JP6628957B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、ドライブブッシュに焼嵌めにより一体化されているバランスウェイトを備えたスクロール圧縮機に関するものである。
スクロール圧縮機では、旋回スクロールが偏心して公転旋回駆動されることから、駆動軸に対してアンバランス荷重が作用する構成となっている。このアンバランス荷重や旋回スクロールの遠心力による歯面荷重を相殺あるいは調整するため、駆動軸系にバランスウェイトを設けている。バランスウェイトは、例えば駆動軸の一端に設けられているクランクピンに装着される旋回スクロール駆動用のドライブブッシュや駆動軸、あるいは駆動軸に結合されているモータロータの端面等に一体的に設けられている。
特許文献1には、ドライブブッシュに対してバランスウェイトを一体的に設けたものが開示されており、特許文献2には、駆動軸のクランクピン部にバランスウェイトを一体化して設けるとともに、駆動軸に結合されているモータロータの端面にバランスウェイトを一体化して設けたものが開示されている。ドライブブッシュにバランスウェイトを一体的に設ける場合、両者を一体成形により製造するか、もしくはドライブブッシュに対してバランスウェイトの嵌合部を焼嵌めして一体化するのが通常である。
特開2013−119820号公報 特開昭59−110887号公報
近年、冷凍装置、空調装置およびヒートポンプ等に搭載する圧縮機の高能力化が求められており、スクロール圧縮機においても同様である。圧縮機を高能力化するには、まず押しのけ量を大きくして大容量化することが考えられるが、これは圧縮機が大型化することから好ましい方法とは云えなかった。そこで、圧縮機を高回転数化することによって高能力化し、例えば2台の圧縮機で賄っていた能力を1台で賄えるようにする等の方策が採られようとしている。
この場合、スクロール圧縮機においては、旋回スクロールの遠心力によって歯面荷重が増加する、あるいは旋回スクロールの偏心旋回によってアンバランス荷重が増加することから、バランスウェイトを適正に設けないと、駆動軸等とのバランスにずれが生じ、高回転数域において振動が発生する等の問題が懸念される。このため、スクロール圧縮機の高回転数化に際しては、バランスウェイトを大きくすることが不可欠となるが、バランスウェイトを大きくするには、以下のような課題を解決しなければならない。
(1)バランスウェイトを大きくすると、バランスウェイトによる遠心力が大きくなることから、ドライブブッシュにバランスウェイトを焼嵌めして一体化しているものにあっては、焼嵌め部が強度不足によって破損するリスクが生じる。
(2)大きくされるバランスウェイトを収容設置するためのスペースを、圧縮機を大型化することなく、如何にして確保するかが課題となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮機の高回転数化に対応して大きくされるバランスウェイトのドライブブッシュに対する焼嵌め強度を向上できるとともに、そのバランスウェイトを収容設置するスペースを確保することができるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるスクロール圧縮機は、軸受部材に軸支された駆動軸の一端にクランクピンが設けられ、そのクランクピンにドライブブッシュを介して旋回スクロールが公転旋回駆動可能に連結されているスクロール圧縮機において、前記ドライブブッシュにバランスウェイトが焼嵌めされて一体に設けられ、その焼嵌め部におけるバランスウェイト側のドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の軸方向長さをl、内径をd、外径をDとしたとき、l/d≧0.25、D/d≧1.4を満たす構成とされていることを特徴とする。
