JP3233793B2 - フラッシュ定着用トナーバインダ、トナー、静電写真方法及び装置 - Google Patents
フラッシュ定着用トナーバインダ、トナー、静電写真方法及び装置Info
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Description
用バインダ、トナー、電子写真方法及び装置に係り、よ
り詳しくは、電子写真等において静電現像を現像するた
めに用いるトナーにおいて、フラッシュ光照射による定
着性や耐ボイド性に優れ、定着臭の少ないトナーとその
ためのトナーバインダの改良、及びそのトナーを用いる
電子写真方法及び装置に関する。
97691号などに記載された方式が周知であるが、こ
れは一般には光導電性絶縁体(フォトコンドラムなど)
を利用し、コロナ放電などにより該光導電性絶縁体上に
一様な静電荷を与え、様々な手段により該光導電性絶縁
体上に光像を照射することによって静電潜像を形成し、
次いで、該潜像をトナーと呼ばれる微粉末を用いて現像
可視化し、必要に応じて紙等にトナー画像を転写した
後、加圧、加熱、溶剤蒸気への暴露、光等の照射などの
手段により紙等の記録媒体上にトナー画像を定着させて
印刷物を得るものである。
としては、従来より天然または合成高分子物質よりなる
バインダ樹脂中にカーボンブラックなどの着色剤を分散
させたものを5〜20μm程度に微粉砕した粒子が用い
られている。かかるトナーは通常、トナー単体もしくは
鉄粉、ガラスビーズなどの担体物質(キャリア)と混合
され静電潜像の現像に用いられる。キャリアとして鉄粉
もしくは他の強磁性体粒子を用いる場合、トナーとキャ
リアからなる現像剤は現像装置内で混合撹伴されること
により摩擦帯電し、さらに現像装置内のマグネットロー
ルが回転することにより磁気ブラシを形成し、該マグネ
ットロールが回転することにより磁気ブラシが光導電性
感光体上の静電潜像部分に運ばれ、帯電したトナーのみ
が電気的吸引力により潜像に付着することによって行わ
れる。現像後、トナー濃度の低下した現像剤には新たに
トナーが添加され、一定のトナー濃度を維持し、繰り返
し使用される。
像はコロナ転写、ローラ転写等により、記録媒体(例え
ば、紙など)に写しとられる。記録媒体に転写されたト
ナー粉像は、粉の状態で紙に付着して画像を形成してお
り、例えば、指でこすれば該粉像は崩れる状態にある。
記録媒体上のトナー粉像を定着させるためには、該粉像
を溶融して記録媒体に固着させることが必要であり、そ
の方法としては前記の種々の方法がある。これらの方法
の中で、光定着の代表的な方法であるフラッシュ定着
は、例えばキセノンフラッシュランプなどの放電管の閃
光によって定着する方法であって、以下のような特徴を
有している。
の解像度を劣化させない。 電源投入後の待ち時間がなく、クイックスタートが
可能である。 システムダウンにより定着器内に記録紙が詰まって
も発火しない。 のり付き紙、プレプリント紙、厚さの異なる紙な
ど、記録紙の材質や厚さに関係なく定着可能である。
固着する過程は次の通りである。前述のようにトナー画
像を記録紙に転写したときは粉末のまま記録紙に付着し
て画像を形成しており、例えば指でこすれば該画像は崩
れる状態にある。そこへ、例えばキセノンフラッシュラ
ンプなどの放電管の閃光を照射すると、トナーは閃光の
エネルギを吸収し、温度が上昇して軟化溶融し、記録紙
に密着する。閃光照射が終わった後は、該温度が下がり
固化して定着画像となって定着を完了し、記録紙に固着
した定着画像は、例えば指でこすっても崩れないように
なる。
は、トナーが溶融して記録紙にしっかりと密着すること
であり、そのためにトナーは、外界に放散して温度上昇
に寄与しない熱エネルギーの分も含めた光エネルギーを
閃光から吸収して十分に溶融しなければならない。従っ
て、与える光エネルギーの総量が不足するとトナーは十
分に溶けることができず、満足した定着性が得られな
い。一方光エネルギーがトナーに与えられるとトナーは
溶融して、その粘弾性は急激に低下する。溶融したトナ
ーの物性、例えば粘弾性、表面張力などは、トナーを構
成するバインダ樹脂の材質や溶融温度により大きく変わ
るものであるが、トナーが溶融して定着する際にトナー
