JP2002254451A - 溶液製膜方法 - Google Patents

溶液製膜方法

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JP2002254451A
JP2002254451A JP2001055387A JP2001055387A JP2002254451A JP 2002254451 A JP2002254451 A JP 2002254451A JP 2001055387 A JP2001055387 A JP 2001055387A JP 2001055387 A JP2001055387 A JP 2001055387A JP 2002254451 A JP2002254451 A JP 2002254451A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶液製膜方法において、流延支持体から
ある程度乾燥したフィルムを剥ぎ取る際、段ムラ(フィ
ルムの長手方向に発生する波状のムラ)、帯スジ(巾方
向に発生する波状ムラ)や、ベコ状のフィルム平面性の
ムラ、微細な表面荒れ等によるヘイズアップが発生しな
いようにする。 【解決手段】 溶液製膜装置で製膜するには、流延ダイ
4からドープを吐出して流延バンド5に流延し、流延バ
ンド5上で乾燥させつつ搬送する。流延バンド5上であ
る程度乾燥され固化したフィルムは、剥ぎ取りロール9
で流延バンド5より剥ぎ取られる。この時、実線で示す
フィルム14は、剥離点aにおいて流延バンド5から剥
ぎ取られており、このとき、剥離点aにおける接線方向
hを0度、法線方向vを90度としたとき、フィルム1
4の剥ぎ取り角度(接線方向hとフィルムのなす角度)
θは、30〜80度の範囲に設定されており、具体的に
は約65度となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面性が良好なフ
ィルムを製造することができる溶液製膜方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルフィルムは、透明性
がよく、機械的強度が大きく、かつ、湿度の変化及び熱
にともなう寸法変動が小さい(寸法安定性がよい)の
で、写真感光材料、偏光板保護膜等に広く用いられてい
る。
【0003】このようなセルロースエステルフィルムは
溶液製膜方法により製造されており、この溶液製膜方法
は、有機溶媒にポリマーを溶かしたドープを流延ダイか
ら流延支持体上に流延し、流延支持体上に流延されたド
ープをある程度乾燥させた後剥ぎ取り、そして、さらに
乾燥させて製品としてのフィルムを製造するものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな溶液製膜方法においては、流延支持体から乾燥・固
化したフィルムを剥ぎ取る際、剥ぎ取る条件により、段
ムラ(フィルムの長手方向に発生する波状のムラ)、帯
スジ(巾方向に発生する波状ムラ)や、ベコ状のフィル
ム平面性のムラ、微細な表面荒れ等によるヘイズアップ
が発生することがあり、特に、製膜速度を高速化した
り、流延支持体上での乾燥過多で低速化した場合に多発
するものであった。
【0005】本発明は、以上の問題点を解決し、平面性
の良好な透明性の優れているフィルムを製造することが
できる溶液製膜方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究し、流延支持体からフィルムを
剥ぎ取る際の、フィルムの剥ぎ取り角度がフィルムの平
面性と関係があることを見出した。そして、さらに研究
しこのフィルムの剥ぎ取り角度を所定範囲内に調整する
と、段ムラ等が発生しないことを見出し、本発明を完成
させたものである。
【0007】また、流延支持体からの剥離点と剥ぎ取り
ロールへの接触点との距離と、製膜速度との関係が特定
の範囲にあると、段ムラ等が発生しないことを見出し、
本発明を完成させたものである。
【0008】さらに、流延支持体及び剥ぎ取りロールの
周速度、フィルム張力、フィルム幅、フィルム断面積等
の関係が特定の範囲にあると、段ムラ等が発生しないこ
とを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】すなわち、第1の発明による溶液製膜方法
は、流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒及び可塑剤
等の添加剤からなるドープを流延し、該流延したドープ
をある程度乾燥させてフィルムを形成し、フィルムを流
延支持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後さらに乾燥
させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、流延
支持体から剥ぎ取られるフィルムの流延支持体の剥離点
における接線方向を0度、法線方向を90度としたと
き、フィルムの剥ぎ取り角度を30〜80度の範囲にす
ることを特徴として構成されている。
【0010】また、第2の発明による溶液製膜方法は、
流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒及び可塑剤等の
添加剤からなるドープを流延し、該流延したドープをあ
る程度乾燥させてフィルムを形成し、フィルムを流延支
持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後さらに乾燥させ
てフィルムを製造する溶液製膜方法において、前記流延
支持体からの剥離点と、剥ぎ取りロールに接する接触点
までの距離をL、流延支持体の周速度をV1、剥ぎ取り
ロールの周速度をV2とすると、L/{(V1+V2)
/2}を0.3秒以内にしたことを特徴として構成され
ている。
【0011】さらに、第3の発明による溶液製膜方法
は、流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒及び可塑剤
等の添加剤からなるドープを流延し、該流延したドープ
をある程度乾燥させてフィルムを形成し、フィルムを流
延支持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後さらに乾燥
させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、流延
支持体の周速度をV1、剥ぎ取りロールの周速度をV2
とし、(V2−V1)/V1が0.001のとき、剥離
直後のフィルム張力をF(kg)、剥離点から剥ぎ取り
ロール間でのフィルム平均幅をW(mm)、フィルム平
均厚みをS(mm)とし、E=F/(S×W×0.00
1)とすると、Eを0.01〜7(kgf/mm)と
したことを特徴として構成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、流延支持体か
ら剥ぎ取られるフィルムの流延支持体の剥離点における
接線方向を0度、法線方向を90度としたとき、フィル
ムの剥ぎ取り角度を30〜80度の範囲にし、好ましく
は50〜70度の範囲にする。剥ぎ取り角度が30度未
満であると、剥ぎ取り時のショックによる振動がフィル
ムに発生し、流延支持体への接触による傷付きや段ムラ
等の平面性変化が起こる。また、剥ぎ取り点にガス滞留
が発生しやすくなり、ガスの結露によるフィルム平面荒
れも発生しやすくなる。また、剥ぎ取り角度が80度を
超えると、剥ぎ取り点でのフィルム曲率が大きくなり、
段ムラ等が発生する。また、ショックによる剥ぎ取り点
の上下動が大きくなりやすくベコ状ムラも発生しやすく
なる。
【0013】本発明においては、フィルムの剥ぎ取り角
度を30〜80度に設定するようにしている。この剥ぎ
取り角度は、流延支持体から剥ぎ取りロールまでのフィ
ルムの張力と関係しており、フィルムの張力を上げれば
フィルムは下に移動し、その結果剥ぎ取り角度が小さく
なり、また逆にフィルムの張力を下げればフィルムは上
に移動し、その結果剥ぎ取り角度が大きくなる。また、
フィルムと流延支持体との剥離性も関係し、剥離性がよ
ければ剥ぎ取り角度が小さくなり、剥離性が悪ければ剥
ぎ取り角度が大きくなるものです。したがって、フィル
ムの張力を所定範囲に制御したり、フィルムの剥離性を
調整することにより、フィルムの剥ぎ取り角度を30〜
80度の範囲に調整することができる。
【0014】フィルムの張力fは、流延支持体と剥ぎ取
りロールとの間のフィルムの歪(単位長さ当たりの伸び
た長さ)εとフィルムの縦弾性係数Eとで表され、f=
E*εとなる。したがって、縦弾性係数E及び歪εを制
御することにより、結果的に剥ぎ取り角度を調整するこ
とができる。
【0015】前記フィルムの歪εは、流延支持体の周速
度と剥ぎ取りロールの周速度とにより制御することがで
き、流延支持体の周速度をV1、剥ぎ取りロールの周速
度をV2としたとき、(V2−V1)/V1=0.00
5〜1.0の範囲に設定することが好ましく、(V2−
V1)/V1=0.01〜0.5の範囲に設定すること
がより好ましい。
【0016】また、本発明の溶液製膜方法は、流延支持
体からの剥離点と、剥ぎ取りロールに接する接触点まで
の距離をL、流延支持体の周速度をV1、剥ぎ取りロー
ルの周速度をV2とすると、L/{(V1+V2)/
2}を0.3秒以内に、好ましくは0.2秒以内にする
ものである。L/{(V1+V2)/2}が0.3秒を
超えると、巾方向の収縮が大きくなり、ローラー上でシ
ワが発生しやすく、帯スジ(巾方向に発生する波状ム
ラ)が強くなる。
【0017】さらに、本発明の溶液製膜方法は、流延支
持体の剥離点において、流延支持体の周速度をV1、剥
ぎ取りロールの周速度をV2とし、(V2−V1)/V
1が0.001のとき、剥離直後のフィルム張力をF
(kg)、剥離点から剥ぎ取りロール間でのフィルム平
均幅をW(mm)、フィルム平均厚みをS(mm)と
し、E=F/(S×W×0.001)とすると、Eを
0.01〜7(kgf/mm )とし、好ましくは0.
