JP2010049063A - 偏光板 - Google Patents
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Abstract
【課題】適用される液晶パネルの薄肉化に対応しつつ、液晶パネルの強度を十分に補強することができる偏光板を提供するを提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、該偏光フィルムの他方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、を備える偏光板である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、該偏光フィルムの他方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、を備える偏光板である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に厚み20μm〜50μmのポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが積層されている偏光板に関する。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面または両面に、接着剤層を介して、透明保護フィルム、たとえばトリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系の透明保護フィルムを積層した構成となっている。これを、必要により他の光学フィルムを介して液晶セルに粘着剤で貼り合わせて液晶表示装置の構成部品とする。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニタ、パーソナルコンピュータなど、薄型の表示画面として、用途が急拡大している。特に液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に強い。液晶テレビ用の偏光板としては、従来、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの両面にトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を水系接着剤を用いて積層したものが用いられており、その偏光板の片面に粘着剤を介して位相差フィルムが貼合される。
偏光板に積層される位相差フィルムとしては、ポリカーボネート系樹脂フィルムの延伸加工品やシクロオレフィン系樹脂フィルムの延伸加工品などが使用されているが、液晶テレビ用には、高温における位相差ムラの非常に少ないシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムが多用されている。このような偏光板とシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムとの貼合品については、生産性の向上、製品コストの低減のため、構成する部品点数を減らしたり、製造プロセスを簡略化したりすることが考えられており、たとえば特許文献1には、位相差機能を有するシクロオレフィン系(ノルボルネン系)樹脂フィルム/偏光フィルム/TACフィルムの積層構成が開示されている。
また、特許文献2〜4には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムとシクロオレフィン系保護フィルムとを、ウレタン系の水系接着剤で接合することが記載されている。
特開平8−43812号公報
特開2005−70140号公報
特開2005−181817号公報
特開2005−208456号公報
大画面液晶テレビ用途においては、薄型化して壁掛けテレビとしてのニーズが顕在化しているが、この場合、液晶パネルに使用する部品に関し、以下の点が課題となる。
(1)液晶パネルの薄型大画面化に対応して、パネルの強度を補強する必要がある。
(2)液晶テレビの薄型化に対応して、使用する部材の薄肉化が必要となる。
(3)液晶パネルと背面のバックライトシステムとの隙間が狭くなり、液晶パネルとバックライトシステムとの接触が原因で起こる、円形状のムラや、ニュートンリングを防止する必要がある。
(1)液晶パネルの薄型大画面化に対応して、パネルの強度を補強する必要がある。
(2)液晶テレビの薄型化に対応して、使用する部材の薄肉化が必要となる。
(3)液晶パネルと背面のバックライトシステムとの隙間が狭くなり、液晶パネルとバックライトシステムとの接触が原因で起こる、円形状のムラや、ニュートンリングを防止する必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、適用される液晶パネルの薄肉化に対応しつつ、液晶パネルの強度を十分に補強することができる偏光板を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方に接着剤層を介して厚み20μm〜50μmの第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが積層されており、該偏光フィルムの他方の面には厚み20μm〜50μの第二のポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板は、薄型化が達成されているにも関わらず、機械的強度に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、該偏光フィルムの他方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、を備える偏光板を提供する。
本発明の偏光板において、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に積層された、表面凹凸を有するハードコート層を有することが好ましい。
また、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、二軸延伸または一軸延伸されたものであり、第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、一軸延伸されたものまたは延伸されていないものであることが好ましい。
第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に積層された、粘着剤層を有することができる。
本発明の偏光板によれば、適用される液晶パネルの機械的強度の向上および薄肉化を同時に達成することができる。また、このような本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、大画面液晶テレビ用液晶表示装置、特には壁掛け可能な液晶テレビ用液晶表示装置に好適に適用することができる。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、該偏光フィルムの他方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとを備える。以下、各構成部材について詳細に説明する。
(偏光フィルム)
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムは、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニル酢酸系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニル酢酸系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムは、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニル酢酸系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニル酢酸系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000の範囲内、好ましくは1500〜5000の範囲内である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、たとえば10〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、ならびに、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
また、偏光フィルムの製造に際し、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行なってもよいし、染色処理工程中に行なってもよいし、染色処理工程の後に行なってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後に行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行なってもよいし、ホウ酸処理工程中に行なってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸は、周速の異なるロール間で一軸に延伸するようにしてもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸するようにしてもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
