JP2004361712A - 楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温低湿条件下、高温高湿条件下での耐久性に優れている楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該フィルムの一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記フィルムの、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は0.1〜0.7の範囲に調整され、前記フィルムが、10μm〜50μmの膜厚を有し、且つ、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有することを特徴とする楕円偏光板。
【選択図】 なし
【解決手段】楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該フィルムの一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記フィルムの、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は0.1〜0.7の範囲に調整され、前記フィルムが、10μm〜50μmの膜厚を有し、且つ、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有することを特徴とする楕円偏光板。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在では、パーソナルコンピュータのマルチメディア化が進み、液晶ディスプレイは大型化と同時に表示品質に優れるTFT液晶が主流となり、視野角特性の高度な改善が求められている。
【0003】
その目的のためにTFT型液晶の表示モードとして、従来のTN型のみならず横電界方式(IPS)、垂直配向方式(VA)等が提案され実用化されている。
【0004】
更に、動画表示に優れる高速駆動が可能なベンド配向方式(OCB)も実用化が進みつつある。IPS方式を除くこれらの表示方式は、視野角特性に一長一短ありいずれも光学補償シート(以下、光学補償フィルムともいう)を用いることにより大幅に視野角特性を改善することが可能である。
【0005】
前記光学補償シートとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献1、2、3及び4参照。)、IPS(In−Plane Switching)モードまたはFLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献5参照。)、OCB(Optically Compensatory Bend)モードまたはHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献6及び7参照。)、STN(Super Twisted Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献8参照。)、そして、VA(Vertically Aligned)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献9参照。)等に記載がある。
【0006】
ところが、最近では、偏光板と光学補償フィルムとの積層時、加熱収縮時に生じる応力(歪み)により窓枠状ムラや輝度ムラが大きくなるという問題点が発生している。
【0007】
上記の加熱収縮のような熱履歴による窓枠状ムラ、輝度ムラの抑止技術として、従来、偏光板の片面または両面に、90℃における1000%モジュラスが6g/mm2以下の粘着層を設けて、液晶セルに接着させることにより広視野角偏光板を得る技術(例えば、特許文献10参照。)や、偏光層を光学補償フィルム上に直接積層し、且つ、液晶パネルのガラス基板貼着面に粘着層を設ける技術が知られている(例えば、特許文献11参照。)。
【0008】
しかしながら、上記の技術では、加熱収縮時に生じる偏光板や光学補償フィルムの寸法変動への対応は未だ満足すべきレベルには到達していないのが現状である。
【0009】
また、近年、液晶表示装置(液晶表示パネル)の大型化が進行しているが、このような大型パネルでは特に加熱収縮時の寸法変動により液晶パネルの四隅に白抜け(光が透過する現象を示す)現象が更に起こりやすいという新たな問題点が見いだされ、いずれの問題点も解決が嘱望されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−214116号公報
【0011】
【特許文献2】
米国特許第5583679号明細書
【0012】
【特許文献3】
米国特許第5646703号明細書
【0013】
【特許文献4】
独国特許出願公開第3911620A1号明細書
【0014】
【特許文献5】
特開平10−54982号公報
【0015】
【特許文献6】
米国特許第5805253号明細書
【0016】
【特許文献7】
国際公開第96/37804号パンフレット
【0017】
【特許文献8】
特開平9−26572号公報
【0018】
【特許文献9】
特許第2866372号明細書
【0019】
【特許文献10】
特開2000−321992号公報
【0020】
【特許文献11】
特開2002−214438号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温低湿条件下、高温高湿条件下での耐久性に優れている楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成1〜9により達成された。
【0023】
1.少なくとも、偏光板及び光学異方性を有するフィルムとを有する楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該フィルムの一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記フィルムの、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は0.1〜0.7の範囲に調整され、前記フィルムが、10μm〜50μmの膜厚を有し、且つ、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有することを特徴とする楕円偏光板。
【0024】
2.前記偏光板がポリビニルアルコール含有層を含み、該偏光板上に直接またはその他の層を介して粘着層aが設けられていることを特徴とする前記1に記載の楕円偏光板。
【0025】
3.前記偏光板がポリビニルアルコール層からなり、且つ、該ポリビニルアルコール層上に粘着層aが設けられていることを特徴とする前記1に記載の楕円偏光板。
【0026】
4.前記フィルムが光学異方性を有するフィルムであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0027】
5.前記粘着層a、bの各々の膜厚が、1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0028】
6.前記粘着層a、bの各々の粘着力が、5N/25mm〜8N/25mmの範囲であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0029】
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接または、その他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程、次いで、前記フィルムのもう一方の面上に直接またはその他の層Bを介して粘着層bを設ける工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
【0030】
8.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの、一方の面上に、直接または、その他の層Bを介して粘着層bを設ける工程、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接またはその他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、次いで、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
【0031】
9.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板または前記7または8に記載の作製方法で作製された楕円偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を種々検討した結果、請求項1に記載のように、少なくとも、偏光板及び光学異方性を有するフィルムを有する楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該支持体の一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記支持体の、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介してに設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は、0.1〜0.7の範囲に調整され、前記支持体が、10μm〜50μmの膜厚を有するシクロオレフィンポリマー含有層である楕円偏光板が、本発明に記載の効果、即ち、加熱収縮条件下での寸法安定性が良好であり、光学特性(面内リターデーション(R0)、厚み方向のリターデーション(Rt))の経時変動が少ない楕円偏光板が得られることを見いだした。
【0033】
《楕円偏光板》
本発明の楕円偏光板について説明する。
【0034】
本発明の楕円偏光板は、積層された構成を有し、少なくとも偏光板及び光学異方性を有するフィルムを有することが必要条件であるが、典型的な例としては、第一の支持体(通常、セルローストリアセテートフィルム)−偏光子−第二の支持体(通常、セルロースエステルフィルム)−光学異方性層(液晶性化合物の配向を特定の方向に固定化し形成された層)−光学異方性を有するフィルム(例えば、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルム等)という形態をとり、第2の支持体の上に直接又は間接的に光学異方性層を形成させた後、前記光学異方性層上に光学異方性を有するフィルムを配置することにより形成される。
【0035】
但し、請求項1に記載のように、後述する粘着層aは偏光板と光学異方性を有するフィルムの一方の面との間に設けられ、粘着層bは、光学異方性を有するフィルムの、液晶セルとの貼合面として使用される、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられる。
【0036】
《粘着層a、b》
本発明の楕円偏光板に係る粘着層a、bの各々について説明する。
【0037】
本発明に係る粘着層bの膜厚は20μm以下であり、且つ、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は、0.1〜0.7の範囲に調整されることが必須の要件であるが、粘着層bの膜厚は1μm〜10μmの範囲が好ましく、また、前記膜厚比(a/b)は、0.3〜0.7の範囲が好ましい。
【0038】
(粘着層の構成部材)
本発明に係る粘着層a、bの構成部材としては、各々公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が好ましく、特に好ましく用いられるのは、アクリル系粘着剤である。また、本発明に係る粘着剤は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、劣化防止剤、充填剤、架橋剤などの組成物として構成されることが好ましい。
【0039】
エラストマーとしては、上記の各粘着剤の種類に従って、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、SBR、ブロックコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリアクリル酸エステル共重合体、シリコーンゴム等が好ましい。
【0040】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン、水添ロジンエステル、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂還族系水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が好ましい。
【0041】
軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ひまし油、トール油等が好ましい。
【0042】
劣化防止剤としては、例えば、芳香族アミン誘導体、フェノール誘導体、有機チオ酸塩等が好ましい材料として挙げられる。
【0043】
充填剤としては、例えば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー、顔料、カーボンブラック等が好ましい。充填剤が含有される場合は、本発明の楕円偏光板の全光線透過率に大きく影響を与えない範囲で使用される。
【0044】
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が好ましく使用される。天然ゴム及びカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤としては、ポリイソシアネート類が好ましく使用される。
【0045】
ブチルゴム及び天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤としては、ポリアルキルフェノール樹脂類が好ましい。
【0046】
ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及び天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等があり、非汚染性の粘着剤を得るために好ましく用いられる。
