JP2019078211A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動騒音の低減を図る。また、部品点数を削減することでコストの低減を図る。【解決手段】ハウジングと、固定端板と固定ラップとを有する固定スクロールと、旋回端板16aと旋回ラップ16bとを有する旋回スクロール16と、アッパベアリング10などによって回転自在に支持されるクランクシャフトと、クランクシャフトを駆動するための駆動装置と、旋回端板16aとアッパベアリング10の一方に設けられ、旋回スクロール16の径方向内側と径方向外側との一方側に突出する凸部13と、旋回端板16aとアッパベアリング10の他方に設けられ、径方向内側と径方向外側の一方側に凹み、凸部13の周方向の移動に伴って凸部13の壁面29と接触する凹部14と、を有する自転防止機構9と、を備え、壁面29の軸線O1の軸線方向から見た断面形状は、曲率が漸次変化する曲線であるスクロール圧縮機を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関する。
スクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールとを渦巻き状の壁体同士を組み合わせて配置しており、壁体間に形成される圧縮室を有している。スクロール圧縮機は、固定スクロールに対し旋回スクロールを公転旋回運動させることによって圧縮室の容積を漸次減少させて圧縮室内の流体の圧縮を行う。
スクロール圧縮機の分野では、旋回スクロールの自転を防止しつつ、旋回スクロールに公転旋回運動をさせる種々の自転防止機構を有するものが知られている。
特許第4745882号公報 特開2002−235679公報
例えば、特許文献1には、ピン−リング方式と呼ばれる自転防止機構が記載されている。ピン−リング方式では、リングが旋回スクロール背面のドライブベアリング周辺に4〜8個程度設けられている。ピン−リング方式では、公転1サイクル中に旋回スクロールの自転モーメントによる荷重を受けるピン−リングがその数だけ移り変わり、荷重変動が振動源となるという課題がある。また、ピンの接触による荷重であるため荷重面圧が大きくなりやすく、鉄系材料等の高強度な部品を適用する必要がある。
特許文献2には、オルダムリンク方式と呼ばれる自転防止機構が記載されている。オルダムリンク方式では、オルダムリンクが往復動することによって、オルダムリンクの慣性が加振源になるという課題があり、前記課題による振動を低減させるため、軽量化の必要がある。また、摺動部の摩耗を低減させるため、鉄系の焼結材を用いるなど、耐摩耗材料の適用や部品に対して表面処理の工程が必要となる等の理由から、コストが高くなるという課題がある。
この発明は、振動および騒音の低減を図ることができ、また、部品点数を削減することでコストの低減を図ることができるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、スクロール圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジング内に固定され、固定端板と、前記固定端板に立設された渦巻き状の固定ラップとを有する固定スクロールと、前記ハウジング内で旋回公転運動を行い、旋回端板と、前記旋回端板に立設された渦巻き状の旋回ラップとを有し、前記固定スクロールと圧縮室を形成して流体の圧縮を行う旋回スクロールと、前記旋回スクロールのスラスト荷重を受けるアッパベアリングと、前記アッパベアリングに支持されたメインベアリング、および、サブベアリングによって回転自在に支持されるクランクシャフトと、前記クランクシャフトの端部において前記クランクシャフトの回転中心から偏心させて設けられているピンに接続されて前記旋回スクロールの旋回公転運動に伴って発生する遠心力のアンバランスを打ち消す役割と、前記旋回スクロールの旋回公転半径を可変にする役割とを有するドライブブッシュと、ドライブブッシュの回転によって前記旋回スクロールを旋回公転運動させつつ前記旋回スクロールが自転しないように回転自在に駆動力を伝えるドライブベアリングと、前記クランクシャフトを駆動するための駆動装置と、前記旋回端板と前記アッパベアリングの一方に設けられ、前記旋回スクロールの径方向内側と径方向外側との一方側に突出する凸部と、前記旋回端板と前記アッパベアリングの他方に設けられ、前記径方向内側と前記径方向外側の一方側に凹み、前記凸部の周方向の移動に伴って前記凸部の壁面と接触する凹部と、を有する自転防止機構と、を備え、前記壁面の前記軸線の軸線方向から見た断面形状は、曲率が漸次変化する曲線である。
このような構成によれば、凸部と凹部との接触荷重を受ける位置の移行が滑らかになり、自転防止機構から発生する振動および騒音の低減を図ることができる。また、自転防止機構に係る部品点数を削減することでコストの低減を図ることができる。
上記スクロール圧縮機において、前記壁面の断面形状は、前記径方向内側と前記径方向外側の一方側に凸のサイクロイド曲線、トロコイド曲線、又はインボリュート曲線であってよい。
このような構成によれば、凸部の断面形状を、サイクロイド曲線、トロコイド曲線、又はインボリュート曲線を含め、自由度の高い曲線を用いて決定することができる。
上記スクロール圧縮機において、前記凸部は、前記旋回端板上の前記ドライブベアリングが挿入されるボス部の径方向外側を向く面に形成され、前記アッパベアリングには、前記ボス部を収容し、前記凸部に対応する凹部を有する穴部が形成されてよい。
