JP3159842B2 - 画像形成装置用トナー - Google Patents

画像形成装置用トナー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は画像形成装置用トナー
に関し、特に、閃光照射によって定着させるのに適した
フラッシュ定着用トナーに関する。
【0002】フラッシュ定着は、記録媒体に対して非接
触なので、記録画像の解像度を劣化させることがなく、
また電源投入後の待ち時間が不要でクイックスタートが
可能である等の長所がある。
【0003】フラッシュ定着によってトナーが記録媒体
に固着する過程は次の通りである。トナー画像を記録媒
体に転写したときは粉末のまま記録媒体に付着して画像
を形成しており、指などでこすれば画像は崩れる状態に
ある。そこへ、例えばキセノンフラッシュランプなどか
ら閃光を照射すると、トナーは閃光のエネルギを吸収
し、温度が上昇して軟化溶融し、記録媒体に密着する。
【0004】閃光が終わった後は、トナーの温度が下が
って固化し、定着画像となって定着を完了する。そし
て、記録媒体に固着した定着画像は、指などでこすって
も崩れないようになる。
【0005】このようなフラッシュ定着において重要な
のは、トナーが溶融して記録媒体にしっかりと密着する
ことであり、そのためにトナーは、外界に放散して温度
上昇に寄与しない熱エネルギの分も含めた光エネルギを
閃光から吸収して、十分に溶融しなければならない。
【0006】
【従来の技術】フラッシュ定着用トナーのバインダ樹脂
としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルポリ
マに代表されるエポキシ樹脂やポリエチレンテレフタレ
ートに代表されるポリエステル樹脂などが常用されてき
た。
【0007】しかし上述のように、フラッシュ定着用ト
ナーの重要な特性として、トナーを構成するバインダ樹
脂は、紙等への定着過程においてすばやく溶融し、冷え
て固まった後においては良好な定着性を示す必要があ
る。
【0008】そこで、このようなトナー特性を得るため
に、バインダ樹脂として、溶融粘度の低い低分子量の、
一般にオリゴマと称される低重合高分子(例えば、数平
均分子量Mnが1500未満、重量平均分子量Mwが1
万以下)が広く用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、オリゴマは分
子量が小さいためガラス転移点が低く、例えば、 トナーの貯蔵安定性が低い、 現像機内でブロッキングを起こし易い、 現像機内で融着し易い、また、融着物(粗大トナーな
ど)を発生し易い、 装置の稼働環境(温度、湿度)の変化によりトナーの
特性が変化し易いなどの問題がある。
【0010】低分子量のオリゴマを用いるとこのような
問題点が生じる理由としては、バインダの融点を低くす
るために分子量を小さくするとガラス転移点も低くな
り、その多くが常温程度になってしまうためである。
【0011】このため、良好なフラッシュ定着性を示
し、かつ上述のような問題点を解決するためには、トナ
ーに用いるバインダの融点とガラス転移点を最適化する
必要があり、低融点であり、かつ高ガラス転移点である
バインダを用いたトナーを開発する必要がある。
【0012】また、トナーに与える光エネルギが必要以
上に強いと、トナーの粘性は急激に低下する。この時ト
ナーに働く表面張力が粘性に打ち勝つと、印字部のトナ
ーが凝集、移動するため、定着画像にボイドと呼ばれる
白抜け現象が起こり、画像濃度の低下を引き起こす。
【0013】従って、フラッシュ定着用のトナーとして
は、トナーの移動によりボイドが発生しないことが求め
られ、そのためにはトナー溶融時の粘性の高いバインダ
樹脂を用いることが必要である。
【0014】しかし、従来のようなオリゴマをバインダ
樹脂として用いた場合、溶融粘度が低く、フラッシュ光
の照射によりトナーが溶融すると、表面張力により生じ
るトナーの移動しようとする力によりトナーが凝集をお
こしながら融着固化するため、画像のボイド発生が避け
られなかった。
【0015】そこで本発明は、フラッシュ定着性に優
れ、環境安定性に優れ、また耐ボイド性に優れる画像形
成装置用トナーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の画像形成装置用トナーは、必須構成成分と
してポリエステルポリマを含む画像形成装置用トナーに
おいて、上記ポリエステルポリマの分子量分布が複数の
