JP2003039459A - 樹脂フィルムの製造装置 - Google Patents

樹脂フィルムの製造装置

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JP2003039459A JP2001231895A JP2001231895A JP2003039459A JP 2003039459 A JP2003039459 A JP 2003039459A JP 2001231895 A JP2001231895 A JP 2001231895A JP 2001231895 A JP2001231895 A JP 2001231895A JP 2003039459 A JP2003039459 A JP 2003039459A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶液流延製膜法により樹脂フィルムを製造す
る装置において、回転駆動する無端ベルトの上部移行部
のキャスト面の移動状態を常に把握する。ベルトのキャ
スト面と流延ダイないしは減圧チャンバとの接触を未然
に防止し、ベルトの損傷を防止する。安定した樹脂フィ
ルムの製造を可能とする。キャスト面と流延ダイないし
は減圧チャンバとの間の距離検出装置が、なんらかの要
因で無端ベルト上に落下して、キャスト面を損傷する可
能性を無くす。 【解決手段】 樹脂フィルムの製造装置において、無端
ベルト1 の上部移行部1Aのキャスト面1aの高さ方向の変
動量及び減圧チャンバ3 下面とキャスト面1aとの間の距
離a を検出する少なくとも1つの距離検出装置11,12
が、流延ダイ2 及び減圧チャンバ3 以外の場所、すなわ
ち減圧チャンバ3 の後方所定箇所及び減圧チャンバ3 も
しくは流延ダイ2 の下方においてベルト上部移行部1Aの
裏面側の所定箇所のうちの少なくとも一方の箇所に設置
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば偏光板の保
護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルム等
の樹脂フィルムの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、溶液流延製膜法により例えばセル
ロースエステルフィルムを製造する装置においては、ま
ず、セルロースエステルをこれを溶解する良溶媒及び溶
解しない貧溶媒の混合溶媒に溶解して、セルロースエス
テル溶液(ドープという)を調製し、流延ダイからドー
プを、駆動金属製無端ベルトの上部移行部のキャスト面
上に流延してドープ膜すなわちウェブを得、無端ベルト
の回動により乾燥を伴いながら移送されたウェブが、無
端ベルトの下部移行部に至り、ほぼ一巡したところで、
剥離ロールにより剥離し、複数の移送ロールを具備する
乾燥装置において乾燥され、セルロースエステルのフィ
ルムとして巻取機に巻き取られる。
【0003】そして、セルロースエステル溶液を、高速
で回転駆動する無端ベルトの上部移行部のキャスト面に
流延する際に、ウェブのキャスト面上への密着を安定に
するため、減圧チャンバを使用してウェブの背面から減
圧により、ウェブをキャスト面上に密着させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無端ベ
ルトの上部移行部のキャスト面にドープを流延する時
に、減圧チャンバの減圧による吸引により、あるいはそ
の他、何らかの外的要因で、ベルト上部移行部のキャス
ト面が上下方向(高さ方向)に移動することがあり、こ
の時、ベルトのキャスト面が流延ダイもしくは減圧チャ
ンバの下面に接触すると、ベルトのキャスト面が損傷を
受け、最終的に樹脂フィルムの品質を大きく損ない、ま
た場合によっては、無端ベルトの使用が不可能となるこ
ともあるという問題があった。
【0005】また従来、芳香族ポリアミド等の樹脂フィ
ルムの製造装置であって、口金装置(流延ダイ)及びフ
ィルム密着装置(減圧チャンバ)の少なくとも一方に、
これらの装置とキャスト面との間の距離を検出する距離
検出装置が複数個装備され、かつ距離検出装置による距
離検出情報に基づいて、口金装置及びフィルム密着装置
をキャスト面に対して上下方向に移動せしめる移動装置
を具備した樹脂フィルムの製造装置が開発されている
(特開2001−79864号公報)。
【0006】しかしながら、このような従来の装置によ
れば、口金装置及びフィルム密着装置自体に距離検出装
置が取り付けられるとともに、口金装置及びフィルム密
着装置自体を上下方向に移動させて回避させる上下移動
機構が具備されており、これでは、口金装置及びフィル
ム密着装置が上方又は下方に移動した時、距離検出装置
とベルトのキャスト面との正確な距離が不明になるし、
また、口金装置及び/又はフィルム密着装置に取り付け
られた距離検出装置が、ベルトのキャスト面上に落下す
る危険性が存在するという問題があった。
【0007】また、従来のように、距離検出装置によ
り、該距離検出装置とベルトのキャスト面との間の距離
を測定するだけでは、無端ベルトに存在する継ぎ目部で
距離が変化するため、誤作動を引き起こすおそれがある
し、さらに口金装置及びフィルム密着装置自体が非常に
重いため、これらの装置の回避のための上昇速度を超え
るベルトのキャスト面の上方への移動が生じた際には、
ベルトのキャスト面とこれらの装置との接触が避けられ
ないという問題があった。