染色処理工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行なわれる。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶液二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、特に好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程に用いるホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、たとえば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗処理後は、通常、乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、たとえば熱風乾燥機、遠赤外線ヒータなどを好適に用いて行われる。乾燥処理の温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理および水洗処理を施して、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μmの範囲内である。本発明の偏光板は、このような偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが積層され、他方の面に接着剤層を介して、第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが積層されている。
(第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)
本発明の偏光板に用いられる第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを延伸したものであり、その厚みは20〜50μmである。第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、薄肉化、機械的強度の理由から、一軸延伸または二軸延伸されたものであることが好ましい。
本発明の偏光板に用いられる第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを延伸したものであり、その厚みは20〜50μmである。第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、薄肉化、機械的強度の理由から、一軸延伸または二軸延伸されたものであることが好ましい。
ここで、本発明において、上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートとは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂であり、他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4.4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサンなどのジカルボン酸成分;たとえばプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記ジカルボン酸成分やジオール成分と共に、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を併用することも可能である。このような他の共重合成分は、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有する化合物を含んでいてもよい。
ポリエチレンテレフタレートの製造法としては、テレフタル酸とエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸および/または他のジオール)とを直接反応させる、いわゆる直接重合法;テレフタル酸のジメチルエステルとエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジメチルエステルおよび/または他のジオール)とをエステル交換反応させる、いわゆるエステル交換反応などの任意の製造法を適用することができる。また、ポリエチレンテレフタレートには、公知の添加剤を必要に応じて含有させることができる。たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の添加量は最小限にとどめておくことが好ましい。
本発明に用いられる、一軸延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを製造する方法については特に制限されるものではないが、原料樹脂であるポリエチレンテレフタレートを溶融し、シート状に押出し成形された無配向フィルムをガラス転移温度以上の温度においてテンターで横延伸後、熱固定処理を施す方法が挙げられる。一軸延伸処理を行なうことにより、機械的強度のより高いポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを得ることができる。延伸温度は80〜130℃、好ましくは90〜120℃であり、延伸倍率は2.5〜6倍、好ましくは3〜5.5倍である。延伸倍率が低くなると、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが十分な機械的強度を示さない場合がある。
なお、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムにおける配向主軸の歪みを低減する観点からは、上述した横延伸後であって熱固定処理を行なう前に、フィルムを長手方向に弛緩処理することが好ましい。弛緩処理する温度は90〜200℃、好ましくは120〜180℃である。弛緩量は横延伸条件によって異なるが、弛緩処理後のフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように弛緩量および温度を設定することが好ましい。
熱固定処理の温度は、通常180〜250℃であり、好ましくは200〜245℃である。熱固定処理は、まず、定長で上記温度での処理を行ない、さらにフィルムの幅方向における弛緩の割合が1〜10%(好適には2〜5%)となるように弛緩処理を行なうようにすることが好ましい。このようにして、配向主軸の歪みが低減され、耐熱性に優れた一軸延伸されたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが得られる。本発明においては、配向主軸の歪みの最大値が10度以下、より好ましくは8度以下、さらに好ましくは5度以下のポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられる。配向主軸の歪みの最大値が10度を超えるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを用いた場合には、このようなポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを用いた偏光板を液晶表示装置の液晶表示画面に貼合した際に、色付不良が大きくなる傾向にある。なお、上述したポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの配向主軸の歪みの最大値は、たとえば位相差フィルム検査装置RETSシステム(大塚電子(株)製)を用いることで測定できる。
以上のようにして、一軸延伸されたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを得ることができる。二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、上記横延伸に引き続いて、縦延伸処理を行なうことにより得ることができる。
本発明において、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みは、20〜50μmとされ、好ましくは30〜40μmである。厚みが20μm未満のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを用いた場合には、フィルムのハンドリングが難しく、また、厚みが50μmを超えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、薄肉化のメリットが薄れるためである。
