JP4154737B2 - 容積型流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばポンプ、圧縮機、膨張機等に係り、特に容積形流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから容積形の流体機械として、円筒状のシリンダ内をピストンが往復運動を繰り返すことにより作動流体を移動させるレシプロ式流体機械、円筒状のシリンダ内を円筒状のピストンが偏心回転運動することにより作動流体を移動させるロータリ式(ローリングピストン型)流体機械、端板上に直立した渦巻状のラップを有する一対の固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせ、旋回スクロールを旋回運動させることにより作動流体を移動させるスクロール式流体機械が知られている。
【0003】
レシプロ式流体機械は、その構造が単純であることから製作が容易でかつ安価であるという利点がある反面、吸入終了から吐出終了までの行程が軸回転角で180°と短く、吐出過程の流速が速くなるため圧力損失の増加による性能低下という問題、及び、ピストンを往復させる運動を必要とするため回転軸系を完全にバランスさせることができず振動や騒音が大きいという問題がある。
【0004】
また、ロータリ式流体機械は、吸入終了から吐出終了までの行程は軸回転角で360°であるため吐出過程の圧力損失が増加するという問題はレシプロ式流体機械に比べ少ないものの、軸1回転に1回吐出するものであるためガス圧縮トルクの変動が比較的大きくレシプロ式流体機械同様振動と騒音の問題がある。
【0005】
さらに、スクロール式流体機械は、吸入終了から吐出終了までの行程が軸回転角で360°以上と長い(空調用として実用化されているものは通常900°程度)ため吐出過程の圧力損失が小さく、かつ、一般に複数の作動室が形成されるためガス圧縮トルクの変動も小さく振動及び騒音が小さいという利点がある。しかし、ラップ噛み合い状態での渦巻状のラップ間のクリアランスや、端板とラップ歯先間のクリアランスの管理が必要で、そのために精度の高い加工を施さねばならず加工費用が高価になるという問題がある。また、吸入終了から吐出終了までの行程が軸回転角で360°以上と長いため圧縮過程の時間が長く内部漏れが増加するという問題があった。
【0006】
ところで、作動流体を移動させるデイスプレ−サ(旋回ピストン)が作動流体が吸入されたシリンダに対して相対的に自転運動せずにほぼ一定の半径で公転運動、すなわち旋回運動することにより作動流体を搬送する容積型機械の一種が特開昭55−23353号公報(文献1)、米国特許2112890号公報(文献2)、特開平5−202869号公報(文献3)及び特開平6−280758号公報(文献4)に提案されている。ここに提案されている容積形流体機械は、複数の部材(ベーン)が中心より放射状に延びている花びら形状を有するピストンと、このピストンとほぼ相似形の中空部を有するシリンダとから構成され、このピストンがこのシリンダ内を旋回運動することによって、作動流体を移動させるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献1乃至文献4に示された容積形流体機械は、レシプロ式のように往復運動する部分を持たないため、回転軸系を完全にバランスさせることができる。このため振動が小さく、さらに、ピストンとシリンダ間の相対滑り速度が小さいので摩擦損失を比較的少なくできるといった容積型流体機械として本質的に有利な特長を備えている。
【0008】
しかしながら、ピストンを構成する複数のベ−ンとシリンダとによって形成される個々の作動室の吸入終了から吐出終了までの行程が、軸回転角θcで約180°(210゜)と短い(ロ−タリ式の約半分でレシプロ式と同程度)ため、吐出過程における流体の流速が速くなり圧力損失が増加して性能が低下する問題がある。また、これら文献に示された流体機械では、個々の作動室の吸入終了から吐出終了までの軸回転角が短く、作動流体の吐出が終了してから次の(圧縮)行程が始まる(吸入終了)までの時間的なずれ(タイムラグ)が存在していることとなり、吸入終了から吐出終了までの作動室が駆動軸周りに偏って形成されるようになるため力学的なバランスが悪く、圧縮された作動流体からの反力としてピストンに、ピストン自身を回転させようとする自転モ−メントが過大に作用し、ベ−ンの摩擦や摩耗といった信頼性上の問題が起こりやすいという欠点がある。
【0009】
本発明の目的は、吐出過程の流体損失をスクロール式流体機械並に小さくでき、かつ、スクロール式流体機械よりも製作容易な流体機械を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
記目的は、端板間にディスプレーサとシリンダとを配置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間が形成される容積型流体機械において、前記ディスプレーサは、前記ディスプレーサを旋回させて作動流体を圧縮したとき、圧縮による荷重ベクトルがほぼ前記駆動軸に向くように設けられ、前記複数の空間の内、吸入が終了し吐出が終了するまでの行程となっている空間の数の最大値が、前記シリンダ内方に向かって突出する突出部の数以上に設けられ、前記ディスプレーサは複数の円弧からなる輪郭形状が前記ディスプレーサ中心の周りに複数連続して設けられていて、前記ディスプレーサに設けられ前記ディスプレーサの中心部から先端部に向かうラップがくびれ部を有し、前記複数の空間のそれぞれが、吸入が終了し吐出が終了するまでの行程の軸回転角θcが下式を満たし、前記シリンダ内壁面と前記ディスプレーサ外壁面と端板とで囲まれた前記複数の空間は、前記作動流体を吸入する空間との間に、前記作動流体を圧縮若しくは吐出する空間であって、前記作動流体を吐出する吐出ポートを挟んで隣接する作動室の流体を夫々異なる吸入ポートから吸入し、前記ディスプレーサ外壁と前記シリンダ内壁とで形成される空間のうち吸入行程にある空間が前記ディスプレーサの旋回に伴い分離して、夫々異なる圧縮若しくは吐出行程となる空間であり、吐出が終了した時点における前記シリンダの内壁と前記ディスプレーサの外壁とが接触するシール点に隣接する二つの空間が前記ディスプレーサの旋回に伴い1つの空間を形成して圧縮行程若しくは吐出行程となることにより達成される。式は(((N−1)/N)・360゜)<θc≦360゜であり、ただし、Nは前記シリンダ内方に向かって突出する突出部の数である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の特徴は以下の実施形態によりさらに明確になる。以下、本発明の一実施の形態を図を用いて説明する。まず、本発明に係る旋回形流体機械の構造を図1乃至図3を用いて説明する。図1(a)は本発明に係る容積型流体機械を圧縮機として用いた場合における密閉型圧縮機の縦断面図((b)のA-A断面図)、(b)は(a)のB-B断面図、図2容積型圧縮要素の作動原理図、図3は本発明に係る容積型流体機械を圧縮機として用いた場合における密閉型圧縮機の縦断面図である。