【0008】本発明の目的は、上記の従来技術の問題を
解決し、溶液流延製膜法によりフィルムを製造する装置
において、高速で回転駆動する無端ベルトの上部移行部
のキャスト面の移動状態を常に把握することができて、
ベルトのキャスト面と流延ダイないしは減圧チャンバ下
面との接触を未然に防止することができ、ベルトのキャ
スト面の損傷を防止することにより、安定した樹脂フィ
ルムの製造が可能である、樹脂フィルムの製造装置を提
供しようとすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の樹脂フィルムの製造装置は、樹脂溶液
(ドープ)を駆動金属製無端ベルトの上部移行部の上面
(キャスト面)に膜状に流延するダイと、ドープ流延ダ
イによってキャスト面に流延膜(ウェブ)を形成する
際、ウェブがキャスト面上に密着して形成されるように
流延上流側から減圧する手段としての減圧チャンバと、
無端ベルトの回動により乾燥を伴いながら移送されたウ
ェブを無端ベルトから剥離する剥離手段とを備えている
樹脂フィルムの製造装置において、減圧チャンバの後方
所定箇所及び減圧チャンバもしくは流延ダイの下方にお
いてベルト上部移行部の裏面側の所定箇所のうちの少な
くとも一方の箇所に、ベルト上部移行部のキャスト面の
位置、該キャスト面の高さ方向の変動量及び減圧チャン
バ下面とキャスト面との間の距離を検出する少なくとも
1つの距離検出装置が設置されていることを特徴として
いる。
【0010】なお、距離検出装置は、減圧チャンバの後
方所定箇所及び減圧チャンバもしくは流延ダイの下方に
おいてベルト上部移行部の裏面側の所定箇所のうちのい
ずれか一方の箇所に設置されていても良いし、これらの
箇所の両方に設置されていても良い。また、距離検出装
置の各箇所における設置数は、例えば1〜5個、好まし
くは1〜3個である。
【0011】請求項2の発明は、請求項1記載の樹脂フ
ィルムの製造装置において、さらに、距離検出装置によ
り検出されたベルト上部移行部のキャスト面の高さ方向
の変動量及び減圧チャンバ下面とキャスト面との間の距
離のデータを記録する制御装置が具備せられていること
を特徴としている。
【0012】請求項3の発明は、請求項2記載の制御装
置において、無端ベルトの上部移行部のキャスト面の高
さ方向の変動量及び減圧チャンバ下面とキャスト面との
間の距離を記録したデータに基づくプロファイルが作成
されており、無端ベルトが連続稼動しているときに、距
離検出装置により逐次検出されたデータと、プロファイ
ルとを比較して、稼動時のベルト上部移行部のキャスト
面の高さ方向の変位量を算出するようになされているこ
とを特徴としている。
【0013】請求項4の発明は、請求項3記載の樹脂フ
ィルムの製造装置において、流延ダイの下方であってか
つ無端ベルトの上部移行部の裏面側に設置されているベ
ルト支持用バックロールの昇降手段がさらに具備されて
おり、距離検出装置により基準値を超えるベルト上部移
行部のキャスト面の高さ方向の変動量または減圧チャン
バ下面とキャスト面との間の距離が検出された際に、昇
降手段の作動によりバックロールがベルトに対して高さ
方向に移動するようになされていることを特徴としてい
る。
【0014】請求項5の発明は、請求項4記載の樹脂フ
ィルムの製造装置において、ベルト支持用バックロール
が、昇降手段の作動により無端ベルト上部移行部のキャ
スト面の高さ方向の移動量の0.5倍〜10倍移動する
ことができ、ベルト上部移行部のキャスト面の高さ方向
の移動量が適値を示した後、昇降手段の作動によりバッ
クロールが規定の位置に戻るようになされていることを
特徴としている。
【0015】請求項6の発明は、請求項3記載の樹脂フ
ィルムの製造装置において、流延ダイもしくは減圧チャ
ンバにベルト保護機構が備えられ、距離検出装置により
検出されたベルト上部移行部のキャスト面の高さ方向の
変動量または減圧チャンバ下面とキャスト面との間の距
離が許容値を超えたときに、ベルト保護装置の作動によ
り流延ダイもしくは減圧チャンバとベルト上部移行部の
キャスト面との間に接触防止用部材が介在されるように
なされていることを特徴としている。
【0016】請求項7の発明は、請求項6記載の樹脂フ
ィルムの製造装置において、ベルト保護装置の接触防止
用部材が、ベルト上部移行部のキャスト面を下方に押圧
する回転ローラであることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を、
図面を参照して説明する。
【0018】図1と図2を参照すると、樹脂フィルムの
製造装置は、樹脂溶液(ドープ)を駆動金属製無端ベル
ト(1) の上部移行部(1A)の上面(キャスト面)(1a)に膜
状に流延するダイ(2) と、ドープ流延ダイ(2) によって
キャスト面(1a)に流延膜(ウェブ)(W) を形成する際、
ウェブ(W) がキャスト面(1a)上に密着して形成されるよ
うに流延上流側から減圧する手段としての減圧チャンバ
(3) と、無端ベルト(1) の回動により乾燥を伴いながら
移送されたウェブ(W) を無端ベルト(1) から剥離する剥
離手段とを備えている。
【0019】本発明においては、減圧チャンバ(3) の後
方所定箇所及び減圧チャンバ(3) もしくは流延ダイ(2)
の下方においてベルト上部移行部(1A)の裏面側の所定箇
所の両方の箇所に、ベルト上部移行部(1A)のキャスト面
(1a)の位置、該キャスト面(1a)の高さ方向の変動量及び