【0047】
また、架橋助剤としては、多官能メタクリルエステル類を使用することが好ましい。その他、紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤を形成してもよい。
【0048】
粘着層の形成は、フィルムの他方の表面に粘着剤を塗布する方法により行われる。塗布方法としては、当該業者公知の方法が適用可能である。
【0049】
(粘着層の粘着力)
本発明に係る粘着層の粘着力(偏光板、光学異方性を有するフィルム、光学異方性を有するフィルム、その他の層等との粘着力を示す)としては、5N/25mm〜8N/25mmの範囲にするのが好ましい。ここで、粘着層の粘着力を前記の範囲に調整する為には、軟化剤、粘着付与剤、架橋剤等の量変化により所望の粘着力を示す粘着層を得ることが出来る。
【0050】
ここで、本発明に係る粘着層の粘着力(接着強度、剥離強度等ともいう)は、JIS Z0237に規定の方法に準じて測定することが出来る。
【0051】
また、本発明に用いられる粘着剤の構成部材としては、特開2001−323238号公報に記載の粘着剤も本発明に係る粘着層の構成部材として使用可能である。
【0052】
以下、各々の構成部材について説明する。
《光学異方性を有するフィルム》
本発明に係る光学異方性を有するフィルム(光学異方性を有する支持体ともいう)について説明する。
【0053】
本発明に係る光学異方性を有するフィルムとしては、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルムであることが必須の発明要件であるが、前記フィルムに付与される光学異方性(複屈折性ともいう)としては、Cプレート(Cプレート補償能)、Aプレート(Aプレート補償能)、二軸プレート(二軸プレート補償能)、Oプレート(Oプレート補償能)等の機能が好ましく、中でも好ましく用いられるのは、二軸プレート(二軸プレート補償能)である。
【0054】
ここで、二軸プレートとは、具体的には、光学的二軸性を有するフィルムであり、光学的二軸性は、例えば、フィルム作製時の延伸処理時の延伸倍率の調整によりフィルムに付与される光学的な異方性である。また、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するとは、前記フィルムの全構成成分の全質量の50質量%以上を前記シクロオレフィンポリマーが占めることを意味する。
【0055】
次に、光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動を説明する。
《光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動》
本発明に係る、光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動である、Cプレート(Cプレート補償能)、Aプレート(Aプレート補償能)、二軸プレート(二軸プレート補償能)、Oプレート(Oプレート補償能)の各々について説明する。
【0056】
《Cプレート》
Cプレートの光学異方性について説明する。
【0057】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx=ny>nz
Cプレートの面内方向のリターデーション特性、R0=0である。
【0058】
Cプレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、ディスコティック液晶、無延伸のセルロースエステルフィルム(例えば、無延伸のセルローストリアセテート(TAC)、無延伸のセルロースアセテートプロピオネート(CAP)等)、二軸延伸したノルボルネン系樹脂(但し、nx=nyになるように二軸延伸される)等が挙げられる。
【0059】
《Aプレート》
Aプレートの光学異方性について説明する。
【0060】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx>ny=nz
Aプレートの面内方向のリターデーション特性、R0は、ほぼ2×Rtを示す。
【0061】
Aプレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、棒状液晶性化合物、1軸延伸ポリマー(例えば、ポリカーボネート等)が挙げられる。
【0062】
《二軸プレート》
二軸プレートの光学異方性について説明する。
【0063】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx>ny>nz
二軸プレートの面内方向のリターデーション値と厚み方向のリターデーション値は各々異なる値を示す。
【0064】
二軸プレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、延伸セルロースエステル(例えば、延伸セルロースアセテートプロピオネート(延伸CAP)、セルローストリアセテート(延伸TAC)等)、二軸延伸処理したノルボルネン系樹脂(但し、nx>nyとなるように延伸処理される)等が挙げられる。
【0065】
《Oプレート》
Oプレートは、主光学軸をディスプレイの平面に関し実質的に斜角(oblique angle)で配向して、正の複屈折物質を利用する(そのため「Oプレート」と呼ぶ)。
【0066】
ここで、「実質的に斜角」とは、角度が0°よりも大きく、90°より小さいことを示す。
【0067】
本発明に係るOプレートは、さらに、一軸性または二軸性物質を有するOプレートを利用できる。
【0068】
本発明に係るシクロオレフィンポリマーとしては、ZEONEX(ゼオネックス:日本ゼオン製)、ZEONER(ゼオノア:日本ゼオン製)、ARTON(JSR(株)製)、APEL(三井石油化学製)等のオレフィン系透明プラスチックが挙げられる。
【0069】
本発明に係る、光学異方性を有するフィルムの主成分はシクロオレフィンポリマーであるが、フィルム形成に支障がない範囲内で、その他の合成ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の材料を併用してもよい。
【0070】
上記のような光学異方性を、本発明に係る、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルム(支持体)や上記の合成ポリマーの各々に付与する手段としては、種々挙げられるが、製膜時の延伸処理時の延伸方向、延伸倍率等の調整により所定の光学異方性を有するフィルムを得ることが出来る。
【0071】
《リターデーション特性(R0、Rt)、透過率》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの面内リターデーション(R0)は20nm以上が好ましく、30nm以上がさらに好ましい。また、厚み方向のリターデーション(Rt)は、50nm以上が好ましく、更に好ましくは、100nm以上である。また、前記フィルムの光透過性としては、光透過率が80%以上であることが好ましい。
【0072】
《リターデーション(R0、Rt)の分布》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムは、面内方向のリターデーション値(R0)の分布は、5%以下であることが好ましく、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーション(Rt)分布は、10%以下が好ましく、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。
【0073】
上記、リターデーション(R0、Rt)分布の数値は、得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。リターデーション、その分布の数値の測定方法については後述する。
【0074】
《リターデーション特性》
ここで、R0(フィルムの面内方向のリターデーション値)及びRt(フィルムの厚み方向のリターデーション値)は、下記式(a)、(b)で定義される。
【0075】
(a)R0=(nx−ny)×d
(b)Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
式中、nxは面内での最大屈折率方向であるx方向の屈折率、nyはx方向に面内で直交する方向であるy方向の屈折率である。nzは厚み方向の屈折率、dは厚み(nm)である。
【0076】
《光学異方性を有するフィルムの配置方法》
次に、光学異方性を有するフィルムの配置方法について説明する。光学異方性を有するフィルムの一方の面上には、上記の粘着層aを介して、本発明に係る偏光板または偏光子と貼合される。貼合を行うにあたり、粘着層aを偏光板または偏光子上に最初にもうけてもよいし、前記フィルム上に最初に設けても良い。
【0077】
次に、前記フィルムのもう一方の面は、液晶セルとの貼合に用いられる面であり、前記面上に直接またはその他の層(例えば、配向層、樹脂フィルム、光学異方性層等)を介して、上記の粘着層bが設けられる。
【0078】
《光学異方性を有するフィルムの作製方法》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの作製方法、特に、前記フィルムの主成分として用いられるシクロオレフィンポリマーの作製について説明する。
【0079】
本発明に係る、シクロオレフィンポリマーの具体例として記載した、上記のZEONEX(ゼオネックス:日本ゼオン製)、ZEONER(ゼオノア:日本ゼオン製)、ARTON(JSR(株)製)、APEL(三井石油化学製)等は、一般的にノルボルネン系樹脂というカテゴリに入る樹脂である。
【0080】
ノルボルネン系樹脂としては、従来公知の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が好適に使用され、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの付加型重合体、これら重合体の変性物等が挙げられる。
【0081】
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2.3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0082】
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、小さくなると耐湿性が低下し、大きくなるとフィルム成形性が低下するので、GPC(ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフ:トルエン溶媒使用)で測定して、25,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜80,000の範囲である。
【0083】
《光学異方性を有するフィルムの成形方法》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムは、シクロオレフィンポリマーとして上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と必要に応じて各種成分とをフィルム成形して得ることが好ましい。ここで、光学異方性が付与されたフィルムの作製方法としては、従来公知の方法が適用可能であり、例えば、溶液流延法、溶融成形法等が挙げられる。
【0084】
(溶液流延法)
溶液流延法は、常法にしたがって行うことができ、例えば、各成分を溶媒に溶解または微分散させた液状組成物を、適当なキャリヤー(支持体)上に流延し、次いで、溶媒を乾燥除去することで行うことができる。キャリヤーとしては、格別な制限はなく、一般的な溶液流延法で用いられるものが使用され、例えば、ガラス板、金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム、PVCフィルム、フッ素樹脂ベルト、金属箔などの平板、ベルトまたはロールなどを挙げることができる。
【0085】
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;メチルエチルケトンなどのケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレンなどのハロゲン化溶媒;など用いることができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0086】
溶媒中の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の濃度は、作製するフィルム厚に応じて適宜選択されるが、通常0.1質量%〜60質量%、好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜45質量%の範囲である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂濃度がこの範囲にある時に、フィルムの厚さの調整が容易でかつ製膜性にも優れ好適である。
【0087】
液状組成物をキャリヤー上に流延する方法としては、特に限定されず、例えば、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて行うことができる。液状組成物の流延は、スプレー、ハケ、ロール、スピンコート、デッピングなどで塗布することにより行ってもよい。1回の塗布で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗布することができる。
【0088】
溶媒の乾燥除去法には、格別な制限はなく、常法に従ってできるが、残留溶媒濃度が5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下にするには、通常、2段階以上に分けて乾燥させる。まず、第1段階の乾燥としては、平板またはロール上のフィルムを室温〜100℃、好ましくは室温〜80℃の温度範囲で、残留溶媒温度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるまで乾燥する。この場合、乾燥温度が高すぎると、溶媒の揮発に際し、フィルムが発泡する。次いで、平板またはロールからフィルムを剥離し、第2段階の乾燥として、室温から60℃以上、好ましくは70℃から樹脂のガラス転移温度(Tg)までの温度範囲に昇温させ、残留溶媒濃度が2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下になるまで乾燥する。