このような構成によれば、ピン−リング方式などと比較して、自転防止のための接触荷重を受ける位置の設計自由度を高くすることができる。
上記スクロール圧縮機において、前記凸部と前記凹部との間に潤滑流体が供給される構造を有してよい。
このような構成によれば、凸部と凹部との間において、楔形状の隙間Gに潤滑流体が巻き込まれ、潤滑流体の圧力が高くなる。
潤滑流体が前記旋回段差壁面とアッパベアリング段差壁面との間に介在し、の圧力が高くなることによって、凸部と凹部との間の接触が、境界摩擦の状態から一定面積を有する流体潤滑へと移行する。これにより、接触面圧が分散し、摺動部の摩擦・摩耗が低減され、スクロール圧縮機の長寿命化を図ることができる。
上記スクロール圧縮機において、前記自転防止機構は、前記旋回端板に設けられ、前記旋回スクロールの径方向内側に凹む第二凹部と、前記アッパベアリングに設けられ、前記径方向内側に突出し、前記第二凹部の周方向の移動に伴って前記第二凹部の第二壁面と接触する第二凸部と、を有し、 前記凸部と前記第二凹部とは、周方向に交互に配置され、前記第二壁面の断面形状は、前記径方向内側と前記径方向外側の他方側に凹のサイクロイド曲線、トロコイド曲線、又はインボリュート曲線であってよい。
径方向外側に突出する凸部と径方向外側に凹む凹部とが接触する際、自転防止の接触点は旋回公転方向に移動する。また、凸部と凹部との間の楔形状の隙間は、旋回スクロールの旋回公転方向に進む。これにより、潤滑流体は、凸部と凹部との間では、旋回公転方向に流れる。
一方、径方向内側に凹む第二凹部と径方向内側に突出する第二凸部とが接触する際、自転防止の接触点は旋回公転方向とは逆の方向に移動する。また、第二凹部と第二凸部との間の楔形状の隙間は、旋回スクロールの旋回公転方向と逆の方向に進む。これにより、潤滑流体は、第二凹部と第二凸部との間では、旋回公転方向と逆の方向に流れる。
よって、このような構成によれば、潤滑流体の流れに関する特性を組み合わせ、潤滑流体が旋回スクロールの旋回公転方向と同一方向になる流れの部分と逆方向になる流れの部分とを交互に配置することで、潤滑流体を所望の位置に集めることができる。その位置にポートを設け、クランク機構等の潤滑が必要な部分に潤滑流体を供給する流路を設けることで、前記自転防止機構に流体潤滑を供給するポンプの機能を付加することが可能となる。これにより、クランク機構のベアリングなどを長寿命化させることができる。
上記スクロール圧縮機において、前記ボス部は、前記旋回端板から突出する第一ボス部と、前記第一ボス部から突出し、前記第一ボス部よりも小径の第二ボス部とからなり、前記穴部は、前記第一ボス部に対応する第一穴部と、前記第二ボス部に対応する第二穴部とからなり、前記凸部は、前記第一ボス部及び第二ボス部の径方向外側を向く面に周方向に等間隔に形成されており、前記第二ボス部の凸部の位相は、前記第一ボス部の凸部の位相に対して凸部頂点が一致しないようにずらされてよい。
このような構成によれば、自転防止に必要な接触を複数段で行うことを可能にし、一方の段において自転防止の接触荷重位置の移行が不連続となる場合においても、他方の段で接触荷重位置の移行が連続的になるように設計できる。これにより、いずれかの段で接触荷重の移行がスムーズに行われるため、振動低減、静粛性向上の効果がある。
上記スクロール圧縮機において、前記凸部は、前記旋回端板の側面に形成され、前記アッパベアリングには、前記旋回端板を収容し、前記凸部に対応する凹部が形成されてよい。
このような構成によれば、スクロール圧縮機のクランクシャフト軸方向の長さを短くすることができる。
本発明によれば、凸部と凹部との接触反力を受ける位置の推移が滑らかになり、自転防止機構より発生する振動騒音の低減を図ることができる。また、自転防止機構に係る部品点数を少なくすることでコストの低減を図ることができる。
本発明の第一実施形態のスクロール圧縮機の縦断面図である。 図1のA−A断面図であって本発明の第一実施形態の自転防止機構の断面図と、この断面図に対応する縦断面図である。 旋回スクロール端板の段差壁面の断面形状(旋回端板曲線)から、旋回端板曲線に対応するアッパベアリングの段差壁面の断面形状(アッパベアリング曲線)を決定する方法について説明する図である。 本発明の第一実施形態のスクロール圧縮機の自転防止機構の作用について説明する図である。 本発明の第一実施形態の変形例の自転防止機構の断面図である。 本発明の第一実施形態の変形例の自転防止機構の断面図である。 本発明の第二実施形態の自転防止機構の拡大断面図である。 本発明の第三実施形態の自転防止機構の断面図と、この断面図に対応する縦断面図である。 本発明の第三実施形態の自転防止機構の作用を説明する断面図である。 本発明の第四実施形態のボス部の壁面及びアッパベアリングの段差壁面の形状を説明する縦断面図である。 本発明の第五実施形態の自転防止機構の断面図と、この断面図に対応する縦断面図である。 本発明の第六実施形態の自転防止機構の断面図と、この断面図に対応する縦断面図である。 本発明の第七実施形態のボス部の壁面及びアッパベアリングの段差壁面の形状を説明する縦断面図である。
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。ここで、本実施形態では、スクロール圧縮機が、車載用空調システムおよび熱システムに用いられるスクロール圧縮機であるものとして説明を行う。