に働く表面張力が粘弾性に打ち勝つとトナーが凝集し、
画像形成部に均一に存在するはずのトナーが移動し、定
着画像にボイド(凝集ボイド)と呼ばれる白抜け現象が
起こり、画像濃度の低下を引き起こす。また更に過剰な
エネルギー量が与えられるとトナーが沸騰状態となり、
トナー粉像の隙間の気体の爆発的な膨張やトナー分解発
生ガスの突出により、溶融状態のトナーが吹き飛ばさ
れ、定着画像に同様にボイド(爆裂ボイド)が生じ、画
像濃度の低下を引き起こす。
移動によるボイドが発生し難いことが必要であり、この
ため、溶融時のトナーの粘弾性が表面張力を上回るよ
う、低表面張力かつ高粘弾性のバインダ樹脂を用いるこ
とが求められている。
な定着性を保持する観点からすると、フラッシュ定着の
方式面では照射される光エネルギー総量は充分に大きく
する工夫が必要となり、また、それに用いられるトナー
やそのトナーを構成するバインダ樹脂には、フラッシュ
光の光エネルギーを素早く吸収・溶融して、紙などの記
録媒体に浸透する低融点かつ低溶融粘弾性の物性を示す
ことが求められる。一方、ボイド発生防止の観点から
は、フラッシュ定着の方式面では過剰なエネルギーを瞬
時に投入するのではなく、トナーの溶融物性(溶融温
度)を制御する形でエネルギー量をトナーに付与する必
要があり、また、それに用いられるトナーにはボイド発
生につながるトナー移動を抑えるにたる高い溶融粘弾性
を示す必要がある。
更なる性能として、フラッシュ定着工程で高温に加熱さ
れても悪臭を発生しないことが求められている。本発明
の主たる目的は、フラッシュ定着における良好な定着性
と耐ボイド性を両立し、かつ低定着臭のトナーおよびト
ナーバインダを提供することにある。
目的を達成するために、架橋成分として0.1〜3モル
%のトリメリト酸と0.1〜5モル%のエピービス型エ
ポキシを併用した架橋型ポリエステルを含み、かつ、該
ポリエステル樹脂の非ゲル部分のゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより測定されたクロマトグラムで
の数平均分子量Mnが2000〜4000、重量平均分
子量と数平均分子量の比Mw/Mnが10〜25の範囲
にあり、かつ、テトラヒドロフラン溶媒への溶解残滓
(ゲル分率)が1wt%以下であることを特徴とするトナ
ーバインダを提供する。
して、酸成分としてテレフタル酸および/またはイソフ
タル酸を80モル%以上、かつ、アルコール成分として
メチル側鎖を有する炭素数5以下の脂肪族ジオールを1
5〜70モル%、エーテル化ビスフェノールAを30〜
85モル%含有するものを用い、また架橋剤として使用
されるエピービス型エポキシの分子量は1500以下で
ある。
ダを必須構成成分とするトナー、及びそのトナーを用い
て静電像を現像し、転写後、フラッシュ定着を行なうこ
とを特徴とする電子写真方法及び装置も提供される。本
発明の第1の要点は、トナーの必須バインダ樹脂とし
て、特定の架橋剤を併用した架橋型ポリエステルを採用
することにより、トナーの溶融粘弾性に大きく関連する
バインダ樹脂の分子量分布の状態を特定の形に制御する
とともに、記録媒体への良好な浸透性を満たすことにあ
る。
を併せて付与するためには、特開平4−56869号に
記載されているように、高温溶融状態の溶融粘弾性と低
温溶融状態での溶融粘弾性を満たす必要がある。本発明
者は、定着性と耐ボイド性を極めてハイレベルで両立さ
せるべく検討を行った結果、溶融粘弾性の所望値が、2
00℃で90〜130ボイズ程度、120℃で3500
0〜65000ボイズ程度であることを見いだした。
詳細を後述するスコッチメンディングテープ引き剥がし
試験での定着率95〜100%であり、耐ボイド性とは
フラッシュ定着後の図形穏蔽率90%以上を指すもので
ある。フラッシュ定着トナーに対しての粘弾性付与の有
力な手法として、特開昭57−109825号や特開平
5−107805号などで記載されているように、トリ
メリト酸等の多官能モノマを微量導入することによりポ
リエステルに架橋構造を導入することや、特開平4−5
6869号のように溶融粘弾性の異なる複数のバインダ
をブレンドする手法が提案されている。しかし、所望の
粘弾性を付与するための架橋をトリメリト酸架橋のみで
