JP4013992B2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール型流体機械に関し、特に可動スクロールの自転を制限する機構に関するものである。
従来より、スクロール型流体機械は、空調機に設けられる圧縮機等として広く利用されている。スクロール型流体機械では、固定スクロールと可動スクロールのそれぞれに渦巻き状のラップが設けられ、固定側と可動側のラップが互いに噛み合わされて流体室を形成する。このスクロール型流体機械では、可動スクロールが公転運動を行い、それに伴って流体室の容積が変化する。例えば圧縮機を構成するスクロール型流体機械は、閉じ込み状態となった流体室の容積を減少させてゆき、それによって流体室内の流体を圧縮する。
上記スクロール型流体機械では、可動スクロールの自転を制限する必要がある。可動スクロールの自転を制限する機構としては、例えば特許文献1に開示されているように、オルダムリング機構が広く採用されている。
具体的に、オルダムリング機構を採用するスクロール型流体機械では、可動スクロールがオルダムリング(オルダム継手)を介してハウジング上に載置される。ハウジングは、固定スクロールと共に固定されている。オルダムリングには、二対のキーが突設されている。つまり、オルダムリングには、合計四つのキーが設けられる。このオルダムリングは、二つのキーがハウジングに形成されたキー溝に係合し、残り二つのキーが可動スクロールに形成されたキー溝に係合する。そして、オルダムリングの各キーがキー溝に沿ってスライドし、それによって可動スクロールの自転が規制される。
特開2004−19545号公報
上述したように、オルダムリングには4つのキーが設けられており、これら4つのキーがそれぞれ対応するキー溝に係合している。可動スクロールの公転中において、これら4つのキーは、それぞれがキー溝の側壁に押し付けられた状態でスライドする。つまり、オルダムリングの各キーは、キー溝が形成された可動スクロールやハウジングと摺動する。このため、可動スクロールの自転を制限するためにオルダムリング機構を採用した場合には、オルダムリングの4つのキーが可動スクロールやハウジングと摺動することになり、摺動損失が比較的大きくなるという問題があった。
また、オルダムリングの大きさは、可動スクロールよりもやや小さい程度であることが多い。そして、スクロール型流体機械の運転中には、このような比較的大きなオルダムリングが可動スクロールの公転に伴って移動することとなる。このため、オルダムリングの周辺に潤滑油が溜まっていると、この潤滑油をオルダムリングが撹拌することによる損失が比較的大きくなるおそれもあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクロール型流体機械における損失の低減、特に可動スクロールの自転を制限するための機構に起因する損失を低減することにある。
第1,第2,第5,第6の各発明は、旋回スクロール(50)と、該旋回スクロール(50)に係合する回転シャフト(20)と、少なくとも非旋回スクロール(60)からなる非旋回部材(69)とを備え、上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の軸心を中心に公転するスクロール型流体機械を対象としている。
そして、第1,第5の各発明は、上記非旋回部材(69)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定される一方、上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成されており、上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限されるものである。
また、第2,第6の各発明は、上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定される一方、上記非旋回部材(69)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成されており、上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限されるものである。
第3,第4,第7,第8の各発明は、旋回スクロール(50)と、非旋回スクロール(60)と、回転シャフト(20)と、回転シャフト(20)を支持する軸受け(48)が設けられたハウジング部材(45)とを備え、上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械を対象としている。
そして、第3,第7の各発明は、上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定される一方、上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成されており、上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限されるものである。
また、第4,第8の各発明は、上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定される一方、上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成されており、上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限されるものである。
更に、上記第1〜第8の各発明において、上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返している。
そのうち、第1〜第4の各発明では、上記旋回ラップ(52)の内側面と上記非旋回ラップ(63)の内側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているものである。
また、第5〜第8の各発明では、上記旋回ラップ(52)の外側面と上記非旋回ラップ(63)の外側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているものである。
第9の発明は、上記第1〜第8の何れか一つの発明において、上記旋回スクロール(50)では、上記回転シャフト(20)の偏心部(22,23)と係合する係合部(53,54)が、上記旋回ラップ(52)の内周側端部寄りの位置に設けられるものである。
−作用−
上記第1乃至第8の各発明では、回転シャフト(20)に旋回スクロール(50)が係合する。回転シャフト(20)が回転すると、旋回スクロール(50)が回転シャフト(20)の軸心を中心として公転する。旋回スクロール(50)の公転半径は、回転シャフト(20)における偏心部(22,23)の偏心量、即ち回転シャフト(20)の軸心と偏心部(22,23)の軸心との距離に等しくなる。
そして、上記第1,第2,第5,第6の各発明のスクロール型流体機械(10)では、少なくとも非旋回スクロール(60)が非旋回部材(69)として設けられる。このスクロール型流体機械(10)には、非旋回スクロール(60)と共に他の部材が非旋回部材(69)として設けらていてもよい。また、上記第3,第4,第7,第8の各発明のスクロール型流体機械(10)では、非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)として設けられる。
上記第1,第5の各発明では、非旋回部材(69)にピン軸部(70)が設けられ、このピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が旋回スクロール(50)に形成される。また、上記第3,第7の各発明では、非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方にピン軸部(70)が設けられ、このピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が旋回スクロール(50)に形成される。
これら第1,第3,第5,第7の各発明の非旋回部材(69)において、ピン軸部(70)は、その軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長くなるように配置されている。このため、旋回スクロール(50)は、そこに形成されたスライド溝(80)がピン軸部(70)と係合した状態で公転する。旋回スクロール(50)の公転中には、スライド溝(80)の側面がピン軸部(70)と摺動し、スライド溝(80)の形成された旋回スクロール(50)がピン軸部(70)によって案内される。そして、スライド溝(80)に係合するピン軸部(70)が旋回スクロール(50)を案内することで、旋回スクロール(50)の自転が制限される。ただし、これらの発明において、旋回スクロール(50)の自転は完全には禁止されず、ある程度の旋回スクロール(50)の自転は許容される。
上記第2,第6の各発明では、旋回スクロール(50)にピン軸部(70)が設けられ、このピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が非旋回部材(69)に形成される。また、上記第4,第8の各発明では、旋回スクロール(50)にピン軸部(70)が設けられ、このピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方に形成される。
これら第2,第4,第6,第8の各発明の旋回スクロール(50)において、ピン軸部(70)は、その軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長くなるように配置されている。このため、旋回スクロール(50)は、そこに設けられたピン軸部(70)がスライド溝(80)と係合した状態で公転する。旋回スクロール(50)の公転中には、スライド溝(80)の側面がピン軸部(70)と摺動し、旋回スクロール(50)に設けられたピン軸部(70)がスライド溝(80)によって案内される。そして、ピン軸部(70)を備える旋回スクロール(50)がスライド溝(80)に案内されることによって、旋回スクロール(50)の自転が制限される。ただし、この発明において、旋回スクロール(50)の自転は完全には禁止されず、ある程度の旋回スクロール(50)の自転は許容される。
また、上記第1乃至第8の各発明において、旋回ラップ(52)は、その内周側端部から外周側端部へ向かってその厚みが次第に増減を繰り返す形状となっている。また、非旋回ラップ(63)も、その内周側端部から外周側端部へ向かってその厚みが次第に増減を繰り返す形状となっている。
上記第1乃至第4の各発明では、旋回ラップ(52)の内側面がインボリュート曲線を描く形状となり、非旋回ラップ(63)の内側面もインボリュート曲線を描く形状となる。
上記第5乃至第8の各発明では、旋回ラップ(52)の外側面がインボリュート曲線を描く形状となり、非旋回ラップ(63)の外側面もインボリュート曲線を描く形状となる。
上記第9の発明では、旋回スクロール(50)に係合部(53,54)が設けられ、この係合部(53,54)が回転シャフト(20)の偏心部(22,23)と係合する。この発明の旋回スクロール(50)において、係合部(53,54)は、旋回ラップ(52)の内周側端部寄りの位置に設けられる。
上記第1乃至第8の各発明では、ピン軸部(70)とスライド溝(80)の側面とを摺動させることで旋回スクロール(50)の自転を制限している。つまり、スライド溝(80)に沿ってピン軸部(70)が相対的にスライドするという比較的単純な機構によって、旋回スクロール(50)の自転を制限している。このため、例えば可動スクロールの自転を制限する機構として一般的なオルダムリング機構を採用する場合に比べ、旋回スクロール(50)の自転を制限するために必要となる摺動箇所を削減することができ、部材同士の摺動に伴う摩擦損失を低減することができる。従って、これらの発明によれば、旋回スクロール(50)の自転を制限する際に生じる摩擦損失を低減することができ、スクロール型流体機械(10)における動力の損失を低減することができる。
また、上記第1乃至第8の各発明では、ピン軸部(70)とスライド溝(80)の側面とを摺動させることで旋回スクロール(50)の自転を制限しており、旋回スクロール(50)の自転を規制するためにオルダムリングのような比較的大型の部材を用いる必要がない。このため、従来は比較的大きなオルダムリングが移動する際に潤滑油を撹拌することでも動力の損失が生じていたのに対し、これらの発明によれば、このような部材が潤滑油を撹拌することに起因する損失をも低減することができ、この点でもスクロール型流体機械(10)における動力の損失を低減することができる。