図1に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機Aは、ハウジング1と、ハウジング1内に固定された固定スクロール15と、ハウジング1内にあるクランク機構8と、クランク機構8によって旋回公転運動を行う旋回スクロール16と、旋回スクロール16のスラスト荷重を受けるアッパベアリング10と、クランク機構8(クランクシャフト8a)を駆動する駆動装置2と、旋回スクロール16の自転を防止する自転防止機構9と、を備えている。
ハウジング1は、固定スクロール15および旋回スクロール16が収容されるスクロールケース1aと、駆動装置2が収容されるモータケース1bとを、有する。
クランク機構8は、メインベアリング26aおよびサブベアリング26bによって回転自在に支持されるクランクシャフト8aと、クランクシャフト8aの端部においてクランクシャフト8aの回転中心から偏心させて設けられているピン12に接続し旋回スクロール16の旋回公転運動に伴って発生する遠心力のアンバランスを打ち消す役割を持つドライブブッシュ8bと、ドライブブッシュ8bの回転によって旋回スクロール16を旋回公転運動させつつ旋回スクロール16が自転しないように回転自在に駆動力を伝えるドライブベアリング25とを有する。
ドライブブッシュ8bは、旋回スクロール16の旋回半径を可変にする機能も有する。
本実施形態の駆動装置2は、電動モータである。駆動装置2は、これに限ることはなく、例えば、ベルトドライブの圧縮機であればベルトからの駆動力を受けるプーリおよび電磁クラッチとすることができる。
駆動装置2は、ステータ6とロータ7とを備え、電源からステータ6に給電されるとともにロータ7が上下方向Sに延びる軸線O1回りに回転する。
ロータ7には、クランクシャフト8aが軸線O1方向を上下方向Sに向けて一体に取り付けられている。クランクシャフト8aは、軸線O1方向上端側がメインベアリング26aに、下端側がサブベアリング26bにそれぞれ回転自在に支持され、ロータ7の回転とともに軸線O1周りに回転する。
固定スクロール15は、固定端板15aと、固定端板15a上に立設された渦巻状の固定ラップ15bとを有する。同様に、旋回スクロール16は、旋回端板16aと、旋回端板16a上に立設された渦巻状の旋回ラップ16bとを有する。
固定スクロール15と旋回スクロール16は、固定ラップ15bと旋回ラップ16bとを向い合せになるように噛合させている。固定スクロール15と旋回スクロール16は、互いに所定量だけ偏心し、180度位相をずらして固定ラップ15bと旋回ラップ16bが噛合し、旋回スクロール16が旋回運動する位相に応じて固定ラップ15bと旋回ラップ16bが複数箇所で接触している。
固定スクロール15の下面と旋回スクロール16の上面との間、すなわち、固定ラップ15bと旋回ラップ16bとを噛合させた部分が冷媒などの流体を圧縮する圧縮室21を形成する。圧縮室21が、旋回スクロール16の旋回運動に応じてその容積を減少させながら漸次内周側に遷移することにより、渦巻きの中心部で流体が最大に圧縮される。
固定スクロール15の固定端板15aには、圧縮室21の中心部に対応する位置に、固定端板15aを貫通して上下の空間を連通する吐出ポート15cが設けられ、吐出ポート15cの上面側に吐出弁機構23が設けられている。吐出弁機構23は、固定スクロール15とスクロールケース1aとの間のチャンバ19と圧縮室21との圧力差に応じて吐出ポート15cの吐出口を開閉する機構である。
旋回スクロール16のスラスト荷重を受けながら摺動する、旋回端板16aとアッパベアリング10の接触面には、段差が設けられている。即ち、旋回端板16aにはボス部20が設けられ、アッパベアリング10には、穴部30が設けられている。
旋回スクロール16の旋回端板16aの下面には、ボス部20が一体に設けられ、ボス部20にはドライブベアリング25が挿入されている。
ボス部20は、主面が軸線と直交するスラスト面28と、スラスト面28と直交し、軸線O1と平行をなす旋回段差壁面29と、を有している。ボス部20の旋回段差壁面29には、複数の凸部13(図2参照)が形成されている。凸部13は、周方向に複数形成されている。凸部13の径方向外側を向く面は、旋回段差壁面29である。
アッパベアリング10には、旋回スクロール16のボス部20に対応した形状の穴部30が形成されている。穴部30は、有底穴であり、ボス部20のスラスト面28と僅かな隙間を介して平行に配置される固定側スラスト面31と、固定側スラスト面31と直交し、軸線O1と平行をなすアッパベアリング段差壁面32と、を有している。
穴部30のアッパベアリング段差壁面32には、ボス部20の凸部13に対応した形状をなし、凸部13の周方向の移動に伴って凸部13の壁面である旋回段差壁面29と接触する複数の凹部14(図2参照)が形成されている。
スクロール圧縮機Aが流体を圧縮する際に、流体およびクランク機構8からの荷重を受け、旋回スクロール16はドライブベアリング25の回転中心を軸とした軸O2回りの自転モーメントが発生する。
図2は、図1のII−II断面図であり、旋回スクロール16のスラスト荷重を受ける旋回端板16aとアッパベアリング10とで構成される自転防止機構9の外形を説明するために、クランクシャフト8a及びドライブベアリング25aなどの記載を省略した断面図である。なお、図2の下側には、自転防止機構9の構造の理解を容易とするために、旋回スクロール16及びアッパベアリング10の簡略した縦断面図も示している。
