JP2015215596A - 光学フィルム用転写体、光学フィルム及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム用転写体、光学フィルム及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材上に配向膜、位相差層を順次作製する構成において、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減する。
【解決手段】少なくとも支持体17と、支持体17上に形成された配向膜8と、透過光に位相差を付与する位相差層6とを備え、少なくも位相差層6が転写法により被転写体に転写される光学フィルム用転写体15であって、支持体17は、配向膜8側面が、算術平均粗さRaが50nm以下の平滑面であり、配向膜8とは逆側面が、ブロッキング防止処理面である。
【選択図】図3

Description

本発明は、光学フィルム用転写体及びこの光学フィルム用転写体を使用した光学フィルム及び画像表示装置に関する。
従来、画像表示パネルの出射面に、直線偏光板、1/4波長板の積層による反射防止フィルムを配置し、この反射防止フィルムにより外来光の反射を低減する方法が提案されている。この反射防止フィルムは、画像表示パネルのパネル面に向かう外来光を直線偏光板により直線偏光に変換し、続く1/4波長板により円偏光に変換する。ここで、この円偏光による外来光は、画像表示パネルの表面等で反射するものの、この反射の際に偏光面の回転方向が逆転する。その結果、この反射光は、到来時とは逆に、1/4波長板より、直線偏光板により遮光される方向の直線偏光に変換された後、続く直線偏光板により遮光され、その結果、外部への出射が著しく抑制される。
この反射防止フィルムに関して、特許文献1等には、1/2波長板、1/4波長板を積層して1/4波長板を構成することにより、直線偏光板の透過光に対してこの1/2波長板、1/4波長板の積層による1/4波長板を逆分散波長特性により機能させる構成が開示されている。
このような1/2波長板、1/4波長板は、例えば透明フィルムによる基材に配向膜、位相差層を順次形成して作製される。また位相差層は、配向膜の上に、位相差層に係る塗工液を塗工、乾燥した後、硬化させることにより、配向膜の配向規制力により配向させた状態で液晶材料を硬化して作製される。
またこのような画像表示パネルの出射面に配置する光学フィルムは、例えば特許文献2等に、いわゆる転写法により作製する方法が提案されている。ここで転写法とは、例えば基材の上に所望の層を形成する場合に、この層を直接当該基材上に形成するのでは無く、一旦、離型性の基材である支持体上に剥離可能に該層を積層形成して転写体を作製した後、工程、需要等に応じて、該支持体上に形成した層を、最終的に該層を積層すべき基材(被転写基材)上に接着、積層し、その後、該支持体を剥離除去することにより、該基材上に所望の層を形成する方法である。
ところで基材表面に配向膜、位相差層を順次形成して1/2波長板、1/4波長板等を作製する場合、位相差層に係る塗工液が配向膜表面ではじかれ、その結果、位相差層に欠陥が生じる場合がある。このような欠陥は、大きさが大きいと、画像表示パネルに配置した際に、白点等により認識されて、表示画面の品位を著しく低下させることになる。また大きさが小さい場合にあって、白点等により認識できない場合でも、光学フィルムにおいては、特性が劣化することになる。具体的に、反射防止フィルムにおいては、このような欠陥の存在により反射率が増大し、反射防止の性能が劣化することになる。これにより極力、このようなはじきによる欠陥は、発生しないようにすることが望まれる。
特開平10−68816号公報 特許第4598950号
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、基材上に配向膜、位相差層を順次作製する構成において、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減する、ことを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、位相差層の下層の配向膜を作製する基材については、配向膜を作製する側は平滑面とし、配向膜を作製する側とは逆側面はブロッキング防止処理面とする、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
(1) 少なくとも支持体と、前記支持体上に形成された配向膜と、透過光に位相差を付与する位相差層とを備え、少なくも前記位相差層が転写法により被転写体に転写される光学フィルム用転写体であって、
前記支持体は、
配向膜側面が、算術平均粗さRaが50nm以下の平滑面であり、
