JP2014146035A - 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅方向での収縮率を低減されており、およびカールの発生を抑制することができる、偏光子を製造する方法を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、乾燥工程を施す偏光子の製造方法において、前記乾燥工程は、前記各工程が施されたフィルムに、延伸することなく、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を連続的にまたは断続的に有し、かつ、前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)とした場合に、(T0/T)=0〜0.2、(T2/T)=0.5〜1、および、(T2/T1)=0.8〜1、を満足する。
【選択図】図2
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、乾燥工程を施す偏光子の製造方法において、前記乾燥工程は、前記各工程が施されたフィルムに、延伸することなく、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を連続的にまたは断続的に有し、かつ、前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)とした場合に、(T0/T)=0〜0.2、(T2/T)=0.5〜1、および、(T2/T1)=0.8〜1、を満足する。
【選択図】図2
Description
本発明は、偏光子の製造方法および当該製造方法により得られた偏光子に関する。また本発明は当該偏光子を用いた偏光板、光学フィルム、さらには当該偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
液晶表示装置は、パソコン、TV、モニター、携帯電話、PDA等に使用されている。従来、液晶表示装置等に用いる偏光子としては高透過率と高偏光度を兼ね備えていることから、染色処理されたポリビニルアルコール系フィルムが用いられている。当該偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムに、浴中にて、例えば、膨潤、染色、架橋、延伸等の各処理を施した後に、洗浄処理を施してから、乾燥することにより製造される。また前記偏光子は、通常、その片面または両面にトリアセチルセルロール等の保護フィルムが接着剤を用いて貼合された偏光板として用いられている。
近年では、液晶表示装置の高性能化が進み、高い視認性を得るために液晶パネルにはコントラストの向上が求められている。すなわち、黒はより黒く、白はより白く明るいことが望まれており、それに伴い、偏光子の偏光性能の更なる向上が求められている。したがって、偏光性能としては、高い偏光度を持ちながら、高い透過率を有することが非常に重要となっている。
また、偏光子は、液晶表示装置の薄型化に伴い薄型化が要求され、また画面サイズの大型化に伴い広幅のものが求められている。しかし、偏光子に用いられるポリビニルアルコール系フィルムは、延伸処理が施されているため、乾燥処理により水分が除去される際には、フィルムが幅方向に収縮してしまい、一方、厚さ方向では前記幅方向の収縮によって厚さが大きくなる傾向があり、前記要求を満足できるものではなかった。
例えば、偏光子の製造にあたり、各工程が施されたフィルムに対する乾燥工程を制御することにより、偏光子の特性を向上することが提案されている(特許文献1,2)。特許文献1では、前記フィルムに係る乾燥工程の初期段階において、前記フィルムの水分率を熱ロール等で急激に乾燥させることにより、耐久性および光学特性の良好な偏光子が得られることが記載されている。また、特許文献2では、前記フィルムの乾燥工程を複数の熱ロール間で延伸しながら行うことにより、乾燥工程における収縮を制御でき、幅広の偏光子が得られることが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の方法によれば、耐久性および光学特性の良好な偏光子は得られるものの、幅方向での収縮を十分には抑えられず、またカールが発生していた。また、特許文献2に記載の方法によれば、乾燥工程における幅方向での収縮を制御できるものの、フィルム走行方向に延伸するため縦方向でのカールが発生しやすくなる。また、乾燥工程における幅方向の収縮についてもさらなる向上が求められる。
本発明は、幅方向での収縮率を低減することができ、かつカールの発生を抑制することができる、偏光子を製造する方法を提供することを目的とする。
また本発明は、当該製造方法によって得られた偏光子を提供すること、当該偏光子を用いた偏光板、光学フィルムを提供することを目的とする。さらに本発明は、当該偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光子の製造方法等により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、乾燥工程を施す偏光子の製造方法において、
前記乾燥工程は、前記各工程が施されたフィルムに、延伸することなく、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を連続的にまたは断続的に有し、かつ、
前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、
前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、
前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、
前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)とした場合に、
(T0/T)=0〜0.2、
(T2/T)=0.5〜1、および、
(T2/T1)=0.8〜1、を満足することを特徴とする偏光子の製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、乾燥工程を施す偏光子の製造方法において、
前記乾燥工程は、前記各工程が施されたフィルムに、延伸することなく、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を連続的にまたは断続的に有し、かつ、
前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、
前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、
前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、
前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)とした場合に、
(T0/T)=0〜0.2、
(T2/T)=0.5〜1、および、
(T2/T1)=0.8〜1、を満足することを特徴とする偏光子の製造方法に関する。
前記偏光子の製造方法において、前記乾燥工程が施される、前記各工程が施されたフィルムの水分率が30〜40重量%であり、乾燥工程を施すことにより、得られる偏光子の水分率を15重量%以下にすることが好ましい。
前記偏光子の製造方法によれば、正面配向性Rpva(但し、Rpva=Nx−Nyであり、偏光子の吸収軸方向および透過軸方向の屈折率をそれぞれNx、NyとするRpva)が、0.03〜0.04の偏光子を得ることができる。
