JP3237046U - スクロールポンプのクランクスリーブ - Google Patents

Abstract

本考案は、スクロールポンプ用のクランクスリーブを提供する。クランクスリーブは、長手方向軸を有し、スクロールポンプの旋回スクロールに旋回経路を与えるために半径方向に延びるクランクオフセットを提供するように構成されている。クランクスリーブは、クランクオフセットと実質的に反対方向に半径方向に延びる、ポンプ振動を低減するため一体的に形成されたカウンターバランスを更に含む。【選択図】図２

Description

本考案は、スクロールポンプ、特に真空スクロールポンプ、及び具体的にはスクロールポンプ用のクランクスリーブに関する。

既知のスクロール圧縮機又はポンプは、固定スクロール、旋回スクロール、及び旋回スクロールのための駆動機構を備える。駆動機構は、固定スクロールに対して旋回スクロールを旋回させて、ポンプ入口とポンプ出口との間で流体のポンプ送給を引き起こすように構成されている。固定スクロール及び旋回スクロールは各々、略円形のベースプレートから延びる直立スクロール壁を備える。各スクロール壁は、それぞれのベースプレートから離れて配置され且つこれから略垂直に延びる端面又は先端面を有する。旋回スクロール壁は、旋回スクロールの旋回中に固定スクロール壁と噛み合い、スクロールの相対的な旋回運動により、連続するガス体積がスクロール壁の間に定められたポケットに封入されて入口から出口にポンプ送給されるように構成されている。

偏心質量体が取り付けられた回転機械は、不均衡な内部負荷を有することになる。従って、スクロールポンプは、本質的に不均衡である。不均衡な内部負荷は、カウンターバランス機構によって低減又は相殺することができる。スクロールポンプの場合、旋回スクロールの質量により、クランクオフセット方向に不均衡な力が発生する。その結果、反対方向にカウンターバランスが追加され、ポンプの振動レベルを低下させることができる。

原位置での既知のクランクスリーブを示す図１を参照すると、スクロールポンプの均衡をとる従来の手法は、クランクスリーブ（２）と併せて別個のカウンターバランス（１）を使用することである。クランクスリーブ（２）は、回転中心が駆動シャフトの回転中心に対してオフセットされ、これによりクランクオフセットを提供する偏心部材である。クランクオフセットは、スクロールポンプの旋回スクロールに旋回経路を与える。既知のシステムでは、カウンターバランス（１）をクランクオフセットの反対側に整列させるために、キー（３）又はピンが必要とされる。

しかしながら、改良されたスクロールポンプに対する継続的な要求があり、詳細には、特定用途のスクロールポンプの製造を支援する及び／又は小型化を可能にする構成要素に対する要求がある。本考案は、既知のスクロールポンプ及びクランクスリーブに関するこれら及び他の問題に少なくともある程度対処する。

従って、第１の態様では、本考案は、スクロールポンプ、好ましくは真空スクロールポンプ用のクランクスリーブを提供する。クランクスリーブは、長手方向軸を有し、スクロールポンプの旋回スクロールに旋回経路を与える半径方向に延びるクランクオフセットを提供する。クランクスリーブは、ポンプ振動を低減するために一体的に形成されたカウンターバランスを更に備える。カウンターバランスは、クランクオフセットと実質的に反対の方向に半径方向に延びる。

有利には、本考案によるクランクスリーブは、旋回質量体とカウンターバランスの固有の整列を提供することができる。クランクスリーブは更に、キー又はピンの必要性を排除し、部品点数を３個以上から１個に低減し、製造を簡潔にする。

典型的には、クランクスリーブは、偏心しており使用時にクランクオフセットを提供する第１の部分を含む。典型的には、第１の部分は軸受ユニットに結合される。この点に関して、第１の部分は、好ましくは、典型的には締まり嵌めによって軸受ユニットと直接係合する外面を有することができる。第１の部分の範囲は、使用中に軸受ユニットによって囲まれ又はこれに結合されたクランクスリーブの部分によって定めることができる。典型的には、クランクスリーブは、カウンターバランスを含むクランクスリーブの遠位方向に延びる残りの部分によって定められる第２の部分を含む。任意選択の第３の部分は、クランクスリーブの近位方向に延びる残りの部分を含むことができる。

典型的には、クランクスリーブは、スクロールポンプの駆動シャフトを受け入れるための導管を含む。導管は、スリーブの第１の部分よりも更に、長手方向、好ましくは遠位方向に延びることができる。典型的には、導管はクランクスリーブの第１部分及び第２部分の両方を通って延び、或いは、これら両方によって定められる。実施形態では、クランクスリーブの第１の部分によって定められる導管の長さの導管の全長に対する比は、約１：１．３から約１：３、好ましくは約１：１．５から約１：２．５であり、実施例は約１：２である。

有利なことに、このようなクランクスリーブは、駆動シャフトにより安定して取り付けられ、公差を低減し、ポンプ性能を改善すると同時に、前述の部品点数の削減及び製造の簡素化を提供することができる。

