JP3683913B2 - Pcrによる核酸定量方法、pcrによる微生物または細胞の数、特定遺伝子数及び特定遺伝子コピー数の計測法、ならびにこれらの方法に用いる測定用キット - Google Patents

Pcrによる核酸定量方法、pcrによる微生物または細胞の数、特定遺伝子数及び特定遺伝子コピー数の計測法、ならびにこれらの方法に用いる測定用キット Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、PCR増幅産物の検出を、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物で行う核酸の定量方法、微生物または細胞の数、特定遺伝子数及び特定遺伝子コピー数の計測法、ならびにこれら方法に用いる測定用キットに関する。この計測法は各種溶液中や土壌中の計測対象菌の菌数の測定等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
PCR法は、2種のプライマーによって規定された特定配列を鋳型(テンプレート)として、酵素的にこの特定配列を増幅する方法であり、核酸の検出にも利用されるようになってきている。すなわち、検出対象としての標的核酸中の特定配列を選定し、この特定配列の増幅に必要なプライマーを用意し、標的核酸を鋳型としてPCRを行い、増幅された特定配列を検出することで、標的核酸の検出が可能となる。このようにPCRを用いた核酸の検出方法では、検出対象の特徴的部分である特定配列が増幅されて検出され、しかもその増幅率も大きいので、試料中における標的核酸の量が微量であっても、その検出が可能となる。例えば、数時間の反応で100万倍程度の増幅率を得ることも可能であり、PCR法を用いることで1分子の核酸が存在すればこの核酸の検出が可能となる場合もある。この増幅反応は鋳型核酸と2種のプライマーとの間に相補的配列がある場合のみ進行し、相補的配列がない場合には増幅産物は得られない。
【0003】
PCR法を用いることで核酸の検出感度は飛躍的に向上し、最近ではハイブリダイゼーション法を用いる核酸検出法に代わって種々の分野での核酸の検出に利用されるに至っている。特に、ウイルス、細菌等による感染症の臨床検査などの分野における病原体の同定、あるいは遺伝子疾患における遺伝子の解析、癌等の診断における遺伝子マーカーの検出などに広く利用されるようになってきている。
【0004】
PCR法の他の応用としては、MPN(Most Probable Number)法(H.O.Halvorson and N.R.Ziegler,J.Bacteriol.,25,101(1933))との組合せによる特定菌の菌数の計測が挙げられる。MPN法は、最確値法あるいは希釈頻度法とも呼ばれ、数段階の試料希釈液を培地中に入れた多数の試験管に一定量ずつ接種して、充分な期間培養した後に菌の生育の有無を判定して、統計処理により菌数を計測する方法である(「土壌微生物実験法」、養賢堂、第45頁)。この方法は、多くの手間と実験器具を必要とし、特に土壌微生物のような菌では、培養時間も長いという問題を有するものであった。さらに、このMPN法では、用いた培地で増殖する全ての菌についての総菌数が計測されるので、試料中に複数の菌が混在する場合における特定菌の菌数測定は不可能である。そこで培養を行わず微生物を検出する手段として検出にDNAを用いDNAレベルで増やすという試みがなされている。その手段としてMPN法にPCR法を組み合わせた方法が考えられている。このPCR法をMPN法に組み合わせた方法は、測定対象菌を含む試料からDNAを抽出して、この試料を数段階に希釈調製した後、これに測定対象菌に特有な核酸配列を増幅するための2種のプライマーを用いたPCRを行い、得られた増幅産物を検出して、その量から測定対象菌の数を求める方法である。
【0005】
すなわち、PCR法ではピコグラム量のDNA材料からマイクログラム量の目的DNAが短時間で得られる。そのため、PCR法を用いてクローン化DNA、ゲノムDNAをin vivoで迅速に大量増幅することが可能になり、PCRのクローニングや各種検出への応用がなされている。PCR法は、目的とする2本鎖DNAを熱変性して、1本鎖とした後、鋳型となる各1本鎖にプライマーをアニーリングし、プライマーの結合位置を起点としてDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を合成する。従って、原理的には、鋳型DNAは1本存在すれば良いことになる。鋳型DNAとしてゲノムDNAを扱う場合について述べると、1本の鋳型DNAでもその長さは、被検出対象の生体の種類によって大きく異る。例えば、ヒトのゲノムDNAは大腸菌の103倍もの長さを有する。つまり、同じピコグラム量のゲノムDNAとはいっても、その中に含まれるDNAの本数は生物種によって桁が異るといえる。
【0006】
そこで、このような量的な問題を、DNAの数の問題として捕らえて検出する方法が、MPN−PCR法である。この方法は、鋳型DNAを段階的に希釈し、最終的にそれぞれの反応系の中に1本存在するか否かまで希釈した後、PCRで増幅して、これを検出し、その結果から、確立的に鋳型DNAの試料中での個数を求める方法である。従って、このMPN−PCR法は、菌数測定のためのMPN法の原理を利用したもので、MPN法における菌を鋳型DNAに、または菌の増殖をPCRに置き換えたものであるといえる。すなわち、MPN法では、菌を含むサンプル溶液を段階的に、菌が1個が存在するか否かまで希釈した後、培養によってこれを増殖させて検出し、得られた結果から、確立的にサンプル溶液中の菌数を求めるものであるが、このプロセスにおける菌を鋳型DNAに、また培養をPCRに置き換えたのが、MPN−PCR法である。従って、MPN−PCR法で問題とされるのは、鋳型DNAの量ではなく、分子数(個数)である。
【0007】
従来におけるMPN−PCR法の具体的操作の一例について以下に述べる。まず、微生物を含む試料から抽出された試料DNAを、10倍ずつ段階的に希釈した希釈液(例えば、希釈率1、10-1、10-2・・・10-9)を用意する。なお、希釈率10-nとは、試料濃度が1/10nに希釈されることをいう。各希釈液について(計10個)のそれぞれについてPCRを行い、検出対象としての鋳型DNAの増幅を行う。PCR終了後、各反応液をアガロースゲル電気泳動にかけ、増幅産物を、バンドの有無として検出する。この時、ある希釈倍率を境に増幅産物のバンドがみられなくなる。例えば、10ー5希釈を行ったサンプルまでは増幅産物がみられた場合には、この希釈率と、その前後の希釈率のサンプル、すなわち10-4、10-5、10-6の希釈率の希釈液の各々の5サンプルずつ(計15サンプル)について再度PCRを行い、再度アガロースゲル電気泳動で増幅産物の有無を調べる。その結果を、各希釈率での5サンプル中の増幅産物が認められたサンプル数を、後で掲載するMPN表(J.Bacteriol.,25,101(1933)の第400頁)に当てはめて、予め確立的に求められている個数を求める。例えば、、10-4希釈では5サンプル中全てのサンプルが陽性(増幅産物が検出)、10-5希釈では5サンプル中3つが陽性、10-6希釈では5サンプル中1つが陽性の場合、MPN表のP1、P2、P3が、それぞれ5、3、1である場合の数値(1.1)が求められる。この数値に最初のPCRで増幅産物が認められた希釈率の限界である10ー5の逆数を乗じた値が、試料DNA中の鋳型DNAの個数(1.1×105)となる。
【0008】
標的とされた鋳型DNAが、微生物等の個体1つあたり1個存在するものであれば、このMPN−PCR法で得られた鋳型DNAの個数が試料DNAの調製に用いた試料中に含まれる微生物等の個体数となる。ゲノム遺伝子等を標的遺伝子として用いる場合には、遺伝子によっては数コピー存在する場合もある。1コピーの場合には、上述のようにDNA数はそのまま個体数となるが、複数のコピーが存在する場合には、個体数との相関を求めておく必要がある。さらに、DNAの抽出効率も関係するので、正確な値を得たい場合には、検量線を作成することが望ましい。この方法は、癌細胞のように細胞中のある特定遺伝子のみが増幅されて多コピー存在する場合の定量にもこの方法は利用できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
PCR法によって得られた増幅産物の検出は、例えば、PCR反応混合物をゲル電気泳動で展開し、増幅産物と、鋳型核酸やプライマー等の非検出対象成分とを分離した状態で、蛍光染色によって増幅産物のバンドをその分子量などから判断して特定してから、そのバンドの蛍光強度を測定することにより行われてきた。
【0010】
しかしながら、PCR法を用いた核酸の検出においては、反応溶液中に鋳型核酸と大過剰なプライマー等が含まれており、増幅対象の核酸配列の種類によっては、非検出対象成分と増幅産物とのゲル電気泳動による分離操作が困難な場合も多い。また、検体数が多くなると、煩雑なゲル電気泳動を行うことが多大な労力と時間の浪費を伴うことになり、効率良い検出操作を行う上での障害となっていた。特に臨床等における遺伝子解析においては、多くの検体をより短時間で効率良く処理できることが要求され、従来の方法ではこのような要求には充分対応できるものではなかった。
【0011】
一方、PCR法のMPN法への応用においては、より正確な菌数の推定を行うために、まず通常10段階希釈での実験を行い、その中から増幅産物の認められる希釈を含む3段階の希釈系列で再実験を行う方法が採用されている。更に、この方法は確率論に基づいて菌数を求める方法であるので、確率的な菌数の決定に必要なサンプル数が要求されるので、MPNの表から菌数を求めるには各希釈液に対して、最低5〜10サンプルの反応が行われるのが普通である。その結果、この方法においては、1検体について少なくとも25程度のサンプルをPCRにかけてからゲル電気泳動で評価するという多大な労力が必要とされる煩雑な作業が要求され、しかも結果を得るために長い時間が必要となる。
【0012】
以上のように、PCR法を利用した核酸の検出や菌数測定においては、PCRによる増幅反応後の増幅産物の検出や定量に煩雑かつ時間の要する作業が必要になる場合が多く、多検体の効率良い処理を行う上での障害となっていた。従って、PCRを利用した検出あるいは定量法においては、簡便かつ正確にPCR増幅産物を検出できる方法の確立が強く望まれていた。
【0013】
PCR増幅産物の検出において最も煩雑な作業は、大過剰に反応溶液中に添加されるプライマーと増幅産物とのゲル電気泳動による分離作業である。この分離作業を省略するための方法として種々の方法が検討されている。例えば、二本鎖核酸と反応したときに蛍光増大がみられる化合物、いわゆる蛍光性インターカレーターを用いた方法が注目されている。この蛍光性インターカレーターを用いた方法は、PCRで増幅された2本鎖核酸に蛍光性インターカレーターを反応させて、その際に生じる蛍光強度の増大を測定し、増幅産物を検出する方法である。この方法では、理論的には、インターカレーターがプライマー(1本鎖)と反応しても蛍光増大を生じないので、増幅産物とプライマーとの煩雑な分離操作を省略できるという利点がある。
【0014】
例えば、特開平5−237000号公報には、蛍光性インターカレーターとして知られているエチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、ビスベンチイミド、ジアミノフェニルインドール、アクチノマイシン、チアゾールレンジ、クロモマイシン、及びこれらの誘導体等の色素をPCR増幅産物の検出に用いる方法が開示されている。これらの色素の中では、遊離時(2本鎖核酸と反応していない状態)に対する2本鎖核酸との反応時での蛍光増大が、紫外線励起で50倍程度、可視光励起で20倍程度と比較的大きいエチジウムブロマイドを好ましいものとして挙げることができる。