本発明によれば、ドライブブッシュにバランスウェイトが焼嵌めされて設けられ、その焼嵌め部におけるバランスウェイト側のドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の軸方向長さをl、内径をd、外径をDとしたとき、l/d≧0.25、D/d≧1.4を満たす構成とされているため、ドライブブッシュに焼嵌めされるバランスウェイトの嵌合部の内径dに対する軸方向長さlおよび外径Dを十分に大きくすることによって、焼嵌め部の面圧あるいは遠心力等による応力を緩和し、焼嵌め強度を高めることができ、スクロール圧縮機の高回転数化に際し、バランスウェイトが大きくされ、その遠心力が大きくなったとしても、焼嵌め部分の強度不足による破損等を防止することができる。従って、旋回スクロールの高回転数化により増加するアンバランス荷重や歯面荷重を、バランスウェイトによって確実に相殺あるいは調整し、スクロール圧縮機の高回転数化を実現して高能力化を図ることができる。
なお、本発明に到る前のMAX回転数を140rpsに設定していた現行機(略l/d=0.21、D/d=1.28)を、200rpsで回転したところ、上記焼嵌め部が破損したが、上記の条件を満たすことにより、MAX回転数を200rpsとしても、焼嵌め部が破損しないことが確認されている。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記バランスウェイトは、前記ドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の外周部位に円弧状のウェイト部が設けられ、そのウェイト部は、前記嵌合部よりも旋回スクロール側及び反旋回スクロール側に軸方向に延長された形状とされていることを特徴とする。
本発明によれば、バランスウェイトが、ドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の外周部位に円弧状のウェイト部が設けられ、そのウェイト部は、嵌合部よりも旋回スクロール側及び反旋回スクロール側に軸方向に延長された形状とされているため、バランスウェイトを断面T字形状とすることでL字形状のものに比べ、嵌合部からウェイト部の重心位置までの距離を小さくして、バランスウェイトの遠心力により嵌合部(焼嵌め部)に作用する曲げモーメントを低減しその応力を緩和することができ、しかもバランスウェイトを径方向に拡大することなく、その大きさを大きくすることができる。従って、バランスウェイトをアンバランス荷重等の増加に見合うだけ十分大きくすることができるとともに、焼嵌め強度を一層高めることにより、スクロール圧縮機の高回転数化に資することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記軸受部材の旋回スクロール駆動部収容空間の底面には、前記バランスウェイトの前記反旋回スクロール側に延長されているウェイト部を受け入れ、延長された前記ウェイト部と前記駆動軸との間で前記軸方向に立設する壁部によって形成された凹部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、軸受部材にバランスウェイトの反旋回スクロール側に延長されているウェイト部を受け入れる凹部が設けられているため、バランスウェイトを反旋回スクロール側に延長されたウェイト部を有する断面T字形状のバランスウェイトとしても、反旋回スクロール側に延長されたウェイト部を軸受部材側の凹部に収容し、その内部で回転させることができる。従って、スクロール圧縮機を大きくすることなく、バランスウェイトを十分大きくしても、その収容スペースを確保し、スクロール圧縮機の高回転数化に資することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記バランスウェイトは、前記旋回スクロール側に延長されているウェイト部の先端外周側に切欠き部が設けられ、該切欠き部により前記軸受部材に設けられている前記旋回スクロールのスラスト軸受部との干渉を避けて、旋回スクロール側に延長されていることを特徴とする。
本発明によれば、バランスウェイトが、旋回スクロール側に延長されているウェイト部の先端外周側に切欠き部が設けられ、該切欠き部により軸受部材に設けられている旋回スクロールのスラスト軸受部との干渉を避けて、旋回スクロール側に延長されているため、ウェイト部の先端外周側に切欠き部を設け、スラスト軸受部との干渉を避けて旋回スクロール側に延長された分に相当する量だけバランスウェイトを大きくすることができる。従って、スクロール圧縮機を大きくすることなく、より大きくしたバランスウェイトを収容設置し、アンバランス荷重等を十分に相殺してスクロール圧縮機の高回転数化に資することができる。
