JP2010072091A - 偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを偏光板の保護フィルムとした場合において、表面保護フィルムが積層されたままで精度ある欠陥検査を実施できる偏光板を提供することにある。
【解決手段】本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に、接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に第1表面保護フィルムが第1粘着剤層を介して積層され、該第1表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板に関する。
近年、消費電力が低く低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶ディスプレイが、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、およびテレビ等の情報用表示デバイスとして急速に普及している。それに伴い、液晶ディスプレイの更なる薄型軽量化、大画面化、およびコストダウンの市場要求が強くなっている。
液晶表示装置をさらに薄型軽量化する強い市場要求に対しては、液晶表示装置を構成する液晶パネル、拡散板、バックライトユニット、および駆動IC等の薄型化や小型化が進められている。ここでは、液晶パネルを構成する部材である偏光板も、10μmの単位で薄型化することが要求される。そこで、偏光板の保護フィルムとして一般的に使用されているトリアセチルセルロースフィルムを、従来80μm〜120μmであったものから、より薄いものへ代替することが行なわれている。
しかし、トリアセチルセルロースフィルムを保護フィルムとした偏光板は、しばしば耐湿熱性や耐冷熱衝撃性に劣り、特に上記のように薄膜化された保護フィルムからなるものは、高温多湿や高低温繰り返しの環境下で偏光性能の劣化を引き起こしたり、偏光フィルムが損傷を受けたりする場合があった。
偏光板がしばしば耐湿熱性等に劣る理由としては、その構成要素であるトリアセチルセルロースフィルムの透湿度や吸水率が高いことが挙げられる。そこで、たとえば、特許文献1にはトリアセチルセルロースフィルムに替えてより透湿度や吸水率の低い環状オレフィン系樹脂フィルムを使用する手段が開示されている。また、たとえば、特許文献2にはトリアセチルセルロースフィルムの透湿度や吸水率を低減させる手段が開示されている。
ところが、環状オレフィン系樹脂は一般に高価であるため、現状は付加価値の高い位相差フィルムに用いられ、単なる保護フィルムとしての使用はなされていなかった。また、トリアセチルセルロースフィルム自体の低透湿化や低吸水化では、その手段が限定された表面処理層を設けることであり汎用性に欠ける場合があった。
このような問題に対応しつつ、コストダウンの市場要求にも答えるための手段として、トリアセチルセルロースフィルムに替えて、比較的低透湿・低吸水性である延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとすることが挙げられる。
しかし、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、一般に、製造時のボーイング現象により光学的異方性が引き起こされるため、これを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、2枚の偏光子をその配向主軸を直交させてその間の異物や欠陥を検出するクロスニコル下での目視検査をこの偏光板について行なう際に問題を生じることがあった。すなわち、このクロスニコル下で目視検査を実行する場合において延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが2枚の偏光子間に挟み込まれた際、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの光学異方性が障害となって検出すべき欠陥を見逃しやすくなり、大画面化に伴う偏光板の不良率が高くなる恐れがあった。
また、液晶表示装置に用いられる偏光板表面には、通常、液晶表示装置の作製までの間、損傷やほこりの付着を防ぐ目的で粘着剤層が付与された表面保護フィルムが設けられる。さらに、偏光板を液晶セルに貼り付けるための粘着剤層が偏光板に設けられる場合には、その粘着剤層の表面に離型処理された表面保護フィルムが設けられる。
上記表面保護フィルムは、透湿性や機械的強度、コストの観点からポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルの延伸フィルムが従来より用いられている。最終的にこれらの表面保護フィルムは剥離除去されるが、上記の目視検査のような偏光板の検査時にはそれらの表面保護フィルムが付与された状態で行なわれるため、偏光板の構成要素である保護フィルムの場合と同様、表面保護フィルムの光学異方性により検出すべき欠陥を見逃す問題もあった。
特開平07−077608号公報 特開2007−102179号公報
そこで、本発明の目的は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを偏光板の保護フィルムとした場合において、表面保護フィルムが積層されたままで精度ある欠陥検査を実施できる偏光板を提供することにある。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に、接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に第1表面保護フィルムが第1粘着剤層を介して積層され、該第1表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であることを特徴とする。
また、本発明の偏光板は、上記偏光フィルムの上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の表面に、保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層されていることが好ましい。
また、本発明の偏光板は、上記偏光フィルムの上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の最表面に、第2粘着剤層が形成されていることが好ましく、さらに、離型処理層を有する第2表面保護フィルムがその離型処理層を介して上記第2粘着剤層上に積層され、上記第2表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であることが好ましい。
また、本発明の偏光板に付与される上記第1表面保護フィルムおよび上記第2表面保護フィルムは、ともに延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることが好ましい。
上記の各偏光板において、偏光フィルムの片面に上記接着剤層を介して積層された上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、上記偏光フィルムが積層されている側とは反対側の表面に防眩層を有することができる。
本発明の偏光板は、偏光フィルムの片面に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、さらにその表面に第1表面保護フィルムを積層するとともに、これら延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1表面保護フィルムは、それぞれ配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が所定値以下とされている。このような構成を採用したことにより、その第1表面保護フィルムが貼合されたまま、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1表面保護フィルムが検査用偏光板側となるように配置して(つまり、この偏光板を構成する偏光フィルムと検査用偏光板との間に、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1表面保護フィルムが位置する状態で)、クロスニコル下に異物や欠陥の検査(検品)を行なう場合にも、目視でその異物や欠陥を検出することができる。