前記配向膜とは逆側面が、ブロッキング防止処理面である。
(1)によれば、配向膜とは逆側面がブロッキング防止処理面であることにより、ブロッキングを防止して生産性を向上することができる。また配向膜側面が算術平均粗さRa50nm以下の平滑面であることにより、はじきの起点となる凸部の発生を防止することができ、その結果、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減することができる。
(2) (1)において、
前記配向膜側面の平滑面は、
フィラーが混入されていない樹脂材による平滑面である光学フィルム用転写体。
(2)によれば、より具体的構成により、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減することができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記支持体が、PETフィルム、TACフィルム、COPフィルムの何れかである。
(3)によれば、より具体的構成により、ブロッキングを防止して生産性を向上するようにして、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減することができる。
(4) (1)、(2)、(3)の何れかに記載の光学フィルム用転写体の前記位相差層が、転写法により転写されて作製された光学フィルム。
(4)によれば、ブロッキングを防止して生産性を向上するようにした上で、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減してなる光学フィルム用転写体を使用して光学フィルムを作製することができる。
(5) (4)に記載の光学フィルムを画像表示パネルのパネル面に配置した画像表示装置。
(4)によれば、従来に比して欠陥を低減してなる光学フィルムを使用して画像表示装置を提供することができる。
本発明によれば、基材上に配向膜、位相差層を順次作製する構成において、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減することができる。
本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。 図1の画像表示装置に係る光学フィルムの説明に供する図である。 図1の光学フィルムに係る光学フィルム用転写体を示す図である。 はじきの説明に供する図である。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。この画像表示装置1は、画像表示パネル2のパネル面(視聴者側面)に、粘着剤層3を介して反射防止フィルムによる光学フィルム4が配置される。ここでこの実施形態において画像表示パネル2は、自発光素子による画像表示パネルである有機ELによる画像表示パネルが適用されるものの、液晶表示パネル等を適用するようにしてもよい。
光学フィルム4は、1/4波長板と直線偏光板5との積層による反射防止フィルムであり、この1/4波長板が、透過光に1/2波長の位相差を付与する1/2波長位相差層6、透過光に1/4波長の位相差を付与する1/4波長位相差層7の積層により作製される。また図2に示すように、矢印により示す直線偏光板5の透過軸に対して、1/2波長位相差層6及び1/4波長位相差層7の遅相軸(それぞれ矢印により示す)が、それぞれ反時計回りに15度、75度の角度を成すように配置される。これにより1/4波長板は、直線偏光板5の透過光に対して逆分散の波長特性により機能するように構成される。
光学フィルム4は、この1/2波長位相差層6及び1/4波長位相差層7が、対応する配向膜8及び9と一体に、接着層10及び11を介して、転写法により、順次、直線偏光板5に積層して作製される。より具体的に光学フィルム4は、1/2波長位相差層6、配向膜8の積層体を転写法により直線偏光板5に積層した後、さらに1/4波長位相差層7、配向膜9の積層体を転写法により、1/2波長位相差層6、配向膜8、直線偏光板5の積層体に積層して作製される。このように転写法により積層することにより光学フィルム4は、全体の厚みを薄くできるように構成される。なおこのように1/2波長位相差層6及び1/4波長位相差層7を対応する配向膜8及び9と一体に直線偏光板5に積層する代わりに、1/2波長位相差層6、1/4波長位相差層7のみを転写するようにしてもよい。
なお直線偏光板5は、例えばポリビニルアルコール(PVA)によるフィルム材に、ヨウ素化合物分子を吸着配向させて直線偏光板として光学的機能を担う光学機能層が作製され、この光学機能層を例えばTAC(Triacetylcellulose)等による透明フィルムからなる基材により挟持するように構成される。接着層10及び11には例えば紫外線硬化樹脂が適用される。
