JP2014164142A - 配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法、積層体、位相差フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents

配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法、積層体、位相差フィルムおよび液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
連続的に配向処理が可能な配向方法を用いて重合性液晶の位相差フィルムと配向基材との積層体を製造する方法、および異物の発生や配向処理ムラがない位相差フィルムを提供する。
【解決手段】
重合性液晶性組成物を配向基材上に塗布することにより配向させ、その後、前記重合性液晶性組成物を光または熱により重合させることによって配向基材と位相差フィルムとの積層体を製造する方法であって、
前記配向基材が、斜め方向からのイオンビーム照射によって表面層の分子に異方性を励起した基材であることを特徴とする配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法、これを用いて得られる積層体及び位相差フィルムに関する。この位相差フィルムは、位相差フィルムを構成する液晶の配向性が良好であり、かつ任意エリアにおいて液晶配向方向が制御されている。
近年、液晶表示装置の薄型化が進んでおり、そこに用いられる位相差フィルムにも薄膜化が求められている。さらに、立体画像表示の開発も急速に進んでおり、パッシブ方式で用いられる位相差フィルムは、光軸方向がパターン化された位相差フィルム(以下、「パターン化位相差フィルム」という。)を必要とする。パッシブ方式とは、同一画面内に右目用の画像と左目用の画像を同時に表示させ、それらが画面上に形成されたパターン化位相差フィルムの異なる光軸方向パターンを通過することで、左右画像で異なる偏光状態となり、一方の偏光状態の光のみを透過するような偏光メガネを用いて左右目に振り分ける方式である。
このような、位相差フィルムの薄膜化およびパターン化の方法として、重合性液晶を用いた位相差フィルムがある。これは、全面配向処理又は部分的に異なる配向処理を施した基材上に液晶材料を塗布した後に、この液晶材料を硬化することで、一般的に用いられる延伸フィルムと比較して非常に薄い位相差フィルムを形成する方法である。ここで、基材の配向処理方法としては、ラビング法が広く用いられているが、ラビング布で基材を擦ることによる異物の発生や配向処理のムラによって発生する液晶の配向ムラ等の問題がある。また、ラビング法は基材全面を一方向に擦るため、配向のパターニングができない。
特許文献1では、基板上に形成された脂環式構造を有する可溶性ポリイミドを含有する有機薄膜にイオンビームを照射することで、クリーンで均一な配向処理を行っている。しかしながら、基材上に有機薄膜を形成する工程が増えることで、コストや歩留まりが悪化する。さらに、ポリイミドは塗布後加熱してイミド化する必要があり、フィルム等の耐熱性の低い基材を用いることができず、ガラス基材などを用いて枚葉方式で生産することになり、十分な生産性を備えているとは言えない。
また、特許文献2や3では、ノルボルナンもしくはベンジルエステル骨格を含有する重合性液晶組成物を支持基材上に塗布し、これを重合することによって、均一配向を有する位相差膜を形成している。ここで、支持基材はプラスチック等のフィルム基材を用いてもよく、配向処理方法もラビング以外にイオンビーム配向や光配向等の均一な配向方法から選択されるが、適切な基材と配向処理の組み合わせでないと基板が十分に配向性を発現せずに、液晶の配向が乱れる。
また、特許文献4では基材に複数の溝を形成し、その表面に液晶材料を塗布し重合させることで、溝の方向を利用して光軸方向のパターニングを行っている。しかしながら、基材に溝を形成するための金型が必要であり、かつ工程数が多く、経済性が十分とは言えない。さらに、十分な配向規制力が得ることが難しく、不均一な状態になる可能性があり、連続的に生産する場合、処理面に傷が入ると欠陥になる可能性がある。
特開平11−237638号公報 特開2010−241791号公報 特開2011−148762号公報 国際公開第2010/032540号パンフレット
本発明の目的は、連続的に配向処理が可能な配向方法を用いて重合性液晶の位相差フィルムと配向基材との積層体を製造する方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記製造方法によって得られた積層体から、異物の発生や配向処理ムラがない位相差フィルムを得ることである。
前記課題を解決するために、基材および配向処理方法について鋭意研究を進めた結果、シクロオレフィン系樹脂からなるプラスチック基材にイオンビームを斜めから照射することで、均一な配向処理が施され、その後、この基材に重合性液晶を塗布・硬化することで配向ムラのない位相差フィルムが得られることを見出した。さらに、全面配向処理と、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを基材に照射することによるパターン配向処理を組み合わせることにより、パターン化位相差フィルムが得られることを見出した。
かくして、本発明によれば、下記〔1〕〜〔12〕が提供される。
〔1〕重合性液晶性組成物を配向基材上に塗布することにより配向させ、その後、前記重合性液晶性組成物を光または熱により重合させることによって配向基材と位相差フィルムとの積層体を製造する方法であって、