【0015】
しかしながら、この特開平5−237000号公報に挙げられた各色素は、遊離時においても蛍光を発するもので、測定される蛍光強度には、2本鎖核酸と未反応の色素による蛍光強度も含まれており、2本鎖核酸と色素との反応に由来する蛍光強度そのものではない。従って、測定値から未反応の色素に由来する蛍光強度をブランクとして差し引く必要がある。すなわち、この方法では蛍光強度の測定結果から単純に増幅産物の有無やその量を判定することはできず、ブランク値を差し引くという操作が必要となる。しかも、増幅産物の生成量が微量であると、ブランク値との十分な差が生じない場合もあり、高感度での検出ができない場合もある。
【0016】
YOYO−1(Nucleic Acids Research,20(11),2803〜2812(1992)は、遊離時は無蛍光で、二本鎖核酸に挿入された時に蛍光増大(3000倍程度)を起すものでこれを利用できれば上記の測定におけるブランクが高いという問題を解消できるが、この色素は室温で分解し易く、実用的とはいえない。なお、後述するように、この色素によるPCR増幅産物の検出では、プライマー間の反応によって生じる高次構造物も検出されてしまい、正確な定量ができないという欠点がある。
【0017】
このような観点から、上記の特開平5−237000号公報では、検出対象としての標的核酸のPCR反応前の初期濃度を定量するためには、ブランク値に対して十分な蛍光強度が得られるサイクル数での増幅が行われている。すなわち、標的核酸の初期濃度が低い場合にはサイクル数が大きくなり、また標的核酸の初期濃度が高い場合にはサイクル数が小さくなる。そこで、該特許公開公報における標的核酸の定量法では、PCR反応中における蛍光強度の変化をモニターし、蛍光強度が急激に変化する時点におけるサイクル数から標的核酸の初期濃度を求めている。
【0018】
しかしながら、このような定量方法は、PCR反応の各サイクルにおける蛍光強度をモニターするという煩雑な操作が必要であるという問題がある。また、蛍光強度が変化する点の判断が難しい場合もあり、感度良い標的核酸の定量を効率良く行うという点ではなお改善すべき問題を有するものといえる。
【0019】
更に、PCR増幅産物のエチジウムブロマイド等の色素による検出においては、理論上はプライマーと色素とが反応して蛍光が増大することはないので、増幅産物とプライマーが混在した状態でも増幅産物の検出が可能となるはずである。ところが、本発明の発明者らによる検討によれば、PCR中にプライマー間の反応が生じて核酸の塊(3次元的な立体構造を有する高次構造物)が生じ、これもエチジウムブロマイド等によって検出されてしまうことが判明した。従って、高次構造物に対して増幅産物の量が圧倒的に多い場合は問題はないが、そうでない場合には実際に測定される蛍光増大に占める高次構造物による蛍光増大の割合が多くなり、正確な定量を行うことが不可能となる。しかも、この量は常に一定というわけではなく、増幅産物の量が圧倒的に多い場合には少なくなるが、増幅産物の量が少ない、あるいは増幅産物が生じない場合には多量に生じる傾向があり、ブランク等との比較により簡単に補正できるものではない。
【0020】
この高次構造物の存在は、例えば、鋳型核酸を加えない系でPCR反応を行って得た反応混合物をゲル電気泳動で展開した際に、低分子量領域にエチジウムブロマイドで雲状のパターンに染色される部分が表われることから確認できる。
【0021】
この高次構造物による測定誤差の発生という問題は、PCR反応自体に起因する問題であり、しかも標的核酸の初期濃度が低い場合に、増幅サイクル数を増加させるほどより顕著になる傾向がある。
【0022】
したがって、上述した従来技術による増幅産物の定量法は、より感度よい定量を行うには今だ不充分なものであった。
【0023】
また、MPN法にPCRを組み合わせた菌数の計測方法においても、PCRを行う段階で上述のようなプライマー間の反応による高次構造物の形成は避けられず、測定誤差が大きくなることは同様である。
【0024】
本発明の目的は、PCR増幅産物の検出過程を簡便にし、かつ正確な定量が行える核酸の検出方法を提供することにある。本発明の他の目的は、簡便かつ正確なPCR増幅産物の検出方法を利用した被検出微生物または細胞の数、これらに含まれる特定遺伝子の数、あるいは特定遺伝子のコピー数の計測法を提供することにある。本発明の更なる目的はこれら方法に用いる測定用キットを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成することができる。本発明の核酸の定量方法は、標的核酸の特定配列領域の増幅に必要なプライマーの存在下で核酸試料に対してPCRを行い、該試料中に標的核酸が存在する場合に増幅される2本鎖核酸からなる増幅産物に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物を反応させて得られる蛍光の強度を測定することで前記核酸試料中の標的核酸の量を求めることを特徴とする。この核酸の定量方法に利用できるキットは、PCR用の反応領域内に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量を配置した反応器を有することを特徴とする。さらに、このキットは、前記反応領域内に標的核酸の特定配列領域のPCRの増幅に必要なプライマーの必要量が配置されていてもよいものである。また、この核酸測定用キットは、PCR用の反応領域と、該反応領域と隔離された試薬領域とを有し、該試薬領域に遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量が配置され、該試薬領域内の色素化合物が前記反応領域内に添加可能に設けられていることを特徴とするものであってもよく、この場合も、反応領域内に標的核酸の特定配列領域のPCRの増幅に必要なプライマーの必要量を更に配置した構成をとるものであっても良い。
【0026】
一方、本発明の微生物または細胞の数、特定遺伝子の数、あるいは特定遺伝子のコピー数を計測する方法は、被検出微生物または細胞を含む試料から核酸を抽出する過程と、得られた核酸抽出物の段階的希釈サンプルを調製する過程と、各希釈サンプルについて被検出微生物または細胞に特有の配列を増幅するためのPCRを行う過程と、該PCRにより得られた2本鎖核酸からなる増幅産物に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物を反応させて得られる蛍光を測定し、蛍光が得られ希釈サンプルの希釈率から、被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子の数、あるいは特定遺伝子のコピー数を求めることを特徴とする。この計測方法に利用できるキットは、多数のPCR用反応領域の各反応領域内に遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量を配置した反応器を有し、これらの反応領域を利用して被検出微生物または細胞を含む試料から抽出した核酸抽出物の段階希釈が形成可能であり、かつ各希釈において前記被検出微生物または細胞に特有の配列を増幅するためのPCRを行えるようにしたことを特徴とする。このキットの各反応領域内には被検出微生物または細胞に特有な配列のPCR増幅用のプライマーが更に配置されたものであってもよい。これらの本発明は、後述するように、MPN−PCR法にも適用できる。
【0027】
本発明で用いられる色素化合物は、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発するものである。この色素化合物による2本鎖核酸との反応とは、該色素化合物が2本鎖核酸の安定な2重らせん構造の溝部内等に特異的に挿入されて結合することであり、その状態で色素化合物は励起光の照射によって蛍光を発するようになる。従って、遊離時、すなわち単独で存在する場合には励起光が照射されても蛍光を発しない。
【0028】
この色素化合物は、プライマー間で形成される安定した2重らせん構造を形成できない短い2本鎖部分には容易に入り込むことはなく、また入り込んでも安定な2重らせん構造以外では蛍光を発しないものである。従って、この色素化合物としては、2重らせん構造の主溝、あるいは副溝に特異的に入り込んで結合し、その状態で蛍光を発するものが利用できる。このような特性を有する色素化合物を用いることで、PCR反応液に直接(すなわち増幅産物とプライマーや鋳型核酸(テンプレート)とを分離する操作を行うことなく)該色素化合物を添加するだけで増幅産物のみが正確に検出できる。なお、この色素化合物の遊離状態での蛍光は無視できる程度に低いものであっても良い。
【0029】
該色素化合物としては、例えば、DAPI(4’,6−Diamino−2−Phenylindole Dihydrochloride)、Hoechst33258(商品名)、Hoechst33342及び下記一般式[I]で表わされるピリリウム化合物塩またはピリリウム類似化合物塩等を挙げることができる。
【0030】
【化21】
Figure 0003683913
上記一般式[I]において、
【0031】
【化22】
Figure 0003683913
は、複素環を示し、XはO、S、SeまたはTeである。該複素環としては、ピリリウム環もしくはピリリウム類似環のような5員環及び6員環のものを挙げることができる。
【0032】
1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換アリール基、置換もしくは未置換低級アルアルキル基または置換もしくは未置換シクロアルキル基を示す。
【0033】
3は、−Aまたは−L−Aである。Lは、−L1−、−L2−L3−または−L4−L5−L6−であり、L1〜L6はそれぞれ独立して、−(CH=CH)−、置換もしくは未置換アリール基から誘導される2価の基、置換もしくは未置換低級アルキレン基または−CH=R4−(R4はオキソ基を有する環構造を示す)を表わす。置換もしくは未置換アリール基から誘導される2価の基としては、例えばフェニレン基等を挙げることができ、オルト、メタ、パラのいずれの位置で結合するものでもよい。低級アルキレン基としては、炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を挙げることができ、その置換基としては、例えば−L−Aで示される基を挙げることができる。オキソ基を有する環構造としては、複素環、芳香環、脂肪族環等で少なくともオキソ基を有するものを挙げることができる。
【0034】
−L−としては、下記一般式[II]、[III]、[IV]、[V]または[VI]で表わされる基を好ましいものとして挙げることができる。
【0035】
【化23】
Figure 0003683913
(上記一般式[II]中、Zは水素原子または置換もしくは未置換低級アルキル基を表し、nは0、1または2である。)なお、Zがアルキル基である場合のその置換基としては、例えば上述の−L−Aで定義される基を挙げることができる。
【0036】
【化24】
Figure 0003683913
(上記一般式[III]中、nは0、1または2であり、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェニレン基を表わす。)