減圧チャンバ(3) 下面とキャスト面(1a)との間の距離
(a) を検出する第1及び第2距離検出装置(11)(12)が設
置されている。
【0020】ここで、距離検出装置が、従来のように、
稼動する流延ダイ(2) 及び減圧チャンバ(3) 自体に取り
付けられている場合には、なんらかの要因で距離検出装
置が落下し、無端ベルト(1) のキャスト面(1a)を損傷す
る可能性がある。
【0021】しかしながら、本発明によれば、第1及び
第2距離検出装置(11)(12)が、流延ダイ(2) 及び減圧チ
ャンバ(3) 以外の場所、すなわち減圧チャンバ(3) の後
方所定箇所及び減圧チャンバ(3) もしくは流延ダイ(2)
の下方においてベルト上部移行部(1A)の裏面側の所定箇
所にそれぞれ設置されているから、これら第1及び第2
距離検出装置(11)(12)が、なんらかの要因で落下して、
無端ベルト(1) のキャスト面(1a)を損傷する可能性がほ
とんど無くなるものである。
【0022】なお、本発明の装置により製造される樹脂
フィルムの原料樹脂(ポリマー)の例としては、例えば
セルローストリアセテートセルロースなどの低級脂肪酸
エステル、例えばノルボルネン系ポリマーなどのポリオ
レフィン類、例えば芳香族ポリアミドなどのポリアミド
類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類やポリエ
ーテルケトン類を含むポリエーテル類、ポリスチレン
類、ポリカーボネート類、ポリアクリル酸類、ポリアク
リルアミド類、ポリメチルメタクリレートなどのポリメ
タクリル酸類、ポリメタクリルアミド類、ポリビニルア
ルコール類、ポリウレア類、ポリエステル類、ポリウレ
タン類、ポリイミド類、ポリビニルアセテート類、例え
ばポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどの
ポリビニルアセタール類、および例えばゼラチンなどの
タンパク質を挙げることができる。
【0023】これらのうちで、光学用途フィルムの原料
として、また生産性や材料価格等の点から好ましいの
は、セルロースの低級脂肪酸エステルであり、特に好ま
しくはセルローストリアセテートである。
【0024】本発明の装置により製造される樹脂フィル
ムが、セルロースエステルフィルムである場合、セルロ
ースエステルフィルムの膜厚は、例えば20〜200μ
mの範囲のものであるのが、好ましい。
【0025】上記無端ベルト(1) としては、通常、駆動
ステンレス製無端ベルト等の駆動金属製無端ベルトを使
用する。また、ベルト(1) のキャスト面(1a)と流延ダイ
(2)ないしは減圧チャンバ(3) との接触を防止するた
め、通常、ベルト(1) のキャスト面(1a)と減圧チャンバ
(3) 下面との間の距離(a) が、1〜5mm、好ましくは
1〜3mmに設定されている。
【0026】また、第1及び第2距離検出装置(11)(12)
としては、例えば渦電流式非接触距離検出センサが用い
られる。なお、これらのセンサは、減圧チャンバ(3) の
後方所定箇所及び減圧チャンバ(3) もしくは流延ダイ
(2) の下方においてベルト上部移行部(1A)の裏面側の所
定箇所のうちの少なくとも一方の箇所に、少なくとも1
つ設置されておれば良い。
【0027】この実施の形態においては、第1距離検出
装置を構成する渦電流式非接触の第1距離検出センサ(1
1)が、減圧チャンバ(3) の後方に5〜50mm、好まし
くは10〜30mmの距離(b) を置いてウェブ(W) 幅手
端部に設置されている。
【0028】第1距離検出センサ(11)の先端部(下端
部)とベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)との間の
距離(d) は、1〜5mm、好ましくは1〜3mmであ
り、これはベルト(1) のキャスト面(1a)と減圧チャンバ
(3) 下面との間の距離(a) に等しくなるように設定され
ている。
【0029】また、第2距離検出装置を構成する同様な
渦電流式非接触の第2距離検出センサ(12)が、減圧チャ
ンバ(3) もしくは流延ダイ(2) の下方において無端ベル
ト(1) の上部移行部(1A)の裏面側に設置され、第2距離
検出センサ(12)の先端部(上端部)と無端ベルト(1) の
上部移行部(1A)の裏面(1b)との距離(c) は、1〜5m
m、好ましくは1〜3mmであり、これはベルト(1) の
キャスト面(1a)と減圧チャンバ(3) 下面との間の距離
(a) に等しくなるように設定されている。なお、第2距
離検出センサ(12)は、無端ベルト(1) の幅手一側端部に
設置されている。
【0030】つぎに、本発明の樹脂フィルムの製造装置
においては、さらに、第1距離検出センサ(11)及び/又
は第2距離検出センサ(12)により検出されたベルト上部
移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向の変動量及び減
圧チャンバ(3) 下面とキャスト面(1a)との間の距離(a)
のデータを記録する制御装置(10)が具備せられている。
【0031】ここで、減圧チャンバ(3) の後方所定箇所
に設置された第1距離検出センサ(11)の先端部(下端
部)と無端ベルト(1) のキャスト面(1a)との間の距離
(d) は、ベルト(1) のキャスト面(1a)と減圧チャンバ
(3) 下面との間の距離(a) に等しくなるように設定され
ているから、第1距離検出センサ(11)により検出された