【0089】
乾燥温度が低すぎると乾燥が進まず、温度が高すぎると発泡しやすくなる。第1段階の乾燥を行い、乾燥終了後にシートを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行っても、あるいは第1段階の乾燥後、一旦冷却してシートを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行ってもよい。溶媒の乾燥は、必要に応じて、減圧で行うことができる。
【0090】
(溶融成形法)
溶融成形法でフィルム(支持体、シート等ともいう)を作製する場合は、Tダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押出法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などがある。中でも、厚さムラが小さく、10μm〜500μm程度の厚さに加工し易く、かつ、レターデーションの絶対値及びそのバラツキを小さくできるTダイを用いた溶融押出法が好ましい。
【0091】
溶融成形法の条件は、同程度のTgを有する光学材料に用いられる一般的な条件と同様であり、例えば、Tダイを用いる溶融押出法では、樹脂温度240℃〜300℃程度で、引き取りロールの温度を100℃〜150℃程度の比較的高温として、樹脂シートを徐冷できる条件を選択することが好ましい。
【0092】
ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、ダイには滞留部が極力少なくなるような構造が必要であり、ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。かくして得られるフィルムの厚さは、通常0.5μm〜5mm、好ましくは1μm〜2mm、さらに好ましくは5μm〜0.5mmの範囲である。高分子フィルムの厚さがこの範囲である時に、溶媒乾燥が容易となり、しかもフィルムの外観性にも優れ好適である。
【0093】
本発明の作製方法で、作製されるフィルムを偏光フィルムの保護フィルムと使用する場合は、そのフィルム厚さを、通常5μm〜500μm、好ましくは10μm〜150μm、さらに好ましくは20μm〜100μmの範囲するのが、機械適強度、透明性、複屈折性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0094】
また、フィルムの厚みムラも、通常、全面において平均厚さの±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±2%以内であるものが、画像の歪みやレターデーションのバラツキが少なく、液晶ディスプレイ用偏光フィルムの保護層として好適である。
【0095】
(延伸処理)
本発明に係る光学異方性を有するフィルム(光学異方性を有する支持体ともいう)の作製を、溶液流延法、溶融成形法のどちらで行うにせよ、製膜時または製膜後のいずれでもよいが、下記に記載の延伸処理を行うことが好ましい。
【0096】
フィルム作製時の好ましい延伸倍率としては、一方向の延伸倍率が1.01〜3.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.5倍に延伸製膜されたものであり、より好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.50倍に延伸されたものが好ましく、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.00倍に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.70〜1.50倍未満に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.80〜1.25倍未満に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜2.50倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.80〜1.25倍未満に延伸されたものであり、最も好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜2.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.85〜1.10倍未満に延伸されたものである。これにより、光学的等方性に優れたフィルムを好ましく得ることができる。
【0097】
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターを用いてもよく、クリップテンターを用いても良い。
【0098】
フィルムを延伸する方法には特に限定はない。例えば、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンを横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法、幅手方向に広げて搬送方向に収縮させる方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。TDに延伸し、MDに収縮させることは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを変化させ、フィルムの光学異方性を所定の範囲に入れるために有効な方法である。
【0099】
延伸処理がテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことで、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
【0100】
得られたフィルムは、最終仕上がりフィルムの残留溶媒量で2質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.4質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。
【0101】
《光学異方性を有するフィルムの膜厚分布》
光学異方性を有するフィルムの膜厚分布は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。
【0102】
《光学異方性を有するフィルム中の添加剤》
光学異方性を有するフィルムの作製時には、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤などの添加剤を加えてもよい。
【0103】
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの作製においては、作製時のドープや溶融している材料中に、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることがこのましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子は、2次粒子の平均粒径が0.01μm〜1.0μm、含有量が、セルロースエステルに対して0.005質量%〜0.3質量%が好ましい。
【0104】
二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径は、後述のアンチカール処理に用いる微粒子と同じものが用いられる。
【0105】
《カール防止》
光学異方性を有するフィルムは、フィルム内に多少の応力ひずみが残存してしまう場合はカールしてしまうことがある。従ってカールを防止することにより、カールによる不都合を解消し、光学異方体としての機能を損なわないようにするため、光学異方性層を塗設した反対側にアンチカール層を設けることが出来る。すなわち、アンチカール層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせるものである。なお、アンチカール層は好ましくはブロッキング層を兼ねて塗設され、その場合、塗布組成物にはブロッキング防止機能を持たせるための無機微粒子及び/又は有機微粒子を含有させることができる。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、アンチカール層塗布組成物に加えることが出来る。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。
【0106】
二酸化ケイ素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R974、R202、R812、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくはAEROSIL 200V、R972V、R974、R974V、R202、R812などが挙げられる。
【0107】
これらの粒子は、体積平均粒径0.005μm〜0.1μmの粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部〜5質量部が好ましく添加される。これの微粒子の配合はフィルムのヘイズが0.6%以下、光学異方体の表裏面の間の動摩擦係数が0.5以下となるように配合することが好ましい。
【0108】
前記微粒子は樹脂を含む層として設置することができる。このような層はイソシアネート誘導体のような架橋剤を用いて強度を向上させることもできる。
【0109】
アンチカール機能の付与は、樹脂フィルム基材を溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒の混合物の他、さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0110】
《楕円偏光板の作製方法》
本発明の楕円偏光板の作製方法について説明する。
【0111】
本発明に係る楕円偏光板を作製する手順としては、支持体上に直接又は間接に光学異方性層を形成したものに対して、前記光学異方性層面に光学的二軸性を有する支持体を配置する限り特に限定されない。
【0112】
以下、本発明の楕円偏光板の作製方法の一例を図1、図2により用いて具体的に説明する。
【0113】
図1は、本発明の楕円偏光板の作製方法の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。図1(a)において、まず、支持体1bと同様の支持体1cをアルカリけん化後、偏光子1aを挟み込むようにラミネートして偏光板1を作製する。次いで、図1(b)に示すように、支持体1cの面上に粘着層2aを設ける。
【0114】
該粘着素2a上に、本発明に係る、光学異方性を有するフィルム5(シクロオレフィンポリマーを主成分として含有する層)を貼合し、次いで、配向層3、光学異方性層4を設けた後、該光学異方性層4上に粘着層2bを設けることにより、本発明の楕円偏光板6が形成される。
【0115】
因みに、楕円偏光板6の粘着層2bを液晶セル(図示していない)とが貼合されることにより本発明の液晶表示装置が得られる。
【0116】
図2は、本発明に係る楕円偏光板の作製方法の別の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。図2(a)に記載のように、まず、本発明に係る、光学異方性を有するフィルム5(シクロオレフィンポリマーを主成分として含有する層)を用意し、該フィルム5上に配向層3、光学異方性層4が設けられた構成を作製する。ここで、配向層3については、光学異方性層4を設ける前に、ラビング処理等により光学異方性層4中に含まれる液晶性化合物(図示していない)に所定の配向性を付与する操作が行われる。
【0117】
次いで、図2(b)に示すように、該フィルム5のもう一方の面に粘着層2a、光学異方性層4上に粘着層2bが各々形成され、更に、図2(c)に示すように、図1(a)に記載の偏光板1と該粘着層2bとが貼合され、本発明の楕円偏光板6が形成される。
【0118】
以下、本発明の楕円偏光板を構成している、配向層、光学異方性層、液晶性化合物等について説明する。
【0119】
《配向層》
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。
【0120】
本発明に用いられる配向層は、第二の支持体上に配置され、前記光学異方性層中の液晶性化合物を配向させ固定化するために用いられる。
【0121】
ここで、配向層を構成する材料について説明する。具体的には、以下の樹脂や基板が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、セルロースエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0122】
上記配向層を透明樹脂基板上に塗布、乾燥して層を設置した後、ラビング処理することによって配向層を得ることができる。
【0123】
液晶性化合物の配向のための配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくは弗素原子含有ポリイミド)も配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を透明樹脂基板上に塗布し、熱処理後、ラビングすることにより得られる。
【0124】
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム或いはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いてラビングを行うことにより実施される。
【0125】
なお、ラビング処理は配向層上で行うのが配向能を最大限発揮させる点で好ましいが、支持体上に直接行うことも可能である。
【0126】
《液晶性化合物》
本発明に係る液晶性化合物について説明する。
