
有する1本鎖標的核酸を、簡単な工程によって検出する
ことのできる標的核酸の検出方法及びそれに用いるプロ
ーブ核酸を提供することにある。
【0024】本発明の他の目的は、2本鎖核酸の検出に
特に有効に用い得る新規ピリリウム化合物を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、効率的な検出の可能な
2本鎖核酸を提供することにある。本発明の他の目的
は、2本鎖核酸の存在を容易に検出可能な生物試料を提
供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の一態様としての
2本鎖核酸の検出方法は、2本鎖核酸を検出する方法で
あって、後述の一般式[I]で示されるピリリウム化合
物を2本鎖核酸を含む生物試料と混合し、該ピリリウム
化合物をインターカレーターとして該2本鎖核酸に取り
込ませる工程; 該ピリリウム化合物がインターカレーターとして取り込
まれた該2本鎖核酸に、該2本鎖核酸に取り込まれた状
態の該ピリリウム化合物が十分な吸収を示し、かつ十分
励起可能な波長の光を含む光を照射して該2本鎖核酸に
取り込まれた該ピリリウム化合物を励起させる工程;及
び該2本鎖核酸中にインターカレートし、かつ前記光の
照射で励起された状態にあるピリリウム化合物から発せ
られる蛍光を検出する工程; を有することを特徴とする。本発明の一態様としてのプ
ローブは、試料中の、所定の塩基配列を有する1本鎖標
的核酸の検出に用いるプローブであって、該塩基配列に
対して相補的な塩基配列を有する核酸と、該核酸に結合
する後述の一般式[I]で示されるピリリウム化合物と
を有することを特徴とする。
【0026】本発明の一態様としての1本鎖標的核酸の
検出方法は、生物試料中の、所定の塩基配列を有する1
本鎖標的核酸を検出する方法であって、該塩基配列に対
して相補的な塩基配列を有する1本鎖核酸と、後述の一
般式[I]で示される、該1本鎖核酸に結合しているピ
リリウム化合物とを有するプローブを用意する工程; 該プローブと該1本鎖標的核酸を含む試料とを混合し、
該プローブと該1本鎖標的核酸を結合させて、該ピリリ
ウム化合物がインターカレーターとして取り込まれた2
本鎖ハイブリッドを形成する工程;及び該ピリリウム化
合物がインターカレーターとして取り込まれた該2本鎖
ハイブリッドに、該2本鎖ハイブリッドに取り込まれた
状態の該ピリリウム化合物が十分な吸収を示し、かつ十
分励起可能な波長の光を含む光を照射して該2本鎖ハイ
ブリッドに取り込まれた該ピリリウム化合物を励起させ
る工程;及び該2本鎖ハイブリッド中にインターカレー
トし、かつ前記光の照射で励起された状態にあるピリリ
ウム化合物から発せられる蛍光を検出する工程; を有することを特徴とする。本発明の一態様としての新
規ピリリウム化合物は以下の構造を有する。
【化92】 (上記一般式[VII]中、XはOまたはSを表し、Y
-はアニオンを表す。)本発明の一態様としての新規ピ
リリウム化合物は以下の構造を有する。
【化93】 (上記一般式[IX]中、XはOまたはSを表し、Y-
はアニオンを表す。)
【0027】本発明の一態様としての2本鎖核酸は、上
式[VII]または式[IX]で示されるピリリウム化合
物がインターカレーターとして取り込まれていることを
特徴とする。
【0028】本発明の一態様としての生物試料は、2本
鎖核酸を含む生物試料であって、該2本鎖核酸が上記
式[VII]または式[IX]で示されるピリリウム化合物
をインターカレーターとして取り込んでいることを特徴
とする。
【0029】本発明において好適に用いられるピリリウ
ム化合物は下記一般式[I]で示される構造を有するも
のである。
【0030】
【化11】 上記一般式[I]において、
【0031】
【化12】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
る。該複素環としては、ピリリウム環もしくはピリリウ
ム類似環のような5員環及び6員環のものを挙げること
ができる。
【0032】R1及びR2は、それぞれ独立して水素原
子、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
くは未置換アリール基、置換もしくは未置換低級アルア
ルキル基または置換もしくは未置換シクロアルキル基を
示す。
【0033】R3は、−Aまたは−L−Aである。L
は、−L1−、−L2−L3−または−L 4−L5−L6−で
あり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=CH)
−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される2価
の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または−C
H=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)を表
わす。置換もしくは未置換アリール基から誘導される2
価の基としては、例えばフェニレン基等を挙げることが
でき、オルト、メタ、パラのいずれの位置で結合するも
のでもよい。低級アルキレン基としては、炭素数が1〜
4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を挙げること
ができ、その置換基としては、例えば−L−Aで示され
る基を挙げることができる。オキソ基を有する環構造と
しては、複素環、芳香環、脂肪族環等で少なくともオキ
ソ基を有するものを挙げることができる。
【0034】−L−としては、下記一般式[II]、
[III]、[IV]、[V]または[VI]で表わさ
れる基を好ましいものとして挙げることができる。
【0035】
【化13】 (上記一般式[II]中、Zは水素原子または置換もし
くは未置換低級アルキル基を表し、nは0、1または2
である。)なお、Zがアルキル基である場合のその置換
基としては、例えば上述の−L−Aで定義される基を挙
げることができる。
【0036】
【化14】 (上記一般式[III]中、nは0、1または2であ
り、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェ
ニレン基を表わす。)
【0037】
【化15】 (上記一般式[IV]中、Φは置換もしくは未置換o
−、m−またはp−フェニレン基を表わす。)
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】 上記一般式中のフェニレン基の置換基としては先に例示
したものを挙げることができる。
【0040】一般式[I]のR3におけるAは、置換も
しくは未置換アリール基、−CH=R5(R5は、置換も
しくは未置換複素環、置換もしくは未置換のシクロアル
キル基または置換もしくは未置換芳香環を示す)を表わ
す。R5の複素環としては、
【0041】
【化18】 (M及びNは、それぞれ独立して酸素原子、イオウ原子
または窒素原子を、Y-はアニオンを表わす)等から誘
導された基を挙げることができ、その置換基としては、
例えば、置換もしくは未置換アリール基などを挙げるこ
とができる。また、置換もしくは未置換シクロアルキル
基とは、飽和のものでも、不飽和のものでもよく、例え
【0042】
【化19】 等の共鳴系を構成し得るものから誘導された基を挙げる
ことができる。また、置換もしくは未置換芳香環として
はアズレン環を挙げることができる。これらの基の置換
基としては低級アルキル基、置換もしくは未置換アリー
ル基等を挙げることができる。
【0043】Xを含むピリリウム環もしくはその類似環
のR1、R2、R3が結合していない炭素原子に結合して
いる水素原子は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミ
ノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロシル基、カルボキ
シル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル
基、置換もしくは未置換アリール基または置換もしくは
未置換低級アルアルキル基で置換されていても良い。
【0044】Y-はアニオンを示し、該アニオンとして
は、例えばBF4 -、過塩素酸イオン、HO3SCH2CO
-、あるいは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオ
ン、フッ素イオン等のハロゲンイオン、又は、脂肪族炭
化水素や芳香族スルホネート等のようなアニオン機能を
有する化合物、更には、Zn、Ni、Cu、Pt、C
o、Pd等の遷移金属の錯体イオンなどを挙げることが
できる。
【0045】以上挙げた各種の置換基に更に置換される
基がハロゲン原子の場合には、該ハロゲン原子として
は、Cl、Br、I等を挙げることができる。また、低
級アルキル基は、直鎖状でも分岐状のものでもよく、そ
の炭素数としては1〜4程度のものが好ましい。アリー
ル基としては、例えば、フェニル基等を挙げることがで
きる。アリール基やフェニレン基の置換基としては、例
えば低級アルキル基で置換されたアミノ基(低級アルキ
ルアミノ基)等を挙げることができる。なお、この低級
アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等がパラ位で置換しているものが好ましい。
低級アルアルキル基としては、上記の置換もしくは未置
換アリール基で置換された低級アルキル基を挙げること
ができる。
【0046】一般式[I]の化合物の中では、Xを含む
複素環が、置換もしくは未置換アリール基の2以上で置
換されたものが好ましい。例えばXを含む複素環が6員
環の場合のそのような化合物としては、(1)Xを含む
6員環の2位と4位が置換もしくは未置換アリール基で
置換され、3位、5位及び6位のいずれかがR3で置換
されているもの、(2)該6員環の3位と5位が置換も
しくは未置換アリール基で置換され、2位、4位及6位
のいずれかがR3で置換されているもの、(3)該6員
環の2位と6位が置換もしくは未置換アリール基で置換
され、3位、4位及び5位のいずれかがR3で置換され
ているもの、などを挙げることができる。このような位
置に置換もしくは未置換アリール基を導入することは、
核酸塩基対へのインターカレーターとして良好な性質を
得る上で好ましい。更に、Xを含む複素環が、置換もし
くは未置換アリール基の2以上に、これらの置換位置が
隣合わないように置換されたものがより好ましい。
【0047】一般式[I]の化合物の具体例としては、
例えば後述の表1に示すものを挙げることができる。更
に、特に好ましい化合物としては、下記一般式[VI
I]
【0048】
【化20】 (上記一般式[VII]中、XはOまたはSを表わし、
-はアニオンを表わす)で表わされる化合物や、下記
一般式[VIII]
【0049】
【化21】 (上記一般式[VIII]中、XはOまたはSを表わ
し、Y-はアニオンを表わす)で表わされる化合物を挙
げることができる。
【0050】なお、上記一般式[VII]で表わされる
化合物、すなわち2−メチル−4,6−ビス−(4−
N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム塩および
2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルア
ミノフェニル)チオピリリウム塩は新規化合物である。
【0051】すなわち、これらのピリリウム塩は、2位
にメチル基を配したものであり、従来より記録材料の増
感剤等として知られているピリリウム環またはチオピリ
リウム環の2、4及び6位に置換もしくは未置換フェニ
ル基を有するものとは構造的に異なる。また、特開昭5
9−133460や特開平1−153683号公報に記
載のピリリウム環またはチオピリリウム環の2、4及び
6位が置換もしくは未置換フェニル基で置換されたもの
や、ピリリウム環またはチオピリリウム環の2、4及び
6位のうちの2つに置換もしくは未置換フェニル基が、
残りの1つに置換スチレン基が置換されたものとも構造
的に異なる。
【0052】しかも、これらの公報には、本発明のピリ
リウム塩およびチオピリリウム塩の置換基の種類及び置
換位置が特定された構造、すなわちピリリウム環または
チオピリリウム環の4及び6位に、パラ位にジメチルア
ミノ基を有するフェニル基が置換され、かつ2位にメチ