また、上記第1乃至第8の各発明では、旋回ラップ(52)と非旋回ラップ(63)の何れもが、それぞれの内周側端部から外周側端部へ向かって厚みが次第に増減する形状となっている。このため、旋回ラップ(52)と非旋回ラップ(63)のそれぞれについて、厚みの変動幅を最小限に抑えることができる。従って、この発明によれば、厚みの変化に起因する旋回ラップ(52)や非旋回ラップ(63)の剛性低下を最小限に抑えることができ、旋回ラップ(52)や非旋回ラップ(63)の変形に起因する流体の漏れを抑えてスクロール型流体機械(10)の効率を確保することができる。
以下、本発明の実施形態と参考技術を図面に基づいて詳細に説明する。
参考技術1
参考技術1について説明する。本参考技術のスクロール圧縮機(10)は、本発明に係るスクロール型流体機械によって構成されている。このスクロール圧縮機(10)は、冷凍装置の冷媒回路に設けられ、ガス冷媒を圧縮するために用いられる。
〈スクロール圧縮機の全体構成〉
図1に示すように、上記スクロール圧縮機(10)は、いわゆる全密閉形に構成されている。このスクロール圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器状に形成されたケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)の内部には、下から上へ向かって順に、下部軸受部材(30)と、電動機(35)と、圧縮機構(40)とが配置されている。また、ケーシング(11)の内部には、上下に延びる駆動軸(20)が設けられている。
ケーシング(11)の頂部には、吸入管(12)が取り付けられている。この吸入管(12)は、その終端が圧縮機構(40)に接続されている。ケーシング(11)の胴部には、吐出管(13)が取り付けられている。この吐出管(13)は、その終端がケーシング(11)内における電動機(35)と圧縮機構(40)の間に開口している。
駆動軸(20)は、主軸部(21)と、偏心部である偏心軸部(22)とを備え、回転シャフトを構成している。主軸部(21)は、その上端部がやや大径に形成されている。この主軸部(21)の軸心が、回転シャフトの軸心(即ち、回転シャフトの回転軸)となる。偏心軸部(22)は、主軸部(21)よりも小径の円柱状に形成され、主軸部(21)の上端面に立設されている。この偏心軸部(22)は、主軸部(21)に対して偏心しており、偏心ピンを構成している。つまり、偏心軸部(22)の軸心は、主軸部(21)の軸心と平行になると共に、主軸部(21)の軸心から所定の距離だけ離れている。なお、駆動軸(20)は、回転シャフトであると同時にクランクでもある。また、偏心軸部(22)は、偏心部であると同時に偏心ピンでもある。
図示しないが、駆動軸(20)の内部には、上下方向へ延びる給油通路が形成されている。また、主軸部(21)の下端部には、遠心ポンプが設けられている。ケーシング(11)の底から遠心ポンプによって吸い上げられた冷凍機油は、駆動軸(20)内の給油通路を通って圧縮機構(40)等へ供給される。
下部軸受部材(30)は、ケーシング(11)の胴部の下端付近に固定されている。下部軸受部材(30)の中心部には滑り軸受けが形成されており、この滑り軸受けは主軸部(21)の下端部を回転自在に支持している。
電動機(35)は、固定子(36)と回転子(37)とによって構成されている。固定子(36)は、ケーシング(11)の胴部に固定されている。回転子(37)は、駆動軸(20)の主軸部(21)に固定されている。
圧縮機構(40)は、旋回スクロールとしての可動スクロール(50)と、非旋回スクロールとしての固定スクロール(60)と、ハウジング部材としてのハウジング(45)とを備えている。この圧縮機構(40)では、固定スクロール(60)の固定側ラップ(63)と、可動スクロール(50)の可動側ラップ(52)とが噛み合わされることにより、流体室である圧縮室(41)が形成されている。
図2,図3にも示すように、可動スクロール(50)は、旋回鏡板部としての可動側鏡板部(51)と、旋回ラップとしての可動側ラップ(52)と、係合部としての突出筒部(53)とを備えている。
可動側鏡板部(51)は、やや肉厚の円板状に形成されている。この可動側鏡板部(51)では、その前面(図1〜3における上面)に可動側ラップ(52)が突設され、その背面(図1〜3における下面)に突出筒部(53)が突設されている。また、可動側鏡板部(51)には、スライド溝(80)が形成されている。このスライド溝(80)については後述する。
可動側ラップ(52)は、可動側鏡板部(51)の上面側に立設され、可動側鏡板部(51)と一体に形成されている。この可動側ラップ(52)は、高さが一定の渦巻き壁状に形成されている。可動側ラップ(52)については後述する。
突出筒部(53)は、円筒状に形成されており、可動側鏡板部(51)の背面のほぼ中央に配置されている。この突出筒部(53)には、駆動軸(20)の偏心軸部(22)が挿入されている。つまり、可動スクロール(50)には、駆動軸(20)の偏心軸部(22)が係合している。駆動軸(20)が回転すると、偏心軸部(22)と係合した可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転する。その際、可動スクロール(50)の公転半径は、偏心軸部(22)の軸心と主軸部(21)の軸心との距離、即ち偏心軸部(22)の偏心量と一致する。
固定スクロール(60)は、ケーシング(11)の胴部に固定されている。この固定スクロール(60)は、非旋回鏡板部としての固定側鏡板部(61)と、縁部(62)と、非旋回ラップとしての固定側ラップ(63)とを備えている。また、固定スクロール(60)には、ピン軸部(70)が設けられている。このピン軸部(70)については後述する。
固定側鏡板部(61)は、やや肉厚の円板状に形成されている。固定側鏡板部(61)の中央部には、吐出口(64)が形成されている。この吐出口(64)は、固定側鏡板部(61)を貫通している。
縁部(62)は、固定側鏡板部(61)の周縁部分から下方へ向かって延びる壁状に形成されている。縁部(62)は、その下端部が全周に亘って外側へ突出している。また、縁部(62)は、その周方向の3箇所で外側へ突出している。
固定側ラップ(63)は、固定側鏡板部(61)の下面側に立設され、固定側鏡板部(61)と一体に形成されている。この固定側ラップ(63)は、高さが一定の渦巻き壁状に形成されている。固定側ラップ(63)については後述する。
ハウジング(45)は、ケーシング(11)の胴部に固定されている。このハウジング(45)は、上段部(46)と中段部(47)と下段部(48)とによって構成されている(図3を参照)。上段部(46)は、皿状に形成されている。中段部(47)は、上段部(46)よりも小径の円筒状に形成され、上段部(46)の下面から下方へ突出している。下段部(48)は、中段部(47)よりも小径の円筒状に形成され、中段部(47)の下面から下方へ突出している。下段部(48)には駆動軸(20)の主軸部(21)が挿通されており、この下段部(48)が駆動軸(20)を支持する滑り軸受けとなっている。
上述したように、圧縮機構(40)では、固定スクロール(60)とハウジング(45)とがケーシング(11)に固定されている。つまり、固定スクロール(60)とハウジング(45)とは、共に同一座標系に配置されている。そして、この圧縮機構(40)では、固定スクロール(60)とハウジング(45)とが非旋回部材(69)を構成している。なお、固定スクロール(60)及びハウジング(45)によって構成された非旋回部材(69)は、固定側部材でもある。
圧縮機構(40)では、固定スクロール(60)とハウジング(45)に囲まれた空間内に可動スクロール(50)が収納される。可動スクロール(50)は、ハウジング(45)の上段部(46)に載置されている。可動側鏡板部(51)の背面は、上段部(46)の底面と摺動する。また、突出筒部(53)は、ハウジング(45)の中段部(47)の内側に位置している。
〈ピン軸部とスライド溝の構成〉
上述したように、可動スクロール(50)にはスライド溝(80)が形成され、固定スクロール(60)にはピン軸部(70)が設けられている。圧縮機構(40)では、可動スクロール(50)が主軸部(21)の軸心を中心に公転すると同時に、ピン軸部(70)をスライド溝(80)に係合させることによって可動スクロール(50)の自転が規制される。
先ず、スライド溝(80)及びピン軸部(70)の具体的な構造について、図2及び図3を参照しながら説明する。
可動側鏡板部(51)において、スライド溝(80)は、可動側ラップ(52)の外周側端部の近傍に形成されている。具体的に、スライド溝(80)は、可動側ラップ(52)の渦巻き方向に沿ってその外周側端部よりも先へ進んだ位置に設けられている。このスライド溝(80)は、一定幅の真っ直ぐな凹溝であって、概ね可動側鏡板部(51)の半径方向へ延びている。スライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)の前面(図2,図3における上面)だけでなく、可動側鏡板部(51)の外周面にも開口している。つまり、スライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)を貫通しない有底の凹溝であって、可動側鏡板部(51)の背面には開口していない。
固定スクロール(60)において、ピン軸部(70)は、縁部(62)の下面から突出するように設けられている。このピン軸部(70)は、縁部(62)の下面において可動スクロール(50)のスライド溝(80)と対向する位置に配置されている。
ピン軸部(70)は、円柱状に形成された1本の柱状ピン(71)によって構成されている。柱状ピン(71)の外径は、スライド溝(80)の幅よりも僅かに小さくなっている。柱状ピン(71)の基端部(図2,図3における上端部)は、固定スクロール(60)の縁部(62)に埋め込まれている。具体的には、縁部(62)に柱状ピン(71)を挿入するための孔が予め形成されており、この孔に柱状ピン(71)が圧入されている。つまり、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、固定スクロール(60)に固着されており、固定スクロール(60)に対する相対移動が禁止された状態となっている。一方、柱状ピン(71)の突端部(図2,図3における下端部)は、可動スクロール(50)のスライド溝(80)に嵌り込んでいる。つまり、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、スライド溝(80)に係合している。
次に、スライド溝(80)及びピン軸部(70)の配置や形状について、図4を参照しながら説明する。図4は、主軸部(21)、偏心軸部(22)、及び柱状ピン(71)の各軸心と、スライド溝(80)との位置関係を、主軸部(21)の軸心に直交する平面上に表したものである。図4では、Ofが主軸部(21)の軸心位置を、Osが偏心軸部(22)の軸心位置を、Opがピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心位置を、Lがスライド溝(80)の幅方向の中心線をそれぞれ表している。
上述したように、可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転する。図4において、可動スクロール(50)の公転半径は、線分OfOsの長さとして表される。また、柱状ピン(71)と主軸部(21)の軸心同士の距離は、線分OpOfの長さとして表される。そして、図4に示すように、線分OpOfは、線分OfOsよりも長くなっている。つまり、固定スクロール(60)において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その軸心と主軸部(21)の軸心との距離が可動スクロール(50)の公転半径よりも長くなるように配置されている。
ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その外径がスライド溝(80)の幅とほぼ一致している。このため、図4では柱状ピン(71)の軸心位置Opがスライド溝(80)の中心線L上に乗ることとなり、柱状ピン(71)の軸心がスライド溝(80)の中心線と直交する。また、図4に示すように、スライド溝(80)の中心線L上には偏心軸部(22)の軸心位置Osが乗っており、偏心軸部(22)の軸心もスライド溝(80)の中心線と直交する。従って、スライド溝(80)の中心線は、偏心軸部(22)の軸心とピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する。つまり、可動スクロール(50)において、スライド溝(80)は、その中心線が偏心軸部(22)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交するように形成されている。
〈可動側ラップと固定側ラップの構成〉
