JP2007076001A - 環状ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法、光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置。 - Google Patents
環状ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法、光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】環状ポリオレフィンポリマーと溶媒とを含むドープを流延ダイから無端で走行する支持体上に流延し、支持体上にドープから流延膜69を形成し、流延膜69をフィルムとして剥ぎ取る環状ポリオレフィンフィルムの溶液流延製膜法であって、ドープを支持体に流延後15秒以内から3m/s以上15m/s以下の乾燥風57を流延膜69に当て、かつ乾燥風57が流延膜69にあたる前に、流延膜69表面上を漂う風が風速3m/s未満である溶液流延製膜方法。
【選択図】図2
Description
一方、環状ポリオレフィンフィルムの溶液製膜においては、高いTgのポリマーも製膜できるメリットがあるが、光学特性の発現性の調整、およびその変動制御に問題があった。また、近年液晶表示装置に使用する光学補償フィルム用途にあっては、特にフィルムの平面性の要求レベルが高まってきているが、従来の乾燥条件では、乾燥の際にその風速などによりスジ状およびマダラ状のムラが発生しうるという問題が生じることが判明した。また、剥離時の抵抗が大きいと剥ぐときに発生する剥ぎ段ムラが発生する問題が生じている。特に、乾燥時に発生するスジ状およびマダラ状のムラは、優れた平面性が要求される光学フィルムでは品質を落とす大きな問題となり、その改善が必要であった。
ィルム、偏光板および液晶表示装置を提供することである。
(1) 環状ポリオレフィンポリマーと溶媒とを含むドープを流延ダイから無端で走行する支持体上に流延し、前記支持体上に前記ドープから流延膜を形成し、前記流延膜をフィルムとして剥ぎ取る環状ポリオレフィンフィルムの溶液流延製膜法であって、前記ドープを前記支持体に流延後15秒以内から3m/s以上15m/s以下の乾燥風を流延膜に当て、かつ前記乾燥風が前記流延膜にあたる前に、前記流延膜表面上を漂う風が風速3m/s未満であることを特徴とする溶液流延製膜方法。
(2) 環状ポリオレフィンポリマーと溶媒とを含むドープを流延ダイから無端で走行する支持体上に流延し、前記支持体上に前記ドープから流延膜を形成し、前記流延膜をフィルムとして剥ぎ取る環状ポリオレフィンフィルムの溶液流延製膜法であって、
前記流延膜表面に前記フィルムの形成開始膜となる初期膜を形成し、
前記初期膜の表面張力により前記流延膜表面の面状を平滑化することを特徴とする溶液流延製膜方法。
(3) 前記初期膜が、前記流延膜に乾燥風を当てて形成されることを特徴とする(2)に記載の溶液流延製膜方法。
(4) 前記乾燥風が前記流延膜にあたる前に、前記流延膜表面上を漂う風が風速3m/s未満であり、且つその風が漂う時間が15秒以下であることを特徴とする(2)または(3)に記載の溶液流延製膜方法。
(5) 前記乾燥風の風速が、3m/s以上15m/s以下であることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
(6) 前記流延膜を無端で走行する支持体上から剥離する際、残留揮発分が20質量%以上150質量%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
(7) 前記流延膜を無端で走行する支持体上から剥離する際、剥離抵抗が0.25N/cm以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。(8) 支持体から剥離後のフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
(9) 前記環状ポリオレフィンポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上400℃以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
(11) (10)に記載の環状ポリオレフィンフィルムを含むことを特徴とする光学補償フィルム。
(12) 正面のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthが下記式を満たし、かつ、遅相軸角度の標準偏差が1.5°以下であることを特徴とする(11)に記載の光学補償フィルム。
0nm≦Re(590)≦100nm
40nm≦Rth(590)≦400nm
ここでRe(λ)、Rth(λ)は波長λnmで測定したRe、Rthを表す。
(13) 1軸延伸法、同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法で延伸されていることを特徴とする(11)または(12)に記載の光学補償フィルム。
(14) 偏光子の2枚の保護膜の内少なくとも一方が、(10)に記載の環状ポリオレフィンフィルムまたは(11)〜(13)のいずれかに記載の光学補償フィルムからなることを特徴とする偏光板。
(15) (10)に記載の環状ポリオレフィンフィルム、(11)〜(13)のいずれかに記載の光学補償フィルム、(14)に記載の偏光板のうち少なくともいずれか1つを
具備したことを特徴とする液晶表示装置。
さらに流延開始から、乾燥風が送風される例えば送風口までの間に、風速が3m/s未満の風(なりゆき風または成行風と称される)が流延膜表面を漂う時間を一定時間内とすることでスジ状、マダラ状のムラが流延膜の膜面に発生するのを抑制できることが判明し、そのことにより環状ポリオレフィンフィルムのムラを低減できることを見出した。
前記初期膜は、前記流延膜に乾燥風を当てて形成されることが好ましい。前記乾燥風が前記流延膜にあたる前に、3m/s未満の風が前記流延膜表面上を漂う時間を15秒以下とすることが好ましく、より好ましくは10秒以下であり、最も好ましくは7秒以下である。
前記乾燥風の風速が、3m/s以上15m/s以下であることが好ましく、より好ましくは4m/s以上12m/s以下であり、最も好ましくは4m/s以上10m/s以下である。
前記乾燥風を前記流延膜に20秒以上あてることが好ましい。なお、乾燥風をあてる時間の上限は、揮発溶媒成分が流延膜剥離に問題ない程度(10質量%以上)であれば特に制限されないが好ましくは20分以下である。
前記乾燥風のガス濃度が、25%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、最も好ましくは18%以下である。なお、本発明においてガス濃度とは、赤外線分析法で測定される乾燥風中の揮発溶媒成分を意味する。
前記乾燥風の温度が、40℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは45℃以上110℃以下であり、最も好ましくは50℃以上100℃以下である。
前記乾燥風をスリットノズルまたは2次元ノズルにより前記流延膜表面に当てることが好ましい。