ル基が導入された構造によって、二本鎖核酸に対する特
異的なインターカレーターとして作用して蛍光強度が増
大するという効果が得られることについての記載はな
い。しかも、本発明のピリリウム塩またはチオピリリウ
ム塩[VII]の二本鎖核酸に対するインターカレーシ
ョンにおける蛍光増大の程度は、これらの公報に開示の
4−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2,6
−ジフェニルピリリウム塩または4−(4−N,N−ジ
メチルアミノフェニル)−2,6−ジフェニルチオピリ
リウム塩すなわち[VIII]における蛍光増大の約5
倍〜約10倍も大きく、しかもストークスシフトも約1
00nmと大きいので、本発明のピリリウム塩またはチ
オピリリウム塩[VII]は二本鎖核酸検出用の色素と
して特に有用である。
【0053】一般式[I]で表わされる化合物をそのま
ま用いて、あるいは適当な溶媒や分散剤に溶解または分
散させることで、本発明の核酸染色剤を得ることができ
る。この溶媒や分散剤としては、水、アセトニトリル、
ジメチルスルホキシド、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の
各種緩衝液などを用いることができる。その際の一般式
[I]で表わされる化合物の含有量はその用途及び測定
装置の感度などに応じて適宜選択すれば良く、例えば、
核酸水溶液中での二本鎖核酸の検出には、1×10-6
1×10-4M程度とすることができる。
【0054】一般式[I]で表わされる化合物は、一本
鎖や二本鎖の核酸(DNA及びRNA)の染色に利用で
き、なかでもインターカレーターとしての機能を有する
ので二本鎖核酸を優先的に染色するという利点がある。
すなわち、この化合物が二重らせんにインターカレート
すると、その蛍光強度が遊離の状態に比べて大きくな
り、またストークスシフトの大きいものを選択すれば、
S/N比の良い分析が可能となる。更にこの化合物は、
二本鎖核酸に結合した時に安定で、蛍光色素に良く見ら
れるフェード現象はほとんど観察されないという特徴を
有する。
【0055】また、この化合物の多くは励起波長を55
0nm以上と長波長側に有するので、タングステンラン
プ等の可視光光源を用いて十分な励起状態を得ることが
できる。従って、紫外線を用いる場合の先に述べた問題
を回避できる。
【0056】更に、生体由来の試料には、550nm以
下の波長領域に吸収、蛍光を持つ成分が含まれている場
合が多く、この波長領域の光を励起光として用いると、
この成分による測定バックグランドの上昇によるS/N
比の低下という問題がある。これに対して、一般式
[I]の化合物の多くの励起波長は550nm以上の長
波長側にあるので上述のバックグランドの上昇がなく、
結果的に高感度な測定が可能となる。このことは、試料
としての核酸の精製が不充分でも感度良い測定ができる
ことを示すものであり、特に、血液検査のような多検体
を処理する際に精製工程を省略できることは効率良い操
作を行う上で有効である。
【0057】また、一般式[I]の化合物として近赤外
領域に吸収を持つものを利用すれば、励起用の光源とし
て小型で安価な半導体レーザーを利用できるという利点
がある。
【0058】先に述べたように、一般式[I]の化合物
は、二重らせんにインターカレートすることで、遊離の
状態(二重らせんとの相互作用がない状態)に比べて蛍
光強度が著しく大きくなるものであるので、アガロース
ゲル電気泳動のようなDNAの制限酵素による切断パタ
ーンを検出する際、バックグランドが低く抑えられ、相
対的にDNAの検出感度を上昇させることが可能とな
る。また、ストークスシフトが100nm程度であるの
で蛍光検出の際、励起光の影響を完全に差し引き、直接
目で見ることが可能となる。更に、本発明に係る一般式
[I]の化合物は、二本鎖核酸に結合した時に安定で、
蛍光色素に良く見られるフェード現象はほとんど観察さ
れない。この特徴はゲルを乾燥させた場合でも維持され
ることから、ゲルの長期保存も可能となる。
【0059】更に、代表的な蛍光性インターカレーター
であるエチジウムブロマイドでは、DNA非存在下にお
いても蛍光が観測されるが、一般式[I]の化合物では
ほとんど検出されない。又、DNAの濃度に依存した蛍
光強度の増大もエチジウムブロマイドに比べて、高濃度
のDNAまで観測することができる。
【0060】即ち、一般式[I]の化合物は、エチジウ
ムブロマイドよりも検出感度が高く、S/N比も良く、
幅広い濃度範囲のDNAを検出することが可能となる。
【0061】更に、溶液系のハイブリダイゼーション反
応による核酸の検出においても、ハイブリッド体の染色
(標識)に一般式[I]の化合物を用いれば、該化合物
の蛍光強度が、遊離の場合や一本鎖に結合している場合
よりも、二本鎖(二重らせん)にインターカレートした
状態の方が十分に高くなるので、プローブと標的核酸と
のハイブリッド体と、未反応のプローブとを分離するこ
となく、すなわちB/F分離なしに直接プローブと標的
核酸とのハイブリッド体を検出することができる。
【0062】また、一般式[I]の化合物はインターカ
レーターとしての機能を有するので、標的核酸とプロー
ブとのハイブリッド体を安定化させるという点でも有利
であり、プローブに短いオリゴヌクレオチドを用いた場
合でも安定したハイブリッド体を形成でき、測定の安定
化が図れる。
【0063】更に、上述したように、一般式[I]の化
合物としてストークスシフトが大きいものを選択すれ
ば、蛍光と励起光とを完全に分離でき、蛍光スペクトル
から励起光の影響を差し引く操作が不要となって、検出
の自動化にとって効果的であるばかりではなく、検出感
度も上昇するという利点がある。
【0064】一般式[I]の化合物のこれらの特長は、
複素環とそれに結合させた特有な置換基に基づくもので
あり、複素環と置換基の部分がスタッキングしている核
酸塩基対部分にインターカレートして入り込み、両者と
相互作用して蛍光強度を増大させると考えられる。この
蛍光強度の増加効果は、置換基が、置換もしくは未置換
アリール基を有する時により大きく、置換もしくは未置
換アリール基の2以上が互いに隣合わないように置換さ
れている場合が更に大きい。また、上記一般式[I]の
化合物の構造を部分的にいろいろ変化させることによ
り、種々の吸収波長、励起波長、蛍光波長をもつ誘導体
が合成でき、例えば半導体レーザーを励起波長として利
用できるものを得ることができる。更に、置換基として
複素環や縮合環を導入した場合には、導入されたこれら
の環構造の性質を利用してインターカレーターと他の機
能を組合せた化学反応や生化学反応にも利用できる。
【0065】さらに、一般式[I]の化合物の水溶性を
高めるために、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、
スルホネート基等の親水性基を適当な部分に導入しても
よい。なお、核酸プローブの標識として用いる場合に
は、核酸と結合させた場合に十分な親水性が得られるな
らば親水性基の導入なしにそのまま利用してもよい。
【0066】本発明の核酸染色剤は、核酸染色用とし
て、例えば、電気泳動で展開した核酸の検出に用いるこ
とができる。この検出は、基本的には、エチジウムブロ
マイド等のかわりとして本発明の核酸染色剤を用い、従
来法に従って行うことができる。つまり、通常の電気泳
動の後、ゲルを色素溶液に浸し、検出する。ただし、そ
の検出に紫外線ランプではなく可視光を用いることに伴
い、従来とは異なる検出系の構成が必要となる。つま
り、検出系として、光源の他に、励起フィルター、蛍光
フィルターが必要となる。
【0067】光源としては、ハロゲンランプ、タングス
テンランプ、キセノンランプ及び半導体レーザー等が利
用できる。スライドプロジェクター(100V、300
W)程度の光量の可視光光源であれば十分エチジウムブ
ロマイド以上の感度で検出できる。カメラの撮影に用い
るストロボも写真を撮る上では有効である。更に、半導
体レーザーを用いれば励起光側のフィルターなしにフォ
トマルとの組合せによりデンシドメーターを構成するこ
とができる。
【0068】また、励起光フィルター、検出用フィルタ
ーとして、それぞれの色素に応じたフィルターが必要と
なる。つまり、それぞれの色素の光学的吸収をカバー
し、しかも、蛍光領域はカットするようなフィルターを
励起光側に使い、検出側には、励起光の透過を防ぎ、蛍
光のみを取り出せるようなフィルターを用いる。
【0069】たとえば、トランスイルミネーターにおけ
る紫外線ランプの代わりに可視光光源を取り付け、その
上に励起光フィルターのついた台を載せる。ゲルはその
台の上に置かれ、蛍光フィルターのついたスリットを通
して検出されるか、蛍光フィルターのついたカメラによ
り写真撮影が行われる。
【0070】その結果、肉眼でもゲル中の泳動されたバ
ンドを保護具なしに見ることができ、ゲルからのバンド
の切り出しも容易となる。また、写真を撮る場合にもエ
チジウムブロマイドの場合のように紫外光を避けながら
トランスイルミネーターで試行錯誤により露出を選ぶの
ではなく、目で見て判断し、適当な露出を選ぶことがで
きる。もちろん、フォトマルを搭載したようなデンシド
メーターも利用できる。更に、ストロボを光源として用
い、カメラと連動して作動するような検出キットを用い
れば、乾電池等の電源で簡便に、しかも熱の発生による
影響を受けることなく核酸を検出できる。
【0071】更に、本発明の核酸染色剤は、プローブを
用いたハイブリダイゼーション法による検出対象として
の標的核酸の検出に用いることができる。例えば、標的
核酸を試料と反応させた後、形成された二本鎖核酸を本
発明の染色剤で染色することでこれを光学的に検出する
ことができる。この際、該染色剤に含まれている一般式
[I]の化合物は、二本鎖の2重らせんとの相互作用に
より蛍光強度の増大を生じるものであるので、B/F分
離することなく検出が可能である。しかも、この相互作
用はミスマッチを起している二本鎖核酸では起きにくい
ので、ミスマッチしている二本鎖核酸による測定値への
影響を排除できる。この本発明の染色剤を用いた染色
は、プローブあるいは試料を固定して用いる方法、溶液
中でプローブと試料を反応させる方法、生検、あるいは
細胞や生体にプローブを取込ませるin situ hybridizat
ion法に利用でき、例えば、試料とプローブとを反応さ
せた後に、本発明の染色剤をこれに加えて目的とするハ
イブリッド体を染色して検出する。また、顕微鏡等を用
いれば、細胞内でのプローブがハイブリッドしている位
置を調べることもできる。
【0072】更に、PCR等で増幅した核酸の検出にも
勿論用いることができ、ひとつひとつ定量しなくても増
幅されたか否かを瞬時に判定できる。この時、PCRの
反応をマイクロプレート上で行なわせれば、一度に多検
体を調べることができる。
【0073】また、一般式[I]の化合物をプローブに
標識として結合させて用いることで、該化合物の特長を
さらに有効に利用することができる。例えば、溶液中で
行うハイブリダイゼーション反応において、分析対象と
しての標的核酸に一本鎖のものばかりでなく二本鎖のも
のも利用できるようになり、しかも、該化合物は核酸塩
基対に対するインターカレーターとしての機能を有する
ので、標識化合物による標的核酸とプローブとのハイブ
リッド体における立体障害を避けることができるばかり
ではなく、該ハイブリッド体をスタッキングにより安定
化できるという効果も得られる。一般式[I]の化合物
をプローブに結合する方法としては公知の各種方法が利
用できる。
【0074】又、後述するように本発明に係る一般式
[I]の化合物は、細胞、細菌、組織、及び染色体等の
生物試料に対して高い透過性を示すので、該化合物を標
識させたプローブを細胞や生体に取り込ませるのが容易
であり、in situ hybridization
法に適している。更に、後述するように低濃度でも十
分使用でき、また低滞留性であることから、生体をプロ
ーブと反応させ観測した後も培養を継続することも可能
である。
【0075】このように、本発明に係る一般式[I]で
表わされる化合物は様々な検出法に適用でき、しかも非
常に簡便に核酸を検出できるので、そのままで、または
DNAプローブとして一般式[I]で表わされる化合物
を含む様々な核酸検出用キットを提供することもでき
る。
【0076】更に、本発明に係る一般式[I]の化合物
を含む染色剤と生物試料を接触させて染色、または分染
することができる。