実施しようとすると、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーにより測定されたクロマトグラムのピーク分子
量が高分子量側に偏るとともに、低分子量成分も少なく
なり、更には過剰なゲル成分が形成されることが多くな
る。
すぎると耐ボイド性は改善できるが定着性が劣化しトリ
メリト酸の添加量を減らしすぎると所望の粘弾性が得ら
れないという不都合が生じ、定着性と耐ボイド性をハイ
レベルで両立することが困難となる。また、本発明者ら
の検討によると、トリメリット酸の含有量が増加するほ
ど、定着臭の傾向が刺激性を帯びてくるため、トリメリ
ット酸の含有量は定着臭の観点から3.0%以下、望ま
しくは2.0%以下とする必要があるが、この程度のト
リメリット酸含有量では所望の粘弾性を得ることは不可
能である。
4−56869号に記載されているようなバインダブレ
ンド等の手法により、本発明者らが目標とするハイレベ
ルな定着性と耐ボイド性を両立させようとすると、極め
て高粘度のバインダと低粘度のバインダのブレンドが求
められるようになるため、両者のバインダの親和性が乏
しくなる傾向が強くなり、トナー中でおのおのバインダ
が海島構造とり均一に混合しないため、トナー色調や帯
電特性およびトナーの破壊強度の面で不都合が生じ好ま
しい結果が得られない。
を克服し、定着性と耐ボイド性をハイレベルで両立させ
るためには、バインダの溶融粘弾性特性に大いに関連す
る項目としてバインダの分子量分布を最適化すること
と、記録媒体への浸透性に関連するバインダの分子形状
を最適化することが必須になることを見いだし、本発明
をなすにいたった。
発明者の知見によるとトナーに良好な定着性を付与する
ために一定量の低分子量の存在は必須であり、必要な低
分子量成分の量は数平均分子量Mnで4000以下また
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mn
の値が25以下と規定することができ、このような低分
子量成分を含有しつつ所望の粘弾性を付与するために、
本発明者らは、ポリエステルの架橋剤として、トリメリ
ト酸とエピービス型エポキシを併用することを見出し、
本発明をなすに到った。
利点は以下の通りである。まず、架橋剤として従来多用
されてきた、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3官
能以上の酸やグリセリン、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトールなどの3官能以上のアルコールで
は、架橋成分の分子量が小さく、架橋点となる官能基が
近接しているため、それぞれの架橋点から伸びる高分子
鎖が立体障害などの影響を受け、均等に伸びることが困
難となる。また、イソシアネート類を架橋剤として用い
る場合も同様な立体障害を受けやすくなる。このため、
分子量分布は図4に示すように、特定の分子量値で明確
なピークトップを有する形状をとるとともに、架橋剤添
加量に基づきそのピークトップ値が変化し、ピークトッ
プ値が高分子量側に存在すると耐ボイド性は改善するも
のの定着性に劣り、ピークトップ値が低分子量側に存在
すると耐ボイド性が不満足なレベルに止まってしまう。
ピービス型エポキシ樹脂を架橋鎖とする場合は、架橋点
はエポキシ樹脂両端のグリシジル基とビスフェノールA
などの繰り返し単位間の水酸基であるため、各架橋点の
距離が離れておりそれぞれの架橋点から高分子鎖が均等
に伸びることが可能となる。このため図3に示すよう
に、分子量分布は比較的台形に近い形状を有するように
なり、低温で相対的に低粘度であり、高温で相対的に高
粘度となり、耐ボイド性と定着性を極めてハイレベルで
具現化できる。
ら、トリメリット酸架橋単独の場合とトリメリット酸と
エピービス型エポキシ架橋併用のそれぞれについて分子
量が同一の高分子を製造した場合を比較すると以下のこ
とが言える。まず、トリメリット酸架橋単独の場合には
ゲルが生成されやすくまた架橋点から伸びる分子鎖が不
均一となるため、分子そのものが嵩高くなるため記録媒
体に対する浸透性が劣る。一方、エピービス型エポキシ