図2に示すように、自転防止機構9は、旋回スクロール16のボス部20に設けられた複数の凸部13と、アッパベアリング10の穴部30に設けられた複数の凹部14と、を有している。旋回スクロール16は、旋回公転運動を行う際に、圧縮工程にある流体および圧縮のための駆動力によって、自転モーメントが発生する。凸部13(旋回段差壁面29)は、この自転モーメントにより凹部14に押し付けられ、接触することで、凹部14から反力を受ける。
本実施形態の自転防止機構9は、6つの凸部13及び6つの凹部14を有している。なお、凸部13の数、凹部14の数はこれに限ることはなく、適宜変更することができる。
凸部13は、ボス部20の径方向外側(軸線O2の径方向外側)を向く旋回段差壁面29によって形成され、旋回スクロール16の径方向外側に突出している。凸部13は、旋回スクロール16の周方向に配列されている。
凸部13(旋回段差壁面29)の軸線O1方向から見た断面形状は、径方向外側に凸の外トロコイド曲線をなしている。外トロコイド曲線とは、所定の第一の円に外接しながら第二の円が滑らずに回転するときの第二の円の内部または外部の定点の軌跡である。この外トロコイド曲線のうち、第二の円の円周上の定点の軌跡を、外サイクロイド曲線と呼ぶ(外トロコイド曲線の一種)。
凸部13の断面形状は一つの例であり、トロコイド曲線(含むサイクロイド曲線)のみならず、インボリュート曲線など、曲率が漸次変化する曲線の適用、あるいは、それら複数の曲線を組み合わせた曲線を適用することも可能である。
図3は、複数の凸部13を有するボス部20の外形である旋回端板曲線20s(軸線方向(図1の上方向S)から見た旋回段差壁面29の断面形状)から複数の凹部14を有する穴部30の外形であるアッパベアリング曲線30s(軸線方向から見たアッパベアリング壁面32の断面形状)を決定する方法について説明する図である。
まず、旋回端板曲線20sを決定する(上記の通り、曲線は外トロコイド曲線のみに限らない)。即ち、外トロコイド曲線を用いた形状をなす凸部13を有する旋回端板曲線20sの形状を決定する。次いで、本来は、旋回軌道T1(軸線O2の軌道)の中心(軸線O1)に対して偏心しているボス部20の軸線O2(自転中心)を軸線O1に合わせる。
アッパベアリング曲線30sは、旋回端板曲線20s上を旋回スクロール16の旋回軌道T1と同じ形状Cの中心が移動するときに描かれる外側の包絡線である。換言すれば、アッパベアリング曲線30sは、旋回端板曲線20sが旋回軌道T1に沿っての旋回する時に、旋回端板曲線20sとアッパベアリング曲線30sが干渉しないように、周を広げた形状である。
旋回端板曲線20sがアッパベアリング曲線30sの内部にある場合、旋回スクロール16の旋回公転軌道の軌跡を、旋回公転軌道の中心が旋回端板曲線20s上になるように移動させ、得られる包絡線の外側の曲線をアッパベアリング曲線30sとする。
これにより、旋回端板15(ボス部20)とアッパベアリング10が干渉することはなくなる。旋回端板曲線20sの外向きの法線が旋回スクロール16の偏心方向と同じ向きになる旋回端板曲線20s上の点は、旋回端板16aの旋回段差壁面29とアッパベアリング段差壁面32とが接触する位置となる。
接触の発生する位置を、旋回スクロール16が偏心している方向に対し、旋回スクロール16の旋回公転方向とは逆向きに180°以内に設ければ、旋回スクロール16が旋回公転方向と同じ方向に自転することを防ぐことが可能となる。
同様に、接触が発生する位置を、旋回スクロール16が偏心している方向に対し、旋回スクロール16の旋回公転方向に対し180°以内に設ければ、旋回スクロール16が旋回公転方向の反対方向に自転することを防ぐことが可能となる。旋回端板曲線20sは、旋回スクロール16が旋回公転する1サイクル中に、自転を防止したい方向について接触点を1点以上常に存在するように、曲率が漸次変化する曲線とする。
次に、本実施形態の自転防止機構9の作用について説明する。図2に示すように、スクロール圧縮機の運転時において、旋回スクロール16が旋回し、流体が圧縮室21内で圧縮される際、流体の圧縮に係る荷重により、旋回スクロール16が軸線O2回りにモーメント荷重M(旋回スクロール16を自転させようとする自転モーメント)を受ける。
この際、凸部13と凹部14とが接触することによって接触反力Fが生じ、旋回スクロール16の自転が防止される。凸部13と凹部14との接触反力Fを受ける接触点Pは、旋回スクロールの16の旋回公転運動に伴って、旋回端板曲線20sに応じて移動する。逆に言えば、旋回端板曲線20sの形状設計によって、凸部13が凹部14から受ける接触点Pの位置の変化を自由に設計することが可能となる。
上記実施形態によれば、凸部13の旋回段差壁面29が外トロコイド曲線をなしているため、凸部13と凹部14との接触反力Fを受ける位置の移行が滑らかになり、自転防止機構9から発生する振動および騒音の低減を図ることができる。また、自転防止機構9に係る部品点数を削減することでコストの低減を図ることができる。
また、上記の通り接触点Pの位置の変化を自由に設計することが可能となることで、図4に示すように、旋回スクロール16の旋回中心O1と旋回スクロール16の中心O2とを通過する旋回角方向の軸Aから、接触反力Fを受ける接触点Pを遠くすることによって、モーメント荷重Mに対抗する接触反力Fのモーメントアーム(距離r)を大きくし、接触反力Fの大きさを低下させることができる。このことによって、自転防止機構9で発生する摩擦力を低下させ、摩擦抵抗による摺動損失の低減、および、摺動部の摩耗の低減が可能となる。