距離(d) は、そのままベルト(1) のキャスト面(1a)と減
圧チャンバ(3) 下面との間の距離(a) を表示することに
なる。そのためにも、第1距離検出センサ(11)の設置箇
所は、減圧チャンバ(3) の後方において減圧チャンバ
(3) からあまり遠くない上記の箇所とするのが、望まし
い。
【0032】これに対し、減圧チャンバ(3) の下方にお
いて無端ベルト(1) の上部移行部(1A)の裏面側に設置さ
れた第2距離検出センサ(12)では、第2距離検出センサ
(12)の先端部(上端部)と無端ベルト(1) の上部移行部
(1A)の裏面(1b)との距離(c)が、ベルト(1) のキャスト
面(1a)と減圧チャンバ(3) 下面との間の距離(a) に等し
くなるように設定されている。ところが、第2距離検出
センサ(12)は無端ベルト(1) の上部移行部(1A)の裏面側
に設置されているため、第2距離検出センサ(12)によっ
て検出される距離(c) と、キャスト面(1a)と減圧チャン
バ(3) 下面との間の距離(a) とは、相対的なものとな
り、ベルト(1) のキャスト面(1a)が上昇して、距離(c)
が大きくなると、その分、キャスト面(1a)と減圧チャン
バ(3) 下面との間の距離(a) は小さくなる。
【0033】従って、制御装置(10)においては、これら
第1距離検出センサ(11)及び/又は第2距離検出センサ
(12)により検出された稼動時の無端ベルト(1) の上部移
行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向の変位量のリアル
タイムのデータから、減圧チャンバ(3) 下面とキャスト
面(1a)との間の距離(a) を逐次算出して、データとして
記録するようになされており、無端ベルト(1) の上部移
行部(1A)のそれぞれの位置に対応したベルトキャスト面
(1a)の表面状態を記録することができる。
【0034】また、上記制御装置(10)において、無端ベ
ルト(1) の上部移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向
の変動量及び減圧チャンバ(3) 下面とキャスト面(1a)と
の間の距離(a) を記録したデータに基づくプロファイル
が作成されており、無端ベルト(1) が連続稼動している
ときに、第1距離検出センサ(11)及び/又は第2距離検
出センサ(12)により逐次検出されたリアルタイムのデー
タと、プロファイルとを比較して、稼動時のベルト上部
移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向の変位量を算出
するようになされている。
【0035】すなわち、制御装置(10)において予めベル
ト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)の表面状態を記録し
ておき、その時の無端ベルト(1) と第1距離検出センサ
(11)及び/又は第2距離検出センサ(12)間の距離をプロ
ファイルとして、高速で無端ベルト(1) を回動させた時
の無端ベルト(1) と第1距離検出センサ(11)及び/又は
第2距離検出センサ(12)間の実際の変位を算出するもの
である。
【0036】第1距離検出センサ(11)及び第2距離検出
センサ(12)は、信号ケーブル(13)(14)を介して制御装置
(10)に接続されており、予め無端ベルト(1) について、
その稼働時のベルト継ぎ目部の通過時間、継ぎ目幅、継
ぎ目高さなどの各種データのプロファイルが記録されて
いる。
【0037】ここで、プロファイルは、安定に無端ベル
ト(1) を稼動させた時の無端ベルト(1) と第1距離検出
センサ(11)及び/又は第2距離検出センサ(12)間の距離
であっても構わないし、停止した状態での無端ベルト
(1) と第1距離検出センサ(11)及び/又は第2距離検出
センサ(12)間の距離でも構わない。
【0038】本発明の樹脂フィルムの製造装置において
は、流延ダイ(2) の下方であってかつ無端ベルト(1) の
上部移行部(1A)の裏面側に設置されているベルト支持用
バックロール(4) の昇降手段(5) がさらに具備されてい
る。そして、距離検出センサ(11)(12)により基準値を超
えるベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向
の変動量または減圧チャンバ(3) 下面とキャスト面(1a)
との間の距離(a) が検出された際に、昇降手段(5) の作
動によりバックロール(4) がベルト(1) に対して高さ方
向に移動して、ベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)
と流延ダイ(2)ないしは減圧チャンバ(3) との間の距離
(a) を広げるようになされている。
【0039】なお、ベルト支持用バックロール(4) は、
昇降手段(5) の作動により無端ベルト上部移行部(1A)の
キャスト面(1a)の高さ方向の移動量の0.5倍〜10倍
移動することができ、無端ベルト(1) と流延ダイ(2) な
いしは減圧チャンバ(3) 下面との間の距離(a) に応じて
適切な距離バックロールが移動できる。そして、ベルト
上部移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さ方向の移動量が
適値を示した後、昇降手段(5) の作動によりバックロー
ル(c) が、元の規定の位置に戻るようになされている。