【0077】本発明の方法によって染色される生物試料
としては、微生物、ヒト細胞、動物細胞、生物(ヒト、
動物または植物)の組織もしくはその切片、及び染色体
などを挙げることができる。染色体を試料とする場合
は、染色体を鮮明に分染することができる。
【0078】本発明においては、上記一般式[I]の化
合物の1種以上を、適当な溶媒、例えば水、生理食塩
水、水とエタノール等のアルコールとの混合溶剤などに
溶解して、生物試料の蛍光染色に用いる。また、生物試
料が生きた状態の細胞や微生物等の場合には、これらの
生存を維持できる各種の溶液やこれらの増殖のための培
養液に一般式[I]の化合物を加えて、染色液としても
良い。染色液中の一般式[I]の化合物の濃度としては
数十ng〜数μg/ml程度が適当である。
【0079】本発明においては、染色や分染のための色
素として、一般式[I]の化合物を用いたことで、再現
性良く、バラツキのない安定した染色を行うことがで
き、しかも従来の方法で必須であった試料の固定や余分
な色素の洗浄等の操作を省略して処理操作の単純化を図
ることができ、より迅速な試料の大量処理が可能とな
る。
【0080】また、染色体の分染法においても、一般式
[I]の化合物を用いたことで、既知の染色剤と分染パ
ターンを得るとができ、染色体の識別、同定の高精度化
が図れる。更に、保存用標本を作製する際にも、染色部
位の退色や色の消失のない標本を作製することができ
る。特に、本発明において用いられる一般式[I]の化
合物は、試料内への透過性に非常に優れており、この化
合物を生物試料内に供給するための操作、例えば試料の
固定やそれに続く洗浄操作等を省略できるという利点が
ある。また、固定操作を省略した場合には、試料を非固
定の自由な状態、すなわち自然の生態のまま、あるいは
それに近い状態で染色に利用でき、例えば生きている状
態での染色が可能となる。また、染色体の分染において
も、通常行われているカルノア固定液による固定操作、
それに続く洗浄操作及び乾燥工程を省略することができ
る。
【0081】また、上述してきたように、一般式[I]
の化合物は、溶液中にフリーの状態、すなわち核酸の非
存在下では、励起光を照射してもほとんど蛍光を発しな
いが、2本鎖核酸が存在し、これと相互作用した場合に
は蛍光を放出する。これは、バックグランドが極めて低
いということを意味しており、より精度の高い染色が可
能となる。更に、この低バックグランド特性により、一
般式[I]の化合物を極めて広範囲の濃度で利用するこ
とが可能となる。
【0082】例えば、細胞や微生物の培養液に2−メチ
ル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェ
ニル)ピリリウム アイオダイド(化合物1)を直接添
加し、染色液の共存する状態で通常の落射蛍光顕微鏡を
用いて観察した場合、染色液中の色素濃度は、数十ng
/ml〜数μg/mlの範囲で、バックグランドを全く
気にすることなく使用でき、従来必要であった染色操作
後の洗浄を完全に省略、もしくは簡略化することができ
る。また、動物やヒトの組織またはその切片の染色にお
いて、数十μg/ml程度の高濃度の染色液を用いても
従来必要であった染色操作後の洗浄を完全に省略もしく
は簡素化することができる。
【0083】一方、染色像に関していえば、一般式
[I]の化合物によれば細胞の核を鮮明に染色でき、培
養細胞、培養菌あるいは各種組織などの生細胞染色では
分裂中の細胞の染色体を明瞭に認めることができる。こ
れは、一般式[I]の化合物が核酸(即ち、DNA等の
二本鎖核酸、もしくはRNA等の一本鎖核酸の分子内二
本鎖部分等)に強い親和性を持つことによるが、この特
徴を利用することにより、FCM(フローサイトメータ
ー)による細胞の計数や、細胞の分裂周期段階における
分類等が可能である。
【0084】生物試料の染色を行う場合、染色剤の水溶
性が大きな問題となる。生物試料は、通常、水系の環境
で扱われることが多い。これに対して、色素は有機溶媒
系で扱われることが多く、生物試料を取り扱う分野にお
いては、水系で使用可能な色素の要望は高く、その利用
可能範囲も広い。一般式[I]の化合物は、適当なカウ
ンターイオン(例えば、ヨウ素)を選択することにより
水溶性も高めることができる点でも非常に有用である。
【0085】さらに、本発明における一般式[I]の化
合物は、細胞中での滞留性が低く、滞留することで生細
胞に悪影響を与えることがないので、染色対象が培養細
胞や微生物のような場合、未固定での染色及び染色状態
の観察を行なう際に、他の微生物の混入による汚染や温
度制御等に若干の注意を払うだけで、観察後継続してこ
れらの培養を行うことも可能である。すなわち、同一試
料の経時的な蛍光染色観察が可能となる。
【0086】本発明に係る一般式[I]の化合物は、上
述したように、通常蛍光色素でみられる蛍光のフェード
現象が非常に少ないことも特徴としてあげられる。そこ
で、一般式[I]の化合物の低バックグランド、低フェ
ード現象の両特徴を併用することで、蛍光染色の長期保
存標本の作製ができる。つまり、標本を保存用溶液とと
もに容器内に封入する際に、保存用溶液内に一般式
[I]の化合物を追加しておくことで、たとえ多少のフ
ェード現象が起こっても保存標本中で色素の更新が行わ
れ、観察像の変化は長期間にわたって抑制できる。
【0087】本発明の染色法を利用した保存標本の作製
は、生物試料を一般式[I]の化合物で染色して適当な
容器内に密封して行うことができる。容器としては、試
料を密封できるものであれば目的に応じて種々の形状や
大きさのものが利用でき、またスライドガラス上に載せ
たカバーガラスの周縁を樹脂等の封入材で密封するもの
もこの容器に含まれる。
【0088】染色された生物試料は、必要に応じてアジ
化ナトリウム等の防腐剤を含む液媒体とともに容器に封
入される。また、容器内で生物試料と染色液とを混合、
封入してもよい。液媒体としては、染色溶媒として利用
できるものならよい。また、液媒体中に蛍光性色素が含
有された状態で生物試料が封入されるようにすれば、上
記のように長期保存においても染色状態を安定に維持す
ることができる。
【0089】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
する。 実施例1 無水酢酸100mlと濃硫酸30mlとを冷却しながら
混合し、得られた混合液をウォーターバスで80℃に保
ちながら3時間加温した。そこに無水酢酸20ml、p
−ジメチルアミノアセトフェノン30mlを室温下で加
え、その後45℃に温度を上昇させて24時間攪拌し反
応させた。この反応液に等量のエタノールを加え、冷却
し、更にヨウ化カリウム水溶液を加えると粗結晶が析出
した。この粗結晶を濾過により回収し、エタノール/エ
ーテルの混合系(容量比、1:4)で再結晶させて、2
−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミ
ノフェニル)ピリリウム アイオダイド(表1の化合物
1(ただしYはIである))の緑色の結晶を得た。 得られた化合物1(Y:I)の分析結果 融点:254〜257℃ UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax :444
nm(2.43)、550nm(8.24) NMR(1H、DMSO)δppm:8.3737(1H、
s)、8.2729(1H、d、J=9.0Hz)、
8.1795(1H、d、J=9.0Hz)、7.88
64(1H、s)、6.9117(4H、t、JAB=J
BC=9.77)、3.1829(6H、s)、3.13
40(6H、s)、2.6809(3H、s) FAB mass m/z 333 IR(KBr)νcm-1:1645、1610(s
h)、1580(s)、1490(s)、1270、1
200、1160 更に、ヨウ化カリウム水溶液の代わりに過塩素酸水溶液
を用いる以外は上記と同様にして2−メチル−4,6−
ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリ
ウムの過塩素酸塩(化合物1(Y:CIO4))を得
た。
【0090】実施例2 硫化ナトリウム9水和物20gをイオン交換水に溶解さ
せ全量を50mlとした。この溶液に炭酸水素ナトリウ
ム7gを加え溶解させた後、氷冷下、50mlのエタノ
ールを更に加えてから、室温で30分間攪拌した。析出
した炭酸ナトリウムを濾別し、25mlのエタノールで
洗浄し、濾液と洗液を合わせ、約125mlの水硫化ナ
トリウムの水・エタノール溶液を得た。
【0091】次に、実施例1で得た2−メチル−4,6
−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリ
リウム アイオダイドの0.92gを20mlのDMS
Oに溶解させ、得られた溶液に先に調製した水硫化ナト
リウムの水・エタノール溶液の5mlを加え、室温下で
5分間攪拌した。攪拌後、ヨウ化水素酸0.75mlを
加え、更に5分間攪拌した。以下、常法に従って、ジク
ロロメタン抽出、シリカゲルカラム精製を行った後、エ
タノール/エーテル混合液(容量比、1:4)で再結晶
させて、0.7gの2−メチル−4,6−ビス−(4−
N,N−ジメチルアミノフェニル)チオピリリウム ア
イオダイドの結晶(表1の化合物2(ただし、YはIで
ある))を得た。 得られた化合物2(Y:I)の分析結果 融点:246〜248℃ UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax :495
nm(2.50)、587nm(4.95) NMR(1H、DMSO)δppm:8.5679(1H、
s)、8.4323(1H、s)、8.2436(2
H、d、J=9.27Hz)、7.9786(2H、
d、J=9.28)、6.8959(4H、t、JAB
BC=9.28)、3.1756(6H、s)、3.1
157(6H、s)、2.8323(3H、s) FAB mass m/z 349 IR(KBr)νcm-1:1600(s)、1560
(s)、1460(s)、1430(s)、1370
(s)、1260(s)、1160(s) 更に、ヨウ化水素酸の代わりに過塩素酸水溶液を用いる
以外は上記と同様にして2−メチル−4,6−ビス−
(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)チオピリリウ
ムの過塩素酸塩(化合物2(Y:CIO4))を得た。 参考例1 表1に示す化合物3〜55をそれぞれ用意した。表1に
おいて、Φはp−フェニレン基:
【0092】
【化22】 またはフェニル基を表わす。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
【表10】
【0103】
【表11】
【0104】
【表12】
【0105】
【表13】
【0106】
【表14】
【0107】
【表15】
【0108】
【表16】
【0109】
【表17】
【0110】
【表18】
【0111】
【表19】 なお、これらの化合物は以下の公知の方法により合成し
た。なお、具体的な反応操作は常法に従った。
【0112】化合物7は、W.Foerstらの「New Methods
of Preparative Organic Chemistry」、Acad. Press(1
964)に記載の方法に従って、化合物[i]
【0113】
【化23】 を合成した後、これと
【0114】
【化24】 (p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド)とを
反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させて得た。化合物17は、化合物[i]と
【0115】
【化25】 (p−ジエチルアミノスチリルベンツアルデヒド)とを
反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させて得た。また、化合物[i]を水硫化ナトリウムと
反応させることにより化合物[ii]
【0116】
【化26】 を得た後、この化合物[ii]を化合物7、17と同様
にして化合物8、18を合成した。
【0117】R. WizingerらのHelv. chim. Acta、39、2
17 (1956)に記載の方法に従い、アセトフェノンとアセ
トアルデヒドから以下に示すルート
【0118】
【化27】 を経て、化合物[iii]
【0119】