可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)とについて、図5を参照しながら説明する。
上述したように、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)は、それぞれが渦巻き壁状に形成されている。本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、いわゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固定側ラップ(63)と可動側ラップ(52)とで巻き数が相違している。具体的に、固定側ラップ(63)は、可動側ラップ(52)よりも約1/2巻き分だけ長くなっている。そして、固定側ラップ(63)の外周側端部は、可動側ラップ(52)の外周側端部の近傍に位置している。なお、この固定側ラップ(63)は、その最外周部分が縁部(62)と一体化されている(図2を参照)。
上述したように、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)は、互いに噛み合わされて複数の圧縮室(41)を形成している。これら複数の圧縮室(41)は、可動側ラップ(52)の外側面(外側ラップ面)に臨むものがA室(42)となり、可動側ラップ(52)の内側面(内側ラップ面)に臨むものがB室(43)となっている。本参考技術では、固定側ラップ(63)の巻き数が可動側ラップ(52)の巻き数よりも多いため、A室(42)の最大容積がB室(43)の最大容積よりも大きくなっている。
ここで、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、可動スクロール(50)が一般的なスクロール圧縮機と異なっている。具体的には、オルダムリング機構等を採用する一般的なスクロール圧縮機では可動スクロールの自転が完全に禁止されるのに対し、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、後述するように、可動スクロール(50)の自転がある程度許容される。
そこで、本参考技術では、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の厚みを変化させることによって、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の形状を可動スクロール(50)の動きに適合させている。具体的には、可動側ラップ(52)の内側面及び外側面と、固定側ラップ(63)の内側面及び外側面、即ち全てのラップ面を一般的なスクロール型流体機械における形状とは異なる形状としている。本参考技術の可動側ラップ(52)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。また、本参考技術の固定側ラップ(63)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。そして、固定側ラップ(63)は、その内側面が可動側ラップ(52)の外側面の包絡面となり、その外側面が可動側ラップ(52)の内側面の包絡面となる。
−運転動作−
先ず、スクロール圧縮機(10)が冷媒を圧縮する動作について説明する。上述のように、本参考技術のスクロール圧縮機(10)は、冷凍機の冷媒回路に設けられている。そして、スクロール圧縮機(10)は、蒸発器から低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、圧縮後の高圧のガス冷媒を凝縮器へ送り出す。
具体的に、電動機(35)で発生した回転動力は、駆動軸(20)によって可動スクロール(50)に伝達される。駆動軸(20)の偏心軸部(22)に係合する可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転する。その際、可動スクロール(50)は、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)がスライド溝(80)に係合することによって、その自転が制限される。
スクロール圧縮機(10)へ吸入される低圧のガス冷媒は、吸入管(12)を通って圧縮機構(40)へ流入する。このガス冷媒は、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の外周側から圧縮室(41)へ吸入される。可動スクロール(50)が公転運動すると、それにつれて閉じ込み状態となった圧縮室(41)の容積が減少してゆき、圧縮室(41)内のガス冷媒が圧縮されてゆく。そして、圧縮されて高圧となったガス冷媒は、吐出口(64)を通って圧縮機構(40)の上側の空間へ吐出される。この圧縮機構(40)から吐出されたガス冷媒は、図外の通路を通って圧縮機構(40)の下側の空間へ流入し、その後に吐出管(13)を通ってケーシング(11)から吐出される。
次に、可動スクロール(50)の動きについて、図6を参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「右回り」と「左回り」は、それぞれ図6における「右回り」と「左回り」を意味している。
図6に示すように、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心と、駆動軸(20)の軸心と、偏心軸部(22)の軸心とが順に一直線上に並んだ時点における駆動軸(20)の回転角度を0°とする。そして、図6(A)は駆動軸(20)の回転角度が0°又は360°の状態を、図6(B)は駆動軸(20)の回転角度が90°の状態を、図6(C)は駆動軸(20)の回転角度が180°の状態を、図6(D)は駆動軸(20)の回転角度が270°の状態をそれぞれ表している。
駆動軸(20)が左回りに回転すると、可動スクロール(50)が主軸部(21)の軸心を中心に公転してゆく。そして、駆動軸(20)の回転角度が180°となった時点では、柱状ピン(71)の軸心と駆動軸(20)の軸心との間に偏心軸部(22)の軸心が位置する(図6(C)を参照)。その間、スライド溝(80)の側面が柱状ピン(71)の側面と摺動し、可動スクロール(50)の自転が制限される。
具体的に、駆動軸(20)の回転角度が0°から増大するにつれて、可動スクロール(50)は、左回りに自転してゆく。その後、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が所定の値に達すると今度は右回りに自転する。そして、駆動軸(20)の回転角度が180°となった時点において、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が0°の時点と同様に、その自転角度が0°になる。
駆動軸(20)が左回りに引き続き回転すると、やがて駆動軸(20)の回転角度が360°となり、駆動軸(20)の回転角度が0°の状態と同じ状態に戻る(図6(A)を参照)。その間、スライド溝(80)の側面が柱状ピン(71)の側面と摺動し、可動スクロール(50)の自転が制限される。
具体的に、駆動軸(20)の回転角度が180°から増大するにつれて、可動スクロール(50)は、右回りに自転してゆく。その後、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が所定の値に達すると今度は左回りに自転する。そして、駆動軸(20)の回転角度が360°となった時点において、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が0°の時点と同様に、その自転角度が0°になる。
参考技術1の効果−
参考技術では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)とスライド溝(80)の側面とを摺動させることで可動スクロール(50)の自転を制限している。つまり、スライド溝(80)に沿ってピン軸部(70)が相対的にスライドするという比較的単純な機構によって、可動スクロール(50)の自転を制限している。このため、例えば可動スクロールの自転を制限する機構として一般的なオルダムリング機構を採用する場合に比べ、可動スクロール(50)の自転を制限するために必要となる摺動箇所を削減することができ、部材同士の摺動に伴う摩擦損失を低減することができる。
この点について、図7を参照しながら説明する。
図7(B)は、オルダムリング機構を用いて可動スクロール(100)の自転を規制する一般的なスクロール圧縮機を示している。この一般的なスクロール圧縮機において、駆動軸(103)が1回転する間に可動スクロール(100)やハウジング(101)とオルダムリング(102)との間で生じる摩擦損失Wは、次式で表される。
=2×(F×μ×4Lor)+2×(F×μ×4Lor
=2μ(M/L+M/L)×4Lor
F :可動スクロール側のキー溝反力
R :ハウジング側のキー溝反力
μ :オルダムリングのキーとキー溝の摩擦係数
:可動スクロールに係合するキー同士の距離
:ハウジングに係合するキー同士の距離
or:駆動軸における偏心部の偏心量
M :可動スクロールの自転モーメント
=L=Lであると仮定した場合、摩擦損失Wを表す式は下記の式1となる。
=4μ(M/L)×4Lor … 式1
一方、図7(A)は、本参考技術のスクロール圧縮機(10)を示している。このスクロール圧縮機(10)において、駆動軸(20)が1回転する間にピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)とスライド溝(80)との間で生じる摩擦損失Wは、次式で表される。
=R'×μ×4Lor
=μ(M/L)×4Lor
R' :スライド溝が柱状ピンへ及ぼす反力
μ :柱状ピンとスライド溝の摩擦係数
:柱状ピンと偏心部の軸心間距離
or:駆動軸における偏心部の偏心量
M :可動スクロールの自転モーメント
参考技術のスクロール圧縮機(10)では、通常はL≒2Lになると考えられる。そこで、L=2Lであると仮定した場合、摩擦損失Wを表す式は下記の式2となる。
=2μ(M/L)×4Lor … 式2
そして、上記の式1及び式2より、W=1/2×Wとなる。つまり、本参考技術のスクロール圧縮機(10)において、可動スクロール(50)の自転を制限するための機構によって生じる摩擦損失は、オルダムリング機構を用いた一般的なスクロール圧縮機の約半分となる。従って、本参考技術によれば、可動スクロールの自転を制限する際に生じる摩擦損失を概ね半減させることができ、スクロール圧縮機(10)における動力の損失を低減することができる。
また、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、可動スクロール(50)に形成したスライド溝(80)をピン軸部(70)と摺動させることで可動スクロール(50)の自転を制限している。つまり、このスクロール圧縮機(10)では、圧縮機構(40)において移動する部材が可動スクロール(50)だけとなり、オルダムリングのような比較的大型の部材を用いずに可動スクロール(50)の自転を制限できる。
このため、従来は比較的大きなオルダムリングが移動する際に潤滑油を撹拌することでも動力の損失が生じていたのに対し、本参考技術によれば、このような部材による潤滑油の撹拌に起因する損失をも低減することができ、この点でもスクロール圧縮機(10)における動力の損失を低減することができる。
ここで、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、固定側ラップ(63)の巻き数が可動側ラップ(52)の巻き数よりも多い非対称渦巻き構造が採用されており、A室(42)の最大容積がB室(43)の最大容積よりも大きくなっている。一方、このスクロール圧縮機(10)では、可動スクロール(50)の自転が完全には禁止されていない。そして、可動スクロール(50)の自転をある程度許容した場合には、可動スクロール(50)の自転を完全に禁止した場合に比べ、A室(42)の最大容積を減少させてB室(43)の最大容積を増加させることが可能となる。従って、本参考技術によれば、いわゆる非対称渦巻き構造を採用した場合におけるA室(42)とB室(43)の最大容積の差を縮小することが可能となる。この結果、可動スクロール(50)を駆動するのに要するトルクの変動を抑えることができ、スクロール圧縮機(10)の振動を低減することが可能となる。
また、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)が固定スクロール(60)に設けられているため、柱状ピン(71)と固定側ラップ(63)の位置精度を比較的容易に確保することができる。従って、本参考技術によれば、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)の隙間を確実に管理して圧縮室(41)からの冷媒ガスの漏れを抑えることができ、スクロール圧縮機(10)の効率向上を図ることができる。