【0127】
本発明に係る液晶性化合物は、低分子液晶性化合物でもよいし、高分子液晶性化合物でもよい。光学的な特性としては、正の一軸性の棒状液晶性化合物、二軸性の液晶性化合物が好ましく用いられる。また、負の一軸性を示すものであってもよく、例えば代表的には、ディスコティック液晶性化合物を用いることもできる。二軸性の液晶化合物については、棒状の分子形態をとることができるが、ディスコティック液晶性化合物のようにやや広がりを持った円盤に近い形態のものもある。
【0128】
負の一軸性を示す液晶性化合物とは、典型的にはディスコティック液晶性化合物が挙げられ、例えば、液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),60〜72頁に記載されているような化合物であり、具体的には、前記総説の62頁に記載のような分子構造1〜46を有する液晶性化合物である。また、特許公報第2587398号明細書、同第2640083号明細書、同第2641086号明細書、同第2692033号明細書、同第2692035号明細書、同第2767382号明細書、同第2747789号明細書等に記載されているような液晶性化合物もディスコティック液晶性化合物として使用出来る。
【0129】
また、特開2002−90531号公報、同2002−182212号公報等に記載のコレステリック液晶層、コレステリック液晶性化合物等も、上記の負の一軸性を示す液晶性化合物として用いることが出来る。
【0130】
正の一軸性を示す(単に、正の一軸性を有するともいう)棒状液晶性化合物や、棒状液晶性化合物に近い光学的な特性を示す二軸性を有する化合物は、棒状液晶性化合物として扱うことができる。ここで、正の一軸性を有する(光学的に一軸性である)とは、光学異方性を有する異方性素子における三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのうち2つのみが等しい値を示し、その2つの屈折率が残る1つの軸の屈折率よりも小さいことを示し、二軸性を有するとは、三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのいずれもが各々異なる値を示す場合を表す。
【0131】
本発明に係る液晶性化合物の光学異方性(具体的には、屈折率の異方性)は、低分子液晶性化合物の場合には分子全体で規定され、高分子液晶性化合物の場合は、大別して、主鎖型液晶、側鎖型液晶があるが、いずれの場合においてもメソゲン基部分について低分子液晶性化合物に準じて規定される。
【0132】
上記記載のメソゲン基(メソゲン単位)とは、液晶性化合物中において液晶性をもたせるために必須の部分を表し、通常メソゲン基(メソゲン単位)とは剛直な部分のコア、柔軟な部分のスペーサー、末端に位置する末端基からなるが、液晶性化合物に液晶相を発現させる構造であれば必ずしも上記の3つの部分を全て有している必要はない。
【0133】
以下、正の一軸性棒状液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0134】
【化1】
【0135】
【化2】
【0136】
【化3】
【0137】
また、例えば液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),42、44頁に挙げられている化合物を用いることが出来る。また、上記記載の正の一軸性を示す棒状液晶性化合物は、TNセルに使用する通常の棒状ネマティック液晶などを好適に用いることが出来る。本発明に係る棒状の液晶性化合物としては、ネマティック液晶相を発現するものが好ましく用いられる。
【0138】
二軸性の液晶性化合物の具体例としては、例えば、有機合成化学、第49巻;第5号(1991)の124〜143頁に記載の化合物、D.W.Bruceらの研究報告〔AN EU−SPONSORED’OXFORD WORKSHOP ON BIAXIAL NEMATICS’(St Benet’s Hall、University of Oxford 20−22 December、1996)、p157−293〕、S.CHANDRASEKHAR等の研究報告〔A Thermotropic Biaxial Nematic Liquid Crystal;Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1988,Vol.165,pp.123−130〕、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕等に記載の化合物を用いることが出来る。
【0139】
本発明に係る液晶性高分子については、特に制限はないが、正または負の固有複屈折値を有するものが好ましい。これらの詳細については、「LIQUID CRYSTALS,1989,Vol.5,NO.1,pp.159−170」に記載されている。
【0140】
本発明に係る液晶性高分子は大きく分けると、前述の通りメソゲン基の組み込まれ型として、主鎖型、側鎖型がある。また、サーモトロピックとライオトロピックにも分類できる。
【0141】
本発明に係る液晶性高分子としては、特に制限はないが、ネマティック液晶を形成することが好ましい。また、配向性の点で側鎖型が好ましく、配向固定の点でサーモトロピックが好ましい。側鎖型液晶性高分子で用いられる骨格は、ビニル型のポリマ、ポリシロキサン、ポリペプチド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、セルロース等が好ましい。
【0142】
また、本発明においては、光学異方性化合物の配向状態がモノドメインもしくは0.1μm以下の複数のドメインであることが好ましいが、ここで、モノドメインとは、通常、ディスクリネーションがないことをいうが、本発明では、ディスクリネーションが発生しても、各ドメインが0.1μm以下であれば、実質的には問題ない。
【0143】
上記記載のディスクリネーションとは、光学異方性化合物が微細に配向していない部分が発生することである。ディスクリネーションがあると、コントラストが低下したり、チルト角が設計値よりも低くなる等の問題が発生しやすくなる。
【0144】
《偏向層(偏向膜ともいう)》
本発明に用いられる偏向層について説明する。
【0145】
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて作製する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当することが好ましい。
【0146】
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置について説明する。
【0147】
本発明の光学補償シートは、様々な表示モードの液晶セルに適用できる。前述したように、ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに対応するものが既に提案されている。上記のモードの中で、本発明の光学補償シートは、TN型、OCB(Optically Compensatory Bend)型、VA(Vertically Aligned)型等の液晶表示装置に好ましく用いられ、VA型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
【0148】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0149】
実施例1
《光学異方性を有するフィルム1の作製》
アートン(JSR社製)の一軸延伸フィルムからなる、面内方向のリターデーション値(R0)が50nmの支持体(膜厚50μm、位相差フィルムともいう)の片面にラビング配向膜を形成し、その配向膜面上にコレステリック液晶(大日本インキ社製、CB−15)を塗布し乾燥させて、負の一軸性(nx≒ny>nz)を示す膜厚7μmの透明な光学異方層(複屈折率層ともいう)を形成して、光学異方性を有するフィルム1を得た。このフィルム1は、異なる複屈折特性を有する2層(支持体層+液晶塗布層)からなり、光学的には二軸性を示した。
【0150】
《偏光板の作製》
ヨウ素を含有した水溶液中にて染色したポリビニルアルコールフィルムを、ホウ酸を含む水溶液中で周速の異なるロール間で一軸延伸して得た偏光フィルムの片面にポリビニルアルコール系接着剤を介して、トリアセチルセルロースフィルム(コニカタックKC8UX)を用いて両面から接着して偏光板を得た。
【0151】
《楕円偏光板1の作製》:本発明
下記に記載のアクリル系粘着剤を離型紙上に乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布、乾燥して粘着層aを作製後、前記フィルム1の一方の面に粘着層1を転写した。転写に当たり、前記フィルム1の遅相軸を偏光板の透過軸と平行になるように配置し、貼合した。
【0152】
更に同じアクリル系粘着剤を別の離型紙上に乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布、乾燥して粘着層bを作製後、同様にして、前記フィルム1のもう一方の面に粘着層2を転写し、楕円偏光板1を得た。
【0153】
(アクリル系粘着剤の形成)
アクリル酸n−ブチル92.9部、N−シクロヘキシルマレイミド7部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を入れ、酢酸エチル中にて窒素ガス雰囲気下で60℃で5時間、さらに70℃で1.5時間共重合反応を行い、固形分濃度30質量%の共重合体溶液を得た。この溶液に、当該共重合体100部あたり、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート2部を混合して分子間架橋を行い、アクリル系粘着剤を作製した。
【0154】
《楕円偏光板2、3の作製》:本発明
楕円偏光板1の作製において、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、本発明の楕円偏光板2及び3を各々作製した。
【0155】
《楕円偏光板5〜10の作製》:比較例
楕円偏光板1の作製において、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、比較の楕円偏光板5〜10を各々作製した。
【0156】
《楕円偏光板4の作製》
楕円偏光板1の作製において、光学異方性を有するフィルム1の代わりに、下記の光学異方性を有するフィルム2を用い、更に、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、本発明の楕円偏光板4を作製した。
【0157】
(光学異方性を有するフィルム2の作製)
アートン(JSR社製)の二軸延伸フィルムからなる、面内方向のリターデーション値(R0)が2nm、厚み方向のリターデーション値(Rt)が100nmの位相差フィルム(膜厚50μm)の片面にラビング配向膜を形成し、その配向膜面上に、下記に示したネマティック液晶性化合物1、2を等量(質量%)混合してクロロホルム溶解液を塗布し乾燥させてUV(紫外線)硬化させ、正の一軸性(nx>ny≒nz)を示す乾燥膜厚2μmの光学異方層(複屈折製透明層ともいう)を形成して、光学異方性を有するフィルム2を得た。このフィルム2は、異なる複屈折特性を有する2層(支持体層+液晶塗布層)からなり、光学的には二軸性を示した。
【0158】
【化4】
【0159】
得られた本発明の楕円偏光板1〜4、比較の楕円偏光板5〜10の各々の耐久性(高温低湿下、高温高湿下での耐久性)については、各偏光板を下記の液晶表示装置に組み込んだ実施形態である、下記の液晶表示装置1〜10を作製し、評価した。
【0160】
《液晶表示装置1の作製》
本発明の楕円偏光板1を2枚用意し、各々の粘着層bをI/Oデータ社製19インチVA型モニター(LCD−AD19H)に搭載されている液晶セルのガラス基板面(両面)に上記粘着層bを介して貼合し、配置することにより、液晶表示装置1を作製した。
【0161】
《液晶表示装置2〜10の作製》
液晶表示装置の作製において、楕円偏光板1の代わりに表1に記載の楕円偏光板を用いた以外は同様にして、液晶表示装置2〜10を各々作製した。
【0162】
得られた液晶表示装置1〜10の各々を下記条件下にて経時保存後、下記のようにして耐久性を評価した。
【0163】
《耐久性試験》
上記で作製した液晶表示装置1〜10を各々80℃ドライ、500時間処理、60℃、90%RH、500時間で処理した後、目視により表示品質(光漏れ、ムラの発生)を暗室中にて比較し、下記のようにランク評価した。
【0164】
○:ムラ発生無し、光漏れ無し
△:微小なムラあり、光漏れ無し
×:明らかなムラ発生有り、光漏れ有り
本発明では、○、△が実用可、×は実用不可である。
【0165】
得られた結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
表1から、比較に比べて本発明の試料は、耐久性に優れていることが明らかである。
【0168】
【発明の効果】
本発明により、高温低湿条件下、高温高湿条件下での耐久性に優れている楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の楕円偏光板の作製方法の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る楕円偏光板の作製方法の別の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。
【符号の説明】
1a 偏光子
1b、1c 支持体
2a、2b 粘着層
3 配向層
4 光学異方性層
5 光学異方性を有するフィルム
6 楕円偏光板
【発明の属する技術分野】
本発明は、楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在では、パーソナルコンピュータのマルチメディア化が進み、液晶ディスプレイは大型化と同時に表示品質に優れるTFT液晶が主流となり、視野角特性の高度な改善が求められている。
【0003】
その目的のためにTFT型液晶の表示モードとして、従来のTN型のみならず横電界方式(IPS)、垂直配向方式(VA)等が提案され実用化されている。
【0004】