また、ボス部20の旋回段差壁面29と穴部30のアッパベアリング壁面32との間のクリアランスの大きさ、および、ボス部20およびアッパベアリング10を製造する際の公差による上記クリアランスのバラツキが、旋回スクロール16の自転角度に及ぼす影響を小さくすることができる。即ち、図4に示すように、旋回スクロール16の中心O2を基準とした場合の、接触反力Fを受ける接触点Pの位相を、旋回角方向の軸Aに対して旋回公転方向Rと逆方向に90°の位相に近づけることによって、クリアランスおよび上記公差によるクリアランスのバラツキが旋回スクロール16の自転角度に及ぼす影響を小さくすることができる。
また、自転防止のために接触反力Fを受ける接触点Pを、ドライブベアリング25を旋回端板16aに固定するボス部20の側面に、に複数の凸部13として設けたことによって、ピン−リング方式などと比較して、設計自由度を高くすることができる。
即ち、以下の理由で、ピン−リング方式と比較して、設計自由度を高くすることができる。ピン−リング方式は、ドライブベアリングを旋回スクロールの旋回端板に固定するボスの外側に、旋回軌道の直径とピン径の和に等しい内径を有する真円リングを取り付けるため、その取り付け部分を確保できる端板径及び端板面積が必要であった。これに対し、本実施形態のスクロール圧縮機Aでは、自転防止の接触反力を受ける必要がない摺動面を可能な限り減らし、ボス20の外側に真円リングを配置する必要を無くし、設計自由度を高くすることを可能にしている。
例えば、ドライブベアリング25を大径化することができる。これにより、ドライブベアリング25の高耐荷重化を図ることができる。又は、旋回端板16aの直径を小さくし、アッパベアリング10の小径化、および、スクロール圧縮機Aの小径化図ることができる。又は、旋回スクロール16の旋回軌道を大きくすることにより、スクロール圧縮機Aの容量を拡大することができる。また、ピン−リング方式においてリングが配置される領域もスラスト面28とすることで、スラスト荷重の受圧面積を拡大することができ、スラスト荷重の面圧を低下させることができる。
なお、凸部13と凹部14との接触点Pは、凸部13における旋回公転方向Rの前方側に限られるため、図5に示すように、凸部13における旋回公転方向Rの後方側は、自転防止機能を有する曲線形状とする必要はない。即ち、凸部13に、例えば直線形状とした旋回側壁面非接触面35を設けてもよい。このような形状とすることによって、旋回スクロール16の軽量化を図る、自転防止機能を有する接触面以外について仕上げの要求を省略すること等が可能となる。
また、上記実施形態では、旋回スクロール16側に凸部13を設け、アッパベアリング10側に凹部14を設ける構成としたが、これに限ることはない。例えば、図6に示すように、アッパベアリング10側に凸部13を設け、旋回スクロール16側に凹部14を設ける構成としてもよい。アッパベアリング10の凸部13は、アッパベアリング10から上方に突出するように設けられた台部46の径方向外側を向く面に設けられ、旋回スクロール16の凹部14は、旋回端板16aの下面に、アッパベアリング10の凸部13を径方向から囲むように設けられた旋回穴部47の径方向内側を向く面に設けられる。
また、上記実施形態では、旋回端板16aにボス部20を設け、ボス部20に凸部13を設ける構成にしたが、凸部13を設ける部位はこれに限ることはない。例えば、凸部13を、旋回スクロール16の旋回端板16aの側面に形成してもよい。
このように、凸部13を旋回端板16aの側面に設けることによって、スクロール圧縮機のクランクシャフト8の軸方向の長さを短くすることができる。
また、ボス部20の旋回段差壁面29と穴部30のアッパベアリング壁面32との間の摺動面の焼き付き、及び凝着(ともがね)を防止するために、以下の処理を行ってよい。
(1)ボス部20の旋回段差壁面29を固体潤滑材を塗布したプレートで覆ってもよい。
(2)ボス部20の旋回段差壁面29、又は穴部30のアッパベアリング壁面32の一方に固体潤滑材を塗布してもよい。
(3)ボス部20の旋回段差壁面29、又は穴部30のアッパベアリング壁面32の一方に表面処理(陽極酸化被膜の形成、浸炭、窒化、含侵、ショットピーニング等)を施してもよい。
(4)ボス部20の旋回段差壁面29と、穴部30のアッパベアリング壁面32とを異なる材質で形成してもよい。
上記(1)から(4)の対策を組み合わせてもよい。
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態のスクロール圧縮機は、第一実施形態で説明した自転防止機構の摺動面を、潤滑流体を用いて潤滑する方式を用いる。
一般的に、スクロール圧縮機の旋回スクロールに発生するスラスト荷重に対しては、アッパベアリング10の様なすべり軸受が用いられ、摺動面には潤滑流体が供給される構造になっている。そのため、既存のスクロール圧縮機に第一実施形態の自転防止機構を適用することで、特別な構成を必要とせずに本実施形態が可能となる。ただし、図7に示すような潤滑流体供給装置37を用いることで、能動的な潤滑流体の供給を行ってもよい。
潤滑流体を用いる本実施形態によれば、自転防止機構における凸部13と凹部14との間の隙間Gは、旋回公転方向Rの前方から後方の接触点Pに向かって狭くなる楔形状となる。旋回スクロールが旋回公転運動を行う際、この凸部13と凹部14との間の隙間Gには、潤滑流体が満たされる。