分子量ピークを有することを特徴とし、あい異なる分子
量ピークを有する複数のポリエステルポリマを混合して
もよい。
【0017】また、本発明の画像形成装置用トナーは、
ポリエステルポリマが、分子量1000以下の成分を2
重量%以上含むことを特徴とし、ポリエステルポリマ
が、分子量100万以上の成分を4重量%以上含むこと
を特徴とする。
【0018】
【作用】フラッシュ定着用トナーのフラッシュ定着性と
環境帯電安定性と耐ボイド性は、トナーに用いるバイン
ダのピーク分子量に依存しており、複数の分子量ピーク
を機能分離してコントロールすることにより、各特性に
優れるトナーとすることができる。
【0019】すなわち、分子量1000以下のモノマ、
ダイマ、トリマ、オリゴマは極めて記録媒体に浸透し易
い成分であり、この成分を含有することによりフラッシ
ュ定着性を実現できる。
【0020】また、分子量が3000〜20万の成分は
熱安定性に優れる成分であり、トナーの熱特性として重
要な融点とガラス転移点をコントロールするためにトナ
ーバインダの主成分となる分子量成分である。
【0021】分子量が100万以上の成分は極めて耐ボ
イド性に優れる成分であり、この成分を含有することに
よりフラッシュ定着画像に発生するボイドを無くすこと
ができる。
【0022】このような、特定の分子量成分を必要に応
じてコントロールすることにより、フラッシュ定着用ト
ナーのフラッシュ定着性と環境帯電安定性と耐ボイド性
を確保することができる。
【0023】ボイドの発生を防止するためには、バイン
ダ樹脂の溶融粘度を高め、トナーが移動して白抜けを生
じないようにする必要がある。溶融粘度を高める手法と
しては、 バインダ樹脂の重合度を高める バインダ樹脂の主鎖構造にC4以上の比較的長鎖の側
鎖を導入する バインダ樹脂の主鎖構造間に架橋を導入するなどの方
法が考えられる。
【0024】しかし、、の方法では、溶融粘度を高
めることができるが融点も上昇するため、ボイド発生は
防止できるものの、フラッシュ定着性が損なわれること
が多い。
【0025】また、の方法では、さほど融点を上昇さ
せずに溶融粘度を高めることができるが、この場合は、
バインダ樹脂のガラス転移点が低下するため、耐ブロッ
キング性が極端に損なわれることが多い。
【0026】したがって、本発明に示す特定の分子量成
分の割合をコントロールし、複数のピーク分子量を有す
るバインダを用いることが、本発明の目的達成のために
効果的である。
【0027】次に、本発明では、低分子量(1000以
下)のポリエステル成分を用いることにより、記録媒
体、例えば、紙等に対する馴染み易さと浸透性が、従来
からフラッシュ定着用トナーバインダで用いられてきた
他のポリマ、例えば、エポキシ等より高く、高いフラッ
シュ定着性が得られ易い。
【0028】しかしながら、このような低分子量ポリエ
ステルを用いる場合、低分子量成分の使用量が多くなる
と、トナーの熱特性、特に、ガラス転移点に重大な影響
を与え易く、通常の場合ガラス転移点が室温程度にな
り、熱安定性に欠けるトナーとなる。
【0029】本発明のフラッシュ定着用トナーでは、低
分子量成分として特に分子量1000以下のフラッシュ
定着性の極めて高い成分を用い、低分子量成分の使用量
が2重量%以上含まれる場合に効果を示すため、フラッ
シュ定着性と耐ボイド性の両立が図れる。
【0030】しかし、低分子量成分の使用量が多くなる
とトナーの熱安定が低下するため、通常20重量%以
下、好ましくは10重量%以下の使用量にとどめること
が好ましい。低分子量成分の使用量が20重量%以下の
場合、トナーの熱安定性に与える影響は小さく、フラッ
シュ定着性と熱安定性の両立を図ることができる。
【0031】さらに、本発明においては、高分子量(1
00万以上)のポリエステル成分を用いることにより、
フラッシュ定着画像におけるボイド発生が防止できる。
この成分は融点が200℃以上の成分であり、フラッシ
ュ定着過程においては溶融しない成分であり、トナーの
溶融粘性を高める成分である。
【0032】トナーの溶融粘性を高めることによりボイ
ド発生を防止する技術は、特開平4−56869号など
に開示されている。本発明で用いることのできる高分子
量成分は、このトナーの粘性コントロール技術を実現す
るための一つの新しい材料技術である。
【0033】特開平4−56869号に高分子量成分化
する技術が記載されているように、単に分子量ピークを
高分子量化するとフラッシュ定着性の著しい低下を引き
起こすため、フラッシュ定着性と耐ボイド性の両立を図