図3は、1/2波長位相差層6、配向膜8の転写に使用する光学フィルム用転写体15を示す断面図である。なお1/4波長位相差層7、配向膜9の転写に使用する光学フィルム用転写体16は、配向膜8の配向方向、位相差層7の膜厚及び配向方向が異なる点を除いて、光学フィルム用転写体15と同一に構成されることにより、光学フィルム用転写体16については、この図3において括弧書により対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
ここで光学フィルム用転写体15は、基材である支持体17に、配向膜8、位相差層6が順次作製される。光学フィルム用転写体15は、接着層10により位相差層6が直線偏光板5に貼り付けられて直線偏光板5に保持された後、支持体17が剥離され、その結果、転写法により配向膜8、位相差層6が直線偏光板5に積層される。なおこれにより光学フィルム用転写体16においては、その後、同様にして位相差層6、配向膜8、直線偏光板5の積層体に、位相差層7、配向膜9が積層される。
ここで支持体17は、各種の透明フィルム材を適用することができるものの、この実施形態ではPET(Polyethylene terephthalate)フィルムが適用される。光学フィルム用転写体15は、この支持体17に上に作製された配向膜8の配向規制力により位相差層6に係る液晶材料を配向させた状態で硬化させることにより、位相差層6が作製され、これにより透過光に所望の位相差を付与する。
位相差層6は、この種の光学フィルムに適用される種々の液晶材料を広く適用することができる。より具体的に位相差層6は、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(以下、「棒状化合物」ともいう。)のほか、アンチブロッキング剤等を含有させることができる。また棒状化合物に代えて、ディスコティック液晶による液晶化合物を適用しても良い。
棒状化合物は、屈折率異方性を有し、配向膜8の配向規制力により規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。棒状化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す棒状化合物を用いることがより好ましい。
本実施形態において用いられる棒状化合物の具体例としては、例えば、下記式(1)〜(16)で表される化合物を例示できる。
Figure 2015215596
またディスコティック液晶による液晶化合物は、例えば特開2012−042530号公報、特開2005−283670号公報等に開示の構成等を広く適用することができる。
より具体的に、例えば、特開2001−183643号公報、特開平9−073081号公報に開示の下記の液晶化合物を適用することができる。
Figure 2015215596
この実施形態において配向膜8には、光配向膜が適用される。この光配向膜には、偏光紫外線の照射により配向規制力を設定することが可能な各種光配向膜材料を適用することができる。より具体的にこの実施形態において、配向膜8は、例えば光2量化型の材料が適用される。なおこの光2量化型の材料については、「M.Schadt, K.Schmitt, V. Kozinkov and V. Chigrinov : Jpn. J. Appl.Phys., 31, 2155 (1992)」、「M. Schadt, H. Seiberle and A. Schuster : Nature, 381, 212 (1996)」等に開示されているものを用いることができる。配向膜8は、膜厚50nm以上、200nm以下により作製され、この実施形態では膜厚100nmにより作製される。
なお光配向膜による配向膜8に代えて、ポリイミド膜、PVA等のラビング処理により作製される配向膜、基材自体のラビング処理により作製される配向膜等を適用するようにしてもよい。
〔支持体の詳細構成〕
さらにこの実施形態において、支持体17は、配向膜8を作製する側が平滑面とされ、配向膜8を作製する側とは逆側面がブロッキング防止処理面とされる。ここでこの平滑面は、算術平均粗さRaが50nm以下、好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下により形成される。なお算術平均粗さRaは、JISB0601の規定による。この実施形態において、平滑面は、フィラーが混入されていない樹脂材により構成される。これによりこの実施形態では、ブロッキングを防止して十分な生産性を確保すると共に、従来に比して格段的にはじきによる欠陥の発生を低減する。