【0016】
図1において、密閉容器3内には、本発明に係る容積型圧縮要素1及びこれを駆動する電動要素2(図示なし)が収納されている。容積型圧縮要素1の詳細を説明する。図1(b)には同一輪郭形状が3組組み合わされた3条ラップが示されている。シリンダ4の内周形状は、いちょうの葉のような形状をした中空部が120°(中心o’)毎に同一の形状が表れるように形成されている。この個々のいちょうの葉状をした中空部の端部には、内方に向かって突出する複数(この場合は3条ラップであるので3つ存在する)の略円弧形状のベ−ン4bを有する。旋回ピストン5は、このシリンダ4の内側に配設されシリンダ4の内周壁4a(ベーン4bよりも曲率が大きい部分)及びベ−ン4bと噛み合うように構成されている。尚、シリンダ4の中心o’と旋回ピストン5の中心oを一致させると、両者の輪郭形状の間には基本形状として一定幅の隙間が形成される。
【0017】
次に、容積型圧縮要素1の作動原理を図1及び図2により説明する。記号oはデイスプレ−サである旋回ピストン5の中心、記号o’はシリンダ4(あるいは駆動軸6)の中心である。記号a,b,c,d,e,fはシリンダ4の内周壁4a及びベ−ン4bと旋回ピストン5の噛み合いの接点を表す。ここで、シリンダ4の内周輪郭形状をみると、同じ曲線の組合せが3箇所連続して滑らかに接続されている。このうちの1箇所に着目すると、内周壁4a、ベ−ン4bを形作る曲線を、厚みのある一つの渦曲線(ベーン4bの先端を渦の巻始めと考える)とみることができ、その内壁曲線(g−a)は巻き角がほぼ360°(設計上は360°であるが製造誤差のため丁度その値にはならないという意味である。以下、同様。尚、この巻角については詳細を後述する)の渦曲線で、外壁曲線(g−b)は巻き角がほぼ360°の渦曲線である。そして、上記1箇所の内周輪郭形状は、内壁曲線及び外壁曲線から形成されている。これら2つの曲線円周上にほぼ等ピッチ(3条ラップであるので120°)に配設し、隣合う渦巻体の外壁曲線と内壁曲線とは円弧等の滑らかな接続曲線(b−b’)で結ぶことによって、シリンダ4の内周輪郭形状が構成されている。旋回ピストン5の外周輪郭形状も上記シリンダ4と同じ原理で構成されている。
【0018】
なお、3つの曲線からなる渦巻体を円周上にほぼ等ピッチ(120°)に配設するとしたが、これは後述する圧縮動作に伴う荷重を均等に分散させる目的と製造のし易さを配慮したためで、特に、これらのことが問題にならない場合は、不等ピッチでもよい。
【0019】
さて、このように構成されたシリンダ4と旋回ピストン5による圧縮動作を図2を用いて説明する。7aは吸入ポートであり、8aは吐出ポートであり、夫々3か所に設けられている。駆動軸6を回転させることにより、旋回ピストン5が固定側であるシリンダ4の中心o’の周りを自転することなしに旋回半径ε(=oo’)で公転運動し、旋回ピストン5の中心o周りに複数の作動室15(シリンダ内周輪郭(内壁)とピストン外周輪郭(側壁)とにより囲まれて密閉された複数の空間のうち、吸入が終了し圧縮(吐出)行程となっている空間をいう。すなわち吸入終了から吐出終了までの期間となっている空間。前述の巻角が360゜の場合に限ると、圧縮終了時点ではこの空間は無くなるが、その瞬間に吸入も終了するのでこの空間を1つと勘定する。但し、ポンプとして用いる場合は、吐出ポートを介して外部と連通している空間をいう)が形成される(本実施の形態では常時3個の作動室)。接点aと接点bで囲まれハッチングが施された1つの作動室(吸入終了時点では2つに別れているが、圧縮行程が開始されると直ぐにこの2つの作動室はつながって1つになる)に着目して説明する。図2(1)が吸入ポ−ト7aからこの作動室への作動ガスの吸入が終了した状態である。この状態から90°駆動軸6が回転した状態が図2(2)で、回転が進み最初から180°回転した状態が図2(3)で、さらに回転が進み最初から270°回転した状態が図2(4)である。図2(4)から90°回転すると最初の図2(1)の状態に戻る。これより、回転が進むに従って作動室15はその容積を縮少し、吐出ポ−ト8aは吐出弁9(図1に示す)で閉じられているため作動流体の圧縮作用が行われることになる。そして、作動室15内の圧力が外部の吐出圧力よりも高くなると圧力差で吐出弁9が自動的に開き、圧縮された作動ガスは吐出ポ−ト8aを通って吐き出される。吸入終了(圧縮開始)から、吐出終了までの軸回転角は360°で、圧縮、吐出の各行程が実施されている間に次の吸入行程が準備されており、吐出終了時が次の圧縮開始となる。例えば、接点aとdによって形成される空間に着目すると、図2(1)の段階で既に吸入ポート7aから吸入が開始されており、回転が進むにつれてその容積が増し、図2(4)の状態になると、この空間は分断される。この分断された量に相当する流体は接点bとeによって形成される空間から補われる。
【0020】
詳述する。図2(1)の状態の接点aとbとにより形成された作動室に着目すると、隣の接点aとdによって形成された空間は吸入が始まっており、この中の流体が軸回転角360°後に接点aとbによって形成される空間によって圧縮される筈であるが、この空間は、一旦図2(3)に示されるように広がった後、図2(4)になると分断されてしまうので、接点aとdによって形成された空間の全ての流体が接点aとbによって形成される空間で圧縮される訳ではない。分断されて接点aとdによって形成された空間に取り込まれなかった流体体積と同量の流体は、図2(4)において吸入過程にある接点bとeによって形成される空間が、図2(1)に示されるように分断されて、吐出ポート付近の接点eと接点bとにより形成される空間に流入している流体によって充当される。これは、前述したように、不均等ピッチで配置したのではなく均等ピッチで配置したことによる。即ち、旋回ピストンおよびシリンダの形状が同一輪郭形状の繰返しにより形成されているため、いずれの作動室も異なる空間から流体を得てもほぼ同量の流体を圧縮することができるのである。なお、不均等ピッチであっても各空間に形成される容積が等しくなるように加工を施すことは可能であるが製作性が悪い。前出のいずれの従来技術においても吸込過程にある空間が閉じられてそのまま圧縮され吐出されるのに対して、このように作動室に隣合う吸入過程にある空間が分断されて圧縮動作を行うことは本実施形態の特徴の一つでである。
【0021】
以上説明したように、連続的な圧縮動作となる作動室が旋回ピストン5の中心部に位置する駆動軸受5aの周りにほぼ等ピッチで分散して配設され、各作動室は各々位相がずれて圧縮が行われる。すなわち、一つの空間に着目すると吸入から吐出までは軸回転角で360°ではあるが、本実施形態の場合3個の作動室が形成され、これらが120°ずれた位相で吐出をするので、圧縮機として軸回転角で360°間に3回冷媒を吐出することになる。このように冷媒の吐出脈動を小さくし得る点がレシプロ式、ロータリ式及びスクロール式にない点である。
【0022】