特に明記しない限り、本考案において、軸方向及び長手方向は、クランクスリーブ及び／又はポンプの駆動シャフトの回転軸に実質的に平行な方向に関連している。半径方向とは、スリーブ及び／又は駆動シャフトの回転軸から長手方向を横切る方向に延びる方向を指す。

好ましくは、軸受ユニット、又は知られているように旋回スクロール軸受は、転動体軸受であり、好ましくは、転動体はボールである。典型的には、クランクオフセットを提供するクランクスリーブの部分は、軸受ユニット、好ましくは転動体軸受の内側レースに結合され、好ましくは転動体軸受の内側レースと直接係合される外面を有する。転動体軸受の外側レースは、典型的には、旋回スクロールに結合されている。従って、クランクオフセットは、転動体軸受を介して旋回スクロールに伝達することができる。

好ましくは、クランクスリーブは、材料の単一要素、典型的には金属基板から機械加工される。好ましい合金は、鋼鉄、詳細には軟鋼及びステンレス鋼を含むことができる。ユーザーは、適用要件に応じて適切な材料、特に好ましい鋼鉄グレードを選択できることは理解されるであろう。

本考案は更に、本考案の上記の態様によるクランクスリーブを含むスクロールポンプ、及び好ましくはスクロール真空ポンプを提供する。スクロールポンプは、スクロールに潤滑化されないドライポンプであってもよい。

好ましくは、スクロールポンプは、旋回スクロール及び固定スクロールを含み、クランクスリーブは、旋回スクロール軸受を固定スクロール方向に付勢する。旋回スクロールとは、スクロールの使用中に旋回するスクロールを意味する。ポンプが使用中でないときは、旋回スクロール自体が静止している可能性があることは理解されるであろう。好ましくは、スクロールポンプは、駆動シャフトを備え、クランクスリーブは、スクロールポンプの駆動シャフトに受けられる。好ましくは、クランクスリーブは、選択的に可逆な固定を用いて駆動シャフトに固定される。典型的には、選択的に可逆な固定は、旋回スクロールを固定スクロール方向に付勢する旋回スクロール付勢である。

単に例証としてのみ与えられる以下の開示では、図面について説明する。

従来技術のスクロールポンプクランクスリーブ及びカウンターバランスの概略図である。 本考案によるクランクスリーブの概略図である。

本考案は、スクロールポンプ、好ましくは真空スクロールポンプ用のクランクスリーブを提供する。

図２を参照すると、図示のクランクスリーブ（４）は、駆動シャフト（５）の回転軸（Ｘ）に平行且つ半径方向にオフセットされた回転中心を有する偏心部材である。クランクスリーブ（４）の偏心により、使用時にスクロールポンプ（図示せず）の旋回スクロールに旋回経路を与えるクランクオフセットが提供される。クランクオフセットは、駆動シャフト（５）及び／又はクランクスリーブ（４）の回転軸に実質的に垂直な第１の半径方向に延びる。

図示のクランクスリーブ（４）は、ポンプ振動を低減するために一体的に形成されたカウンターバランス（６）を更に備える。カウンターバランス（６）は、クランクオフセットと実質的に反対方向に半径方向に延びている。カウンターバランス（６）は、典型的には、クランクオフセットよりも半径方向に更に延びている。カウンターバランス（６）の質量及び幾何学的形状は、旋回スクロールの質量及び幾何学的形状、並びにクランクオフセットの範囲によって決定されることになる。

有利には、図示のクランクスリーブ（４）は、キーの必要性を排除し、旋回質量体とカウンターバランスの本質的な整列を提供して、部品点数を低減し、製造を容易にする。

図示のクランクスリーブ（４）は、軸受ユニット（１０）の内側レース（９）と係合する外面（８）によって定められる第１の部分（７）を備える。第２の部分（１１）は、カウンターバランス（６）を含むクランクスリーブ（４）の遠位方向に延びる残りの部分によって定義される。第１の部分（７）は偏心しており、クランクオフセットを提供する。第１の部分（７）と第２の部分（１１）は一体的に形成されている。図示のクランクスリーブ（４）は、材料の単一要素、この場合は軟鋼で作られている（例えば、機械加工されている）。典型的には、クランクスリーブ（４）は機械加工によって形成される。

図示のように、クランクスリーブ（４）は、スクロールポンプの駆動シャフト（５）を受け入れるための導管（１３）を備える。導管は、使用時に駆動シャフト（５）の外面に係合する内面（１２）を備える。典型的には、導管の内面（１２）は、導管（１３）の実質的に全長（Ｌ）に沿って駆動シャフト（５）の外面と円周方向に係合するように構成されている。

軸方向のスラストは、旋回スクロール付勢装置（１４）によってクランクスリーブ（４）に提供される。スクロール付勢装置（１４）は、駆動シャフト（５）の遠位端に位置する。付勢装置（１４）によって提供されるスラストは、スクロール構成要素を損傷することなく十分なシールが得られるのを確保するように変更することができる。