すなわち従来、このような光学フィルムの生産に使用する基材は、ロール状に巻き取られて提供されており、光学フィルムの生産工程では、ロールより基材を引き出しながら順次処理することにより光学フィルムを生産する。またこの生産工程においては、工程の都合上、適宜、中間製品をロール状に巻き取って次工程に搬送する。基材である支持体に適用されるPETフィルムは、これによりロール状に巻き取った場合に積層されることになり、何らブロッキング防止処理を施していない場合、ロール状に巻き取ったPETフィルムが、重なり合ったPETフィルム又は他の部材に貼り付くようになり(いわゆるブロッキングである)、著しく生産性が低下することになる。
このためPETフィルムは、従来、フィラーの混入によりブロッキング防止処理が施される。ここでフィラーは、例えば樹脂材料による透光性の微細粒子、シリカ等に代表される無機材料による微細粒子等を適用することができ、粒径4〜7μmの微細粒子が適用される。このように微細粒子を混入すると、PETフィルムの表面には、この微細粒子に対応する微細な凹凸形状が発生し、PETフィルムは、この微細な凹凸形状により密着しないように保持され、その結果、ブロッキングが防止される。
しかしながら詳細に検討したこところ、光学フィルム用転写体15においては、このような微細な凹凸形状が、はじきによる欠陥の発生原因であることが判った。すなわち図4に示すように、フィラーの混入により、支持体17の表面には、凸部20が発生することになる。この凸部20の高さhが、配向膜8の膜厚より大きい場合、位相差層6においては、この凸部20を中心とした円形形状の範囲で、塗工液がはじかれ、その結果、この凸部20を中心とした円形形状の領域がはじきによる欠陥となる。
このようなはじきによる欠陥は、凸部20を中心にして凸部20の大きさに対応する直径Dの円形形状の領域により発生する。これによりこの実施形態では、配向膜8を作製する側をフィラーが混入されていない樹脂材による平滑面とし、このような欠陥の発生原因となる凸部の発生を防止する。これによりこの実施形態では、はじき防止し、はじきによる欠陥の発生を有効に回避する。
ここでこの凸部20にあっては、配向膜8の厚みより充分に小さい場合には、配向膜8の樹脂材料により覆い隠され、この場合、位相差層6においては、はじきが防止されて欠陥の発生が防止される。これにより少なくともこの配向膜8の厚みより凸部20の高さが小さくなるように、より好ましくは、配向膜8の厚みの1/2より凸部20の高さが小さくなるように作製して、欠陥の発生を具体的かつ確実に防止することができる。なおこのような凸部20にあっては、JIS B0601 '1994に規定された最大高さRyの計測手法を適用して、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)等を使用して求めた、支持体17の表面形状のデータを処理して求めることができる。ここで光配向膜の配向膜8にあっては、50nm以上、200nm以下により作製されることにより、凸部20は、50nm以下の高さhとなるように、より好ましくは、25nm以下となるように設定することが望まれる。
より具体的に、この実施形態において、支持体17は、何らフィラーを混入していないベース材と、このベース材にフィラーを混入したフィラー混入材とを使用した2層押し出しにより作製され、このベース材のみによる樹脂層と、フィラー混入材による樹脂層との積層体により作製される。支持体17は、このベース材のみによる樹脂層により、フィラーが混入されていない樹脂材による平滑面が形成される。またフィラー混入材による樹脂層によりブロッキング防止処理面が形成される。なお支持体は、例えば溶融キャスト法等適用することにより、フィラーを混入した1種類の材料を使用してフィラーの分布を制御して配向膜側面を平滑面としてもよい。
〔実測結果〕
ここで比較例1と実施例1とで比較結果を求めた。比較例1は、フィラーを混入したフィラー混入材のみにより作製したPETフィルムを支持体に使用して光学フィルム用転写体を作製し、この光学フィルム用転写体より作製した図1について上述した構成の反射防止フィルムである。実施例1は、このPETフィルムが上述した実施形態に係る、何らフィラーを混入していないベース材と、このベース材にフィラーを混入したフィラー混入材とを使用した2層押し出しにより作製されるPETフィルムである点を除いて、比較例1と同一の条件により作製した反射防止フィルムである。
この比較例1及び実施例1について、欠陥を観察し、さらに反射率を計測した。なお反射率の計測には、分光測色計(コニカミノルタCM-2600d)を使用した。比較例1においては、1辺1.5cmの矩形領域に直径Dが100μm程度の欠陥が2〜3個程度検出された。ここでこの欠陥の箇所では透過光に所望する位相差を付与できないことにより十分に反射防止を図れなくなる。その結果、比較例1では反射率の増大が予測される。実測した結果によれば、比較例1の反射率はY値で5.5であった。これに対して実施例1では、このような欠陥を発見し得ず、反射防止率はY値で5.2であった。