【0040】また、本発明の樹脂フィルムの製造装置に
おいては、流延ダイ(2) もしくは減圧チャンバ(3) にベ
ルト保護機構(6) が備えられ、距離検出センサ(11)(12)
により検出されたベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1
a)の高さ方向の変動量または減圧チャンバ(3) 下面とキ
ャスト面(1a)との間の距離(a) が許容値を超えたとき
に、ベルト保護装置(6) の作動により流延ダイ(2) もし
くは減圧チャンバ(3) とベルト上部移行部(1A)のキャス
ト面(1a)との間に、駆動シリンダ(8) によって上下動せ
しめられる回転ローラよりなる接触防止用部材(7) が介
在されるようになされている。
【0041】すなわち、第1距離検出センサ(11)及び/
又は第2距離検出センサ(12)により逐次検出されたデー
タに基づき流延ダイ(2) もしくは減圧チャンバ(3) を移
動させる装置が存在した場合に、流延ダイ(2) もしくは
減圧チャンバ(3) 下面とベルト上部移行部(1A)のキャス
ト面(1a)との接触を避ける移動が間に合わないキャスト
面(1a)の高さの変位が観測された場合に、無端ベルト
(1) のキャスト面(1a)と流延ダイ(2) もしくは減圧チャ
ンバ(3) 下面との接触を防ぐために、速やかに移動する
ベルト保護装置(6) が設置されているものである。
【0042】ここで、ベルト保護装置(6) の接触防止用
部材(7) としては、シリコン樹脂製ローラ等の回転可能
で滑り性の良好なローラを使用するのが、望ましい。
【0043】なお、ベルト保護装置(6) のベルト接触部
に、ローラ等の回転式の装置を取り付けることで、無端
ベルト(1) のキャスト面(1a)と接触した際に、ベルト
(1) のキャスト面(1a)の損傷をできるだけ抑えるような
機構にしたものである。
【0044】本発明の樹脂フィルムの製造装置によれ
ば、無端ベルト(1) に存在する継ぎ目部での距離の変化
などに起因する誤作動や、流延ダイ(2) 及び減圧チャン
バ(3)の移動が間に合わない場合に、無端ベルト(1) の
キャスト面(1a)と流延ダイ(2)もしくは減圧チャンバ(3)
下面との接触を回避することができる。
【0045】従って、本発明の樹脂フィルムの製造装置
によれば、高速で回転駆動する無端ベルト(1) の上部移
行部(1A)のキャスト面(1a)の移動状態を常に把握するこ
とができて、ベルト(1) のキャスト面(1a)と流延ダイ
(2) ないしは減圧チャンバ(3)との接触を未然に防止す
ることができ、ベルト(1) のキャスト面(1a)の損傷を防
止することにより、安定した樹脂フィルムの製造が可能
である。
【0046】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を説明するが、本発
明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0047】実施例1 図1と図2を参照すると、セルローストリアセテートを
ジクロロメタンに溶解したドープが、2m幅の吐出スリ
ットを有する流延ダイ(2) より無端ベルト(1)の上部移
行部(1A)のキャスト面(1a)上に、500μmの厚みでか
つ毎分10mの速さで、膜状に連続して吐出され、ウェ
ブ(W) が形成された。
【0048】ベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)へ
のウェブ(W) の密着装置として減圧チャンバ(3) が用い
られて、矢印方向に移動する無端ベルト(1) の上部移行
部(1A)のキャスト面(1a)に、流延ダイ(2) から吐出され
たウェブ(W) が密着せしめられた。なお、ベルト支持用
バックロール(4) は、流延ダイ(2) から吐出されたウェ
ブ(W) が、密着を開始する無端ベルト(1) 部分の裏面側
に設置されている。
【0049】そして、無端ベルト(1) の回動により、熱
風による乾燥を伴いながら移送されたウェブ(W) が、無
端ベルト(1) をほぼ一巡したところで、剥離ロールによ
り剥離され、熱処理工程を経て、巻取ロール(図示略)
に巻き取られ、厚み100μmのセルローストリアセテ
ートフィルムを製造した。
【0050】なおここで、減圧チャンバ(3) 下面と無端
ベルト(1) の上部移行部(1A)のキャスト面(1a)との距離
(a) を2mmとした。
【0051】また、第1距離検出装置を構成する渦電流
式非接触の第1距離検出センサ(11)は、無端ベルト(1)
の上部移行部(1A)の幅手端部に位置しかつ減圧チャンバ
(3)の後方に20mmの距離(b) を置いて設置された。
そして、この第1距離検出センサ(11)と無端ベルト(1)
との距離(d) を2mmとし、減圧チャンバ(3) 下面とベ
ルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)との間の距離(a)
と同じとした。
【0052】一方、同様な渦電流式非接触の第2距離検
出センサ(12)が、減圧チャンバ(3)の下方において無端
ベルト(1) の上部移行部(1A)の裏面側に設置され、第2
距離検出センサ(12)の先端部(上端部)と無端ベルト
(1) の上部移行部(1A)の裏面(1b)との距離(c) を2mm
とした。この第2距離検出センサ(12)は、無端ベルト
(1) の幅手一側端部に設置した。
【0053】なお、これら第1及び第2距離検出センサ