【0037】
【化25】
Figure 0003683913
(上記一般式[IV]中、Φは置換もしくは未置換o−、m−またはp−フェニレン基を表わす。)
【0038】
【化26】
Figure 0003683913
【0039】
【化27】
Figure 0003683913
上記一般式中のフェニレン基の置換基としては先に例示したものを挙げることができる。
【0040】
一般式[I]のR3におけるAは、置換もしくは未置換アリール基、−CH=R5(R5は、置換もしくは未置換複素環、置換もしくは未置換のシクロアルキル基または置換もしくは未置換芳香環を示す)を表わす。R5の複素環としては、
【0041】
【化28】
Figure 0003683913
(M及びNは、それぞれ独立して酸素原子、イオウ原子または窒素原子を、Y-はアニオンを表わす)等から誘導された基を挙げることができ、その置換基としては、例えば、置換もしくは未置換アリール基などを挙げることができる。また、置換もしくは未置換シクロアルキル基とは、飽和のものでも、不飽和のものでもよく、例えば
【0042】
【化29】
Figure 0003683913
等の共鳴系を構成し得るものから誘導された基を挙げることができる。また、置換もしくは未置換芳香環としてはアズレン環を挙げることができる。これらの基の置換基としては低級アルキル基、置換もしくは未置換アリール基等を挙げることができる。
【0043】
Xを含むピリリウム環もしくはその類似環のR1、R2、R3が結合していない炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒドロシル基、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは未置換低級アルキル基、置換もしくは未置換アリール基または置換もしくは未置換低級アルアルキル基で置換されていても良い。
【0044】
-はアニオンを示し、該アニオンとしては、例えばBF4 -、過塩素酸イオン、HO3SCH2COO-、あるいは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン等のハロゲンイオン、又は、脂肪族炭化水素や芳香族スルホネート等のようなアニオン機能を有する化合物、更には、Zn、Ni、Cu、Pt、Co、Pd等の遷移金属の錯体イオンなどを挙げることができる。
【0045】
以上挙げた各種の置換基に更に置換される基がハロゲン原子の場合には、該ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等を挙げることができる。また、低級アルキル基は、直鎖状でも分岐状のものでもよく、その炭素数としては1〜4程度のものが好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基等を挙げることができる。アリール基やフェニレン基の置換基としては、例えば低級アルキル基で置換されたアミノ基(低級アルキルアミノ基)等を挙げることができる。なお、この低級アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等がパラ位で置換しているものが好ましい。低級アルアルキル基としては、上記の置換もしくは未置換アリール基で置換された低級アルキル基を挙げることができる。
【0046】
一般式[I]の化合物の中では、Xを含む複素環が、置換もしくは未置換アリール基の2以上で置換されたものが好ましい。例えばXを含む複素環が6員環の場合のそのような化合物としては、
(1)Xを含む6員環の2位と4位が置換もしくは未置換アリール基で置換され、3位、5位及び6位のいずれかがR3で置換されているもの、
(2)該6員環の3位と5位が置換もしくは未置換アリール基で置換され、2位、4位及6位のいずれかがR3で置換されているもの、
(3)該6員環の2位と6位が置換もしくは未置換アリール基で置換され、3位、4位及び5位のいずれかがR3で置換されているもの、
などを挙げることができる。このような位置に置換もしくは未置換アリール基を導入することは、核酸塩基対へのインターカレーターとして良好な性質を得る上で好ましい。更に、Xを含む複素環が、置換もしくは未置換アリール基の2以上に、これらの置換位置が隣合わないように置換されたものがより好ましい。
【0047】
一般式[I]の化合物の具体例としては、例えば後述の表1に示すものを挙げることができるが、本発明においては、後述する表2及び実施例において示した化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物が用いられる。更に、2本鎖核酸に挿入された際に発する蛍光の強度が非常に大きいことから特に好ましい化合物としては、下記一般式[VII]
【0048】
【化30】
Figure 0003683913
(上記一般式[VII]中、XはOまたはSを表わし、Y-はアニオンを表わす)で表わされる2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩、または2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルチオピリリウム塩を挙げることができる。
【0049】
本発明で用いられる色素化合物は、安定な2重らせん構造と特異的に反応して蛍光を発するものであるので、これが、先に述べたようなプライマー間の反応によって生じる高次構造物に取り込まれたとしても、この高次構造物の2本鎖部分は安定な2重らせん構造ではないので、蛍光を発することはない。
【0050】
また、一般式[I]で示された化合物は、20〜30塩基対に1つの割合で2重らせん構造に特異的に挿入されるので、上述のようなプライマー由来の高次構造物に取り込まれにくいという利点を有し、さらに増幅対象としての配列を有する2重らせん構造からなる2本鎖核酸断片に取込まれても、取込み密度がエチジウムブロマイド等よりも大幅に低く、一般式[I]の化合物の取込みによる2本鎖核酸の融解温度(Tm)の上昇は非常に少なく、PCRに与える影響が少ない。また、取込み密度が低いことから、PCR後に反応液をゲル電気泳動で展開して増幅産物の長さ等を確認する場合にも、該化合物の取込みによる2本鎖核酸の移動度への影響がほとんどなく、正確な測定が可能である。
【0051】
これに対して、従来の蛍光性インターカレーターであるエチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ及びYOYO−1は数塩基対(2〜5塩基対程度)に1つの割合で2本鎖核酸に挿入されてしまうので、これらの色素を用いた場合には、上述のようなプライマーから形成される高次構造物の2本鎖部分に取込まれて所望としない蛍光増大を生じ、また増幅対象としての2本鎖核酸に取込まれた際にも、2本鎖核酸のTmやゲル電気泳動での移動度への影響が大きい。
【0052】
本発明に利用される色素化合物の上述のような利点を有効に利用してより正確な定量を行うには、増幅産物が安定な2重らせん構造を形成していることが好ましい。従って、本発明は、例えば増幅産物長が100塩基対以上である場合に好適に利用でき、また300塩基対程度であることがより好ましい。増幅産物の上限は特に限定されないが、PCRでヌクレオチドが取り込まれる速度は、例えば72℃で反応を行った場合、1秒間に35〜100ヌクレオチドといわれている。これらは、反応のpH、塩濃度の他、標的核酸がどのような塩基配列を有するかといった反応条件に依存する。従って、PCRにおける各サイクルの反応時間を1分間とした時には、2000塩基対以下が好ましい。更に増幅産物が長すぎる場合には副産物を生じ易くなるため、1000塩基対以下がより好ましい(”PCR Protocols”、Edited by Michael A. Innis, David H.Gelfand,John J. Sninsky and Thomas J. White, 1990 by Academic Press, Inc. (San Diego, Calfornia 92101))。
【0053】
また、PCRに用いるプライマーとしては、標的核酸中の増幅対象としての特定配列領域を規定できるものが所望に応じて用いられる。その長さとしては、鋳型核酸における増幅対象としての特定配列領域の端部の特定配列を認識するのに必要な程度な長さを有することが要求されるが、不必要に長いものであってはならない。長過ぎるとプライマー間で2本鎖部分が部分的に形成される可能性が高くなるからである。これ等の点を考慮するとプライマーの長さは、30塩基程度以下、好ましくは28塩基程度以下がよい。プライマー長の下限としては、特に限定されないが、増幅対象としての特定配列領域の端部を認識できる長さとされ、例えば14塩基対以上、好ましくは18塩基以上とされる。
【0054】
本発明の核酸の定量方法では、まず、定量対象としての標的核酸に特徴的な配列領域を特定する。次に、この特定された配列領域(特定配列領域)の増幅に必要なプライマーと、鋳型として利用する標的核酸を用いてPCRを行い、得られた増幅産物に先に述べた特性を有する色素化合物を反応させて、励起光を照射した際に発生する蛍光の強度を測定する。このとき得られる蛍光強度は、各反応成分の濃度を適切な範囲に設定すれば、鋳型の初期濃度(PCR前の濃度)と比例するので、蛍光強度と鋳型の量との関係を予め検量線として設定しておき、未知試料に上述のPCR及び蛍光強度の測定を行って、未知試料中の標的核酸を定量することが可能となる。
【0055】
最適条件が既に求められた反応系では上述のような検量線を用いた定量が簡便であるが、反応条件、特に標的核酸の量、プライマーの量、反応温度等は、それぞれの反応系で異り、検量線作成のための反応条件の設定が未知の場合には、検量線が書ける条件を見つけるという煩雑な作業が必要となる。
【0056】
そのような検量線が書ける条件の設定が未だ行われていない系では、未知試料の核酸を段階的に希釈し、続いてPCR法を行い、標的核酸断片を検出する確立を得るMPN−PCR法を利用することで、標的核酸の概量を簡単につかむことができ、それによって検量線作成条件を簡単に得ることが可能となる。例えば、先に従来技術の欄で説明した具体例では、試料中の鋳型DNA数は1.1×105個であった。この時、10ー5希釈では5サンプルのうち3サンプルが陽性であったが、10ー4希釈よりも高濃度の場合には5サンプル全てが陽性になるはずである。この従来技術の欄の具体例では、一回目の実験で増幅産物の有無により鋳型DNAの希釈限界を含む濃度領域を限定し、その濃度領域についてさらに詳しくMPNの手法での検討が加えられた。これは、アガロースゲル電気泳動では、バンドの有無というON/OFFの検出しかできない、あるいはDNAのバンドを蛍光で定量するとしても煩雑な作業の割に定量性が得られないからである。これに対して、後述のMPN−PCR法を用いる本発明の方法によれば、例えばマイクロプレートのような多数の反応領域を設定できる器具を用いて、全希釈系列について増幅産物の形成を調べることが可能となる。例えば、この本発明の方法で従来技術の欄で説明した具体例のサンプルをマイクロプレート上で処理した場合、10ー5希釈では陽性のウエルと陰性のウエルが存在するが、10ー4希釈より高濃度の場合には、各希釈にけるサンプル(同一希釈率のサンプル)間で同程度に増幅が行われ、色素化合物を用いた検出において、同程度の蛍光が得られるはずである。ここで、各希釈倍率における同一希釈率の5つのサンプルにおける蛍光強度の平均値を求め、希釈倍率を横軸に、蛍光強度を縦軸にプロットすると得られた値は直線にのる。その直線の領域が長ければ長い程、PCR条件が適当であったことを意味し、逸脱が著しければ、プライマー量等の再検討が必要であることを意味する。