前記配向基材が、斜め方向からのイオンビーム照射によって表面層の分子に異方性を励起した基材であることを特徴とする配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔2〕前記配向基材がプラスチックからなる配向基材であることを特徴とする〔1〕に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔3〕前記配向基材がシクロオレフィン系樹脂からなる配向基材であることを特徴とする〔2〕に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔4〕前記配向基材が、開口部パターンを有するマスクを基材と対向して配置し、前記マスクを介してイオンビームを前記基材に照射することにより、前記開口部パターンに対向する基材の一部領域のみに配向処理を施して得られるものであることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔5〕前記配向基材が、イオンビーム照射によって基材の全面を第一の方向に配向させた後、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを照射することにより前記開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔6〕前記配向基材が、ラビング法によって基材の全面を第一の方向に配向させた後、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを照射することにより前記開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔7〕前記配向基材が、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビーム照射により配向処理することにより前記マスクの開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに第一の方向に配向処理をした後、イオンビーム照射により前記基材の全面を前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
〔8〕〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法を用いて作製された配向基材と位相差フィルムとの積層体。
〔9〕〔8〕に記載の積層体の位相差フィルム側の面を第二の基材に積層し、次いで配向基材を剥離することで、前記位相差フィルムを第二の基材に転写することを特徴とする位相差フィルムと第二の基材との積層体の製造方法。
〔10〕前記位相差フィルムと前記第二の基材との間に、粘着層または接着層を介在させることを特徴とする〔9〕に記載の位相差フィルムと第二の基材との積層体の製造方法。
〔11〕〔10〕記載の製造方法によって作製された位相差フィルムと第二の基材との積層体。
〔12〕〔8〕又は〔11〕に記載の積層体から基材を剥離して得られる位相差フィルム。
〔13〕〔12〕に記載の位相差フィルムを備えてなる液晶表示素子。
本発明によれば、位相差フィルムの薄型化が可能となり、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置に用いることによって、装置の薄型化が可能となり、さらに液晶の配向ムラが抑制されているために良好な光学特性を実現できる。
本発明のイオンビーム配向法の一例を示す。 本発明の矩形のイオンソースを用いた連続配向処理の一例を示す。 本発明の矩形のイオンソースを用いた連続配向処理の一例を示す。 本発明の長尺フィルム基材へのパターン配向処理の一例を示す。 本発明のパターン配向処理(イオンビーム全面⇒イオンビームパターン)の一例を示す。 本発明のパターン配向処理(ラビング全面⇒イオンビームパターン)の一例を示す。 本発明のパターン配向処理(イオンビームパターン⇒イオンビーム全面)の一例を示す。 本発明の位相差フィルム転写法の一例を示す。 イオンビーム未照射のサンプルを面内水平方向に回転させながら表面反射光の位相差Δを測定したグラフ。 イオンビーム照射後(ビームエネルギー:700eV)のサンプルを面内水平方向に回転させながら表面反射光の位相差Δを測定したグラフ。 イオンビーム照射後(ビームエネルギー:1000eV)のサンプルを面内水平方向に回転させながら表面反射光の位相差Δを測定したグラフ。 イオンビーム照射後(ビームエネルギー:1500eV)のサンプルを面内水平方向に回転させながら表面反射光の位相差Δを測定したグラフ。 イオンビーム配向処理で作製した位相差フィルムとのラビング法で作製した位相差フィルムの透過率スペクトルの結果を示すグラフ。
本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法は、重合性液晶性組成物を配向基材上に塗布することにより配向させ、その後、前記重合性液晶性組成物を光または熱により重合させることによって配向基材と位相差フィルムとの積層体を製造する方法であって、
前記配向基材が、イオンビーム照射によって表面層の分子に異方性を励起した基材であることを特徴とする。
本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法においては、先ず、配向処理された基材の上に、重合性液晶性組成物を塗布することにより配向させる。
重合性液晶性組成物は、重合性液晶化合物を含む組成物をいう。本発明で使用する重合性液晶化合物は、特に限定されないが、複屈折率△n値が、0.05以上、0.30以下であるものが好ましく、0.10以上、0.25以下であるものがさらに好ましい。本発明において、重合性液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ここで、重合性液晶化合物の△n値とは、重合性液晶性組成物が1種類のみの重合性液晶化合物からなる場合はその重合性液晶化合物の△n値をいい、重合性液晶性組成物が2種類以上の重合性液晶化合物からなる場合は、各重合性液晶化合物の△n値と各含有比率から求めた△n値をいう。△n値が0.05未満では所望の光学的機能を得るために樹脂層の厚さが厚くなって配向均一性が低下し、また経済コスト的にも不利であるため好ましくない。0.30以上では所望の光学的機能を得るために樹脂層の厚さが薄くなり、厚さ精度に対して不利であるが、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があり、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。重合性液晶化合物としては、市販のもの、例えば、BASF社製「LC242」等を用いる事ができる。