前記偏光子の製造方法において、前記拘束乾燥工程は、前記フィルムを熱ロールに接触させることにより行なうことができる。
また本発明は、前記製造方法により得られた偏光子、に関する。
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護フィルムを設けた偏光板、に関する。
また本発明は、前記偏光子または前記偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
また本発明は、前記偏光子、前記偏光板または前記光学フィルムを少なくとも1枚用いた画像表示装置、に関する。
上記本発明の偏光子の製造方法では、ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を施すことにより得られたフィルムについて、乾燥工程を施すにあたり、延伸することなく、幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を、時間を制御した所定の条件で施すことで、得られる偏光子の幅方向での収縮およびカールを抑制することができる。
一般に、フィルムの乾燥を、フィルムが非拘束の状態において熱風等のみにより行う非拘束乾燥は、フィルムの端部で自由収縮が生じる。即ち、非拘束乾燥によりフィルムから水分が除去されるとフィルムの端部での収縮率がフィルムの中央部の収縮率よりも大きくなり、フィルムの端部と中央部とで収縮率の差が大きくなる。その結果、フィルムの幅方向で寸法変化が大きくなり、カールが発生する。カールの発生は、偏光子(偏光板等)等の光学フィルムを液晶パネル等に貼り合せる際の歩留まりを低下させ、環境試験での耐久性(例えば耐クラック性等)の低下、打抜き時の歩留まりの低下を招く。さらには、上記のように、非拘束乾燥では、フィルムの幅方向での収縮が起こるため、得られる偏光子の外観劣化が見られ、また、面積歩留まりが低下する点からも好ましくない。
一方、本発明の乾燥工程において採用している拘束乾燥は、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥が行なわれるため、フィルムから水分を除去する乾燥時においてはフィルムの幅方向に張力がかかった状態にあり、フィルム端部での収縮が抑制される。そのため、フィルムの端部と中央部との収縮率の差を小さく制御することができ、フィルムの幅方向での寸法安定性が高くなる。また、前記拘束乾燥は、幅方向に張力がかかった状態にはあるが、幅方向に延伸が施されているものではなく、また、本発明の乾燥工程は、フィルムの走行方向にも延伸することなく行なっているため、乾燥工程の延伸に起因して収縮が生じることもない。
また本発明では、乾燥工程においてフィルム端部での収縮の大きさが熱伝導係数(即ち、フィルム中の水分率)に依存していることを見出し、特に、フィルム中の水分率が多い、乾燥の初期段階で、フィルム端部で収縮が生じることを見出した。なお、乾燥工程の初期段階に比べてフィルムの水分率が低下している、後期段階では、水分の乾燥は、フィルム内の水拡散係数(cm2/sec)に依存しており、偏光子の幅方向の収縮に及ぼす影響は少ないことも見出した。そこで、本発明では、前記拘束乾燥を乾燥工程の初期段階から施し、しかも、初期段階から全乾燥工程の時間の1/2以上の時間になるように、拘束乾燥を長時間に亘って行なっている。乾燥条件(乾燥温度、時間等)は、乾燥工程が施されるフィルムの水分率と得られる偏光子の水分率から設定されるが、本発明のように乾燥工程の初期段階において拘束乾燥を長時間施すことで、フィルム端部での収縮を乾燥の初期段階で抑えることにより、フィルムの元幅を維持して、広幅で寸法安定性の良好な偏光子を得ることができる。
以上のように、本発明の製造方法で得られる偏光子は、寸法安定性が良好であるためカールの発生を抑制することができる。カールを抑制できるため、偏光子(偏光板等)等の光学フィルムを液晶パネル等に貼り合せを良好に行なうことができる。またカールが抑制されているため、耐久性(例えば耐クラック性等)を向上することができ、また偏光子の打抜き時の歩留まりを向上することができる。また、幅方向の収縮が抑制されているため、得られる偏光子の外観が良好であり、また偏光子の面積歩留まりもよい。
このように、本発明の偏光子の製造方法によれば、フィルムの幅方向の収縮が抑制されるため、偏光子の厚みを薄くすることができ、偏光子の薄型化が可能である。偏光子を薄型化した場合には、偏光子を用いた偏光板(光学フィルム)等の製品を薄型化でき、また長尺巻きのうえからも好ましい。また、本発明の偏光子は薄型化した場合にも、耐久性(例えば耐クラック性等)が良好であり、またカールの発生も抑制することができる。
偏光子表面の配向関数fは、次式:f=(1−D)/(2*D+1)*(−2)、で表され、Dは平行偏光入射時のピーク吸光度(フィルム幅方向の吸光度)の比A//=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)を垂直偏光入射時のピーク吸光度(フィルム延伸方向の吸光度)の比A⊥=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)で割った値(二色比)である。ここで、a(k)は、波数kでのピーク吸光度を表す。A//やA⊥はART法(全反射吸収測定法;入射角度45°)により測定できる。fが高いほど、高分子の配向性は高くなり、光学特性も高くなる。本発明の製造方法により得られる偏光子は、偏光子表面の配向関数fが高く光学特性が良好である。
一方、本発明の製造方法により得られる偏光子の正面配向性Rpva(但し、Rpva=Nx−Nyであり、偏光子の吸収軸方向および透過軸方向の屈折率をそれぞれNx、Nyとする)は、0.03〜0.04であり、当該正面配向性Rpvaの値は、本発明の乾燥工程以外の方法(非拘束乾燥を採用した場合等)で得られた偏光子の正面配向性Rpvaに比べて小さい。本発明では、乾燥工程の初期段階から長時間に亘り、幅方向に張力がかかった状態で乾燥が施されることから、正面配向性Rpvaが小さくなっており、当該正面配向性Rpvaの小ささが、寸法変化の小さいことを表していると言える。即ち、正面配向性Rpvaは偏光子の力学特性を示す物性値(カール、耐クラック性、幅方向の収縮率等)と考えられ、本発明の製造方法により得られる偏光子は、正面配向性Rpvaの値により特定することもできる。
本発明の偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムとしては、可視光領域において透光性を有し、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を分散吸着するものを特に制限なく使用できる。通常、原反として用いる、ポリビニルアルコール系フィルムは厚さ10〜300μm程度のものが用いられる。好ましくは20〜100μmである。本発明の製造方法によれば偏光子の薄型化が可能であり、薄型化の観点からすれば、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは40〜80μmにおいても好適に用いることができる。原反として用いる、ポリビニルアルコール系フィルムの幅は、通常、100〜5000mm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムとしては、例えば、従来より偏光子に用いられているポリビニルアルコール系フィルムが好適に用いられる。ポリビニルアルコール系フィルムの材料としては、ポリビニルアルコールまたはその誘導体があげられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜10000程度が好ましく、1000〜10000がより好ましい。ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