更に、動画表示に優れる高速駆動が可能なベンド配向方式(OCB)も実用化が進みつつある。IPS方式を除くこれらの表示方式は、視野角特性に一長一短ありいずれも光学補償シート(以下、光学補償フィルムともいう)を用いることにより大幅に視野角特性を改善することが可能である。
【0005】
前記光学補償シートとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献1、2、3及び4参照。)、IPS(In−Plane Switching)モードまたはFLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献5参照。)、OCB(Optically Compensatory Bend)モードまたはHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献6及び7参照。)、STN(Super Twisted Nematic)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献8参照。)、そして、VA(Vertically Aligned)モードの液晶セル用光学補償シート(例えば、特許文献9参照。)等に記載がある。
【0006】
ところが、最近では、偏光板と光学補償フィルムとの積層時、加熱収縮時に生じる応力(歪み)により窓枠状ムラや輝度ムラが大きくなるという問題点が発生している。
【0007】
上記の加熱収縮のような熱履歴による窓枠状ムラ、輝度ムラの抑止技術として、従来、偏光板の片面または両面に、90℃における1000%モジュラスが6g/mm2以下の粘着層を設けて、液晶セルに接着させることにより広視野角偏光板を得る技術(例えば、特許文献10参照。)や、偏光層を光学補償フィルム上に直接積層し、且つ、液晶パネルのガラス基板貼着面に粘着層を設ける技術が知られている(例えば、特許文献11参照。)。
【0008】
しかしながら、上記の技術では、加熱収縮時に生じる偏光板や光学補償フィルムの寸法変動への対応は未だ満足すべきレベルには到達していないのが現状である。
【0009】
また、近年、液晶表示装置(液晶表示パネル)の大型化が進行しているが、このような大型パネルでは特に加熱収縮時の寸法変動により液晶パネルの四隅に白抜け(光が透過する現象を示す)現象が更に起こりやすいという新たな問題点が見いだされ、いずれの問題点も解決が嘱望されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−214116号公報
【0011】
【特許文献2】
米国特許第5583679号明細書
【0012】
【特許文献3】
米国特許第5646703号明細書
【0013】
【特許文献4】
独国特許出願公開第3911620A1号明細書
【0014】
【特許文献5】
特開平10−54982号公報
【0015】
【特許文献6】
米国特許第5805253号明細書
【0016】
【特許文献7】
国際公開第96/37804号パンフレット
【0017】
【特許文献8】
特開平9−26572号公報
【0018】
【特許文献9】
特許第2866372号明細書
【0019】
【特許文献10】
特開2000−321992号公報
【0020】
【特許文献11】
特開2002−214438号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温低湿条件下、高温高湿条件下での耐久性に優れている楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成1〜9により達成された。
【0023】
1.少なくとも、偏光板及び光学異方性を有するフィルムとを有する楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該フィルムの一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記フィルムの、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は0.1〜0.7の範囲に調整され、前記フィルムが、10μm〜50μmの膜厚を有し、且つ、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有することを特徴とする楕円偏光板。
【0024】
2.前記偏光板がポリビニルアルコール含有層を含み、該偏光板上に直接またはその他の層を介して粘着層aが設けられていることを特徴とする前記1に記載の楕円偏光板。
【0025】
3.前記偏光板がポリビニルアルコール層からなり、且つ、該ポリビニルアルコール層上に粘着層aが設けられていることを特徴とする前記1に記載の楕円偏光板。
【0026】
4.前記フィルムが光学異方性を有するフィルムであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0027】
5.前記粘着層a、bの各々の膜厚が、1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0028】
6.前記粘着層a、bの各々の粘着力が、5N/25mm〜8N/25mmの範囲であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
【0029】
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接または、その他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程、次いで、前記フィルムのもう一方の面上に直接またはその他の層Bを介して粘着層bを設ける工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
【0030】
8.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの、一方の面上に、直接または、その他の層Bを介して粘着層bを設ける工程、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接またはその他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、次いで、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
【0031】
9.前記1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板または前記7または8に記載の作製方法で作製された楕円偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を種々検討した結果、請求項1に記載のように、少なくとも、偏光板及び光学異方性を有するフィルムを有する楕円偏光板において、少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該支持体の一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記支持体の、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介してに設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は、0.1〜0.7の範囲に調整され、前記支持体が、10μm〜50μmの膜厚を有するシクロオレフィンポリマー含有層である楕円偏光板が、本発明に記載の効果、即ち、加熱収縮条件下での寸法安定性が良好であり、光学特性(面内リターデーション(R0)、厚み方向のリターデーション(Rt))の経時変動が少ない楕円偏光板が得られることを見いだした。
【0033】
《楕円偏光板》
本発明の楕円偏光板について説明する。
【0034】
本発明の楕円偏光板は、積層された構成を有し、少なくとも偏光板及び光学異方性を有するフィルムを有することが必要条件であるが、典型的な例としては、第一の支持体(通常、セルローストリアセテートフィルム)−偏光子−第二の支持体(通常、セルロースエステルフィルム)−光学異方性層(液晶性化合物の配向を特定の方向に固定化し形成された層)−光学異方性を有するフィルム(例えば、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルム等)という形態をとり、第2の支持体の上に直接又は間接的に光学異方性層を形成させた後、前記光学異方性層上に光学異方性を有するフィルムを配置することにより形成される。
【0035】
但し、請求項1に記載のように、後述する粘着層aは偏光板と光学異方性を有するフィルムの一方の面との間に設けられ、粘着層bは、光学異方性を有するフィルムの、液晶セルとの貼合面として使用される、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられる。
【0036】
《粘着層a、b》
本発明の楕円偏光板に係る粘着層a、bの各々について説明する。
【0037】
本発明に係る粘着層bの膜厚は20μm以下であり、且つ、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は、0.1〜0.7の範囲に調整されることが必須の要件であるが、粘着層bの膜厚は1μm〜10μmの範囲が好ましく、また、前記膜厚比(a/b)は、0.3〜0.7の範囲が好ましい。
【0038】
(粘着層の構成部材)
本発明に係る粘着層a、bの構成部材としては、各々公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が好ましく、特に好ましく用いられるのは、アクリル系粘着剤である。また、本発明に係る粘着剤は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、劣化防止剤、充填剤、架橋剤などの組成物として構成されることが好ましい。
【0039】
エラストマーとしては、上記の各粘着剤の種類に従って、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、SBR、ブロックコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリアクリル酸エステル共重合体、シリコーンゴム等が好ましい。
【0040】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン、水添ロジンエステル、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂還族系水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が好ましい。
【0041】
軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ひまし油、トール油等が好ましい。
【0042】
劣化防止剤としては、例えば、芳香族アミン誘導体、フェノール誘導体、有機チオ酸塩等が好ましい材料として挙げられる。
【0043】
充填剤としては、例えば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー、顔料、カーボンブラック等が好ましい。充填剤が含有される場合は、本発明の楕円偏光板の全光線透過率に大きく影響を与えない範囲で使用される。
【0044】
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が好ましく使用される。天然ゴム及びカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤としては、ポリイソシアネート類が好ましく使用される。
【0045】
ブチルゴム及び天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤としては、ポリアルキルフェノール樹脂類が好ましい。
【0046】
ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及び天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等があり、非汚染性の粘着剤を得るために好ましく用いられる。
【0047】
また、架橋助剤としては、多官能メタクリルエステル類を使用することが好ましい。その他、紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤を形成してもよい。
【0048】
粘着層の形成は、フィルムの他方の表面に粘着剤を塗布する方法により行われる。塗布方法としては、当該業者公知の方法が適用可能である。
【0049】
(粘着層の粘着力)
本発明に係る粘着層の粘着力(偏光板、光学異方性を有するフィルム、光学異方性を有するフィルム、その他の層等との粘着力を示す)としては、5N/25mm〜8N/25mmの範囲にするのが好ましい。ここで、粘着層の粘着力を前記の範囲に調整する為には、軟化剤、粘着付与剤、架橋剤等の量変化により所望の粘着力を示す粘着層を得ることが出来る。
【0050】
ここで、本発明に係る粘着層の粘着力(接着強度、剥離強度等ともいう)は、JIS Z0237に規定の方法に準じて測定することが出来る。
【0051】
また、本発明に用いられる粘着剤の構成部材としては、特開2001−323238号公報に記載の粘着剤も本発明に係る粘着層の構成部材として使用可能である。
【0052】
以下、各々の構成部材について説明する。
《光学異方性を有するフィルム》
本発明に係る光学異方性を有するフィルム(光学異方性を有する支持体ともいう)について説明する。
【0053】
本発明に係る光学異方性を有するフィルムとしては、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルムであることが必須の発明要件であるが、前記フィルムに付与される光学異方性(複屈折性ともいう)としては、Cプレート(Cプレート補償能)、Aプレート(Aプレート補償能)、二軸プレート(二軸プレート補償能)、Oプレート(Oプレート補償能)等の機能が好ましく、中でも好ましく用いられるのは、二軸プレート(二軸プレート補償能)である。
【0054】