重合性液晶化合物には、製造方法や最終的な性能に対して適正な物性を付与するために有機溶剤や界面活性剤、重合開始剤、紫外線吸収剤、架橋剤、酸化防止剤などを適宜併用し得る。
有機溶剤の好適な例としては、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、およびエーテル類等が挙げられる。これらの中でも、環状ケトン類、環状エーテル類が重合性液晶化合物を溶解させやすいために好ましい。重合性液晶性組成物中の有機溶剤の含有割合は、有機溶剤以外の固形分全量に対する割合として30〜95重量%とすることができる。
界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。界面活性剤の例を挙げると、疎水基部分にシロキサン、フッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤等が好適に使用できる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。界面活性剤の配合割合は、重合性液晶性組成物を硬化して得られる樹脂層中における界面活性剤の濃度が0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。
重合開始剤は、熱重合開始剤を用いてもよいが、通常は光重合開始剤を用いる。当該光重合開始剤としては、例えば、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。光重合開始剤の例を挙げると、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2一アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジーtert一ブチルパーオキサイド、1一ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2一ヒドロキシー2一メチルー1一フエニループロパンー1一オン、1一(4一イソプロピルフェニル)一2一ヒドロキシー2一メチルプロパンー1一オン、チオキサントン、2一クロロチオキサントン、2一メチルチオキサントン、2,4一ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2一ジエトキシアセトフェノン、β一アイオノン、β一ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α一アミルシンナックアルデヒド、p一ジメチルアミノアセトフェノン、p一ジメチルアミノプロピオフェノン、2一クロロベンゾフェノン、pp’一ジクロロベンゾフェノン、pp’一ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn一プロピルエーテル、ベンゾインn一ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6一メトキシベンゾイル)一2,4,4一トリメチルーペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6一トリメチルベンゾイルジフェニルーフオスフィンオキサイド、ビス(2,4,6一トリメチルベンゾイル)一フエニルフオスフィンオキサイド、2一メチルー1[4一(メチルチオ)フェニル]一2一モルフオリノプロパンー1一オン、2一ベンジルー2一ジメチルアミノー1一(4一モルフオリノフエニル)一ブタンー1一オン、アントラセンベンゾフェノン、α一クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1一クロルメチルナフタリン、1,2一オクタンジオン,1一[4一(フェニルチオ)一2一(o一ベンゾイルオキシム)]や1一[9一エチルー6一(2一メチルベンゾイル)一9H一力ルバゾールー3一イル]工タノン1一(o一アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4一メチルフェニル)[4一(2一メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフオスフェート、3一メチルー2一ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルー(p一フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。なお、所望する物性に応じて重合開始剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で、組合せて用いてもよい。さらに、必要に応じて重合性液晶性組成物に公知の光増感剤や重合促進剤としての三級アミン化合物を含ませて、重合性液晶性組成物の硬化性をコントロールすることもできる。また、光重合効率を向上させるために、重合性液晶化合物や光重合開始剤などの平均モル吸光係数を適切に選定することが好ましい。
紫外線吸収剤の配合割合は、液晶化合物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。
また、重合性液晶性組成物は所望する機械的強度に応じて架橋剤を使用することが出来る。前記架橋剤の配合割合は、重合性液晶性組成物を硬化して得られる硬化樹脂中における架橋剤の濃度が0.1重量%〜20重量%となるようにすることが好ましい。