以上の構成によれば、支持体の配向膜側を、フィラーが混入されていない樹脂材による平滑面とし、配向膜側とは逆側面をブロッキング防止処理面とすることにより、ブロッキングを有効に回避してはじきによる欠陥を有効に回避することができる。これによりこのような支持体を使用して作製された光学フィルム用転写体を使用して、従来に比してはじきによる欠陥を格段に低減した光学フィルム、この光学フィルムを使用した画像表示装置を提供することができる。またこのように配向膜側面を平滑面とすることで、配向性の良好な転写体を得ることができる。
またこの支持体をPETフィルムにより構成することにより、さらにはフィラーを混入した樹脂材とフィラーを混入していない樹脂材との2層押し出しにより支持体を作製することにより、より具体的構成により、ブロッキングを充分に防止して、従来に比してはじきによる欠陥の発生を格段に低減することができる。
〔第2実施形態〕
この実施形態では、いわゆる光学補償(位相差補償)、視野角特性の改善等に供する光学フィルム、この光学フィルムに使用される正Cプレートによる光学フィルム用転写体、この光学フィルムを使用した画像表示装置に本発明を適用する。これによりこの実施形態では、Aプレートに係る位相差層及び配向膜に代えて、正Cプレートに係る位相差層及び配向膜が作製されて光学フィルム用転写体が構成される。また光学補償、視野角特性に係る直線偏光板等にこの正Cプレートが転写されて光学フィルムが作製され、この光学フィルムを配置して画像表示装置が構成される。
この実施形態において、光学フィルム用転写体は、第1実施形態について上述したと同一の支持体が適用される。これによりこの実施形態では、位相差層により正Cプレートを構成する場合にあっても、第1実施形態と同様に、生産性の劣化を有効に回避して、従来に比してはじきによる欠陥の発生を格段に低減する。
この実施形態によれば、位相差層により正Cプレートを構成する場合でも、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔第3実施形態〕
この実施形態では、PETフィルム材に代えて、TAC(Triacetylcellulose)フィルム材、又はCOP(Cyclo Olefin Polymer)フィルム材を支持体に適用する。この実施形態では、この支持体に関する構成が異なる点を除いて、第1実施形態又は第2実施形態と同一に構成される。
ここで例えばTACフィルム材は、例えば特開2007−254699号公報に開示の2層によるフィルム材、特開2009−276779号公報に開示の3層によるフィルム材を適用することができる。またCOPフィルム材は、特開2011−128356号公報に開示のフィルム材を適用することができる。またTACフィルム材、COPフィルム材は、溶融キャスト法等により、フィラーを偏在させて作製してもよい。
〔実測結果〕
〔実施例2〕
シクロオレフィンポリマー99.7wt%と球状シリカ粒子0.2wt%とを混合したA層用混合組成物と、シクロオレフィンポリマー100wt%によるB層用組成物とを使用して、単軸押出機で溶融共押出成形してロール状に巻取り、厚み10μmのA層と、厚み100μmのB層の2層からなる長さ400mの支持体を作製した。この支持体は良好な耐ブロッキング性を有していた。またB層表面の算術平均粗さRaは、3nmであった。なおシクロオレフィンポリマーは、ゼオノア1020R(日本ゼオン製)であり、球状シリカ粒子は、アドマファインS0−E2(アドマテックス製)を使用した。なお耐ブロッキング性は、支持体を3cm角に6枚切り出してロール状に巻き取った場合と同一の表裏面の向きにより積層し、永久歪試験機(テスター産業株式会社製)にて10N/cmの加重を常温常圧で12時間かけた後の剥離状況を観察し、貼り付いていない場合を良好と判断した。
このようにして作製した支持体のB層側面に、乾燥厚みが200nmとなる膜厚により配向膜用塗工液を塗工し、乾燥させた後、紫外線を照射して重合させ、その後ラビング処理して配向膜を作製した。なお塗工液は、以下の混合物を、MEK:MIBK=10:1の混合溶剤により固形分が20%になるように希釈して作製した。なお、MEKはメチルエチルケトン、MIBKはメチルイソブチルケトンの略である。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
(日本合成化学社製UV1700B(固形分100%)) :50重量部
PETA(共栄社化学社製ライトアクリレートPE-3A(固形分100%):50重量部
光重合開始剤(BASF社製ルシリンTPO) :4重量部