本実施形態によれば、凸部13と凹部14との間にある楔形状の隙間Gに潤滑流体が巻き込まれ、潤滑流体の圧力が高くなる(楔効果)。
潤滑流体の圧力が高くなることによって、凸部13と凹部14との間の接触点Pは、一定面積を有する境界潤滑から流体潤滑による摺動となる。これにより、接触面圧が分散し、摺動部の摩擦・摩耗が低減され、スクロール圧縮機Aの長寿命化を図ることができる。また、隙間Gの潤滑流体による減衰作用によって、振動低減効果も得られる。
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機は、凹部14Bが複数ボス部20Cに設けられており、凹部14Bに対応する凸部13Hが穴部30C側に設けられ、凹部14Bは、径方向内側に凸の内トロコイド曲線を有している。
内トロコイド曲線とは、所定の第一の円に内接しながら第二の円が滑らずに回転するときの第二の円の内部または外部の定点の軌跡である。この内トロコイド曲線のうち、第二の円の円周上の定点の軌跡を、内サイクロイド曲線と呼ぶ(内トロコイド曲線の一種)。
上記の通り内トロコイド曲線を適用した場合、旋回スクロール16の旋回公転運動によって凹部14Bと凸部13Hとが接触する際、自転防止の接触点Pは、第一実施形態のスクロール圧縮機とは異なり、旋回公転方向Rとは逆の方向に移動する。図8に、接触点Pの移動方向を矢印PMとして示す。この自転防止機構の形状に対し、第二実施形態で説明した流体による潤滑を適用する場合、潤滑流体は、旋回方向Rとは逆の方向に送られることになる。
ここで、図9に示すように、凸部13及び凹部14がボス部20Cの壁面29と穴部30Cのアッパベアリング壁面32の両方に設けられ、且つ、ボス部20Cの凸部13Bと穴部30Cの凸部13H(第二凸部)とが交互になるように配置された組み合わせがあっても良い。ボス部20Cは、互いに交互に配置された凸部13Bと凹部14B(第二凹部)とを有しており、凹部14Bは、径方向内側に凸の内トロコイド曲線を有している。
スクロール圧縮機Aにおいて旋回端板曲線20sがアッパベアリング曲線30sの内部にある場合であっても、旋回端板曲線20sがアッパベアリング曲線30sの外側にある場合であっても、旋回端板曲線20sの曲率半径中心が径方向内側にある場合(曲線が径方向外向きに凸となっている場合)、楔形状の隙間Gは、旋回スクロール16の旋回公転方向と同一の方向に進む。一方で、旋回端板曲線20sの曲率半径中心が径方向外側にある場合(曲線が径方向内向きに凹となっている場合)、楔形状の隙間Gは、旋回スクロール16の旋回公転方向と逆の方向に進む。
即ち、径方向外側に突出する凸部13Bと径方向外側に凹む凹部14Hとが接触する際、自転防止の接触点Pは旋回公転方向Rに移動する。また、凸部13Bと凹部14Hとの間の楔形状の隙間は、旋回スクロール16の旋回公転方向Rに進む。これにより、潤滑流体は、凸部13Bと凹部14Hとの間では、符号PM1で示すように、旋回公転方向Rに流れる。
一方、径方向内側に凹む第二凹部14Bと径方向内側に突出する第二凸部13Hとが接触する際、自転防止の接触点Pは旋回公転方向Rとは逆の方向に移動する。また、第二凹部14Bと第二凸部13Hとの間の楔形状の隙間は、旋回スクロール16の旋回公転方向Rと逆の方向に進む。これにより、潤滑流体は、第二凹部14Bと第二凸部13Hとの間では、符号PM2で示すように、旋回公転方向Rと逆の方向に流れる。
これらの特性を考慮することで、アッパベアリング30上の潤滑流体の流れを設計可能にできる。
上記実施形態によれば、旋回方向Rに送られる潤滑流体と、旋回方向Rとは逆の方向に送られる潤滑流体とが合流し、その圧力が高くなる。これにより、ポンプと同じ機能が働
くため、潤滑流体の合流地点に出口流路を設けることで、このポンプ機能によりメインベアリング26a、ドライブベアリング25およびアッパベアリング10のスラスト面28等に潤滑流体を送り込むことができる。これにより、メインベアリング26a、ドライブベアリング25およびアッパベアリング10のスラスト面28等の潤滑性能が向上するとともに長寿命化を図ることができる。
〔第四実施形態〕
以下、本発明の第四実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態のボス部20Dの旋回段差壁面29Dは、上方S1に向かうに従って徐々に外形が大きくなるように傾斜している。即ち、周方向から見たボス部20Dの旋回段差壁面29Dの角度は、水平面に対して垂直ではなく、径方向外側に傾斜している。アッパベアリング10のアッパベアリング段差壁面32Dも、旋回段差壁面29Dに対応して傾斜している。
上記実施形態によれば、凸部13と凹部14との接触面積、即ち、自転防止を目的とした接触反力の受圧面積を増やすことによって、摩擦・摩耗に対する耐久性を向上させることができる。また、凸部13と凹部14とが衝突する際に、その進入角度を両者の面に対して直交方向からずらすことができるため、衝突時の衝撃を緩和し、振動の低減および静音性を向上させることが可能となる。
〔第五実施形態〕
以下、本発明の第五実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態の旋回スクロール16は、旋回端板16aから下方S2に突出する第一ボス部41と、第一ボス部41から下方S2に突出する第二ボス部42と、を有している。第一ボス部41の外形41s(軸線方向から見た壁面の断面形状)は第一実施形態のボス部20と同じである。第二ボス部42の最大外径は、第一ボス部41の最大外径よりも小さい。例えば、第二ボス部42の最大外径は、第一ボス部41の最大外径の1/2とすることができる。