架橋併用の場合は、分子の嵩が相対的に小さくなるとと
もに、架橋点から伸びる分子鎖が立体障害を受けずに自
由度を有しているため、架橋鎖がソフトセグメントとし
ての役割を果たすことが可能となり、好ましい溶融粘弾
性と記録媒体に対する浸透性を示すこととなる。
ビス型エポキシ樹脂は、代表的には下記構造式で表わさ
れる化合物である。
たはビスフェノールFとの反応により得られた樹脂であ
り、代表的な商品としてエピコート828,1001,
1004(油化シェルエポキシ社製)等として得ること
ができる。エポキシ樹脂の分子量としては、1500以
下が望ましく、これはこの架橋鎖が一定レベル以上の長
鎖になることにより、ガラス転移温度低下の問題が発生
することによる。なお、架橋鎖としてエピービス型エポ
キシ樹脂と他の共重合成分とのブロック共重合体やエピ
ービス型エポキシの官能基に他の共重合成分を重合した
グラフト重合体を用いることも可能であるが、本発明者
らの経験によると、架橋鎖としてブロック共重合体やグ
ラフト共重合体化したエピービス型エポキシ樹脂を使用
すると、ガラス転移温度の低下や定着性の低下を引き起
こすことが多く、好ましい結果がえられないことが多
い。本発明者らは、これらの現象について、ブロックお
よびグラフト共重合体化することにより、架橋分子鎖の
立体的自由度が制約されるため、架橋鎖がソフトセグメ
ントとして有効に作用し難くなるためと考察している。
の骨格構造を構成する様々なモノマー種の組合せについ
て検討を加え、記録媒体に対しての親和性の高く、か
つ、融点、ガラス転移点などの諸物性がトナーに適する
モノマー組成を見出したことによる。本発明者らの検討
によると、記録媒体(特に紙)への親和性を高めるため
には、ソフトセグメント成分を多量に導入するか、多く
の分岐鎖を有するモノマを導入することが望ましいが、
これらの成分を導入するとトナーのガラス転移温度が低
下してしまい、トナーとして貯蔵安定性等に問題が生じ
てしまう。この相反する命題を解決するモノマ組成とし
て、本発明者らは、酸成分としてテレフタル酸および/
またはイソフタル酸を80モル%以上、かつ、アルコー
ル成分としてメチル側鎖をもつ炭素数5以下の脂肪族ジ
オールを15〜70モル%、エーテル化ビスフェノール
Aを30〜85モル%含有させることにより65℃以上
のガラス転移温度を確保しつつ、記録媒体への良好な親
和性(浸透性)、ひいては良好な定着性を確保できるこ
とを見出し本発明をなすに到った。
2点と考えている。まず、第1は側鎖が存在することに
より、ポリエステル樹脂の結晶性が阻害され、比較的長
鎖で溶融粘度が高くできる分子量となっても、相対的に
低い溶融温度を有するため、定着性を確保しやすいこ
と。第2は、分子に側鎖を有しているため、分子間の絡
み合いが増加して溶融粘度を確保しやすくなるととも
に、記録媒体の分子とも絡み合い効果で結着性が増すこ
とである。
側鎖を炭素数2以上の炭化水素鎖とすると側鎖の自由度
が増すことにより、ガラス転移温度が著しく低下するた
めである。また、ゲル分率を1.0wt%以下と限定する
のは、ゲル分率がこの値を越えるとハイレベルな定着性
を維持できなくなることによる。
来公知の方法で製造できる。すなわち、酸成分とアルコ
ール成分を、150〜280℃の温度領域で縮重合させ
ることにより製造できるが、この際に反応を促進するた
め酸化ジ−n−ブチル錫などの触媒を添加しても良く、
さらに溶媒還流下で反応を進めてもよく、減圧下で反応
を進めてもよい。また、カルボン酸基をメチルエステル
などの低級エステルとし、エステル交換反応を行っても
良い。
の方法で製造できる。すなわち、バインダ樹脂、着色剤
および要すればカーボン、帯電制御剤などを、例えば、
加圧ニーダ、ロールミル、エクストルーダなどにより溶
融混練して均一に分散し、例えば、ジェットミルなどに
より、微粉砕化し、分級機、例えば、風力分級機などに
より分級して所望のトナーを得ることができる。代表的
なトナー組成はバインダに顔料又は導電性付与剤として
カーボン3〜10%、好ましくは3〜5%、帯電制御剤
1〜5%、潤滑剤1%以下などが添加される。従って、
バインダは80〜95%程度が多い。典型的なトナー粒
径は5〜20μmである。
ダおよびフラッシュ定着用トナーは、優れたフラッシュ