【0057】
ここで、蛍光強度と希釈率との間に直線的関係が得られれば、このMPN−PCR法ではすでに鋳型DNAの個数は求められているので、これを検量線として利用して蛍光強度から鋳型DNAの個数や量(個数×分子量)の定量が可能となる。
【0058】
このように本発明の方法によれば、色素化合物を反応液に添加して増幅産物と色素化合物との反応によってのみ得られる蛍光が直接測定される。すなわち、PCR後にプライマーや鋳型と増幅産物とを分離する必要もなく、更にプライマー間の反応により高次構造物が形成されても、それによる測定結果への影響を回避できる。従って、反応液に色素化合物を添加して得られる蛍光をそのまま定量値の計算に用いることができ、正確な定量が行える。なお、エチジウムブロマイドのように遊離の状態でも蛍光を発生するものでは、蛍光強度の実測値からブランクを差し引いた値をもとに定量値が求められる。しかしながら、ブランクの値は測定条件によって変化する場合が多く、各測定条件ごとに実測値に対するブランク値の相対的関係を考慮して定量操作条件を設定するという煩雑な作業が必要となる。これに対して、本発明の方法では、色素化合物が遊離の状態では無蛍光か、あるいは無視できる程度の極僅かな蛍光しか発しないものであるので、エチジウムブロマイドにおけるようにブランクを考慮する必要がなく、ブランク値を考慮した定量操作条件の設定という煩雑な作業は不用となる。また、特開平5−237000号公報におけるようなPCR過程での蛍光強度のモニターも必要ない。
【0059】
更に、本発明において、検出時にマイクロプレートを用いれば、PCR後反応容器から反応液をマイクロプレートに移してマイクロプレート用蛍光検出器で蛍光の測定を行うことで、試薬の量が少量ですみ、また測定時間が短いので便利である。なお、PCR反応そのものをマイクロプレート上で行うとより簡便な定量操作が行なえる。
【0060】
従って、例えばマイクロプレートのような反応領域としてのウエルを多数有する反応器の各反応領域内に、本発明で利用する色素化合物の必要量を予め塗布、蒸発乾燥等の方法により配置したものは、核酸定量用のキットとして利用できる。この構成は、この色素化合物が室温でも安定であるので可能となる構成である。
【0061】
また、PCR用の反応領域と隔離された試薬領域を設け、この試薬領域に本発明で利用する色素化合物を配置しておいて、PCRを行う時に、反応領域に添加できる構成としてもよい。試薬領域に色素化合物を配置する場合には、これを溶液として配置することができる。この化合物が水溶性の場合には、適当な緩衝液等に溶解させて配置し、また有機溶剤に対して溶解性を有するものである場合には、適当な溶剤に溶解させて配置することができる。
【0062】
また、この試薬領域には、PCRに必要な緩衝液、ヌクレオチド、酵素等も、この色素化合物とともに配置しても良い。これらを全て含む水溶液を調製する場合に、色素化合物が水に不溶性の場合には、この色素化合物の溶解に用いる溶剤は該水溶液に対して1%以下であることが好ましい。この試薬領域にPCR用の試薬及び色素化合物を一緒に配置する構成は、この色素化合物が増幅産物の2本鎖核酸断片に取込まれても取込み密度がエチジウムブロマイド等よりも大幅に低く、それによる融解温度(Tm)の上昇が非常に少なく、PCR反応効率に与える影響が極めて少ないことから可能となる構成である。
【0063】
このような反応器を有するキットの構成の一例を図9に示す。この反応器は、反応領域5を形成できる適当な容器1内にプライマー3を塗布等の方法で配置し、更に、適当な壁材、例えば、パラフィンをコートした紙等の液密に仕切った容器を形成できるものによって構成した容器2内にPCR用の酵素、ヌクレオチド、緩衝液等の必要量を含む溶液をパックし、これを容器1内に配置して、試薬領域としたものである(図9(A)、(B)参照)。これを用いてPCRを行うには、ピペットマン等の適当な手段で鋳型核酸の溶液を反応領域5に注入する際に、試薬領域を構成する容器2を破壊して、容器2内の成分も反応領域5に移行させて、これらを混合してPCRを行うことができる(図9(C)参照)。増幅産物の検出に用いる色素化合物は、PCR後に反応領域に添加してもよいし、予め反応領域5内に配置しておいてもよい。あるいは、この色素化合物を、試薬領域2内の溶液中に含有させておいてもよい。
【0064】
更に、複数の試薬領域を設けて、試薬領域に配置べき各成分を複数の試薬領域に分配配置してもよい。
【0065】
色素化合物は、上述のようにPCRを行わせる反応領域内に予め添加されていてもよいし、またPCR後に反応領域内に添加されても良い。PCR後に反応領域内に添加する場合にも、反応領域と別に色素化合物の必要量を配置した試薬領域を設けておき、PCR後に試薬領域から反応領域に色素化合物を添加するようにしても良い。なお、一般式[I]の化合物で水不溶性のものは、反応領域にこれを配置しておいても、PCR中は反応液内に溶け出さず、PCR後に適当な溶剤を反応領域に添加することで該化合物と増幅産物との反応を行うことが可能となる。従って、一般式[I]の化合物を用いることで、該化合物によるPCRへは少ないものの、該化合物が水不溶性であることからPCRへの影響を確実に排除することが可能となる。このような溶剤としては、アセトニトリル、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。このキットの反応領域内にプライマーの所定量を、塗布、あるいは粉末として反応器内に隔離して配置するなどの方法によって予め配置しておけば、PCRを反応領域内で行わせる場合における操作の簡便化が計れる。
【0066】
一方、本発明における色素化合物によるPCR増幅産物の検出は、MPN法にPCRを応用した方法(MPN−PCR法)に好適に利用できる。この方法を用いることで、微生物、動物細胞、ヒト細胞、植物細胞等の個体数(細胞数、菌数、菌糸数等)の計測、これらが有する特定遺伝子の数の計測あるいは特定遺伝子のコピー数の計測等が行え、これらの操作の大幅な簡便化が計れる。
【0067】
このMPN−PCR法の操作の一例として、土壌からの被検出微生物の個体数(菌数)を計測する場合について以下に説明する。
【0068】
先ず、土壌試料に、土壌試料中に含まれる微生物の核酸を抽出するための処理を行う。例えば、サンプル土壌(1g)にリン酸緩衝液(1ml)を加え、20秒間ずつ2回ボルテックスをかける。更に、10%SDSを1/10容加え、再びボルテックスをかけ、70℃で1時間保温し、土壌中の菌を溶菌させる。遠心操作により土壌を除き、核酸画分を上清として回収する。7.5M酢酸ナトリウムを1/5容加え、混合し4℃に5分間放置する。上清を回収し(1ml)、4/5容のイソプロパノールを加え、核酸画分を遠心により回収する。0.1mlのTE緩衝液にこれを溶解し、その後RNase処理により、DNAを回収する。
【0069】
回収したDNAの一部を100倍に希釈し、更にその一部を希釈して、希釈系列を10-1〜10-8まで作成する。図4に示すマイクロプレートのサンプルAのブロックに、これらを配置する。つまり、土壌から回収されたDNA溶液(既に100倍に希釈)の10ー1希釈溶液がA1〜A5に、10ー2希釈溶液がB1〜B5に配置され、10ー8希釈液がH1〜H5に配置されるまで、各希釈液について同様に配置する。ここで、ブランクを含めた全てのウエルにPCRに必要な試薬(ヌクレオチド、プライマー塩、Taqポリメラーゼ等)を含む反応用溶液を加え、PCRを行う。反応後、上述した色素化合物を用いて各ウエルの蛍光強度を測定して、例えば、ブランクに対して2倍以上の蛍光強度のウエルを陽性として、陽性があらわれる希釈限界を求める。例えば、10-4、10-5及び10-6において、各希釈液における5サンプル中の陽性サンプル数(陽性サンプル数/各希釈での試験サンプル数)が、10-4希釈で5/5、10-5希釈で3/5、10-6希釈で0/5とすると、陽性が現れる希釈限界は、10-5となる。そこで、これらの希釈率での陽性サンプルの数(5、3、0)を以下に示すMPN表(J.Bacteriol.,25,101(1933)の第400頁の「III.MPN(Most Probable Number)表、10倍希釈 5連の場合」から部分的に引用)のP1、P2、P3に当てはめると、P1=5、P2=3、P3=0の場合の数値として、0.79が得られる。これはこのサンプル中に含まれる鋳型DNAの確立統計的に求められた個数である。そこで、上記の限界希釈倍率の逆数をこれに乗じ、さらに最初のサンプルの希釈率を考慮すれば、土壌中に含まれた鋳型DNAの個数は、0.79×105×102=0.79×107個となる。この鋳型DNAが土壌中の検出対象としての微生物に特有のものであり、また、該微生物1個について1つ存在するものであれば、ここで得られた鋳型DNAの個数がそのまま土壌試料(1g)中の微生物の個体数(菌数)となる。当然この場合、、全てのウエルが蛍光を放出する希釈系列では、その蛍光量は鋳型DNAの個数を反映したものであるので、これを基に蛍光量(蛍光強度)と鋳型DNAの個数(微生物の個体数)の検量線を作成できる。
【0070】
【表1】
Figure 0003683913
表1において、括弧で示してあるものは、信頼性の高いもの(確立Lが0.05以上のものである。括弧で示されていないコードが出現した場合には、実験手法を再確認する必要がある。この表1として引用したMPN表は上記の文献のMPN表の一部であり、この部分以外の部分に係る結果が得られた場合は、適宜上記文献のMPN表の対応部分を参照すればよい。また、この文献には各種条件のMPN表があるので、所望とする試験条件等に応じてそれらを利用すればよい。
【0071】
なお、先に述べた従来の技術の欄で述べたPCRとアガロースゲル電気泳動を組み合わせたMPN−PCR法では、陽性が現れる希釈限界を求める第1回目のPCRと、得られた希釈限界付近を更に詳細に調べて、具体的な個数をMPN表から求めるための第2回目のPCRが行われている。例えば、上記の土壌試料(1g)から同様にDNAを回収し、上記のように希釈せずに、その10-1〜10-9希釈まで段階希釈を調製して、従来の方法に適用し、各希釈液について、第1回目のPCRを行い、アガロースゲル電気泳動で増幅産物の有無を検出すると、10-7希釈まで陽性となる。ここで、10-6、10-7、10-8の3つの希釈について各々5サンプルずつ再度PCRを行い、各希釈での5サンプル中の陽性のサンプル数を求めると、10-6希釈で5/5、10-7希釈で3/5、10-8希釈で0/5となり、上記と同様にMPN表から0.79という値が得られ、これに陽性が現れる限界希釈の希釈率の逆数を乗じた値(0.79×107)が土壌中の鋳型DNAの個数となる。しかしながら、この方法は、PCRと電気泳動とを含む操作を2回繰返すもので、操作が非常に煩雑である。これに対して、発明の方法では、1回のPCRで直接結果を得ることが可能であり、また電気泳動操作が省略できる。従って、計測操作を大幅に簡便化できる。
【0072】
このMPN−PCR法でのPCRにおける増幅産物の先に説明した色素化合物による検出は、先のPCR増幅産物の定量方法で用いた各操作及びその条件、あるいはキット等が利用できる。
【0073】
また、このMPN−PCR法では多段階の希釈サンプルを統計的処理のために同時に処理することが必要とされるので、マイクロプレート等の多数の反応領域(ウエル)を有する器具を用いることが好ましい。PCR反応を別の容器内で行った場合でも、増幅産物の色素化合物による検出はマイクロプレートのような器具で行うことが好ましい。