05〜2(kgf/mm)とする。Eが0.01未満
では、剥ぎ取り角度を80度以下に制御することが困難
になる。また、Eが7を超えると、剥ぎ取り角度を30
度以上に制御することが困難になる。
【0018】本発明においては、フィルムの固形分の重
量をP、溶媒量の重量をQとし、そのフィルムの残留溶
媒量をR=Q/P×100(wt%)とすると、この残
留溶媒量Rで前記Eを制御することが好ましい。
【0019】本発明においては、前記Eを、剥離点での
流延支持体温度−30〜60℃の範囲で制御することが
好ましい。流延支持体温度が−30℃より低いと、剥ぎ
取り時の高分子溶液からなるフィルム状物の冷却ゲル化
の程度が進行し、前記Eを7以下に制御することが困難
になる。また、60℃より高いと、高温による軟化が進
み、前記Eを0.01以上に制御することが困難にな
る。
【0020】本発明においては、前記流延支持体の剥離
点から剥ぎ取りロール間におけるフィルム張力を、剥ぎ
取りロール軸トルク値とテンションメーター値により定
量化することが好ましい。
【0021】本発明においては、前記フィルムが流延支
持体から剥ぎ取られる剥離点において、フィルムの固形
分の重量をP、溶媒量の重量をQとし、そのフィルムの
残留溶媒量をR=Q/P×100(wt%)とすると、
その残留溶媒量Rが120wt%以上であることが好ま
しく、200wt%以上であることがより好ましい。残
留溶媒量Rが120wt%未満であると、前記Eを7以
下に制御することが困難になり、また、剥離抵抗力がフ
ィルム1cm当たり100gf以上となる確率が高くな
る。
【0022】本発明においては、フィルムが流延支持体
から剥ぎ取られる剥離点において、剥ぎ取りに必要な流
延支持体表面の法線方向に対する力を剥離抵抗力とする
と、その剥離抵抗力がフィルム1cm当たり100gf
未満であることが好ましく、50gf未満であることが
より好ましい。剥離抵抗力が1cm当り100gfを超
えると、フィルムが剥離する際、微細な凹凸変形がフィ
ルム剥離面側に発生し、平面性や透明性を悪化させる。
また、さらに大きくなると、剥ぎ取り角度が80度以上
になり、さらにフィルムのはげ残りからフィルム切断に
至る。
【0023】本発明において、フィルムが流延支持体か
ら剥ぎ取られる剥離点において、乾燥後の厚み換算で、
フィルム幅方向端部最大厚みをX、製品範囲の平均フィ
ルム厚みをYとすると、Yは20〜300μmの範囲で
あり、かつその精度を±3%以内とし、厚み比Z=X/
Yが0.5<Z<2.0であることが好ましく、0.8
<Z<1.5であることがより好ましい。Zが0.5以
下であると、フィルム耳端部が薄いため、剥ぎ取り点で
のフィルム耳端部の剥ぎ取り角度変動が大きくなり、そ
の影響で製品範囲内のフィルム平面性を悪化させる。ま
た、Zが2.0以上であると、フィルム耳端部が厚いた
め、剥ぎ取り点でのフィルム製品部に対する剥ぎ取り角
度差が大きく、後工程での延伸ムラを大きくさせる。
【0024】本発明においては、流延支持体と剥ぎ取り
ロールとのクリアランスCLが1〜30mmの範囲であ
ることが好ましく、10〜25mmの範囲であることが
より好ましい。クリアランスが1mm未満であると、剥
ぎ取り点付近のフィルム搬送スペースが小さくなるた
め、ガス滞溜が発生しやすく、ガス結露による面状故障
を発生させる。また、30mmを超えると、Lの長さが
長くなりやすいため、剥ぎ取り点から剥ぎ取りロール間
でフィルムが振動しやすく、これによる平面性悪化をま
ねく。
【0025】本発明においては、剥ぎ取りロール半径R
が30mm以上であり、そのロール表面温度を−20〜
80℃にし、好ましくは−10〜50℃にする。表面温
度が−20℃未満であると、ガス結露が発生しやすくな
り、面状故障になりやすくなる。また、80℃を超える
と、フィルム温度に対し高温になるため、フィルム内で
の発泡やロール表面にフィルムが密着しやすくなるた
め、微細な凹凸形状ムラを発生させてしまう。
【0026】本発明においては、流延支持体に、最大外
径30μm以上のピンホールが皆無な鏡面のステンレス
バンドを用いることが好ましい。最大外径30μm以上
のピンホールを皆無とすることにより、製品として許容
範囲内の凹凸が無く極めて平滑なフィルムを製造するこ
とができる。
【0027】本発明においては、流延支持体に、最大外
径30μm以上のピンホールが皆無なニッケルクロムメ
ッキの鏡面を持つ直径1.5〜5.0mのドラムを用
い、該ドラムに設けたジャケットに−40〜70℃の熱
媒体を連続的に通水することによりドラム表面温度を制
御することが好ましい。
【0028】本発明においては、流延支持体から剥ぎ取
った直後のフィルムに、赤外光線を透過させ、その分光
吸収量分布の変化から非接触でフィルムの残留溶媒量を
測定し、目標とする残留溶媒量になるように上流工程の
乾燥条件を調整することが好ましい。
【0029】本発明による溶液製膜方法は、単層製膜で
あっても、2層以上の重層製膜であってもよく、重層製
膜を行なう場合は、流延支持体に接触する層に流延支持
体との剥離抵抗を軽減する添加剤(以下、「剥離抵抗軽
減剤」という)を添加することが好ましい。剥離抵抗軽
減剤を添加することにより、剥ぎ取り角度を調整するこ
とができる。
【0030】剥離抵抗軽減剤としては、界面活性剤が有
効であり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、
ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これら
は、例えば特開昭61−243837号公報などに記載
されている。
【0031】これらの剥離抵抗軽減剤は以下に具体的に
記す。すなわち、セルロースアシレート溶液を流延する
前に一般式(1)又は一般式(2)で表される剥離抵抗軽減
剤の少なくとも一種を溶液の0.005〜2質量%添加
することを特徴とする。 一般式(1):(R1−B1−O)n1−P(=O)−(OM1)n2 一般式(2):R2−B2−X
【0032】ここで、R1とR2は炭素数4〜40の置
換、無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基
及びアリル基を表し、M1はアルカリ金属、アンモニ
ア、低級アルキルアミンである。また、B1,B2は2価
の連結基を表し、Xはカルボン酸(又はその塩)、スル
フォン酸(又はその塩)、硫酸エステル(又はその塩)
を表す。n1は1,2の整数であり、n2は(3−n
1)の整数を表す。
【0033】本発明では、一般式(1)又は(2)で表され
る少なくとも一種の剥離抵抗軽減剤を、セルロヒスアシ
レートフィルムが含有することが好ましい。以下にこれ
らの剥離抵抗軽減剤について記述する。
【0034】R1とR2の好ましい例としては、炭素数4
〜40の置換、無置換のアルキル基(例えば、ブチル、
ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ド
デシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、