ここで、二軸プレートとは、具体的には、光学的二軸性を有するフィルムであり、光学的二軸性は、例えば、フィルム作製時の延伸処理時の延伸倍率の調整によりフィルムに付与される光学的な異方性である。また、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するとは、前記フィルムの全構成成分の全質量の50質量%以上を前記シクロオレフィンポリマーが占めることを意味する。
【0055】
次に、光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動を説明する。
《光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動》
本発明に係る、光学異方性を有するフィルムの複屈折挙動である、Cプレート(Cプレート補償能)、Aプレート(Aプレート補償能)、二軸プレート(二軸プレート補償能)、Oプレート(Oプレート補償能)の各々について説明する。
【0056】
《Cプレート》
Cプレートの光学異方性について説明する。
【0057】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx=ny>nz
Cプレートの面内方向のリターデーション特性、R0=0である。
【0058】
Cプレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、ディスコティック液晶、無延伸のセルロースエステルフィルム(例えば、無延伸のセルローストリアセテート(TAC)、無延伸のセルロースアセテートプロピオネート(CAP)等)、二軸延伸したノルボルネン系樹脂(但し、nx=nyになるように二軸延伸される)等が挙げられる。
【0059】
《Aプレート》
Aプレートの光学異方性について説明する。
【0060】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx>ny=nz
Aプレートの面内方向のリターデーション特性、R0は、ほぼ2×Rtを示す。
【0061】
Aプレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、棒状液晶性化合物、1軸延伸ポリマー(例えば、ポリカーボネート等)が挙げられる。
【0062】
《二軸プレート》
二軸プレートの光学異方性について説明する。
【0063】
層の屈折率を構成する各成分nx、ny、nzの関係を下記に示す。
nx>ny>nz
二軸プレートの面内方向のリターデーション値と厚み方向のリターデーション値は各々異なる値を示す。
【0064】
二軸プレート特性を示す材料(光学材料、樹脂フィルム等)としては、延伸セルロースエステル(例えば、延伸セルロースアセテートプロピオネート(延伸CAP)、セルローストリアセテート(延伸TAC)等)、二軸延伸処理したノルボルネン系樹脂(但し、nx>nyとなるように延伸処理される)等が挙げられる。
【0065】
《Oプレート》
Oプレートは、主光学軸をディスプレイの平面に関し実質的に斜角(oblique angle)で配向して、正の複屈折物質を利用する(そのため「Oプレート」と呼ぶ)。
【0066】
ここで、「実質的に斜角」とは、角度が0°よりも大きく、90°より小さいことを示す。
【0067】
本発明に係るOプレートは、さらに、一軸性または二軸性物質を有するOプレートを利用できる。
【0068】
本発明に係るシクロオレフィンポリマーとしては、ZEONEX(ゼオネックス:日本ゼオン製)、ZEONER(ゼオノア:日本ゼオン製)、ARTON(JSR(株)製)、APEL(三井石油化学製)等のオレフィン系透明プラスチックが挙げられる。
【0069】
本発明に係る、光学異方性を有するフィルムの主成分はシクロオレフィンポリマーであるが、フィルム形成に支障がない範囲内で、その他の合成ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の材料を併用してもよい。
【0070】
上記のような光学異方性を、本発明に係る、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有するフィルム(支持体)や上記の合成ポリマーの各々に付与する手段としては、種々挙げられるが、製膜時の延伸処理時の延伸方向、延伸倍率等の調整により所定の光学異方性を有するフィルムを得ることが出来る。
【0071】
《リターデーション特性(R0、Rt)、透過率》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの面内リターデーション(R0)は20nm以上が好ましく、30nm以上がさらに好ましい。また、厚み方向のリターデーション(Rt)は、50nm以上が好ましく、更に好ましくは、100nm以上である。また、前記フィルムの光透過性としては、光透過率が80%以上であることが好ましい。
【0072】
《リターデーション(R0、Rt)の分布》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムは、面内方向のリターデーション値(R0)の分布は、5%以下であることが好ましく、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーション(Rt)分布は、10%以下が好ましく、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。
【0073】
上記、リターデーション(R0、Rt)分布の数値は、得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。リターデーション、その分布の数値の測定方法については後述する。
【0074】
《リターデーション特性》
ここで、R0(フィルムの面内方向のリターデーション値)及びRt(フィルムの厚み方向のリターデーション値)は、下記式(a)、(b)で定義される。
【0075】
(a)R0=(nx−ny)×d
(b)Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
式中、nxは面内での最大屈折率方向であるx方向の屈折率、nyはx方向に面内で直交する方向であるy方向の屈折率である。nzは厚み方向の屈折率、dは厚み(nm)である。
【0076】
《光学異方性を有するフィルムの配置方法》
次に、光学異方性を有するフィルムの配置方法について説明する。光学異方性を有するフィルムの一方の面上には、上記の粘着層aを介して、本発明に係る偏光板または偏光子と貼合される。貼合を行うにあたり、粘着層aを偏光板または偏光子上に最初にもうけてもよいし、前記フィルム上に最初に設けても良い。
【0077】
次に、前記フィルムのもう一方の面は、液晶セルとの貼合に用いられる面であり、前記面上に直接またはその他の層(例えば、配向層、樹脂フィルム、光学異方性層等)を介して、上記の粘着層bが設けられる。
【0078】
《光学異方性を有するフィルムの作製方法》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの作製方法、特に、前記フィルムの主成分として用いられるシクロオレフィンポリマーの作製について説明する。
【0079】
本発明に係る、シクロオレフィンポリマーの具体例として記載した、上記のZEONEX(ゼオネックス:日本ゼオン製)、ZEONER(ゼオノア:日本ゼオン製)、ARTON(JSR(株)製)、APEL(三井石油化学製)等は、一般的にノルボルネン系樹脂というカテゴリに入る樹脂である。
【0080】
ノルボルネン系樹脂としては、従来公知の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が好適に使用され、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの付加型重合体、これら重合体の変性物等が挙げられる。
【0081】
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2.3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0082】
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、小さくなると耐湿性が低下し、大きくなるとフィルム成形性が低下するので、GPC(ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフ:トルエン溶媒使用)で測定して、25,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜80,000の範囲である。
【0083】
《光学異方性を有するフィルムの成形方法》
本発明に係る光学異方性を有するフィルムは、シクロオレフィンポリマーとして上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と必要に応じて各種成分とをフィルム成形して得ることが好ましい。ここで、光学異方性が付与されたフィルムの作製方法としては、従来公知の方法が適用可能であり、例えば、溶液流延法、溶融成形法等が挙げられる。
【0084】
(溶液流延法)
溶液流延法は、常法にしたがって行うことができ、例えば、各成分を溶媒に溶解または微分散させた液状組成物を、適当なキャリヤー(支持体)上に流延し、次いで、溶媒を乾燥除去することで行うことができる。キャリヤーとしては、格別な制限はなく、一般的な溶液流延法で用いられるものが使用され、例えば、ガラス板、金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム、PVCフィルム、フッ素樹脂ベルト、金属箔などの平板、ベルトまたはロールなどを挙げることができる。
【0085】
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;メチルエチルケトンなどのケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレンなどのハロゲン化溶媒;など用いることができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0086】
溶媒中の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の濃度は、作製するフィルム厚に応じて適宜選択されるが、通常0.1質量%〜60質量%、好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜45質量%の範囲である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂濃度がこの範囲にある時に、フィルムの厚さの調整が容易でかつ製膜性にも優れ好適である。
【0087】
液状組成物をキャリヤー上に流延する方法としては、特に限定されず、例えば、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて行うことができる。液状組成物の流延は、スプレー、ハケ、ロール、スピンコート、デッピングなどで塗布することにより行ってもよい。1回の塗布で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗布することができる。
【0088】
溶媒の乾燥除去法には、格別な制限はなく、常法に従ってできるが、残留溶媒濃度が5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下にするには、通常、2段階以上に分けて乾燥させる。まず、第1段階の乾燥としては、平板またはロール上のフィルムを室温〜100℃、好ましくは室温〜80℃の温度範囲で、残留溶媒温度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるまで乾燥する。この場合、乾燥温度が高すぎると、溶媒の揮発に際し、フィルムが発泡する。次いで、平板またはロールからフィルムを剥離し、第2段階の乾燥として、室温から60℃以上、好ましくは70℃から樹脂のガラス転移温度(Tg)までの温度範囲に昇温させ、残留溶媒濃度が2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下になるまで乾燥する。
【0089】
乾燥温度が低すぎると乾燥が進まず、温度が高すぎると発泡しやすくなる。第1段階の乾燥を行い、乾燥終了後にシートを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行っても、あるいは第1段階の乾燥後、一旦冷却してシートを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行ってもよい。溶媒の乾燥は、必要に応じて、減圧で行うことができる。
【0090】
(溶融成形法)
溶融成形法でフィルム(支持体、シート等ともいう)を作製する場合は、Tダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押出法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などがある。中でも、厚さムラが小さく、10μm〜500μm程度の厚さに加工し易く、かつ、レターデーションの絶対値及びそのバラツキを小さくできるTダイを用いた溶融押出法が好ましい。
【0091】
溶融成形法の条件は、同程度のTgを有する光学材料に用いられる一般的な条件と同様であり、例えば、Tダイを用いる溶融押出法では、樹脂温度240℃〜300℃程度で、引き取りロールの温度を100℃〜150℃程度の比較的高温として、樹脂シートを徐冷できる条件を選択することが好ましい。
【0092】
ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、ダイには滞留部が極力少なくなるような構造が必要であり、ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。かくして得られるフィルムの厚さは、通常0.5μm〜5mm、好ましくは1μm〜2mm、さらに好ましくは5μm〜0.5mmの範囲である。高分子フィルムの厚さがこの範囲である時に、溶媒乾燥が容易となり、しかもフィルムの外観性にも優れ好適である。