定着性と耐ボイド性を有し、良好な色調、帯電特性、貯
蔵安定性を有するものである。フラッシュ定着を採用す
る電子写真方法及び装置を図面を参照して説明する。図
1を参照すると、記録媒体2上には粉の状態でトナー1
が付着しており、フラッシュ光3を照射すると、トナー
の表層部1が溶融し、次第に熱伝導して下層部のトナー
が溶融する。本トナーを用いない場合、トナーの表面張
力によりトナーが凝集を起こし定着画像にボイド5がで
きる。これに対して本発明のトナーはボイドが発生しな
い。
図2に示す電子写真装置とすると良い。まず、本発明の
トナーと例えば鉄粉等の磁性粉を混合した現像剤を使用
する。この現像剤11を撹拌スクリュウ12で混合撹拌
するとトナーが摩擦帯電する。摩擦帯電したトナーは現
像ローラ13により感光ドラム14に搬送され、感光ド
ラム14の静電像パターンに従い帯電したトナーが感光
ドラムに付着し、可視画像が得られる。該ドラム上のト
ナー像は記録媒体15、例えば、紙等に転写し、これを
フラッシュ光17により加熱、溶融することにより該ト
ナーを紙に浸透させ、定着画像18を得ることができ
る。なお、図2中、16は転写部、19は前帯電部、2
0は露光部である。
れるのは以下の特徴があるからである。まず、定着方式
がフラッシュ定着であるため、 非接触定着であるため、現像時の画像の解像度を劣
化させない、 電源投入後の待ち時間がなく、クイックスタートが
可能である、 システムダウンにより定着器内に記録紙が詰まって
も発火しない、 のり付き紙、プレプリント紙、厚さの異なる紙な
ど、記録紙の材質や厚さに関係なく、印刷できる、 等の利点がある。さらに、本発明のトナーを使用するた
め、フラッシュ定着に優れ、耐ボイド性に優れ、ハイレ
ベルの定着画像を得ることができるためである。
性値の測定は実施例を含めて、以下の手法により測定さ
れたものである。
FT−500;島津製作所)を用いて下記の測定条件で
昇温フローテストを行い、プランジャーが4ミリ降下し
た時の温度を融点とした。 ダイ 1.0mmφ×1.0mm 昇温速度 6℃/min サンプル 1.0gペレット 荷重 20kg/cm2 予熱温度 60℃ 予熱時間 300sec
C−3100;マックサイエンス社)を用いて下記の測
定条件で昇温吸熱曲線を測定し、その屈曲点を外挿して
求めた。 昇温速度 20℃/min サンプル 4mg(クリンパ金型)
00;島津製作所)を用いて下記の測定条件で定温フロ
ーテストを行い、流れ値から求めた。 高温測定 ダイ 0.5mmφ×10.0mm 測定温度 200℃ サンプル 1.0gペレット 荷重 10kg/cm2 低温測定 ダイ 1.0mmφ×1.0mm 測定温度 120℃ サンプル 1.0gペレット 荷重 20kg/cm2
ーションクロマトグラフィー(HLC−8020;東ソ
ー)により測定されたクロマトグラムを単分散のポリス
チレン標準試料により作成された検量線より換算して求
めた。 カラム TSK GEL G2000HLX, G3000HLX, G4000HLX 溶媒 テトラヒドロフラン カラム温度 40℃ 流速 1.0ml/min
として架橋成分を用いないポリエステル樹脂を用い、こ
のリファレンスをテトラヒドロフラン溶媒に溶解して
0.3%溶液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーでのピーク面積を測定する。次いで、比検サンプ
ルについて、同じく分子量測定用の0.3%テトラヒド
ロフラン溶液を調整し、これを孔径0.45μmのフィ
ルターで濾過してゲル分を除去した後、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーでのピーク面積を測定する。
この両者のピーク面積を比較し算出する。
に説明するが、本発明はこれによって限定されるもので
はない。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン632g
(1.8mol )、ポリオキシエチレン(2)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン490g
(1.5mol )、1,3ブタンジオール221g(2.