ることはできない。しかし、本発明の分子量100万以
上の成分を用いると、高分子量成分が4重量%以上含ま
れる場合にボイド防止に大きな効果を示すので、フラッ
シュ定着性と耐ボイド性の両立が図れる。
【0034】しかし、高分子量成分の使用量が多くなる
と記録媒体に対する馴染み易さと浸透性が低下するた
め、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の
使用量にとどめることが好ましい。高分子量成分の使用
量が20重量%以下の場合、トナーのフラッシュ定着性
に与える影響は小さく、フラッシュ定着性と耐ボイド性
の両立を図ることができる。
【0035】上述のような低分子量成分と高分子量成分
を含むフラッシュ定着用トナーは、分子量ピークの異な
る2種類以上のポリマをブレンドすることにより容易に
得ることができる。
【0036】このことは少なくともフラッシュ定着性と
耐ボイド性、熱安定性に主に依存する分子量成分が異な
っており、個別にコントロールすることが優れたフラッ
シュ定着性と耐ボイド性、熱安定性を両立する手法であ
ることを示している。
【0037】しかしながら、本発明に示すような極めて
低分子量成分から極めて高分子量成分までの成分を精密
にコントロールするポリエステルポリマは、反応条件を
最適化したとしても単独のポリマ合成物では得ることが
できない。
【0038】本発明では、特定の分子量成分が特定の機
能を有することを明らかにし、それぞれの分子量成分が
ポリマブレンドにより精密にコントロールできるパラメ
ータであることを利用している。
【0039】また、本発明は、バインダポリマとして無
定形ポリエステルポリマを用いたトナーとすることが好
ましく、無定形ポリエステルポリマが、(a)数平均分
子量Mnが3000以上、かつ2万以下である、(b)
フローテスタ軟化温度が130℃以下である、ことを特
徴とするバインダを用いることが好ましい。
【0040】このような、無定形ポリマを用いることに
より、通常、フラッシュ定着用トナーの融点(90〜1
50℃)にした場合においても、室温よりかなり高いガ
ラス転移点(55℃以上)にすることができる。
【0041】このため、無定形ポリエステルを用いたト
ナーはキセノンフラッシュランプを用いた定着におい
て、市販されているトナー(例えば、熱ロール定着用ト
ナー)よりもはるかに少ない定着エネルギでトナーを溶
融させることができる。
【0042】そして、本発明の無定形ポリマを用いたト
ナーでは、比較的低い融点の樹脂でも室温よりかなり高
い温度のガラス転移温度を示すので、特に熱安定性の高
いトナーを得ることができる。
【0043】上述のようなポリエステルポリマは単独で
トナーバインダとして用いることができるが、必要に応
じて他のバインダと併用しても用いることができる。他
のバインダと併用して用いる場合、ブレンドするバイン
ダは、従来からトナー用に用いられている、例えば、エ
ポキシ、スチレン、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミ
ド等などを用いることができる。
【0044】ただし、他のバインダと併用する場合、ポ
リエステルポリマの含有量を結着樹脂総量の50重量%
以上とするのがよい。50重量%未満の場合、ポリエス
テルポリマの有する優れたフラッシュ定着性、耐ボイド
性、熱安定性が失われるからである。
【0045】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。ただし、
本発明はこれによって限定されるものではない。
【0046】図2は、本発明のトナーが用いられる電子
写真方式のプリンタの一例を示している。ただし本発明
のトナーは、それ以外の各種の画像形成装置に用いるこ
とができる。
【0047】21は、装置フレームに回転自在に支えら
れて矢印方向に回転駆動される感光ドラム(像搬送体)
であり、有機感光体、セレン感光体又はa−Si感光体
などを用いることができる。また、円筒状のものに限ら
ず、感光体をシート状に形成したものでもよい。
【0048】22は、感光ドラム1の表面を一様に帯電
させるための帯電器であり、図に示されるスコロトロン
の他、コロトロン、ブラシ帯電器またはローラ帯電器な
どを用いることができる。
【0049】23は、一様に帯電された感光ドラム1の
表面に画像光を照射して静電潜像を形成するための露光
光源であり、LEDアレイ、液晶シャッタアレイまたは
半導体レーザを光源とした光学系などを用いることがで
きる。