酸化防止剤には、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。
重合性液晶性組成物の塗布は、例えばダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法により行うことができる。液晶層の厚さは、所望の硬化膜厚が得られるよう、適宜調整することができる。液晶層の厚さは、使用する液晶化合物の△n値あるいは2種類以上の液晶化合物を含む重合性液晶性組成物の場合は、各液晶化合物の複屈折率△n値と各含有比率から求めた△n値に依存する。
次に、基材上に塗布して配向させた重合性液晶化合物を重合させる。重合性液晶化合物は、光で重合させてもよく、熱で重合させてもよい。光により重合させる場合は、通常紫外線を用い、露光量は、通常50〜10,000mJ/cmの範囲である。ここで、紫外線露光は空気中で行なうこともできるが、窒素やアルゴン等の不活性ガス中で露光することで酸素阻害を受けずに短時間で硬化することも可能である。また、露光と同時又は露光後に40℃〜200℃で加熱することで、より強く硬化することが可能である。
熱により重合させる場合は、液晶の等方相転移温度より低い温度で硬化するような熱重合開始剤を用いることで、液晶性を保ったまま硬化することも可能である。
本発明においては、重合性液晶性組成物を塗布する基材として、配向基材を使用することが重要である。配向基材は、基材をイオンビーム照射することによって配向させて得る。
本発明において、用いる基材としては、イオンビーム照射によって、表面に分子の異方性を発現するものであればよい。そのような基材としてはプラスチック基材が好ましく用いられる。プラスチック基材であると、フィルム状に加工できるため後述するように連続配向処理が可能となる。
また、プラスチック基材の中でも、シクロオレフィン系樹脂からなるものについては、イオン照射によって分子の異方性が励起され、照射方向の基材面に水平な成分方位に液晶が良好に配向するためより好ましい。
基材の厚みは、製造装置でのハンドリング性、材料のコスト、薄型化及び軽量化の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
基材の配向処理に用いられるイオンビーム配向法とは、図1に示すように、基材1の表面に加速したイオン2を照射角3の斜め方向から照射することで、一般的には照射方向の基材面に水平な成分方位に配向処理4を行うものである。ここで、配向処理の原理としては、基材表面に液晶分子を配向させるような異方性形状を形成する方法と、基材表面の分子に異方性を発現させ相互作用にて液晶分子を配向する方法が言われているが、配向力や配向均一性の観点から、イオンビーム照射にて基材表面層の分子に異方性が励起されることが好ましい。
イオンビームを生成するイオンソースの一例は、プラズマ生成室と、プラズマ生成室にガスを送り込むガス導入口と、プラズマ生成室で発生したイオンを加速させる加速電極と、加速されたイオンを外部に射出するためのイオン射出口を含む板状体のグリッドとを含む。ガスは、例えば、アルゴンが用いられるが、限定されるものではなく、ネオン、キセノンなどの不活性ガスでも良い。イオンソースの形状は限定されないが、幅の広い矩形であると、より広範囲のサンプルを一度に処理できるので好ましい。
イオンビームの照射角度(基材面に対して垂直な方向を0度とする)は、30度以上80度以下が好ましく、より好ましくは45度以上75度以下である。照射角が30度未満である場合は、イオンが基材面に対して正面方向に近い角度から照射されるため、照射方向の基材面に水平な成分が小さくなることで配向処理能力が小さくなり、80度より大きい場合は、基材面に入射する角度が浅くなって単位面積あたりに照射されるイオンの個数が少なくなり、配向処理に長い時間が必要になる。
イオンビームエネルギーについては、基材に配向処理がなされる程度以上基材にダメージを与えない程度以下であれば選択することができる。この条件は、基材の搬送スピード(イオンビームの照射時間)によって変わるので、最適な条件を選択する必要がある。
基材へのイオンビーム照射の方法としては、図2のように矩形のイオンソース5を基材に対して極角方向に斜めに、基材幅手方向にイオンソースの幅方向を平行に固定し、その下を例えばフィルム基材6が搬送方向7に流れる構成が好ましい。このようにすることで、フィルム基材長尺長手方向8に連続的にイオンビーム配向処理が可能となる。
また、図3のようにイオンソースの角度を方位角方向に対して任意に回転することで、基材の流れ方向に対して斜め方向9に配向処理することが可能となる。
本発明の製造方法において、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することも可能である。
基材上に相異なる配向方向のパターンを形成する方法としては、全面配向処理と、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを基材に照射することによるパターン配向処理とを組み合わせることができる。
パターン配向処理としては、基材とイオンソースの間に開口を有するマスクを配することで、基材に選択的なイオン照射を行ない、イオン照射された部分の基材のみ配向処理を行う方法を挙げることができる。
マスクの材質としては、イオンビームのダメージや熱によって歪みが発生しにくく、パターン加工性の良好なものが好ましく、例えば金属マスクを用いることができる。金属マスクの一例として、例えばステンレスやインバー材からなる厚さ30〜200μm程度の金属板に、エッチング処理にて開口パターンを設けたものがある。開口パターンは限定されるものではなく、例えば平行なストライプ形状とすることができる。金属マスクは張った状態に保持するために、周縁部分をフレームにて固定支持される。