46mol )、エピコート1001 108g(0.12
mol )、テレフタル酸598g(3.6mol )、イソフ
タル酸299g(1.8mol )、無水トリメリト酸2
3.0g(0.12mol )、および酸化−n−ブチル錫
2.3gをガラス製3lの4つ口フラスコに入れ、温度
計、攪拌棒、流下式コンデンサー、および窒素導入管を
取りつけ、電熱マントル中で、窒素気流下、220℃に
て攪拌しつつ反応させ、軟化点118℃に達した時点
で、縮重合反応を終了させた。得られたポリエステル樹
脂は表2に示す物性を示す物性を有する淡黄色透明の固
体であった。
インダ樹脂92重量部、着色剤としてカーボンブラック
(ブラックパールズL、キャボット社製)5重量部、帯
電制御剤としてニグロシン染料(ボントロンN−04、
オリエント化学工業社製)3重量部を加え、加圧ニーダ
により130℃、30分溶融混練し、トナー塊を得た。
冷却したトナー塊をロートプレックス粉砕機およびジェ
ットミル(PJM粉砕機、日本ニューマチック工業製)
を用いて微粉砕を行い、粉砕物を風力分級機(アルピネ
社製)により分級し、粒径5〜20μmの正帯電トナー
を得た。この際のトナーの製造性は良好なものであっ
た。
て不定形鉄粉TSSV100/200(パウダテック
製)95重量部からなる現像剤を調製した。まず、トナ
ーのフラッシュ定着性を評価するために、フラッシュ定
着方式を採用しているF−6715Eレーザプリンタ
(富士通製)を用いて1インチ角のベタ画像を印字し、
テープ剥離試験を行った。この時、定着器の設定条件は
容量160μFのコンデンサを用い、充電電圧2050
Vとし、フラッシュランプに印加した。また、記録媒体
上のベタ画像のトナー層量は約9mg/cm2 とした。テー
プ剥離試験は、ベタ画像部に粘着テープ(スコッチメン
ディングテープ、住友3M社製)を軽く貼り、直径10
0mm、厚さ20mmの鉄製円柱ブロックを円周方向に一定
速度でテープ上を記録媒体に密着させた状態でころが
し、しかる後、テープを記録媒体から引き剥がした定着
性の指標として、テープ剥離前後の光学画像濃度(I
D)の比率(百分率)の大きさから定着性の良否を判断
し、この比率が95%以上のものを定着性良好とした。
定着性評価の結果は、表3に示すように96%と良好で
あった。
(マクベス製)を用いて測定した。この結果は、同じく
表3に示すようにOD1.35と良好なものであった。
また、定着画像におけるボイドの発生状況は面画定着像
の顕微鏡写真を撮影し、その写真像を画像解析装置(ル
ーゼックス2000:ニレコ社製)にて解析し、トナー
付着部分の面積の比率(穏蔽率)で判断し、90%以上
を良好とした。この結果も表3に示すように、穏蔽率9
5%と良好な値を示した。
gをポリビンに詰め、60℃、30%RH環境中に12
時間暴露し、取り出したトナーから200メッシュ(7
5μm)以下のトナーを除去し、残ったトナー重量の大
きさから評価した。残ったトナー重量が10wt%以下の
場合を良好とした。この評価でのメッシュ残存トナー量
は5wt%であり、満足できるレベルであった。また、定
着臭に関しては、10分間の連続印刷試験を行い、発生
する臭気を官能評価し、パネラの9割以上が低臭気であ
ると判断したものを良好とした。この評価において、全
てのパネラが臭気について問題なしとした。
ー用バインダは極めてハイレベルで定着性と耐ボイド性
を両立しており、また、貯蔵安定性等の諸特性もトナー
としての性能を充分に満足していることがわかった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性100%、穏蔽率93%と極め
てハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しており、ま
た貯蔵安定性等の諸特性もトナーとしての性能を充分に
満足していることがわかった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性95%、穏蔽率92%と極めて
ハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しており、また
貯蔵安定性等の諸特性もトナーとしての性能を充分に満
足していることがわかった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性100%、穏蔽率88%と極め
てハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しており、ま