上記の他、ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤等の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
本発明では、ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程が施される。
染色工程は、上記ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより行う。染色工程は、延伸工程とともに行うことができる。染色は、通常、上記フィルムを染色溶液に浸漬することにより一般に行われる。染色溶液としてはヨウ素溶液が一般的である。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素および溶解助剤であるヨウ化化合物によりヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。ヨウ化化合物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が用いられる。ヨウ化化合物としては、ヨウ化カリウムが好適である。本発明で用いるヨウ化化合物は、他の工程で用いる場合についても、上記同様である。
ヨウ素溶液中のヨウ素濃度は0.01〜1重量%程度、好ましくは0.02〜0.5重量%である。ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜8重量%で用いるのが好ましい。ヨウ素染色にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
架橋工程は、架橋剤として、通常、ホウ素化合物を用いて行う。架橋工程の順序は特に制限されない。架橋工程は、延伸工程とともに行うことができる。架橋工程は複数回行うことができる。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等があげられる。ホウ素化合物は、水溶液または水−有機溶媒混合溶液の形態で一般に用いられる。通常は、ホウ酸水溶液が用いられる。ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、2〜15重量%程度、好ましくは3〜13重量%である。架橋度により耐熱性を付与するには、前記ホウ酸濃度とするのが好ましい。ホウ酸水溶液等には、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。ホウ酸水溶液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%で用いるのが好ましい。
架橋工程は、前記ポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸水溶液等へ浸漬することにより行うことができる。その他、前記ポリビニルアルコール系フィルムに、ホウ素化合物等を、塗布法、噴霧法等により適用して行うことができる。架橋工程における処理温度は、通常、25℃以上、好ましくは30〜85℃、さらには30〜60℃の範囲である。処理時間は、通常、5〜800秒間、好ましくは8〜500秒間程度である。
延伸工程は、通常、一軸延伸を施すことにより行う。この延伸方法は、染色工程、架橋工程とともに施すことができる。延伸方法は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、本発明では湿潤式延伸方法を用いるのが好ましい。湿潤式延伸方法としては、例えば、染色工程を施した後、延伸を行うことが一般的である。また架橋工程とともに延伸を行うことができる。一方、乾式延伸の場合は、延伸手段としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等があげられる。前記延伸手段において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。延伸工程は多段で行うこともできる。
湿潤式延伸方法に用いる処理液にヨウ化化合物を含有させることができる。当該処理液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%で用いるのが好ましい。湿潤式延伸方法における処理温度は、通常、25℃以上、好ましくは30〜85℃、さらには30〜60℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜800秒間、好ましくは30〜500秒間程度である。
延伸工程では、総延伸倍率が、ポリビニルアルコール系フィルムの元長に対して、総延伸倍率で3〜17倍の範囲になるように行う。好ましくは4〜10倍、さらに好ましくは4〜8倍である。すなわち、前記総延伸倍率は、延伸工程以外の、後述の膨潤工程等において延伸を伴う場合には、それらの工程における延伸を含めた累積の延伸倍率をいう。総延伸倍率は、膨潤工程等における延伸倍率を考慮して適宜に決定される。総延伸倍率が低いと、配向が不足して、高い光学特性(偏光度)の偏光子が得られにくい。一方、総延伸倍率が高すぎると延伸切れが生じ易くなり、また偏光子が薄くなりすぎて、続く工程での加工性が低下するおそれがある。
本発明の偏光子の製造方法では、上記染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施すが、前記染色工程を施す前に、膨潤工程を施すことができる。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。
膨潤工程において用いられる処理液としては、通常、水、蒸留水、純水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。また、当該処理液にはヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%で用いるのが好ましい。
膨潤工程における処理温度は、通常、20〜45℃程度に調整するのが好ましい。さらには、25〜40℃であるのが好ましい。なお、膨潤ムラがあるとその部分が染色工程において染色のムラになるため膨潤ムラは発生させないようにする。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
膨潤工程では、適宜に延伸することができる。前記延伸倍率は、ポリビニルアルコール系フィルムの元長に対して、通常、6.5倍以下とされる。好ましくは、光学特性の点から、前記延伸倍率は、1.2〜6.5倍、さらには2〜4倍、さらには2〜3倍にするのが好ましい。膨潤工程において、延伸を施すことにより、膨潤工程後に施される延伸工程での延伸を小さく制御することができ、フィルムの延伸破断が生じないように制御できる。一方、膨潤工程での、延伸倍率が大きくなると、延伸工程での延伸倍率が小さくなり過ぎ、特に、架橋工程の後に延伸工程を施す場合には光学特性の点で好ましくない。
本発明の偏光子の製造方法では、上記染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施すが、これら工程の他に、金属イオン処理を施すことができる。金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。金属イオン処理により、種々の金属イオンをポリビニルアルコール系フィルム中に含有させることができる。