参考技術1の変形例1−
参考技術では、図8に示すように、スライド溝(80)が可動側ラップ(52)の可動側鏡板部(51)を貫通していてもよい。この場合、スライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)をその外周面から中心へ向かって切り欠くことによって形成される。
参考技術1の変形例2−
参考技術では、図9に示すように、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)がハウジング(45)に取り付けられていてもよい。本変形例において、スライド溝(80)は、図8に示す変形例1と同様に、可動側ラップ(52)の可動側鏡板部(51)を貫通している。なお、このスライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)の背面(図8における下面)に開口する凹溝状に形成されていてもよい。
ハウジング(45)において、柱状ピン(71)は、上段部(46)の底面から上方へ突出するように設けられている。柱状ピン(71)の基端部(図9における下端部)は、上段部(46)の底面に埋め込まれている。具体的には、上段部(46)の底面に柱状ピン(71)を挿入するための孔が予め形成されており、この孔に柱状ピン(71)が圧入されている。つまり、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、ハウジング(45)に固着されており、ハウジング(45)に対する相対移動が禁止された状態となっている。一方、柱状ピン(71)の突端部(図9における上端部)は、可動スクロール(50)のスライド溝(80)に嵌り込んでいる。
本変形例では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)がハウジング(45)に設けられているため、ハウジング(45)に支持される主軸部(21)の軸心と柱状ピン(71)の位置精度を比較的容易に確保することができる。従って、本変形例によれば、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)の隙間を確実に管理して圧縮室(41)からの冷媒ガスの漏れを抑えることができ、スクロール圧縮機(10)の効率向上を図ることができる。
参考技術1の変形例3−
参考技術では、図10に示すように、ピン軸部(70)を構成する1本の柱状ピン(71)が固定スクロール(60)とハウジング(45)の両方に取り付けられていてもよい。この場合、柱状ピン(71)は、同図における上端部が固定スクロール(60)に圧入され、同図における下端部がハウジング(45)に圧入される。そして、柱状ピン(71)は、その軸方向(上下方向)の中央部がスライド溝(80)の側面と摺動する。
本変形例において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その一端が固定スクロール(60)に支持され、他端がハウジング(45)に支持される。このため、柱状ピン(71)の変形量を低減することが可能となり、柱状ピン(71)の変形に起因する柱状ピン(71)やスライド溝(80)の偏摩耗を抑えることができる。
参考技術1の変形例4−
参考技術では、図11に示すように、スライド溝(80)の中心線Lが、偏心軸部(22)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する直線と所定の鋭角をなしていてもよい。
図11は、図4に対応するものであり、Ofが主軸部(21)の軸心位置を、Osが偏心軸部(22)の軸心位置を、Opがピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心位置を、Lがスライド溝(80)の幅方向の中心線をそれぞれ表している。偏心軸部(22)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する直線は、同図において偏心軸部(22)の軸心位置Osと柱状ピン(71)の軸心位置Opを通る直線OpOsとなる。そして、本変形例では、スライド溝(80)の中心線Lと直線OpOsのなす角度が90°未満となっている。
本変形例によれば、スライド溝(80)の中心線が偏心軸部(22)及び柱状ピン(71)の各軸心と直交する場合に比べ、可動スクロール(50)の自転角度を小さくすることが可能となる。このため、可動スクロール(50)が自転することに伴う可動側ラップ(52)や固定側ラップ(63)の厚みの変化を縮小することができ、可動側ラップ(52)や固定側ラップ(63)の剛性を確保しやすくなる。
参考技術2
参考技術2について説明する。本参考技術は、上記参考技術1において、圧縮機構(40)の構成を変更したものである。ここでは、本参考技術のスクロール圧縮機(10)について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図12に示すように、本参考技術の圧縮機構(40)では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)が可動スクロール(50)に取り付けられ、スライド溝(80)が固定スクロール(60)に形成される。
先ず、スライド溝(80)及びピン軸部(70)の具体的な構造について、図12を参照しながら説明する。
可動側鏡板部(51)において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その前面側(図12における上面側)へ突出するように設けられている。また、可動側鏡板部(51)において、柱状ピン(71)は、可動側ラップ(52)の外周側端部の近傍に配置されている。具体的に、この柱状ピン(71)は、可動側ラップ(52)の渦巻き方向に沿ってその外周側端部よりも先へ進んだ位置に設けられている。
柱状ピン(71)の基端部(図12における下端部)は、可動側鏡板部(51)に埋め込まれている。具体的には、可動側鏡板部(51)に柱状ピン(71)を挿入するための孔が予め形成されており、この孔に柱状ピン(71)が圧入されている。つまり、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)に固着されており、可動スクロール(50)に対する相対移動が禁止された状態となっている。
固定スクロール(60)において、スライド溝(80)は、可動スクロール(50)の柱状ピン(71)と対向する位置に形成されている。スライド溝(80)は、一定幅の真っ直ぐな凹溝であって、縁部(62)の下面に開口している。また、スライド溝(80)は、概ね固定スクロール(60)の半径方向へ延びている。このスライド溝(80)には、柱状ピン(71)の突端部(図12における上端部)が嵌り込んでいる。つまり、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、スライド溝(80)に係合している。
次に、スライド溝(80)及びピン軸部(70)の配置や形状について、図13を参照しながら説明する。図13は、主軸部(21)、偏心軸部(22)、及び柱状ピン(71)の各軸心と、スライド溝(80)との位置関係を、主軸部(21)の軸心に直交する平面上に表したものである。図13では、Ofが主軸部(21)の軸心位置を、Osが偏心軸部(22)の軸心位置を、Opがピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心位置を、Lがスライド溝(80)の幅方向の中心線をそれぞれ表している。
上述したように、可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転する。図13において、可動スクロール(50)の公転半径は、線分OfOsの長さとして表される。また、柱状ピン(71)と偏心軸部(22)の軸心同士の距離は、線分OpOsの長さとして表される。そして、図13に示すように、線分OpOsは、線分OfOsよりも長くなっている。つまり、固定スクロール(60)において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その軸心と偏心軸部(22)の軸心との距離が可動スクロール(50)の公転半径よりも長くなるように配置されている。
ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その外径がスライド溝(80)の幅よりも僅かに小さくなっている。このため、図13では柱状ピン(71)の軸心位置Opがスライド溝(80)の中心線L上に乗ることとなり、柱状ピン(71)の軸心がスライド溝(80)の中心線と直交する。また、図13に示すように、スライド溝(80)の中心線L上には主軸部(21)の軸心位置Ofが乗っており、主軸部(21)の軸心もスライド溝(80)の中心線と直交する。従って、スライド溝(80)の中心線は、主軸部(21)の軸心とピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する。つまり、固定スクロール(60)において、スライド溝(80)は、その中心線が主軸部(21)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交するように形成されている。
−運転動作−
参考技術のスクロール圧縮機(10)において、可動スクロール(50)は、上記参考技術1の場合とほぼ同様の動きをする。つまり、可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転し、それと同時に偏心軸部(22)の軸心を中心として所定の角度範囲内で自転する。ただし、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、可動スクロール(50)に取り付けられた柱状ピン(71)が固定スクロール(60)に形成されたスライド溝(80)に係合している。そして、可動スクロール(50)の柱状ピン(71)がスライド溝(80)によって案内され、この柱状ピン(71)がスライド溝(80)の側面と摺動することによって可動スクロール(50)の自転が制限される。
参考技術2の効果−
参考技術によれば、上記参考技術1と同様に、可動スクロール(50)の自転を制限する際に生じる摩擦損失の削減や、オルダムリング等の部材が潤滑油を撹拌することに起因する損失の削減が可能となり、スクロール圧縮機(10)における動力の損失を低減することができる。
また、本参考技術によれば、可動スクロール(50)の自転がある程度許容されることから、上記参考技術1と同様に、A室(42)とB室(43)の最大容積の差を縮小することが可能となり、スクロール圧縮機(10)の振動低減を図ることができる。
また、本参考技術のスクロール圧縮機(10)では、スライド溝(80)が固定スクロール(60)に設けられているため、スライド溝(80)と固定側ラップ(63)の位置精度を比較的容易に確保することができる。従って、本参考技術によれば、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)の隙間を確実に管理して圧縮室(41)からの冷媒ガスの漏れを抑えることができ、スクロール圧縮機(10)の効率向上を図ることができる。
参考技術2の変形例1−
参考技術では、図14に示すように、スライド溝(80)をハウジング(45)に形成してもよい。具体的に、本変形例のスライド溝(80)は、ハウジング(45)の上段部(46)に形成されている。このスライド溝(80)は、上段部(46)の底部の上面に開口する凹溝となっている。本変形例において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)の背面側(図14における下面側)に突出している。この柱状ピン(71)は、その上端部が可動側鏡板部(51)に予め形成された穴に圧入され、その下端部がスライド溝(80)に嵌り込んでいる。
本変形例では、スライド溝(80)をハウジング(45)に形成しているため、ハウジング(45)に支持される主軸部(21)の軸心とスライド溝(80)の位置精度を比較的容易に確保することができる。従って、本変形例によれば、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)の隙間を確実に管理して圧縮室(41)からの冷媒ガスの漏れを抑えることができ、スクロール圧縮機(10)の効率向上を図ることができる。
参考技術2の変形例2−