本発明によると、ドライブブッシュに焼嵌めされるバランスウェイトの嵌合部の内径dに対する軸方向長さlおよび外径Dを十分に大きくすることによって、焼嵌め部の面圧あるいは遠心力等に対する応力を向上し、焼嵌め強度を高めることができ、スクロール圧縮機の高回転数化に際し、バランスウェイトが大きくされ、その遠心力が大きくなったとしても、焼嵌め部分の強度不足による破損等を防止することができるため、旋回スクロールの高回転数化により増加するアンバランス荷重や歯面荷重を、バランスウェイトによって確実に相殺あるいは調整し、スクロール圧縮機の高回転数化を実現して高能力化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 上記スクロール圧縮機のドライブブッシュおよびバランスウェイトの焼嵌め構造を示す平面図(A)とその縦断面図(B)である。 本発明の第2実施形態にスクロール圧縮機の縦断面図である。 本発明の第3実施形態にスクロール圧縮機の縦断面図である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図が示され、図2には、そのドライブブッシュおよびバランスウェイトの焼嵌め構造の平面図(A)と縦断面図(B)が示されている。
スクロール圧縮機1として、本実施形態では、密閉型のスクロール圧縮機が例示されている。このスクロール圧縮機1は、底部が下部カバーによって密閉された上下方向に長い円筒状の密閉ハウジング(密閉容器)2を備えている。
密閉ハウジング2の上部は、ディスチャージカバー3および上部カバー4により密閉されており、このディスチャージカバー3と上部カバー4間に、圧縮された高圧のガスが吐出される吐出チャンバー5が形成されている。密閉ハウジング2内には、上方部位に上部軸受部材6が固定設置されており、その上部軸受部材6を介してスクロール圧縮機構7が組み込まれるとともに、その下方部位にステータ9とロータ10とからなるモータ8が設置されている。このモータ8は、ステータ9が密閉ハウジング2に固定設置されることにより組み込まれ、そのロータ10には、駆動軸(クランク軸)11が固定されている。
駆動軸11の上端には、軸心が所定の寸法だけ偏心されているクランクピン12が設けられ、そのクランクピン12をスクロール圧縮機構7に連結することによって、スクロール圧縮機構7がモータ8により駆動可能とされている。駆動軸11は、上部軸受部材6のジャーナル軸受部6Aに上方端部が回転自在に軸支されるとともに、下方端部が密閉ハウジング2の下方部位に設けられているジャーナル下部軸受13により回転自在に支持されている。
ジャーナル下部軸受13とクランク11の下端部との間には、容積型給油ポンプ14が設けられ、密閉ハウジング2の底部に形成されている油溜まり15に充填されている潤滑油16を、吸入パイプ17を介して吸い込み、クランク軸11内に軸方向に沿って穿設されている給油孔18に吐出するように構成されている。この潤滑油16は、給油孔18を介して上部軸受部材6、スクロール圧縮機構7およびジャーナル下部軸受13等の潤滑が必要な部位に給油可能とされている。
スクロール圧縮機構7は、上部軸受部材6を構成部品の1つとし、その上部軸受部材6上に固定設置されている固定スクロール19と、上部軸受部材6のスラスト軸受部6Bに摺動自在に支持され、固定スクロール19と噛み合わされることにより圧縮室21を形成する旋回スクロール20と、上部軸受部材6と旋回スクロール20との間に介在され、旋回スクロール20の自転を阻止し、公転旋回運動を許容するオルダムリング等の自転阻止機構22と、クランク軸11のクランクピン12と旋回スクロール20の背面に設けられている軸受ボス20Aとの間に設けられ、旋回スクロール20にクランク軸11の回転力を伝えるドライブブッシュ23および旋回軸受24と、を備えており、固定スクロール19の端板中心部がディスチャージカバー3に接続された状態で上部軸受部材6上に設置されている。
固定スクロール19は、広く知られている通り、端板と、その端板上に立設された渦巻き状ラップとを備え、端板の中心部に吐出口25が設けられるとともに、渦巻き状ラップのラップ歯先面に、チップシール(図示省略)が設置された構成とされ、同様に、旋回スクロール20は、端板と、その端板上に立設された渦巻き状ラップとを備え、端板の背面に軸受ボス部20Aが設けられるとともに、渦巻き状ラップのラップ歯先面に、チップシール(図示省略)が設置された構成とされている。