金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましく用いられる。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などがあげられる。
本発明の偏光子の製造方法では、前記のように、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、洗浄工程を施すことができる。
洗浄工程は、ヨウ化カリウム溶液により行うことができる。前記ヨウ化カリウム溶液におけるヨウ化カリウム濃度は、通常、0.5〜10重量%程度、さらには0.5〜8重量%、さらには1〜6重量%の範囲である。
ヨウ化カリウム溶液による洗浄工程にあたり、その処理温度は、通常15〜60℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。ヨウ化カリウム溶液による洗浄工程の段階は、乾燥工程前であれば特に制限はない。
また、洗浄工程としては、水洗浄工程を施すことができる。水洗浄工程は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。水洗浄温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間程度である。
前記水洗浄工程は、ヨウ化カリウム溶液による洗浄工程と水洗浄工程を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
前記各工程を施した後には、最終的に、乾燥工程を施して、偏光子を製造する。乾燥工程が施される偏光子は、30〜40重量%の水分率を有するものが、通常、用いられる。水分率を30〜40重量%に調整するには、前記各工程において、処理浴(水浴)への浸漬時間等を制御することで行うことができる。乾燥工程が施される前記フィルムの水分率は、乾燥効率の点から、通常、30〜35重量%であるのが好ましい。
また、本発明の乾燥工程では、30〜40重量%の水分率を有する前記偏光子に乾燥工程を施して、通常、前記偏光子の水分率を15重量%以下にする。前記乾燥工程は、通常、前記各工程が、一連の連続工程で行われることから、乾燥工程も、前記各工程に引き続く、連続工程として行うことができる。乾燥工程が施された前記偏光子の水分率は、フィルム強度や搬送性の点から、通常、8〜15重量%であるのが好ましい。前記水分率は、10〜15重量%であるのが好ましい。
なお、本発明の偏光子の水分率は、以下のようにして測定した値である。即ち、当該偏光子を、100×100mmの大きさに切り出して、このサンプルの初期重量を測定した。続いて、このサンプルを120℃で2時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を測定した。
水分率(重量%)={(初期重量−乾燥重量)/初期重量}×100。
重量の測定はそれぞれ3回ずつ行い、その平均値である。
水分率(重量%)={(初期重量−乾燥重量)/初期重量}×100。
重量の測定はそれぞれ3回ずつ行い、その平均値である。
本発明の乾燥工程では、前記各工程が施された偏光子に、延伸することなく、偏光子の幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を有する。拘束乾燥工程は、幅方向に張力がかかって、偏光子の幅方向を拘束しながら乾燥する手段を採用した工程である。また、当該拘束乾燥工程は、幅方向に張力がかかっているが延伸することなく乾燥する。また、偏光子の流れ方向(縦方向)にも張力がかかっているが延伸をすることなく、乾燥する。
前記拘束乾燥工程は、全乾燥工程において、連続的にまたは断続的に有する。また、前記拘束乾燥工程は、下記のように乾燥工程の初期段階において長時間施される。即ち、前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)とした場合に、(T0/T)=0〜0.2、(T2/T)=0.5〜1、および、(T2/T1)=0.8〜1、を満足するように、時間が制御された拘束乾燥工程が施される。以下に、乾燥工程における時間経緯を示す、図1A乃至Cを参照しながら、前記時間が制御された拘束乾燥工程を説明する。
(T0/T)の値は、乾燥工程の全乾燥時間(T)に対する、前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間(T0)の割合であり、前記拘束乾燥工程の開始は、乾燥工程の開始(例えば、乾燥オーブンへのフィルム入口)とともに始まってもよく、乾燥工程に入ったのちに始まってもよいことを示す。前記拘束乾燥工程の開始が、乾燥工程の開始とともに始まる場合は、(T0/T)=0、である。この場合は、図1Bに示されている。一方、時間(T0)の終点は、拘束乾燥工程の開始時点であり、この開始時点まで、フィルムが水分率30重量%以上に確保できていれば、フィルムの端部の収縮を抑えられると考えられる。前記水分率は、30〜40重量%が好ましく、さらに30〜35重量%であることが好ましい。かかる観点から、前記拘束乾燥工程の開始は、乾燥工程の初期段階であることが必要であり、前記時間(T0)は、(T0/T)が0.2以下になるように短時間に設定される。前記(T0/T)は0.15以下が好ましく、さらには0.1以下が好ましい。時間(T0)を有する場合(0以上の場合)は、図1A、Cに示されている。なお、図1Bの態様においても時間(T0)を有する場合(0以上の場合)を設定することができる。乾燥工程の全乾燥時間(T)は、通常、30〜300秒間であるのが好ましく、さらには30〜150秒間であるのが好ましく、さらには30〜100秒間であるのが好ましい。また、時間(T0)は、通常、60秒間以下であるのが好ましく、さらには30秒間以下であるのが好ましく、さらには12秒間以下であるのが好ましい。
(T2/T)の値は、乾燥工程の全乾燥時間(T)に対する、拘束乾燥工程を施している時間(T2)の割合であり、(T2/T)=0.5〜1の範囲になるように時間(T1)と時間(T2)が設定される。即ち、(T2/T)の値が0.5以上を満足することで、乾燥工程の全乾燥時間(T)の1/2以上を乾燥工程の初期段階で施すことが確保される。(T2/T)の値は0.7〜0.8が好ましい。図1Aでは、乾燥工程の全乾燥時間(T)の70%が、拘束乾燥工程の時間(T2)になっている場合であり、(T2/T)=0.7に該当する。なお、図1Aに示すように、拘束乾燥工程の終点から、乾燥工程の終点(例えば、乾燥オーブン内へのフィルム出口)までの時間(T3)における、乾燥手段は特に制限されず、非拘束乾燥工程を施すことができ、また断続的な、拘束乾燥工程を設けることもできる。図1Bでは、乾燥工程の全乾燥時間(T)と、拘束乾燥工程の時間(T2)が一致している場合であり、(T2/T)=1に該当する。
(T2/T1)の値は、拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)に対する、拘束乾燥工程を施している時間(T2)の割合であり、(T2/T1)=0.8〜1の範囲になるように時間(T1)と時間(T2)が設定される。拘束乾燥工程は、連続的に、または断続的に設けることができるため、前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)と、拘束乾燥工程を施している時間(T2)が必ずしも一致しない。図1A、Bは、時間(T1)と時間(T2)が一致しており、拘束乾燥工程が連続して施されている場合であり、この場合は、(T2/T1)=1、である。