【0050】24は、感光ドラム1の表面に形成された
静電潜像をトナーによって現像するための現像器であ
り、回転駆動される現像ローラ25によって、現像器2
0の内部に貯留された現像剤10が感光ドラム21側に
搬送される。この現像器24としては、現像剤26とし
てトナーと磁性キャリアとを混合して用いるいわゆる二
成分現像方式のものが用いられる。
【0051】27は、現像によって感光ドラム21の表
面に形成されたトナー像を記録紙100に転写するため
の転写器であり、図示されるローラ転写器の他、コロン
トロン転写器などを用いることができる。
【0052】記録紙100は、用紙カセット28からく
り出されて用紙搬送ローラ29によって転写部へ送られ
た後、フラッシュ定着器30に対向する位置を通るよう
に搬送され、そこで例えばキセノンランプから照射され
る閃光による光エネルギを受ける。
【0053】その光エネルギは、記録紙100上のトナ
ーに吸収されて熱エネルギに変換され、それによってト
ナーが溶融して記録紙100にトナー像が定着される。
そして記録紙100は、搬出ローラ32によってスタッ
カ33に排出される。
【0054】34は、転写が済んだ感光ドラム21の表
面を、帯電させる前に除電するための接触型除電器であ
り、図示されるような導電性弾性ローラからなる除電ロ
ーラの他、導電性ブラシなどを用いてもよい。
【0055】次に、各種のトナーを試作して、トナー像
をフラッシュ定着させる実験を行った。ここで用いるト
ナーは、従来公知の方法で製造できる。すなわち、バイ
ンダ樹脂、着色剤および必要であればカーボン、帯電制
御剤などを、例えば、加圧ニーダ、ロールミル、エクス
トルーダなどにより溶融混練して均一に分散し、例え
ば、ジェットミルなどにより、微粉砕化し、分級機、例
えば、風力分級機などにより分級して所望のトナーを得
ることができる。
【0056】ここでは、トナー用バインダ樹脂としてビ
スフェノールA型ジオール、1,2−プロピレングリコ
ール、テレフタール酸、イソフタール酸を必須構成成分
とするポリエステルについて、重合時間と重合温度をコ
ントロールし、5種類のポリエステルポリマを試作し
た。
【0057】試作したバインダ1〜5の物性値を図3に
示す。さらに、そのバインダ1〜5を単独またはブレン
ドして、トナー1〜6を試作した。試作したトナー1〜
6の物性値と評価結果を図4に示す。
【0058】図5、6及び1は、試作トナー3,4及び
6の分子量分布の測定結果を示しており、各図におい
て、ピークを有する方の曲線(a)は各分子量成分の存
在比率を示し、右上がりの曲線(b)はその各分子量成
分の存在比率を小さいものから順に積算した値を示すも
のである。
【0059】曲線(a)はピークとなる分子量成分の存
在比率を100%としてプロットされており、曲線
(b)は全部の分子量成分の存在比率を積算した一番右
端を100%としてプロットされている。
【0060】図5に示されるトナー3は、分子量10
2.5〜103の位置にあるピークの肩と104の位置にあ
るピークの二つの分子量ピークを有しており、前者は定
着性向上に効果のある成分であり、後者は熱安定性向上
に効果のある成分である。
【0061】図6に示されるトナー4は、分子量102
〜103.5の範囲にある複数のピークと、分子量104
位置にあるピークとを有しており、前者は定着性向上に
効果のある成分であり、後者は熱安定性向上に効果のあ
る成分である。
【0062】図1に示されるトナー6は、分子量102
〜103の位置にあるピークの肩と、分子量103.5の位
置にあるピークと、分子量105〜106.5の位置にある
ピークの肩の三つの分子量ピークを有しており、前者は
定着性向上に効果のある成分、中間のピークは熱安定性
向上に効果のある成分、後者は耐ボイド性向上に効果の
ある成分である。
【0063】トナーの試作および評価は以下の方法によ
り行った。バインダ92重量部、着色剤としてカーボン
ブラック(ブラックパールズL、キャボット製)5重量
部、帯電制御剤としてニグロシン染料(ボントロンN−
04、オリエント製)3重量部を加え、加圧ニーダによ
り130℃、30分溶融混練し、トナー塊を得た。冷却
したトナー塊をロートプレックス粉砕機により粒径約2
mmの粗トナーとした。
【0064】次いで、粗トナーをジェットミル(PJM
粉砕機、日本ニューマチック工業製)を用いて微粉砕を
行い、粉砕物を風力分級機(アルピネ社製)により分級
し、粒径5〜20μmの正帯電トナーを得た。そして、
トナー5重量部、キャリアとして不定形鉄粉TSV10