このスクロール圧縮機構7は、吸入配管26を介して密閉ハウジング2内に吸い込まれた冷媒ガスを、密閉ハウジング2内に設けられている吸入口27から圧縮室21内に吸い込み、高温高圧のガスに圧縮するものである。この圧縮ガスは、固定スクロール19の中心部に設けられている吐出口25およびディスチャージカバー3に設けられている吐出弁28を介して吐出チャンバー5内に吐出され、更に吐出チャンバー5に接続されている吐出配管29を介してスクロール圧縮機1が接続されている冷凍サイクル側へと吐出される構成とされている。
一方、給油ポンプ14により給油孔18を介してクランクピン12の端部から、ドライブブッシュ23および旋回軸受24に給油され、それらを潤滑した潤滑油16は、上部軸受部材6に設けられている排油孔30を経て密閉ハウジング2内のモータ上部空間(吸入領域)に排出され、油ガイド31およびモータステータ9の外周に設けられている油通路32を介して密閉ハウジング2底部の油溜まり15に流下されるようになっている。
また、スクロール圧縮機構7では、旋回スクロール20が駆動軸(クランク軸)11の軸心周りにクランクピン12の偏心量を半径として公転旋回駆動されることから、その遠心力により駆動軸11にアンバランス荷重が負荷され、更に、旋回スクロール20の旋回半径は、公知の如くドライブブッシュ23がスライドブッシュや偏心ブッシュとされることにより可変される構成とされていることから、旋回スクロール20に作用する遠心力により固定スクロール19との間に歯面荷重が負荷されるようになっている。
これらのアンバランス荷重や歯面荷重を相殺あるいは調整するため、ドライブブッシュ23およびモータロータ10に、バランスウェイト33,34が設けられている。これらのバランスウェイト33,34は、半円形の円弧形状をなすものであり、バランスウェイト33は、ドライブブッシュ23の下端部に焼嵌めにより一体結合され、バランスウェイト34は、モータロータ10の上部軸受部材6と対向する上端面側の外周に沿う180度を少し超える範囲にボルト等を介して固定設置されている。
さらに、本実施形態においては、スクロール圧縮機1の高回転数化を実現すべく、ドライブブッシュ23に焼嵌めされるバランスウェイト33の焼嵌め部分の強度をアップするため、ドライブブッシュ23に焼嵌めされる嵌合部35と、その外周部位に軸方向に延長された円弧状に設けられるウェイト部36と、から構成される断面L字形状のバランスウェイト33の嵌合部35における、図2(A)および(B)に示すl,d,Dの寸法構成を以下の条件を満たすように設定している。
つまり、焼嵌め部分の強度アップを図るため、ドライブブッシュ23に焼嵌めされるバランスウェイト33の嵌合部35の軸方向長さをl、ドライブブッシュ23の外周に嵌め込まれる嵌合部35の内径をd、その嵌合部35の外径をDとしたとき、少なくとも
l/d≧0.25、D/d≧1.4
を満たす構成とされている。
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記のスクロール圧縮機1において、一対の固定スクロール19と旋回スクロール20間に形成される圧縮室21は、公知の如く、一対の固定スクロール19と旋回スクロール20とを、それぞれ渦巻き状ラップを対向させ、180度位相をずらして噛み合わせることより形成されるようになっている。
このスクロール圧縮機1がモータ8を介して駆動されると、圧縮室21には、吸入配管26を経て密閉ハウジング2内に吸入された低圧の冷媒ガスが吸入口27を経て吸い込まれることにより閉じ込められ、その圧縮室21がシールされた状態で旋回スクロール20の公転旋回運動に伴って、外周位置から中心位置へと容積を減少しながら移動されることにより圧縮動作が行われる。これによって、冷媒ガスは高圧に圧縮され、吐出口25、吐出弁28を経て吐出チャンバー5に吐出された後、吐出配管29を経て冷凍サイクル側へと吐出されることとなる。
この間、回転軸11および旋回スクロール20は、要求負荷に応じた回転数で回転されるモータ8により低負荷領域では低回転数、高負荷領域では高回転数で回転される。旋回スクロール20は、上述の如く偏心旋回駆動されることから、その遠心力により駆動軸11にアンバランス荷重が負荷される。また、旋回スクロール20が旋回駆動されることにより、その遠心力で固定スクロール19との間に歯面荷重が負荷される。