さて、圧縮動作を終了した瞬間の空間(接点aとbによって囲まれた空間)を一つの空間として見做すと、本実施形態の如く巻角が360゜の場合、いずれの圧縮機動作状態においても、吸入行程となっている空間と圧縮行程となっている空間とが交互になるように設計されており、このため、圧縮行程が終了した瞬間直ちに次の圧縮行程に移行することができ、滑らかで連続的に流体を圧縮することができる。
【0023】
次に、このような形状をした旋回型圧縮要素1を組み込んだ圧縮機を図1及び図3を用いて説明する。図3において、旋回型圧縮要素1は、上記詳述したシリンダ4及び旋回ピストン5に加えて、旋回ピストン5の中心部の軸受にクランク部6aが嵌合して旋回ピストン5を駆動する駆動軸6、前記シリンダ4の両端開口部を閉塞する端板と駆動軸6を軸支する軸受を兼ねた主軸受7と副軸受8、前記主軸受7の端板に形成された吸入ポ−ト7a、前記副軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8a、この吐出ポ−ト8aを開閉するリ−ド弁形式(差圧で開閉する)の吐出弁9を有する。5bは旋回ピストン5に形成された貫通穴である。また、10は主軸受7に取り付けられた吸入カバ−、11は副軸受8に一体的に吐出室8bを形成するための吐出カバ−である。
【0024】
電動要素2は、固定子2aと回転子2bからなり、回転子2bは駆動軸6の一端に焼き嵌め等で固定されている。この電動要素2は、電動機効率向上のため、ブラシレスモータで構成され、3相インバータにより駆動制御される。ただし、他の電動機形式、例えば、直流電動機や誘導電動機でも差し支えない。
【0025】
12は密閉容器3の底部に溜められた潤滑油で、この中に駆動軸6の下端部が浸かっている。13は吸入パイプ、14は吐出パイプ、15はシリンダ4の内周壁4a及びベ−ン4bと旋回ピストン5の噛み合いによって形成される前述した作動室である。また、吐出室8bはOリング等のシ−ル部材16により密閉容器3内の圧力と区画されている。
【0026】
作動ガス(冷媒)の流れを図1により説明する。図中に矢印で示すように、吸入パイプ13を通って密閉容器3に入った作動ガスは、主軸受7に取り付けられた吸入カバ−10内に入り吸入ポ−ト7aを通って旋回型圧縮要素1に入り、ここで駆動軸6の回転によって旋回ピストン5が旋回運動を行い作動室の容積が縮少することにより圧縮される。圧縮された作動ガスは、副軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8aを通り吐出弁9を押し上げて吐出室8b内に入り、吐出パイプ14を通って外部に流出する。尚、吸入パイプ13と吸入カバー10との間に隙間が形成されている理由は、作動ガスを電動機要素2内にも流通させることによって電動機要素を冷却するためである。
【0027】
ここで、本発明の旋回型圧縮要素1を構成する主要部品である旋回ピストン5及びシリンダ4の輪郭形状の構成方法を図4乃至図6を用いて説明する(3条ラップの場合を例にあげる)。図4(a)(b)は、一例として平面形状が円弧の組合せにより構成された旋回ピストンの形状の一例で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図5(a)(b)は、図4に示した旋回ピストンの対となって噛み合うシリンダ形状の一例で、(a)は平面図、(b)は側面図である。また、図6は、図4に示した旋回ピストンの中心oと図5示したシリンダの中心o’とを重ねて描いた図である(一組部分)。
【0028】
図4(a)において、旋回ピストンの平面形状は中心o(正三角形IJKの図心)の周りに同一の輪郭形状が3箇所連続して接続されている。その輪郭形状は、半径R1から半径R7までの全部で7つの円弧で形成されており、点p,q,r,s,t,u,v,wは夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線pqは、正三角形の一辺IJ上に中心を持つ半径R1の半径、ここで、点pは頂点IよりR7の距離にある。曲線qrは辺IJに中心を持つ半径R2の半円、曲線rsは辺IJ上に中心を持つ半径R3の半円、曲線stは同様に辺IJ上に中心を持つ半径R4(=2・R3+R2)の円弧である。曲線tuは接点tと半径R2の中心を結ぶ直線の延長線上に中心を持つ半径R5の円弧、曲線uvは図心oを中心とする半径R6の円弧、曲線vwは頂点Jを中心とする半径R7の円弧である。尚、半径R4,R5,R6の夫々の円弧の角度は接点において滑らかに接続する(接点での接線の傾きが同一)という条件により決められる。点pから点wに至る輪郭形状を図心oを中心に反時計周りに120°回転させると点wに点pが重なり、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が完成する。これにより旋回ピストンの平面形状(厚みh)が得られる。
【0029】
旋回ピストンの平面形状が決まると、この旋回ピストンが旋回半径εで旋回運動したときにこれに噛み合うシリンダの輪郭形状は、図6に示されるように旋回ピストンの輪郭形状を構成する曲線の外側の法線距離がεのオフセット曲線となる。
【0030】
図5によりシリンダの輪郭形状を説明する。三角形IJKは図4と同一の正三角形である。輪郭形状は、旋回ピストンと同様に全部で7つの円弧で形成されており、点p’,q’,r’,s’,t’,u’,v’,w’は夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線p’q’は、正三角形の一辺IJ上に中心を持つ半径(R1−ε)の半円、ここで、点p’は頂点Iより(R7+ε)の距離にある。曲線q’r’は辺IJに中心を持つ半径(R2−ε)の半円、曲線r’s’は辺IJ上に中心を持つ半径(R3+ε)の半円、曲線s’t’は同様に辺IJ上に中心を持つ半径(R4+ε)の円弧である。曲線t’u’は接点t’と半径(R2−ε)の中心を結ぶ直線の延長線上に中心を持つ半径(R5+ε)の円弧、曲線u’v’は図心o’を中心とする半径(R6+ε)の円弧、曲線v’w’は頂点Jを中心とする半径(R7+ε)の円弧である。尚、半径(R4+ε),(R5+ε),(R6+ε)の夫々の円弧の角度は旋回ピストン同様、夫々の接点において滑らかに接続する(接点での接線の傾きが同一)という条件により決められる。点p’から点w’に至る輪郭形状を図心o’を中心反時計周りに120°回転させると点w’に点p’が一致し、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が完成する。これによりシリンダの平面形状が得られる。シリンダの厚みHは、旋回ピストンの厚みhよりわずかに厚くなっている。
【0031】
図6は旋回ピストンの中心oとシリンダの中心o’を重ねた図である。図からも理解されるように、旋回ピストンとシリンダとの間に形成される隙間は旋回半径に等しいεとなる。尚、この隙間は、全周においてεであることが望ましいが、旋回ピストンの外周輪郭とシリンダの内周輪郭とにより形成される作動室が正常な動作をする範囲において、何らかの理由によって、この関係が崩れる箇所があっても差し支えない。