【化28】 を合成した。この化合物[iii]を原料として、p−
ジメチルアミノベンズアルデヒドとの反応から得られた
化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物5を、
p−ジエチルアミノスチリルアルデヒドとの反応から同
様にして化合物15を、p−ジメチルアミノ桂皮アルデ
ヒドとの反応から同様にして化合物9を、
【0120】
【化29】 との反応から同様にして化合物11をそれぞれ得た。ま
た、化合物[iii]を水硫化ナトリウムと反応させる
ことにより化合物[iv]
【0121】
【化30】 を得た後、化合物[iii]に代えて化合物[iv]を
用いる以外は、化合物5、15、9及び11の合成の場
合と同様の方法で、化合物6、16、10及び12をそ
れぞれ得た。
【0122】更に、原料のアセトアルデヒドをp−ジメ
チルアミノベンズアルデヒドに代える以外は、化合物
[iii]の合成の場合と同様にして、化合物3のカチ
オン部分を得た後、これに硫化ナトリウムを反応させて
得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させ、化合
物4を得た。また、同様にしてp−メチルベンズアルデ
ヒとアセトフェノンから化合物[v]
【0123】
【化31】 を得た後、それを水硫化ナトリウムと反応させて化合物
[vi]
【0124】
【化32】 を得た。更に、化合物[v]及び[vi]をそれぞれp
−ジメチルアミノベンズアルデヒドと反応させ、得られ
た化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物13
及び14を得た。
【0125】化合物19、20及び21は、化合物
[i]または[ii]と、化合物1または2のカチオン
部分とを
【0126】
【化33】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物22、23及び24は、化合物
[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部
分とを、
【0127】
【化34】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物25及び26は、化合物[i]ま
たは[ii]を
【0128】
【化35】 と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反
応させて得た。化合物27、28及び29は、化合物
[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部
分とを、トリエトキシメタン[HC(OC253]と
反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応
させることにより合成した。化合物30、31及び32
は化合物[iii]または[iv]と、[iii]と
[iv]と同様の方法によりp−ジメチルアミノアセト
フェノンから合成した化合物[iii]と[iv]のジ
メチルアミノ誘導体と、トリエトキシメタンとを反応さ
せ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させる
ことにより合成した。
【0129】化合物33〜55は以下の各反応によりそ
れぞれ合成した。化合物33の合成
【0130】
【化36】 化合物34の合成
【0131】
【化37】 化合物35の合成
【0132】
【化38】 化合物36の合成
【0133】
【化39】 化合物37の合成
【0134】
【化40】 化合物38の合成
【0135】
【化41】 化合物39の合成
【0136】
【化42】 化合物40は、化合物36の合成で原料を
【0137】
【化43】 から
【0138】
【化44】 に変更して合成した。
【0139】化合物41は、化合物37の合成で原料を
【0140】
【化45】 から
【0141】
【化46】 に変更して合成した。
【0142】化合物42は、化合物38の合成で原料を
【0143】
【化47】 から
【0144】
【化48】 に変更して合成した。
【0145】化合物43は、化合物39の合成で原料を
【0146】
【化49】 から
【0147】
【化50】 に変更して合成した。化合物44の合成
【0148】
【化51】 化合物45の合成
【0149】
【化52】 化合物46の合成
【0150】
【化53】 化合物47の合成
【0151】
【化54】 化合物48は、化合物44の合成で原料を
【0152】
【化55】 から
【0153】
【化56】 に変更して合成した。
【0154】化合物49は、化合物45の合成で原料を
【0155】
【化57】 から
【0156】
【化58】 に変更して合成した。
【0157】化合物50は、化合物46の合成で原料を
【0158】
【化59】 から
【0159】
【化60】 に変更して合成した。
【0160】化合物51は、化合物47の合成で原料を
【0161】
【化61】 から
【0162】
【化62】 に変更して合成した。化合物52の合成
【0163】
【化63】 化合物53の合成
【0164】
【化64】 化合物54の合成
【0165】
【化65】 化合物55の合成
【0166】
【化66】 実施例3 実施例1で得た化合物1を10%アセトニトリルを含む
10mMリン酸緩衝液に溶解し、化合物1の最終濃度が
3×10-5Mになるように調整してサンプルIとした。
このサンプルIの一部を用いてその吸収スペクトルを分
光光度計を用いて常法により測定したところ図1のAに
示す結果が得られた。
【0167】次に、Salmon sparm DNA (Sigma社製)を
TE緩衝液(10mM Tris-1mM EDTA)に溶解し、フェノー
ル抽出により精製した。取扱を容易にするために、この
精製物を更に制限酵素EcoRIで消化処理し、得られ
た処理液をDNA溶液とした。このDNA溶液の一部と
サンプルIの一部とを混合して、DNAの最終濃度が5
0μg/mlとなるように調整し、更に、化合物1の最
終濃度が3×10-5Mになるように調整して、サンプル
IIとした。このサンプルIIの一部を用いてその吸収
スペクトルを常法により測定したところ、図1のBで示
す結果が得られた。すなわち、該化合物の吸収のピーク
は、DNAとの相互作用により長波長側に20〜30n
mシフトした。これは、典型的なインターカレーターの
性質である。
【0168】サンプルIの一部を用いてその蛍光スペク
トルを常法により測定したところ、DNA非存在下では
550nmで励起した場合、650nm付近に弱いピー
クが検出された(図2のA参照)。次にサンプルIIの
一部を用いて同様にして蛍光スペクトルを測定したとこ
ろ、サンプルII中では、同じ波長での励起で、DNA
非存在下における場合の約100倍の蛍光強度のピーク
が650nm付近に検出された(図2のB参照)。以上
の結果は、化合物1が強力なインターカレーターである
ことを示している。
【0169】次に、先に調製したDNA溶液と、化合物
1と、10%アセトニトリルを含む10mMリン酸緩衝
液を用いて、化合物1を5×10-6Mの濃度で含み、か
つDNA濃度が異なる溶液を調製した。得られた各溶液
の蛍光強度を常法により測定して、DNA濃度に対する
蛍光強度の変化を求めた。得られた結果を図3、4に示
す。蛍光強度はDNA濃度が増加するに従って増大し、
最大で、DNA非存在下の時の蛍光強度の約400倍増
大した。なお、励起光としては、Xeランプを光源とし
480nmのローカットフィルターにより紫外光を除去
したものを用いた。
【0170】比較例1 インターカレーターとして知られているエチジウムブロ
マイド(EB)を用いて、実施例3と同様にしてDNA
濃度に対する蛍光強度の変化を求めた。結果を図3、4
に示す。
【0171】図3の結果から明らかなように、DNA非
存在下において、化合物1の蛍光強度はDNA非存在下
ではほぼ0であるのに対し、EBでは高い。更に、例え
ば4μMのDNA濃度においては、化合物1の蛍光増大
は約17倍であり、これに対してEBの蛍光増大は約4
倍である。従って、DNA添加時のS/NはEBに比べ
て化合物1の方が圧倒的に良く、化合物1を核酸染色剤
として用いることで非常に低いバックグランドでの核酸
の感度良い検出が可能となり、しかもDNAの低濃度領
域においても感度良い検出が可能である。
【0172】また、図4の結果から明らかなように、励
起光に可視光を用いる限りにおいては、化合物1はEB
の4倍以上の蛍光強度を得ることができ、化合物1を用
いることでより高い感度での核酸の検出が可能となる。
【0173】実施例4 DNAサイズマーカー λ/HindIII dige
st−ΦX174/HaeIII digest(TO
YOBO社製)を全量として100ngから0.1ng
まで各種濃度に調製し、0.8%アガロースゲル電気泳
動により分離した。次に化合物1のアセトニトリル溶液
を、色素の最終濃度が1×10ー6M、アセトニトリル濃
度が10%になるように蒸留水に溶解し、泳動後のゲル
をこの溶液に約2分間浸した。
【0174】トランスイルミネーター状の箱の一面を4
80から590nmのバンドパスフィルターで覆い、染
色後のゲルをフィルターの上に載せ、その上に蛍光検出
用のフィルター(620から710nmのバンドパスフ
ィルター)を重ね、ハロゲンランプで照射したところ、
DNAの展開パターンが直接目で確認でき、0.05n
gのDNAが存在していると思われるバンドの染色が目
で直接確認された。さらに、ポラロイドカメラでの写真
も良好であった。この感度は、従来用いられているエチ
ジウムブロマイドで染色したゲルを紫外線で励起した場
合(トランスイルミネーター使用)よりも一桁以上感度
の良いものであった。
【0175】実施例5 実施例4と同様にしてDNAサイズマーカーを各種濃度
に調製し、小型電気泳動装置により1%アガロースゲル
(5×6cm)を用いてDNA断片を分離した。次に化
合物1を実施例4と同様にして溶解し、泳動後のゲルを
浸した。ストロボを励起光源とし、実施例4と同様なバ
ンドパスフィルターをストロボの表面のガラスと置き換
えてセットした。染色後のゲルをその上に載せ、蛍光検
出用のバンドパスフィルターをセットしたポラロイドカ
メラにより、ストロボと連動させて写真を撮影した。シ
ャッタースピード1秒、絞り1/16程度が良好であっ
た。検出感度は実施例4と同様であった。
【0176】実施例6 DNAサイズマーカーとしてΦX174/HaeIII
digest(TOYOBO社製)を用い、実施例4
と同様にその各種濃度溶液を調製し、8%ポリアクリル
アミドゲル電気泳動により分離した。次に、化合物10
を実施例4と同様にして溶解し、泳動後のゲルを浸し
た。半導体レーザー(680nm;日立製作所製)を励
起光源とし、また、フォトマルの前に蛍光検出用のバン
ドパスフィルター(700から800nmの波長領域)
をセットし、ゲル上をスキャンさせて蛍光強度を定量し
た。それぞれのバンドの強度はサイズマーカーのDNA
断片の長さに比例し、最も濃度の高い1.3kb(25
ng)まで定量的に取り扱うことができた。
【0177】実施例7 標的核酸のモデルとしてM13mp18一本鎖DNAを
用い、該標的核酸の有する塩基配列と相補的な下記の配
列を有する20量体オリゴヌクレオチドをABI社製3
81A DNA合成機を用いて合成し、プローブIとし
た。 5’GTTGTAAAACGACGGCCAGT3’ また、対照試験用としてTのみからなる20量体を同様
に合成し、プローブIIとした。
【0178】1mMリン酸緩衝液(pH7.0)/14
5mM NaCl/5mM KCl中に、プローブIと
M13mp18一本鎖DNAをそれぞれ最終濃度が10
μg/mlとなるように加え、これらを反応させ試料I
を得た。また、プローブIの代わりにプローブIIを用
いて同様の反応を行い、試料IIを得た。
【0179】次に、試料I及びIIに、化合物1のアセ
トニトリル溶液を、最終濃度が3×10-5Mとなるよう
に加え、タングステンランプでの光照射を行ったとこ
ろ、試料Iの場合は赤い発光が観察されたが、試料II
の場合は透明のままであった。この結果は、溶液系での
プローブと標的核酸とのハイブリッド体の検出をB/F
分離なしに行えることを示している。
【0180】実施例8 化合物12について実施例3と同様な実験を行った。つ
まり、化合物12を10%アセトニトリルを含む100
mM酢酸緩衝液に適当量溶解し、最大吸収極大が約0.