マスクを用いるパターン配向は、最終的に設定したい幅と、マスクと基材との間の距離、イオンビームの指向性などから一義的に決められる倍率に応じて設計されうる。またマスクには、固定式と、搬送式とが、状況に応じて使用されうる。ここで固定式のマスクとは工程ライン上に固定設置されるものを指し、搬送式のマスクとは長尺のフィルム状で工程ライン上を搬送できるものを指す。ここで、図4に長尺フィルム基材の長手方向に平行に延長するパターン配向を形成する具体的な方法について例を示す。フィルム基材長手方向に対して平行なストライプ状にパターン化された配向領域12は、マスク10に長手方向に平行なストライプ状の開口部11を設け、それを介して長手方向に搬送されるフィルム基材にイオン照射することにより形成することができる。
また、全面配向処理とパターン配向処理との組み合わせの例としては、イオンビーム照射で基材の全面を第一の方向に配向させた後、イオンビーム照射によるパターン配向により第一の方向とは異なる第二の方向に配向処理することにより、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することができる。例えば図5に示すように、全面配向処理で基材面内をある一つの方向に配向処理して全面配向処理領域13を形成した後(図5(a))、マスク10を介したイオンビーム照射を用いてパターン配向処理を施すと、イオンビーム非照射部14においては全面配向処理による配向処理方向を保持し、イオンビーム照射部15においては全面配向処理の効果が打ち消され、パターン照射方位による配向処理方向となるため(図5(b))、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することが可能となる。第一の配向処理方向と第二のパターン配向処理方向との関係は、互いが垂直な方位となるように配向処理することもできるが、限定されるものではない。
また、第一の全面配向処理を、図6のようにラビングローラー16で基材表面を擦るラビング法を用いて行うことも可能である(図6(a))。この場合も、第二のイオンビーム照射パターンにおいてラビングによる全面配向処理の効果が打ち消され、パターン照射方位による配向処理方向となるため(図6(b))、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することが可能となる。
また、イオンビーム照射によって第一の方向にパターン配向処理を行った後、イオンビーム照射により全面を前記第一の方向とは異なる第二の方向に配向処理することにより、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することができる。例えば図6に示すように、第一にマスクを介したイオンビーム照射を用いてパターン配向処理を施すと、イオンビーム未照射パターン14においては配向処理が行われず、イオンビーム照射パターン15にのみ配向処理が施される(図7(a))。次にイオンビーム照射による全面配向処理を行うと、第一のパターン配向処理における未照射パターン14においては全面イオンビーム照射方位による配向処理方向となり、第一のパターン配向処理におけるイオンビーム照射部15においてはパターン配向処理の効果が打ち消されず、パターン照射方位による配向処理方向を保持するため、基材上に相異なる配向方向のパターンを形成することが可能となる(図7(b))。ここで、第二の全面イオンビーム照射の照射条件は、第一のイオンビーム照射の配向処理効果を打ち消さず、かつ未配向処理の基材に配向処理を施すことができるものの中から選択することができる。
このようにして、本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体を得ることができる。本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体は、そのまま、液晶表示素子等の用途に使用することができる。また、本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体から、基材を剥離することによって、位相差フィルムとして用いることも可能である。
また、本発明の配向基材(第一の基材)と位相差フィルムとの積層体の位相差フィルム側の面を第二の基材に積層し、次いで第一の基材を剥離することにより、前記位相差フィルムを第二の基材に転写することにより前記位相差フィルムと第二の基材との積層体を製造することができる。この場合、図8のように基材1(第一の基材)上に形成された位相差フィルム17側の面を第二の基材19と、必要に応じて、例えば粘着層又は接着層18を介して、積層し(図8(a))、次いで配向基材19を剥離することで(図8(c))、位相差フィルムを第二の基材に転写することができる。ここで粘着層又は接着層はあらかじめ位相差フィルム面に積層されていてもよいし、第二の基材面に積層されていてもよい。
第二の基材としては、通常、プラスチック基材を用いる。透明樹脂基材の具体例を挙げると、脂環式オレフィン系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィン系ポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂等の合成樹脂からなる単層又は積層のフィルム等が挙げられる。