また、上記の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側と反対側の最表面には、第2粘着剤層を設けることが多いが、その場合、第2粘着剤層の外側にも、同様に配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が所定値以下とされた第2表面保護フィルムを設けることにより、上記の第1表面保護フィルムおよび第2表面保護フィルムが貼合されたままで、両面とも容易に検品することができる。
<偏光板>
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に、接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなる構造を基本構造とする。以下、各構成について説明する。
<偏光フィルム>
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなるものであって、より具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000の範囲内、好ましくは1500〜5000の範囲内である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルム(単に「ポリビニルアルコール系樹脂フィルム」とも記す)として用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、たとえば10〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色して二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、ならびに、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
また、偏光フィルムの製造に際し、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行なってもよいし、染色処理工程中に行なってもよいし、染色処理工程の後に行なってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後に行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行なってもよいし、ホウ酸処理工程中に行なってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸は、周速の異なるロール間で一軸に延伸するようにしてもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸するようにしてもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
染色処理工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行なわれる。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、特に好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程に用いるホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、たとえば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗処理後は、通常乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、たとえば熱風乾燥機、遠赤外線ヒータなどを好適に用いて行なわれる。乾燥処理の温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理および水洗処理を施して、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μmの範囲内である。本発明の偏光板は、このような偏光フィルムの一方側に特定の物性を有する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが接着剤層を介して積層された構造を備える。
<延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム>
上記偏光フィルムの一方側(すなわち片面)に接着剤層を介して積層される延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとは、少なくとも一種のポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出によって製膜し、引き続いて縦延伸し、必要により横延伸してなる少なくとも一層の一軸延伸フィルム、または二軸延伸フィルムである。このような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、主として保護フィルムとしての作用を有するものである。
ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分の代表例としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられるが、これらだけに限定されない。他のジオール成分の代表例としてはプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられるが、これらだけに限定されない。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸、およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸、または他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステル、およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステル、または他のジオール)とをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、およびテレフタル酸(および必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(および必要に応じて他のジオールエステル)を重縮合させる方法等を任意に用いることができる。
本発明に用いられる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述したような原料樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施すことにより作製することができる。延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの作製方法は任意であり、特に限定されるものではないが、上記原料樹脂を溶融し、シート状に押出成形された無配向フィルムを、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度以上の温度において機械的延伸後、熱固定処理を施す方法を挙げることができる。
延伸を行なう際の温度は、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度以上の温度であれば特に制限されないが、80〜160℃の範囲内であることが好ましい。