【0032】
尚、ここでは旋回ピストン及びシリンダの輪郭形状の構成方法として多円弧の組合せによる方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく任意の(高次)曲線の組合せによっても同様の輪郭形状を構成することができる。
【0033】
図7は、吸入終了時からの軸回転角θを横軸にとって本発明における作動室の容積変化特性(吸入容積Vsと作動室容積Vの比で表す)を他形式の圧縮機と比較して示す。これより本実施形態に係る旋回型圧縮要素1の容積変化特性は、吐出開始容積比0.37の空調機条件(例えば作動ガスがフロンHCFC22の場合、吸入圧力Ps=0.64MPa,吐出圧力Pd=2.07MPa)で比べて見ると、圧縮過程はレシプロ式とほぼ同等で、短時間に圧縮過程が終了するため作動ガスの漏れが低減され、圧縮機の能力及び効率を向上することができる。一方、吐出過程はロ−タリ式(ロ−リングピストン型)よりも約50%長くなり、吐出流速が遅くなるため圧力損失が低減され、吐出過程の流体損失(過圧縮損失)を大幅に低減して性能向上を図ることができる。
【0034】
図8は、本実施形態における軸1回転中の仕事量の変化、すなわちガス圧縮トルクTの変化を他形式の圧縮機と比較して示す(ここに、Tmは平均トルクである)。これより本発明の旋回型圧縮要素1のトルク変動はロ−タリ式の約1/10と非常に小さく、スクロ−ル式と同等だが、スクロ−ル式のオルダムリングのような旋回スクロ−ル自転防止のために往復摺動する機構をもたないため、完全に回転軸系のバランスがとれ圧縮機の振動・騒音を低減することができる。また、スクロ−ル式のような長い渦巻き形状でないため、加工時間の短縮、コスト低減が図れるとともに、渦巻き形状を保持するための端板(鏡板)が無いので、冶具を貫通させて加工することができなかったスクロール式に比べてロータリ式並の加工で製作することができるほか、スラスト荷重が作用しなく、圧縮機の性能に重要な影響をおよぼす軸方向クリアランスの管理もしやすくなるため性能向上が図れる。さらに圧縮機の小型、軽量化にも寄与することができる。
【0035】
次に前述の巻角θと吸入終了から吐出終了までの軸回転角θcとの関係について詳細に説明する。巻角θを変えることにより軸回転角θcを変えることが可能である。例えば、巻角を360°よりも小さくすることによって吸入終了から吐出終了までの軸回転角を小さくする場合、吐出ポートと吸入ポートが連通する状態が生じ、吐出ポート内の流体の膨張作用で一旦吸入された流体が逆流するといった問題が起こる。また、吸入終了から吐出終了までの軸回転角を巻角360°よりも大きくすることによって軸回転角を大きくする場合、吸入終了から吐出ポートのある空間に連通するまでの間に大きさの異なるの2つの作動室が形成され、圧縮機として用いたとき、これら2つの作動室の圧力上昇が各々異なるために両者合体時に不可逆的な混合ロスが生じ、圧縮動力の増加になると共に旋回ピストンの剛性が低下する。また、液体ポンプとして用いようとしても、吐出ポートに連通しない作動室が形成されることからポンプとしては成り立たなくなる。このため、巻角θは許容される精度の範囲内において極力360°が望ましいといえる。
【0036】
前述の特開昭55−23353号公報(文献1)に記載の流体機械における圧縮行程の軸回転角θcは、θc=180゜であり、特開平5−202869号公報(文献3)及び特開平6−280758号公報(文献4)に記載の流体機械における圧縮行程の軸回転角θcは、θc=210゜である。作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入終了)までの期間は、文献1においては軸回転角θcで180゜、文献3及び文献4においては150゜である。
【0037】
圧縮行程の軸回転角θcが210゜の場合における軸の1回転中の各作動室(符号I、II、III、IVで示す)の圧縮行程線図を図9(a)に示す。但し、条数N=4である。軸回転角θcが360゜内には4個の作動室が形成されるが、ある角度において同時に形成される作動室数nは、n=2あるいは3となっている。同時に形成される作動室数の最大値は条数よりも少ない3である。
【0038】
同様に条数N=3であり圧縮行程の軸回転角θcが210゜の場合を図10(a)に示す。この場合も同時に形成される作動室数nは、n=1あるいは2であり、同時に形成される作動室数の最大値は条数よりも少ない2である。
【0039】
このような状態では、作動室が駆動軸の周りに偏って形成されるため、力学的アンバランスが発生し、旋回ピストンに働く自転モーメントが過大になり、旋回ピストンとシリンダとの接触荷重が増大し機械摩擦損失の増加による性能低下やベーンの摩耗による信頼性低下の問題がある。
【0040】
この問題を解決するため、本実施の形態では、圧縮行程の軸回転角θcが、
(((N−1)/N)・360゜)<θc≦360゜(数1)
を満たすように、旋回ピストンの外周輪郭形状及びシリンダの内周輪郭形状を形成している。換言すると、前述の巻角θが数式1の範囲になっている。図9(b)を参照すると、圧縮行程の軸回転角θcが、270゜より大きくなっており、同時に形成される作動室数nは、n=3あるいは4となり、作動室数の最大値は4である。この値は、条数N(=4)に一致する。また、図10(b)では、圧縮行程の軸回転角θcが、240゜より大きくなっており、同時に形成される作動室数nは、n=2あるいは3となり、作動室数の最大値は3である。この値は、条数N(=3)と一致する。
【0041】
このように圧縮行程の軸回転角θcの下限値を数式1の左辺の値よりも大きくすることにより、作動室数の最大値が条数N以上となり、作動室が駆動軸の周りに分散して配置されるようになるため、力学的なバランスがよくなり、旋回ピストンに働く自転モーメントが低減され、旋回ピストンとシリンダとの接触荷重も低減され機械摩擦損失の低減による性能向上と共に接触部の信頼性を向上することができる。
【0042】
一方、圧縮行程の軸回転角θcの上限は数式1によると360゜となっている。この圧縮行程の軸回転角θcの上限は360゜が理想である。前述したように、作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入終了)までのタイムラグを0にすることができ、θc<360゜の場合に起こる隙間容積内のガスの再膨張による吸入効率の低下を防止することができると共に、θc>360゜の場合に起こる2つの作動室の圧力上昇が異なるために両者合体時に発生する不可逆的な混合ロスを防止することができる。後者について図11を用いて説明する。
【0043】