一方、前記時間(T1)と時間(T2)が一致していない場合であり、拘束乾燥工程が断続的に施されている場合であり、(T2/T1)は、0.8以上、好ましくは0.9以上になるように設定される。即ち、(T2/T1)を0.8以上とすることで、実質的に、時間(T1)における、非拘束乾燥工程が施される時間(T4)の影響を小さくすることができる。図1Cにおいて、時間(T1)と、時間(T2)が一致していない場合が示されている。図1Cでは、乾燥工程の全乾燥時間(T)の70%が、前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)になっているが、時間(T1)において、拘束乾燥工程の時間(T2´)が5回、断続して設けられている場合である。図1Cでは、時間(T1)において、非拘束工程を4回挟んで、拘束乾燥工程が5回を断続して施されている。図1Cの拘束乾燥工程の時間(T2)は、5回の各拘束乾燥工程の時間(T2´)の合計時間になる。拘束乾燥工程の断続回数は、(T2/T)=0.5〜1、(T2/T1)=0.8〜1の範囲を満足すれば、特に制限はないが、通常、10回以下、好ましくは8回以下である。図1Aと同様、図1Cにおいても、拘束乾燥工程の終わりから、乾燥工程の終わり(フィルム出口)までの時間(T3)における、乾燥手段は特に制限されず、非拘束乾燥工程を施すことができ、また断続的な、拘束乾燥工程を設けることもできる。
また、図1Cでは、時間(T1)を、非拘束工程の時間(T4)と各拘束乾燥工程の時間(T2´)で表しているが、非拘束工程の時間(T4)とその前後の各拘束乾燥工程の時間(Lの前をT2´−1、後をT2´−2とする)の時間は、(T4)/{(T2´−1)+(T2´−2)}の値が、0.4以下、好ましくは0.3以下の関係を満足することが、実質的に、時間(T1)における、非拘束乾燥工程の影響を小さくすることができる。
本発明の乾燥工程における拘束乾燥工程に採用できる手段としては、テンターによりフィルムの幅方向を維持しながら乾燥する方法、熱ベルトにフィルムを接触させて乾燥する方法、熱ロール(ドラム)にフィルムを接触させて乾燥する方法等があげられる。なお、拘束乾燥工程の手段として熱ベルト、熱ロール(ドラム)を用いる場合には、熱ベルト、熱ロールにフィルムが接触しているときが拘束乾燥に該当し、例えば、熱ベルト、熱ロールの間に空走距離(熱ベルト、熱ロールに接触していない距離)がある場合には、当該空走距離は拘束乾燥工程には含まれない。前記拘束乾燥工程の手段は、図1A乃至Cに示される各時間設定をすることができる。
例えば、拘束乾燥工程をテンターにより行う場合は、通常、図1AまたはBに示されるように各時間を設定することができ、拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)と拘束乾燥工程の時間(T2)を一致させることができ、さらには乾燥工程の全乾燥時間(T)と拘束乾燥工程の時間(T2)を一致させることができる。拘束乾燥工程を、熱ベルトにより行なう場合においても、図1AまたはBに示されるように各時間を設定することができる。なお、拘束乾燥工程をテンターや熱ベルトにより行なう場合においても、図1Cに示されるように、拘束乾燥工程を断続的に行なうことができる。
また拘束乾燥工程を、熱ロールにより行なう場合には、通常、図1Cに示されるように各時間を設定することができ、拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)において、拘束乾燥工程を時間(T2´)毎に断続的に施すことができ、時間(T2´)の合計により拘束乾燥工程の時間(T2)を制御することができる。通常、拘束乾燥工程を熱ロールにより行なう場合には、熱ロール間において、熱ロールにフィルムが接触していない空走距離の時間は、非拘束工程の時間(T4)になる。なお、拘束乾燥工程を、熱ロールにより行なう場合においても、熱ロールを真横にしてフィルムの空走距離がないように隙間なく並べることにより、図1AまたはBに示されるように、拘束乾燥工程を連続して施すことができる。
乾燥工程における乾燥温度は、前記フィルムの水分率を前記範囲に制御できる範囲になるように行なわれる。乾燥温度は、通常は、40〜100℃の範囲に設定される。前記乾燥温度は、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃、である。なお、フィルムの拘束乾燥を、熱ロールに接触させることにより行う場合には、熱ロールにより乾燥が促進されるため、熱ロールの温度は、通常、乾燥雰囲気の温度以上に設定される。
以下では、拘束乾燥工程を、熱ロールにより行なう場合において、図1Cに示されるように各時間を設定する場合について、図2を参照しながら説明する。図2では、熱ロールR1〜R5が連続して設けられている。上流側の熱ロールR1の前にはガイドロールG1が、下流側の熱ロールR6の後にはガイドロールG2が、それぞれ設けられている。図1では、5つの熱ロールが設けられているが、熱ロールの数に特に制限はない。熱ロールは、通常、1〜40個程度、さらには4〜30個であるのが好ましい。また熱ロール数は、フィルムの両面を均等に乾燥できるように偶数個であるのが好ましい。また、熱ロールは、オーブン等の加熱炉内に設けることができる。図2では、連続して設けられた、熱ロールR1〜R5がオーブンA内に設置されており、オーブンAの内壁(上下)には、各熱ロールを通過するフィルムFの表面に向けて熱風を吹き付けることができる複数の熱風口Bが設けられている。
図2において、上流側のフィルム(偏光子)Fは、前記各工程が施されたフィルムである。当該フィルムFが、オーブン内への入口a1に導入され、出口a2から取り出されるまでの時間が、乾燥工程の全乾燥時間(T)に該当する。当該フィルムFが、オーブン内への入口a1から、熱ロールR1への最初に接する点r11までに要する時間が、乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間(T0)に該当する。図2では、拘束乾燥工程が熱ロールR1〜R5を通過して行なわれる。各熱ロールR1〜R5にフィルムFが接している時間が、図1Cにおける拘束乾燥工程を施している時間(T2´)に該当する。例えば、熱ロールR1の前記点r11と熱ロールR1からフィルムFが離れる点r12において、フィルムFが、熱ロールR1に接している時間が時間(T2´)に該当する。他の熱ロールR2乃至R5においても同様である。また、フィルムFが、熱ロールR1への最初に接する点r11から、熱ロールR5からフィルムFが離れる点r52までの時間が、拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)に該当する。また、熱ロールR1の点12と熱ロールR2の点21の間のフィルムFの空走距離(L)に要する時間が、非拘束工程の時間(T4)に該当する。なお、フィルムFが、熱ロールR5から離れる点r52から出口a2までの時間が時間(T3)に係わり、図2では、時間(T3)は、非拘束乾燥工程として表されている。
乾燥炉内の乾燥雰囲気の温度は、40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃であり、熱ロールR1〜R5の温度は、乾燥炉内の乾燥雰囲気の温度よりも、0〜60℃程度、さらには3〜45℃、さらには4〜30℃、高くなるように温度設定をすることが好ましい。前記において、熱ロールR1〜R5の温度は、全て同じ温度に設置することができる。