また本発明における延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの延伸倍率は、フィルムの長手方向、幅方向に関してそれぞれ1.1〜6倍であることが好ましく、2〜5.5倍であることがより好ましい。延伸倍率が1.1倍未満である場合には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの機械的強度が不足する傾向にあるためである。また、6倍を超える延伸倍率は、製造技術上現実的ではない。
なお、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける配向主軸の歪み(延伸軸に対するズレ)を低減する観点からは、上述した延伸後であって熱固定処理を行なう前に、フィルムを長手方向(フィルムの走行方向)、フィルムの幅方向(フィルムの走行方向に対し垂直な方向)に弛緩処理することが好ましい。弛緩処理する温度は90〜250℃、好ましくは120〜200℃である。弛緩量は横延伸条件によって異なるが、弛緩処理後の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように弛緩量および温度を設定することが好ましい。
また熱固定処理の温度は、通常180〜250℃であり、好ましくは200〜245℃である。熱固定処理は、まず定長で熱固定処理を行なった後、配向主軸の歪みが低減され、耐熱性などの強度を向上させるために、さらにフィルム長手方向(フィルム走行方向)またはフィルム幅方向の弛緩処理を行なうことが好ましい。この場合の弛緩量は、弛緩処理後の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの、150℃における熱収縮率が1〜10%となるように調整されることが好ましく、より好ましくは2〜5%である。
本発明において、このような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の延伸軸(すなわち延伸方向)に対するズレ角度が15度以下であることを特徴の1つとする。ここで、「ズレ角度」とは、配向主軸の歪み(延伸軸からのズレ)の最大値をいうものとし、より好ましくは12度以下、さらに好ましくは10度以下である。ズレ角度が15度より大きいと、クロスニコル下で目視検査の際、かかる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが偏光子間に挟み込まれた場合、当該検査の障害となり、異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるといった不具合を生じる。なお、このズレ角度は、小さくなる程好ましく、その下限値は0度であることが理想である。
このようなズレ角度は、たとえば位相差フィルム検査装置RETSシステム(大塚電子(株)製)、マイクロ波透過型分子配向計(MOA)(王子計測機器(株)製)を用いることで測定することができる。
上記のような、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が所定値以下に抑えられた延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、通常、その延伸軸が偏光フィルムの吸収軸に対して直交関係または平行関係となるように、偏光フィルムの片面に貼合される。たとえば、横一軸延伸された、または横延伸倍率の方が大きい二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムをロール状で用いる場合、その長手方向が偏光フィルムロールの長手方向と同じになるようにロール・ツー・ロール貼合すれば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの延伸軸が偏光フィルムの吸収軸と直交関係になる。またたとえば、縦一軸延伸された、または縦延伸倍率の方が大きい二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムをロール状で用いる場合、その長手方向が偏光フィルムロールの長手方向と同じになるようにロール・ツー・ロール貼合すれば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの延伸軸が偏光フィルムの吸収軸と平行関係になる。
本発明に用いられるこのような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは、15〜75μmの範囲内であることが好ましく、20〜60μmの範囲内であることがより好ましい。延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが15μm未満である場合にはハンドリングしにくい(取り扱い性に劣る)傾向にあり、また厚みが75μmを超える場合には、製膜時のボーイング現象によるフィルム両端の配向主軸の歪みが大きくなる傾向があるため、歩留まりが大きくなる上、厚膜となるためコスト高になり、さらには薄肉化のメリットが薄れる傾向にあるため好ましくない。
このような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、必要に応じて公知の添加剤を含有させてもよい。公知の添加剤としては、たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを挙げることができる。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の添加量は最小限にとどめておくことが好ましく、得られる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのヘイズは6%未満であることが好ましい。
本発明に用いられる上記のような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、そのフィルムが偏光板の視認側に用いられる場合、防眩性(ヘイズ)が付与されていることが好ましい。防眩性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、上記の原料樹脂中に無機微粒子、もしくは有機微粒子を混合してフィルム化する方法、多層フィルムの製法に準じて、片側に無機微粒子、もしくは有機微粒子が混合された層を有する未延伸フィルムから延伸フィルム化する方法、または延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片側に、無機微粒子、もしくは有機微粒子を硬化性の樹脂バインダーに混合してなる塗布液をコートし、その樹脂バインダーを硬化することにより防眩層を形成する方法等が挙げられる。
防眩性を付与するための無機微粒子としては、特に限定するものではないが、たとえば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、およびリン酸カルシウム等が挙げられる。また、有機微粒子としては、特に限定するものではないが、たとえば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、およびポリイミド粒子等が挙げられる。
こうして得られる防眩性を付与された延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのヘイズ値は、6〜45%の範囲内であることが好ましい。このヘイズ値が6%を下回ると、十分な防眩効果が現れない場合がある。また、45%を越えると、このフィルムを用いてなる液晶表示装置の画面が白茶け、画質の低下をまねく場合がある。
このように本発明の偏光板においては、上記偏光フィルムの片面に後述の接着剤層を介してこのような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層され、かかる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、上記偏光フィルムが積層されている側とは反対側の表面に上記のような防眩層を有することが好ましい。