また、粘着層や、接着層に使用される粘着剤や接着剤の例としては、硬化によって常温下で粘着性を失う狭義の接着剤(ホットメルト接着剤、UV硬化型粘着剤、EB型硬化粘着剤等を含む。)と、粘着性を失わない粘着剤(感圧接着剤等)が挙げられる。接着剤の選択に特に制限は無いが、通常は透明性の高い接着剤を用いる。また、製造工程の時間短縮のために、貼り合わせ直後から物性が変化しない粘着剤か、速やかに硬化する接着剤(例えば、ホットメルト接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤等)が好ましい。さらに製品の信頼性と機械的強度を確保するためには、UV硬化型接着剤及びEB硬化型接着剤が特に好ましい。なお、接着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。粘着層又は接着層は、効果を著しく損なわない限り添加剤を含んでもよい。添加剤の例を挙げると、光拡散剤が挙げられる。光拡散剤は光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーとに大別できる。無機フィラーとしては、例えば、ガラス、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート、およびこれらの混合物等が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシロキサン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル、及びこれらの架橋物等が挙げられる。これらの中でも、有機フィラーとしては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、及びこれらの架橋物からなる微粒子が、高分散性、高耐熱性、成形時の着色(黄変)がない点で好ましい。これらの中でも、より透明性に優れる点でアクリル樹脂の架橋物からなる微粒子がより好ましい。また、光拡散剤として2種類以上の素材からなるものを用いてもよいし、2種類以上の光拡散剤を組み合わせて用いてもよい。光拡散剤の量は、未硬化状態の接着剤に含まれる固形分100重量部に対して、通常O.5〜20重量部である。光拡散剤の具体的な量は、所望のヘイズ値と接着層の膜厚とで決定される。ヘイズ値(JISK7361−1に準拠して、日本電色工業社製「濁度計NDH−300A」を用いて測定)は3%以下が好ましい。粘着層又は接着層の厚みは、光学特性、信頼性及び機械的強度を損なわない限りにおいて、任意に選択できるが、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。100μmよりも厚いと透過率が低くなったり粘着層又は接着層の硬化が不十分となって信頼性及び機械的強度が低くなったりする可能性がある。0.5μmよりも薄いと、貼り合わせる部材の表面凹凸の影響等によって、貼り合わせ工程で気泡が混入する可能性がある。また、粘着層又は接着層は、紫外線の影響を小さくするための前述の紫外線吸収剤を配合してもよい。さらに、第二の基材表面の耐擦傷性(例えば、スチールウール試験)や表面硬度(例えば、鉛筆硬度試験)の観点から、使用される粘着層および接着層の固さは高い方が好ましく、単体で測定した場合の鉛筆硬度がHB以上の範囲が好ましい。
本発明の位相差フィルムと第二の基材との積層体は、そのまま、液晶表示素子等の用途に 使用することができる。 また、本発明の配向基材と位相差フィルムとの積層体から、配向基材を剥離することによって、位相差フィルムとして用いることも可能である。
位相差フィルムの使用例としては、例えばVA(Vertical Alignment)モード液晶ディスプレイ、IPS(In Plane Switching)モード液晶ディスプレイにおける視野角補償フィルムとして好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。これらに本発明の位相差フィルムを用いることで、重合性液晶の配向特性が良好なため光漏れがなく高コントラストな画像特性を得ることが可能となる。
また、本発明のパターン化位相差フィルムはパッシブ型立体画像表示装置に好ましく用いられる。パッシブ方式とは、少しずれた2つの画像を左右それぞれの目に入射することで、画像を立体的に認識させる方式である。ここで、右目用の画像と左目用の画像は液晶ディスプレイの画面内に同時に表示されるが、一般的には画素の横ラインに対して交互に表示される。左右の画像は液晶ディスプレイ前面の偏光板によって直線偏光となる。ここで、一般的に偏光板の透過軸は液晶モードによって決定し、例えばVAモード液晶ディスプレイであると、画面の鉛直方向が透過軸となり、TN(Twisted Nematic)モードでは画面の鉛直方向に対して45度方向が透過軸となる。次に、偏光板上に、各種液晶モードの偏光板の透過軸に対して±45度の配向軸となるようにライン状にパターン化された位相差フィルムのラインを画素の横ラインと対向して配置することで左右画像がそれぞれ逆回転の円偏光状態とすることができる。ここで、具体的な位相差フィルムの配向軸方向は、例えばVAモード液晶ディスプレイに用いる場合はライン方向に対して±45度方向になるように配し、TNモード液晶ディスプレイに用いる場合はライン方向に対して0度、90度方向になるように配することが好ましい。ディスプレイから逆円偏光状態で放出された左右それぞれの目用の画像は、視聴者が装着した一方の円偏光状態の光のみを透過するような偏光メガネを用いて左右それぞれの目に振り分けられ、画像が立体的に認識される。ここで、良好な立体画像表示を得るためには、左右画像がそれぞれ逆回転の円偏光状態以外の偏光状態を含まないことが重要であるが、本発明の位相差フィルムはライン状パターン境界での未配向処理の発生が抑制されるため好ましい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(透明樹脂基材の例)
基材として脂環式オレフィン系ポリマーからなるフィルム(オプテス社製、商品名:ゼオノアフィルム(登録商標)ZF14−100」)を用いた。
(重合性液晶性組成物の調製例)
表1に示す配合割合(重量部)で各成分を混合して、重合性液晶性組成物を調製した。なお、重合性液晶性組成物に含まれる各成分の詳細は、以下のとおりである。重合性液晶化合物としては、商品名LC242(BASF社製)を用いた。重合開始剤としては、商品名イルガキュアIRG−379(チバ・ジャパン社製)を用いた。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤(商品名フタージェント209F、ネオス社製)を用いた。架橋剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた。