第一ボス部41の径方向外側を向く壁面は凸部13を有し、第二ボス部42の径方向外側を向く壁面も同様に凸部13を有する。即ち、本実施形態の自転防止機構9は、複数段の凸部13を有している。
第二ボス部42の凸部13の位相は、第一ボス部41の凸部13の位相に対して、凸部頂点が一致しないようにずらされている。例えば、第一ボス部41の隣り合う凸部13の頂点の中間に第二ボス部42の凸部13の頂点の位相を配置する。
旋回スクロール16の第一ボス部41及び第二ボス部42に対応して、アッパベアリング10には、第一穴部43及び第二穴部44が形成されている。第一穴部43の外形43sは、第一ボス部41の外形41sに対応した形状である。第二穴部44の外形44sは、第二ボス部42の外形42sに対応した形状である。第一穴部43及び第二穴部44には、第一ボス部41及び第二ボス部42に形成されている凸部13に対応して凹部14が形成されている。
上記スクロール圧縮機において、旋回端板16aとアッパベアリング10の接触面に設けた段差を2段(あるいはそれ以上の複数段)設けることで、自転防止に必要な接触を受ける位置を複数設定することが可能となる。2段とした場合、径方向外側の段部を形成する第一ボス部41、内側の段部を形成する第二ボス部42とから構成され、これらに対応する穴部は、第一ボス部41に対応する第一穴部43と、第二ボス部42に対応する第二穴部44とからなる。第一ボス部41と第二ボス部42の旋回端板曲線を相似な曲線とする場合、回転対称となるピッチの1/2だけ一方を回転させる。
上記実施形態によれば、自転防止に必要な接触を複数段で行うことにより、一方の段において自転防止の接触荷重位置が不連続となる場合に、他方の段で接触荷重位置が連続的になる。これにより、いずれかの段で接触荷重の移行がスムーズに行われるため、振動低減、静粛性向上の効果がある。
なお、上記実施形態では、第二ボス部42の凸部13の位相を第一ボス部41の凸部13の位相に対して、凸部頂点が一致しないようにずらすことによって、接触荷重の移行をスムーズにしたがこれに限ることはない。例えば、第一ボス部41の凸部13の形状と第二ボス部42の凸部13の形状は、相互に相似な形状でなくてもよい。
〔第六実施形態〕
以下、本発明の第六実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態のアッパベアリング10の穴部30には、上方に突出する台部46Fが形成されている。旋回スクロール16のボス部20には、台部46Fを収容する旋回穴部47Fが形成されている。
本実施形態の自転防止機構9は、第一実施形態の凸部13、凹部14に加えて、旋回スクロール16の旋回穴部47Fに形成されている径方向内側に凸の凸部13F、及びアッパベアリング10の台部46Fに形成されている径方向内側に凹の凹部14Fを有している。即ち、本実施形態の自転防止機構9は、ボス部20の径方向外側及び径方向内側で接触反力Fが作用するように形成されている。
ボス部20の径方向外側に凸の凸部13の位相は、ボス部20の径方向内側に凸の凸部13の位相に対して、凸部頂点が一致しないようにずらされている。
上記実施形態によれば、自転防止に必要な接触を複数の位置で行うことにより、一方の壁面間において自転防止の接触荷重位置が不連続となる場合に、他方の壁面間で接触荷重位置が連続的になる。これにより、いずれかの壁面間で接触荷重の移行がスムーズに行われるため、振動低減、静粛性向上の効果がある。
なお、上記実施形態では、アッパベアリング10に台部46Fを設けるとともに、ボス部20に旋回穴部47Fを設ける構成としたが、図6に示す台部46に凸部13又は凹部14を有する穴部を設け、図6に示す旋回端板16aに上記穴部に対応するボス部を設ける構成としてもよい。
〔第七実施形態〕
以下、本発明の第七実施形態のスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態の自転防止機構9の凸部13には、面取りが形成されている。具体的には、ボス部20の壁面29とスラスト面28との間の稜線が周方向にわたって斜めに削られているように面取り部48が設けられている。面取りは45°面取りに限らず、丸み面取り等でもよい。
また、面取り部48の代わりに、凹部14に溝を設ける構造でもよい。
上記実施形態によれば、第二実施形態で説明した潤滑流体が必要以上に多い状態や、ボス部20の壁面29と穴部30のアッパベアリング壁面32との間で潤滑流体の過大圧縮が起こることを防ぐことができる。これにより、旋回スクロール16が旋回する際の抵抗を軽減し、スクロール圧縮機Aを高効率化することができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記実施形態では、スクロール圧縮機を車載用空調システムおよび熱システムに用いられるスクロール圧縮機であるものとして説明したが、これに限ることはなく、本発明は、例えば、業務用や家庭用の空調機に用いられるスクロール圧縮機にも適用可能である。
また、アッパベアリング段差壁面32の機能、すなわち、旋回端板16aの旋回段差壁面29と接触し自転を抑制する機能は、ハウジング1など他の部品が担ってもよい。ただし、メインベアリング26aと自転防止に必要な接触を受ける面との間において、剛性および寸法公差等を考慮する場合、アッパベアリング10単体でメインベアリング26aの支持と自転防止に必要な接触を受ける機能との両方を有することが望ましい。