4になるように調製した。なお、図5に示すようにDN
A非存在下では化合物12は625nmに吸収極大を持
つ。
【0181】実施例3で調製したDNA溶液を最終濃度
50μg/mlになるように化合物12の溶液に加える
と、吸収は長波長側に35nmシフトし、660nmに
吸収極大を持つようになった。また、その吸光度は減少
し淡色効果を示し、典型的なインターカレーターの性質
を示した。
【0182】実施例3と同様にしてDNA存在下と非存
在下での蛍光スペクトルを測定したところ図6に示す結
果が得られた。図6に示すように、DNA非存在下では
キセノンランプで励起した場合690nm付近に弱い蛍
光が観測され、これにDNAを最終濃度50μg/ml
の濃度で加えると、蛍光の波長は735nmになり、そ
の蛍光強度はDNA非存在下の約10倍増大した。すな
わち、化合物12がインターカレーターであることが確
かめられた。この化合物12を用いることで実施例4、
7におけるDNAの検出を行うことができた。
【0183】実施例9 化合物6について実施例3と同様な実験を行った。つま
り、化合物6を10%ジメチルスルホキシド水溶液に適
当量溶解し、最大吸収極大が約0.4になるように調製
した。なお、図7に示すようにDNA非存在下では化合
物6は660nmに吸収極大を持つ。
【0184】実施例3で調製したDNA溶液を最終濃度
50μg/mlになるように化合物6の溶液に加える
と、吸収は長波長側に30nmシフトし、690nmに
吸収極大を持つようになった。また、その吸光度は減少
し淡色効果を示し、典型的なインターカレーターの性質
を示した。
【0185】実施例3と同様にしてDNA存在下と非存
在下での蛍光スペクトルを測定したところ図8に示す結
果が得られた。図8に示すように、DNA非存在下では
キセノンランプで励起した場合735nm付近に弱い蛍
光が観測され、これにDNAを最終濃度50μg/ml
の濃度で加えると、蛍光の波長は800nmになり、そ
の蛍光強度はDNA非存在下の約7倍増大した。すなわ
ち、化合物6がインターカレーターであることが確かめ
られた。この化合物6を用いることで実施例4、7にお
けるDNAの検出を行うことができた。
【0186】実施例10 化合物2を10%アセトニトリルを含む10mMリン酸
緩衝液に溶解し、最終濃度5×10-5Mになるように調
製した。図9に示すようにDNA非存在下では化合物2
は520nmから660nmに吸収を持ち、その吸収極
大は580nmであった。
【0187】実施例3と同様にして調製したDNA溶液
を最終濃度50μg/mlになるように化合物2の溶液
に加えると、吸収は長波長に30〜40nmシフトし、
典型的なインターカレーターの性質を示した。蛍光スペ
クトルを同様にして測定したところ、図10に示す結果
が得られた。図10に示すように、DNA存在下ではキ
セノンランプで励起した場合、700nmにピークを持
つ。
【0188】次に、化合物2を10%アセトニトリルを
含む10mMリン酸緩衝液に最終濃度5×10ー6Mにな
るように含み、かつDNA濃度が異る溶液を調製した。
得られた各溶液の蛍光強度を常法により測定して、DN
A濃度に対する蛍光強度の変化を調べたのが図11であ
る。蛍光強度はDNA濃度が増加するに従って増大し、
最大で、DNA非存在下の時の蛍光強度の約100倍増
大した。
【0189】以上の結果から、化合物2が強力なインタ
ーカレーターであることが確かめられた。
【0190】実施例11 表1に示すその他の化合物におけるDNA存在下での吸
収極大のシフト及び蛍光強度の増大について実施例3、
8及び9と同様にして測定した。得られた結果の代表例
について表2に示す。なお、増大の程度はいずれもDN
Aの最終濃度が50μg/mlの時の値である。
【0191】
【表20】 実施例12 (培養細胞の生細胞染色)培養細胞は、L細胞(NCTC c
lone 929,ATCC No.CCL1,Sanford,K.K.,Earle,W.R.,Like
ly,G.D.:J.Natl.Cancer Inst.,9.229-246,1948)を使用
し、培養法は定法に従い、培養液は、イーグルのMEM
(日水製)+10%FCSを使用した。
【0192】37℃のCO2 インキュベーター内で培養
を行い、細胞密度が1.2×106Cell/cm2
度になったものを染色に使用した。
【0193】2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N
−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム アイオダイド
(化合物1(YはI))を、エタノール(蛍光分析用)
に200μg/mlの濃度に溶解した。これを、ポアサ
イズ0.22μmのフィルターを通して、滅菌、除粒子
して、本発明の染色液のストック溶液とした。
【0194】細胞の染色は、未固定の生細胞を用いた。
つまり、通常の培養操作に準じて、無菌的に上記のスト
ック溶液を培養細胞の培養液に直接添加した。本実験で
は、化合物1の最終濃度を100ng/mlとなるよう
に調整した(最終エタノール濃度;0.5%)。
【0195】これを、CO2 インキュベーター内で、5
分間静置した後、蛍光観察を行った。蛍光観察は、化合
物1を含んだままの培養液、すなわち、細胞が染色液中
にある状態で行った。蛍光観察は、倒立型落射蛍光顕微
鏡(オリンパス社製、IMT−2)で行った。その結
果、核が明瞭に染色され、明るい蛍光を発している蛍光
像が観察された。また、蛍光のフェード現象は、観察さ
れず、バックグランドとなる染色液の蛍光も、ほとんど
観察されなかった。
【0196】なお、観察後、染色液を通常の培養液に交
換して培養を継続した。細胞は、正常に増殖し、継代培
養した後、再度の染色、蛍光観察が可能であった。
【0197】本実施例で使用した色素である化合物1
は、励起光、蛍光共に比較的長波長であるため、同視野
での長時間の蛍光観察は、発熱等、細胞に対する悪影響
が予想されるが、濃度が非常に低いこと、蛍光量が多い
ため励起光を抑えることができることなどにより、特に
影響はなかった。
【0198】比較例2 (エチジウムブロマイド(EB)による培養細胞の生細
胞染色)染色対象である細胞は、実施例12と同様に準
備した。色素(EB)は、通常、水溶液として使用する
が、本実験では、実施例12との整合をとるため、エタ
ノール溶液とした。色素溶液の濃度は、実施例12同様
に200μg/mlとした。これを、ポアサイズ0.2
2μmのフィルターを通して、滅菌、除粒子を行い、比
較用の染色液のストック溶液とした。
【0199】染色も、実施例12同様に、培養液にスト
ック色素液を直接添加して行った。
【0200】色素添加後静置、5分、15分、1時間、
1.5時間と4種類の染色時間経過の異なるものを、観
察した。観察装置は、実施例12と同様である。
【0201】結果は以下のとおりであった。 (1)EBのバックグランドが非常に強いため、細胞が
確認、観察できず、染色液のままの観察は染色時間に関
わらず、困難であった。 (2)染色液を、培養液、または、生理食塩水に交換し
た後、観察すると染色時間を1.5時間以上としたとこ
ろで細胞核が弱く染色された。
【0202】実施例13 (染色細胞の長期保存標本の作製)細胞は、基本的に
は、実施例12同様に準備した。ただし、培養する際、
培養皿の中に、滅菌したスライドグラス(蛍光観察用)
を沈め、スライドグラス上に細胞を増殖させた。細胞が
増殖したスライドグラスを培養皿から取り出し、以下の
操作を無菌的に行って細胞を染色した。
【0203】まず、取り出したスライドグラスを、4%
ホルムアルデヒド水溶液に30分間浸して固定した。蒸
留水に通して簡単に洗浄した後、本発明のストック溶液
で調製した染色液(1μg/ml、0.5%エタノール
溶液、フィルター滅菌)を適当量滴下した。次に、蛍光
観察用のカバーグラスを標本上に乗せ、余分の染色液を
除去した。封入用の樹脂を用いて、カバーグラスを固定
して、保存標本とした。観察を、実施例12と同様の方
法で行ったところ、実施例12と同様に、細胞核が明瞭
に蛍光を発する染色像が観察された。
【0204】この標本を、−20℃、4℃、室温(いず
れも、アルミ箔で包み、遮光した)でそれぞれ保存し、
3カ月後に再度蛍光観察を行った。標本を水系の溶媒中
に密封したので、−20℃保存の標本では細胞形態の部
分的破壊が起こったが、他の標本は、良好な保存状態を
保っていた。また、保存後においても蛍光が充分に発せ
られ、染色状態も良好であった。
【0205】実施例14 (血球細胞の生細胞染色)血液培養法(「染色法のすべ
て」 医歯薬出版株式会社 p366)により得た血球
細胞を未固定の生細胞の状態で染色した。
【0206】つまり、まず、採血した5mlの抹消血液
を滅菌スピッツ管に入れ、立てた状態で放置し、血球を
分離した。次に、細胞培養液(RPMI1640、GI
BCO社製)5mlに、0.5mlの牛血清と0.1m
lのPHAM(GIBCO社製)を加えたものを培養皿
に用意し、上記、分離血液の上清、つまり、白血球に富
む血漿分を、約0.5ml加えて、37℃のCO2 イン
キュベーター内にて、3日間、培養した。
【0207】培養した細胞の分散液の一部に、実施例1
2と同様に作製した染色液(濃度;200μg/ml、
エタノール溶液)を加え、化合物1の最終濃度100n
g/ml、最終エタノール濃度0.5%になるように調
整し、血球細胞を染色した。
【0208】蛍光観察には、化合物1を含む培養液をそ
のまま使用し、倒立型落射蛍光顕微鏡(オリンパス社
製、IMT−2)を用いた。蛍光観察像は、実施例12
と同様、核が明瞭に染色され、明るい蛍光を発するもの
であった。観察中の蛍光のフェード現象は、ほとんど見
られなかった。
【0209】実施例15 (培養大腸菌の染色)大腸菌として、遺伝子組換えの宿
主として一般に利用されているJM−109株を使用し
た。
【0210】以下の組成のM−9培地(pH7.0)に
1%程度のアガロースを加え、オートクレーブでアガロ
ースの溶解、滅菌を行い、培養皿に流し込みプレートを
作製した。 M−9培地組成(1リットル中): Na2HPO4・7H2O ・・・・12.8g KH2PO4 ・・・・ 3g NaCl ・・・・ 0.5g NH4Cl ・・・・ 1g MgSO4 ・・・・ 1mM グルコース ・・・・ 0.2% CaCl2 ・・・・ 0.1mM 残り 水 このM−9プレートにJM−109株のストック(宝酒
造)より菌を接種し、37℃の恒温器中で一晩インキュ
ベートし、菌を増殖させてプレート上にコロニーを得
た。コロニーの一つを、滅菌した白金耳でピックアップ
し、培養容器中の100mlの下記組成の2×YT培
地; 2×YT培地(1リットリ中) バクト−トリプトン ・・・・16g バクト−イーストエキストラクト・・・・10g NaCl ・・・・ 5g 残り水 (pH7) に接種し、これをシェーカー付きの恒温水槽にセットし
て、37℃で約10時間振盪培養した。培養終了後、培
養菌体を遠心分離によって培地から集菌し、これを菌濃
度が約108個/mlになるように生理食塩水に再分散
し、得られた分散液を2つに分け、以下の固定菌を用い
た場合と未固定菌を用いた場合の比較試験に用いた。 (1)固定菌の蛍光染色 上記の操作で得たJM−109株の再分散液の一方に、
等量の4%ホルムアルデヒド液(pH7.0)を加え、
よく攪拌した後、室温で30分間放置して菌を固定し
た。固定操作の終った菌を遠心分離により回収し、生理
食塩水に再分散した。この再分散の際の菌濃度は、10
7〜108個/ml程度とし、蛍光顕微鏡で観察する際に
適当である濃度とした。
【0211】染色液として、化合物1(Yは(I))を
エタノールに200μg/mlの濃度になるように溶解
し、フィルターを用いて、滅菌、除粒子を行って調製し
たものを用いた。
【0212】この染色液を先に調製した固定菌の分散液
に最終濃度が0.2μg/ml、エタノール濃度が0.