Figure 2014164142
(位相差フィルムの作製例)
温度23℃において、基材の配向処理を施した面に、調製した重合性液晶性組成物を、スピンコーターを使用して塗布して、塗膜を形成した。この塗膜を75℃で2分間乾燥処理し、その後、130℃で加温した状態で、紫外線照射を行なった。ここで、紫外線の量は2000mJ/cmとした。また、この照射は窒素雰囲気下で行なった。かかる照射により、塗膜を硬化させ、位相差λ/4の位相差フィルムを配向基材上に作製した。
(実施例1)
基材の配向処理として、矩形のイオンソース(ランテクニカルサービス社製)を70度方向に傾けた状態(基材面に対して垂直な方向を0度とする)で基材上をスキャンすることで、イオンビーム照射を行った。スキャンスピードは60mm/minとし、スキャン方向は基材面に照射されるイオンの水平方向成分と平行とした。ここで、イオンビーム照射後の基材表面に分子の異方性層が形成されているかどうかを確認するために、反射型エリプソ(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製、M−2000)にて、イオンビーム未照射のサンプルと照射後のサンプル(ビームエネルギー3種類:700eV、1000eV、1500eV)を面内水平方向に回転させながら表面反射光の位相差Δを測定したところ、イオンビーム照射後のサンプルはいずれのビームエネルギーでもイオンビーム照射方位(サンプル回転角:0°、180°)と、その垂直な方位(サンプル回転角:90°、270°)に極値をとることから、表面に異方性層を発現していることが確認された(図10〜図12)。ここで、実施例1ではビームエネルギーは1000eVを選択した。その後、配向基材上に、位相差フィルムの作製例の方法で位相差フィルム1を作製した。
(実施例2)
基材の第一の配向処理として、矩形のイオンソースを70度方向に傾けた状態で基材上をスキャンすることで、イオンビーム照射を行った。ここで、ビームエネルギーは1000eV、スキャンスピードは60mm/min、スキャン方向は基材面に照射されるイオンの水平方向成分と平行とした。第二の配向処理として、基材を水平に90度回転させて設置し、SUS製の金属マスクを介してイオンビーム照射を行った。ビームエネルギーは1.500eV、スキャンスピードは30mm/min、スキャン方向は基材面に照射されるイオンの水平方向成分と平行とした。また、金属マスクの開口パターンはストライプ状であり、ストライプピッチ長は311.2μmであった。ここで、金属マスクのストライプパターンは、イオンソースのスキャン方向と平行となるように基材上に配した。その後、配向基材上に位相差フィルムの作製例のような方法で位相差フィルム2を作製した。
(実施例3)
基材の第一の配向処理として、イオンビーム照射に代えてラビング処理を行った(ここで、ラビングローラーの回転速度を500rpm、スキャンスピードを100mm/minとした。)ほかは、実施例2と同様にして、位相差フィルム3を作製した。
(実施例4)
基材の第一の配向処理として、矩形のイオンソースを70度方向に傾けた状態でSUS製の金属マスクを介して基材上をスキャンすることで、イオンビーム照射を行った。ここで、ビームエネルギーは1500eV、スキャンスピードは30mm/min、スキャン方向は基材面に照射されるイオンの水平方向成分と平行とした。また、金属マスクの開口パターンはストライプ状であり、ストライプピッチ長は、311.2μmであった。ここで、金属マスクのストライプパターンは、イオンソースのスキャン方向と平行となるように基材上に配した。第二の配向処理として、基材を水平に90度回転させて設置し、イオンビーム照射を行った。ビームエネルギーは700eV、スキャンスピードは80mm/min、スキャン方向は基材面に照射されるイオンの水平方向成分と平行とした。その後、配向基材上に、位相差フィルムの作製例の方法で位相差フィルム4を作製した。
(比較例1)
基材の配向処理として、イオンビーム処理に代えてラビング処理を行った(ここで、ラビングローラーの回転速度を500rpm、スキャンスピードを100mm/minとした。)ほかは、実施例1と同様にして、位相差フィルム5を作製した。
(評価1)
アクリル系粘着剤(SKダイン2094(綜研化学社製、ポリマー含有割合30重量%)に、硬化剤E−AX(綜研化学社)を、SKダイン2094中のポリマー100重量部に対して5重量部の割合で添加し、感圧性接着剤(以下、PSAという。)を調製した。ガラス基板(コーニング社製、Eagle XG)上に、PSAを介して、実施例1で得られた位相差フィルム1を貼合して配向基材を剥離することで(位相差フィルム1)/(PSA)/(ガラス基板)の層構成を有する積層体を得た。
同様に比較例1で得られた位相差フィルム5を用いて(位相差フィルム5)/(PSA)/(ガラス基板)の層構成を有する積層体を得た。
この2つの位相差フィルムについて、配向性を確認するために、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計V−7200を用いてクロスニコル下での光漏れを測定した。この装置の測定光学系は、測定光路中に偏光子、測定サンプル、検光子及び受光器の順で配置されている。測定は、偏光子と検光子とがクロスニコルとなるように配置し、サンプルを偏光子の光軸と平行に置いた場合の透過率(液晶の配向乱れによる光漏れの量)で測定した。
透過率スペクトルの結果を図13に示す。実施例1のイオンビーム配向処理で作製した位相差フィルム1での透過率が波長550nmで0.012%なのに対し、比較例1のラビング法で作製した位相差フィルム5の同波長での透過率が0.036%となり、実施例1のほうが、配向の乱れに起因する光漏れが1/3程度となったことから良好な配向性が得られた。
(評価2)