A スクロール圧縮機
1 ハウジング
1a スクロールケース
1b モータケース
2 駆動装置
6 ステータ
7 ロータ
8 クランク機構
8a クランクシャフト
8b ドライブブッシュ
9 自転防止機構
10 アッパベアリング
12 ピン
13 凸部
13H 凸部(第二凸部)
14 凹部
14B 凹部(第二凹部)
15 固定スクロール
15a 固定端板
15b 固定ラップ
15c 吐出ポート
16 旋回スクロール
16a 旋回端板
16b 旋回ラップ
19 チャンバ
20 ボス部
21 圧縮室
23 吐出弁機構
25 ドライブベアリング
26a メインベアリング
26b サブベアリング
28 スラスト面
29 旋回段差壁面(壁面)
30 穴部
31 固定側スラスト面
32 アッパベアリング段差壁面(壁面)
35 旋回側壁面非接触面
36 潤滑装置
37 潤滑流体供給装置
38 潤滑流体供給ライン
41 第一ボス部
42 第二ボス部
43 第一穴部
44 第二穴部
46 台部
47 旋回穴部
48 面取り部

Claims (7)

  1. ハウジングと、
    前記ハウジング内に固定され、固定端板と、前記固定端板に立設された渦巻き状の固定ラップとを有する固定スクロールと、
    前記ハウジング内で旋回公転運動を行い、旋回端板と、前記旋回端板に立設された渦巻き状の旋回ラップとを有し、前記固定スクロールと圧縮室を形成して流体の圧縮を行う旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールのスラスト荷重を受けるアッパベアリングと、
    前記アッパベアリングに支持されたメインベアリング、および、サブベアリングによって回転自在に支持されるクランクシャフトと、
    前記クランクシャフトの端部において前記クランクシャフトの回転中心から偏心させて設けられているピンに接続されて前記旋回スクロールの旋回公転運動に伴って発生する遠心力のアンバランスを打ち消す役割と、前記旋回スクロールの旋回公転半径を可変にする役割とを有するドライブブッシュと、
    ドライブブッシュの回転によって前記旋回スクロールを旋回公転運動させつつ前記旋回スクロールが自転しないように回転自在に駆動力を伝えるドライブベアリングと、
    前記クランクシャフトを駆動するための駆動装置と、
    前記旋回端板と前記アッパベアリングの一方に設けられ、前記旋回スクロールの径方向内側と径方向外側との一方側に突出する凸部と、前記旋回端板と前記アッパベアリングの他方に設けられ、前記径方向内側と前記径方向外側の一方側に凹み、前記凸部の周方向の移動に伴って前記凸部の壁面と接触する凹部と、を有する自転防止機構と、を備え、
    前記壁面の前記軸線の軸線方向から見た断面形状は、曲率が漸次変化する曲線であるスクロール圧縮機。
  2. 前記壁面の断面形状は、前記径方向内側と前記径方向外側の一方側に凸のサイクロイド曲線、トロコイド曲線、又はインボリュート曲線である請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記凸部は、前記旋回端板上の前記ドライブベアリングが挿入されるボス部の径方向外側を向く面に形成され、
    前記アッパベアリングには、前記ボス部を収容し、前記凸部に対応する凹部を有する穴部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記凸部と前記凹部との間に潤滑流体が供給される構造を有する請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記自転防止機構は、
    前記旋回端板に設けられ、前記旋回スクロールの径方向内側に凹む第二凹部と、前記アッパベアリングに設けられ、前記径方向内側に突出し、前記第二凹部の周方向の移動に伴って前記第二凹部の第二壁面と接触する第二凸部と、を有し、
    前記凸部と前記第二凹部とは、周方向に交互に配置され、
    前記第二壁面の断面形状は、前記径方向内側と前記径方向外側の他方側に凹のサイクロイド曲線、トロコイド曲線、又はインボリュート曲線である請求項4に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記ボス部は、前記旋回端板から突出する第一ボス部と、前記第一ボス部から突出し、前記第一ボス部よりも小径の第二ボス部とからなり、
    前記穴部は、前記第一ボス部に対応する第一穴部と、前記第二ボス部に対応する第二穴部とからなり、
    前記凸部は、前記第一ボス部及び第二ボス部の径方向外側を向く面に周方向に等間隔に形成されており、前記第二ボス部の凸部の位相は、前記第一ボス部の凸部の位相に対して凸部頂点が一致しないようにずらされている請求項3又は請求項4に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記凸部は、前記旋回端板の側面に形成され、
    前記アッパベアリングには、前記旋回端板を収容し、前記凸部に対応する凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
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