なお、上記のような防眩層上には、導電層、ハードコート層、および低反射層等の機能層を積層することができる。また、上記の塗布液コートによる防眩層形成においては、これらの機能を有するバインダー樹脂組成物を選択することもでき、当該防眩層にこれらの機能を付与することも可能である。
本発明に用いられるこのような延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、本発明の効果を妨げない限り、上記の防眩層等以外に要求特性に応じて必要な特性を有する機能層を片面、または両面に積層することができる。
積層される機能層には、たとえば、平滑化コート層、易滑化コート層、易離型化コート層、ブロッキング防止コート層、および易接着化コート層等が挙げられる。中でも、この延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、偏光フィルムと接着剤層を介して積層されることから、易接着化コート層が積層されていることが好ましい。
易接着化コート層を構成する成分は、特に限定されるものではないが、たとえば、極性基を骨格に有する、比較的低分子量で低ガラス転移温度のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはアクリル系樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて架橋剤、有機または無機フィラー、界面活性剤、および滑剤等を含有することができる。
上記に挙げた各コート層を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、すべての延伸工程が終了したフィルムにコートする方法、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を延伸している工程中、すなわち縦延伸と横延伸工程の間等にコートする方法、および偏光フィルムと接着される直前、または接着された後にコートする方法等が挙げられる。中でも、生産性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を縦延伸した後にコートする方法が好ましい。
<保護フィルムまたは光学補償フィルム>
本発明の偏光板は、上記偏光フィルムの片面、すなわち偏光フィルムの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の表面に、保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層されていてもよい。ここで、保護フィルムとは主として偏光フィルムを物理的に保護する作用を有するフィルムをいい、光学補償フィルムとは主として位相差を調節するなどして液晶表示装置の視野角を拡大する作用を有するフィルムをいう。このような保護フィルムまたは光学補償フィルムは、通常、20〜100μmの厚みを有していることが好ましい。
このような保護フィルムまたは光学補償フィルムとしては、たとえばトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)などのセルロース系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどの透明フィルムが挙げられる。また、このような透明フィルム上に、後述する光学機能性フィルムを積層するようにしてもよい。
ここで、上記セルロース系樹脂フィルムは、セルロースの部分または完全エステル化物のフィルムであって、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどからなるフィルムを挙げることができる。より具体的には、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルムなどが挙げられる。このようなセルロース系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえばフジタックTD80(富士フィルム(株)製)、フジタックTD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタックTD80UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC8UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
上記に列挙したセルロース系樹脂フィルムは、主として保護フィルムとして用いられるものであるが、光学補償フィルムとして用いられるものとしては、たとえばセルロース系樹脂フィルムに位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム、セルロース系樹脂フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム、セルロース系樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸して得られるフィルムなどが挙げられる。また、本発明の偏光板においては、位相差特性を付与した酢酸セルロース系樹脂フィルムも好適に用いられ、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、WV BZ 438(富士フィルム(株)製)、WV EA(富士フィルム(株)製)、KC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4HR−1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
また、シクロオレフィン系樹脂フィルムとしては、一軸延伸または二軸延伸して光学補償フィルムとしたものを用いることができる。シクロオレフィン系樹脂フィルムとは、たとえば、ノルボルネン、多環ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する熱可塑性の樹脂からなるフィルムである。シクロオレフィン系樹脂フィルムは、単一のシクロオレフィンを用いた開環重合体や2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、シクロオレフィンと鎖状オレフィンおよび/またはビニル基を有する芳香族化合物などとの付加共重合体であってもよい。また、主鎖あるいは側鎖に極性基が導入されているものも有効である。
シクロオレフィンと鎖状オレフィンおよび/またはビニル基を有する芳香族化合物との共重合体を用いる場合、鎖状オレフィンとしては、エチレンやプロピレンなどが挙げられ、またビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。このような共重合体において、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットが50モル%以下(好ましくは15〜50モル%)であってもよい。特に、シクロオレフィンと鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体とする場合、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットは、上述したように比較的少ない量とすることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%である。
シクロオレフィン系樹脂フィルムを構成するシクロオレフィン系樹脂は、適宜の市販品、たとえばTopas(Ticona社製)、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(三井化学(株)製)などを好適に用いることができる。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、たとえばエスシーナ(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)、アートンフィルム(JSR(株)製)などの予め製膜されたシクロオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を透明保護フィルムとして用いてもよい。