図11に示された容積形流体機械の圧縮行程の軸回転角θcは375゜となっている。図11(a)は、図中網掛けが施された2つの作動室15aと15bの吸入が終了した状態である。このとき2つの作動室15aと15bの圧力は吸入圧力Psで両者等しくなっている。吐出口8aは作動室15aと15bの間に位置しており、両作動室とは連通していない。この状態から軸回転角θcで15゜回転が進んだ状態を図11(b)に示す。吐出口8aと両作動室15aと15bが連通する直前の状態である。このとき作動室15aの容積は図11(a)の吸入終了時よりも小さく圧縮が進行しており圧力も吸入圧力Psよりも高い圧力になっている。これに対して、作動室15bの容積は逆に吸入終了時よりも大きくなっており、膨張作用により圧力も吸入圧力Psよりも低くなっている。次の瞬間作動室15aと15bが合体(連通)する際に、図11(c)に矢印で示すような不可逆的な混合が起こり、圧縮動力の増加による性能低下が発生することとなる。従って、圧縮行程の軸回転角θcの上限は360゜が理想的であると結論される。
【0044】
ちなみに、図11に示された容積形流体機械は、図1に示したものと若干形状が相違している。これは、図1にて説明した容積形流体機械では、ベーンを挟んだ空間のうち一方が吸入空間となり他方が作動室となる場合が生じ、このような細いベーン形状では圧縮動作中にベーンが変形して内部漏れを起こし圧縮効率が低下する問題があり、この点を解決するために図11に示した形状としたものである。図11に示した容積形流体機械の圧縮行程の軸回転角θcを360゜とすれば、図1に示した容積形流体機械とほぼ同等の特性を有する。また、両者とも旋回ピストンの形状は中心部から各条が延び、途中にくびれがある点共通している。
【0045】
図12は文献3若しくは文献4に記載された旋回型流体機械の圧縮要素であり、(a)が平面図(b)が側面図である。条数Nは3であり、圧縮行程の軸回転角θc(巻角θ)は210゜である。この図において、作動室数nは図10(a)に示したようにn=1あるいは2となる。この図は軸回転角θcが0゜の状態を示しており、作動室数nは2である。本図から明らかなように、旋回ピストンの外周輪郭形状とシリンダの内周輪郭形状とにより形成される空間の内右側の空間は作動室となってなく、吸入口7aと吐出口8aが連通している。このため、吐出口7aの隙間容積内ガスの再膨張により一旦吸入口8aからシリンダ4内に流入したガスが逆流し、吸入効率が低下する問題がある。
【0046】
ところで、この図に示された容積形流体機械の圧縮行程の軸回転角θcを、本実施の形態の考え方を用いて拡大する場合を考える。圧縮行程の軸回転角θcを拡大するためには2点鎖線で図示するようにシリンダ4の輪郭曲線の巻角を大きくしなければならないが、図示の如くベーン4bの厚さが極端に薄くなり、作動室数nの最大値が条数N(N=3)以上となるように圧縮行程の軸回転角θcを240゜より大きくすることは困難である。
【0047】
図13に図12に示された容積形流体機械と同一行程容積(吸入容積)、同一外径寸法、同一旋回半径の容積形流体機械の圧縮要素の実施形態を示す。この図13に示された圧縮要素の圧縮行程の軸回転角θcは240゜より大きい360゜を実現している。これは、図12に示された圧縮要素では、作動室を形成するシール点間が滑らかな曲線によって構成されているため、例え、本実施の形態の考え方に基づいて圧縮行程の軸回転角θcを拡大しようとしても最大で240゜が限界であるが、図13に示された本実施の形態による圧縮要素では、シール点間(点a−点c)が滑らかではなく(一様の曲線ではなく)接点b付近の形状が旋回ピストンから見て突出するように形成され、旋回ピストンの各条が中心部から先端部に向かう途中にくびれ部が存在している。これらは図1に示した実施の形態についても云えることである。これらの形状により、接点aから接点bまでの巻角θを240゜より大きい360゜とすることができ、接点bから接点cまでの巻角θを240゜より大きい360゜とすることができる。この結果、圧縮行程の軸回転角θcを240゜より大きな360゜とすることができ、作動室数nの最大値を条数N以上とすることができる。このため、作動室が分散配置され自転モーメントを小さくすることができる。
【0048】
さらに、このように有効に機能しうる作動室数が増加したことで、図12に記載の圧縮要素のシリンダ高さ(厚み)をHとしたとき、図13に記載の圧縮要素のシリンダ高さは0.7Hとなり、30%低くなるので、圧縮要素の小型化を図ることができる。
【0049】
図14は、本実施形態における旋回ピストン5に作用する荷重及びモ−メントの説明図である。記号θは駆動軸6の回転角、εは旋回半径である。作動ガスの圧縮に伴い、各作動室15の内圧によって旋回ピストン5には、図に示すように偏心方向に直角な接線方向力Ftと偏心方向にあたる半径方向力Frが作用する。FtとFrの合力がFである。この合力Fの旋回ピストン5の中心oからのずれ(腕の長さl)によって旋回ピストンを回転させようとする自転モ−メントM(=F・l)が働く。この自転モ−メントMを支えるのが旋回ピストン5とシリンダ4の接点gと接点bにおける反力R1と反力R2である。本発明では常時、吸入ポ−ト7aに近い2ないし3箇所の接点でモ−メントを受け、その他の接点には反力が作用しない。本発明の旋回型圧縮要素1は、旋回ピストン5の中心部に嵌合された駆動軸6のクランク部6aの周りにほぼ等ピッチで吸入終了から吐出終了までの軸回転角がほぼ360°となる作動室を分散して配設しているため、合力Fの作用点を旋回ピストン5の中心oに近付けることができ、モ−メントの腕の長さlを縮少して自転モ−メントMを低減することができる。したがって、反力R1と反力R2が軽減される。また、接点gと接点bの位置からわかるように、自転モ−メントMをうける旋回ピストン5とシリンダ4の摺動部位を、温度が低く油粘度の高い作動ガスの吸入口7a付近になるようにしているため摺動部の油膜が確保され、摩擦・摩耗の問題を解決した信頼性の高い旋回型圧縮機を提供することが出来る。
【0050】
図15は作動流体の内圧によって旋回ピストンに働く軸1回転中の自転モーメントMを図12に示された圧縮要素及び図13に示された圧縮要素で比較したものである。計算条件は作動流体HFC134aの冷凍条件(吸入圧力Ps=0.095Mpa、吐出圧力Pd=1.043Mpa)である。これにより作動室数の最大値が条数以上となる本実施の形態による圧縮要素では、吸入終了から吐出終了までの作動室が駆動軸の周りにほぼ等ピッチで分散して配置されるため力学的なバランスがよくなり、圧縮による荷重ベクトルがほぼ中心を向くように構成できる。このため旋回ピストンに働く自転モーメントMを低減することができる。この結果、旋回ピストンとシリンダの接触荷重も軽減され機械効率を向上することができると共に圧縮機としての信頼性を向上することができる。
【0051】
ここで、吸入口7aと吐出口8aとが連通する期間と圧縮行程軸回転角との関係について説明する。吸入口と吐出口が連通する期間、すなわち作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入終了)までの間の軸回転角で表すタイムラグΔθは、圧縮行程の軸回転角θcとして、Δθ=360゜−θcで表される。
【0052】
Δθ≦0゜の場合は、吸入口と吐出口が連通する期間が存在しないため、吐出口の隙間容積内ガスの再膨張による吸入効率の低下はない。