5%となるように添加し、室温で10分間静置して染色
を行い、固定菌が分散したこの状態のまま、すなわち分
散溶媒中の色素である化合物1を除く操作は行わずに蛍
光観察に供した。 (2)生菌(未固定菌)の蛍光染色 菌のホルムアルデヒドによる固定を行わない以外は上記
の(1)と同様の操作を行い、染色された生菌の分散液
を得た。この場合も、分散溶媒中の色素である化合物1
を除く操作は行わずに蛍光観察に供した。
【0213】上記(1)及び(2)の操作で得られた各
菌分散液を別々にスライドガラス上に滴下し、カバーガ
ラスを載せて、余分な液を除去した後、これを封入用の
樹脂を用いて封入した。こうして得られた標本の蛍光観
察を、落射蛍光顕微鏡(オリンパス社製 IMT−2)
を用いて行った。その結果、原核微生物である大腸菌
は、菌全体が染色されたように観察された。菌の固定、
未固定による染色性の違いは観察されず、いずれの場合
においても非常に明るい赤色の蛍光を発する蛍光像が観
察された。また、蛍光のフェード現象も観察されなかっ
た。
【0214】なお、観察後、未固定菌の染色液を培養液
に交換して培養を行ったところ、大腸菌は正常に増殖
し、これを継代培養して得られた菌体においては、再度
の染色及び蛍光観察が可能であった。
【0215】ここでも、同視野での長時間の蛍光観察か
らの発熱等による大腸菌に対する悪影響はみられなかっ
た。
【0216】比較例3 (エチジウムブロマイド(EB)による大腸菌の生菌染
色)染色対象である大腸菌は実施例15と同様に用意し
た。色素(EB)は、通常水溶液として使用されるが、
本実験では実施例15との整合をとるため、エタノール
溶液とした。色素溶液の濃度は実施例15同様に200
μg/mlとした。これを、ポアサイズ0.22μmの
フィルターを通して滅菌及び除粒子を行った。
【0217】この色素(EB)溶液を用いて実施例15
と同様に大腸菌の染色を行った。染色状態の観察は、色
素溶液添加後静置し、5分、30分、1時間、1.5時
間経過時にそれぞれ行い、以下のような結果が得られ
た。 (1)菌分散液に色素溶液を加えた状態でそのまま観察
したところ、液媒体が非常に強く発光を発し、すなわち
バックグランドが非常に強く、菌の着色状態の判定の障
害となった。 (2)観察時に菌体を液媒体から分離、洗浄し、これを
培養液や生理食塩水に再懸濁して観察したところ、固定
菌では30分間程度の静置(染色)時間で染色され、未
固定菌では1時間程度で染色されることがわかった。し
かしながら、未固定菌の場合、固定菌に比べて弱く染色
され、染色にもむらが観察された。
【0218】実施例16 (染色菌の長期保存標本の作製)染色液に最終濃度が
0.05%程度となるように防腐剤としてのアジ化ナト
リウムを添加する以外は、実施例15の(1)と同様に
して固定菌の蛍光染色を行った後その染色状態を観察し
たところ、実施例15と同様に菌体全体が明瞭に蛍光を
発しているのが観察された。
【0219】このサンプルを容器内に密封した標本を多
数用意し、それぞれアルミ箔で包んで遮光してから、−
20℃、4℃、室温下で保存した。3カ月経過後標本の
蛍光観察を再度行った。その結果、−20℃で保存した
標本は菌の分散媒体が水系のため凍結によって菌の形態
の部分的破壊が起ったが、他の保存温度での標本は良好
な保存状態を保っていた。また、蛍光も充分に発せら
れ、染色状態も良好であった。
【0220】実施例17 (組織切片の染色)常法により作製したマウス肝臓のス
ライドガラス貼付パラフィン薄切切片を、以下のように
して、化合物1により染色した。ただし、蛍光による観
察を行うので、スライドガラス及び各種溶媒、溶液は無
蛍光のものを使用した。
【0221】まず、2−メチル−4,6−ビス−(4−
N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム アイオ
ダイド(化合物1)の適当量をエタノールに溶解し、生
理食塩水でこれを希釈して最終色素濃度が1μg/m
l、エタノール濃度0.5%となるように調整した。こ
の色素溶液を、ポアサイズ0.22μmのフィルターに
通して、除菌、除粒子し、染色液とした。
【0222】標本は水系の染色液の浸透性をよくするた
めに、パラフィン切片のパラフィン分を除去して使用し
た。つまり、標本をキシロール溶液に3〜5分間浸し、
パラフィンを溶解し、脱パラフィンを行った。キシロー
ル溶液を交換して、再度、脱パラフィンを行った後、純
エタノールに浸して、キシロールを除いた。エタノール
を新しいものと交換して、キシロールを完全に除いた
後、70%エタノール溶液に浸した。さらに、水洗を行
い、脱パラフィン操作を完了し、同時に標本の溶媒の環
境を水系に変更した。
【0223】次に、この脱パラフィンを終了したスライ
ドグラス標本を適当量の染色液に5分間浸して染色を行
った。染色後、スライドガラス上の切片の上に、これを
洗浄せずに薄手の蛍光観察用カバーガラスを載せ、周縁
を封入剤で封じた。このように色素を含有する溶液を洗
浄除去せずに、試料とともに封入しておくことで、標本
の着色状態を維持することができる。
【0224】蛍光観察には、倒立型落射蛍光顕微鏡(オ
リンパス社製、IMT−2)を使用した。透過位相差像
により視野を設定し、組織標本に励起光を照射した。染
色像は核が明瞭に染色されたものであり、明るい蛍光を
発した。観察中、バックグランドはほとんど観察されな
かった。このことは、染色後の余分な色素の洗浄除去が
不要であり、また染色操作において色素濃度に気を配る
必要がほとんどなくなることを意味している。また、フ
ェード現象もなく、視野の選定、写真撮影などの操作を
励起光を照射したままで余裕をもって行うことができ
た。
【0225】なお、染色後の封入の際に、防腐剤として
最終濃度0.05%程度のアジ化ナトリウムを染色液に
加え、封入した標本は、3か月以上の保存においても蛍
光染色像に変化はなく、観察可能であった。
【0226】比較例4 (エチジウムブロマイド(EB)による組織切片染色)
色素(EB)は通常水溶液として使用するが、本実験で
は、実施例17との整合性をとるためエタノール溶液と
した。色素溶液の濃度は実施例17同様最終濃度1μg
/mlとした(最終エタノール濃度は0.5%とし
た)。これを、ポアサイズ0.22μmのフィルターを
通して、除菌、除粒子を行い、染色液とした。染色も実
施例17と同様にして行った。なお、染色液添加後、5
分、15分、1時間、1.5時間経過したものについて
染色状態を観察した。観察装置も実施例17と同じもの
を使用した。以下の結果が得られた。 (1)EBではバックグランドが非常に強いため、組織
全体が染色されたように観察され、コントラストない観
察像となった。核のみの観察は困難であった。 (2)1.5時間の染色後、蒸留水で洗浄を行い、これ
を封入した標本では、核が弱く染色されているのが観察
された。
【0227】実施例18 (染色体の染色) (1)染色体標本の作製 健康な成人より採血した5mlの抹消血液を無菌スピッ
ツに立てて3時間以上室温で放置し、血球を分離した。
RPMI1640培地5mlに0.5mlのウシ血清と
0.5mlのPHAM(以上いずれもGIBCO社製)
を加えたものを培養皿に用意し、スピッツ上部の血漿と
白血球層0.5mlを入れて、37℃の炭酸ガス恒温器
内にて3日間培養した。次に、培養液にコルセミドを最
終濃度0.2〜0.5μg/mlになるように加え、さ
らに2〜3時間放置した。培養を停止し、1000rp
mで5分間遠沈して細胞を集め、それに3mlの0.0
75MのKCl溶液を加え軽く攪拌後、7分間放置し
た。遠沈により細胞を集め上清を除いた後カルノア固定
液(純メタノール:氷酢酸=3:1)を加えて1時間放
置して固定した。固定液を2〜3回交換し、最後に少量
の固定液の中に細胞を浮遊させた。この溶液中に2−メ
チル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフ
ェニル)チオピリリウム アイオダイド(化合物2)の
エタノール溶液を最終濃度500ng/ml、エタノー
ル濃度にして1%以下となるように染色液を調整し加え
た。なお、染色液は予めポアサイズ0.02μmのフィ
ルターを通して、滅菌、除粒子してある。この細胞浮遊
液に染色液を加えたものを、冷却した無蛍光スライド上
にパスツールピペットにて1〜2滴を滴下し、空気中で
自然乾燥させた。 (2)染色体の観察 上記(1)で得たスライド上の試料を封入用樹脂で封入
し、高感度CCDカメラ(浜松フォトニクス社製)を接
続させた落射蛍光顕微鏡(ニコン社製)に載せ、染色体
の蛍光パターンを分析した。染色体はきれに分染され、
そのパターンはキナクリンでの分染パターンとは異るも
のであった。この分染パターンにより染色体を分類する
ことができた。
【0228】実施例19 まず、実施例18と同様にして細胞を培養し、遠沈によ
り細胞を集めた。カルノア液による固定操作を行わず
に、集められた細胞に、2−メチル−4,6−ビス−
(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム
アイオダイド(化合物1)を最終濃度500ng/m
l、エタノール濃度にして1%以下となるように加えた
0.075MのKCl溶液(3ml)を加え、蒸気乾燥
法(「染色法のすべて」医歯薬出版株式会社、p36
6)の要領で染色体を拡散させ、特に乾燥せずに余分な
水滴をふき取った後、これにカバーガラスを載せて周縁
を封入剤で封じて、これを実施例18と同様にして観察
した。その結果、固定操作なしでも染色体はきれいに分
染され、実施例18と同様な結果が得られた。この蛍光
はその後ほとんど退色しなかった。この標本を1か月
後、再度観察したところ、作製時と同様な蛍光を再び得
ることができた。
【0229】実施例20 (in situハイブリダイゼーションによる検出) (1)DNAプローブの調製 カルボキシベンツアルデヒド及び化合物1(Y=I)か
ら、2−(4−カルボキシスチリル)−4,6−ビス−
(N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム アイ
オダイド(化合物48)(X=O、Y=I)を合成し
た。次に、この合成した化合物48の170mgを5m
lの乾燥DMFに溶解し、乾燥ピリジン50μl、DS
C(ジスクシイミジルカーボネート)128mgを加
え、暗所、室温で20時間攪拌した。反応混液にジエチ
ルエーテル150mlを加え、析出した沈澱を集めジエ
チルエーテルで洗った後乾燥した。得られた活性エステ
ル体を核酸との反応に用いた。
【0230】マウス イムノグロブリンk(カッパ)鎖
のmRNAの塩基配列の一部に相補的な以下に示す塩基
配列を有し、5’末端にアミノリンカーを結合した30
量体オリゴヌクレオチドをABI社製381A DNA
自動合成機を用いて合成した。 5’CTCACAGGTATAGCTGTTATGTC
GTTCATA3’ CPGサポートからの切り出し、脱保護、高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)による精製は定法により行
った。
【0231】次に、上記オリゴヌクレオチド200μ
g、1Mリン酸ナトリウム緩衝液100μl、水500
μlを混合溶解した後、あらかじめ400μlのDMF
に溶解した上記活性エステル体2mgを攪拌下ゆっくり
と添加した。40℃で24時間反応させた後、ファルマ
シア社製ゲル濾過カラムNAP−50で粗精製し、さら
にHPLCで精製した。約150μgの本発明の化合物
を標識した以下の構造のDNAプローブを得た。
【0232】
【化67】 (2)in situハイブリダイゼーション マウス ミエローマ細胞 P3 X 63 Ag8U.