ドコサニル、ミリシルなど)、炭素数4〜40の置換、
無置換のアルケニル基(例えば、2−ヘキセニル、9−
デセニル、オレイルなど)、炭素数4〜40の置換、無
置換のアリル基(例えば、フェニル、ナフチル、メチル
フェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エ
チルフェニル、プロピルフェニル、ジイソプロピルフェ
ニル、トリイソプロピルフェニル、t−ブチルフェニ
ル、ジ−t−ブチルフェニル、トリ−t−ブチルフェニ
ル、イソペンチルフェニル、オクチルフェニル、イソオ
クチルフェニル、イソノニルフェニル、ジイソノニルフ
ェニル、ドデシルフェニル、イソペンタデシルフェニル
など)などを表す。
【0035】これらの中でもさらに好ましいのは、アル
キルとしてはヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシ
ル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、
ドコサニル、アルケニルとしてはオレイル、アリル基と
してはフェニル、ナフチル、トリメチルフェニル、ジイ
ソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ジ−
t−ブチルフェニル、トリ−t−ブチルフェニル、イソ
オクチルフェニル、イソノニルフェニル、ジイソノニル
フェニル、ドデシルフイソペンタデシルフェニルであ
る。
【0036】次に、B1、B2の2価の連結基について記
述する。炭素数1〜10のアルキレン、ポリ(重合度1
〜50)オキシエチレン、ポリ(重合度1〜50)オキ
シプロピレン、ポリ(重合度1〜50)オキシグリセリ
ンであり、これらの混合したものでもよい。これらで好
ましい連結基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブ
チレン、ポリ(重合度1〜25)オキシエチレン、ポリ
(重合度1〜25)オキシプロピレン、ポリ(重合度1
〜15)オキシグリセリンである。次に、Xはカルボン
酸(又は塩)、スルフォン酸(又は塩)、硫酸エステル
(又は塩)であるが、特に好ましくはスルフォン酸(又
は塩)、硫酸エステル(又は塩)である。塩としては好
ましくはNa、K、アンモニウム、トリメチルアミン及
びトリエタノールアミンである。
【0037】以下に、本発明の好ましい剥離抵抗軽減剤
の具体例を記載するがこれらに限定されるものではな
い。 RZ−1:C817O−P(=O)−(OH)2 RZ−2:C1225O−P(=O)−(OK)2 RZ−3:C1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)
2 RZ−4:C1531(OCH2CH2)5O−P(=O)−(O
K)2 RZ−5:{C1225O(CH2CH2O)52−P(=O)
−OH RZ−6:{C1835(OCH2CH2)8O}2−P(=O)
ONH4 RZ−7:(t−C49)3−C62−OCH2CH2O−
P(=O)−(OK)2 RZ−8:(iso−C919−C64−O−(CH2CH
2O)5−P(=O)−(OK)(OH) RZ−9:C1225SO3Na RZ−10:C1225OSO3Na RZ−11:C1733COOH RZ−12:C1733COOH・N(CH2CH2OH)3 RZ−13:iso−C817−C64−O−(CH2CH2
O)3−(CH2)2SO 3Na RZ−14:(iso−C919)2−C63−O−(CH2
2O)3−(CH2)4SO3Na RZ−15:トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナ
トリウム RZ−16:トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナ
トリウム RZ−17:C1733CON(CH3)CH2CH2SO3Na RZ−18:C1225−C64SO3・NH4
【0038】本発明の一般式(1)又は(2)の少なくとも
一種の使用量は、溶液の0.002〜2質量%である
が、より好ましくは0.005〜1質量%であり、さら
に好ましくは0.01〜0.5質量%である。その添加
方法は、特に限定されないがそのまま液体、あるいは固
体のまま溶解する前に他の素材とともに添加され溶液と
してもよいし、予め作製されたセルロースアシレート溶
液に後から添加してもよい。
【0039】さらに、特開平10−316701号公報
に記載の酸解離指数pKa1.93〜4.50{好まし
くは2.0〜4.4、さらに好ましくは2.2〜4.3
(例えば、2.5〜4.0)、特に2.6〜4.3(例
えば、2.6〜4.0)程度}の酸又はその塩が好まし
い。これは、無機酸又は有機酸のいずれでもよい。酸の
pKaについては「改訂3版 化学便覧,基礎編II」
((財)日本化学会編,丸善(株)発行)を参照できる。以
下に、酸の具体例とともに括弧内に酸解離指数pKaを
示す。
【0040】前記無機酸としては、例えばHClO
2(2.31)、HOCH(3.48)、モリブデン酸
(H2,MoO4:3.62)、HNO2(3.15)、
リン酸(H3,PO4:2.15)、トリポリリン酸(H
5,P3,O10:2.0)、パナジン酸(H3,VO4
3.78)などが例示できる。有機酸としては、例えば
脂肪族モノカルボン酸としてギ酸(3.55)、オキサ
ロ酢酸(2.27)、シアノ酢酸(2.47)、フェニ
ル酢酸(4.10)、フェノキシ酢酸(2.99)、フ
ルオロ酢酸(2.59)、クロロ酢酸(2.68)、ブ
ロモ酢酸(2.72)、ヨード酢酸(2.98)、メル
カプト酢酸(3.43)ビニル酢酸(4.12)などの
置換基を有する酢酸、クロロプロピオン酸(2.71〜
3.92)などのハロプロピオン酸、4−アミノ酪酸
(4.03)、アクリル酸(4.26)などを挙げるこ
とができる。また、脂肪族多価カルボン酸としてはマロ
ン酸(2.65)、コハク酸(4.00)、グルタル酸
(4.13)、アジピン酸(4.26)、ピメリン酸
(4.31)、アゼライン酸(4.39)、フマル酸
(2.85)などであり、オキシカルボン酸としてのグ
リコール酸(3.63)、乳酸(3.66)、リンゴ酸
(3.24)、酒石酸(2.82〜2.99)、クエン
酸(2.87)なども挙げられる。さらに、アルデヒド
酸又はケトン酸としてのグリオキシル酸(3.18)、
ピルビン酸(2.26)、レブリン酸(4.44)な
ど、芳香族モノカルボン酸であるアニリンスルホン酸
(3.74〜3.23)、安息香酸(4.20)、アミ
ノ安息香酸(2.02〜3.12)、クロロ安息香酸
(2.92〜3.99)、シアノ安息香酸(3.60〜
3.55)、ニトロ安息香酸(2.17〜3.45)、
ヒドロキシ安息香酸(4.08〜4.58)、アニス酸
(4.09〜4.48)、フルオロ安息香酸(3.27
〜4.14)、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸(2.