このようにして作製した配向膜の上に、位相差層用塗工液を乾燥厚みが1.1μmになるよう塗工し、乾燥後、紫外線を照射して重合し、光学フィルム用転写体を得た。なおこの位相差層用塗工液は、以下の混合物を適用した。
重合成液晶組成物(メルク社製RMS03-013) :100重量部
フッ素系レベリング剤(共栄社化学株式会社製 LE-604):0.25重量部
得られた光学フィルム用転写体の位相差を、位相差測定装置(KOBRA-WR、王子計測機器社製)で測定したところ、130nmであった。粘着剤付きの直線偏光板と、得られた光学フィルム用転写体の位相差層とを、直線偏光板の吸収軸と位相差層の遅相軸とが45°の角度を成すようにして貼り合せ、支持体を剥離し、円偏光板を得た。得られた円偏光板に、欠点や位相差ムラはみられず、円偏光板として良好な性能を有していた。
〔実施例3〕
セルロース溶液Aとセルロース溶液Bとセルロース溶液Cとを逐次流延して成膜後、ロール状に巻取り、セルロース溶液Aからなる厚み6μmのA層と、セルロース溶液Bからなる厚み60μmのB層と、セルロース溶液Cからなる厚み6μmのC層とが積層された支持体を得た。得られた支持体は、良好な耐ブロッキング性を有していた。なおセルロース溶液A、セルロース溶液B、セルロース溶液Cは以下の通りである。
セルロース溶液A
トリアセチルセルロース :17重量部
トリフェニルフォスフェイト:3重量部
メチレンクロライド :90重量部
メタノール :10重量部
シリカ微粒子(平均粒径16nm)(日本アエロジル製aerosil R972):0.5重量部

セルロース溶液B
トリアセチルセルロース :17重量部
トリフェニルフォスフェイト:15重量部
メチレンクロライド :90重量部
メタノール :10重量部

セルロース溶液C
トリアセチルセルロース :17重量部
トリフェニルフォスフェイト:3重量部
メチレンクロライド :90重量部
メタノール :10重量部
シリカ微粒子(平均粒径16nm)(日本アエロジル製aerosil R972):5重量部
ここでA層表面の算術平均粗さRaは、35nmであった。得られた支持体のA層側に、実施例2と同様に配向膜と位相差層とを積層し、第1の光学フィルム用転写体を得た。但し、配向膜用塗工液の混合溶剤は、トルエン:MEK=10:1の混合溶液とした。この第1の光学フィルム用転写体の位相差を、実施例2と同様に測定したところ、130nmであった。
また得られた別の支持体のA層側に、実施例2と同様に配向膜と位相差層とを積層し、第2の光学フィルム用転写体を得た。但し、配向膜用塗工液の混合溶剤は、トルエン:MEK=10:1の混合溶液とした。またこの第2の光学フィルム用転写体では、位相差層に係る塗工膜厚を乾燥膜厚2μmとした。この第2の光学フィルム用転写体の位相差を、実施例2と同様に測定したところ245nmであった。
粘着剤付き直線偏光板と、第2光学フィルム用転写体の位相差層とを、直線偏光板の吸収軸と位相差層の遅相軸とが15°の角度を成すように貼り合せた後、支持体を剥離した。またさらに、第2の光学フィルム用転写体の配向膜と、第1の光学フィルム用転写体の位相差層とを、粘着層を介して、直線偏光板の吸収軸と位相差層の遅相軸とが74°の角度を成すように貼り合せ、円偏光板を得た。得られた円偏光板に、欠点や位相差ムラはみられず、また広帯域円偏光板として良好な性能を有していた。
〔比較例2〕
この実施例3との対比により比較例2を作製して検討した。ここで比較例2は、実施例3の支持体のC層側を塗工面とした点を除いて、実施例3と同一に作製した。ここでC層表面の算術平均粗さRaは、210nmであった。この比較例2では、比較例1と同様に、欠陥が発生し、さらに位相差のムラが多数みられた。
〔実施例4〕
実施例3で用いたセルロース溶液Cとセルロース溶液Bとを逐次流延して成膜し、ロール状に巻取り、セルロース溶液Cからなる厚み6μmのC層と、セルロース溶液Bからなる厚み60μmのB層とが積層された支持体を得た。得られた支持体は、良好な耐ブロッキング性を有していた。ここでC層表面の算術平均粗さRaは、20nmであった。
実施例3と同様にして、配向膜を作製した後、以下の位相差層用塗工液を使用して、第1及び第2の光学フィルム用転写体を得た。なお第1及び第2の光学フィルム用転写体の位相差は、それぞれ135nm、250nmであった。

位相差層用塗工液
(2−1)のRがすべて(2−2)であるディスコティック液晶:10重量部
光重合開始剤(chiba製 イルガキュア907) :0.4重量部
MEK :67重量部
第1及び第2の光学フィルム用転写体を用いて、実施例3と同様に粘着剤付き直線偏光板に位相差層を貼り合せ、円偏光板を得た。得られた円偏光板に、欠点や位相差ムラはみられず、また、広帯域円偏光板として良好な性能を有していた。