1をDMEM培地に懸濁後、2.5×105個/mlと
なるようにディッシュに蒔いた。37℃で36時間培養
した後、(1)で調製したプローブを10nMの濃度で
含むDMEM培地に交換して、引き続き1時間培養し
た。次に、プローブを含まない培地に交換して30分間
培養する操作を2回繰り返した後、蛍光顕微鏡観察を行
った。蛍光顕微鏡観察はプローブの吸収波長、蛍光波長
に適合したフィルターを用いて行ない、超高感度のCC
Dカメラで検出した。その結果細胞質に蛍光が観察され
た。
【0233】一方、比較として上記細胞内の核酸に対し
てホモロジーの低い塩基配列を有するヌクレオチドでプ
ローブを合成して同様の観察を行った結果蛍光は観察さ
れなかった。
【0234】実施例21 大腸菌(Escherichia coli)の16S
ribosomalRNA(以下16SrRNAと略
記)をターゲットとしたPCRを行い、その増幅産物を
化合物1を用いて検出した。
【0235】まず、E.coli JM109株の全D
NAを以下のようにして調製した。2×YT培地で終夜
培養した菌体2mlを遠心分離により集菌し、0.1M
リン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)0.5mlに懸
濁した。この懸濁液に10%SDS溶液0.05mlを
加え、十分に混合の後、70℃で1時間保温した。この
懸濁液をボルテックスミキサーで攪拌し、菌体を十分に
完全に溶菌した。この溶菌液に等量のフェノール/クロ
ロホルムを加え、混合、遠心分離の後、上層を分取し、
2倍量のエタノールを加えDNAを沈澱物として回収し
た。これを100μlのTE緩衝液(pH8.0)に溶
解し、PCRの鋳型DNAとした。PCR用プライマー
としては以下に示す2本のプライマーを用いた。 プライマー1 5’AGAGTTTGATCCTGGC
TCAG3’ プライマー2 5’AACCCAACATCTCACG
ACAC3’ これらのプライマーは、ABI社製のDNA synt
hesizer 381Aを用いて合成した。合成に必
要な試薬、手法などはABI社のプロトコルに拠った。
【0236】PCRの反応条件を以下に示す。
【0237】反応溶液組成(容量30μl) 3μl 10×buffer/1μl dNTPs/プ
ライマー1および2それぞれ10pmols/Taq
DNA polymer 0.5units/鋳型DN
A 100pg、10pg、1pg、100fg、10
fg(これに滅菌水を加え全容量を30μlとした。) ここで、Taq DNA polymeraseは宝酒
造(株)より購入した。また、10×buffer、d
NTPsは酵素に添付のものをそのまま使用した。反応
サイクルは以下のとおりである。 反応サイクル 92℃ 5分間のプレインキュベーション 92℃ 45秒/60℃ 60秒/72℃ 90秒を3
0サイクル 最後に72℃ 5分間のインキュベーション ここで、PCR装置は、MJ Research,in
c.のModel PTC−100−96を用い、反応
容器として96ウエル・マイクロタイタープレート(B
ecton−Dickinson社製 Falconア
セイプレート3911(U底))を使用した。
【0238】上記、反応条件でPCRを行い、増幅産物
の検出に供した。検出は以下のように行った。反応が終
了した各ウエルに5μg/mlの化合物1(アセトニト
リル溶液)を1μl加え、ピペッティングにより十分に
混合し、5分間室温に放置した。処理後のサンプルをプ
レートごと580nmの光を照射できるトランスイルミ
ネーター上に置き、蛍光の有無で増幅産物の有無を調べ
た。さらに、ウエル中の反応液より10μlを分取し、
アガロースゲル電気泳動も併せて行った。結果を表3に
示す。
【0239】
【表21】 ○:PCR増幅産物検出 ×:PCR増幅産物非検出 比較例5 (エチジウムブロマイド(EB)を用いたPCR増幅産
物の検出)16SrRNAをターゲットとしたPCRを
行い、その増幅産物をEBを用いて検出した。鋳型DN
Aは実施例21で調製したものを利用した。また、プラ
イマー、反応溶液組成、反応サイクル、鋳型DNAの量
などは実施例21と全く同じ条件とし、検出に用いる化
合物のみを変更した。
【0240】検出は以下のように行った。反応が終了し
た各ウエルに5μg/mlのEBを1μl加え、ピペッ
ティングにより十分に混合し、5分間室温に放置した。
処理後のサンプルをプレートごとトランスイルミネータ
ー(UVP,INC.MODEL TM−10)上に置
き、蛍光の有無で増幅産物の有無を調べた。さらに、ウ
エル中の反応液より10μlを分取し、アガロースゲル
電気泳動も併せて行った。結果を表4に示す。
【0241】
【表22】 ○:PCR増幅産物検出 ×:PCR増幅産物非検出 表3、4から本発明によれば従来技術に比べ2桁(10
0倍)高感度にPCR産物の検出を行うことが可能とな
ったことが判る。
【0242】
【発明の効果】本発明の着色剤の有効成分である一般式
[I]の化合物の多くは、励起波長が550nm以上と
長波長側にあり、例えばキセノンランプやタングステン
ランプで励起させることができ、有害な紫外線の使用を
回避できる。また、長波長側の励起光を利用するので、
生体由来の試料の検出におけるバックグランドの上昇を
抑えて、高感度分析が可能となる。例えば、生体由来の
試料では、紫外線により励起して蛍光を生じる物質が混
入している場合が多く、紫外線を励起光として用いる場
合には、試料をある程度まで精製する必要がある。これ
に対して、本発明の着色剤を用いれば、このような物質
による蛍光が生じないので、試料に高い精製度が要求さ
れず、例えば、粗抽出液程度のものでも直接試料として
利用でき、感度よい検出を行うことができる。
【0243】さらに、一般式[I]の化合物として近赤
外領域に吸収をもつものを選択して用いることにより、
励起用の光源として小型で安価な半導体レーザーを用い
ることが可能となり、測定コストの低減化が図れる。
【0244】また、一般式[I]の化合物のストークス
シフトが100nm以上あり、励起光と蛍光とを完全に
分離でき、S/N比の大きな高感度検出が可能であり、
測定の自動化を進める上で特に効果的である。
【0245】更に、電気泳動により展開したゲル中の核
酸及び核酸断片の検出をタングステンランプ等の光源で
十分行うことができ、人体に有害である紫外線を浴びる
ことなく感度良くDNAの検出をすることができる。そ
の際、エチジウムブロマイドよりも一桁以上検出感度が
高く、S/N比も良く、また、DNAの濃度に依存した
蛍光強度の増大が広い領域で得られ、広い濃度領域の検
出が行える。
【0246】更に、溶液系のハイブリダイゼーション反
応において、プローブと標的核酸のハイブリッド体の検
出に本発明の染色剤を用いると、一般式[I]の化合物
が核酸塩基対のインターカレーターとして機能して、二
本鎖核酸にインターカレートすると二本酸核酸との相互
作用により蛍光強度が遊離の状態に比べて例えば化合物
1では最大400倍増大するのでB/F分離を行うこと
なくハイブリッド体の検出を行うことができ、PCRの
増幅産物の検出等が非常に簡便にできる。またハイブリ
ッド体を安定化できるので安定した分析が可能となる。
【0247】更に、生物試料染色用色素として、本発明
に係る一般式[I]の化合物を用いると、従来法に比べ
て、固定、洗浄操作が省略または大幅に簡略化された生
物試料の大量処理に好適な蛍光染色法を提供することが
可能となった。さらに、本発明では、生物試料の固定操
作を省略できるので、生きた状態やより自然な形態での
蛍光観察が可能となり、また同一試料の培養における経
時的な蛍光観察も可能となった。更に、蛍光染色による
長期保存標本の作製が達成された。また、染色体の分染
においては、これまでの色素と分染パターンが異る蛍光
色素による分染方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3における吸収ピークの移動を示す図で
あり、AはDNAの非存在下での吸収スペクトルを、B
はDNAの存在下(50μg/ml)での吸収スペクト
ルを示す。
【図2】実施例3で得られた蛍光スペクトルを示す図で
あり、AはDNA非存在下、BはDNAの存在下(50
μg/ml)における蛍光スペクトルを示す。
【図3】実施例3及び比較例1で得られたDNA濃度に
対する蛍光強度の変化を示すグラフである。
【図4】実施例3及び比較例1で得られたDNA濃度に
対する蛍光強度の変化を示すグラフである。
【図5】実施例8における吸収ピークの移動を示す図で
あり、AはDNAの非存在下での吸収スペクトルを、B
はDNAの存在下(50μg/ml)での吸収スペクト
ルを示す。
【図6】実施例8で得られた蛍光スペクトルを示す図で
あり、AはDNA非存在下、BはDNAの存在下(50
μg/ml)における蛍光スペクトルを示す。
【図7】実施例9における吸収ピークの移動を示す図で
あり、AはDNAの非存在下での吸収スペクトルを、B
はDNAの存在下(50μg/ml)での吸収スペクト
ルを示す。
【図8】実施例9で得られた蛍光スペクトルを示す図で
あり、AはDNA非存在下、BはDNAの存在下(50
μg/ml)における蛍光スペクトルを示す。
【図9】実施例10における吸収ピークの移動を示す図
であり、AはDNAの非存在下での吸収スペクトルを、
BはDNAの存在下(50μg/ml)での吸収スペク
トルを示す。
【図10】実施例10で得られた蛍光スペクトルを示す
図であり、AはDNAの非存在下、BはDNAの存在下
(10μg/ml)、CはDNA存在下(5μg/m
l)における蛍光スペクトルを示す。
【図11】実施例10で得られたDNA濃度に対する蛍
光強度の変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07D 335/02 C07D 335/02 345/00 345/00 (31)優先権主張番号 特願平5−266866 (32)優先日 平成5年10月26日(1993.10.26) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 富田 佳紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 宮崎 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−133460(JP,A) CYTOMETRY,VOL.5,N O.4,(1984),p.339−347,2001 年9月15日 BER.BUNSENGES.PHY S.CHEM.,VOL.96.NO. 7,(1992),p.8,2001年9月15日 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/50 C09B 57/00 C12Q 1/68 G01N 33/48 C07D 309/34 C07D 335/02 C07D 345/00

Claims (45)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本鎖核酸を検出する方法であって、 下記一般式[I]で示されるピリリウム化合物を2本鎖
    核酸を含む生物試料と混合し、該ピリリウム化合物をイ
    ンターカレーターとして該2本鎖核酸に取り込ませる工
    程; 該ピリリウム化合物がインターカレーターとして取り込
    まれた該2本鎖核酸に、該2本鎖核酸に取り込まれた状
    態の該ピリリウム化合物が十分な吸収を示し、 かつ十分励起可能な波長の光を含む 光を照射して該2本
    鎖核酸に取り込まれた該ピリリウム化合物を励起させる
    工程;及び該2本鎖核酸中にインターカレートし、かつ
    前記光の照射で励起された状態にあるピリリウム化合物
    から発せられる蛍光を検出する工程; を有することを特徴とする2本鎖核酸の検出方法。 【化1】 (上記一般式[I]において、 【化2】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
    り、ピリリウム環もしくはピリリウム類似環を示し、 R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原
    子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ
    基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換
    もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換ア
    リール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基また
    は置換もしくは未置換シクロアルキル基を示し、 R3は、−Aまたは−L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2
    3が結合していない炭素原子に結合している水素原子
    は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
    ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
    アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
    くは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級ア
    ルアルキル基で置換されていても良く、 Y-はアニオンを示す。)
  2. 【請求項2】 R1、R2及びR3から選ばれる2つの置
    換基が、置換もしくは未置換のアリール基である請求項
    1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  3. 【請求項3】 該一般式[I]においてXを含む複素環
    が6員環である請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方
    法。
  4. 【請求項4】 該6員環において2位と4位が置換もし
    くは未置換のアリール基で置換され、3位、5位及び6
    位のいずれかがR3で置換されている請求項3の2本鎖
    核酸の検出方法。
  5. 【請求項5】 該6員環において3位と5位が置換もし
    くは未置換のアリール基で置換され、2位、4位及6位
    のいずれかがR3で置換されている請求項3の2本鎖核
    酸の検出方法。
  6. 【請求項6】 該6員環において2位と6位が置換もし
    くは未置換のアリール基で置換され、3位、4位及び5
    位のいずれかがR3で置換されている請求項3の2本鎖
    核酸の検出方法。
  7. 【請求項7】 −L−が、下記一般式[II]、[II
    I]、[IV]、[V]または[VI]で表わされる基
    である請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。 【化3】 (上記一般式[II]中、Zは水素原子または置換もし
    くは未置換低級アルキル基を表し、nは0、1または2
    である。) 【化4】 (上記一般式[III]中、nは0、1または2であ
    り、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェ
    ニレン基を表わす。) 【化5】 (上記一般式[IV]中、Φは置換もしくは未置換o
    −、m−またはp−フェニレン基を表わす。) 【化6】 【化7】
  8. 【請求項8】 該ピリリウム化合物が下記式で示される
    構造を有する請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。 【化8】 (上記式中XはO、S、Se又はTeであって、R1
    2及びR3から選ばれる2つの置換基は置換もしくは未
    置換のアリール基であり、残りの置換基は、水素原子、
    ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル
    基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シア
    ノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、または置換も
    しくは未置換のシクロアルキル基、または−Aまたは−
    L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Y-はアニオンを示す。)