【0053】
Δθ>0゜の場合には吸入口と吐出口が連通する期間が存在するため、吐出口の隙間容積内ガスの再膨張に起因する吸入効率の低下が起こり、圧縮機の(冷凍)能力が低下することになる。また、吸入効率(体積効率)の低下は圧縮機のエネルギ効率である断熱効率あるいは成績係数の低下にもつながる。
【0054】
圧縮行程の軸回転角θcは旋回ピストンあるいはシリンダの輪郭曲線の巻角θと吸入口及び吐出口の位置によって決定される。旋回ピストンあるいはシリンダの輪郭曲線の巻角θを360゜にした場合には、圧縮行程の軸回転角θcは360゜にできると共に吸入口あるいは吐出口のシール点を移動することによってθc<360゜にもすることができる。しかし、θc>360゜にはすることはできない。例えば、前述の図11に示した圧縮要素の圧縮行程の軸回転角θc=375゜を吐出口の位置や大きさを変えることによりθc=360゜に変更することができる。これは、図11における吸入終了状態の直後に作動室15aと作動室15bとが連通するように吐出口を大きくすることにより実現することができる。このような変更を行うことによりθc=375゜の時に発生していた2つの作動室の圧力上昇が異なるために起こる不可逆的な混合ロスを低減することができる。従って、輪郭曲線の巻角θは、圧縮行程の軸回転角θcを決定する必要条件ではあるが十分条件ではないと云うことができる。
【0055】
さて、上記説明した本実施形態では、密閉容器3内の圧力が低圧(吸入圧力)タイプの密閉型圧縮機について説明したが、低圧タイプにすることにより以下のような利点がある。
【0056】
(1)圧縮された高温の作動ガスによる電動要素2の加熱が少ないため、固定子2a,回転子2bの温度が低下し、モ−タ効率が向上して性能向上が図ることができる。
【0057】
(2)フロン等の潤滑油12と相溶性のある作動流体では、圧力が低いため潤滑油12中に溶解する作動ガスの割合が少なくなり、軸受等での油の発泡現象が起こりにくく、信頼性を向上することができる。
【0058】
(3)密閉容器3の耐圧を低くでき、薄肉・軽量化が図ることができる。
【0059】
次に、密閉容器3内の圧力が高圧(吐出圧力)タイプのものについて説明する。図16は、本発明の他の実施形態に係る旋回型流体機械を圧縮機として用いた高圧タイプの密閉型圧縮機の要部拡大断面図である。図16において、前述の図1〜図3と同一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をなす。図において、7bは吸入カバ−10によって主軸受7に一体的に形成された吸入室で、シ−ル部材16等によって密閉容器3内の圧力(吐出圧力)と区画されている。17は吐出室8b内と密閉容器3内を連通する吐出通路である。旋回型圧縮要素1の作動原理等は前述した低圧(吸入圧力)タイプと同様である。
【0060】
作動ガスの流れは図中に矢印で示すように、吸入パイプ13を通って吸入室7bに入った作動ガスは、主軸受7に形成された吸入ポ−ト7aを通って旋回型圧縮要素1に入り、ここで駆動軸6の回転によって旋回ピストン5が旋回運動を行い作動室15の容積が縮少することにより圧縮される。圧縮された作動ガスは、副軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8aを通り吐出弁9を押し上げて吐出室8b内に入り、吐出通路17を通って密閉容器3内に入り、この密閉容器3に接続された吐出パイプ(図示せず)より外部に流出する。
【0061】
このような高圧タイプの利点は、潤滑油12が高圧になっているため、駆動軸6の回転による遠心ポンプ作用等によって各軸受摺動部に給油された潤滑油12が旋回ピストン5の端面の隙間等を通ってシリンダ4内に供給され易くなるため、作動室15のシ−ル性及び摺動部の潤滑性を向上できる点にある。
【0062】
以上、本発明の旋回型流体機械を用いた圧縮機では機器の仕様や用途あるいは生産設備等に応じて低圧タイプ、高圧タイプどちらでも選択することが可能となり、設計の自由度が大幅に拡大する。
【0063】
次に本発明の実施例に係る旋回ピストンの製造方法、特にその独特の形状をした外周輪郭の仕上げ方法について説明する。図17はこの説明図であり、図18は旋回ピストンの外周加工状態の断面図である。図において、18は加工治具でベ−ス18aとこのベ−ス18aに固定された複数のピン部18b及び工作物を固定するクランプ18cよりなる。19は加工工具で研削用工具19a、切削用工具19b等からなる。鋳物あるいは鍛造等で作られた旋回ピストン5の素材はまず両端面を加工され、位置決め用の貫通穴5b及び軸受5aが精密に位置決め加工される。次に、図17に示すように前記貫通穴5bを基準に加工治具18のピン部18bに沿って嵌合され、クランプ18cによりベ−ス18aにねじあるいは機械力で締め付け固定される。この取り付け状態(図18)で、マシニングセンタ等を用い、研削用工具19a、切削用工具19b等により外周輪郭の仕上げ加工が行われる。このように、旋回ピストン5の中心部の軸受5a周りに複数の貫通穴5bを形成し、この貫通穴5bを加工治具18への取付けの位置決め基準としているため、正確な位置決めが可能になるとともに、切削・研削加工時の変形等も防止され、輪郭形状の寸法精度を向上することができる。また、この貫通穴は組立て及び検査用治具の位置決めと共通化することにより効率的に組立てや検査作業を行うことができる。さらに、旋回ピストン5の重量軽減にも貢献する。一方、シリンダ4の内周輪郭の加工はシリンダ4の外周を取付け治具に固定しマシニングセンタ等を利用して加工される。なお、シリンダ4のベ−ン4b部の剛性を高めるために、シリンダ4を主軸受7の端板面に固着してもよいし、シリンダ4と主軸受7を一体で構成してもよい。
【0064】
以上、シリンダ4の内周に3箇所のベ−ン4bをもつ旋回型流体機械について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ベ−ン4bの数が2個以上N個の旋回型流体機械に拡張することができる(Nの値は実用上は8〜10以下となる)。
【0065】
図19〜図21は、本発明の他の実施例に係る旋回型流体機械の圧縮要素を示し、図19はN=2(2条ラップ)の場合、図20はN=4(4条ラップ)の場合、図21はN=5(5条ラップ)の場合である。これらの旋回型圧縮要素1の基本的な作動原理は図2に示したものと同様であり、説明は省略する。
【0066】
このようにベ−ンの数Nが実用できる範囲でしだいに多くなるにしたがって以下のような利点がある。
【0067】
(1)トルク変動が小さくなり、振動・騒音が低減される。
【0068】
(2)シリンダが同一外径で比較した場合、同じ吸入容積Vsを確保するためのシリンダ高さが低くなり、圧縮要素の寸法を小型化できる。
【0069】
(3)旋回ピストンに働く自転モ−メントが小さくなるため、旋回ピストンとシリンダの摺動部の機械摩擦損失を低減できるとともに信頼性を向上できる。
【0070】