【0074】
この鋳型DNA数の測定法は、例えば、各種溶液中や土壌中の計測対象菌の菌数の測定、各種試料中の微生物の菌数の測定、各種試料中の細胞数の測定、各種組織中の細胞数の測定、あるいは各種生体試料中の特定遺伝子の数やそのコピー数の測定に有効に利用できる。例えば、通常、鋳型DNAの濃度は、光吸収強度等の測定からグラム量で見積もられることが一般的であるが、例えば癌細胞の場合のようにコピー数(特定遺伝子の数)が問題になる場合も多い。そのような場合に本発明の方法は有効である。この本発明の方法により組織中の特定遺伝子のコピー数を知る場合には、すべてに共通な遺伝子について上述の方法によりその数を求め、次に癌遺伝子等特定遺伝子の数を求め、正常細胞と癌細胞について共通遺伝子と特定遺伝子の比を求めることにより、核酸を抽出する細胞の量に関係なく特定遺伝子のコピー数を得ることができる。
【0075】
また、あるヒト組織中に癌細胞が存在するかどうかの判定にもこの方法は有用である。例えば、ある組織を構成する細胞に共通の特定遺伝子の数をこの方法により求め、次に、検出対象としての癌細胞に特定の遺伝子の数を同一組織試料についてこの方法により求める。
【0076】
【実施例】
参考例1
無水酢酸100mlと濃硫酸30mlとを冷却しながら混合し、得られた混合液をウォーターバスで80℃に保ちながら3時間加温した。そこに無水酢酸20ml、p−ジメチルアミノアセトフェノン30mlを室温下で加え、その後45℃に温度を上昇させて24時間攪拌し反応させた。この反応液に等量のエタノールを加え、冷却し、更にヨウ化カリウム水溶液を加えると粗結晶が析出した。この粗結晶を濾過により回収し、エタノール/エーテルの混合系(容量比、1:4)で再結晶させて、2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム アイオダイド(表2の化合物1(ただしYはIである))の緑色の結晶を得た。
得られた化合物1(Y:I)の分析結果
融点:254〜257℃
UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax :444nm(2.43)、550nm(8.24)
NMR(1H、DMSO)δppm:8.3737(1H、s)、8.2729(1H、d、J=9.0Hz)、8.1795(1H、d、J=9.0Hz)、7.8864(1H、s)、6.9117(4H、t、JAB=JBC=9.77)、3.1829(6H、s)、3.1340(6H、s)、2.6809(3H、s)
FAB mass m/z 333
IR(KBr)νcm-1:1645、1610(sh)、1580(s)、1490(s)、1270、1200、1160
更に、ヨウ化カリウム水溶液の代わりに過塩素酸水溶液を用いる以外は上記と同様にして2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウムの過塩素酸塩(化合物1(Y:CIO4))を得た。
【0077】
参考例2
硫化ナトリウム9水和物20gをイオン交換水に溶解させ全量を50mlとした。この溶液に炭酸水素ナトリウム7gを加え溶解させた後、氷冷下、50mlのエタノールを更に加えてから、室温で30分間攪拌した。析出した炭酸ナトリウムを濾別し、25mlのエタノールで洗浄し、濾液と洗液を合わせ、約125mlの水硫化ナトリウムの水・エタノール溶液を得た。
【0078】
次に、参考例1で得た2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ピリリウム アイオダイドの0.92gを20mlのDMSOに溶解させ、得られた溶液に先に調製した水硫化ナトリウムの水・エタノール溶液の5mlを加え、室温下で5分間攪拌した。攪拌後、ヨウ化水素酸0.75mlを加え、更に5分間攪拌した。以下、常法に従って、ジクロロメタン抽出、シリカゲルカラム精製を行った後、エタノール/エーテル混合液(容量比、1:4)で再結晶させて、0.7gの2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)チオピリリウム アイオダイドの結晶(表2の化合物2(ただし、YはIである))を得た。
得られた化合物2(Y:I)の分析結果
融点:246〜248℃
UV/可視(CH3CN ε×10-4)λmax :495nm(2.50)、587nm(4.95)
NMR(1H、DMSO)δppm:8.5679(1H、s)、8.4323(1H、s)、8.2436(2H、d、J=9.27Hz)、7.9786(2H、d、J=9.28)、6.8959(4H、t、JAB=JBC=9.28)、3.1756(6H、s)、3.1157(6H、s)、2.8323(3H、s)
FAB mass m/z 349
IR(KBr)νcm-1:1600(s)、1560(s)、1460(s)、1430(s)、1370(s)、1260(s)、1160(s)
更に、ヨウ化水素酸の代わりに過塩素酸水溶液を用いる以外は上記と同様にして2−メチル−4,6−ビス−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)チオピリリウムの過塩素酸塩(化合物2(Y:CIO4))を得た。
参考例3
下記の表2に示す化合物3〜55をそれぞれ用意した。表2において、Φはp−フェニレン基:
【0079】
【化31】
Figure 0003683913
またはフェニル基を表わす。
【0080】
【表2】
Figure 0003683913
【0081】
【表3】
Figure 0003683913
【0082】
【表4】
Figure 0003683913
【0083】
【表5】
Figure 0003683913
【0084】
【表6】
Figure 0003683913
【0085】
【表7】
Figure 0003683913
【0086】
【表8】
Figure 0003683913
【0087】
【表9】
Figure 0003683913
【0088】
【表10】
Figure 0003683913
【0089】
【表11】
Figure 0003683913
【0090】
【表12】
Figure 0003683913
【0091】
【表13】
Figure 0003683913
【0092】
【表14】
Figure 0003683913
【0093】
【表15】
Figure 0003683913
【0094】
【表16】
Figure 0003683913
【0095】
【表17】
Figure 0003683913
【0096】
【表18】
Figure 0003683913
【0097】
【表19】
Figure 0003683913
【0098】
【表20】
Figure 0003683913
なお、これらの化合物は以下の公知の方法により合成した。なお、具体的な反応操作は常法に従った。
【0099】
化合物7は、W.Foerstらの「New Methods of Preparative Organic Chemistry」、Acad. Press(1964)に記載の方法に従って、化合物[i]
【0100】
【化32】
Figure 0003683913
を合成した後、これと
【0101】
【化33】
Figure 0003683913
(p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド)とを反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて得た。化合物17は、化合物[i]と
【0102】
【化34】
Figure 0003683913
(p−ジエチルアミノスチリルベンツアルデヒド)とを反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて得た。また、化合物[i]を水硫化ナトリウムと反応させることにより化合物[ii]
【0103】
【化35】
Figure 0003683913
を得た後、この化合物[ii]を化合物7、17と同様にして化合物8、18を合成した。
【0104】
R. WizingerらのHelv. chim. Acta、39、217 (1956)に記載の方法に従い、アセトフェノンとアセトアルデヒドから以下に示すルート
【0105】
【化36】
Figure 0003683913
を経て、化合物[iii]
【0106】
【化37】
Figure 0003683913
を合成した。この化合物[iii]を原料として、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの反応から得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物5を、p−ジエチルアミノスチリルベンツアルデヒドとの反応から同様にして化合物15を、p−ジメチルアミノ桂皮アルデヒドとの反応から同様にして化合物9を、
【0107】
【化38】
Figure 0003683913
との反応から同様にして化合物11をそれぞれ得た。また、化合物[iii]を水硫化ナトリウムと反応させることにより化合物[iv]
【0108】
【化39】
Figure 0003683913
を得た後、化合物[iii]に代えて化合物[iv]を用いる以外は、化合物5、15、9及び11の合成の場合と同様の方法で、化合物6、16、10及び12をそれぞれ得た。
【0109】
更に、原料のアセトアルデヒドをp−ジメチルアミノベンズアルデヒドに代える以外は、化合物[iii]の合成の場合と同様にして、化合物3のカチオン部分を得た後、これに水硫化ナトリウムを反応させて得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させ、化合物4を得た。また、同様にしてp−メチルベンズアルデヒとアセトフェノンから化合物[v]
【0110】
【化40】
Figure 0003683913
を得た後、それを水硫化ナトリウムと反応させて化合物[vi]
【0111】
【化41】
Figure 0003683913
を得た。更に、化合物[v]及び[vi]をそれぞれp−ジメチルアミノベンズアルデヒドと反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて化合物13及び14を得た。
【0112】
化合物19、20及び21は、化合物[i]または[ii]と、化合物1または2のカチオン部分とを
【0113】
【化42】
Figure 0003683913
と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて得た。化合物22、23及び24は、化合物[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部分とを、
【0114】
【化43】
Figure 0003683913
と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて得た。化合物25及び26は、化合物[i]または[ii]を
【0115】
【化44】
Figure 0003683913