第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、偏光フィルムと貼着される面とは反対側の表面に、微細な表面凹凸を有するハードコート層(防眩層とも呼ばれる)を有していてもよい。このような微細な表面凹凸を有するハードコート層を備えるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムのヘイズは、3〜40%の範囲が好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムのヘイズは、JIS K 7136に規定されるとおり、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義され、市販のヘイズメータで測定することができる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム表面にハードコート層を形成する方法としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム表面に、無機微粒子または有機微粒子を樹脂バインダーに混合した塗布液をコートする方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを代表的なものとして用いることができる。また、上記有機微粒子としては、架橋ポリアクリル酸粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などの耐熱性樹脂粒子を用いることができる。なお、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムにヘイズを付与する他の方法として、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム自体に無機微粒子または有機微粒子を含有させる方法を挙げることができる。
また、上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムにおける、偏光フィルムと貼着する面と反対側の面には、上記以外のハードコート処理、帯電防止処理などの表面処理が施されていてもよい。また、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムを用いても、ほぼ同様の効果が得られる。
本発明に用いられる第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、面内位相差値R0が1000nm以上であることが好ましく、3000nm以上であることがより好ましい。面内位相差値R0が1000nm未満のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを用いた場合には、正面からの色つきが目立つ傾向にあるためである。また、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの面内位相差値R0の上限は10000nm程度までで十分である。
上述したような特性を兼ね備える第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなど総合的に優れるものであり、本発明の偏光板に特に好適に用いられ得る。
(第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)
本発明の偏光板に用いられる第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと同様の観点から、その厚みは20〜50μmとされ、好ましくは30〜40μmである。第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、大きな位相差による画像の品質低下(干渉ムラ)を避ける理由から、一軸延伸されたものであるか、あるいは延伸されていないもの(未延伸)であることが好ましい。未延伸のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとしては、上記したシート状に押出し成形された無配向フィルムを用いることができる。
本発明の偏光板に用いられる第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと同様の観点から、その厚みは20〜50μmとされ、好ましくは30〜40μmである。第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、大きな位相差による画像の品質低下(干渉ムラ)を避ける理由から、一軸延伸されたものであるか、あるいは延伸されていないもの(未延伸)であることが好ましい。未延伸のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとしては、上記したシート状に押出し成形された無配向フィルムを用いることができる。
第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに用いるポリエチレンテレフタレート、フィルムの製造方法、およびフィルムの各種特性(配向主軸の歪みの最大値、ヘイズ、面内位相差値R0等)は、第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと同様であってもよいし、異なっていてもよい。
次に、本発明の偏光板の製造方法について説明する。本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムの両面に接着剤を介して、それぞれ第一および第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを貼合する。第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを貼合するための接着剤と、第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを貼合するための接着剤とは、同種の接着剤であってもよいし、異種の接着剤であってもよい。接着剤としては、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものが挙げられる。水系の接着剤を用いることにより、偏光フィルムとポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとの間に形成される接着剤層を薄くすることができる。好ましく用いられる水系接着剤としては、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を含有する接着剤組成物を挙げることができる。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いた場合、該接着剤は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製される。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分、架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(住化ケムテックス(株)製)、「スミレーズレジン675」(住化ケムテックス(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)などが挙げられる。これら硬化性成分、架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分、架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分、架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にあるためである。
また、接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また上述した特開2005−70140号公報(特許文献2)、特開2005−208456号公報(特許文献4)には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを接合する形態が示されている。
偏光フィルムに上述した第一および第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを、接着剤を用いて貼合する方法としては、通常一般に知られているものでもよく、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などによって偏光フィルムおよび/またはそこに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに貼合されるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとをニップロールなどにより挟んで貼り合わせることにより、これらフィルムが接合される。また、偏光フィルムとポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して均一に押し広げる方法も好ましく採用される。ロールの材質としては金属やゴムなどを用いることが可能である。これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
また、偏光フィルムおよび/またはポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの接着面には、接着性を向上させるため、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
偏光フィルムに第一および第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを、それぞれ接着剤を介して積層させた後、乾燥して接着剤を硬化させることにより接着剤層を形成する。この乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行なわれ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。接着剤層の厚みが0.001μm未満である場合には、接着が不十分となる虞があり、また、接着剤層の厚みが5μmを超えると、偏光板の外観不良が生じる虞がある。