参考技術では、図15及び図16に示すように、スライド溝(80)を固定スクロール(60)とハウジング(45)の両方に形成してもよい。ハウジング(45)に形成されたスライド溝(80)は、上段部(46)の底部の上面に開口する凹溝となっている。本変形例において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)の前面側(図15,図16における上面側)だけでなく背面側(図15,図16における下面側)にも突出している。つまり、この柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)を貫通している。そして、柱状ピン(71)は、その上端部が固定スクロール(60)のスライド溝(80)に嵌り込み、その下端部がハウジング(45)のスライド溝(80)に嵌り込んでいる。
本変形例において、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、その上端部が固定スクロール(60)のスライド溝(80)と摺動し、下端部がハウジング(45)のスライド溝(80)と摺動する。このため、柱状ピン(71)の変形量を低減することが可能となり、柱状ピン(71)の変形に起因する柱状ピン(71)やスライド溝(80)の偏摩耗を抑えることができる。
参考技術2の変形例3−
参考技術では、図17に示すように、スライド溝(80)の中心線Lが、主軸部(21)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する直線と所定の鋭角をなしていてもよい。
図17は、図13に対応するものであり、Ofが主軸部(21)の軸心位置を、Osが偏心軸部(22)の軸心位置を、Opがピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の軸心位置を、Lがスライド溝(80)の幅方向の中心線をそれぞれ表している。主軸部(21)の軸心と柱状ピン(71)の軸心との両方と直交する直線は、同図において主軸部(21)の軸心位置Ofと柱状ピン(71)の軸心位置Opを通る直線OpOfとなる。そして、本変形例では、スライド溝(80)の中心線Lと直線OpOfのなす角度が、90°未満となっている。
本変形例によれば、スライド溝(80)の中心線が主軸部(21)及び柱状ピン(71)の各軸心と直交する場合に比べ、可動スクロール(50)の自転角度を小さくすることが可能となる。このため、可動スクロール(50)が自転することに伴う可動側ラップ(52)や固定側ラップ(63)の厚みの変化を縮小することができ、可動側ラップ(52)や固定側ラップ(63)の剛性を確保しやすくなる。
参考技術3
参考技術3について説明する。本参考技術は、上記参考技術1において、ピン軸部(70)とスライド溝(80)の構成を変更したものである。ここでは、本参考技術のスクロール圧縮機(10)について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図18に示すように、本参考技術のピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)には、一対の摺動面(72)が形成されている。この摺動面(72)は、柱状ピン(71)の側面を部分的に削ぎ落とすことで形成された平坦面であって、柱状ピン(71)の下端からその高さの約半分に亘って形成されている。また、この摺動面(72)は、柱状ピン(71)の軸心と平行な平坦面となっており、柱状ピン(71)の軸心を挟んで対向する位置に1つずつ形成されている。
参考技術において、柱状ピン(71)の基端部(図18における上端部)は、固定スクロール(60)に形成された嵌合孔(65)に遊嵌されている。具体的に、嵌合孔(65)の直径は、柱状ピン(71)の基端部の直径よりも僅かに大きくなっている。そして、この嵌合孔(65)へ挿入された柱状ピン(71)は、固定スクロール(60)に対して回転自在となっている。
また、本参考技術において、スライド溝(80)は、可動スクロール(50)の可動側鏡板部(51)を貫通している。このスライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)をその外周面から中心へ向かって切り欠くことによって形成される。スライド溝(80)の幅は、柱状ピン(71)における摺動面(72)同士の距離よりも僅かに広くなっている。このスライド溝(80)には、柱状ピン(71)の先端部(図18における下端部)が嵌め込まれる。そして、柱状ピン(71)の先端部に形成された摺動面(72)が、スライド溝(80)の側面と摺動する。
−運転動作−
参考技術のスクロール圧縮機(10)が冷媒を圧縮する動作は、上記参考技術1の場合と同様である。ここでは、可動スクロール(50)の動きについて、図19を参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「右回り」と「左回り」は、それぞれ図19における「右回り」と「左回り」を意味している。
図19は、図6に対応するものである。つまり、図19(A)は駆動軸(20)の回転角度が0°又は360°の状態を、図19(B)は駆動軸(20)の回転角度が90°の状態を、図19(C)は駆動軸(20)の回転角度が180°の状態を、図19(D)は駆動軸(20)の回転角度が270°の状態をそれぞれ表している。
駆動軸(20)が左回りに回転すると、可動スクロール(50)が主軸部(21)の軸心を中心に公転してゆく。その間、スライド溝(80)の側面が柱状ピン(71)の側面と摺動し、可動スクロール(50)の自転が制限される。
具体的に、駆動軸(20)の回転角度が0°から増大するにつれて、可動スクロール(50)は、左回りに自転してゆく。その際には、可動スクロール(50)の自転に伴ってピン軸部(70)も左回りに自転する。その後、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が所定の値に達すると今度は右回りに自転する。その際には、可動スクロール(50)の自転に伴ってピン軸部(70)も右回りに自転する。そして、駆動軸(20)の回転角度が180°となった時点において、可動スクロール(50)及び柱状ピン(71)は、駆動軸(20)の回転角度が0°の時点と同様に、その自転角度が0°になる。
駆動軸(20)が左回りに引き続き回転すると、やがて駆動軸(20)の回転角度が360°となり、駆動軸(20)の回転角度が0°の状態と同じ状態に戻る(図19(A)を参照)。その間、スライド溝(80)の側面が柱状ピン(71)の側面と摺動し、可動スクロール(50)の自転が制限される。
具体的に、駆動軸(20)の回転角度が180°から増大するにつれて、可動スクロール(50)は、右回りに自転してゆく。その際には、可動スクロール(50)の自転に伴ってピン軸部(70)も右回りに自転する。その後、可動スクロール(50)は、駆動軸(20)の回転角度が所定の値に達すると今度は左回りに自転する。その際には、可動スクロール(50)の自転に伴ってピン軸部(70)も左回りに自転する。そして、駆動軸(20)の回転角度が360°となった時点において、可動スクロール(50)及び柱状ピン(71)は、駆動軸(20)の回転角度が0°の時点と同様に、その自転角度が0°になる。
参考技術3の効果−
参考技術によれば、上記参考技術1により得られる効果に加えて、次のような効果が得られる。
参考技術では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)に平面状の摺動面(72)が形成されており、可動スクロール(50)の自転を制限するための力が柱状ピン(71)の摺動面(72)に作用する。このため、可動スクロール(50)の公転中に柱状ピン(71)の摺動面(72)やスライド溝(80)の側面に作用する面圧を低下させることができ、柱状ピン(71)の摺動面(72)とスライド溝(80)の側面との間における潤滑状態を改善できる。従って、本参考技術によれば、柱状ピン(71)の摺動面(72)とスライド溝(80)の側面との間における潤滑を確実に行うことができ、焼き付きや摩耗などのトラブルが生じる可能性を低下させてスクロール圧縮機(10)の信頼性を向上させることができる。
参考技術3の変形例1−
参考技術では、図20に示すように、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)を可動スクロール(50)に取り付け、スライド溝(80)をハウジング(45)に形成してもよい。
本変形例の可動スクロール(50)には、図示しないが、柱状ピン(71)を挿入するための嵌合孔が形成されている。この嵌合孔は、可動側鏡板部(51)に形成されており、可動側鏡板部(51)の背面(図20における下面)に開口している。そして、柱状ピン(71)は、摺動面(72)の形成されていない基端部(図20における上端部)が可動側鏡板部(51)の嵌合孔に遊嵌され、可動スクロール(50)に対して回転自在となっている。
本変形例のスライド溝(80)は、ハウジング(45)の上段部(46)に形成されている。このスライド溝(80)は、上段部(46)の底部の上面に開口する凹溝となっている。ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、摺動面(72)の形成された突端部(図20における下端部)がスライド溝(80)に嵌り込んでいる。そして、柱状ピン(71)の摺動面(72)がスライド溝(80)の側面と摺動する。
なお、本変形例ではスライド溝(80)をハウジング(45)に形成したが、スライド溝(80)をハウジング(45)ではなく固定スクロール(60)に形成してもよい。この場合、スライド溝(80)は、固定スクロール(60)の縁部(62)の下面に開口する凹溝となる。また、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)の前面側へ突出するように設けられる。
参考技術3の変形例2−
参考技術では、柱状ピン(71)に形成された摺動面(72)がテーパー面となっていてもよい。具体的に、柱状ピン(71)の摺動面(72)は、スライド溝(80)との摺動方向へ5/1000以下、望ましくは1/1000程度の傾斜が付けられていてもよい。柱状ピン(71)の摺動面(72)をテーパー面にすると、この摺動面(72)とスライド溝(80)の側面との隙間へ入り込んだ潤滑油による“くさび効果”が得られ、この隙間における油膜反力を積極的に発生させることができる。このため、柱状ピン(71)の摺動面(72)とスライド溝(80)の側面との間の潤滑を確実に行うことができ、柱状ピン(71)とスライド溝(80)の摩擦損失を一層確実に低減することができる。
参考技術3の変形例3−
参考技術では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)から摺動面を省略してもよい。つまり、単純な円柱状に形成された柱状ピン(71)を、固定スクロール(60)に対して回転自在に取り付けてもよい。
本変形例の柱状ピン(71)は、スライド溝(80)の側面と摺動しながら自転することとなり、柱状ピン(71)の回転を禁止した場合に比べ、柱状ピン(71)とスライド溝(80)の側面との摺動速度が低下する。このため、柱状ピン(71)とスライド溝(80)の側面との間の潤滑を確実に行うことが可能となり、焼き付きや摩耗等のトラブルが生じる可能性を低減することができる。従って、本変形例によれば、スクロール圧縮機(10)の信頼性を向上させることができる。
参考技術4
参考技術4について説明する。本参考技術は、上記参考技術1において、ピン軸部(70)の構成を変更したものである。ここでは、本参考技術のスクロール圧縮機(10)について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図21に示すように、本参考技術のピン軸部(70)は、本体部材(73)とブッシュ部材(74)とによって構成されている。
本体部材(73)は、円柱状に形成されている。本体部材(73)の基端部(図21における上端部)は、固定スクロール(60)の縁部(62)に埋め込まれている。具体的には、縁部(62)に本体部材(73)を挿入するための孔が予め形成されており、この孔に本体部材(73)が圧入されている。つまり、ピン軸部(70)の本体部材(73)は、固定スクロール(60)に固着されており、固定スクロール(60)に対する相対移動が禁止された状態となっている。本参考技術のピン軸部(70)では、本体部材(73)の軸心がピン軸部(70)の軸心となっている。
ブッシュ部材(74)は、比較的短い四角柱に対して軸方向の四辺に沿って面取りを施したような形状となっている。つまり、ブッシュ部材(74)の断面は、互いに対向する辺が平行となる八角形状となっている。このブッシュ部材(74)では、その側面のうち互いに対向する一対の側面が摺動面(75)を構成している。
また、ブッシュ部材(74)には、該ブッシュ部材(74)をその高さ方向(図21における上下方向)へ貫通する貫通孔(76)が形成されている。この貫通孔(76)は、ブッシュ部材(74)と同軸に形成された断面が円形の孔である。ブッシュ部材(74)の貫通孔(76)には、本体部材(73)の突端部(図21における下端部)が遊嵌される。つまり、貫通孔(76)は、その直径が本体部材(73)の外径よりも僅かに大きくなっている。そして、ブッシュ部材(74)は、その貫通孔(76)へ本体部材(73)が挿通され、本体部材(73)に対して回転自在となっている。