上記のように光学補償フィルムとしてのシクロオレフィン系樹脂フィルムは、少なくとも一方向に延伸されていることが望ましい。これにより、適切な光学補償機能が付与され、液晶表示装置の視野角拡大に寄与することができる。延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの面内位相差値R0は、40〜100nmであることが好ましく、40〜80nmであることがより好ましい。面内位相差値R0が40nm未満または100nmを超えると、液晶パネルに対する視野角補償能が低下する傾向にある。また、延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚み方向位相差値Rthは、80〜300nmであることが好ましく、100〜250nmであることがより好ましい。厚み方向位相差値Rthが80nm未満または300nmを超えると、上記と同様に液晶パネルに対する視野角補償能が低下する傾向にある。なお、延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは、それぞれ下記式(1)および(2)で表され、たとえばKOBRA21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定することができる。
0=(nx−ny)×d (1)
th=[(nx+ny)/2−nz]×d (2)
(上記式(1)、(2)において、nxは延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの面内遅相軸方向の屈折率、nyは面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率、nzは延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚み方向の屈折率、dは延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚みである。)
上記のような好ましい屈折率特性は、延伸倍率および延伸速度を適切に調整するほか、延伸時の予熱温度、延伸温度、ヒートセット(延伸後におけるフィルムの歪み軽減処理)温度、冷却温度などの各種温度(温度パターンを含む)を適宜選択することにより付与することができる。比較的緩い条件で延伸を行なうことにより、上記のような好ましい屈折率特性を得ることができるが、たとえば延伸倍率は1.05〜1.6倍とするのが好ましく、さらには1.1〜1.5倍とするのがより好ましい。二軸延伸の場合には、最大延伸方向の延伸倍率が上記範囲となるようにすればよい。
延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、厚すぎると、加工性に劣るものとなり、また、透明性が低下したり、偏光板の重量が大きくなったりするなどの問題が生じやすい。そこで、延伸されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、20〜80μmの範囲内であることが好ましい。
<接着剤層>
本発明の偏光板は、上述したように偏光フィルムの片面に接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層され、また必要に応じて、偏光フィルムの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の表面に保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層される。これらのフィルム同士を貼合する接着剤層に用いられる接着剤としては、接着剤層を薄くする観点からは、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものが挙げられる。たとえば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を用いた組成物が、好ましい接着剤として挙げられる。なお、偏光フィルムの両面にそれぞれフィルムを貼合する場合、同種の接着剤を用いてもよく、また、それぞれ異種の接着剤を用いてもよい。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。この場合、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が接着剤として用いられる。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤には、接着性を上げるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分や架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、スミレーズレジン650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン675(住化ケムテックス(株)製)、WS−525(日本PMC(株)製)などが挙げられる。これら硬化性成分や架橋剤の添加量(硬化性成分および架橋剤として共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にあるためである。
また接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また特開2005−70140号公報、特開2005−208456号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを接合する形態が示されている。
偏光フィルムに、上述した延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(および必要に応じ、保護フィルムまたは光学補償フィルム)を貼合する方法としては、通常一般に知られているものでもよく、たとえば流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などによって偏光フィルムおよび/またはそこに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
上述した方法にて接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムをニップロールなどにより挟んで貼り合わせる。また、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールなどで加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴムなどを用いることが可能である。さらに、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらのロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。なお、乾燥あるいは硬化前における、上記ニップロールなどを用いて貼り合わされた後の接着剤層の厚さは、5μm以下であることが好ましく、また0.01μm以上であることが好ましい。
また、接着剤層の形成にあたり、接着剤が塗布されるフィルム表面、たとえば延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの偏光フィルムに貼合される面や、保護フィルムまたは光学補償フィルムの偏光フィルムに貼合される面には、接着性を上げるため、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