85〜4.00)、ヨード安息香酸(2.86〜4.0
0)などの置換基を有する安息香酸、サリチル酸(2.
81)、ナフトエ酸(3.70〜4.16)、ケイ皮酸
(3.88)、マンデル酸(3.19)なども挙げられ
る。また、芳香族多価カルボン酸であるフタル酸(2.
75)、イソフタル酸(3.50)、テレフタル酸
(3.54)など、複素環式モノカルボン酸のニコチン
酸(2.05)、2−フランカルボン酸(2.97)な
ど、複素環式多価カルボン酸、2,6−ピリジンカルボ
ン酸(2.09)なども挙げられる。
【0041】さらに、有機酸としてはアミノ酸類もよ
く、例えば、アミノ酸としてのアスパラギン(2.1
4)、アスパラギン酸(1.93)、アデニン(4.0
7)、アラニン(2.30)、β−アラニン(3.5
3)、アルギニン(2.05)、イソロイシン(2.3
2)、グリシン(2.36)、グルタミン(2.1
7)、グルタミン酸(2.18)、セリン(2.1
3)、チロシン(2.17)、トリプトファン(2.3
5)、トレオニン(2.21)、ノルロイシン(2.3
0)、バリン(2.26)、フェニルアラニン(2.2
6)、メチオニン(2.15)、リシン(2.04)、
ロイシン(2.35)など、アミン酸誘導体であるアデ
ノシン(3.50)、アデノシン三リン酸(4.0
6)、アデノシンリン酸(3.65〜3.80)、L−
アラニル−L−アラニン(3.20)、L−アラニルグ
リシン(3.10)、β−アラニルグリシン(3.1
8)、L−アラニルグリシルグリシン(3.24)、β
−アラニルグリシルグリシン(3.19)、L−アラニ
ルグリシルグリシルグリシン(3.18)、グリシル−
L−アラニン(3.07)、グリシル−β−アラニン
(3.91)、グリシルグリシル−L−アラニン(3.
18)、グリシルグリシルグリシン(3.20)、グリ
シルグリシルグリシルグリシン(3.18)、グリシル
グリシル−L−ヒスチジン(2.72)、グリシルグリ
シルグリシル−L−ヒスチジン(2.90)、グリシル
−DL−ヒスチジルグリシン(3.26)、グリシル−
L−ヒスチジン(2.54)、グリシル−L−ロイシン
(3.09)、γ−L−グルタミン−L−システイニル
グリシン(2.03)、N−メチルグリシン(サルコシ
ン:2.20)、N,N−ジメチルグリシン(2.0
8)、シトルリン(2.43)、3,4−ジヒドロキシ
フェニルアラニン(2.31)、L−ヒスチジルグリシ
ン(2.84)、L−フェニルアラニルグリシン(3.
02)、L−プロリルグリシン(3.07)、L−ロイ
シル−L−チロシン(3.15)などが用いられる。
【0042】本発明では以上の酸の中でも、脂肪族モノ
カルボン酸であるギ酸、クロロ酢酸などのハロ酢酸、ハ
ロプロピオン酸、アクリル酸などの飽和又は不飽和C
モノカルボン酸など、脂肪族多価カルボン酸である
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸などの飽和
又は不飽和Cジカルボン酸など、さらにオキシカ
ルボン酸であるグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸などのCオキシカルボン酸が好まし
い。これらの酸は非水溶性や水溶性のいずれであっても
よい。
【0043】前述の酸は遊離酸として用いてもよく、ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重金属として用い
てもよい。アルカリ金属としてはリチウム、カリウム、
ナトリウムなどが例示でき、アルカリ土類金属としては
カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム
などが例示できる。重金属としては、亜鉛、スズ、ニッ
ケル、鉄などである。
【0044】好ましいアルカリ金属にはナトリウムが含
まれ、好ましいアルカリ土類金属にはカルシウム、マグ
ネシウムが含まれる。これらのアルカリ金属、アルカリ
土類金属はそれぞれ単独で又は二種以上組み合わせて使
用でき、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを併用して
もよい。
【0045】前記酸及びその金属塩の総含有量は、剥離
性、透明性、紡糸性などを損なわない範囲、例えばセル
ロースアシレート1g当たり1×10-9〜3×10-5
ル、好ましくは1×10-8〜2×10-5モル(例えば、
5×10-7〜1.5×10-5モル)、さらに好ましくは
1×10-7〜1×10-5モル(例えば、5×10-6〜8
×10-6モル)程度の範囲から選択でき、通常5×10
-7〜5×10-6モル(例えば、6×10-7〜3×10-6
モル)程度である。
【0046】なお、セルロースアシレート中の前記酸及
びその金属塩の含有量は、次のような方法により定量で
きる。
【0047】[イオンクロマトグラフィー分析]微粉末
状の乾燥したセルロースアセテート2.0gを正確に秤
量し、熱水を80ml加えて攪拌し、密閉して1晩放置
した後、さらに攪拌し試料を沈降させる。約10mlを
上澄みを試料液とし、イオンクロマトグラフィー法によ
り、前記酸の含有量を測定する。
【0048】なお、これらのアルカリ金属及び/又はア
ルカリ土類金属は、含有量が少ない場合、セルロースア
セテートの酸性基(カルボキシル基やスルホン酸基な
ど)と結合していてもよい。セルロースアセテート1g
中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総含有量は、
セルロースアセテートの耐熱安定性を損なわない有効量
以上であって、イオン当量換算で5.5×10-6当量以
下(例えば、0.01×10-6〜5×10-6当量)、好
ましくは3.5×10-6当量以下(例えば、0.01×
10-6〜3×10-6当量)、さらに好ましくは2.5×
10-6当量以下(例えば、0.01×10-6〜2×10
-6当量)程度である。特に、アルカリ金属及びアルカリ
土類金属の総含有量が1×10-6当量以下(例えば、
0.1×10 -6〜0.5×10-6当量)、特に0.3×
10-6当量以下(例えば、0.1×10-6〜0.3×1
-6当量)程度のセルロースアセテートを用いると、流
延法によりドープを支持体に流延し、半乾燥状態のフィ
ルムを支持体から剥離するとき、剥離抵抗を大きく低減
できる。なお、セルロースアセテート中のアルカリ金属
及びアルカリ土類金属の含有量は、原子吸光分析により
定量できる。
【0049】前記態様(1),(2)のセルロースアセテー
トは、例えば、セルロースアセテートと前記酸解離指数
pKaの酸又はその金属塩とを混合したり、セルロース
アセテートを前記酸又はその金属塩で処理することによ
り調整できる。上記酸又はその金属塩の混合や処理は、
任意の工程、例えば、セルロースアセテートの製造工程
(例えば、加水分解・熟成工程終了後の耐熱安定剤の添
加工程など)やセルロースアセテートの製造後に行うこ
とができる。また、酸又はその金属塩による処理は、粉
粒状、フレーク状セルロースアセテートの洗浄や浸漬処
理、含浸処理などにより行ってもよい。さらに、前記混
合や処理は、セルロースアセテートを含むドープに、酸
又はその金属塩を添加することにより行ってもよい。な
お、前記酸解離指数pKaの酸又はその金属塩の混合や
処理は、作業性などを損なわない適当な温度、例えば1
0〜70℃(好ましくは15〜50℃)程度の温度で行
うことができ、混合又は処理時間は適当な範囲、例えば
1分〜12時間程度の範囲から選択できる。このような
特定pKaの酸又はその金属塩を用いると、セルロース
アセテート及び/又はヘミセルロースアセテートに結合
するカルボキシル基のうち少なくとも一部を酸型のカル
ボキシル基として存在させることができる。
【0050】セルロースアシレート溶液は、流延された
後に、残留溶媒が20〜1000質量%で支持体から剥
ぎ取られることが好ましく、一般には剥ぎ取り剤がない
場合は20〜150質量%でないと剥ぎ取りが困難であ
り、乾燥時間がかかるという欠点があった。これに対し
て、本技術の剥離抵抗軽減剤を含有したセルロースアシ
レート溶液では、残留溶媒が20〜500質量%でも剥
ぎ取りが可能であり、乾燥時間を短縮でき、生産性の大
幅な向上を可能とするものである。さらに、本技術の剥
離抵抗軽減剤を含有することで、剥離時の剥離荷重を著
しく小さくすることができ、これにより面状が著しく改
良された。
【0051】このようなセルロースアセテートフィルム
は、流延法によるフィルムの製造において、支持体から
の剥離性が高く、製膜速度、ひいてはセルロースアセテ
ートフィルムの生産性を向上できる。また、セルロース
アセテートは、透明性などの光学的特性に優れている。
セルロースアセテートの透明度は、例えば60〜100
%(好ましくは70〜100%、さらに好ましくは75
〜100%)程度であり、通常70〜90%程度であ
り、ヘイズは1〜8(好ましくは1〜5)程度である。
さらに、セルロースアセテートの黄色度の指標となるイ
エローネス インデックス(Yellowness In
dex,YI)は、例えば1〜10(好ましくは1〜
7、通常2〜5)程度である。なお、透明度、ヘイズ及
びイエローネス インデックス(YI)は次のような方
法で測定した値である。
【0052】剥離抵抗軽減剤の添加量は、ドープ重量に
対し0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.
5質量%がより好ましい。
【0053】本発明の溶液製膜方法は、セルロースエス
テルフィルム等の製膜に用いることができ、このセルロ
ースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステ
ル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート及びセルロースアセテートプロピオネート)
が代表的である。低級脂肪酸は、炭素原子数6以下の脂
肪酸を意味する。セルロースアセテートには、セルロー
ストリアセテート(TAC)やセルロースジアセテート
(DAC)が含まれる。
【0054】ドープに用いる溶媒としては、低級脂肪族
炭化水素の塩化物や低級脂肪族アルコールが一般に使用
される。低級脂肪族炭化水素の塩化物の例としては、メ
チレンクロライドを挙げることができる。低級脂肪族ア
ルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn−ブタ
ノールが含まれる。その他の溶媒の例としては、ハロゲ
ン化炭化水素を実質的に含まない、アセトン、炭素原子
数4から12までのケトンとしては、例えばメチルエチ
ルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シク
ロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれ、炭
素原子数3から12までのエステルとしては、例えばギ
酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル
及び2−エトキシ−エチルアセテート等が含まれ、炭素
原子数1から6までのアルコールとしては、例えばメタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノー
ル、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2
−ブタノール、2−メトキシエタノール及び2−ブトキ
シエタノール等が含まれ、炭素原子数が3から12まで
のエーテルとしては、例えばジイソプロピルエーテル、
ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキ
サン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ア
ニソール及びフェネトール等が含まれ、また炭素原子数
が5から8までの環状炭化水素類としてはシクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタ
ン等が含まれる。本発明においては、以上のような溶媒
の中で、塩化メチレン、アセトン、酢酸メチル及びジオ
キソランの内から選ばれる溶媒又はこれらの混合物を主
溶媒とすることが好ましい。
【0055】また、酢酸メチル、ケトン類及びアルコー
ルからなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20〜90質
量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコールが5〜3
0質量%である溶媒を用いることが好ましい。
【0056】本発明の溶液製膜方法に用いるドープに
は、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例
えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、微粒子粉
体、光学特性調整剤、フッ素系界面活性剤)を加えるこ
とができる。またその添加する時期はドープ作製工程に
おいて何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最
後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行
ってもよい。
【0057】本発明で用いることのできる可塑剤として
は特に限定はないが、リン酸エステル系では、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル
酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエ
チルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタ
レート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチ
ン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレー
ト、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリ
ルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレ
ート等を単独あるいは併用するのが好ましい。
【0058】さらに、特開平11−80381号公報、
同11−124445号公報、同11−248940号
公報に記載されている可塑剤も添加することができる。
以上のような可塑剤は1種でもよいし2種以上併用して
もよい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルに対し
て0.1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がよ
り好ましい。添加量が0.1質量%未満では添加効果を
十分に発揮することができず、添加量が20質量%を超
えると、フィルム表面にブリードアウトする場合があ
る。
【0059】前記紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種
類のものを選択することができ、サリチル酸エステル
系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
エート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の
吸収剤を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系が好まし
い。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−
4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキ
シベンゾフェノン等をあげることができる。ベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキ
シ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)
−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキ
シ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒド
ロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾト
リアゾール等をあげることができる。サリチル酸エステ
ル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフ
ェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサ
リシレート等をあげることができる。これら例示した紫
外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,
4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ
−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ
−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert
−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0060】紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の
吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮
断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線
吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm
以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点
から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないもの
が好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化
合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系
化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に
好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物
やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリ
アゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要
な着色が少ないことから、好ましい。
【0061】また、紫外線吸収剤については、特開昭6
0−235852号、特開平3−199201号、同5
−1907073号、同5−194789号、同5−2
71471号、同6−107854号、同6−1182
33号、同6−148430号、同7−11056号、
同7−11055号、同7−11056号、同8−29
619号、同8−239509号、特開2000−20
4173号の各公報に記載がある。
【0062】紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシ
レートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.0
1〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量
%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添
加量が5質量%を超えると、フィルム表面へ紫外線吸収
剤がブリードアウトする場合がある。
【0063】また、紫外線吸収剤はセルロースアシレー
ト溶解時に同時に添加しても良いし、溶解後のドープに
添加しても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流
延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、
分光吸収特性を容易に調整することができるので好まし
い。
【0064】前記劣化防止剤は、セルローストリアセテ
ート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣
化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化
合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化
合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリア
ゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公
報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118
233号公報)などの化合物がある。
【0065】このうち、ヒンダードアミン化合物の例と
しては、t−ブチルアミン、トリフェニルアミン、トリ
ベンジルアミン等がある。また、グアニジン誘導体とし
て、下記式(1a)、(1b)で示される化合物等があ
る。
【0066】
【化1】
【0067】劣化防止剤の添加量は、0.001〜5%
が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。添加量が
0.001%未満であると添加効果が少なく、添加量が
5%を超えると、原料コストが上昇して不利である。
【0068】前記微粒子粉体としては、シリカ、カオリ
ン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、酸化チタン、アルミナなどを目的に応じ、任
意に用いることができる。これら微粒子粉体はドープに
添加する前に、高速ミキサー、ボールミル、アトライタ
ー、超音波分散機等、任意の手段でバインダー溶液中に
分散を行うことが好ましい。バインダーとしてはセルロ
ースアシレートが好ましい。紫外線吸収剤等、他の添加
物と共に分散を行うことも好ましい。分散溶媒は任意で
あるが、ドープ溶媒と近い組成であることが好ましい。
【0069】微粒子粉体の数平均粒径は0.01〜10
0μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。
上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に同時に
添加しても良いし、任意の工程でドープに添加できる
が、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用い、流
延直前に添加する形態が好ましい。
【0070】微粒子粉体の含有量は、セルロースアシレ
ートに対して0.001〜5質量%であることが好まし
く、0.01〜1質量%であることがより好ましい。添
加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮
することができず、添加量が5質量%を超えると、外観
面状が悪くなる場合がある。
【0071】前記離型剤としては、界面活性剤が有効で
あり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニ
オン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、
例えば特開昭61−243837号などに記載されてい
る。離型剤の添加量は、セルロースアシレートに対して
0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%
がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれ
ば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2
質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりす
ることがある。
【0072】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレ
ン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基
とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステ
ル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エス
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリ
エタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることがで
きる。
【0073】アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸
塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であ
り、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼン
スルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、
アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸
塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化
脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スル
フォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレ
ンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、
ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物など
である。
【0074】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジュム塩などを挙げることが
でき、第一〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩
(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジ
ルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイ
ミダゾリウム塩など)を挙げることができる。両性系界
面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタイ
ンなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチ
ルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スル
フォアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0075】前記フッ素系界面活性剤を添加することに
より、帯電防止効果を発揮することができる。フッ素系
界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して
0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質
量%がより好ましい。添加量が0.002質量%未満で
あれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量
が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じた
りすることがある。
【0076】本発明においては、レターデーション上昇
剤(光学特性調整剤)を添加することができる。レター
デーション上昇剤を添加することにより、光学異方性を
コントロールすることができる。レターデーション上昇
剤は、セルロースアシレートフイルムのレターデーショ
ンを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する
芳香族化合物を使用することが好ましい。芳香族化合物
は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.
01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、
セルロースアセレート100質量部に対して、0.05
〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1
〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化
合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香
族性ヘテロ環を含む。
【0077】芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、
ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ
環は、5員環、6員環又は7員環であることが好まし
く、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳
香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘ
テロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が
好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環
の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキ
サゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソ
チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザ
ン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダ
ジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−ト
リアジン環が含まれる。
【0078】本発明においては、着色剤を添加すること
ができる。着色剤を添加することにより、感光材料支持
体等に用いる場合、ライトパイピングを防止することが
できる。着色剤の添加量は、セルロースアシレートに対
する重量割合で10〜1000ppmが好ましく、50
〜500ppmが更に好ましい。
【0079】また、本発明におけるドープには、ルシウ
ム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱
安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などを、必要
に応じて適宜添加することができる。
【0080】本発明の溶液製膜方法により製造されるフ
ィルムの光学特性について記す。まず、フィルムの面内
のレターデーション(Re)について記すと、その測定
法はエリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島
津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにお
ける面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたも
のであり、下記の式で求められる。 Re=(nx−ny)×d nx:横方向の屈折率 ny:縦方向の屈折率
【0081】レターデーション(Re)は、小さいほど
面内方向の光学異方性がないことを示し、0〜300n
mの範囲で用途に応じて用いられる。また、フィルムの
厚さ方向のレターデーション(Rth)も重要であり、
波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィル
ム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。 Rth={(nx+ny)/2−nz}×d nx:横方向の屈折率 ny:縦方向の屈折率 nz:厚さ方向の屈折率
【0082】厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向
の光学異方性がないことを示すが、その使用用途によっ
て好ましい範囲は定まる。一般には、本発明により製造
されたセルロースアシレートフィルムのRthは100
μm当たり、0nm〜600nmであり、さらには0n
m〜400nmで用いられる。
【0083】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムは、例えば、偏光板保護膜、光学補償シート、AR、
LR、AG膜用支持体フィルム等の光学用途フィルム、
写真感光材料用支持体フィルムとしても利用することが
できる。
【0084】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムを光学補償シートに利用する場合、フイルムそのもの
を光学補償シートとして用いることができる。なお、フ
イルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、
偏光板の透過軸と、光学補償シートの遅相軸とを実質的
に平行又は垂直になるように配置することが好ましい。
このような偏光板と光学補償シートとの配置について
は、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶
表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる
液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び該
液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償
シートを配置した構成を有している。
【0085】液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板
の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封
入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明
な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガ
スバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の
接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けて
もよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液
晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有す
る。
【0086】光学補償シートは複屈折性を有し、液晶表
示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を
改善したりする目的で用いられる。本発明によるセルロ
ースアシレートフィルムそのものを、光学補償シートと
して用いることができる。さらに反射防止層、防眩性
層、λ/4層や2軸延伸セルロースアシレートフィルム
として機能を付与してもよい。また、液晶表示装置の視
野角を改良するため、本技術のセルロースアシレートフ
ィルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示
すフィルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよ
い。
【0087】また、支持体の上に液晶性化合物(特にデ
ィスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設
けた光学補償シートも提案されている(特開平3−93
25号、同6−148429号、同8−50206号、
同9−26572号の各公報記載)。本発明の溶液製膜
方法で製造されるフィルムそのような光学補償シートの
支持体としても用いることができる。
【0088】前記偏光板の偏光素子には、ヨウ素系偏光
膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光
膜がある。いずれの偏光素子も、一般にポリビニルアル
コール系フィルムを用いて製造する。偏光板の保護膜
は、25〜350μmの厚さを有することが好ましく、
40〜200μmの厚さを有することがさらに好まし
い。液晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表
面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処
理及び反射防止処理が含まれる。
【0089】前記光学的異方性層は、負の一軸性を有し
傾斜配向したディスコティック液晶性分子を含む層であ
ることが好ましい。ディスコティック液晶性分子を含む
層が、円盤面と支持体面とのなす角が光学的異方性層の
深さ方向において変化したハイブリッド配向していても
構わないし、円盤面が支持体面と平行なホメオトロピッ
ク配向、円盤面が支持体面と垂直なホモジニアス配向、
又は、円盤面が光学的異方性層の深さ方向でねじれてい
るツイスト配向を取っていても構わない。また、これら
の配向が混在した配向(例えば、ハイブリッド配向+ツ
イスト配向)していても構わない。そのなかでもハイブ
リッド配向していることが好ましい。ディスコティック
液晶性分子ひとつひとつの光軸は、円盤面の法線方向に
存在する。しかし、ディスコティック液晶性分子がハイ
ブリッド配向している層全体としては、光軸は存在しな
い。
【0090】本発明の溶液製膜方法により製造されるフ
ィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることが
できる。TN(Twisted Nematic)、I
PS(In−Plane Switching)、FL
C(Ferroelectric Liquid Cry
stal)、AFLC(Anti−ferroelec
tric Liquid Crystal)、OCB(O
ptically Compensatory Ben
d)、STN(Supper TwistedNema
tic)、VA(Vertically Aligne
d)及びHAN(Hybrid Aligned Nem
atic)のような様々な表示モードが提案されてい
る。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも
提案されている。セルロースアシレートフィルムは、い
ずれの表示モードの液晶表示装置においても有効であ
る。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表
示装置においても有効である。
【0091】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムをTNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置
の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモ
ードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古く
から良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光
学補償シートについては、特開平3−9325号、同6
−148429号、同8−50206号、同9−265
72号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)
他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.