上記乾燥は窒素雰囲気下で行われるのが好ましい。またこの時の相対湿度は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましく1%以下であることが特に
好ましい。
前記流延膜の表面の乾燥を開始する際の前記流延膜の残留溶媒量が、200質量%以上500質量%以下であることが好ましく、250質量%以上450質量%以下であることがより好ましく、最も好ましくは300質量%以上420質量%以下である。
前記フィルムの乾燥後の厚みが、通常5μm〜500μmの範囲であり、30μm〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40μm〜110μmであることが好ましい。
前記ドープの流延時における粘度が、10Pa・s以上200Pa・s以下であることが好ましく、12Pa・s以上180Pa・s以下であることがより好ましく、最も好ましくは15Pa・s以上150Pa・s以下である。
前記流延を共流延で行うことが好ましい。
前記支持体の走行速度が、5m/分以上200m/分以下であることが好ましく、10m/分以上180m/分以下であることがより好ましく、15m/分以上150m/分以下。
本発明においては、環状ポリオレフィン溶液を用い、溶液流延法を使用して環状ポリオレフィンフィルムを製造する。溶液流延法は、平面性、膜厚均一性等に優れる。特に溶液流延法では、溶融製膜が困難なガラス転移温度(Tg)が200℃以上400℃以下という高Tgを持つ環状ポリオレフィンポリマーを用いてもフィルム製膜できるという点で好ましい。図1は環状ポリオレフィンフィルムの製膜ラインの一例を示している。環状ポリオレフィン系樹脂と溶媒とはミキシングタンク10内に注入され、撹拌翼11で撹拌されてドープ12が調製される。この時、ドープ12には、微粒子分散物、可塑剤及び紫外線吸収剤などの添加剤を混合してもよい。ドープ12は、ポンプ13により濾過装置14に送られて不純物が除去される。さらに、ドープ12は、一定の流量で流延ダイ15に送られ、ベルト16上に流延される。そして、図示しない駆動装置により回転駆動されるベルト16上で徐々に溶剤が揮発し、フィルム17が形成される。なお、ベルトに代えてドラムに流延してもよい。さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)等が用いられる。本発明の環状ポリオレフィンフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられる環状ポリオレフィン溶液の温度は、−10℃〜55℃が好ましくより好ましくは25℃〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
本発明の方法を用いて乾燥時初期のなりゆき風によるスジ状、マダラ状のムラを低減する方法について詳細に説明するが、本発明は、この図に限定されるものではない。
図3に示すようにノズルからの乾燥風送風方向は様々な態様のものを用いることができる。例えば、図3(a)に示すように流延膜69の両縁のノズル52a,52bから流延膜69の中央部に乾燥風を当てるものがある。また、(b)に示すように流延膜69の幅方向における中央部にノズル53を設け、前記中央部から両縁に乾燥風を当てるものでも良い。さらに、(c)に示すように流延膜69のノズル54から吸引口55に向けて乾燥風を流延膜69に当てるものでも良い。また、ノズルの形状は特に限定されるものではな
い。
下が好ましい。
上記乾燥は窒素雰囲気下で行われるのが好ましい。またこの時の相対湿度は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましく1%以下であることが特に好ましい。
特に剥離荷重が大きいときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされていないところが交互に生じて、レターデーションに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線状あるいは帯状にムラが見えるようになる。このような問題を発生させないためには、フィルムの剥離荷重をフィルム剥離幅1cmあたり0.25N以下にすることが好ましい。剥離荷重はより好ましくは0.2N/cm以下、さらに好ましくは0.15N以下、特に好ましくは0.10N以下である。剥離荷重0.2N/cm以下のときはムラが現れやすい液晶表示装置においても剥離起因のムラは全く認められず、特に好ましい。剥離荷重を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組成の選択による方法がある。本環状ポリオレフィンフィルムの場合は、アルコール系溶剤の添加量を増大させることによりその効果が顕著となる。
すると乾燥速度が稼げて、生産性が向上する点で好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さく、剥離力に負けて切断したり伸びてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しく、変形、シワ、クニックを生じやすくなる。またレターデーションに分布を生じる原因になる。なお、フィルムの乾量を基準とした揮発分Xは、揮発分X(%)={(フィルムサンプルの質量(g)−B)/B}×100 から求めている。フィルムサンプルの質量は、テンターに導入する前のフィルムの一部をフィルムサンプルとして取り出して測定した値である。また、Bは、そのサンプルフィルムを115℃で空気恒温槽にて1時間乾燥した後に測定した質量(g)である。
フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。VA液晶セルやOCB液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが、ポリビニルアルコールとロールツーロールで貼りあわせができる点でより好ましい。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。
が、この他に、マルチマニフォールド型の共流延ダイを用いて複層構成のフィルムを製造する場合にも、本発明を適用することができる。同様にして、フィードブロック型の共流延ダイを用いてもよい。さらには、2個の流延口を用いて、第1の流延ダイから支持体に成型したフィルム上に第2の流延ダイから流延を行う製造方法を適用してもよい。なお、各流延ダイはコートハンガーダイを使用しているが、これに限定されるものではなく、Tダイ等の他の形状であってもよい。特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、特開昭56−162617号、特開昭61−94724号、特開昭61−94725号、特公昭44−20235号公報に記載されている方法を使用することもできる。