た貯蔵安定性等の諸特性もトナーとしての性能を充分に
満足していることがわかった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性90%、穏蔽率95%と極めて
ハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しており、また
貯蔵安定性等の諸特性もトナーとしての性能を充分に満
足していることがわかった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性98%、穏蔽率95%と極めて
ハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しているもの
の、トナーのガラス転移温度が55℃と低く、その結果
として、通常使用では問題ないものの高温環境での保管
が出来ない等、貯蔵安定性の面でやや不充分であるトナ
ー性能となった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、穏蔽率
92%であるものの、定着性は82%とやや不充分な性
能を示した。また、トナー製造の粉砕効率も若干低いも
のであった。この現象について、本発明者らは、メチル
側鎖を有していないモノマ成分を使用しているため、バ
インダの結晶性が高まり、耐ボイド性維持に必要な溶融
粘度が確保できる分子量とすると、溶融温度が130℃
と高くなりすぎるため、フラッシュ光照射の熱量でトナ
ー粉像下部の記録媒体との接触面でのトナーの溶融が不
充分であったものと推察している。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、定着性
は95%とハイレベルにあるが、ボイドの発生により穏
蔽率が50%程度にとどまっているため光学印字濃度が
1.10までしか上昇せず、トナーとして不満足な性能
を示した。この結果について、本発明者らは、バインダ
樹脂の架橋の進行が不充分のため、200℃の溶融粘度
が65ポイズと低く、そのためトナーの溶融粘度がトナ
ー定着溶融時のトナーの凝集力に抗しきれず、ボイドが
発生したものと推測している。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、定着性
80%、穏蔽率70%と定着性と耐ボイド性のバランス
はとれてきているが、そのバランスのレベルは低く満足
できるものではなかった。また刺激的な定着臭が発生す
る問題も生じた。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、穏蔽率
90〜95%であるが、極めて定着性が弱く、60%以
下の値を示し、また定着臭も例9に比べ格段に増えてい
た。この結果について、本発明者らは、バインダ樹脂の
架橋反応が進みすぎ、120℃の溶融粘度が98000
ボイズと高く、そのためトナーが記録媒体面に充分浸透
しなかったものと推測している。また、例8〜10ま
で、無水トリメリト酸の配合比を増やすに従って、臭気
が格段に強くなるため、定着臭低減の面からは無水トリ
メリト酸量は3モル%以下に抑えることが肝要であるこ
とが判明した。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、穏蔽率
90〜95%である。やはり定着性が80%と不満足な
値に止まった。また定着臭も例9に比べ格段に増えてお
りトナーとして不満足な性能なものとなった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、定着性
は95%とハイレベルにあるが、穏蔽率が30%程度に
とどまり、トナーとして満足できる性能を示していな
い。この現象については、本発明者らはトナー8と同様
に200℃の溶融粘度が70ボイズと低く、そのためト
ナーの溶融粘度がトナー定着溶融時のトナーの凝集力に
抗しきれず、ボイドが発生したものと推測している。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、テープ
引き剥がしによる定着性92%、穏蔽率92%と極めて
ハイレベルで定着性と耐ボイド性を両立しているもの
の、トナーのガラス転移温度が52℃と低く、その結果
として貯蔵安定性の面でトナーとして使用不可能な性能
となった。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、85〜
95%とまずまずの穏蔽率を示すが、定着性は45%以
下と極めて不満足な性能であった。本発明者らはこの現