実施例2で得られた位相差フィルム2の面内位相差分布を、面内位相差測定装置(フォトニックラティス社製、WPA micro)を用いて測定したところ、ストライプごとに配向軸が90度ずれているλ/4パターンが形成されていた。また、位相差フィルム2を、ディスプレイ装置(BENQ社製、27inchTNモニタ、M2700HD)の視認側偏光板上に、ディスプレイ装置パネルの画素位置と位相差フィルム1のストライプ位置が対応するように位置合わせを実施した後に、PSAを用いて貼合し、配向基材を剥離して偏光板に転写することで、評価用ディスプレイ装置を得た。ここで、評価用ディスプレイ装置にパーソナルコンピューターよりパッシブ型立体画像を入力し、表示された画像を、偏光メガネを介して目視評価を実施したところ、良好な立体画像が得られることを確認した。
(評価3)
実施例3で得られた位相差フィルム3の面内位相差分布を、面内位相差測定装置(フォトニックラティス社製、WPA micro)を用いて測定したところ、ストライプごとに配向軸が90度ずれているλ/4パターンが形成されていた。また、評価1と同様に評価用ディスプレイ装置を作製し、目視評価を実施したところ、良好な立体画像が得られることを確認した。
(評価4)
実施例4で得られた位相差フィルム4の面内位相差分布を、面内位相差測定装置(フォトニックラティス社製、WPA micro)を用いて測定したところ、ストライプごとに配向軸が90度ずれているλ/4パターンが形成されていた。また、評価1と同様に評価用ディスプレイ装置を作製し、目視評価を実施したところ、良好な立体画像が得られることを確認した。
Figure 2014164142
表2に示す結果から明らかなように、本発明の要件を満たすイオンビームによる製造方法で製造した積層体や位相差フィルムは、比較例のラビングによる製造方法によって製造した積層体と位相差フィルムと同様に重合性液晶を配向させることが可能であることが判った。また、比較例のラビング法のみによる方法に比べて配向ムラを抑制することができ、さらにラビング法のみでは不可能であったパターン配向も可能となる。
1…基材
2…イオン
3…照射角
4…配向処理方向
5…矩形のイオンソース
6…フィルム基材
7…搬送方向
8…フィルム基材長尺長手方向への配向処理方向
9…フィルム基材長尺長手方向に対して斜めへの配向処理方向
10…マスク
11…マスクの開口部
12…パターン配向領域
13…全面配向処理領域
14…イオンビーム未照射パターン
15…イオンビーム照射パターン
16…ラビングローラー
17…位相差フィルム
18…粘着層又は接着層
19…第二の基材

Claims (13)

  1. 重合性液晶性組成物を配向基材上に塗布することにより配向させ、その後、前記重合性液晶性組成物を光または熱により重合させることによって配向基材と位相差フィルムとの積層体を製造する方法であって、
    前記配向基材が、斜め方向からのイオンビーム照射によって表面層の分子に異方性を励起した基材であることを特徴とする配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  2. 前記配向基材がプラスチックからなる配向基材であることを特徴とする請求項1に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  3. 前記配向基材がシクロオレフィン系樹脂からなる配向基材であることを特徴とする請求項2に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  4. 前記配向基材が、開口部パターンを有するマスクを基材と対向して配置し、前記マスクを介してイオンビームを前記基材に照射することにより、前記開口部パターンに対向する基材の一部領域のみに配向処理を施して得られるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  5. 前記配向基材が、イオンビーム照射によって基材の全面を第一の方向に配向させた後、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを照射することにより前記開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  6. 前記配向基材が、ラビング法によって基材の全面を第一の方向に配向させた後、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビームを照射することにより前記開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  7. 前記配向基材が、開口部パターンを有するマスクを介してイオンビーム照射により配向処理することにより前記マスクの開口部パターンに対向する前記基材の一部領域のみに第一の方向に配向処理をした後、イオンビーム照射により前記基材の全面を前記第一の方向とは異なる第二の方向の配向処理を施して得られる、相異なる方向の配向を有する配向基材であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の配向基材と位相差フィルムとの積層体の製造方法を用いて作製された配向基材と位相差フィルムとの積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体の位相差フィルム側の面を第二の基材に積層し、次いで配向基材を剥離することで、前記位相差フィルムを第二の基材に転写することを特徴とする位相差フィルムと第二の基材との積層体の製造方法。
  10. 前記位相差フィルムと前記第二の基材との間に、粘着層または接着層を介在させることを特徴とする請求項9に記載の位相差フィルムと第二の基材との積層体の製造方法。
  11. 請求項10記載の製造方法によって作製された位相差フィルムと第二の基材との積層体。
  12. 請求項8又は11に記載の積層体から基材を剥離して得られる位相差フィルム。
  13. 請求項12に記載の位相差フィルムを備えてなる液晶表示素子。
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