本発明においては環状ポリオレフィンポリマー(環状ポリオレフィン、あるいは環状ポリオレフィン系樹脂とも称する)とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。本発明に好ましい重合体は下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンおよび必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
どの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
本発明では、上記環状ポリオレフィン系樹脂に微粒子を添加することができる。微粒子の添加により、フィルム表面の動摩擦係数が低下することによりフィルムハンドリング時にフィルムに加わる応力を低減させることができる。本発明で使用できる微粒子としては、有機あるいは無機化合物の微粒子を使用することができる。
微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましいヘイズの範囲は2.0%以下であり、1.2%以下が更に好ましく、0.5%以下が特に好ましい。微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましい動摩擦係数は0.8以下であり、0.5以下が特に好ましい。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法に従い、鋼球を用いて測定できる。ヘイズは日本電色工業(株)製1001DP型ヘイズ計を用いて測定できる。
次に、本発明の環状ポリオレフィンが溶解される溶剤について記述する。本発明においては、環状ポリオレフィンが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる溶剤は特に限定されない。本発明で用いられる溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ150℃以下である。本発明に使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状ポリオレフィンが溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば融点20℃未満と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期は環状ポリオレフィン溶液(ドープ)作製工程において
何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、環状ポリオレフィンフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状ポリオレフィン100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
本発明ではレターデーション値を発現するため、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として用いることができる。レターデーション発現剤を使用する場合は、ポリマー100質量部に対して、0.05乃至20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2乃至5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5乃至2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250乃至400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション発現剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
一般式(IV): Ar1−L1−Ar2
基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、より好ましくは1乃至15であり、さらに好ましくは1乃至10であり、さらに好ましくは1乃至8であり、最も好ましくは1乃至6である。
棒状化合物としては、下記式一般式(V)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(V):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(V)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(IV)のAr1およびAr2と同様である。
環状ポリオレフィンフィルムの剥離抵抗を小さくする添加剤としては界面活性剤に効果の顕著なものが多くみつかっている。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離剤を例示する。
RZ−2 C12H25O−P(=O)−(OK)2
RZ−3 C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2
RZ−4 C15H31(OCH2 CH2 )5 O−P(=O)−(OK)2
RZ−5 {C12H25O(CH2 CH2 O)5 }2 −P(=O)−OH
RZ−6 {C18H35(OCH2 CH2 )8 O}2 −P(=O)−ONH4
RZ−7 (t−C4 H9 )3 −C6 H2 −OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2
RZ−8 (iso−C9 H19−C6 H4 −O−(CH2 CH2 O)5 −P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C12H25SO3 Na
RZ−10 C12H25OSO3 Na
RZ−11 C17H33COOH
RZ−12 C17H33COOH・N(CH2 CH2 OH)3
RZ−13 iso−C8 H17−C6 H4 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 )2 SO3 Na
RZ−14 (iso−C9 H19)2 −C6 H3 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 )4 SO3 Na
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−17 C17H33CON(CH3 )CH2 CH2 SO3 Na
RZ−18 C12H25−C6 H4 SO3 ・NH4
環状ポリオレフィン系樹脂は、一般的に、セルロースアセテートに比較して柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、光学フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、光学フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良するため、可塑剤を添加することができる。具体的には、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物を挙げることができる。