【0093】
本発明の作製方法で、作製されるフィルムを偏光フィルムの保護フィルムと使用する場合は、そのフィルム厚さを、通常5μm〜500μm、好ましくは10μm〜150μm、さらに好ましくは20μm〜100μmの範囲するのが、機械適強度、透明性、複屈折性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0094】
また、フィルムの厚みムラも、通常、全面において平均厚さの±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±2%以内であるものが、画像の歪みやレターデーションのバラツキが少なく、液晶ディスプレイ用偏光フィルムの保護層として好適である。
【0095】
(延伸処理)
本発明に係る光学異方性を有するフィルム(光学異方性を有する支持体ともいう)の作製を、溶液流延法、溶融成形法のどちらで行うにせよ、製膜時または製膜後のいずれでもよいが、下記に記載の延伸処理を行うことが好ましい。
【0096】
フィルム作製時の好ましい延伸倍率としては、一方向の延伸倍率が1.01〜3.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.5倍に延伸製膜されたものであり、より好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.50倍に延伸されたものが好ましく、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.50〜2.00倍に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.70〜1.50倍未満に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜3.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.80〜1.25倍未満に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜2.50倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.80〜1.25倍未満に延伸されたものであり、最も好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜2.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が0.85〜1.10倍未満に延伸されたものである。これにより、光学的等方性に優れたフィルムを好ましく得ることができる。
【0097】
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターを用いてもよく、クリップテンターを用いても良い。
【0098】
フィルムを延伸する方法には特に限定はない。例えば、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンを横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法、幅手方向に広げて搬送方向に収縮させる方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。TDに延伸し、MDに収縮させることは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを変化させ、フィルムの光学異方性を所定の範囲に入れるために有効な方法である。
【0099】
延伸処理がテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことで、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
【0100】
得られたフィルムは、最終仕上がりフィルムの残留溶媒量で2質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.4質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。
【0101】
《光学異方性を有するフィルムの膜厚分布》
光学異方性を有するフィルムの膜厚分布は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。
【0102】
《光学異方性を有するフィルム中の添加剤》
光学異方性を有するフィルムの作製時には、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤などの添加剤を加えてもよい。
【0103】
本発明に係る光学異方性を有するフィルムの作製においては、作製時のドープや溶融している材料中に、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることがこのましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子は、2次粒子の平均粒径が0.01μm〜1.0μm、含有量が、セルロースエステルに対して0.005質量%〜0.3質量%が好ましい。
【0104】
二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径は、後述のアンチカール処理に用いる微粒子と同じものが用いられる。
【0105】
《カール防止》
光学異方性を有するフィルムは、フィルム内に多少の応力ひずみが残存してしまう場合はカールしてしまうことがある。従ってカールを防止することにより、カールによる不都合を解消し、光学異方体としての機能を損なわないようにするため、光学異方性層を塗設した反対側にアンチカール層を設けることが出来る。すなわち、アンチカール層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせるものである。なお、アンチカール層は好ましくはブロッキング層を兼ねて塗設され、その場合、塗布組成物にはブロッキング防止機能を持たせるための無機微粒子及び/又は有機微粒子を含有させることができる。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、アンチカール層塗布組成物に加えることが出来る。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。
【0106】
二酸化ケイ素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R974、R202、R812、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくはAEROSIL 200V、R972V、R974、R974V、R202、R812などが挙げられる。
【0107】
これらの粒子は、体積平均粒径0.005μm〜0.1μmの粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部〜5質量部が好ましく添加される。これの微粒子の配合はフィルムのヘイズが0.6%以下、光学異方体の表裏面の間の動摩擦係数が0.5以下となるように配合することが好ましい。
【0108】
前記微粒子は樹脂を含む層として設置することができる。このような層はイソシアネート誘導体のような架橋剤を用いて強度を向上させることもできる。
【0109】
アンチカール機能の付与は、樹脂フィルム基材を溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒の混合物の他、さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0110】
《楕円偏光板の作製方法》
本発明の楕円偏光板の作製方法について説明する。
【0111】
本発明に係る楕円偏光板を作製する手順としては、支持体上に直接又は間接に光学異方性層を形成したものに対して、前記光学異方性層面に光学的二軸性を有する支持体を配置する限り特に限定されない。
【0112】
以下、本発明の楕円偏光板の作製方法の一例を図1、図2により用いて具体的に説明する。
【0113】
図1は、本発明の楕円偏光板の作製方法の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。図1(a)において、まず、支持体1bと同様の支持体1cをアルカリけん化後、偏光子1aを挟み込むようにラミネートして偏光板1を作製する。次いで、図1(b)に示すように、支持体1cの面上に粘着層2aを設ける。
【0114】
該粘着素2a上に、本発明に係る、光学異方性を有するフィルム5(シクロオレフィンポリマーを主成分として含有する層)を貼合し、次いで、配向層3、光学異方性層4を設けた後、該光学異方性層4上に粘着層2bを設けることにより、本発明の楕円偏光板6が形成される。
【0115】
因みに、楕円偏光板6の粘着層2bを液晶セル(図示していない)とが貼合されることにより本発明の液晶表示装置が得られる。
【0116】
図2は、本発明に係る楕円偏光板の作製方法の別の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。図2(a)に記載のように、まず、本発明に係る、光学異方性を有するフィルム5(シクロオレフィンポリマーを主成分として含有する層)を用意し、該フィルム5上に配向層3、光学異方性層4が設けられた構成を作製する。ここで、配向層3については、光学異方性層4を設ける前に、ラビング処理等により光学異方性層4中に含まれる液晶性化合物(図示していない)に所定の配向性を付与する操作が行われる。
【0117】
次いで、図2(b)に示すように、該フィルム5のもう一方の面に粘着層2a、光学異方性層4上に粘着層2bが各々形成され、更に、図2(c)に示すように、図1(a)に記載の偏光板1と該粘着層2bとが貼合され、本発明の楕円偏光板6が形成される。
【0118】
以下、本発明の楕円偏光板を構成している、配向層、光学異方性層、液晶性化合物等について説明する。
【0119】
《配向層》
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。
【0120】
本発明に用いられる配向層は、第二の支持体上に配置され、前記光学異方性層中の液晶性化合物を配向させ固定化するために用いられる。
【0121】
ここで、配向層を構成する材料について説明する。具体的には、以下の樹脂や基板が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、セルロースエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0122】
上記配向層を透明樹脂基板上に塗布、乾燥して層を設置した後、ラビング処理することによって配向層を得ることができる。
【0123】
液晶性化合物の配向のための配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくは弗素原子含有ポリイミド)も配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を透明樹脂基板上に塗布し、熱処理後、ラビングすることにより得られる。
【0124】
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム或いはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いてラビングを行うことにより実施される。
【0125】
なお、ラビング処理は配向層上で行うのが配向能を最大限発揮させる点で好ましいが、支持体上に直接行うことも可能である。
【0126】
《液晶性化合物》
本発明に係る液晶性化合物について説明する。
【0127】
本発明に係る液晶性化合物は、低分子液晶性化合物でもよいし、高分子液晶性化合物でもよい。光学的な特性としては、正の一軸性の棒状液晶性化合物、二軸性の液晶性化合物が好ましく用いられる。また、負の一軸性を示すものであってもよく、例えば代表的には、ディスコティック液晶性化合物を用いることもできる。二軸性の液晶化合物については、棒状の分子形態をとることができるが、ディスコティック液晶性化合物のようにやや広がりを持った円盤に近い形態のものもある。
【0128】
負の一軸性を示す液晶性化合物とは、典型的にはディスコティック液晶性化合物が挙げられ、例えば、液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),60〜72頁に記載されているような化合物であり、具体的には、前記総説の62頁に記載のような分子構造1〜46を有する液晶性化合物である。また、特許公報第2587398号明細書、同第2640083号明細書、同第2641086号明細書、同第2692033号明細書、同第2692035号明細書、同第2767382号明細書、同第2747789号明細書等に記載されているような液晶性化合物もディスコティック液晶性化合物として使用出来る。
【0129】
また、特開2002−90531号公報、同2002−182212号公報等に記載のコレステリック液晶層、コレステリック液晶性化合物等も、上記の負の一軸性を示す液晶性化合物として用いることが出来る。
【0130】
正の一軸性を示す(単に、正の一軸性を有するともいう)棒状液晶性化合物や、棒状液晶性化合物に近い光学的な特性を示す二軸性を有する化合物は、棒状液晶性化合物として扱うことができる。ここで、正の一軸性を有する(光学的に一軸性である)とは、光学異方性を有する異方性素子における三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのうち2つのみが等しい値を示し、その2つの屈折率が残る1つの軸の屈折率よりも小さいことを示し、二軸性を有するとは、三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのいずれもが各々異なる値を示す場合を表す。
【0131】
