JP3220478B2 - 液晶ディスプレイ用位相板 - Google Patents
液晶ディスプレイ用位相板Info
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- G02F1/133—Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
- G02F1/1333—Constructional arrangements; Manufacturing methods
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- G02F1/13363—Birefringent elements, e.g. for optical compensation
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- G—PHYSICS
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- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/04—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
Description
相板に関し、さらに詳しくは、熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系樹脂から成る延伸配向フィルムを複屈折性層に持つ
光学的に均一な液晶ディスプレイ用位相板に関する。
成するために、液晶分子のねじれ角を従来の90度より
大きくした高マルチプレクス駆動ディスプレイが実用化
されている。一般にスーパーツイストネマチックモード
(STN系モード)と呼ばれ、SBEモードやSTNモ
ードなどが知られている。このSTN系モードでは、電
圧印加による急峻な分子配向変形と光学的な複屈折効果
を組み合わせ、さらに優れた表示特性が得られるよう
に、レターデーション(液晶の屈折率異方性とセルギャ
ップの積=Δn・d)や偏光子の方位角の最適化を計っ
ている。近年、STNモードにおいて、位相板を用いて
複屈折効果により生じた透過光の位相差を補償する方式
などにより、白黒表示が達成されるようになった。ま
た、必要ならばカラーフィルターを附加してフルカラー
化することもできる。
用いられる位相板は、偏光された光の成分の相対位相を
変えるのに用いられる複屈折性の材料で作られた板であ
り、合成樹脂製の配向フィルムが複屈折性層として用い
られている。液晶ディスプレイ用位相板の構造として
は、1つの複屈折性層からなる単層構造、複屈折性が同
一または異なる2層以上の複屈折層を積層した多層構
造、保護層を有するものなどがある(例えば、特開平2
−158701号)。
と精細な画像を得るために、複屈折性層の全面が光学的
に均一であるとともに、温度や湿度の変化によっても光
学的特性が変化しないことが必要である。特に、自動車
搭載用の液晶ディスプレイ・パネルに用いる場合には、
過酷な条件での使用が予測されるため、少なくとも60
℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100
℃以上の耐熱温度が要求される。また、高温の使用にお
いて、残留溶媒が多量にあるとレターデーション値が不
均一になったり、複屈折性層以外の樹脂の表面が侵食さ
れるなど、悪影響を及ぼすため、合成樹脂配向フィルム
中の残留溶媒濃度は、通常2重量%以下、好ましくは1
重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であるこ
とが求められる。
板の合成樹脂材料として、フェノキシエーテル型架橋性
樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリレー
ト樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種フィルム形成
性樹脂が使用されてきた。
性樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリレ
ート樹脂などは、均一な延伸が困難なうえ、耐湿性が不
十分であり、0.1〜0.2重量%程度の吸湿性を有す
るため、使用環境の湿度変化によりレターデーション安
定性が低下する。また、ポリカーボネート樹脂やアリレ
ート樹脂などは、耐熱性が高いため、延伸温度が高温で
あり、そのため延伸温度の制御が困難で、光学的に均一
な位相板の製造が難しい。
は、その光弾性係数が、通常、50〜100×10-13
cm2/dyneと大きいため、僅かな応力によりレタ
ーデーション値が大きく変化するという問題がある。こ
のように、従来公知の合成樹脂配向フィルムから成る位
相板は、液晶ディスプレイ用として充分満足できるもの
ではなく、その改善が求められている。
折性層の全面が光学的に均一であり、かつ、温度や湿度
などが変化しても光学的に均一な液晶ディスプレイ用位
相板を提供することにある。
点を克服するために鋭意研究した結果、数平均分子量が
25,000〜100,000の熱可塑性飽和ノルボル
ネン系樹脂を溶液流延して作成したシートを乾燥し、残
留溶媒濃度が1重量%以下とした後、延伸して得た配向
フィルムが液晶ディスプレイ用位相板として優れた性質
を有していることを見い出し、その知見に基づいて本発
明を完成するに到った。
ば、数平均分子量が25,000〜100,000の熱
可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用いて、溶液流延法に
より作成した残留溶媒濃度1重量%以下の熱可塑性飽和
ノルボルネン系樹脂シートを延伸配向して成る波長55
0nmのレターデーション値が50〜800nmで、そ
の面内でのバラツキが±20nm以下のフィルムを複屈
折性層として有することを特徴とする液晶ディスプレイ
用位相板が提供される。以下、本発明について詳述す
る。
明で使用する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂として
は、例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環
(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロ
ペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後
に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマー
を付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマ
ーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノ
マーと付加型共重合させた樹脂などが挙げることができ
る。重合方法および水素添加方法は、常法により行なう
ことができる。
ば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/または
アルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボ
ルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル
−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、
5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲ
ン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−
ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒド
ロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデ
ン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、
6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、
6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、
6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメ
タノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、
例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,
5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾ
インデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−
3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10
a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ
アントラセン;等が挙げられる。
ない範囲内において、開環重合可能な他のシクロオレフ
ィン類を併用することができる。このようなシクロオレ
フィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シ
クロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン
などのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が例
示される。
ン系樹脂は、トルエン溶媒によるゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子
量が通常25,000〜100,000、好ましくは3
0,000〜80,000、より好ましくは40,00
0〜70,000の範囲のものである。数平均分子量が
小さすぎると機械的強度が劣り、大きすぎると溶解性、
成形性、流延の操作性が悪くなる。
ルネン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られる
ものである場合、水素添加率は、耐熱劣化性、耐光劣化
性などの観点から、通常90%以上、好ましくは95%
以上、より好ましくは、99%以上とする。
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等に優れている。特に、
吸湿性は、通常0.05%以下、好ましくは0.01%
以下のものを容易に得ることができる。また、その光弾
性係数は、3〜9×10-15cm2/dyneと小さく、
光学的に均一な配向フィルムの製造に好適な材料であ
る。
系樹脂には、所望により、フェノール系やリン系などの
老化防止剤、耐電防止剤、紫外線安定剤などの各種添加
剤を添加してもよい。表面粗さを小さくするため、レベ
リング剤の添加は好ましい。レベリング剤としては、例
えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂
系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用
レベリング剤を用いることができ、それらの中でも溶媒
との相溶性の良いものが好ましく、添加量は、通常5〜
50,000ppm、好ましくは10〜20,000p
pmである。
フィルムは、まず、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を
溶液流延法によりシートとし、該シートを延伸配向する
ことにより作成される。
延するためには、該樹脂を溶媒に溶解する。使用する溶
媒は、沸点が100℃以上のものが好ましく、120℃
以上のものがより好ましい。特に、25℃において固形
分濃度10重量%以上としても、熱可塑性飽和ノルボル
ネン系樹脂を均一に溶解できる溶媒が好ましい。
ン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、トリ
メチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベン
ゼン、クロロベンゼン等が挙げられ、その中でもキシレ
ン、エチルベンゼン、クロロベンゼンが好ましい。
溶解する限りにおいて、これらの溶媒に、シクロヘキサ
ン、クロロホルム、ベンゼン、テトラヒドロフランやジ
オキサン等の環状エーテル、あるいはn−ヘキサンやn
−オクタン等の直鎖の炭化水素等を含んでいてもよい。
は、沸点が100℃以上のキシレン、エチルベンゼン等
の芳香族系溶剤を50%以上含有するものがある。
〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ま
しくは20〜45重量%である。樹脂の濃度が低すぎる
と粘度が低くシートの厚さの調整が困難であり、濃度が
高すぎると粘度が高く操作性が悪い。
ず、ポリカーボネート樹脂シートなどの光学材料に用い
られる一般の溶液流延方法を用いることができる。具体
的には、樹脂溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きT
ダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コー
ト、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタ
レートなどの耐熱材料、スチールベルト、金属箔などの
平板またはロール上に流延する方法を挙げることができ
る。
する前に乾燥し、残留溶媒濃度1重量%以下とする。シ
ートは、通常、2段階に分けて乾燥することが好まし
い。
ロール上のシートを100℃以下の温度範囲で残留溶媒
濃度が10重量%以下、好ましくは5重量%以下になる
まで乾燥する。この場合、乾燥温度が高すぎると、溶媒
の揮発に際し、シートが発泡する。
離し、第2段階の乾燥として、室温から80℃以上、好
ましくは110℃から樹脂のガラス転移温度(Tg)ま
での温度範囲に昇温させ、残留溶媒濃度が1重量%以
下、好ましくは0.5重量%以下になるまで乾燥する。
が高すぎると、酸素の存在下では酸化により樹脂が劣化
する。第1段階として室温で乾燥し、乾燥終了後にシー
トを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行
なっても、あるいは第1段階の加熱による乾燥後、一旦
冷却してシートを平板またはロールから剥離し、再加熱
して乾燥してもよい。
1mm、好ましくは40〜500μm、さらに好ましく
は100〜300μmである。シートの厚さが薄すぎる
と、強度が低下し、延伸倍率が小さくなる。逆に、シー
トが厚すぎると、乾燥が困難であり、延伸後のフィルム
も厚くなるため、透明性が劣り、液晶ディスプレイとし
ての視覚依存性が高くなるという問題がある。
て平均厚さの±10%以内、好ましくは±5%以内、よ
り好ましくは±3%以内である。シートの厚さムラが大
きいと延伸配向フィルムのレターデーション値のムラが
大きくなる。
和ノルボルネン系樹脂の種類と用いた溶媒の種類、残留
溶媒濃度によって決定される。残留溶媒濃度が高いほ
ど、耐熱性は低下する。本発明の延伸配向フィルムを形
成する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、ガラス転移
温度(Tg)が通常90℃以上、好ましくは110℃以
上、特に好ましくは130℃以上であることが望まし
い。
配向フィルムは、前記溶液流延法により得られ、乾燥し
た原反シートを一軸方向に延伸することにより得られ
る。延伸により分子が配向される。得られた延伸配向フ
ィルムは、一定のレターデーション値を持つ。延伸倍率
は1.1〜8倍、好ましくは2〜6倍である。延伸倍率
が低すぎるとレターデーション値が上がらず、高すぎる
と破断する。
g〜Tg+50℃、好ましくはTg+5〜Tg+40℃
の温度範囲で行なわれる。延伸温度が低すぎると破断
し、高すぎると分子配向しないため、所望の位相板が得
られない。
り分子が配向されて、一定の大きさのレターデーション
値を持つ。位相板に用いるためには延伸配向フィルム
は、波長550nmのレターデーション値が50〜80
0nmのものであり、目的に応じてこの範囲内の所望の
レターデーション値を持たせるようにする。レターデー
ション値は、延伸前のシートのレターデーション値と延
伸倍率、延伸温度、延伸配向フィルムの厚みにより制御
することができる。延伸前のシートが一定の厚みの場
合、延伸倍率が大きいフィルムほどレターデーション値
が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更すること
によって所望のレターデーション値の延伸配向フィルム
を得ることができる。
ど好ましく、本発明の延伸配向フィルムは、波長550
nmのレターデーション値のバラツキが±20nm以
下、好ましくは±10nm以下の小さなものである。
厚さムラは、それらの小さな延伸前のシートを用いるほ
か、延伸時にシートに応力が均等にかかるようにするこ
とにより、小さくすることができる。そのためには、均
一な温度分布下、好ましくは±5℃以内に温度を制御し
た環境で延伸することが望ましい。
晶ディスプレイ用位相板の基本的な構造としては、
(1)上記延伸配向フィルムの単層の複屈折性層からな
るもの、および(2)複屈折性層が、上記延伸配向フィ
ルムを2枚以上含む複数の複屈折性フィルムからなる多
層構造を有しているものがある。多層構造を有する場合
は、通常の光軸を揃えて複屈折性フィルムを貼り合わせ
たもののほか、目的に応じて光軸が一定の角度になるよ
うに貼り合わせたものでもよい。例えば、異なるレター
デーション値を有する複数の延伸配向フィルムを光軸方
向を同一方向に合わせて積層すると、レターデーション
値の加成性を利用して、多種のレターデーション値を有
する多層フィルムが得られる。積層枚数は2〜6枚程度
である。積層するのに用いる接着剤には、紫外線硬化型
接着剤、熱硬化型接着剤、ホットメルト接着剤等があ
る。
構造としては、(3)複屈折性層の少なくとも片面に光
等方性保護層(例えば、光等方性ポリカーボネートフィ
ルムなど)が積層された構造を有するもの、(4)複屈
折性層または光等方性保護層の少なくとも一方の面上
に、感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤
層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの
(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易
に貼着することができる)、あるいは(5)位相板が偏
光板と積層一体化して偏光板付き位相板となっているも
の、などを挙げることができる。
複屈折性の延伸配向フィルムは、温度変化に強いのみで
なく、耐湿性、耐水性に優れている。従来の液晶ディス
プレイでは、駆動用液晶セルの保護のため、必要に応じ
て耐湿性、耐水性を有する樹脂から成る保護層を設ける
ことがあったが、本発明の液晶ディスプレイ用位相板を