なお、図2において、熱ロール(熱ロール)の温度測定は、接触式温度計により測定した値である。また、前記本発明の乾燥工程における各時間(T)、(T0)、(T1)、(T2)、(T3)、(T4)は、熱ロールへの前記フィルムの接触時間(合計の接触時間)等を考慮して、熱ロール直径、熱ロールの周速、熱ロール間の空走距離(L)等により制御できる。通常、熱ロール直径は、通常、200〜2000mmである。熱ロールの回転速度は、通常、3〜100m/minの範囲が好ましく、さらには6〜100m/minの範囲が好ましく、さらには10〜100m/minの範囲で設定するのが好ましい。熱ロール間の空走距離(L)は50〜1000mmの範囲が好ましく、50〜500mmとするのが好ましい。
図1に示すように、オーブンA内を、フィルムFを通過させる場合には、熱ロールとともに、送風手段を設けることができる。図1では、オーブンA内において、熱ロールR1〜R5を通過するフィルムFの表面に向けて熱風口Bにより送風を行っている。熱風口Bにより、オーブン内の乾燥温度を制御することができる。この場合には、オーブン内の乾燥温度よりも、熱ロールの温度が高くなるように設定される。送風手段の風速は特に制限されないが、風速0.5〜30m/sが好ましく、さらには風速1〜20m/sであるのが好ましい。送風手段は、1箇所でもよく2箇所以上の複数箇所でもよい。送風手段は、拘束乾燥工程を、熱ベルトにより行なう場合にも設けることができる。拘束乾燥工程を、テンターにより行なう場合の乾燥手段としては、熱風乾燥があげられる。非拘束乾燥工程の乾燥手段としては熱風乾燥があげられる。
送風手段としては、例えば、カウンターフロー方式を採用することができる。前記フィルムと前記送風手段との距離は10〜100cm程度、好ましくは10〜50cmとするのが好ましい。なお、前記風速は、乾燥炉内における風速であり、ミニベーン型デジタル風速計により測定することができる。
本発明では、前記乾燥工程を施すことにより、得られるフィルムの水分率が前記範囲になるように好ましくは制御されるが、その後、さらに水分率を低下させることもできる。水分率をさらに低下させるには、本発明と同様の乾燥工程を施すことができる他、通常の乾燥手段(熱風乾燥、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等)により乾燥を行うことができる。なお、本発明では、時間(T1)における、拘束乾燥工程の終わりの時点おいて、得られるフィルムの水分率を8〜15重量%に制御することが好ましい。
得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護フィルムを設けた偏光板とすることができる。透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合せて上記機能を付与することができる。
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としてば、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理などがあげられる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等があげられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。特に、接着性を満足することが困難であったアクリル樹脂に対しても良好な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常30〜1000nm程度である。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に本発明を実施例および比較例をあげて具体的に説明する。
実施例1
原反フィルムとして、厚さ75μm、幅400mmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度2400,ケン化度99.9モル%)を用いた。当該ポリビニルアルコールフィルムに、下記の順番にて、下記各工程を施した。
原反フィルムとして、厚さ75μm、幅400mmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度2400,ケン化度99.9モル%)を用いた。当該ポリビニルアルコールフィルムに、下記の順番にて、下記各工程を施した。
(膨潤工程)
膨潤浴の処理液としては、純水を用いた。上記ポリビニルアルコールフィルムを膨潤浴に搬送し、30℃に調整した純水中に45秒間浸漬し、膨潤させながら2倍に一軸延伸した。
膨潤浴の処理液としては、純水を用いた。上記ポリビニルアルコールフィルムを膨潤浴に搬送し、30℃に調整した純水中に45秒間浸漬し、膨潤させながら2倍に一軸延伸した。
(染色工程)
染色浴の処理液としては、ヨウ素:ヨウ化カリウム(重量比=0.5:8)の濃度0.3重量%のヨウ素染色溶液を用いた。上記膨潤処理されたポリビニルアルコールフィルムを染色浴に搬送し、30℃に調整した前記ヨウ素染色溶液に、46秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率3倍まで、一軸延伸しながら、染色した。
染色浴の処理液としては、ヨウ素:ヨウ化カリウム(重量比=0.5:8)の濃度0.3重量%のヨウ素染色溶液を用いた。上記膨潤処理されたポリビニルアルコールフィルムを染色浴に搬送し、30℃に調整した前記ヨウ素染色溶液に、46秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率3倍まで、一軸延伸しながら、染色した。
(架橋工程)
架橋浴の処理液としては、ホウ酸を3重量%、ヨウ化カリウムを3重量%含有するホウ酸水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを架橋浴に搬送し、30℃に調整した前記ホウ酸水溶液に、19秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率4倍まで、一軸延伸した。
架橋浴の処理液としては、ホウ酸を3重量%、ヨウ化カリウムを3重量%含有するホウ酸水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを架橋浴に搬送し、30℃に調整した前記ホウ酸水溶液に、19秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率4倍まで、一軸延伸した。
(延伸工程)
延伸浴の処理液としては、ホウ酸を4重量%、ヨウ化カリウムを5重量%含有するホウ酸水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを延伸浴に搬送し、60℃に調整したホウ酸水溶液に、13秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率6倍まで、一軸延伸した。
延伸浴の処理液としては、ホウ酸を4重量%、ヨウ化カリウムを5重量%含有するホウ酸水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを延伸浴に搬送し、60℃に調整したホウ酸水溶液に、13秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率6倍まで、一軸延伸した。
(洗浄工程)