(11)(12)は、それぞれ信号ケーブル(13)(14)を介して制
御装置(10)に接続されており、制御装置(10)では、予め
無端ベルト(1) について、その稼働時のベルト継ぎ目部
の通過時間、継ぎ目幅、継ぎ目高さなどの各種データの
プロファイルが記録されている。
【0054】また、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)の
下側に配置されたベルト支持用バックロール(4) には、
バックロール昇降装置(5) が装備されており、該昇降装
置(5) は信号ケーブル(14)を介して制御装置(10)に接続
されている。
【0055】そしてさらに、減圧チャンバ(3) の左右両
端部には、先端部(下端部)に半径10mm及び厚み5
mmを有するシリコン樹脂製接触防止用ローラ(7) を具
備するベルト保護装置(6) が設置されている。各接触防
止用ローラ(7) は、駆動シリンダ(8) の作動により上下
に移動して、流延ダイ(2) もしくは減圧チャンバ(3)と
ベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)との間に介在さ
せられて、両者の接触を防止することができるようにな
されている。駆動シリンダ(8) は、信号ケーブル(13)を
介して制御装置(10)に接続されている。
【0056】そしていま、無端ベルト(1) の回動によ
り、ベルト上部移行部(1A)の移動速度を10m/分とし
たところで、ウェブ(W) とベルト上部移行部(1A)のキャ
スト面(1a)との所望の密着が始まり、以降、減圧チャン
バ(3) の吸引作用によりウェブ(W) のベルト上部移行部
(1A)のキャスト面(1a)への密着性を高めていった。
【0057】その後、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)
の移動速度が25m/分に達し、減圧チャンバ(3) の真
空度が100mmAqの時、安定に製膜が行われる状態
となった。
【0058】実施例2 ついで、実施例1の状態から、ベルト上部移行部(1A)の
移動速度を30m/分まで、1分あたり0.5mずつの
割合で増速した。ベルト上部移行部(1A)の移動速度が2
7m/分となった時点で、減圧チャンバ(3) の真空度が
120mmAqであったが、これ以降のベルト上部移行
部(1A)の移動速度の上昇時にウェブ(W)の密着が不安定
となったため、減圧チャンバ(3) の真空度を120mm
Aqから140mmAqまで増加させたところ、減圧チ
ャンバ(3) 下面とベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1
a)との距離(a) が急に縮まった。
【0059】そして、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)
の裏面側に設置された第2距離検出センサ(12)におい
て、ベルト上部移行部(1A)が上方に1.5mm変動した
と計測された時点で、ベルト保護装置(6) の接触防止用
ローラ(7) が、駆動シリンダ(8) の作動により、ベルト
上部移行部(1A)のキャスト面(1a)上に降ろされ、ベルト
上部移行部(1A)が該ローラ(7) により下方に押しやられ
て、ベルト(1) のキャスト面(1a)と減圧チャンバ(3) 下
面との接触が防止された。
【0060】このとき、無端ベルト(1) の上部移行部(1
A)の裏面(1b)と、第2距離検出センサ(12)の先端部との
間の距離(c) は、第2距離検出センサ(12)の計測で、
3.6mmであった。
【0061】続いて、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)
の移動速度を減速して25m/分とし、減圧チャンバ
(3) の真空度を120mmAqに戻している間に、無端
ベルト(1) の上部移行部(1A)のキャスト面(1a)と減圧チ
ャンバ(3) 下面の距離(a) が、第2距離検出センサ(12)
の計測値より算出して2.5mmとなり、その時点で、
駆動シリンダ(8) の作動により、ベルト保護装置(6) の
接触防止用ローラ(7) が、ベルト上部移行部(1A)のキャ
スト面(1a)から離れて、元の位置に戻り、製膜作業をを
続けることができた。
【0062】実施例3 実施例1の場合と同様の条件で、流延ダイ(2) より無端
ベルト(1) の上部移行部(1A)のキャスト面(1a)上に流延
されたセルローストリアセテート溶液よりなるドープの
ウェブ(W) を、実施例1の場合と同様の減圧チャンバ
(3) の吸引作用により、キャスト面(1a)に密着させて、
製膜作業を行った。第1及び第2距離検出センサ(11)(1
2)の設置箇所は、実施例1の場合と同様である。
【0063】無端ベルト(1) の上部移行部(1A)の移動速
度が25m/分に達し、減圧チャンバ(3) の真空度が1
00mmAqの時に、安定に製膜が行われる状態となっ
た。
【0064】ここから、ベルト上部移行部(1A)の移動速
度を30m/分まで、1分あたり0.5mずつの割合で
増速した。ベルト上部移行部(1A)の移動速度が27m/
分の時点で、減圧チャンバ(3) の真空度が120mmA
qであったが、これ以降のベルト上部移行部(1A)の移動
速度の上昇時に、キャスト面(1a)へのウェブ(W) の密着
が不安定となったため、減圧チャンバ(3) の真空度を1
20mmAqから130mmAqまで増加させたとこ