貼合後、室温以下の温度で少なくとも半日、通常は1日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行なわれる。好ましい養生温度は30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は適度にあっても構わず、相対湿度が0〜70%の範囲にあればよい。養生時間は、通常1〜10日、好ましくは2〜7日である。
また、本発明においては、接着剤として光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤などの混合物が挙げられる。この場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。該照射強度が0.1mW/cm2以上であると、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下であると、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる虞が少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/m2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/m2以上であると、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また、10000mJ/m2以下であると、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびにポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの透明性といった偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
本発明の偏光板において、第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、その外面(偏光フィルムに貼合された側とは反対側の面)に粘着剤層を有することが好ましい。このような粘着剤層は、液晶セルとの貼合や後述する光学機能性フィルムとの貼合に用いることができる。粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を特に制限なく用いることができ、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液の形態で用い、それを第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚みについても特に制限はないが、一般に2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
上述した粘着剤層が形成される場合、本発明の偏光板には、当該粘着剤層を介して光学機能性フィルムが積層されてもよい。光学機能性フィルムとしては、たとえば、基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルムなどが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、「WVフィルム」(富士フィルム(株)製)、「NHフィルム」(新日本石油(株)製)、「NRフィルム」(新日本石油(株)製)などが挙げられる。ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、たとえば「DBEF」(3M社製、日本では住友スリーエム(株)から入手できる)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、たとえば「アートンフィルム」(JSR(株)製)、「エスシーナ」(積水化学工業(株)製)、「ゼオノアフィルム」((株)オプテス製)などが挙げられる。
本発明の偏光板を、粘着剤層を介して液晶セルに貼合することにより、液晶表示装置を得ることができる。本発明の偏光板は、通常、その第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム側が液晶セルに対向するように液晶セルに貼合される。このような本発明の偏光板を備える液晶表示装置は、薄肉化に対応しつつ十分な機械的強度を有する。液晶表示装置のその他の構成については、従来公知の液晶表示装置の適宜の構成を採用することができ、また、液晶表示装置が通常備える他の構成部材(光拡散板、バックライトなど)についても特に制限されるものではない。
本発明の偏光板を液晶表示装置に適用する場合、本発明の偏光板は、「背面側偏光板」として用いられてもよいし、「前面側偏光板」として用いられてもよい。「背面側偏光板」とは、液晶表示装置に搭載した際における液晶セルのバックライト側に配置される偏光板を意味し、「前面側偏光板」とは、液晶表示装置に搭載した際における液晶セルの視認側に配置される偏光板を意味する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り、重量基準である。以下の例において、延伸フィルムの面内位相差値R0は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した値を指す。また、ヘイズは、JIS K 7136に準拠したヘイズメータHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した値を指す。配向主軸の歪みの最大値は、位相差フィルム検査装置RETSシステム(大塚電子(株)製)を用いて測定した値を指す。
<実施例1>
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬する。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬する。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得る。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍とする。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬する。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬する。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得る。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍とする。
厚み40μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(配向主軸の歪みの最大値:2度、面内位相差値R0:3800nm)を用意し、その接着面にコロナ処理を施す。別途、厚み40μm、ヘイズ17%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(配向主軸の歪みの最大値:2度、面内位相差値R0:3800nm)を用意し、その接着面にコロナ処理を施す。
次に、上記偏光フィルムの両面に、上記一軸延伸および二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを、そのコロナ処理面が接着面となるように、光硬化型接着剤を介して貼合した後、紫外線を照射することにより接着し、偏光板を得る。この偏光板は通常の偏光板と比較しても軽量化されており、引き裂き強度も高くなっている。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである、延伸された第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、
前記偏光フィルムの他方の面に接着剤層を介して積層された、厚みが20μm〜50μmである第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムと、
を備える偏光板。 - 前記第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、前記偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に積層された、表面凹凸を有するハードコート層を有する請求項1に記載の偏光板。
- 前記第一のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、二軸延伸または一軸延伸されたものであり、前記第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、一軸延伸されたものまたは延伸されていないものである請求項1または2に記載の偏光板。
- 前記第二のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、前記偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に積層された、粘着剤層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
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