本発明に係る液晶性化合物の光学異方性(具体的には、屈折率の異方性)は、低分子液晶性化合物の場合には分子全体で規定され、高分子液晶性化合物の場合は、大別して、主鎖型液晶、側鎖型液晶があるが、いずれの場合においてもメソゲン基部分について低分子液晶性化合物に準じて規定される。
【0132】
上記記載のメソゲン基(メソゲン単位)とは、液晶性化合物中において液晶性をもたせるために必須の部分を表し、通常メソゲン基(メソゲン単位)とは剛直な部分のコア、柔軟な部分のスペーサー、末端に位置する末端基からなるが、液晶性化合物に液晶相を発現させる構造であれば必ずしも上記の3つの部分を全て有している必要はない。
【0133】
以下、正の一軸性棒状液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0134】
【化1】
【0135】
【化2】
【0136】
【化3】
【0137】
また、例えば液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),42、44頁に挙げられている化合物を用いることが出来る。また、上記記載の正の一軸性を示す棒状液晶性化合物は、TNセルに使用する通常の棒状ネマティック液晶などを好適に用いることが出来る。本発明に係る棒状の液晶性化合物としては、ネマティック液晶相を発現するものが好ましく用いられる。
【0138】
二軸性の液晶性化合物の具体例としては、例えば、有機合成化学、第49巻;第5号(1991)の124〜143頁に記載の化合物、D.W.Bruceらの研究報告〔AN EU−SPONSORED’OXFORD WORKSHOP ON BIAXIAL NEMATICS’(St Benet’s Hall、University of Oxford 20−22 December、1996)、p157−293〕、S.CHANDRASEKHAR等の研究報告〔A Thermotropic Biaxial Nematic Liquid Crystal;Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1988,Vol.165,pp.123−130〕、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕等に記載の化合物を用いることが出来る。
【0139】
本発明に係る液晶性高分子については、特に制限はないが、正または負の固有複屈折値を有するものが好ましい。これらの詳細については、「LIQUID CRYSTALS,1989,Vol.5,NO.1,pp.159−170」に記載されている。
【0140】
本発明に係る液晶性高分子は大きく分けると、前述の通りメソゲン基の組み込まれ型として、主鎖型、側鎖型がある。また、サーモトロピックとライオトロピックにも分類できる。
【0141】
本発明に係る液晶性高分子としては、特に制限はないが、ネマティック液晶を形成することが好ましい。また、配向性の点で側鎖型が好ましく、配向固定の点でサーモトロピックが好ましい。側鎖型液晶性高分子で用いられる骨格は、ビニル型のポリマ、ポリシロキサン、ポリペプチド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、セルロース等が好ましい。
【0142】
また、本発明においては、光学異方性化合物の配向状態がモノドメインもしくは0.1μm以下の複数のドメインであることが好ましいが、ここで、モノドメインとは、通常、ディスクリネーションがないことをいうが、本発明では、ディスクリネーションが発生しても、各ドメインが0.1μm以下であれば、実質的には問題ない。
【0143】
上記記載のディスクリネーションとは、光学異方性化合物が微細に配向していない部分が発生することである。ディスクリネーションがあると、コントラストが低下したり、チルト角が設計値よりも低くなる等の問題が発生しやすくなる。
【0144】
《偏向層(偏向膜ともいう)》
本発明に用いられる偏向層について説明する。
【0145】
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて作製する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当することが好ましい。
【0146】
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置について説明する。
【0147】
本発明の光学補償シートは、様々な表示モードの液晶セルに適用できる。前述したように、ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに対応するものが既に提案されている。上記のモードの中で、本発明の光学補償シートは、TN型、OCB(Optically Compensatory Bend)型、VA(Vertically Aligned)型等の液晶表示装置に好ましく用いられ、VA型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
【0148】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0149】
実施例1
《光学異方性を有するフィルム1の作製》
アートン(JSR社製)の一軸延伸フィルムからなる、面内方向のリターデーション値(R0)が50nmの支持体(膜厚50μm、位相差フィルムともいう)の片面にラビング配向膜を形成し、その配向膜面上にコレステリック液晶(大日本インキ社製、CB−15)を塗布し乾燥させて、負の一軸性(nx≒ny>nz)を示す膜厚7μmの透明な光学異方層(複屈折率層ともいう)を形成して、光学異方性を有するフィルム1を得た。このフィルム1は、異なる複屈折特性を有する2層(支持体層+液晶塗布層)からなり、光学的には二軸性を示した。
【0150】
《偏光板の作製》
ヨウ素を含有した水溶液中にて染色したポリビニルアルコールフィルムを、ホウ酸を含む水溶液中で周速の異なるロール間で一軸延伸して得た偏光フィルムの片面にポリビニルアルコール系接着剤を介して、トリアセチルセルロースフィルム(コニカタックKC8UX)を用いて両面から接着して偏光板を得た。
【0151】
《楕円偏光板1の作製》:本発明
下記に記載のアクリル系粘着剤を離型紙上に乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布、乾燥して粘着層aを作製後、前記フィルム1の一方の面に粘着層1を転写した。転写に当たり、前記フィルム1の遅相軸を偏光板の透過軸と平行になるように配置し、貼合した。
【0152】
更に同じアクリル系粘着剤を別の離型紙上に乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布、乾燥して粘着層bを作製後、同様にして、前記フィルム1のもう一方の面に粘着層2を転写し、楕円偏光板1を得た。
【0153】
(アクリル系粘着剤の形成)
アクリル酸n−ブチル92.9部、N−シクロヘキシルマレイミド7部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を入れ、酢酸エチル中にて窒素ガス雰囲気下で60℃で5時間、さらに70℃で1.5時間共重合反応を行い、固形分濃度30質量%の共重合体溶液を得た。この溶液に、当該共重合体100部あたり、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート2部を混合して分子間架橋を行い、アクリル系粘着剤を作製した。
【0154】
《楕円偏光板2、3の作製》:本発明
楕円偏光板1の作製において、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、本発明の楕円偏光板2及び3を各々作製した。
【0155】
《楕円偏光板5〜10の作製》:比較例
楕円偏光板1の作製において、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、比較の楕円偏光板5〜10を各々作製した。
【0156】
《楕円偏光板4の作製》
楕円偏光板1の作製において、光学異方性を有するフィルム1の代わりに、下記の光学異方性を有するフィルム2を用い、更に、粘着層a、bの乾燥後の膜厚を各々表1記載のように変更した以外は、楕円偏光板1と同様にして、本発明の楕円偏光板4を作製した。
【0157】
(光学異方性を有するフィルム2の作製)
アートン(JSR社製)の二軸延伸フィルムからなる、面内方向のリターデーション値(R0)が2nm、厚み方向のリターデーション値(Rt)が100nmの位相差フィルム(膜厚50μm)の片面にラビング配向膜を形成し、その配向膜面上に、下記に示したネマティック液晶性化合物1、2を等量(質量%)混合してクロロホルム溶解液を塗布し乾燥させてUV(紫外線)硬化させ、正の一軸性(nx>ny≒nz)を示す乾燥膜厚2μmの光学異方層(複屈折製透明層ともいう)を形成して、光学異方性を有するフィルム2を得た。このフィルム2は、異なる複屈折特性を有する2層(支持体層+液晶塗布層)からなり、光学的には二軸性を示した。
【0158】
【化4】
【0159】
得られた本発明の楕円偏光板1〜4、比較の楕円偏光板5〜10の各々の耐久性(高温低湿下、高温高湿下での耐久性)については、各偏光板を下記の液晶表示装置に組み込んだ実施形態である、下記の液晶表示装置1〜10を作製し、評価した。
【0160】
《液晶表示装置1の作製》
本発明の楕円偏光板1を2枚用意し、各々の粘着層bをI/Oデータ社製19インチVA型モニター(LCD−AD19H)に搭載されている液晶セルのガラス基板面(両面)に上記粘着層bを介して貼合し、配置することにより、液晶表示装置1を作製した。
【0161】
《液晶表示装置2〜10の作製》
液晶表示装置の作製において、楕円偏光板1の代わりに表1に記載の楕円偏光板を用いた以外は同様にして、液晶表示装置2〜10を各々作製した。
【0162】
得られた液晶表示装置1〜10の各々を下記条件下にて経時保存後、下記のようにして耐久性を評価した。
【0163】
《耐久性試験》
上記で作製した液晶表示装置1〜10を各々80℃ドライ、500時間処理、60℃、90%RH、500時間で処理した後、目視により表示品質(光漏れ、ムラの発生)を暗室中にて比較し、下記のようにランク評価した。
【0164】
○:ムラ発生無し、光漏れ無し
△:微小なムラあり、光漏れ無し
×:明らかなムラ発生有り、光漏れ有り
本発明では、○、△が実用可、×は実用不可である。
【0165】
得られた結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
表1から、比較に比べて本発明の試料は、耐久性に優れていることが明らかである。
【0168】
【発明の効果】
本発明により、高温低湿条件下、高温高湿条件下での耐久性に優れている楕円偏光板、楕円偏光板の作製方法及び液晶表示装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の楕円偏光板の作製方法の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る楕円偏光板の作製方法の別の一工程を示す、一部破断面を含む概略図である。
【符号の説明】
1a 偏光子
1b、1c 支持体
2a、2b 粘着層
3 配向層
4 光学異方性層
5 光学異方性を有するフィルム
6 楕円偏光板
Claims (9)
- 少なくとも、偏光板及び光学異方性を有するフィルムとを有する楕円偏光板において、
少なくとも2層の粘着層a、bを有し、該粘着層aは該偏光板と該フィルムの一方の面との間に設けられ、該粘着層bは、前記フィルムの、液晶セルとの貼合面側である、もう一方の面上に直接またはその他の層を介して設けられており、前記粘着層bの膜厚は20μm以下、前記粘着層bとaとの膜厚比(a/b)は0.1〜0.7の範囲に調整され、前記フィルムが、10μm〜50μmの膜厚を有し、且つ、シクロオレフィンポリマーを主成分として含有することを特徴とする楕円偏光板。 - 前記偏光板がポリビニルアルコール含有層を含み、該偏光板上に直接またはその他の層を介して粘着層aが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
- 前記偏光板がポリビニルアルコール層からなり、且つ、該ポリビニルアルコール層上に粘着層aが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
- 前記フィルムが光学異方性を有するフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
- 前記粘着層a、bの各々の膜厚が、1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
- 前記粘着層a、bの各々の粘着力が、5N/25mm〜8N/25mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の楕円偏光板。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接または、その他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程、次いで、前記フィルムのもう一方の面上に直接またはその他の層Bを介して粘着層bを設ける工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板を作製するに当たり、前記フィルムの、一方の面上に、直接または、その他の層Bを介して粘着層bを設ける工程、前記フィルムの一方の面上または前記偏光板の面上に、直接またはその他の層Aを介して粘着層aを設ける工程、次いで、該粘着層aを介して前記フィルムと前記偏光板とを貼合する工程を有することを特徴とする楕円偏光板の作製方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の楕円偏光板または請求項7または8に記載の作製方法で作製された楕円偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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