上記水系接着剤を介して接合された積層体は、通常乾燥処理が施され、接着剤層の乾燥および硬化が行なわれる。乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行なうことができる。乾燥温度は、40〜100℃程度、好ましくは60〜100℃の範囲から適宜選択される。乾燥時間は、たとえば20〜1200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上2μm以下、より好ましくは0.01μm以上1μm以下である。接着剤層の厚みが厚くなりすぎると、偏光板の外観不良となりやすい。
乾燥処理の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行なわれる。好ましい養生温度は、30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35℃以上45℃以下である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態においていわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は特に限定されないが、相対湿度が0%RH〜70%RH程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1日〜10日程度、好ましくは2日〜7日程度である。
また本発明の偏光板の接着剤層における接着剤には、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤などの混合物が挙げられる。この場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜1000mW/cm2であることが好ましい。光照射強度が0.1mW/cm2未満であると硬化反応時間が長くなる、すなわち長い照射時間をかけなければ硬化せず生産性向上に不利となる場合がある。また1000mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。
光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させると光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm2以上であることで重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また5000mJ/cm2以下であることで照射時間が長くなりすぎず良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上3μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、上記偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびに延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、保護フィルム、光学補償フィルムの透明性などの偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
<粘着剤層(第2粘着剤層)>
本発明の偏光板は、上記偏光フィルムの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の最表面(前述のように保護フィルムまたは光学補償フィルムが偏光フィルムに積層されている場合には、当該保護フィルムまたは光学補償フィルムの偏光フィルムが積層された側とは反対側の表面を意味し、当該保護フィルムまたは光学補償フィルムが偏光フィルムに積層されていない場合は、偏光フィルムの上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の表面を意味する)に、当該偏光板を液晶セルに貼合するための粘着剤層(本発明においてはこの粘着剤層を便宜的に「第2粘着剤層」と記す)が形成されていることが好ましい。このような第2粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を特に制限なく用いることができ、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。第2粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液のかたちで用い、それを上記最表面上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム上に形成されたシート状粘着剤を上記最表面上に転写する方法によっても設けることができる。第2粘着剤層の厚みは特に制限はないが、一般に2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
<光学機能性フィルム>
本発明の偏光板の外面には、別途、粘着剤層を介して光学機能性フィルムが貼着されていてもよい。光学機能性フィルムは、たとえば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの外面や、偏光フィルムの外面、また偏光フィルム側に保護フィルムを積層した場合はその外面に設けられる。偏光フィルムの外面または保護フィルムの外面に光学機能性フィルムを設けた場合、上記した第2粘着剤層は通常、さらにその外側に設けられる。光学機能性フィルムとしては、たとえば上述したセルロース系樹脂フィルムまたはシクロオレフィン系樹脂フィルムを基材とする光学補償フィルムのほか、基材表面に液晶性化合物が塗付され、配向されている光学補償フィルム、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止処理付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルムなどが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、たとえばDBEF(3M社製、日本では住友スリーエム(株)から入手できる)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、たとえばアートンフィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
<表面保護フィルム>
本発明の偏光板の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側最外面には、そこで露出することとなるフィルムに対して損傷やほこりの付着を防ぐ目的で、粘着剤層を有する第1表面保護フィルムを設ける。また、偏光板に上記第2粘着剤層が形成される場合には、その表面に、離型処理が施された第2表面保護フィルムを設けることができる。以下、これらの表面保護フィルムについて説明する。
<第1表面保護フィルム>
本発明の第1表面保護フィルムは、上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面(偏光フィルムと積層される側とは反対側の表面)に第1粘着剤層を介して積層される。そして、この第1表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であることを特徴とする。ここで、「ズレ角度」とは、上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて説明した「ズレ角度」と同様の意味を有し、同様の測定方法によって測定されるものである。かかるズレ角度は、12度以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10度以下である。ズレ角度が15度より大きいと、クロスニコル下で目視検査の際、かかる第1表面保護フィルムが偏光子間に挟み込まれた場合、当該検査の障害となり、異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるといった不具合を生じる。なお、このズレ角度は、小さくなる程好ましく、その下限値は0度であることが理想である。