参考技術において、可動側鏡板部(51)に形成されたスライド溝(80)は、その幅がブッシュ部材(74)における摺動面(75)同士の距離よりも僅かに広くなっている。そして、本参考技術のピン軸部(70)は、そのブッシュ部材(74)がスライド溝(80)に嵌り込み、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)がスライド溝(80)の側面と摺動する。
−運転動作−
参考技術のスクロール圧縮機(10)が冷媒を圧縮する動作は、上記参考技術1の場合と同様である。可動スクロール(50)の公転中には、ピン軸部(70)のブッシュ部材(74)がスライド溝(80)の側面と摺動し、それによって可動スクロール(50)の自転が制限される。その際、可動スクロール(50)の自転に伴って、ブッシュ部材(74)が本体部材(73)の軸心を中心に自転する。
参考技術4の効果−
参考技術によれば、上記参考技術1により得られる効果に加えて、次のような効果が得られる。
先ず、本参考技術では、本体部材(73)とは別体のブッシュ部材(74)をスライド溝(80)の側面と摺動させている。従って、本参考技術によれば、本体部材(73)とブッシュ部材(74)とを異なる材質で構成することが可能となり、摺動性能や潤滑性能に優れた材質でブッシュ部材(74)を構成することによって信頼性の向上を図ることが可能となる。
また、本参考技術では、ブッシュ部材(74)に平面状の摺動面(75)が形成されており、可動スクロールの自転を制限するための力がブッシュ部材(74)の摺動面(75)に作用する。このため、可動スクロールの公転中にピン軸部(70)のブッシュ部材(74)やスライド溝(80)の側面に作用する面圧を低下させることができ、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)とスライド溝(80)の側面との間における潤滑状態を改善できる。従って、本参考技術によれば、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)とスライド溝(80)の側面との間における潤滑を確実に行うことができ、焼き付きや摩耗などのトラブルが生じる可能性を低下させてスクロール圧縮機(10)の信頼性を向上させることができる。
参考技術4の変形例1−
参考技術では、図22に示すように、ピン軸部(70)を可動スクロール(50)に設け、スライド溝(80)を固定スクロール(60)に形成してもよい。
本変形例において、ピン軸部(70)の本体部材(73)は、可動側鏡板部(51)に予め形成された孔へ圧入され、可動側鏡板部(51)の前面側(図22における上面側)へ突出した状態となっている。ブッシュ部材(74)の貫通孔(76)へは、本体部材(73)のうち可動側鏡板部(51)の前面側へ突出した部分が挿入される。この変形例においても、ブッシュ部材(74)は本体部材(73)に対して回転自在となっている。
本変形例のスライド溝(80)は、固定スクロール(60)の縁部(62)に形成されている。このスライド溝(80)は、縁部(62)の下面に開口する凹溝となっている。スライド溝(80)にはピン軸部(70)のブッシュ部材(74)が嵌り込んでおり、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)がスライド溝(80)の側面と摺動する。
なお、本変形例ではスライド溝(80)を固定スクロール(60)に形成したが、スライド溝(80)を固定スクロール(60)ではなくハウジング(45)に形成してもよい。この場合、スライド溝(80)は、ハウジング(45)の上段部(46)の底部の上面に開口する凹溝となる。また、ピン軸部(70)の本体部材(73)は、可動側鏡板部(51)の背面側へ突出するように設けられ、この本体部材(73)の下端部がブッシュ部材(74)の貫通孔(76)へ挿入される。
参考技術4の変形例2−
参考技術では、ブッシュ部材(74)に形成された摺動面(75)がテーパー面となっていてもよい。具体的に、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)は、スライド溝(80)との摺動方向へ5/1000以下、望ましくは1/1000程度の傾斜が付けられていてもよい。ブッシュ部材(74)の摺動面(75)をテーパー面にすると、この摺動面(75)とスライド溝(80)の側面との隙間へ入り込んだ潤滑油による“くさび効果”が得られ、この隙間における油膜反力を積極的に発生させることができる。このため、ブッシュ部材(74)の摺動面(75)とスライド溝(80)の側面との間の潤滑を確実に行うことができ、ブッシュ部材(74)とスライド溝(80)の摩擦損失を一層確実に低減することができる。
参考技術4の変形例3−
参考技術では、ピン軸部(70)のブッシュ部材(74)から摺動面を省略してもよい。つまり、ブッシュ部材(74)を単純な円筒形状とし、この円筒状のブッシュ部材(74)を本体部材(73)に対して回転自在に取り付けてもよい。
本変形例のブッシュ部材(74)は、スライド溝(80)の側面と摺動しながら自転することとなり、ブッシュ部材(74)の回転を禁止した場合に比べ、ブッシュ部材(74)とスライド溝(80)の側面との摺動速度が低下する。このため、ブッシュ部材(74)とスライド溝(80)の側面との間の潤滑を確実に行うことが可能となり、焼き付きや摩耗等のトラブルが生じる可能性を低減することができる。従って、本変形例によれば、スクロール圧縮機(10)の信頼性を向上させることができる。
参考技術4の変形例4−
参考技術では、ブッシュ部材(74)を本体部材(73)に固着し、本体部材(73)を固定スクロール(60)に形成された孔へ遊嵌してもよい。つまり、本変形例では、ブッシュ部材(74)の貫通孔(76)に本体部材(73)が圧入され、本体部材(73)に対するブッシュ部材(74)の移動が禁止される。そして、ブッシュ部材(74)が取り付けられた本体部材(73)は、固定スクロール(60)に対して回転自在に取り付けられる。
また、上記変形例1のようにピン軸部(70)を可動スクロール(50)に設ける場合は、ピン軸部(70)の本体部材(73)を可動側鏡板部(51)に固着し、可動側鏡板部(51)に固着された本体部材(73)にブッシュ部材(74)を回転自在に取り付けてもよい。
参考技術5
参考技術5について説明する。本参考技術は、上記参考技術1において、ピン軸部(70)とスライド溝(80)の構成を変更したものである。ここでは、本参考技術のスクロール圧縮機(10)について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図23及び図24に示すように、本参考技術のピン軸部(70)は、1つのピン部材(90)によって構成されている。ピン部材(90)は、円柱状に形成された基端部(91)と、基端部(91)の一端からその軸方向へ突出する突出部(92)とによって構成されている。そして、ピン部材(90)の全体形状は、円柱の一部を切除したような形状となっている。
基端部(91)は、その高さが固定スクロール(60)の縁部(62)の厚さと概ね等しくなっており、この縁部(62)に予め形成された孔へ圧入されている。図25に示すように、突出部(92)の端面(即ち、ピン部材(90)の中心軸と直交する断面)は、中心角が180°より大きな円弧とその円弧の弦とで構成された形状となっている。突出部(92)の側面は、円弧面である円弧側面(93)と、平面である平坦側面(94)とによって構成される。また、ピン部材(90)の直径は、上記参考技術1における柱状ピン(71)の直径の約2倍となっている。
図25に示すように、ピン部材(90)の突出部(92)では、その円弧側面(93)のうち平坦側面(94)寄りの一部分(図25においてハッチングを付した部分)が摺動面(95)となっており、この摺動面(95)がスライド溝(80)の壁面と摺接する。具体的に、突出部(92)の円弧側面(93)では、平坦側面(94)寄りの中心角が2θとなる領域と、その領域とは円弧側面(93)の曲率中心を挟んで180°反対側に位置する領域とが摺動面(95)を構成している。なお、ピン部材(90)及びスライド溝(80)の位置は、摺動面(95)の中心角の半分であるθが5°以下となるように設定するのが望ましい。
ピン部材(90)は、その平坦側面(94)が固定スクロール(60)の中心側を向く姿勢で、固定スクロール(60)の縁部(62)に固定されている。そして、図27に示すように、ピン部材(90)の平坦側面(94)は、ピン部材(90)の軸心位置Opと駆動軸(20)の主軸部(21)の軸心位置Ofを通る直線OpOfとほぼ直交している。このように、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)は、その摺動面(95)よりも駆動軸(20)寄りの部分を切り欠いたような形状となっている。
図23及び図26に示すように、スライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)をその厚さ方向へ貫通している。このスライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)の外周面から該可動側鏡板部(51)の半径方向へ直線状に延びている。そして、図27に示すように、スライド溝(80)の伸長方向は、ピン部材(90)の軸心位置Opと駆動軸(20)の偏心軸部(22)の軸心位置Osを通る直線OpOsとほぼ一致している。
スライド溝(80)の幅は、ピン部材(90)の直径よりも僅かに広くなっている。スライド溝(80)の最も奥側に位置する壁面(即ち、可動側ラップ(52)寄りの壁面)は、奥側壁面(81)を構成している。この奥側壁面(81)は、ピン部材(90)の平坦側面(94)に対面する平面となっている。また、図26に示すように、スライド溝(80)の奥側壁面(81)から可動側ラップ(52)の外周面までの距離Xは、可動スクロール(50)の公転半径Rorの2倍、即ち2Rorよりも長くなっている。なお、この距離Xは、2Rorよりも1〜2mm、或いはそれ以上長くするのが望ましい。
−運転動作−
参考技術のスクロール圧縮機(10)において、可動スクロール(50)は、上記参考技術1の場合とほぼ同様の動きをする。
つまり、固定スクロール(60)に取り付けられたピン部材(90)が可動スクロール(50)に形成されたスライド溝(80)に係合し、可動スクロール(50)がピン部材(90)により案内されることによって可動スクロール(50)の自転が制限される。そして、図27に示すように、可動スクロール(50)は、主軸部(21)の軸心を中心として公転し、それと同時に偏心軸部(22)の軸心を中心として±θの角度範囲内で自転することになる。
スクロール圧縮機(10)の運転中において、ピン部材(90)の突出部(92)では、その円弧側面(93)の一部分である摺動面(95)だけがスライド溝(80)の壁面と摺動する。つまり、円弧側面(93)のうち摺動面(95)以外の部分は、スライド溝(80)の壁面と摺動しない。
参考技術5の効果−
参考技術によれば、上記参考技術1により得られる効果に加えて、次のような効果が得られる。
ここで、ピン部材(90)の摺動面(95)とスライド溝(80)の壁面とが摺動する際の潤滑条件は、ピン部材(90)における摺動面(95)の曲率半径が小さいほど厳しくなる。従って、この部分での潤滑を確実に行って焼き付き等のトラブルを回避するには、ピン部材(90)における摺動面(95)の曲率半径を出来るだけ大きくするのが望ましい。
例えば、ピン部材(90)の直径(即ち、摺動面(95)の曲率半径)が10mmの場合と20mmの場合を比較すると、図28に示すようになる。具体的に、ピン部材(90)と可動スクロール(50)の材質やピン部材(90)に作用する荷重の大きさを仮定して試算すると、部材の弾性変形を考慮した面圧であるヘルツ圧力は28%程度減少する一方、弾性流体潤滑理論(いわゆるEHL(elastohydrodynamic lubrication)理論)に基づいて計算した油膜厚さであるEHL油膜厚さは34%程度増加する。
このように、ピン部材(90)の摺動面(95)とスライド溝(80)の壁面との間における潤滑状態を改善するには、摺動面(95)の曲率半径を大きくするのが望ましい。ところが、ピン軸部(70)を単純な円柱状の部材で構成し、その部材を太くすることで摺動面(95)の曲率半径を大きくすると、可動側ラップ(52)や固定側ラップ(63)がピン軸部(70)と干渉してしまうおそれがある。
これに対し、本参考技術のピン部材(90)では、突出部(92)の形状が、円柱から可動側ラップ(52)寄りの部分を切除したような形状となっている。従って、本参考技術によれば、可動側ラップ(52)と噛み合う固定側ラップ(63)がピン部材(90)と干渉するのを回避した上で、ピン部材(90)における摺動面(95)の曲率半径を大きくして潤滑状態を改善することができる。