36(1997)p.143や、Jpn.J.App
l.Phys.Vol.36(1997)p.106
8)に記載がある。TN型液晶表示装置については、特
開平10−123478号、WO9848320号、特
許第3022477号の各公報に記載がある。
【0092】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムをSTNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示
装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一
般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液
晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒
状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ
(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲
にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シート
については、特開2000−105316号公報に記載
がある。
【0093】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムをVAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置
の光学補償シートの支持体として用いてもよい。VA型
液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデー
ションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面
内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。VA型
液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、
光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び
光学的異方性層と支持体との配置により決定される。V
A型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合
は、光学補償シートの面内レターデーションを、−5n
m〜5nmの範囲内にすることが好ましい。従って、二
枚の光学補償シートのそれぞれの面内レターデーション
の絶対値は、0〜5とすることが好ましい。VA型液晶
表示装置に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学
補償シートの面内レターデーションを、−10nm〜1
0nmの範囲内にすることが好ましい。
【0094】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムを、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表
示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN
型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いて
もよい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表
示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション
の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも
法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶
表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補
償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性
質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体と
の配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるい
はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについ
ては、特開平9−197397号公報に記載がある。ま
た、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.App
l.Phys.Vol.38(1999)p.283
7)に記載がある。
【0095】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムをASM(Axially Symmetric Al
igned Microcell)モードの液晶セルを
有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体
として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セル
の厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持され
ているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの
液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとAS
M型液晶表示装置については、クメ(Kume)外の論
文(Kume et al.,SID 98 Digest
1089(1998))に記載がある。
【0096】本発明の溶液製膜方法を実施する溶液製膜
装置の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は溶
液製膜装置の概略図、図2は溶液製膜装置の剥ぎ取り部
分の拡大図である。
【0097】図1において、1はミキシングタンクで、
セルローストリアセテート、添加剤及び溶媒を投入して
ドープを調製するものである。このミキシングタンク1
は、送液ポンプ2及びフィルタ3を介して流延ダイ4に
連結されている。そして、これらのミキシングタンク
1、送液ポンプ2及びフィルタ3からなるドープの送液
工程は、3層構成のフィルムを製造できるように3組設
けられている。流延ダイ4の下方には、流延支持体とし
てのステンレススチール製の流延バンド5が配置されて
おり、この流延バンド5は回転ドラム6、7に巻き掛け
られており、また、回転ドラム6と回転ドラム7との間
にはガイドロール8が複数設けられている。さらに、流
延バンド5の上方及び下方には、流延バンド5上に流延
されたドープに熱風を吹付けて乾燥させるための、乾燥
風吹付け手段(図示せず)が設けられている。前記流延
ダイ4側の回転ドラム6に隣接して剥ぎ取りロール9が
設けられ、さらに多数のガイドロール10及び巻取りロ
ール11が設けられ、剥ぎ取りロール9と巻取りロール
11間は乾燥部12となっている。
【0098】以上のような溶液製膜装置で製膜するに
は、流延ダイ4からドープを吐出して流延バンド5に流
延し、流延バンド5上で乾燥させつつ搬送する。流延バ
ンド5上である程度乾燥したフィルムは、剥ぎ取りロー
ル9で流延バンド5より剥ぎ取られる。この時、フィル
ムの剥ぎ取り角度を所定範囲に調整してある。この剥ぎ
取り角度について図2を参照して説明する。
【0099】図2において、実線で示すフィルム14
は、剥離点aにおいて流延バンド5から剥ぎ取られてお
り、このとき、剥離点aにおける接線方向hを0度、法
線方向vを90度としたとき、フィルム14の剥ぎ取り
角度(接線方向hとフィルムのなす角度)θは、30〜
80度の範囲に設定されており、具体的には約75度と
なっている。また、二点鎖線で示すフィルム14の場合
も同様に、剥離点a’における剥ぎ取り角度θ’が、接
線方向h’及び法線方向v’において30〜80度の範
囲に設定されており、具体的には約31度となってい
る。また、流延バンド5の周速度V1、剥ぎ取りロール
9の周速度V2とすると、(V2−V1)/V1=0.