このような第1表面保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、15〜75μmとすることが好ましい。かかる第1表面保護フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられるが、その中でも、透湿性や機械的強度の観点からポリエチレンテレフタレートの延伸フィルム(すなわち延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)が好ましい。
このように第1表面保護フィルムとして延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、その作製方法等は任意であり、特に限定されるものではなく、本発明の偏光フィルムに接着剤層を介して積層される上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
また、この第1表面保護フィルムを積層するための第1粘着剤層は、特に限定されるものではなく、アクリル系重合体やシリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリアミドやポリエーテル、フッ素系やゴム系など適宜なポリマーをベースポリマーとして用いることができる。このような第1粘着剤層は、偏光フィルムに接着剤層を介して積層された上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面(偏光フィルムと積層される側とは反対側の表面)に塗布されていてもよいが、この第1表面保護フィルムの貼合面に予め形成しておき、その形成された第1粘着剤層を介して上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に当該第1表面保護フィルムを積層することが特に好ましい。
このような第1粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、2〜40μmとすることが好ましい。
第1表面保護フィルムは通常、その延伸軸が、その下にある延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(偏光フィルムの片面に貼り合わされたもの)の延伸軸と平行関係または直交関係となるように貼り合わされる。偏光フィルムの片面に貼り合わされる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1表面保護フィルムとして、同じ延伸挙動のもの、たとえば、横一軸延伸フィルム同士、または横延伸倍率の方が大きい二軸延伸フィルム同士を用いて、ロール・ツー・ロール貼合すれば、両者の延伸軸が平行関係になるので、有利である。
<第2表面保護フィルム>
本発明で用いられる第2表面保護フィルムは、離型処理層を有し、その離型処理層を介して上記第2粘着剤層上に積層される。そして、この第2表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であることが好ましい。ここで、「ズレ角度」とは、上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて説明した「ズレ角度」と同様の意味を有し、同様の測定方法によって測定されるものである。かかるズレ角度は、12度以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10度以下である。ズレ角度が15度より大きいと、クロスニコル下で目視検査の際、かかる第2表面保護フィルムが偏光子間に挟み込まれた場合、当該検査の障害となり、異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるといった不具合を生じる。なお、このズレ角度は、小さくなる程好ましく、その下限値は0度であることが理想である。
このような第2表面保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、15〜75μmとすることが好ましい。かかる第2表面保護フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられるが、その中でも、透湿性や機械的強度の観点からポリエチレンテレフタレートの延伸フィルム(すなわち延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)が好ましい。本発明においては、この第2表面保護フィルムおよび上記第1表面保護フィルムの両者ともに延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが上記観点から特に好ましい。
なお、このように第2表面保護フィルムとして延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、その作製方法等は任意であり、特に限定されるものではなく、本発明の偏光フィルムに接着剤層を介して積層される上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
また、このような第2表面保護フィルムに形成される離型処理層は、離形性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。それらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分としたタイプが特に好ましい。また、この離型処理層を第2表面保護フィルム上へ形成する方法についても特に限定されるものではなく、適宜の方法で行なうことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり質量基準である。
<製造例1>偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールからなるフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールに二色性色素としてヨウ素が吸着配向し偏光フィルム(すなわちポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム)を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
<製造例2>接着剤層組成物の作製
次の各成分を混合し、液状の接着剤組成物を作製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 60部
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル 40部
ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート 4.0部
ベンゾインメチルエーテル 1.0部
<実施例1>
配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が4.6度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を、その貼合面にコロナ処理を施した後、製造例2で得られた接着剤組成物を、チャンバードクターを備えた塗工装置によって塗工することにより、接着剤層が形成された延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作製した。また、厚み68μmの延伸ノルボルネン系樹脂からなる光学補償フィルム(面内位相差値R0:63nm、厚み方向位相差値Rth:225nm)を用意し、その貼合面にコロナ処理を施した後、上記と同様に製造例2で得られた接着剤組成物を塗工することにより、接着剤層が形成された光学補償フィルムを作製した。