と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させて得た。化合物27、28及び29は、化合物[i]または[ii]と化合物1または2のカチオン部分とを、オルトギ酸エチル[HC(OC253]と反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させることにより合成した。化合物30、31及び32は化合物[iii]または[iv]と、[iii]と[iv]と同様の方法によりp−ジメチルアミノアセトフェノンから合成した化合物[iii]と[iv]のジメチルアミノ誘導体と、オルトギ酸エチルとを反応させ、得られた化合物に更に所望のアニオンを反応させることにより合成した。
【0116】
化合物33〜55は以下の各反応によりそれぞれ合成した。
化合物33の合成
【0117】
【化45】
Figure 0003683913
化合物34の合成
【0118】
【化46】
Figure 0003683913
化合物35の合成
【0119】
【化47】
Figure 0003683913
化合物36の合成
【0120】
【化48】
Figure 0003683913
化合物37の合成
【0121】
【化49】
Figure 0003683913
化合物38の合成
【0122】
【化50】
Figure 0003683913
化合物39の合成
【0123】
【化51】
Figure 0003683913
化合物40は、化合物36の合成で原料を
【0124】
【化52】
Figure 0003683913
から
【0125】
【化53】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
【0126】
化合物41は、化合物37の合成で原料を
【0127】
【化54】
Figure 0003683913
から
【0128】
【化55】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
【0129】
化合物42は、化合物38の合成で原料を
【0130】
【化56】
Figure 0003683913
から
【0131】
【化57】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
【0132】
化合物43は、化合物39の合成で原料を
【0133】
【化58】
Figure 0003683913
から
【0134】
【化59】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
化合物44の合成
【0135】
【化60】
Figure 0003683913
化合物45の合成
【0136】
【化61】
Figure 0003683913
化合物46の合成
【0137】
【化62】
Figure 0003683913
化合物47の合成
【0138】
【化63】
Figure 0003683913
化合物48は、化合物44の合成で原料を
【0139】
【化64】
Figure 0003683913
から
【0140】
【化65】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
化合物49は、化合物45の合成で原料を
【0141】
【化66】
Figure 0003683913
から
【0142】
【化67】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
化合物50は、化合物46の合成で原料を
【0143】
【化68】
Figure 0003683913
から
【0144】
【化69】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
化合物51は、化合物47の合成で原料を
【0145】
【化70】
Figure 0003683913
から
【0146】
【化71】
Figure 0003683913
に変更して合成した。
化合物52の合成
【0147】
【化72】
Figure 0003683913
化合物53の合成
【0148】
【化73】
Figure 0003683913
化合物54の合成
【0149】
【化74】
Figure 0003683913
化合物55の合成
【0150】
【化75】
Figure 0003683913
参考例4
参考例1で得た化合物1を10%アセトニトリルを含む10mMリン酸緩衝液に溶解し、化合物1の最終濃度が3×10-5Mになるように調整してサンプルIとした。このサンプルIの一部を用いてその吸収スペクトルを分光光度計を用いて常法により測定した。
【0151】
次に、Salmon sparm DNA (Sigma社製)をTE緩衝液(10mM Tris-1mM EDTA)に溶解し、フェノール抽出により精製した。取扱を容易にするために、この精製物を更に制限酵素EcoRIで消化処理し、得られた処理液をDNA溶液とした。このDNA溶液の一部とサンプルIの一部とを混合して、DNAの最終濃度が50μg/mlとなるように調整し、更に、化合物1の最終濃度が3×10-5Mになるように調整して、サンプルIIとした。このサンプルIIの一部を用いてその吸収スペクトルを常法により測定した。その結果、該化合物の吸収のピークは、DNAとの相互作用により長波長側に20〜30nmシフトした。これは、典型的なインターカレーターの性質である。
【0152】
サンプルIの一部を用いてその蛍光スペクトルを常法により測定したところ、DNA非存在下では550nmで励起した場合、650nm付近に弱いピークが検出された。次にサンプルIIの一部を用いて同様にして蛍光スペクトルを測定したところ、サンプルII中では、同じ波長での励起で、DNA非存在下における場合の約100倍の蛍光強度のピークが650nm付近に検出された。以上の結果は、化合物1が強力なインターカレーターであることを示している。
【0153】
次に、先に調製したDNA溶液と、化合物1と、10%アセトニトリルを含む10mMリン酸緩衝液を用いて、化合物1を5×10-6Mの濃度で含み、かつDNA濃度が異なる溶液を調製した。得られた各溶液の蛍光強度を常法により測定して、DNA濃度に対する蛍光強度の変化を求めた。蛍光強度はDNA濃度が増加するに従って増大し、最大で、DNA非存在下の時の蛍光強度の約400倍増大した。なお、励起光としては、Xeランプを光源とし480nmのローカットフィルターにより紫外光を除去したものを用いた。更に、表2の化合物について上記と同様の蛍光強度等についての測定を行った。その代表例について表3に示す。
【0154】
【表21】
Figure 0003683913
実施例1[2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩を用いた核酸の定量方法]
Pseudomonas aeruginosaの16S ribosomal RNA遺伝子(以下16SrRNA遺伝子と略記)をターゲットとしたPCRを行い、その増幅産物を2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩を用いて検出した。
【0155】
まず、P.aeruginosaの全DANを以下の様にして調製した。2×YT培地で終夜培養した菌体2mlを遠心分離により集菌し、0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)の0.5mlに懸濁させた。得られた懸濁液に10%SDS溶液の0.05mlを加え、十分に混合の後、70℃で1時間保温した。この懸濁液をボルテックスミキサーで攪拌し、菌体を完全に溶菌した。この溶菌液に等量のフェノール/クロロホルムを加え、混合、遠心分離の後、上層を分取し、2倍量のエタノールを加え、DNAを沈澱物として回収した。これを100μlのTE緩衝液(pH8.0)に溶解し、PCRの鋳型DNAとした。
【0156】
PCR用プライマーとしては以下の2本のものを用いた。
プライマー1 5’AGAGTTTGATCATGGCTCAG 3’(配列番号:1)
プライマー2 5’AACCCAACATCTCACGACAC 3’(配列番号:2)
これらのプライマーは、ABI社製のDNA synthesizer381Aを用いて合成した。合成に必要な試薬、手法などはABI社のプロトコルに拠った。
これらの鋳型DNA及びプライマーを用いて以下の条件でのPCRを行った。
PCRの条件:
反応溶液組成(全容量50μl)
5μl 10×buffer
5μl dNTPs
プライマー1及び2 それぞれ10pmol
Taq DNA ポリメラーゼ 0.5単位
鋳型DNA
500pg、100pg、10pg、1pg、100fgまたは10fg
各成分を加えて全容量を滅菌水を加えて50μlとし、Thin−Walled Gene Amp チューブ(全容量0.5ml、宝酒造社製)内で反応を行わせた。鋳型DNAを含まない以外は上記と同様の組成のサンプルをブランクとして調製した。ここで、10×buffer、dNTPsはポリメラーゼに添付のものをそのまま使用した。
反応サイクル
92℃、5分間のプレインキュベーション
92℃、45秒/55℃、60秒/72℃、90秒を30サイクル
最後に72℃、5分間のインキュベーション
ここで、PCR装置はPerkin−Elmer社のGene PCR System9600を用いた。増幅産物の検出は以下のようにして行った。反応が終了した各サンプルを96ウエル・マイクロタイタープレート(Becton−Dickinson社製Falconアセイプレート3911(U底))に総量50μlになるようにTE緩衝液(10mM Tris−HCl(pH8.0)−1mM EDTA)で2倍、10倍、20倍に希釈した(図1参照)。次に、各ウエルに150μg/mlの2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム アイオダイドのアセトニトリル溶液1μlを加え、ピペッティングにより十分に混合した。このマイクロプレートをミリポア蛍光装置(サイトフロー2350)にセットし、励起光側に590nm、放射光側に645nmの光を透過するフィルターをそれぞれ用いて、励起光の照射と、蛍光の測定を行った。その結果得られた反応液の各希釈における測定された蛍光強度(645nm)と鋳型DNA量との関係を図2に示す。また、ブランクのサンプルにおいては、蛍光は観測されなかった。図2の結果では、蛍光強度は各希釈サンプルにおいて、鋳型DNA量と比例して増加し、蛍光強度から鋳型DANの量が定量できることが示された。なお、鋳型DNAが100fg、10fgの場合にはPCR増幅産物は検出されなかった。
【0157】
以上と同様の操作を行い、各ウエルの反応液への2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩の添加は行わずに、各反応液を5μl分取し、アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイド(以下EBという)より染色し、バンドの濃さによりPCR増幅産物の量を調べた。その結果、鋳型DANが500pg、100pg、10pgでは明確なバンドが、1pgではわずかにバンドが観測され、100fg、10fgではPCR増幅産物は観測されなかった。また、500pgでは蛍光強度が飽和して、100pgとほとんど変わらなかった。更に、ゲル上にPCR増幅産物のバンドの他に、プライマー間の反応生成物である高次構造物と思われる蛍光が低分子量領域に観察された。
【0158】
比較例1[EBを用いたPCR増幅産物の検出]