ろ、減圧チャンバ(3) 下面とベルト上部移行部(1A)のキ
ャスト面(1a)との間の距離(a) が急に縮まった。
【0065】ここで、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)
の裏面側に設置された第2距離検出センサ(12)により、
ベルト上部移行部(1A)が上方に0.5mm変動したと計
測された。減圧チャンバ(3) の真空度を120mmAq
に戻そうとしている途中に、さらに減圧チャンバ(3) 下
面と無端ベルト(1) の上部移行部(1A)のキャスト面(1a)
との距離(a) が縮まり、同センサ(12)により無端ベルト
(1) の上部移行部(1A)が上方に1mm変動したと計測さ
れた。この時点で、バックロール昇降装置(5)が作動し
て、ベルト支持用バックロール(4) が、退避位置である
ベルト上部移行部(1A)の下方10mmの位置まで移動し
た。これによりベルト上部移行部(1A)のキャスト面(1a)
と減圧チャンバ(3) 下面の距離が2mmとなった。その
後、減圧チャンバ(3) の真空度が120mmAqになっ
た時点で、昇降装置(5) の作動により、バックロール
(4) が元の位置に戻り、製膜作業を続けることができ
た。
【0066】比較例1:プロファイルが無いことによる
誤作動の例 実施例1の場合と同様の条件で、流延ダイ(2) より吐出
されたセルローストリアセテート溶液よりなるドープの
ウェブ(W) を、実施例1の場合と同様の減圧チャンバ
(3) の吸引作用により、ベルト上部移行部(1A)のキャス
ト面(1a)に密着させて、製膜作業を行った。
【0067】第1及び第2距離検出センサ(11)(12)の設
置箇所は、実施例1の場合と同様である。ただし、制御
装置(10)において、無端ベルト(1) の各種データのプロ
ファイルは記録されていない。
【0068】こうして、無端ベルト(1) を回動させたと
ころ、無端ベルト(1) の継ぎ目部が第1距離検出センサ
(11)部分を通過した時点で、同センサ(11)によりベルト
上部移行部(1A)のキャスト面(1a)の高さの変動値1.5
mmを計測し、これの信号に基づいてバックロール昇降
装置(5) が作動して、ベルト支持用バックロール(4)の
退避が始まった。しかしながら、第2距離検出センサ(1
2)の先端部(上端部)と無端ベルト(1) の上部移行部(1
A)の裏面(1b)との距離(c) には、変化がなく、これは、
無端ベルト(1) の稼動時のデータに基づくプロファイル
が無いことによるバックロール昇降装置(5) の誤作動で
あった。
【0069】比較例2:ベルト保護装置が無いことによ
るバックロール昇降装置の作動が間に合わない場合の例 実施例1の場合と同様の条件で、流延ダイ(2) より吐出
されたセルローストリアセテート溶液よりなるドープの
ウェブ(W) を、実施例1の場合と同様の減圧チャンバ
(3) の吸引作用により、ベルト上部移行部(1A)のキャス
ト面(1a)に密着させて、製膜作業を行った。第1及び第
2距離検出センサ(11)(12)の設置箇所は、実施例1の場
合と同様である。
【0070】無端ベルト(1) の上部移行部(1A)の移動速
度が25m/分に達し、減圧チャンバ(3) の真空度が1
00mmAqの時に、安定に製膜が行われる状態となっ
た。
【0071】ここから、ベルト上部移行部(1A)の移動速
度を30m/分まで、1分あたり0.5mずつの割合で
増速した。ベルト上部移行部(1A)の移動速度が27m/
分の時点で、減圧チャンバ(3) の真空度が120mmA
qであったが、これ以降のベルト上部移行部(1A)の移動
速度の上昇時に、キャスト面(1a)へのウェブ(W) の密着
が不安定となったため、減圧チャンバ(3) の真空度を1
20mmAqから140mmAqまで増加させたとこ
ろ、減圧チャンバ(3) 下面とベルト上部移行部(1A)のキ
ャスト面(1a)との間の距離(a) が急に縮まった。
【0072】そして、無端ベルト(1) の上部移行部(1A)
の裏面側に設置された第2距離検出センサ(12)によりベ
ルト上部移行部(1A)が上方に1.5mm変動したと計測
された時点で、バックロール昇降装置(5) の作動によ
り、ベルト支持用バックロール(4) が、退避位置である
ベルト上部移行部(1A)の下方10mmの位置まで降下し
たが、ベルト(1) の変動が大きく、ベルト上部移行部(1
A)のキャスト面(1a)が減圧チャンバ(3) 下面に接触し、
キャスト面(1a)が著しく損傷を受けた。その後、3週間
の間、無端ベルト(1) の修理のため、フィルム製造装置
による製膜作業を行うことができなかった。
【0073】
【発明の効果】本発明は、上述のように、樹脂溶液(ド
ープ)を駆動金属製無端ベルトの上部移行部の上面(キ
ャスト面)に膜状に流延するダイと、ドープ流延ダイに
よってキャスト面に流延膜(ウェブ)を形成する際、ウ
ェブがキャスト面上に密着して形成されるように流延上
流側から減圧する手段としての減圧チャンバと、無端ベ
ルトの回動により乾燥を伴いながら移送されたウェブを
無端ベルトから剥離する剥離手段とを備えている樹脂フ
ィルムの製造装置において、減圧チャンバの後方所定箇
所及び減圧チャンバもしくは流延ダイの下方においてベ
ルト上部移行部の裏面側の所定箇所のうちの少なくとも
一方の箇所に、ベルト上部移行部のキャスト面の位置、
該キャスト面の高さ方向の変動量及び減圧チャンバ下面
とキャスト面との間の距離を検出する少なくとも1つの