洗浄浴の処理液としては、ヨウ化カリウムを3重量%含有する水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを洗浄浴に搬送し、30℃に調整した当該水溶液に、10秒間浸漬した。洗浄工程を施した後に得られたフィルムの水分率は32重量%であり、幅220mmであった。
洗浄浴の処理液としては、ヨウ化カリウムを3重量%含有する水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを洗浄浴に搬送し、30℃に調整した当該水溶液に、10秒間浸漬した。洗浄工程を施した後に得られたフィルムの水分率は32重量%であり、幅220mmであった。
(乾燥工程)
次いで、上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを、図1に示すような装置(オーブン)を用いて乾燥を行った。熱ロール(ロール直径500mm,周速を6m/min)を5個、図1に示すように上下に交互に配置した。各熱ロール間の空走距離(L)は、全て105mmとした。各熱ロールのR1〜R5の温度を70℃に設定した。またオーブン内には、送風手段として、温度75℃、風速19m/sを送風しながら行った。オーブン内の温度は70℃であった。
乾燥工程の全乾燥時間(T)は、90秒間、
乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間(T0)は10秒間、
拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)は59.2秒間、
時間(T1)において拘束乾燥工程を施している時間を(T2´)の合計(T2)は55秒間、
ロール間の空走距離(L)における非拘束工程の時間(T4)は1.05秒間であり、非拘束工程の時間(T4)の合計(4箇所)は4.2秒間であった。
また、1番目の熱ロールR1を通過前の水分率は25重量%、であった。
上記乾燥により得られたフィルム(偏光子)の水分率は14重量%であった。また、当該フィルムは厚みは26μm、幅189mmであった。
次いで、上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを、図1に示すような装置(オーブン)を用いて乾燥を行った。熱ロール(ロール直径500mm,周速を6m/min)を5個、図1に示すように上下に交互に配置した。各熱ロール間の空走距離(L)は、全て105mmとした。各熱ロールのR1〜R5の温度を70℃に設定した。またオーブン内には、送風手段として、温度75℃、風速19m/sを送風しながら行った。オーブン内の温度は70℃であった。
乾燥工程の全乾燥時間(T)は、90秒間、
乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間(T0)は10秒間、
拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間(T1)は59.2秒間、
時間(T1)において拘束乾燥工程を施している時間を(T2´)の合計(T2)は55秒間、
ロール間の空走距離(L)における非拘束工程の時間(T4)は1.05秒間であり、非拘束工程の時間(T4)の合計(4箇所)は4.2秒間であった。
また、1番目の熱ロールR1を通過前の水分率は25重量%、であった。
上記乾燥により得られたフィルム(偏光子)の水分率は14重量%であった。また、当該フィルムは厚みは26μm、幅189mmであった。
実施例2〜5
実施例1において、熱ロールの数、種類、各熱ロール間の空走距離(L)を表1に示すように変え、また各時間が表1に示すようになるように熱ロールを配置したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。得られたフィルム(偏光子)の水分率、厚み、幅等を表1に示す。
実施例1において、熱ロールの数、種類、各熱ロール間の空走距離(L)を表1に示すように変え、また各時間が表1に示すようになるように熱ロールを配置したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。得られたフィルム(偏光子)の水分率、厚み、幅等を表1に示す。
比較例1〜3
実施例1において、乾燥工程を、図3に示すように、熱ロールを配置していないこと以外は図1と同様のオーブン装置(オーブン内温度は70℃,搬送速度6m/min)により行ったこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。乾燥工程の各時間、得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。但し、比較例3では、実施例1に記載の偏光子の調製にあたり、延伸工程の浸漬時間を17秒間、かつ元長に対する総延伸倍率を4倍に変更し、洗浄工程の浸漬時間を15秒間に変更して、偏光子を調製したものを用いた。
実施例1において、乾燥工程を、図3に示すように、熱ロールを配置していないこと以外は図1と同様のオーブン装置(オーブン内温度は70℃,搬送速度6m/min)により行ったこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。乾燥工程の各時間、得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。但し、比較例3では、実施例1に記載の偏光子の調製にあたり、延伸工程の浸漬時間を17秒間、かつ元長に対する総延伸倍率を4倍に変更し、洗浄工程の浸漬時間を15秒間に変更して、偏光子を調製したものを用いた。
比較例4、5
実施例1において、乾燥工程にあたり、上流側から1番目の熱ロール(図1のR1)の周速を6m/minとし、その他の5個の熱ロール(図1のR2〜R5)の周速を6.3m/minとして、延伸(延伸速比:R2〜5/R1=1.05)しながら乾燥したこと以外は、は、実施例1と同様にして偏光子を得た。乾燥工程の各時間、得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。但し、比較例4、5では、実施例1に記載の偏光子の調製にあたり、延伸工程の浸漬時間を13秒間、かつ元長に対しする延伸倍率を5.7倍に変更し、偏光子を調製したものを用いた。
実施例1において、乾燥工程にあたり、上流側から1番目の熱ロール(図1のR1)の周速を6m/minとし、その他の5個の熱ロール(図1のR2〜R5)の周速を6.3m/minとして、延伸(延伸速比:R2〜5/R1=1.05)しながら乾燥したこと以外は、は、実施例1と同様にして偏光子を得た。乾燥工程の各時間、得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。但し、比較例4、5では、実施例1に記載の偏光子の調製にあたり、延伸工程の浸漬時間を13秒間、かつ元長に対しする延伸倍率を5.7倍に変更し、偏光子を調製したものを用いた。
比較例6〜8
実施例1において、熱ロールの数、種類、各熱ロール間の空走距離(L)を表1に示すように変え、また各時間が表1に示すようになるように熱ロールを配置したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。
実施例1において、熱ロールの数、種類、各熱ロール間の空走距離(L)を表1に示すように変え、また各時間が表1に示すようになるように熱ロールを配置したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。得られた偏光子の水分率、厚み、幅等を表1に示す。