  9. 【請求項9】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有す
    る請求項8の2本鎖核酸の検出方法。 【化9】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  10. 【請求項10】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有
    する請求項8の2本鎖核酸の検出方法。 【化10】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  11. 【請求項11】 該生物試料がアガロースゲル電気泳動
    またはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離さ
    れた2本鎖核酸または2本鎖核酸断片である請求項1に
    記載の2本鎖核酸の検出方法。
  12. 【請求項12】 該生物試料がプローブと標的核酸が相
    補的に結合したハイブリッド体を含む請求項1に記載の
    2本鎖核酸の検出方法。
  13. 【請求項13】 該生物試料がポリメラーゼチェイン反
    応(PCR)によって増幅された2本鎖核酸を含む請求
    項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  14. 【請求項14】 該生物試料が微生物、生物組織、生物
    組織断片、ヒト細胞、動物細胞または染色体である請求
    項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  15. 【請求項15】 該ピリリウム化合物が生理食塩水に溶
    解されている請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  16. 【請求項16】 該生物試料が固定されていない請求項
    1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  17. 【請求項17】 該固定されていない生物試料が、生き
    ている状態の微生物、生きている状態のヒト細胞または
    生きている状態の動物細胞である請求項16に記載の2
    本鎖核酸の検出方法。
  18. 【請求項18】 該ピリリウム化合物が培養液に加えら
    れている請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  19. 【請求項19】 前記ピリリウム化合物が下記式: 【化94】 (上記各式において、YはCIO4またはIを示し、X
    はSまたはOを示す。)で表わされる化合物の少なくと
    も1つである請求項1に記載の2本鎖核酸の検出方法。
  20. 【請求項20】 試料中の、所定の塩基配列を有する1
    本鎖標的核酸の検出に用いるプローブであって、該塩基
    配列に対して相補的な塩基配列を有する核酸と、該核酸
    共有結合する下記一般式[I]で示されるピリリウム
    化合物とを有することを特徴とするプローブ。 【化68】 (上記一般式[I]において、 【化69】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
    り、ピリリウム環もしくはピリリウム類似環を示し、 R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原
    子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ
    基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換
    もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換ア
    リール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基また
    は置換もしくは未置換シクロアルキル基を示し、 R3は、−Aまたは−L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2
    3が結合していない炭素原子に結合している水素原子
    は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
    ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
    アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
    くは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級ア
    ルアルキル基で置換されていても良く、 Y-はアニオンを示す。)
  21. 【請求項21】 該ピリリウム化合物が下記一般式で示
    される構造を有する請求項20に記載のプローブ。 【化70】 (上記式中XはO、S、Se又はTeであって、R1
    2及びR3から選ばれる2つの置換基は置換もしくは未
    置換のアリール基であり、残りの置換基は、水素原子、
    ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル
    基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シア
    ノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、または置換も
    しくは未置換のシクロアルキル基、または−Aまたは−
    L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Y-はアニオンを示す。)
  22. 【請求項22】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有
    する請求項21に記載のプローブ。 【化71】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  23. 【請求項23】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有
    する請求項21に記載のプローブ。 【化72】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  24. 【請求項24】 生物試料中の、所定の塩基配列を有す
    る1本鎖標的核酸を検出する方法であって、 該塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する1本鎖核
    酸と、下記一般式[I]で示される、該1本鎖核酸に結
    合しているピリリウム化合物とを有するプローブを用意
    する工程; 該プローブと該1本鎖標的核酸を含む試料とを混合し、
    該プローブと該1本鎖標的核酸を結合させて、該ピリリ
    ウム化合物がインターカレーターとして取り込まれた2
    本鎖ハイブリッドを形成する工程;及び該ピリリウム化
    合物がインターカレーターとして取り込まれた該2本鎖
    ハイブリッドに、該2本鎖ハイブリッドに取り込まれた
    状態の該ピリリウム化合物が十分な吸収を示し、かつ十
    分励起可能な波長の光を含む光を照射して該2本鎖ハイ
    ブリッドに取り込まれた該ピリリウム化合物を励起させ
    る工程;及び該2本鎖ハイブリッド中にインターカレー
    トし、かつ前記光の照射で励起された状態にあるピリリ
    ウム化合物から発せられる蛍光を検出する工程; を有することを特徴とする1本鎖標的核酸の検出方法。 【化73】 (上記一般式[I]において、 【化74】 は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeであ
    り、ピリリウム環もしくはピリリウム類似環を示し、 R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原
    子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ
    基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換
    もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換ア
    リール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基また
    は置換もしくは未置換シクロアルキル基を示し、 R3は、−Aまたは−L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2
    3が結合していない炭素原子に結合している水素原子
    は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリ
    ル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シ
    アノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もし
    くは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級ア
    ルアルキル基で置換されていても良く、 Y-はアニオンを示す。)
  25. 【請求項25】 該ピリリウム化合物が下記一般式で示
    される構造を有する請求項24に記載の1本鎖標的核酸
    の検出方法。 【化75】 (上記式中XはO、S、Se又はTeであって、R1
    2及びR3から選ばれる2つの置換基は置換もしくは未
    置換のアリール基であり、残りの置換基は、水素原子、
    ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル
    基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シア
    ノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、または置換も
    しくは未置換のシクロアルキル基、または−Aまたは−
    L−Aであり、 Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6
    であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=C
    H)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される
    2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または
    −CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)
    を表わし、 Aは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R
    5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未
    置換シクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環
    を示す)を表わし、 Y-はアニオンを示す。)
  26. 【請求項26】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有
    する請求項25に記載の1本鎖標的核酸の検出方法。 【化76】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  27. 【請求項27】 該ピリリウム化合物が下記の構造を有
    する請求項25に記載の1本鎖標的核酸の検出方法。 【化77】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  28. 【請求項28】 該試料が微生物、生物組織、生物組織
    断片、ヒト細胞、動物細胞または染色体である請求項2
    4に記載の1本鎖標的核酸の検出方法。
  29. 【請求項29】 該試料が固定されていない生物試料で
    ある請求項24に記載の1本鎖標的核酸の検出方法。
  30. 【請求項30】 該生物試料が生きた状態にある請求項
    29に記載の1本鎖標的核酸の検出方法。
  31. 【請求項31】 該生きた状態にある生物試料が、生き
    た状態にある生物、生きた状態にある細胞、または生き
    た状態にあるバクテリアである請求項30に記載の1本
    鎖標的核酸の検出方法。
  32. 【請求項32】 前記ピリリウム化合物が下記式: 【化95】 (上記各式において、YはCIO4またはIを示し、X
    はSまたはOを示す。)で表わされる化合物の少なくと
    も1つである請求項24に記載の1本鎖標的核酸の検出
    方法。
  33. 【請求項33】 下記式で表される構造を有することを
    特徴とするピリリウム化合物。 【化78】 (上記式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオンを
    表す。)
  34. 【請求項34】 下記式で表される構造を有することを
    特徴とするピリリウム化合物。 【化79】 (上記式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオンを
    表す。)
  35. 【請求項35】 下記の構造を有するピリリウム化合物
    がインターカレーターとして取り込まれていることを特
    徴とする2本鎖核酸。 【化82】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  36. 【請求項36】 下記の構造を有するピリリウム化合物
    がインターカレーターとして取り込まれていることを特
    徴とする2本鎖核酸。 【化83】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  37. 【請求項37】 該核酸が生物試料に含まれている請求
    項35または36に記載の2本鎖核酸。
  38. 【請求項38】 該生物試料が微生物、生物組織、生物
    組織断片、ヒト細胞、動物細胞または染色体である請求
    37に記載の2本鎖核酸。
  39. 【請求項39】 該生物試料が固定されていない請求項
    37に記載の2本鎖核酸。
  40. 【請求項40】 該固定されていない生物試料が、生き
    ている状態にある微生物、生きている状態にあるヒト細
    胞または生きている状態にある動物細胞である請求項3
    に記載の2本鎖核酸。
  41. 【請求項41】 2本鎖核酸を含む生物試料であって、
    該2本核酸が下記構造式で示されるピリリウム化合物を
    インターカレーターとして取り込んでいることを特徴と
    する生物試料。 【化86】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  42. 【請求項42】 2本鎖核酸を含む生物試料であって、
    該2本核酸が下記構造式で示されるピリリウム化合物を
    インターカレーターとして取り込んでいることを特徴と
    する生物試料。 【化87】 (上記一般式中、XはOまたはSを表し、Y-はアニオ
    ンを表す。)
  43. 【請求項43】 該生物試料が微生物、生物組織、生物
    組織断片、ヒト細胞、動物細胞または染色体である請求
    41または42に記載の生物試料。
  44. 【請求項44】 該生物試料が固定されていない請求項
    41または42に記載の生物試料。
  45. 【請求項45】 該固定されていない生物試料が、生き
    ている状態にある微生物、生きている状態にあるヒト細
    胞または生きている状態にある動物細胞である請求項4
    に記載の生物試料。
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