距離検出装置が設置されているものであるから、高速で
回転駆動する無端ベルトの上部移行部のキャスト面の移
動状態を常に把握することができて、ベルトのキャスト
面と流延ダイないしは減圧チャンバとの接触を未然に防
止することができ、ベルトのキャスト面の損傷を防止す
ることにより、安定した樹脂フィルムの製造が可能であ
る。
【0074】また、本発明によれば、距離検出装置が、
流延ダイ及び減圧チャンバ以外の場所、すなわち減圧チ
ャンバの後方所定箇所及び減圧チャンバもしくは流延ダ
イの下方においてベルト上部移行部の裏面側の所定箇所
のうちの少なくとも一方の箇所に設置されているから、
距離検出装置が、なんらかの要因で距離検出装置が落下
して、無端ベルトのキャスト面を損傷する可能性がほと
んど無くなり、安定した樹脂フィルムの製造が可能であ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す樹脂フィルムの製造
装置の概略側面図である。
【図2】同樹脂フィルムの製造装置の概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 駆動回転無端ベルト 1A 上部移行部 1a キャスト面 1b 裏面 2 流延ダイ 3 減圧チャンバ 4 ベルト支持用バックロール 5 バックロール昇降装置 6 ベルト保護装置 7 接触防止用ローラ(接触防止用部材) 8 駆動シリンダ 10 制御装置 11 第1距離検出センサ(第1距離検出装置) 12 第2距離検出センサ(第2距離検出装置) W ウェブ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂溶液(以下、ドープという)を駆動
    金属製無端ベルトの上部移行部の上面(以下、キャスト
    面という)に膜状に流延するダイと、ドープ流延ダイに
    よってキャスト面に流延膜(以下、ウェブという)を形
    成する際、ウェブがキャスト面上に密着して形成される
    ように流延上流側から減圧する手段としての減圧チャン
    バと、無端ベルトの回動により乾燥を伴いながら移送さ
    れたウェブを無端ベルトから剥離する剥離手段とを備え
    ている樹脂フィルムの製造装置において、減圧チャンバ
    の後方所定箇所及び減圧チャンバもしくは流延ダイの下
    方においてベルト上部移行部の裏面側の所定箇所のうち
    の少なくとも一方の箇所に、ベルト上部移行部のキャス
    ト面の位置、該キャスト面の高さ方向の変動量及び減圧
    チャンバ下面とキャスト面との間の距離を検出する少な
    くとも1つの距離検出装置が設置されていることを特徴
    とする樹脂フィルムの製造装置。
  2. 【請求項2】 さらに、距離検出装置により検出された
    ベルト上部移行部のキャスト面の高さ方向の変動量及び
    減圧チャンバ下面とキャスト面との間の距離のデータを
    記録する制御装置が具備せられている請求項1記載の樹
    脂フィルムの製造装置。
  3. 【請求項3】 制御装置において、無端ベルトの上部移
    行部のキャスト面の高さ方向の変動量及び減圧チャンバ
    下面とキャスト面との間の距離を記録したデータに基づ
    くプロファイルが作成されており、無端ベルトが連続稼
    動しているときに、距離検出装置により逐次検出された
    データと、プロファイルとを比較して、稼動時のベルト
    上部移行部のキャスト面の高さ方向の変位量を算出する
    ようになされている請求項2記載の樹脂フィルムの製造
    装置。
  4. 【請求項4】 流延ダイの下方であってかつ無端ベルト
    の上部移行部の裏面側に設置されているベルト支持用バ
    ックロールの昇降手段がさらに具備されており、距離検
    出装置により基準値を超えるベルト上部移行部のキャス
    ト面の高さ方向の変動量または減圧チャンバ下面とキャ
    スト面との間の距離が検出された際に、昇降手段の作動
    によりバックロールがベルトに対して高さ方向に移動す
    るようになされている請求項3記載の樹脂フィルムの製
    造装置。
  5. 【請求項5】 ベルト支持用バックロールが、昇降手段
    の作動により無端ベルト上部移行部のキャスト面の高さ
    方向の移動量の0.5倍〜10倍移動することができ、
    ベルト上部移行部のキャスト面の高さ方向の移動量が適
    値を示した後、昇降手段の作動によりバックロールが規
    定の位置に戻るようになされている請求項4記載の樹脂
    フィルムの製造装置。
  6. 【請求項6】 流延ダイもしくは減圧チャンバにベルト
    保護機構が備えられ、距離検出装置により検出されたベ
    ルト上部移行部のキャスト面の高さ方向の変動量または
    減圧チャンバ下面とキャスト面との間の距離が許容値を
    超えたときに、ベルト保護装置の作動により流延ダイも
    しくは減圧チャンバとベルト上部移行部のキャスト面と
    の間に接触防止用部材が介在されるようになされている
    請求項3記載の樹脂フィルムの製造装置。
  7. 【請求項7】 ベルト保護装置の接触防止用部材が、ベ
    ルト上部移行部のキャスト面を下方に押圧する回転ロー
    ラである請求項6記載の樹脂フィルムの製造装置。
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