(4)吸入・吐出配管内の圧力脈動が小さくなり、一層の低振動、低騒音化を図ることができる。これにより、医療用や産業用等で要求のある無脈流の流体機械(圧縮機、ポンプ等)を実現できる。
【0071】
図22に、本発明の旋回型圧縮機を適用した空調システムを示す。このサイクルは冷暖房が可能なヒ−トポンプサイクルで、前述の図3で説明した本発明の旋回型圧縮機30、室外熱交換器31とそのファン31a、膨張弁32、室内熱交換器33とそのファン33a、4方弁34から構成されている。一点鎖線35は室外ユニット、36は室内ユニットである。
【0072】
旋回型圧縮機30は、図2に示した作動原理図に従って動作し、圧縮機を起動することによりシリンダ4と旋回ピストン5間で作動流体(例えばフロンHCFC22やR407C,R410A等)の圧縮作用が行われる。
【0073】
冷房運転の場合、圧縮された高温・高圧の作動ガスは破線矢印で示すように吐出パイプ14から4方弁34をとおり室外熱交換器31に流入して、ファン31aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室内熱交換器33で室内の熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13を経て旋回型圧縮機30に吸入される。一方、暖房運転の場合は、実線矢印で示すように冷房運転とは逆に流れ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは吐出パイプ14から4方弁34を通り室内熱交換器33に流入して、ファン33aの送風作用で室内に放熱して、液化し、膨張弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室外熱交換器33で外気から熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13を経て旋回型圧縮機30に吸入される。
【0074】
図23は、本発明の旋回型圧縮機を搭載した冷凍システムを示す。このサイクルは冷凍(冷房)専用のサイクルである。図において、37は凝縮器、37aは凝縮器ファン、38は膨張弁、39は蒸発器、39aは蒸発器ファンである。
【0075】
旋回型圧縮機30を起動することによりシリンダ4と旋回ピストン5間で作動流体の圧縮作用が行われ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは実線矢印で示すように吐出パイプ14から凝縮器37に流入して、ファン37aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁38で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、蒸発器39で吸熱ガス化された後、吸入パイプ13を経て旋回型圧縮機30に吸入される。ここに、図22、図23ともに本発明の旋回型圧縮機を搭載しているので、エネルギ効率に優れ、低振動・低騒音で信頼性の高い冷凍・空調システムが得られる。なお、ここでは旋回型圧縮機30として低圧タイプを例にあげて説明したが、高圧タイプでも同様に機能し、同様の効果を奏することができる。
【0076】
次に本発明のもう一つ別の実施例について説明する。図24は、本発明の別の実施形態に係る旋回型流体機械をポンプとして用いた要部縦断面図(図25のC−C断面相当)、図25は、図24のB−B横断面図である。なお、前述の図1〜図3と同一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をなす。図において、40は固定側部材で固定渦巻体40a、端板部40b、主軸受部40cからなり各部は一体で構成されている。41は旋回側部材で旋回渦巻体41a、この旋回渦巻体41aを渦巻体の軸方向中央付近の外周部で連結する補強板41b、旋回渦巻体41aの中心部に配設された軸受41cからなる。42は固定側渦巻体40aの外周を取り囲むリング部で、内部に吸入室42aを形成し吸入ポ−ト42bにより外部と連通する。43は逆止弁、44は軸封装置である。また45は固定渦巻体40aと旋回渦巻体41aの噛み合いによって形成される作動室である。記号Omはデイスプレ−サである旋回側部材41の中心、記号Ofは固定側部材4(あるいは駆動軸6)0の中心である。ここで固定側部材40は、巻き角がほぼ360°の固定渦巻体40aを端板部40b上に3箇所(少なくとも2箇所以上)、中心Of周りにほぼ等ピッチに配設している。旋回側部材41の旋回渦巻体41aの形状は、前記固定渦巻体40aとの噛み合い関係を満足するように決められる。
【0077】
作動流体(この例では非圧縮性の液体)の流れは、図24に矢印で図示するようにリング部42に形成された吸入ポ−ト42bを通って吸入室42aに入った作動流体は、電動要素(図示せず)により駆動軸6が回転し、旋回側部材41が旋回運動を行うことによって作動室45に吸い込まれ、作動室45の容積が縮少することにより移動して副軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8aを通って吐出室8b内に入り、逆止弁43、吐出パイプ14を通って外部に搬送される。本実施例においてもその基本的な作動原理は前述の図2で説明した旋回型圧縮要素1と同様である。両者の違いは、作動流体が非圧縮性の液体のため、吸入終了と同時に次に吐出行程が始まることである。また、作動室45の容積変化特性及びガスを圧縮した場合の軸1回転中のガス圧縮トルクTの変化も、図7及び図8と同様になる。したがって、吐出過程の流体損失(過圧縮損失)を大幅に低減して性能向上を図ることができるとともに、振動・騒音を低減することができるといった前述の実施形態と同様の効果を上げることができる。
【0078】
以上、固定側部材40の端板部40b上に巻き角が実質的にほぼ360°の固定渦巻体40aを3箇所もつ旋回型流体機械について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、前述した実施例と同様に、固定渦巻体40aの数が2個以上N個(多条)の旋回型流体機械に拡張できる(Nの値も前述した実施例と同様、実用上は8〜10以下となる)。図26は、本発明のもう一つ別の実施形態に係る旋回型流体機械の横断面図を示し、N=2の場合である。図において、図24、図25と同一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をなす。基本的な作動原理等は、図24、図25と同様である。トルク変動をある程度許容できるものでは、本実施例のように固定渦巻体40aの数を減らし、構造を簡略化してコスト低減を図ることができる。
【0079】