用いると、そのような保護層の少なくとも1層を設けな
くとも充分な耐湿性、耐水性が得られ、構造を簡略化す
ることもできる。
て、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、こ
れらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以
下の例において、部および%は、特に断りのない限り重
量基準である。
とおりである。 (1)数平均分子量は、トルエンを溶媒とするGPC法
により測定した。 (2)水素添加率は、1H−NMRにより測定した。 (3)ガラス転移温度(Tg)は、延伸前シートの一部
を試料として用いDSC法により測定した。 (4)レターデーション値は、波長550nmのベレク
・コンペンセイターにより測定した。 (5)シートの残留溶媒濃度は、温度200℃のガスク
ロマトグラフィーにより測定した。 (6)シートおよびフィルムの厚みは、ダイヤル式厚み
ゲージにより測定した。 (7)光線透過率は、分光光度計により、波長400〜
700nmの範囲について波長を連続的に変化させて測
定し、最小の透過率をその延伸前シートまたは延伸配向
フィルムの光線透過率とした。
社製、商品名レキサン131−111)を31重量%の
塩化メチレン溶液とし、以下の実施例1と同様に流延
し、乾燥して、Tg142℃、平均厚さ132μm、厚
さムラ±4μm、レターデーション値2nmの延伸前の
シートを得た。
御し、1.8倍の延伸倍率で一軸方向に延伸し、延伸フ
ィルムを得た。平均厚さは96μm、厚さムラは±3μ
m、レターデーション値は平均で558nm、その面内
でのバラツキは±8nmであった。
た後、室温まで降温し、レターデーション値を測定した
ところ、平均で556nmであり、80℃に保持する以
前と比較して変化率は0.36%であった。したがっ
て、この延伸フィルムは、温度変化に対するレターデー
ション安定性が良く、液晶ディスプレイ用位相板として
用いることができるものであった。
−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン(以下、MTDと略記)に、重合
触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シクロヘキ
サン溶液10部、トリエチルアミン5部、および四塩化
チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を添加して、
シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環重合体を
ニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得た。この
ポリマー溶液をイソプロピルアルコール中で凝固させ、
乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量
は40,000、水素添加率は99.8%以上、Tgは
142℃、残留溶媒濃度は0.05%であった。
クロロベンゼン85gに溶解し、樹脂溶液組成物を得
た。この樹脂溶液を表面研磨されたガラス板上にたら
し、これをバーコーターにより幅約300mm、長さ5
00mmに流延した。これを第1段階の乾燥としてガラ
ス板ごと空気還流型のオーブン中で25℃から90℃ま
で30分かけて昇温させて乾燥させた。室温まで冷却
後、シートの一部を切取り、残留溶媒濃度を測定したと
ころ1.2重量%であった。次いで、第2段階の乾燥と
して、樹脂膜をガラス板から剥離し、140℃のオープ
ンで90分乾燥し、室温に冷却後、周囲10mm幅を切
り落として延伸前のシートを得た。この延伸前シートの
残留溶媒濃度は0.12重量%であった。
顕微鏡で観察したが、発泡、スジ、キズなどは観察され
なかった。Tgは139℃、平均厚さは130μmで厚
さムラは最大でも±4μm以下、光線透過率は90.2
%、レターデーション値は全面で3nm以下であった。
し、4.5倍の延伸倍率で一軸方向に延伸し、延伸配向
フィルムを得た。延伸配向フィルムの平均厚さは62μ
m、厚さムラは±2μm、レターデーション値は平均で
560nm、その面内でバラツキは±3nmであった。
持した後、室温まで降温し、レターデーション値を測定
したところ、平均で558nmであり、80℃に保持す
る以前と比較して変化率は0.36%であった。したが
って、この延伸配向フィルムは、ポリカーボネート製の
ものと温度変化に対するレターデーション安定性が同等
であり、レターデーション値の面内でのバラツキが小さ
く、液晶ディスプレイ用位相板として用いることができ
るものであった。
耐熱性、耐湿性に優れた液晶ディスプレイ用位相板が提
供される。
Claims (6)
- 【請求項1】 数平均分子量が25,000〜100,
000の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用いて、溶
液流延法により作成した残留溶媒濃度1重量%以下の熱
可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを延伸配向して成
る波長550nmのレターデーション値が50〜800
nmで、その面内でのバラツキが±20nm以下のフィ
ルムを複屈折性層として有することを特徴とする液晶デ
ィスプレイ用位相板。 - 【請求項2】 複屈折性層が、前記延伸配向フィルムを
2枚以上積層した多層構造を有する請求項1記載の液晶
ディスプレイ用位相板。 - 【請求項3】 多層構造が、2枚以上の前記延伸配向フ
ィルムの光軸方向を同一方向に合わせたものである請求
項2記載の液晶ディスプレイ用位相板。 - 【請求項4】 複屈折性層の少なくとも片面に、光等方
性保護層が積層されている請求項1ないし3のいずれか
1項記載の液晶ディスプレイ用位相板。 - 【請求項5】 少なくとも一方の最外層に、感圧性接着
剤層を介して剥離性シートが積層されている請求項1な
いし4のいずれか1項記載の液晶ディスプレイ用位相
板。 - 【請求項6】 偏光板を積層一体化してなる請求項1な
いし5のいずれか1項記載の液晶ディスプレイ用位相
板。
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JPH04361230A JPH04361230A (ja) | 1992-12-14 |
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