次に本発明の環状ポリオレフィン溶液(ドープ)の調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌してポリマーを膨潤させた後−20℃から−100℃まで冷却し再度
20℃から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよいポリマーは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪いポリマーは密閉容器中で加熱溶解することが好ましい。ジクロロメタンを主溶剤に選んだときは、多くの環状ポリオレフィンは20℃〜100℃の加熱により溶解することが出来る。
環状ポリオレフィン溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、通常5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sが更に好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5℃〜70℃であり、より好ましくは−5℃〜35℃である。
本発明の出来上がり(乾燥後)の環状ポリオレフィンフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5μm〜500μmの範囲であり、30μm〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40μm〜110μmであることが好ましい。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さおよび本発明に厚さ分布になるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状ポリオレフィンフィルムの幅は0.5μm〜3mが好ましく、より好ましくは0.6μm〜2.5m、さらに好ましくは0.8μm〜2.2mである。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3
nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムの好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。偏光板保護フィルム用途の場合は、面内レターデーション(Re)は5nm以下が好ましく、3nm以下が更に好ましい。厚さ方向レターデーション(Rth)も50nm以下が好ましく、35nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましい。
環状ポリオレフィンフィルムを光学補償フィルム(位相差フィルム)として使用する場合は、位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがあるが、0nm≦Re≦100nm、40nm≦Rth≦400nmであることが好ましい。TNモードなら0nm≦Re≦20nm、40nm≦Rth≦80nm、VAモードなら20nm≦Re≦80nm、80nm≦Rth≦400nmがより好ましく、特にVAモードで好ましい範囲は、30nm≦Re≦75nm、120nm≦Rth≦250nmであり、一枚の位相差膜で補償する場合は、50nm≦Re≦75nm、180nm≦Rth≦250nm、2枚の位相差膜で補償する場合は、30nm≦Re≦50nm、80nm≦Rth≦140nmであることがVAモードの補償膜の場合、黒表示時のカラーシフト、コントラストの視野角依存性の点でよりし好ましい態様である。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムは使用するポリマー構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。例えば剥離時の残留揮発分を40〜85wt%内で調節することにより厚さ方向のレターデーションRthを180〜300nmに幅広く制御することも可能である。一般に剥離時の残留揮発分が多いほど、Rthは小さくなり、剥離時の残留揮発分が少ないほどRthは大きくなる。例えば金属支持体上での乾燥時間を短くし、剥離時残留揮発分を多くすることで、面配向を緩和させてRthを低くすることが自在にでき、工程条件を調節することにより様々な用途に応じた様々なレターデーションを発現することが可能である。
本明細書において、Re、Rthは各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
偏光板は、通常、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜を有する。両方または一方の保護膜として、本発明の環状ポリオレフィンフィルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明の環状ポリオレフィンフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、フィルムは
後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光子を接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス、ゼラチン等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの測定にはUV3100PC(島津製作所社製)を用いることができる。測定では、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いることができる。
偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償膜が挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を光学補償膜がガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの順でそれぞれ、40.5≦TT≦45、32≦PT≦39.5、CT≦1.5であり、より好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3である。また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。
本発明では、偏光子と保護フィルムとの接着性を改良するため、環状ポリオレフィン保護フィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号及び英国特許第891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃以上180℃以下にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