0/200(日本鉄粉製)95重量部からなる現像剤を
調製した。
【0065】トナーのフラッシュ定着性を評価するため
には、フラッシュ定着方式を採用しているF−6715
Dレーザプリンタ(富士通製)を用いて5mm角のベタ
画像を印字し、テープ剥離試験を行った。
【0066】この時、定着器の設定条件は容量160μ
Fのコンデンサを用い、充電電圧2050Vとし、フラ
ッシュランプに印加した。また、記録媒体上のベタ画像
のトナー層厚は約15μmにした。
【0067】テープ剥離試験は、ベタ画像部に粘着テー
プ(スコッチメンディングテープ、住友3M製)を軽く
貼り、直径100mm、厚さ20mmの鉄製円柱ブロッ
クを円周方向に一定速度でテープ上を記録媒体に密着さ
せた状態でころがした後、テープを記録媒体から引き剥
がした。
【0068】定着性の指標として、テープ剥離前後の光
学画像濃度(ID)の比率(百分率)の大きさから定着
性の良否を判断し、この比率が80%以上のものを定着
性良好とした。光学画像濃度はPCMメータ(マクベス
製)を用いて測定した。
【0069】また、定着画像におけるボイドの発生状況
は目視評価により判断した。さらに、トナーの熱安定性
は、トナー20gをポリビンに詰め、55℃、30%R
H環境中に12時間暴露し、取り出したトナーから20
0メッシュ(75μm)以下のトナーを除去し、残った
トナー重量の大きさから評価した。残ったトナー重量が
10重量%以下の場合を良好とした。
【0070】評価結果は図4に示すとおりであり、○は
良好、△は可、×は不良を示している。その結果から、
分子量1000以下の成分を含有するトナー2及び6は
耐ボイド性が良好で、分子量100万以上の成分を含有
するトナー3,4,5及び6はフラッシュ定着性が良好
であることがわかる。また、分子量3000〜20万の
成分が熱安定性に寄与することも明らかである。
【0071】したがって、1000以下、3000〜2
0万、及び100万以上の各々の分子量成分を含有させ
ることによって、フラッシュ定着性、熱安定性、耐ボイ
ド性の両立が図れる。
【0072】また、フラッシュ定着性、熱安定性、耐ボ
イド性を両立するトナーは分子量分布が複数のピークを
持つポリマを使用しており、そのようなポリマはバイン
ダブレンドにより得られることが明らかである。
【0073】
【発明の効果】本発明の画像形成装置用トナーによれ
ば、閃光照射による光エネルギを吸収して溶融したのち
固化するフラッシュ定着において優れた定着性と熱安定
性とを併有することができ、さらに耐ボイド性をも有す
ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のトナー6の分子量分布図である。
【図2】実施例装置の構成図である。
【図3】実施例のバインダの物性値を示す図表である。
【図4】実施例のトナーの評価結果を示す図表である。
【図5】実施例のトナー3の分子量分布図である。
【図6】実施例のトナー4の分子量分布図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−7952(JP,A) 特開 平1−179951(JP,A) 特開 昭63−66563(JP,A) 特開 昭56−65146(JP,A) 特開 平3−188468(JP,A) 特開 平1−277841(JP,A) 特開 平7−28275(JP,A) 特開 昭60−123853(JP,A) 特開 平4−36761(JP,A) 特開 昭63−193155(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08 - 9/087

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】閃光照射によって定着される画像形成装置
    用トナーであって、必須構成成分としてポリエステルポ
    リマを含み、上記ポリエステルポリマが、分子量分布に
    複数の分子量ピークを有していて、分子量1000以下
    の成分を2〜20重量%と、分子量100万以上の成分
    を4〜20重量%含むことを特徴とする画像形成装置用
    トナー。
  2. 【請求項2】上記ポリエステルポリマが、分子量ピーク
    のあい異なる複数種類のポリエステルポリマを混合して
    形成されている請求項1記載の画像形成装置用トナー。
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