また、本参考技術では、スライド溝(80)の奥側壁面(81)から可動側ラップ(52)の外側面までの距離Xを、可動スクロール(50)の公転半径Rorの2倍よりも長くしている。一方、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)の距離は、最大で可動スクロール(50)の公転半径Rorの2倍となる。このため、本参考技術では、可動側ラップ(52)の公転中において、固定側ラップ(63)の内側面がスライド溝(80)の奥側壁面(81)よりも外周側に達することはない(図26を参照)。
ここで、スクロール圧縮機(10)では、可動側ラップ(52)と固定側ラップ(63)が噛みあって圧縮室(41)を形成している。そして、可動スクロール(50)の公転中に固定側ラップ(63)の内側面がスライド溝(80)の奥側壁面(81)よりも外周側に達すると、可動側ラップ(52)の外側面と固定側ラップ(63)の内側面に挟まれた圧縮室(41)がスライド溝(80)と連通し、この圧縮室(41)内の冷媒がスライド溝(80)へ漏れ出てしまう。
これに対し、本参考技術の圧縮機構(40)では、固定側ラップ(63)の内側面がスライド溝(80)の奥側壁面(81)よりも外側に達することはない。従って、本参考技術によれば、圧縮室(41)からスライド溝(80)への冷媒の漏洩を防ぐことができ、スクロール圧縮機(10)の効率低下を回避できる。
参考技術5の変形例1−
参考技術では、可動スクロール(50)に形成されたスライド溝(80)を凹溝状に形成してもよい。本変形例において、スライド溝(80)は、可動側鏡板部(51)における可動側ラップ(52)側の表面(即ち、図23における上面)に開口した凹溝となる。また、ピン部材(90)における突出部(92)の高さは、スライド溝(80)の深さよりも僅かに短くなる。
参考技術5の変形例2−
参考技術では、図29に示すように、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)を可動スクロール(50)に取り付け、スライド溝(80)を固定スクロール(60)に形成してもよい。
本変形例の可動スクロール(50)には、ピン部材(90)を取り付けるための取り付け孔が形成されている。この取り付け孔は、可動側鏡板部(51)をその厚さ方向へ貫通している。そして、ピン部材(90)は、円柱状の基端部(91)が可動側鏡板部(51)の取り付け孔に圧入され、突端部が可動側鏡板部(51)の前面側へ突出した状態となっている。
本変形例のスライド溝(80)は、固定スクロール(60)の縁部(62)に形成されている。このスライド溝(80)は、縁部(62)の下面に開口する凹溝となっている。ピン部材(90)の突出部(92)は、スライド溝(80)へ挿入されている。そして、ピン部材(90)の摺動面(95)がスライド溝(80)の壁面と摺動する。
なお、本変形例ではスライド溝(80)を固定スクロール(60)に形成したが、スライド溝(80)を固定スクロール(60)ではなくハウジング(45)に形成してもよい。この場合、スライド溝(80)は、ハウジング(45)における上段部(46)の底部の上面に開口する凹溝となる。また、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)は、可動側鏡板部(51)の背面側へ突出するように設けられる。
参考技術6
参考技術6について説明する。本参考技術は、上記の各参考技術において、可動側ラップ(52)を厚みが一定の渦巻き壁状に形成したものである。
図30に示すように、本参考技術において、可動側ラップ(52)は、可動スクロールの自転が完全に禁止される一般的なスクロール圧縮機と同様の形状に形成される。そして、本参考技術では、固定側ラップ(63)の厚みを変化させることによって、固定側ラップ(63)の形状を可動スクロール(50)の動きに適合させている。
具体的には、固定側ラップ(63)の内側面及び外側面、即ち固定側ラップ(63)の全てのラップ面を一般的なスクロール圧縮機における形状とは異なる形状としている。本参考技術の固定側ラップ(63)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。そして、固定側ラップ(63)は、その内側面が可動側ラップ(52)の外側面の包絡面となり、その外側面が可動側ラップ(52)の内側面の包絡面となる。
本参考技術において、可動側ラップ(52)は、可動スクロールの自転が完全に禁止される一般的なスクロール圧縮機のものと同様の形状になっている。このため、一般的なスクロール型流体機械の可動スクロールを流用することができ、スクロール圧縮機(10)の製造コストを低減できる。
参考技術7
参考技術7について説明する。本参考技術は、上記の各参考技術において、固定側ラップ(63)を厚みが一定の渦巻き壁状に形成したものである。
図31に示すように、本参考技術において、固定側ラップ(63)は、可動スクロールの自転が完全に禁止される一般的なスクロール圧縮機と同様の形状に形成される。そして、本参考技術では、可動側ラップ(52)の厚みを変化させることによって、可動側ラップ(52)の形状を可動スクロール(50)の動きに適合させている。
具体的には、可動側ラップ(52)の内側面及び外側面、即ち可動側ラップ(52)の全てのラップ面を一般的なスクロール圧縮機における形状とは異なる形状としている。本参考技術の可動側ラップ(52)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。そして、固定側ラップ(63)は、その内側面が可動側ラップ(52)の外側面の包絡面となり、その外側面が可動側ラップ(52)の内側面の包絡面となる。
本参考技術において、固定側ラップ(63)は、可動スクロールの自転が完全に禁止される一般的なスクロール圧縮機のものと同様の形状になっている。このため、一般的なスクロール型流体機械の固定スクロールを流用することができ、スクロール圧縮機(10)の製造コストを低減できる。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
本実施形態は、上記の各参考技術において、図32に示すように、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の内側面を単純なインボリュート曲線を描く形状とする一方、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の外側面を単純なインボリュート曲線を描く形状とは異なる形状とし、それによって可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の形状を可動スクロール(50)の動きに適合させたものである。
実施形態の可動側ラップ(52)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。また、本実施形態の固定側ラップ(63)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。そして、固定側ラップ(63)は、その内側面が可動側ラップ(52)の外側面の包絡面となり、その外側面が可動側ラップ(52)の内側面の包絡面となる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
本実施形態は、上記の各参考技術において、図33に示すように、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の外側面を単純なインボリュート曲線を描く形状とする一方、可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の内側面を単純なインボリュート曲線を描く形状とは異なる形状とし、それによって可動側ラップ(52)及び固定側ラップ(63)の形状を可動スクロール(50)の動きに適合させたものである。
実施形態の可動側ラップ(52)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。また、本実施形態の固定側ラップ(63)では、その内周側端部から外周側端部へ向かって、厚みが次第に増加する部分と厚みが次第に減少する部分とが交互に形成される。そして、固定側ラップ(63)は、その内側面が可動側ラップ(52)の外側面の包絡面となり、その外側面が可動側ラップ(52)の内側面の包絡面となる。
《その他の実施形態》
上記の各実施形態及び各参考技術については、以下のような構成としてもよい。
第1変形例−
上記の各実施形態及び各参考技術では、図34に示すように、偏心軸部(22)の代わりに偏心筒部(23)を駆動軸(20)に設けると共に、突出筒部(53)の代わりに突出軸部(54)を可動スクロール(50)に設けてもよい。本変形例では、突出軸部(54)が係合部を構成する。
具体的に、本変形例の駆動軸(20)では、主軸部(21)の上端に偏心筒部(23)が形成される。この偏心筒部(23)は、上端面が開口した円筒状に形成されている。偏心筒部(23)の軸心は、主軸部(21)の軸心に対して偏心している。本変形例では、この偏心筒部(23)が偏心部を構成している。一方、本変形例の可動スクロール(50)では、可動側鏡板部(51)の背面に突出軸部(54)が突設される。この突出軸部(54)は、円柱状に形成され、駆動軸(20)の偏心筒部(23)へ上方から挿入されている。
第2変形例−
上記の各実施形態及び各参考技術では、ケーシング(11)に固定された固定スクロール(60)を非旋回スクロールとしているが、この非旋回スクロールは、ケーシング(11)に固定されて全く動かない部材である必要はなく、例えば駆動軸(20)の軸方向(図1における上下方向)へ移動可能な部材であってもよい。
一般に、スクロール圧縮機(10)には、可動スクロール(50)と噛み合う非旋回スクロールを駆動軸(20)の軸方向へ変位させることによって、その容量を可変にしたものがある。この種のスクロール圧縮機(10)では、非旋回スクロールを可動スクロール(50)側へ押し付けている時間と非旋回スクロールを可動スクロール(50)から引き離している時間とのデューティー比を調節することで、スクロール圧縮機(10)から吐出される冷媒量を変化させている。
具体的に、非旋回スクロールが可動スクロール(50)側へ押し付けられた状態では、圧縮機構(40)で冷媒の圧縮が行われ、圧縮された冷媒が圧縮機構(40)から吐出されてゆく。一方、非旋回スクロールが可動スクロール(50)から引き離された状態では、非旋回スクロールのラップ先端と可動スクロール(50)の可動側鏡板部(51)との間、あるいは可動スクロール(50)のラップ先端と非旋回スクロールの鏡板部との間に隙間が形成される。このため、この状態で可動スクロール(50)が公転しても、圧縮機構(40)では冷媒が圧縮されず、圧縮機構(40)からは冷媒が吐出されなくなる。従って、非旋回スクロールを可動スクロール(50)へ押し付けている時間に対する可動スクロール(50)から引き離している時間の割合を変化させれば、それに伴って圧縮機構(40)から吐出される冷媒量が変化することになる。
この種のスクロール圧縮機(10)において、非旋回スクロールの移動量は、せいぜい数ミリ程度である。従って、非旋回スクロールの移動量だけピン軸部(70)を長くしておけば、非旋回スクロールが変位してもピン軸部(70)はスライド溝(80)と係合した状態に保たれる。
第3変形例−
上記の各実施形態及び各参考技術では、ピン軸部(70)の材質として、スライド溝(80)が形成された部材の材質よりも高強度のものを用いてもよい。
具体的に、上記参考技術1では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の材質を、スライド溝(80)が形成された可動スクロール(50)の材質よりも高強度な材質としてもよい。また、上記参考技術2では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)の材質を、スライド溝(80)が形成された固定スクロール(60)の材質よりも高強度な材質としてもよい。また、上記参考技術5では、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)の材質を、スライド溝(80)が形成された可動スクロール(50)の材質よりも高強度な材質としてもよい。また、上記参考技術5の変形例2では、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)の材質を、スライド溝(80)が形成された固定スクロール(60)の材質よりも高強度な材質としてもよい。