上記各例のフィルムの水分率の測定は、測定箇所からフィルムをサンプリングし、120℃で絶乾燥させて、乾燥前後の重量を量ることで算出した。なお、実施例での測定箇所は、各搬送ロール直後である。
実施例および比較例で得られた偏光子および当該偏光子から得られた偏光板について下記の評価を行なった。結果を表1に示す。
偏光板の作成は、偏光子の両面に接着剤により、30℃の温度条件下で、透明保護フィルムをロール貼合機で貼り合わせた後、60℃で4分間乾燥させることにより行って。透明保護フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用いた。接着剤は、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1200,ケン化度98.5モル%,アセトアセチル化度5モル%)100重量部に対し、メチロールメラミン32重量部を、30℃の温度条件下に、純水に溶解し、固形分濃度3.2%になるように調整した接着剤水溶液を用いた。
<正面配向性Rpva>
王子計測機器(株)製の近赤外位相差測定装置、製品名「KOBRA−31X100/IR」を用いて、波長1000nm、23℃で測定した。
王子計測機器(株)製の近赤外位相差測定装置、製品名「KOBRA−31X100/IR」を用いて、波長1000nm、23℃で測定した。
<フィルム表面配向性f>
PERKIN ELMER製の製品名「SPECTRUM2000」を用いて、偏光ART FT−IR法にて平行偏光入射時のピーク吸光度(フィルム幅方向の吸光度)の比A//=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)を垂直偏光入射時のピーク吸光度(フィルム延伸方向の吸光度)の比A⊥=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)で割った二色比D=(吸光度比A//)/(吸光度比A⊥)を測定し、配向関数f=(1−D)/(2*D+1)*(−2)、を算出した。ここで、a(k)は、波数kでのピーク吸光度を表す。
PERKIN ELMER製の製品名「SPECTRUM2000」を用いて、偏光ART FT−IR法にて平行偏光入射時のピーク吸光度(フィルム幅方向の吸光度)の比A//=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)を垂直偏光入射時のピーク吸光度(フィルム延伸方向の吸光度)の比A⊥=a(2941cm-1)/a(3300cm-1)で割った二色比D=(吸光度比A//)/(吸光度比A⊥)を測定し、配向関数f=(1−D)/(2*D+1)*(−2)、を算出した。ここで、a(k)は、波数kでのピーク吸光度を表す。
<幅方向の収縮率>
乾燥工程前のフィルムの幅(X1)と乾燥工程後のフィルムの幅(X2)から、下記式により幅方向の収縮率(%)を求めた。
収縮率(%)={(X1−X2)/X1}×100
乾燥工程前のフィルムの幅(X1)と乾燥工程後のフィルムの幅(X2)から、下記式により幅方向の収縮率(%)を求めた。
収縮率(%)={(X1−X2)/X1}×100
<耐久性:耐クラック性>
得られた偏光子を、温度85℃の高温条件下に30分間放置した後、−40℃の低温条件下に30分間を放置することを、5回繰り返して行った。その後、常温(23℃)に放置した状態において、偏光子に発生しているクラックの長さ(μm)を測長により確認した。
得られた偏光子を、温度85℃の高温条件下に30分間放置した後、−40℃の低温条件下に30分間を放置することを、5回繰り返して行った。その後、常温(23℃)に放置した状態において、偏光子に発生しているクラックの長さ(μm)を測長により確認した。
<カール>
偏光板を10cm×10cmに切り出し、カールが凸になっている面が下側になるように水平面上に置き、角の4点のうちで最も水平面から長い点の距離(mm)を測定した。
偏光板を10cm×10cmに切り出し、カールが凸になっている面が下側になるように水平面上に置き、角の4点のうちで最も水平面から長い点の距離(mm)を測定した。
<光学特性:偏光度の測定>
偏光子の光学特性は、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製のV7100)を用いて測定した。
なお、偏光度は、2枚の同じ偏光子を両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。測定波長は、波長550nmであった。
偏光子の光学特性は、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製のV7100)を用いて測定した。
なお、偏光度は、2枚の同じ偏光子を両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。測定波長は、波長550nmであった。
F フィルム
R1〜5 熱ロール
A オーブン
B 熱風口
R1〜5 熱ロール
A オーブン
B 熱風口
Claims (9)
- ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施した後に、乾燥工程を施す偏光子の製造方法において、
前記乾燥工程は、前記染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施されたフィルムに、延伸することなく、フィルムの幅方向を拘束しながら乾燥する拘束乾燥工程を断続的に有し、前記断続的な拘束乾燥工程の各拘束乾燥工程の間には非拘束乾燥工程を有しており、
前記乾燥工程の全乾燥時間を(T)、
前記乾燥工程の開始から前記拘束乾燥工程の開始までの時間を(T0)、
前記拘束乾燥工程の開始から終わりまでの時間を(T1)、
前記時間(T1)において前記拘束乾燥工程を施している時間を(T2)、
前記非拘束乾燥工程を施している時間を(T4)、
前記非拘束工程の時間(T4)の前後の断続的な拘束乾燥工程の各拘束乾燥工程の時間をそれぞれ(T2´−1)、(T2´−2)とした場合に、
(T0/T)=0〜0.2、
(T2/T)=0.7〜0.8、
(T2/T1)=0.8〜1、および、
(T4)/{(T2´−1)+(T2´−2)}≦0.4、を満足することを特徴とする偏光子の製造方法。 - 前記乾燥工程が施される、前記染色工程、架橋工程および延伸工程を少なくとも施されたフィルムの水分率が30〜40重量%であり、乾燥工程を施すことにより、得られる偏光子の水分率を15重量%以下にすることを特徴とする請求項1記載の偏光子の製造方法。
- 得られる偏光子の正面配向性Rpva(但し、Rpva=Nx−Nyであり、偏光子の吸収軸方向および透過軸方向の屈折率をそれぞれNx、Nyとする)が、0.03〜0.04であることを特徴とする請求項1または2記載の偏光子の製造方法。
- 前記拘束乾燥工程を、前記フィルムを熱ロールに接触させることにより行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
- 前記乾燥工程が施された偏光子の水分率が、8〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた偏光子。
- 請求項6記載の偏光子の少なくとも片面に、透明保護フィルムを設けた偏光板。
- 請求項6記載の偏光子または請求項7記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項6記載の偏光子、請求項7記載の偏光板または請求項8記載の光学フィルムを少なくとも1枚用いた画像表示装置。
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