このように支持体にTACフィルム材、COPフィルム材を適用するようにしても、第1実施形態、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
またTACフィルム材、COPフィルム材は、複屈折性が小さいことにより、この実施形態のようにTACフィルム材、COPフィルム材を支持体に適用することにより、転写体の段階で光学特性を検査することができ、製品管理に役立てることができる。
〔実施例5〕
この実施例5では、実施例3におけるA層のセルロース溶液Aにおけるフィラー量を0.7重量部とした他は実施例3と同様にして円偏光板を作製した。なお算術平均粗さRaは、48nmであった。この実施例6では、わずかに欠点がみられたが、広帯域円偏光板としては比較的良好な性能を有していた。
〔実施例6〕
この実施例6では、実施例2において、配向膜用塗工液として実施例1にかかる構成を適用して光配向膜を100nmに積層した後、偏光紫外線を照射した他は実施例2と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板に、欠点や位相差ムラはみられず、また、広帯域円偏光板として良好な性能を有していた。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に組み合わせたり、変更したりすることができる。
すなわち上述の実施形態では、フィラーの混入によりブロッキング防止処理面を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばサンドブラスト加工、ヘアライン加工、マットコーティング、ケミカルエッチング等によりブロッキング防止処理面を作製する場合等、ブロッキング防止処理面の作製にあっては、種々の手法を広く適用することができる。
また上述の実施形態では、フィラーを混入した樹脂とフィラーを混入していない樹脂とを使用した2層押し出しにより支持体を作製する場合等について述べたが、本発明はこれに限らず、フィラーを混入していない樹脂のみによるフィルム材を支持材に使用するようにして、このフィルム材の1方の面の加工によりブロッキング防止処理面を構成するようにしてもよい。
また上述の実施形態では、転写法により位相差層を1層づつ積層する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば第1実施形態において、1/4波長位相差層、1/2波長位相差層の積層体により光学フィルム用転写体を構成し、この積層体を纏めて光学フィルムに転写する場合等、多層の位相差層を光学フィルム用転写体に設ける場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、1/4波長位相差層、1/2波長位相差層、正Cプレートによる位相差層を光学フィルムに設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばパッシブ方式による3次元画像表示で使用されるパターン位相差フィルムのようなパターンニングされた位相差層を光学フィルムに設ける場合、面内方向、厚み方向にこれら以外の位相差を付与する位相差層を設ける場合に広く適用することができる。
1 画像表示装置
2 画像表示パネル
3 粘着剤層
4 光学フィルム
5 直線偏光板
6 1/2波長位相差層
7 1/4波長位相差層
8、9 配向膜
10、11 接着層
15、16 光学フィルム用転写体
17 支持体
20 凸部

Claims (5)

  1. 少なくとも支持体と、前記支持体上に形成された配向膜と、透過光に位相差を付与する位相差層とを備え、少なくも前記位相差層が転写法により被転写体に転写される光学フィルム用転写体であって、
    前記支持体は、
    配向膜側面が、算術平均粗さRaが50nm以下の平滑面であり、
    前記配向膜とは逆側面が、ブロッキング防止処理面である
    光学フィルム用転写体。
  2. 前記配向膜側面の平滑面は、
    フィラーが混入されていない樹脂材による平滑面である
    請求項1に記載の光学フィルム用転写体。
  3. 前記支持体が、PETフィルム、TACフィルム、COPフィルムの何れかである
    請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム用転写体。
  4. 請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の光学フィルム用転写体の前記位相差層が、転写法により転写されて作製された
    光学フィルム。
  5. 請求項4に記載の光学フィルムを画像表示パネルのパネル面に配置した
    画像表示装置。
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