例えば、スライド溝(80)の形成された部材(即ち、可動スクロール(50)あるいは固定スクロール(60))の材質がFC250である場合には、ピン軸部(70)の材質としてSKH51を用いるとよい。
第4変形例−
上記の各実施形態及び各参考技術では、スライド溝(80)が形成された部材とピン軸部(70)の摺動面に、固体潤滑剤として機能する樹脂被膜を形成してもよい。この種の樹脂被膜としては、極めて摩擦係数の低いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂とバインダとで構成されたものが例示される。
具体的に、上記参考技術1では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)と、可動スクロール(50)におけるスライド溝(80)の壁面との何れか一方又は両方に潤滑用の樹脂被膜を形成してもよい。また、上記参考技術2では、ピン軸部(70)を構成する柱状ピン(71)と、固定スクロール(60)におけるスライド溝(80)の壁面との何れか一方又は両方に潤滑用の樹脂被膜を形成してもよい。また、上記参考技術5では、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)と、可動スクロール(50)におけるスライド溝(80)の壁面との何れか一方又は両方に潤滑用の樹脂被膜を形成してもよい。また、上記参考技術5の変形例2では、ピン軸部(70)を構成するピン部材(90)と、固定スクロール(60)におけるスライド溝(80)の壁面との何れか一方又は両方に潤滑用の樹脂被膜を形成してもよい。
第5変形例−
上記の各実施形態及び各参考技術は何れも本発明に係るスクロール型流体機械により構成されたスクロール圧縮機であるが、本発明に係るスクロール型流体機械の用途は圧縮機に限定されるものではなく、本発明に係るスクロール型流体機械によってスクロール膨張機を構成してもよい。
以上説明したように、本発明は、スクロール型流体機械について有用である。
参考技術1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。 参考技術1における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術1における固定スクロール、可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術1における圧縮機構の概略構成図である。 参考技術1における圧縮機構の横断面を示す要部断面図である。 参考技術1における可動スクロールの動きを示す圧縮機構の概略構成図である。 (A)は参考技術1における圧縮機構の概略構成図であり、(B)は従来のスクロール圧縮機の概略構成図である。 参考技術1の変形例1における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術1の変形例2における可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術1の変形例3における固定スクロール、可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術1の変形例4における圧縮機構の概略構成図である。 参考技術2における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術2における圧縮機構の概略構成図である。 参考技術2の変形例1における可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術2の変形例2における固定スクロール、可動スクロール及びハウジングを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術2の変形例2における可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術2の変形例3における圧縮機構の概略構成図である。 参考技術3における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術3における可動スクロールの動きを示す圧縮機構の概略構成図である。 参考技術3の変形例1における可動スクロール及びハウジングを斜め上方から見た斜視図である。 参考技術4における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術4の変形例1における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術5における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術5におけるピン部材を斜め下方から見た斜視図である。 参考技術5における圧縮機構の要部拡大図である。 参考技術5における圧縮機構の要部拡大図である。 参考技術5における可動スクロールの動きを示す圧縮機構の概略構成図である。 ピン部材の直径が10mmの場合と20mmの場合におけるヘルツ圧力及びEHL油膜厚さの試算値を示す表である。 参考技術5の変形例2における固定スクロール及び可動スクロールを斜め下方から見た斜視図である。 参考技術6における圧縮機構の横断面を示す要部断面図である。 参考技術7における圧縮機構の横断面を示す要部断面図である。 実施形態1の圧縮機構の横断面を示す要部断面図である。 実施形態2の圧縮機構の横断面を示す要部断面図である。 その他の実施形態の第1変形例におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
符号の説明
10 スクロール圧縮機(スクロール型流体機械)
20 駆動軸(回転シャフト、クランク)
22 偏心軸部(偏心部、偏心ピン)
23 偏心筒部(偏心部)
45 ハウジング(ハウジング部材)
48 下段部(軸受け)
50 可動スクロール(旋回スクロール)
51 可動側鏡板部(旋回鏡板部)
52 可動側ラップ(旋回ラップ)
60 固定スクロール(非旋回スクロール)
63 固定側ラップ(非旋回ラップ)
69 固定側部材
70 ピン軸部
71 柱状ピン
72 摺動面
73 本体部材
74 ブッシュ部材
75 摺動面
80 スライド溝
90 ピン部材
95 摺動面

Claims (9)

  1. 旋回スクロール(50)と、少なくとも非旋回スクロール(60)からなる非旋回部材(69)と、回転シャフト(20)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回部材(69)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の内側面と上記非旋回ラップ(63)の内側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  2. 旋回スクロール(50)と、少なくとも非旋回スクロール(60)からなる非旋回部材(69)と、回転シャフト(20)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記非旋回部材(69)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の内側面と上記非旋回ラップ(63)の内側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  3. 旋回スクロール(50)と、非旋回スクロール(60)と、回転シャフト(20)と、回転シャフト(20)を支持する軸受け(48)が設けられたハウジング部材(45)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、
    上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の内側面と上記非旋回ラップ(63)の内側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  4. 旋回スクロール(50)と、非旋回スクロール(60)と、回転シャフト(20)と、回転シャフト(20)を支持する軸受け(48)が設けられたハウジング部材(45)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、
    上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の内側面と上記非旋回ラップ(63)の内側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  5. 旋回スクロール(50)と、少なくとも非旋回スクロール(60)からなる非旋回部材(69)と、回転シャフト(20)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回部材(69)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の外側面と上記非旋回ラップ(63)の外側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  6. 旋回スクロール(50)と、少なくとも非旋回スクロール(60)からなる非旋回部材(69)と、回転シャフト(20)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記非旋回部材(69)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の外側面と上記非旋回ラップ(63)の外側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  7. 旋回スクロール(50)と、非旋回スクロール(60)と、回転シャフト(20)と、回転シャフト(20)を支持する軸受け(48)が設けられたハウジング部材(45)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、
    上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記回転シャフト(20)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記旋回スクロール(50)には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)とが摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の外側面と上記非旋回ラップ(63)の外側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  8. 旋回スクロール(50)と、非旋回スクロール(60)と、回転シャフト(20)と、回転シャフト(20)を支持する軸受け(48)が設けられたハウジング部材(45)とを備え、
    上記回転シャフト(20)にはその回転軸に対して偏心した偏心部(22,23)が形成され、該偏心部(22,23)に係合する上記旋回スクロール(50)が上記回転シャフト(20)の回転軸を中心に公転するスクロール型流体機械であって、
    上記非旋回スクロール(60)及びハウジング部材(45)が非旋回部材(69)を構成しており、
    上記旋回スクロール(50)に取り付けられるピン軸部(70)を備え、該ピン軸部(70)の軸心から上記偏心部(22,23)の軸心までの距離が上記旋回スクロール(50)の公転半径よりも長く設定され、
    上記非旋回部材(69)を構成する非旋回スクロール(60)とハウジング部材(45)の一方又は両方には上記ピン軸部(70)と係合するスライド溝(80)が形成され、
    上記旋回スクロール(50)の公転中に上記スライド溝(80)の壁面と上記ピン軸部(70)が摺動することによって上記旋回スクロール(50)の自転が制限される一方、
    上記旋回スクロール(50)に設けられる渦巻き状の旋回ラップ(52)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記非旋回スクロール(60)に設けられる渦巻き状の非旋回ラップ(63)は、その厚さが内周側端部から外周側端部へ向かって漸次増減を繰り返しており、
    上記旋回ラップ(52)の外側面と上記非旋回ラップ(63)の外側面のそれぞれが、インボリュート曲線を描く形状となっているスクロール型流体機械。
  9. 請求項1乃至8の何れか1つに記載のスクロール型流体機械において、
    上記旋回スクロール(50)では、上記回転シャフト(20)の偏心部(22,23)と係合する係合部(53,54)が、上記旋回ラップ(52)の内周側端部寄りの位置に設けられているスクロール型流体機械。
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