図示の旋回スクロール付勢装置（１４）は、クランクスリーブ（４）と係合する当接面（１５）を備える。旋回スクロール付勢装置（１４）の当接面（１５）は、駆動シャフト（５）の回転軸を横切る平面内に延在し、クランクスリーブ（４）に設けられた当接面（１６）と係合する。クランクスリーブの当接面（１６）は、旋回スクロール付勢装置（１４）の当接面（１５）と実質的に平行である。図示のクランクスリーブ当接面（１６）は、クランクスリーブ（４）の第２の部分（１１）に位置する。旋回スクロール付勢装置（１４）によって提供される軸方向スラストは、旋回スクロールを固定スクロールに確実に接触させるように配置されている。

クランクスリーブ（４）は、軸受ユニット（１０）を介して軸方向スラストを旋回スクロールに伝達する。この点に関して、クランクスリーブ（４）は、回転軸を横切って延びる第２の当接面（１７）を含み、これは、使用時に軸受ユニット（１０）と係合する。第２の当接面（１７）は、典型的には、クランクスリーブ（４）の第２の部分（１１）に位置する。

旋回スクロール付勢装置（１４）によって加えられる力は、固定スクロールと旋回スクロールを押し離す傾向があるスクロールポンプの使用時に発生する圧力負荷を克服するのに十分である必要がある。旋回スクロール付勢装置（１４）によって提供される力は、この圧力負荷の均衡をとるのに十分であり、スクロールの基部と対向する先端面との間に十分な係合を引き起こして信頼性の高いシールを提供するのに十分である必要がある。

クランクスリーブ（４）は、例えば締まり嵌めを使用して、駆動シャフト（５）及び軸受ユニット（１０）に可逆的に結合するように構成される。図示の実施例では、軸受ユニット（１０）はボール軸受である。

特許法の下で解釈される添付の特許請求の範囲によって定義される本考案の精神及び範囲から逸脱することなく、図示の実施形態に対して様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。

１ カウンターバランス（従来技術）
２ クラインクスリーブ（従来技術）
３ キー（従来技術）
４ クランクスリーブ
５ 駆動シャフト
６ カウンターバランス
７ 第１の部分
８ 外面
９ 内側レース
１０ 軸受ユニット
１１ 第２の部分
１２ 内面
１３ 導管
１４ スクロール付勢装置
１５ スクロール付勢装置の当接面
１６ クランクスリーブの第１の当接面
１７ クランクスリーブの第２の当接面

Claims (11)

1. スクロールポンプ用のクランクスリーブであって、前記クランクスリーブは、長手方向軸を有し、前記スクロールポンプの旋回スクロールに旋回経路を与えるために半径方向に延びるクランクオフセットを提供するように構成され、前記クランクスリーブが更に、前記クランクオフセットと実質的に反対の方向に半径方向に延びる、ポンプ振動を低減するため一体的に形成されたカウンターバラスを備える、クランクスリーブ。
2. 前記クランクスリーブが、偏心して使用時にクランクオフセットを提供する第１の部分を備える、請求項１に記載のクランクスリーブ。
3. 前記クランクスリーブが、前記第１の部分から長手方向にオフセットされ且つカウンターバランスを含む第２の部分を備える、請求項２に記載のクランクスリーブ。
4. 前記クランクスリーブが、前記スクロールポンプの駆動シャフトを受け入れるための導管を更に備える、請求項２又は３の何れか１項に記載のクランクスリーブ。
5. 前記導管が、前記第１の部分よりも長い長手方向の長さを有する、請求項４に記載のクランクスリーブ。
6. 前記クランクスリーブの第１の部分によって定められる導管の長さと前記導管の全長との比が、約１：１．３から約１：３、好ましくは約１：１．５から約１：２．５である、請求項４又は５の何れか１項に記載のクランクスリーブ。
7. 前記クランクスリーブが、軸受ユニット、好ましくは転動体軸受の内側レースに結合された外面を有する、請求項１から６の何れか１項に記載のクランクスリーブ。
8. 前記クランクスリーブが単一の材料要素から機械加工される、請求項１から７の何れか１項に記載のクランクスリーブ。
9. 請求項１から８の何れか１項に記載のクランクスリーブを含むスクロールポンプ。
10. 前記クランクスリーブが、旋回スクロール軸受に結合され、前記旋回スクロール軸受を固定スクロール方向に付勢する、請求項９に記載のスクロールポンプ。
11. 前記クランクが、前記スクロールポンプの駆動シャフトに受け入れられ、前記駆動シャフトは、前記クランクスリーブを前記駆動シャフトに取り付けるための非恒久的な固定を含み、前記非恒久的な固定は、前記付勢を前記旋回スクロール軸受に提供する、請求項１０に記載のスクロールポンプ。

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