このアンバランス荷重や歯面荷重は、駆動軸系に設けられているバランスウェイト33および34によって、相殺もしくは適正な荷重に調整されるようになっている。
ここで、バランスウェイト33は、ドライブブッシュ23の下端部に焼嵌めされることにより一体化されているが、その焼嵌め部において、嵌合部35の軸方向長さをl、嵌合部35の内径をd、嵌合部35の外径をDとしたとき、少なくとも
l/d≧0.25、D/d≧1.4
を満たす構成とされていることから、嵌合部35の内径dに対する軸方向長さlおよび外径Dを十分に大きくすることによって、焼嵌め部の面圧あるいは遠心力等による応力を緩和し、焼嵌め強度を大幅に向上することができる。
斯くして、本実施形態によると、スクロール圧縮機1の高回転数化に際し、バランスウェイト33が大きくされ、その遠心力が大きくなったとしても、焼嵌め部分の強度不足による破損等を防止することができる。このため、旋回スクロール20の高回転数化により増加するアンバランス荷重や歯面荷重を、バランスウェイト33によって確実に相殺あるいは調整し、スクロール圧縮機1の高回転数化を実現して高能力化を図ることができる。
ちなみに、現行スクロール圧縮機との対比において、現行スクロール圧縮機は、MAX回転数が140rpsに設定され、その圧縮機の1台目が、l/d=0.214、D/d=1.286、2台目が、l/d=0.203、D/d=1.250とされていたものであるが、それぞれをMAX回転数200rpsで回転した結果、いずれも焼嵌め部分において焼嵌め部が外れる等の破損が生じた。
一方、本発明による対策品として、l/d=0.268、D/d=1.429としたものと、l/d=0.253、D/d=1.438としたものを、MAX回転数を200rpsとして回転した結果、いずれも焼嵌め部は正常で破損しなかったことが実機にて確認された。これによって、l/dおよびD/dを少なくとも、l/d≧0.25、D/d≧1.4を満たす構成とすることで、MAX回転数を200rpsに高回転数化して、スクロール圧縮機1を高能力化できるとの結果が得られた。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、バランスウェイト33Aの構成が一部異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様につき説明は省略する。
本実施形態においては、図3に示されるように、バランスウェイト33Aのウェイト部36A,36Bを嵌合部35Aの両面から軸方向に延長した構成とし、その断面形状をT字形状するとともに、下方(反旋回スクロール側)に延長されたウェイト部36Bを受け入れる凹部6Cを上部軸受部材6の旋回スクロール駆動部収容空間の底面に設けた構成としている。
このように、バランスウェイト33Aをウェイト部36A,36Bが嵌合部35Aの両面から軸方向に延長された構成となし、断面T字形状とするとともに、下方に延長されたウェイト部36Bを受け入れる凹部6Cを上部軸受部材6の旋回スクロール駆動部収容空間の底面に設けた構成とすることにより、バランスウェイト33Aをウェイト部36Bの分だけ大きくすることができる。また、バランスウェイト33Aを大きくしても、その部分を上部軸受部材6に設けた凹部6Cに収容することにより、スクロール圧縮機1を大きくすることなく、大きくされたバランスウェイト33Aを収容設置することができる。
このため、バランスウェイト33AをL字形状のものに比べ、嵌合部35Aからウェイト部36A,36Bの重心位置までの距離を小さくして、バランスウェイト33Aの遠心力により嵌合部(焼嵌め部)35Aに作用する曲げモーメントを低減しその応力を緩和することができ、しかもバランスウェイト33Aを径方向に拡大することなく、その大きさを大きくすることができ、その結果として、バランスウェイト33Aをアンバランス荷重等の増加に見合うだけ十分大きくすることができるとともに、焼嵌め強度を一層高めることにより、スクロール圧縮機1の高回転数化に資することができる。