2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩の代わりに、EBと以下の操作条件を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。EBは250μg/mlの溶液として、その1μlを各ウエルに添加し、ピペティングにより十分に混合し、5分間室温に放置した。ミリポア蛍光装置の励起光側に485nm、放射光側に620nmの光を透過するフィルターをセットして蛍光強度の測定を行った。その結果、ブランクのサンプルのウエルを含む各ウエル内の反応溶液はいずれも赤く蛍光を発した。しかも、鋳型DANの入ったサンプルにおける蛍光強度と、鋳型DANが入っていないサンプルの蛍光強度に差はなく、定量は不可能であった。これは、鋳型DNAの入っていないサンプル(ブランク)においてプライマー間の反応でEBの蛍光増大を引き起こす高次構造物が生じたためである。
【0159】
比較例2[YOYO−1を用いたPCR増幅産物の検出]
2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩の代わりに、YOYO−1(Molecular Probe社製)と以下の操作条件を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。YOYO−1は1mMの溶液を120倍に希釈し、その1μlを各ウエルに添加し、ピペティングにより十分に混合し、5分間室温に放置した。ミリポア蛍光装置の励起光側に485nm、放射光側に530nmの光を透過するフィルターをセットして蛍光強度の測定を行った。得られた結果を図3に示す。図3の結果では、鋳型DANの量に比例して蛍光強度の増加が認められたが、増加率は低い。更に、ブランクにおいては鋳型DANが含まれたサンプルと同程度の蛍光強度が観察された。このブランクにける蛍光もプライマー間の反応生成物である高次構造物に起因するものと考えられる。従って、この色素を用いた定量では、ブランクとの差が低く、しかも鋳型DNAの量に比例した蛍光強度の増加率も低いので定量性が良くないことがわかる。
【0160】
以上の実施例1及び比較例1、2の結果から、2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム アイオダイドを用いた蛍光による定量では、プライマー間の反応生成物である高次構造物の影響を受けることなく正確な定量が行えることがわかった。この結果は、実施例1の各反応液のアガロースゲル電気泳動でのEBによる染色での結果を反映している。また、このEBでのアガロースゲル染色では、500pgと100pgとでは蛍光が飽和してしまう結果増幅産物量はみかけ上同じになるが、2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム塩による検出においてはEBで蛍光が飽和してしまうサンプルにおいても蛍光強度の飽和はなく定量が可能であった。
【0161】
実施例2[マイクロプレートを用いたPCR法による土壌中の菌数測定]
Escherichia coli JM109株の終夜培養液(2×YT培地)を混入させた土壌からDNAを常法により回収し、E.coliの16S rRNA遺伝子をターゲットとしたPCRを行い、PCR−MPN法により菌数を測定した。
【0162】
E.coliは、土壌1g当り約107、約106、約105、約104の菌数(それぞれ図4に示すサンプルA、B、C、D)になるように加え、攪拌した。大腸菌を加えた各土壌1gを0.1Mりん酸ナトリム緩衝液(pH8.0)の0.5mlに懸濁させた。この懸濁液に10%SDS溶液の0.05mlを加え、十分に混合の後、70℃で1時間保温した。この懸濁液をボルテックスミキサーで攪拌し、菌体を完全に溶菌した。この溶菌液に等量のフェノール/クロロホルムを加え、混合、遠心分離の後、上層を分取し、2倍量のエタノールを加え、DNAを沈澱物として回収した。これを100μlのTE緩衝液(pH8.0)に溶解し、PCRの鋳型DNAとした。
【0163】
PCR用プライマーはE.coliの16SrRNA遺伝子に対するもので、以下の2本のものを用いた。
プライマー1 5’AGAGTTTGATCCTGGCTCAG 3’(配列番号:3)
プライマー2 5’AACCCAACATCTCACGACAC 3’(配列番号:4)
これらのプライマーは、ABI社製のDNA synthesizer381Aを用いて合成した。合成に必要な試薬、手法などはABI社のプロトコルに拠った。
【0164】
これらの鋳型DNA及びプライマーを用いて実施例1と同様の条件でのPCRを行った。PCRは、96ウエル・マイクロタイタープレート(Becton−Dickinson社製Falconアセイプレート3911(U底))の各ウエル内で行った。また、このマイクロプレートは、各ウエル内には予め実施例1と同様の濃度の2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム アイオダイドのアセトニトリル溶液1μlを塗布し、乾燥保存したものである。鋳型DNAは図4のように段階的に10倍希釈系列を縦の列に8段階作成し、横の5列には同じサンプルを準備し、PCR反応を行った。PCR装置としては、MJ Research Inc.のModel PTC−100−96を用いた。
【0165】
PCR反応終了後マイクロプレートの各ウエル内にアセトニトリルを5μl加え、よく攪拌した後、5分間放置した。その後、ミリポア蛍光装置(サイトフロー2350)にセットし、実施例1と同様なフィルターを用いて蛍光を測定した。その結果、図5のような結果が得られた。ここで、ブランクの2倍以上の蛍光をもつものをPCR増幅産物ができたものとみなした(斜線で塗り潰したウエル)。この結果を、MPN法で用いられる表に当てはめて計算すると、それぞれの土壌から得られた大腸菌の菌数は4.9×106、7.9×105、2.2×105、7.9×103となった。
【0166】
比較例3
実施例2で調製したE.coliを異る濃度で混入させた各土壌サンプルに含まれるE.coliの個数を、E.coli用の培養プレートにサンプルの所定量を接種して培養した後に表われるコロニー数から菌数を求めるプレートカウント法により求めた。得られた結果と、実施例2で得られた結果との相関を見ると、図6のように非常によく一致した。
以上の実施例2と比較例3の結果から、本発明のPCRを利用する菌数の測定法によれば、簡便な操作で菌数の計測を行うことができ、得られた結果も従来法であるプレートカウント法と非常に良く一致した。
【0167】
実施例3[マイクロプレートを用いたPCR法による鋳型DNAの定量]
実施例2で用いたのと同様のマイクロプレートの各ウエルに実施例2で用いたのと同様の、2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム アイオダイドのアセトニトリル溶液1μl、及びプライマー(2種、各々10pmole)を塗布し、乾燥保存した。
一方、一夜培養した大腸菌の培養液2mlから実施例2と同様の方法により大腸菌のDNAを抽出し、それを100倍に希釈してて鋳型DNA溶液とした。
【0168】
次に、この鋳型DNA溶液の希釈系列を実施例2と同様に作成し、図5と同様に1μlずつマイクロプレートに加えた。次に、Ampli Wax PCR Gem 100(Perkin−Elmer社製)1個及び以下の組成分を含むPCR用反応溶液を各ウエルに加えた。
【0169】
5μl 10×buffer
5μl dNTPs
Taq DNA ポリメラーゼ 0.5単位
更に、各ウエルに滅菌水を加えて全量を50μlとして、PCRを行わせた。ここで、PCR装置は、MJ Research Inc.のModel PTC−100−96を用いた。PCRの反応条件は実施例1と同様である。
【0170】
PCR後のマイクロプレートの各ウエルにアセトニトリル5μl加え、よく攪拌した後、5分間放置した。その後、ミリポア蛍光装置(サイトフロー2350)にセットし、実施例1と同様なフィルターを用いて評価した。その結果、図7のような結果を得た。ここでブランクの2倍以上の蛍光をもつものをPCR増幅産物がきたものとみなし、斜線で塗りつぶした。この結果を、MPN法で用いられる表に当てはめるて計算すると、鋳型DNAの分子数は3.5×107であることがわかった。最初に100倍希釈を行っていることを考えると、鋳型DNAの分子数は、3.5×109個であるといえる。
【0171】
比較例4
実施例3で用いたE.coliの培養液2ml中の菌数をコロニーカウントプレート法により求めたところ、4×109個であり、実施例3で得られた結果とほぼ一致する。
【0172】
実施例2及び3から鋳型DNAの希釈とMPN法による検出に望ましい濃度範囲を知ることができ、またサンプルの濃度を設定することができる。その結果、個体数、コピー数、鋳型DNAの量を求める検量線を設定することが可能となる。
【0173】
実施例4[癌特異遺伝子のPCRによる検出キット]
(1)mRNAの抽出
大腸癌の疑われる組織2か所からそれぞれ5mm角のサイズでサンプルをバイオプシーで患者から採取した(これを組織A、Bとする)。この組織からmRNAを常法(新生化学実験講座2、核酸I、第48頁)により抽出した。つまり、各組織にそれぞれ2mlのD液[4Mグアニジンチオシアネート;25mMクエン酸ナトリウム(pH7.0);0.5%N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム;及び0.1M2−メルカプトエタノール]を加え、素早くホモジナイズした。ホモジナイズは滅菌管中ポリトロンで10秒間を3回行った。これに0.2mlの2M酢酸ナトリウム(pH4)、2mlの水飽和フェノール、0.4mlのクロロホルム−イソペンチルアルコール(49:1、v/v)を加えた。各試薬を加える度によく攪拌した。10秒間ボルテックス(Vortex)ミキサーで振とう後、15分間氷中で冷却した。4℃、10000×gで20分間遠心後、水層に等量のイソプロプロピルアルコールを加えて、−20℃で一晩放置した。4℃、10000×gで20分間遠心後沈澱に0.6mlの割合でD液を加え、50℃で溶解した。等量のイソプロピルアルコールを加え、−20℃で1時間冷却後、4℃、10000×gで20分間遠心し、沈澱を75%エタノールに懸濁後、4℃、10000×gで再び20分間遠心し、沈澱を乾燥して粗RNA画分とした。粗RNA画分を65℃で5分間加熱し、室温まで急冷し、等量の2倍濃度のTNEL緩衝液[20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.6);0.5M塩化ナトリウム;1mM EDTA及び;0.1%N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム]で洗った。TNEL緩衝液で平衡化したオリゴ(dT)−セルロースカラム(Pharmacia社製)に粗RNA画分をかけ、その後、抽出用溶液(TNEL緩衝液から0.5M塩化ナトリウムを除いたもの)でmRNAを溶出した。
【0174】
(2)cDNAの調製
上記のmRNAから2本鎖cDNAの作成には、Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synthesis Kitを用いた。
(3)定量キットの構成
大腸癌検出用のプライマーとして、以下の配列のオリゴヌクレオチドを用いた。
プライマー1:5’GACTCTGGAGTGAGAATCATA 3’(配列番号:5)
プライマー2:5’ATCCAATCACCCACATGCATT 3’(配列番号:6)