Pa〜300Paである。また、電圧は500V〜5000Vの間が好ましく、より好ましくは500V〜3000Vである。使用する放電周波数は、直流から数千MHz、より好ましくは50Hz〜20MHz、さらに好ましくは1KHz〜1MHzである。放電処理強度は、0.01KV・A・分/m2〜5KV・A・分/m2が好ましく、より好ましくは0.15KV・A・分/m2〜1KV・A・分/m2である。
よい。
ポリビニルアルコールからなる偏光子と、表面処理された環状ポリオレフィンからなる保護フィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド,ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは共重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースゼラチン、などが挙げられる。本発明では、この中でもPVA及びゼラチンが好ましい。
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。以下にそれらの好ましい例を記
載する。
また、C光源下での反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなり、好ましい。またC光源下での透過光のb*値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、面光源上と本発明の反射防止フィルムの間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49が好ましく、より好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(m/4)×0.7<n1d1<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500nm〜550nmの範囲の値である。
低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90°〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
光散乱層は、一般に表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、一般にハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生及び脆性の悪化の抑制の観点から、1μm〜10μmが好ましく、1.2μm〜6μmがより好ましい。
とがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むものを選択することもできる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロッ
クイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10%〜90%であることが好ましく、より好ましくは20%〜80%であり、特に好ましくは30%〜75%である。なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計されることが好ましい。高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい(例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等参照)。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成ることが好ましい。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物等が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−1661042001−310432号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6210858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個有する多官能性化合物含有組成物と、加水分解性基を有する有機金属化合物及びその部分縮合体を含有する組成物とから選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の組成物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
前記構成においては、低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30nm〜200nm
であることが好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましく、60nm〜120nmであることが最も好ましい。
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
ハードコート層は、反射防止層を設けた透明保護膜に物理強度を付与するために、通常透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径0.2μm〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10−8Ωcm−3以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10−8Ωcm−3の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物のうち着色していないものを導電性層素材として用いるとフィルム全体の着色が抑えられ好ましい。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W、またはVをあげることができ、これを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V2O5等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2、及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、TA等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10−8Ωcm−3以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね10−10Ω/□以下の表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10−8Ω/□である。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表
層としたときの値として測定されることが必要であり、本特許に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