そして、このように各フィルムへ接着剤組成物を塗工した後、直ちに、製造例1で得られた偏光フィルムの片面に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、もう一方の面に光学補償フィルムを、各々フィルムの幅方向が偏光フィルムの吸収軸と直交するように接着剤組成物の塗工面を介して(すなわち接着剤層を介して)貼合ロールによって貼合した。その後、高圧水銀灯を280〜320nmの波長における積算光量換算で300mJ/cm2照射して接着剤組成物を硬化させて偏光板(前駆体)を得た。
さらに、この偏光板(前駆体)の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面(偏光フィルムが積層された側とは反対側の表面)に、第1粘着剤層が予め形成された、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が9.8度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる第1表面保護フィルムをその幅方向が偏光フィルムの吸収軸と直交するように該第1粘着剤層を介して貼合した。また、該光学補償フィルムの表面(すなわち偏光フィルムの上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の最表面)には、厚み25μmのアクリル系粘着剤の層からなる第2粘着剤層を設け、その第2粘着剤層上に離型処理層を有する配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が32.9度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる第2表面保護フィルムをその幅方向が偏光フィルムの吸収軸と直交するように離型処理層を介して貼合することにより、本発明の偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板と別途用意した検査用の偏光フィルムを用いて、各々の偏光フィルム(一は検査用の偏光フィルムであり他の一は偏光板に含まれる偏光フィルム)の吸収軸が直交するように配置し(クロスニコル)、白色光を照射することにより目視観察をしたところ、作製した偏光板の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側が偏光フィルム間に挟まった場合(偏光板の光学補償フィルムが2枚の偏光フィルムの外側に配置された状態)において、目視検査は可能であった。
<実施例2>
実施例1において、偏光フィルムに接着剤層を介して積層された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が12.1度のものとした以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。この偏光板を実施例1と同様にしてクロスニコル下で目視検査したところ、作製した偏光板の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側が偏光フィルム間に挟まった場合(偏光板の光学補償フィルムが2枚の偏光フィルムの外側に配置された状態)において、目視検査は可能であり、実使用上問題ないレベルであった。
<比較例1>
実施例1において、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が25.5度のものとした以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。この偏光板を実施例1と同様にしてクロスニコル下で目視検査したところ、作製した偏光板の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側が偏光フィルム間に挟まった場合(偏光板の光学補償フィルムが2枚の偏光フィルムの外側に配置された状態)において、光干渉性があり検査不可能であった。
<比較例2>
実施例1において、第1粘着剤層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる第1表面保護フィルムの配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が25.5度のものとした以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。この偏光板を実施例1と同様にクロスニコル下で目視検査したところ、作製した偏光板の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側が偏光フィルム間に挟まった場合(偏光板の光学補償フィルムが2枚の偏光フィルムの外側に配置された状態)において、光干渉性があり検査不可能であった。
<実施例3>
実施例1において、第2表面保護フィルムの配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が1.4度のものとした以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。この偏光板を実施例1と同様にクロスニコル下で目視検査したところ、いずれの面を偏光フィルム間に挟めた場合においても目視検査は可能であった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に、接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなる偏光板であって、
    前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下であり、
    前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に第1表面保護フィルムが第1粘着剤層を介して積層され、
    前記第1表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下である偏光板。
  2. 前記偏光フィルムの前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の表面に、保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層された請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光フィルムの前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された側とは反対側の最表面に、第2粘着剤層が形成された請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 離型処理層を有する第2表面保護フィルムがその離型処理層を介して前記第2粘着剤層上に積層され、
    前記第2表面保護フィルムは、配向主軸の延伸軸に対するズレ角度が15度以下である請求項3記載の偏光板。
  5. 前記第1表面保護フィルムは、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 前記第2表面保護フィルムは、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる請求項4または5に記載の偏光板。
  7. 前記偏光フィルムの片面に前記接着剤層を介して積層された前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、前記偏光フィルムが積層されている側とは反対側の表面に防眩層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
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