また、バランスウェイト33Aの嵌合部35Aの下面、すなわち反旋回スクロール側の面から下方に延長されたウェイト部36Bを軸受部材6側の凹部6Cに収容し、その内部で回転させるようにしているため、スクロール圧縮機1を大きくすることなく、バランスウェイト33Aのみを大きくし、高回転数化した際のアンバランス荷重等を十分に相殺してバランスさせることができ、従って、スクロール圧縮機1を高回転数化し、高能力化することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第2実施形態に対して、バランスウェイト33Bの構成が一部異なっている。その他の点については、第2実施形態と同様につき説明は省略する。
本実施形態においては、図4に示されるように、断面T字形状とされたバランスウェイト33Bの嵌合部35Bの上面、すなわち旋回スクロール側の面から上方に延長されたウェイト部36Cの先端外周側に切欠き部36Dを設け、その切欠き部36Dにより軸受部材6に設けられている旋回スクロール20のスラスト軸受部6Cとの干渉を避けて、ウェイト部36Cを更に旋回スクロール側に延長した構成としている。
このように、上方に延長されているウェイト部36Cの先端外周側に切欠き部36Dを設け、スラスト軸受部6Cとの干渉を避けてウェイト部36Cを更に旋回スクロール側に延長することにより、その延長分に相当する量だけバランスウェイト33Bを大きくすることができる。従って、スクロール圧縮機1を大きくすることなく、より大きくしたバランスウェイト33Bを収容設置し、アンバランス荷重等を十分に相殺してスクロール圧縮機1の高回転数化に資することができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、密閉ハウジング2内にモータ8を内蔵した密閉型のスクロール圧縮機1に適用した例について説明したが、モータ8を内蔵していない開放型のスクロール圧縮機1にも同様に適用できることは云うまでもない。
また、駆動軸(クランク軸)11に負荷される旋回スクロール20の偏心駆動によるアンバランス荷重は、ドライブブッシュ23やモータロータ10に設けたバランスウェイト33,34等により分散して相殺されるようになっているが、バランスウェイトは、駆動軸11に直接設けた構成としてもよいことはもちろんである。
1 スクロール圧縮機
6 上部軸受部材
6B スラスト軸受部
7 スクロール圧縮機構
11 駆動軸(クランク軸)
12 クランクピン
20 旋回スクロール
23 ドライブブッシュ
33,33A,33B バランスウェイト
35,35A,35B 嵌合部
36,36A,36B,36C ウェイト部
36D 切欠き部

Claims (2)

  1. 軸受部材に軸支された駆動軸の一端にクランクピンが設けられ、そのクランクピンにドライブブッシュを介して旋回スクロールが公転旋回駆動可能に連結されているスクロール圧縮機において、
    前記ドライブブッシュにバランスウェイトが焼嵌めされて一体に設けられ、
    その焼嵌め部におけるバランスウェイト側のドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の軸方向長さをl、内径をd、外径をDとしたとき、
    l/d≧0.25、D/d≧1.4
    を満たす構成とされ、
    前記バランスウェイトは、前記ドライブブッシュに焼嵌めされる嵌合部の外周部位に円弧状のウェイト部が設けられ、そのウェイト部は、前記嵌合部よりも旋回スクロール側及び反旋回スクロール側に軸方向に延長された形状とされ、
    前記軸受部材の旋回スクロール駆動部収容空間の底面には、前記バランスウェイトの前記反旋回スクロール側に延長されているウェイト部を受け入れ、延長された前記ウェイト部と前記駆動軸との間で前記軸方向に立設する壁部によって形成された凹部が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記バランスウェイトは、前記旋回スクロール側に延長されているウェイト部の先端外周側に切欠き部が設けられ、該切欠き部により前記軸受部材に設けられている前記旋回スクロールのスラスト軸受部との干渉を避けて、旋回スクロール側に延長されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
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