本発明の環状ポリオレフィンフィルム、該フィルムからなる光学補償フィルム(位相差フィルム)、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明の位相差フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明の透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護膜として、本発明の環状ポリオレフィンフィルムからなる位相差フィルムが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)透明保護膜のみに上記の位相差フィルムを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の透明保護膜に、上記の位相差フィルムを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記位相差フィルムを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用するのが特に好ましい。液晶セルへの張り合わせは、本発明の環状ポリオレフィンフィルムはVAセル側にすることが好ましい。保護膜は通常のセルレートアシレートフィルムでも良い。たとえば、40μm〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト(株)製40μm)、KC5UX(コニカオプト(株)製60μm)、TD80(富士写真フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
OCBモードの液晶表示装置やTN液晶表示装置では、視野角拡大のために光学補償フィルムが使用される。OCBセル用光学補償フィルムは光学一軸あるいは二軸性フィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。TNセル用光学補償フィルムは光学等方性あるいは厚さ方向に光学軸を有するフィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。本発明の環状ポリオレフィンフィルムは上記OCBセル用光学補償フィルムやTNセル用光学補償フィルム作成に有用である。
光学補償フィルムの好適なレターデーション値については、前述の通りである。
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた重合体(P−1)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
環状ポリオレフィン溶液 D−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィンP−1 150質量部
ジクロロメタン 380質量部
メタノール 70質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
微粒子分散液 M−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
ジクロロメタン 73質量部
メタノール 10質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−1 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ンター18に導入した。
上記過程の条件は表1に示す通りである。
テンター18への導入時のフィルム17の揮発分Xはどの試料も剥ぎ取りの揮発分から5%〜15%低い値であった。テンター18で延伸率は0%、テンター内温度は140℃として幅方向にフィルムを延伸させずに搬送させた。テンター離脱直後から100N/mのテンションでロール搬送を行い、さらに140℃で乾燥して巻き取った。この時のフィルムの乾燥厚みは80μmであった。
製造したフィルムの厚さ、Reレターデーション、Rthレターデーション、遅相軸角度、そのバラツキの標準偏差、フィルムのガラスス転移温度、搬送性能、目視によるフィルム面状などを表1に記す。光学的ムラは、クロスニコルに配置した偏光板の間にサンプルを挿入、目視評価し、搬送性能は、フィルム内のシワ、座屈等の入り易さにより、良〜不良を○〜×で相対評価した。
フィルムを目視で観察し、その面状を以下の如く評価した。1
◎:フィルム表面は平滑である。
○:フィルム表面は平滑であるが、極めて弱い凹凸が見られる。
△:フィルム表面に弱い凹凸が見られるが光学フィルムの種類によっては使用可能である
。
×:フィルム表面に凹凸が見られ、光学フィルムに用いることが困難である。
実施例1において、テンター18での延伸率を8%とした以外は、全く同様の方法によって環状ポリオレフィンフィルムを作成した。評価結果を表2に示す。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μ
mのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
環状ポリオレフィン溶液 D−2
――――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン:Appear 3000 100質量部
ジクロロメタン 380質量部
メタノール 70質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
微粒子分散液 M−2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2質量部
ジクロロメタン 73質量部
メタノール 10質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−2 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
環状ポリオレフィン溶液 D−3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン:Zeonor ZF‐14 100質量部
パラフィンワックス135(日本精蝋(株)) 10質量部
シクロヘキサン 450質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
微粒子分散液 M−3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
シクロヘキサン 83質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−3 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
表2、表3とほぼ同様な面状、搬送性能が得られた。光学特性については、やや発現性が異なるものであった。剥離抵抗については、表2、表3に比べてやや高いものが得られ、剥ぎ段ムラがやや見えるものもあったが、使用に耐える範囲内であった。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。実施例2で作製した環状ポリオレフィンフィルム(207)にグロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、20秒処理)を行い、市販の80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD80UF)に下記鹸化処理を行い、その後ポ
リビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の両側にそれぞれ貼り付け、70℃で10分以上乾燥し偏光板Aを作製した。鹸化処理条件は以下のように行った。
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調整し、55℃に保温した。0.01Nの希硫酸水溶液を調整し、35℃に保温した。TD80UFを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
作成した偏光板Aは、偏光子の片側に環状ポリオレフィンフィルム207を、市販のセルローストリアセテートフィルム(TD80UF)を貼り付けた。また偏光子の透過軸と環状ポリオレフィンフィルム207の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸とTD80UFの遅相軸とは、直交するように配置した。
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。この垂直配向型液晶セルの上側(観察者側)には市販品のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2-5618)を用いた。液晶セルの下側(バックライト側)には作製した偏光板Aを、環状ポリオレフィンフィルムが液晶セル側にくるように粘着剤を介して貼り付けた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置を観察した結果、全ての階調において、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また環境湿度変化させた後でも、画沿い表示にムラが無く、良好なものであった。
11 撹拌翼
12 ドープ
13 ポンプ
14 濾過装置
15 流延ダイ
16 ベルト
17 フィルム
18 テンター
19 複数のローラ
20 乾燥ゾーン
21 冷却ゾーン
22 巻き取り機
23、24 ローラ
26 ローラ
31 流延ダイ
33 回転ローラ
34 流延バンド
34a 流延ビードが流延バンド34に接地する位置を流延開始位置
50 ラビリンスシール
51 給気装置
52a,52b 流延膜69の両縁からの乾燥風を当てるノズル
53 流延膜69の幅方向における中央部から乾燥風を両縁に当てるノズル
54 流延膜69から吸引口55に向けて乾燥風を当てるノズル
56 成行風
57 乾燥風
68 減圧チャンバ
69 流延膜
69a 初期膜
70 その他の送風口
73 急速乾燥送風口
73a 急速乾燥送風口73のノズル
76 減圧装置(例えば、ルーツ式ブロワーなど)
A 成行風領域(流延後から乾燥風が送られるまでの領域)
L1(mm)ラビリンスシール50と急速乾燥送風口73との距離(成行風領域Aの長さ)
L2(mm) 急速乾燥送風口73の長さ
Claims (15)
- 環状ポリオレフィンポリマーと溶媒とを含むドープを流延ダイから無端で走行する支持体上に流延し、前記支持体上に前記ドープから流延膜を形成し、前記流延膜をフィルムとして剥ぎ取る環状ポリオレフィンフィルムの溶液流延製膜法であって、前記ドープを前記支持体に流延後15秒以内から3m/s以上15m/s以下の乾燥風を流延膜に当て、かつ前記乾燥風が前記流延膜にあたる前に、前記流延膜表面上を漂う風が風速3m/s未満であることを特徴とする溶液流延製膜方法。
- 環状ポリオレフィンポリマーと溶媒とを含むドープを流延ダイから無端で走行する支持体上に流延し、前記支持体上に前記ドープから流延膜を形成し、前記流延膜をフィルムとして剥ぎ取る環状ポリオレフィンフィルムの溶液流延製膜法であって、
前記流延膜表面に前記フィルムの形成開始膜となる初期膜を形成し、
前記初期膜の初期膜のレベリング効果により、前記流延膜表面の面状を平滑化することを特徴とする溶液流延製膜方法。 - 前記初期膜が、前記流延膜に乾燥風を当てて形成されることを特徴とする請求項2に記載の溶液流延製膜方法。
- 前記乾燥風が前記流延膜にあたる前に、前記流延膜表面上を漂う風が風速3m/s未満であり、且つその風が漂う時間が15秒以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の溶液流延製膜方法。
- 前記乾燥風の風速が、3m/s以上15m/s以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
- 前記流延膜を無端で走行する支持体上から剥離する際、残留揮発分が20質量%以上150質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
- 前記流延膜を無端で走行する支持体上から剥離する際、剥離抵抗が0.25N/cm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
- 支持体から剥離後のフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
- 前記環状ポリオレフィンポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の溶液流延製膜方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の溶液流延製膜方法により製造されることを特徴とする環状ポリオレフィンフィルム。
- 請求項10に記載の環状ポリオレフィンフィルムを含むことを特徴とする光学補償フィルム。
- 正面のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthが下記式を満たし、かつ、遅相軸角度の標準偏差が1.5°以下であることを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルム。
0nm≦Re(590)≦100nm
40nm≦Rth(590)≦400nm
ここでRe(λ)、Rth(λ)は波長λnmで測定したRe、Rthを表す。 - 1軸延伸法、同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法で延伸されていることを特徴とする請求項11または12に記載の光学補償フィルム。
- 偏光子の2枚の保護膜の内少なくとも一方が、請求項10に記載の環状ポリオレフィンフィルムまたは請求項11〜13のいずれかに記載の光学補償フィルムからなることを特徴とする偏光板。
- 請求項10に記載の環状ポリオレフィンフィルム、請求項11〜13のいずれかに記載の光学補償フィルム、請求項14に記載の偏光板のうち少なくともいずれか1つを具備したことを特徴とする液晶表示装置。
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