これまでに述べた実施形態では、旋回型流体機械として圧縮機及びポンプを例に挙げて説明したが、本発明はこれ以外に膨張機や動力機械にも応用することができる。また、本発明では運動形態として、一方(シリンダ側)が固定しもう一方(旋回ピストン)がほぼ一定の旋回半径で自転せずに公転運動を行う形式としたが、相対的に上記の運動と等価な運動形態となる両回転式の旋回型流体機械にも適用することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、駆動軸の周りに2箇所以上の複数の作動室を配設し、個々の作動室の吸入終了から吐出終了までの軸回転角をほぼ360°になるように構成することにより、吐出過程の過圧縮損失を大幅に低減し、かつ旋回ピストンに働く自転モ−メントを軽減して旋回ピストンとシリンダ間の摩擦損失を低減することにより、性能向上が図れかつ信頼性の高い容積型流体機械が得られる。また、このような旋回型流体機械を冷凍サイクルに搭載することにより、エネルギ効率に優れ、信頼性の高い冷凍・空調システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る旋回型流体機械を圧縮機に適用した密閉型圧縮機の圧縮要素の縦断面図及び平面図
【図2】本発明に係る旋回型流体機械の作動原理説明図
【図3】本発明に係る旋回型流体機械の縦断面図
【図4】本発明に係る旋回型流体機械の旋回ピストンの輪郭構成法を示す図
【図5】本発明に係る旋回型流体機械のシリンダの輪郭構成法を示す図
【図6】図4及び図5に示される旋回ピストンとシリンダを重ねあわせた図
【図7】本発明における作動室の容積変化特性図
【図8】本発明におけるガス圧縮トルク変化図
【図9】4条ラップにおける軸回転角と作動室との関係を示す図
【図10】3条ラップにおける軸回転角と作動室との関係を示す図
【図11】圧縮要素の巻角が360゜より大きい場合の動作説明図
【図12】圧縮要素の巻角の拡大を説明する図
【図13】図1に示した容積形流体機械の変形例
【図14】本発明の旋回ピストンに作用する荷重及びモ−メント説明図
【図15】圧縮要素の軸回転角と自転モーメント比との関係を示す図
【図16】本発明の他の実施形態に係る密閉型圧縮機の要部縦断面図
【図17】本発明に係る旋回ピストンの外周輪郭加工の説明図
【図18】本発明に係る旋回ピストンの加工治具取付け状態を示す断面図
【図19】本発明の他の実施形態に係る旋回型流体機械の圧縮要素図で、作動室が2個の場合を示す図
【図20】本発明の他の実施形態に係る旋回型流体機械の圧縮要素図で、作動室が4個の場合を示す図
【図21】本発明の他の実施形態に係る旋回型流体機械の圧縮要素図で、作動室が5個の場合を示す図
【図22】本発明の旋回型圧縮機を適用した空調システムを示す図
【図23】本発明の旋回型圧縮機を適用した冷凍システムを示す図
【図24】本発明の別の実施形態に係る旋回型流体機械をポンプとして用いた要部縦断面図
【図25】図19のB−B横断面図
【図26】本発明のもう一つ別の実施形態に係る旋回型流体機械の横断面図で、作動室が2個の場合を示す図
【符号の説明】
1…旋回型圧縮要素、2…電動要素、3…密閉容器、4…シリンダ、4a…内周壁、4b…ベ−ン、5…旋回ピストン、5a…軸受、5b…貫通穴、6…駆動軸、6a…クランク部、7…主軸受、7a…吸入ポ−ト、8…副軸受、8a…吐出ポ−ト、8b…吐出室、9…吐出弁、10…吸入カバ−、11…吐出カバ−、12…潤滑油、13…吸入パイプ、14…吐出パイプ、15…作動室、16…シ−ル部材、17…吐出通路、18…加工治具、18a…ベ−ス、18b…ピン部、18c…クランプ、19…加工工具、19a…研削工具、19b…切削工具、30…旋回型圧縮機、31…室外熱交換器、32…膨張弁、33…室内熱交換器、34…4方弁、37…凝縮器、38…膨張弁、39…蒸発器、40…固定側部材、40a…固定渦巻体、40b…端板部、40c…主軸受部、41…旋回側部材、41a…旋回渦巻体、41b…補強板、41c…軸受、42…リング部、42a…吸入室42a、42b…吸入ポ−ト、43…逆止弁、44…軸封装置、45…作動室、o…旋回ピストン中心、o’…シリンダ中心、Om…旋回側部材中心、Of…固定側部材中心。

Claims (5)

  1. 端板間にディスプレーサとシリンダとを配置し、駆動軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたときは前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面とが接することで複数の空間が形成される容積型流体機械において、
    前記ディスプレーサは、前記ディスプレーサを旋回させて作動流体を圧縮したとき、圧縮による荷重ベクトルがほぼ前記駆動軸に向くように設けられ、前記複数の空間の内、吸入が終了し吐出が終了するまでの行程となっている空間の数の最大値が、前記シリンダ内方に向かって突出する突出部の数以上に設けられ、前記ディスプレーサは複数の円弧からなる輪郭形状が前記ディスプレーサ中心の周りに複数連続して設けられていて、前記ディスプレーサに設けられ前記ディスプレーサの中心部から先端部に向かうラップがくびれ部を有し、前記複数の空間のそれぞれが、吸入が終了し吐出が終了するまでの行程の軸回転角θcが下式を満たし、前記シリンダ内壁面と前記ディスプレーサ外壁面と端板とで囲まれた前記複数の空間は、前記作動流体を吸入する空間との間に、前記作動流体を圧縮若しくは吐出する空間であって、前記作動流体を吐出する吐出ポートを挟んで隣接する作動室の流体を夫々異なる吸入ポートから吸入し、前記ディスプレーサ外壁と前記シリンダ内壁とで形成される空間のうち吸入行程にある空間が前記ディスプレーサの旋回に伴い分離して、夫々異なる圧縮若しくは吐出行程となる空間であり、吐出が終了した時点における前記シリンダの内壁と前記ディスプレーサの外壁とが接触するシール点に隣接する二つの空間が前記ディスプレーサの旋回に伴い1つの空間を形成して圧縮行程若しくは吐出行程となる容積型流体機械。
    (((N−1)/N)・360゜)<θc≦360゜
    ただし、Nは前記シリンダ内方に向かって突出する突出部の数である。
  2. 請求項1記載の容積型流体機械において、前記式のθ c =360°のとき、前記吸込みポートと前記吐出ポートとが前記空間を介して連通しない容積型流体機械。
  3. 請求項1乃至のいずれか一つに記載された容積型流体機械において、前記ディスプレーサの外壁面と異なる面同士を貫通する穴を前記駆動軸を挿入する穴以外に設けた容積型流体機械。
  4. 請求項1乃至のいずれか一つに記載された容積型流体機械において、前記ディスプレーサが旋回中に前記シリンダ内壁と前記ディスプレーサ外壁とにより形成される空間が作動流体の吸入終了時点にある空間であるとき、前記シリンダ内壁と前記ディスプレーサ外壁との接点間に形成される前記シリンダ及びディスプレーサの輪郭形状が、内壁曲線の巻角及び外壁曲線の巻角がともにほぼ360゜の曲線を備えた容積型流体機械。
  5. 請求項1乃至のいずれか一つに記載された容積型流体機械において、作動流体の吸入終了から吐出終了までの前記駆動軸の回転角度がほぼ360°となる作動室を、駆動軸の周りの同一平面上に少なくとも2箇所有する容積型流体機械。
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