図9に示す容器1としてのエッペンドルフの底に、プライマー1及び2の溶液を、それぞれの量が10pmolとなるように塗布し、さらに容器2をパラフィンコートした紙で作成し、この中に以下の成分をパックした。
dNTP・・・5μl
Taqポリメラーゼ・・・0.5ユニット
150μg/mlの2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)−6−メチルピリリウム アイオダイドのアセトニトリル溶液・・・1μl
10×buffer・・・5μl
蒸留水・・・39μl
(冷凍保存)
この容器2を図9の(B)に示すように容器1内にセットして、キットを得た。次に、それぞれの組織A、Bから先に述べた操作により得られたcDNAサンプルの段階希釈(1(希釈なし)、1/2、1/10、1/50、1/100、1/1000、1/10000希釈)を調製し、希釈していないサンプルと各希釈液を個々に上記の構成のキットに、ピペットマンで容器1の底の部分に注入した。その際、容器2の部分のパラフィンコート紙を破いた。cDNA注入後、各容器を遠心処理し、容器2の部分内の成分をプライマーのある反応領域5に移行させた。完全に移行したことを確認後、試薬が入っていた容器2を容器1から取り除き、そこにAmpli Wax PCR Gen 100 (Perkin−Elmer社製)1個ずつそれぞれ加えた。
(4)PCR反応及び検出
【0175】
実施例1と同様の条件で、PCRを行い、さらに各容器内のサンプルを希釈せずに蛍光強度の測定を行った。組織Aについての結果を図8に示す。組織Aでは標的遺伝子が増幅していることがわかる。また、鋳型となったDNAの希釈率に対応して定量的に増幅産物ができていることがわかる。一方、組織Bでは、蛍光は認められなかった。
(5)電気泳動での分析
検出後の試料からのcDNAをエタノール沈澱により回収後、アガロースゲル電気泳動で調べた。組織Aからの鋳型として利用されたcDNAについては、その量が1(希釈せず)、1/2〜1/1000希釈までは317bp部分にバンドが認められたが、1/10000希釈、cDNAを加えずにプライマーのみで反応させた場合、及び組織Bからのものではバンドが見られなかった。
【0176】
比較例5
実施例4で採取した組織A、Bについて従来法である培養法により評価した。組織Aでは増殖が認められ、悪性癌と判断された。組織Bでは増殖は認められず、良性のポリープと判断された。
【0177】
【発明の効果】
本発明によれば、2本鎖核酸と特異的に反応する色素化合物をPCR増幅産物の検出に用いるので、PCRを利用する各種の検出、定量あるいは菌数の計測における操作の大幅な簡便化が計れ、しかも正確な測定や定量が行える。
【0178】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
AGAGTTTGAT CATGGCTCAG 20
【0179】
配列番号:2
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
AACCCAACAT CTCACGACAC 20
【0180】
配列番号:3
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
AGAGTTTGAT CCTGGCTCAG 20
【0181】
配列番号:4
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
AACCCAACAT CTCACGACAC 20
【0182】
配列番号:5
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
GACTCTGGAG TGAGAATCAT A 21
【0183】
配列番号:6
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:PCR用プライマー
配列
ATCCAATCAC CCACATGCAT T 21
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において調製した各サンプルのマイクロプレート上での配置を示す図である。
【図2】実施例1で得られた蛍光強度と鋳型DNA(テンプレート)量との関係を示す図である。
【図3】比較例2で得られた蛍光強度と鋳型DNA(テンプレート)量との関係を示す図である。
【図4】実施例2において調製した各サンプルのマイクロプレート上での配置を示す図である。
【図5】実施例2においてマイクロプレートで調製した各サンプルでのPCR増幅産物の形成状態を示す図であり、斜線部は蛍光強度がブランクの2倍以上のウエルを示す。
【図6】実施例2と比較例3で得られた菌数の相関関係を示す図である。
【図7】実施例3においてブランクの2倍以上の蛍光強度を示すウエルの位置を示す図である。
【図8】実施例4における組織Aからのサンプルでの結果を示す図である。
【図9】本発明の核酸検出用のキットの一例の構成及び使用方法を示す図である。
【符号の説明】
1 容器
2 試薬領域を構成する容器
3 プライマー
4 ピペット先端部
5 反応領域

Claims (16)

  1. 標的核酸の特定配列領域の増幅に必要なプライマーの存在下で核酸試料に対してPCRを行う過程と、該試料中に標的核酸が存在する場合に増幅される2本鎖核酸からなる増幅産物に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物を反応させた際に得られる蛍光の強度を測定する過程と、を有し、測定された蛍光強度から前記核酸試料中の標的核酸の量を求める核酸の定量方法であって、
    前記色素化合物が、下記化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物のいずれかであることを特徴とする核酸の定量方法。
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
  2. 前記色素化合物が水不溶性であり、該色素化合物と水性媒体とを含む反応系でPCRを行った後、該反応系に溶剤を添加して該色素化合物を溶解させることで増幅産物と反応させる請求項1に記載の核酸の定量方法。
  3. PCR用の反応領域内に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量を配置した反応器を有する核酸定量用のキットであって、
    前記色素化合物が、下記化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物のいずれかであることを特徴とする核酸定量用のキット。
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
  4. 前記反応領域内に標的核酸の特定配列領域のPCRの増幅に必要なプライマーの必要量を更に配置した請求項3に記載の核酸定量用キット。
  5. 前記色素化合物が水不溶性であり、反応領域内でのPCR後の反応液に該色素化合物を溶解させて増幅産物と反応させるための溶剤を更に有する請求項3または4に記載の核酸定量用キット。
  6. PCR用の反応領域と、該反応領域と隔離された試薬領域とを有し、該試薬領域に遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量が配置され、該試薬領域内の色素化合物が前記反応領域内に添加可能に設けられている核酸定量用キットであって、
    前記色素化合物が、下記化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物のいずれかであることを特徴とする核酸定量用キット。
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
  7. 試薬領域がPCR用の試薬も含む請求項6に記載の核酸定量用キット。
  8. 試薬領域を複数に分割し、前記色素化合物を含む試薬領域と、PCR用の試薬を含む試薬領域を設けた請求項7に記載の核酸定量用キット。
  9. 反応領域内に標的核酸の特定配列領域のPCRの増幅に必要なプライマーの必要量を更に配置した請求項6〜8のいずれかに記載の核酸定量用キット。
  10. 前記色素化合物が水不溶性であり、反応領域内でのPCR後の反応液に該色素化合物を溶解させて増幅産物と反応させるための溶剤を更に有する請求項6〜9のいずれかに記載の核酸定量用キット。
  11. 試薬領域内に前記色素化合物の溶液が配置されている請求項6〜10のいずれかに記載のPCR増幅産物の定量用キット。
  12. 被検出微生物または細胞を含む試料から核酸を抽出する過程と、得られた核酸抽出物の段階的希釈サンプルを調製する過程と、各希釈サンプルについて被検出微生物または細胞に特有の配列を増幅するためのPCRを行う過程と、を有し、該PCRにより得られた2本鎖核酸からなる増幅産物に、遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物を反応させて得られる蛍光を測定し、蛍光が得られた希釈サンプルの希釈率から被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子数、または特定遺伝子のコピー数を求める、被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子数、または特定遺伝子のコピー数の計測方法であって、
    前記色素化合物が、下記化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物のいずれかであることを特徴とする被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子数、または特定遺伝子のコピー数の計測方法。
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
  13. 前記色素化合物が水不溶性であり、該色素化合物と水性媒体とを含む反応系でPCRを行った後、該反応系に溶剤を添加して該色素化合物を溶解させることで増幅産物と反応させる請求項12に記載の計測方法。
  14. 多数のPCR用反応領域の各反応領域内に遊離時には蛍光を発せず、2本鎖核酸と反応することで蛍光を発する色素化合物の必要量を配置した反応器を有し、これらの反応領域を利用して被検出微生物または細胞を含む試料から抽出した核酸抽出物の段階希釈が形成可能であり、かつ各希釈において前記被検出微生物または細胞に特有の配列を増幅するためのPCRを行えるようにした、被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子の数または特定遺伝子のコピー数を計測するためのキットであって、
    前記色素化合物が、下記化合物番号1〜4、6、9、11及び15〜16の化合物のいずれかであることを特徴とする被検出微生物または細胞の数、特定遺伝子の数または特定遺伝子のコピー数を計測するためのキット。
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
    Figure 0003683913
  15. 前記色素化合物が水不溶性であり、反応領域内でのPCR後の反応液に該色素化合物を溶解させて増幅産物と反応させるための溶剤を更に有する請求項14に記載のキット。
  16. 反応領域内に被検出微生物または細胞に特有な配列のPCR増幅用のプライマーを更に有する請求項14または15に記載のキット。
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