象を分子構造にメチル側鎖を有したソフトセグメントが
なく、かつ、分子量も大きいことが影響したものと推察
している。
い、例1と同様な方法でポリエステル樹脂を製造し、表
2に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。これ
を、例1と同様な処方でトナー化し、さらに例1と同様
な評価を行った。その結果、表3に示すように、定着性
82%、穏蔽率74%と定着性と耐ボイド性のバランス
はとれてきているが、そのバランスのレベルは低く満足
できるものではなかった。また、本発明者らは、長鎖の
側鎖を有するモノマを使用したためと推察しているが、
高分子量のバインダとなった割りにはガラス転移温度が
低く、そのため貯蔵安定性も悪いものとなった。また刺
激的な定着臭が発生する点も問題であった。
満たす例1〜7のバインダを用いたトナーは、耐ボイド
性(穏蔽率)と定着性を両立する性能を示す。さらに、
請求項1〜3の構成要件を満たす例1〜5のバインダを
用いたトナーはさらにハイレベルで耐ボイド性(穏蔽
率)と定着性の両立が図れ、かつ、貯蔵安定性、定着
臭、製造時の粉砕効率などの面でも優れた性能を有す
る。
ル換算で合計100モル%とするように各成分を表し
た。 注)Bis−A ポリプロピレンオキサイド2モル付加
物:ポリオキシプロピレン(2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン Bis−A ポリエチレンオキサイド2モル付加物:ポ
リオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン エピコート1001:エピービス型エポキシ樹脂(分子
量900) エピコート1007:エピービス型エポキシ樹脂(分子
量2900)
13で製造したトナーバインダの分子量分布を示す。例
1は架橋剤としてトリメリト酸とエピービスエポキシを
併用した例、例8は架橋剤としてトリメリト酸だけを用
いる例、例13は架橋剤としてエピービスエポキシだけ
を用いる例である。これらの図から架橋剤としてトリメ
リト酸とエピービス型エポキシを併用すると任意に分子
量分布を制御できることがわかる。
て良好な定着性と耐ボイド性を両立し、かつ低定着臭の
トナー及びトナーバインダが得られる。
図である。
る。
のバインダの分子量を示す。
分布を示す。
の分子量分布を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 架橋成分として全酸成分の0.1〜3モ
ル%のトリメリト酸と全アルコール成分の0.1〜5モ
ル%のエピービス型エポキシを併用した架橋型ポリエス
テルを含み、かつ、該ポリエステル樹脂の非ゲル部分の
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定さ
れたクロマトグラムでの数平均分子量Mnが2000〜
4000、重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/M
nが10〜25の範囲にあり、かつ、テトラヒドロフラ
ン溶媒への溶解残滓(ゲル分率)が1wt%以下であるこ
とを特徴とするフラッシュ定着用トナーバインダ。 - 【請求項2】 前記バインダの必須構成モノマとして、
酸成分としてテレフタル酸および/またはイソフタル酸
を80モル%以上、かつ、アルコール成分としてメチル
側鎖を有する炭素数5以下の脂肪族ジオールを15〜7
0モル%、エーテル化ビスフェノールAを30〜85モ
ル%、0.1〜5モル%のエピービス型エポキシを含有
することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ定着
用トナーバインダ。 - 【請求項3】 架橋剤として使用される前記エピービス
型エポキシの分子量が1500以下であることを特徴と
する請求項1に記載のフラッシュ定着用トナーバイン
ダ。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のバ
インダを必須構成成分とするトナーを用いて静電像を現
像し、転写後、フラッシュ定着を行なうことを特徴とす
る電子写真方法。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のバ
インダを必須構成成分とするトナーを用いて静電像を現
像し、転写後、フラッシュ定着を行なうことを特徴とす
る電子写真装置。
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