005〜1.0の範囲になるように設定されている。
【0100】さらに、流延バンド5の剥離点aと剥ぎ取
りロール9の接触点bとの距離をL、とすると、L/
(V1+V2)/2=0.03〜0.3秒の範囲に設定
されている。
【0101】本発明の溶液製膜方法で製造できるフィル
ムを図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4
は、フィルムを概略的に示す断面図である。
【0102】図3に示すフィルム21Aは、一方の側の
外表面21aの弾性率が内部21bの弾性率よりも低く
なるように形成されている。また、フィルム21Bは、
両側の外表面21a、21cの弾性率が内部21bの弾
性率より低くなるように形成されている。
【0103】図4に示すフィルム22Aは二層構造を有
し、一方の側の表面層22aの弾性率が内部22bの弾
性率よりも低くなるように形成されている。また、フィ
ルム22Bは三層構造を有し、両側の表面層22a、2
2cの弾性率が内部22bの弾性率よりも低くなるよう
に形成されている。
【0104】なお、本発明は、これらの層構成に限定さ
れるものでなく、例えば、四層以上の多層構造であって
もよい。
【0105】本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる共流延法の例を図5〜図7を参照して説明する。
【0106】図5はダイの概略断面図、図6はフィード
ブロックの概略断面図である。図5に示す共流延法は、
共流延ダイ30に図6に示すようなフィードブロック3
1を設けたものを使用し、フィードブロック31により
共流延ダイ30の手前で各ドープ32を合流させた後、
共流延ダイ30よりドープ32を矢印方向に一定速度で
移動している支持体33上に吐出させて同時に流延する
方法である。
【0107】図7は他の共流延法の例を示すダイの概略
断面図である。図7に示す共流延法は、共流延ダイ40
が3個のマニホールド41、42、43を有するマルチ
マニホールドダイで、共流延ダイ40の内部でドープ4
4を合流させた後、共流延ダイ40からドープ44を支
持体45条に吐出させて同時に流延する方法である。
【0108】次に、本発明の溶液製膜方法に利用するこ
とができる逐次流延法について図8を参照して説明す
る。
【0109】図8はダイの概略断面図である。図8に示
す逐次流延法は、3個のダイ50、60、70が支持体
80上に並べられ、各ダイ50、60、70からそれぞ
れドープ51、61、71を支持体80上に流延するも
ので、この時、下流側にあるダイ60は上流側にあるダ
イ50が流延したドープ51の上面にドープ61を流延
することになり、また、下流側にあるダイ70は上流側
にあるダイ60が流延したドープ61の上面にドープ7
1を流延することになり、3層構成のフィルムを形成す
ることができる。
【0110】また、本発明の溶液製膜法に利用すること
ができる溶液製膜装置の例を図9〜18に示す。
【0111】図9に示す溶液製膜装置は、流延支持体と
して流延バンドを用いたものである。図10に示す溶液
製膜装置は、流延支持体として流延バンドを用い、ま
た、テンタ−を用いたものである。図11に示す溶液製
膜装置も、流延支持体として流延バンドを用い、また、
テンタ−を用いたものである。図12に示す溶液製膜装
置も、流延支持体として流延バンドを用い、また、テン
タ−を用いたものである。図13に示す溶液製膜装置
も、流延支持体として流延バンドを用い、また、テンタ
−及び伝熱手段を用いたものである。図14に示す溶液
製膜装置も、流延支持体として流延バンドを用い、ま
た、テンタ−及び伝熱手段を用いたものである。図15
に示す溶液製膜装置も、流延支持体として流延バンドを
用い、また、テンタ−及び伝熱手段を用いたものであ
る。図16に示す溶液製膜装置は、流延支持体として冷
却ドラムを用い、また、テンタ−を用いたものである。
図17に示す溶液製膜装置も、流延支持体として冷却ド
ラムを用い、また、テンタ−を用いたものである。図1
8に示す溶液製膜装置は、流延支持体として乾燥ドラム
を用い、また、テンタ−を用いたものである。
【0112】なお、以上の溶液製膜装置において、81
はダイ、82は流延支持体、83は乾燥装置、84はテ
ンタ−である。
【0113】
【実施例】[実施例1〜12、14、比較例1〜3]図
1に示す溶液製膜装置を用いて単層製膜を行なった。
【0114】使用したドープの組成は以下の通りであ
る。 セルローストリアセテート(酢化度60.9%) 20.4質量部 トリフェニルフォスフェート 3.1質量部 ジクロロメタン 65.0質量部 n−ブタノール 5.4質量部 メタノール 9.1質量部
【0115】以上のドープを用い、剥ぎ取り角度、流延
支持体の周速度V1、剥ぎ取りロープの周速度V2、流
延支持体からの剥ぎ取り点と、剥ぎ取りロールに接する
接触点までの距離L、残留溶媒量、縦弾性係数、厚み、
耳端部最大厚み、表層厚み(2層構成の場合)を変化さ
せてセルローストリアセテートフィルムを製造した。
【0116】[実施13]図1に示す溶液製膜装置を用
いて2層の重層製膜を行なった。
【0117】使用したドープの組成は以下の通りであ
る。 <表面層(支持体面側)> セルローストリアセテート(酢化度60.9%) 20.4質量部 トリフェニルフォスフェート 3.1質量部 ジクロロメタン 65.0質量部 n−ブタノール 5.4質量部 メタノール 9.1質量部 クエン酸 0.03質量部
【0118】 <コア層> セルローストリアセテート(酢化度60.9%) 20.4質量部 トリフェニルフォスフェート 3.1質量部 ジクロロメタン 65.0質量部 n−ブタノール 5.4質量部 メタノール 9.1質量部
【0119】以上のドープを用い、共流延により2層か
らなるセルローストリアセテートフィルムを製造した。
【0120】以上の実施例1〜14及び比較例1〜3の
ムラ及びヘイズを評価した。評価結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】[ムラ評価]フィルムを目視により観察
し、評価した。評価内容は以下の通りである。 ◎:ムラが視認できないレベル ○:ムラは視認できるが、ムラ限度より良いレベル △:ムラ限度と同じレベル ×:ムラ限度より悪いレベル
【0123】[透明度]可視光615nmの透過率を測
定した。
【0124】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成することに
より、流延支持体からフィルムを剥ぎ取る際、段ムラ及
びベコ状ムラが発生することなく、平面性の良好なフィ
ルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による溶液製膜方法を実施する溶液製
膜装置の一実施形態の概略部である。
【図2】 本発明による溶液製膜方法を実施する溶液製
膜装置の一実施形態の剥ぎ取り部分の拡大図である。
【図3】 本発明の溶液製膜方法で製造できるフィルム
を概略的に示す断面図である。
【図4】 本発明の溶液製膜方法で製造できるフィルム
を概略的に示す断面図である。
【図5】 本発明の溶液製膜方法に利用することができ
るダイの概略断面図である。
【図6】 本発明の溶液製膜方法に利用することができ
るフィードブロックの概略断面図である。
【図7】 本発明の溶液製膜方法に利用することができ
るダイの概略断面図である。
【図8】 本発明の溶液流延方法に利用することができ
るダイの概略断面図である。
【図9】 本発明の溶液製膜方法に利用することができ
る溶液製膜装置の概略図である。
【図10】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図11】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図12】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図13】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図14】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図15】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図16】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図17】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【図18】 本発明の溶液製膜方法に利用することがで
きる溶液製膜装置の概略図である。
【符号の説明】
1…ミキシングタンク 2…送液ポンプ 3…フィルタ 4…流延ダイ 5…流延バンド 6、7…回転ドラム 8…ガイドロール 9…剥ぎ取りロール 10…ガイドロール 11…巻き取りロール 12…乾燥部 14…フィルム a…剥離点 b…接触点 h…接線方向 v…法線方向 θ…剥ぎ取り角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/18 CEP C08J 5/18 CEP C08K 5/00 C08K 5/00 C08L 1/10 C08L 1/10 G02B 5/30 G02B 5/30 // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 2H049 BA02 BB12 BB33 BC09 BC22 4F071 AA09 AC10 AC15 AE04 AE05 AH19 BA02 BB02 BC01 4F202 AA01 AB07 AB10 AB11 AB14 AC05 AG01 AG03 AH73 AR04 AR06 AR07 AR08 CA07 CB02 CB26 CK11 CM11 CM21 4F205 AA01 AB07 AB10 AB11 AB14 AC05 AG01 AG03 AH73 AR04 AR06 AR07 AR08 GA07 GB02 GB26 GC07 GF24 GN22 GN28 GN29 4J002 AB021 DE186 DH056 EE038 EF036 EF066 EH047 EH147 EN029 EN069 EN116 ER029 EU178 EV256 EW046 EW047 FD027 FD039 FD058 GP00

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒
    及び可塑剤等の添加剤からなるドープを流延し、該流延
    したドープをある程度乾燥させてフィルムを形成し、フ
    ィルムを流延支持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後
    さらに乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法にお
    いて、流延支持体から剥ぎ取られるフィルムの流延支持
    体の剥離点における接線方向を0度、法線方向を90度
    としたとき、フィルムの剥ぎ取り角度を30〜80度の
    範囲にすることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 【請求項2】 流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒
    及び可塑剤等の添加剤からなるドープを流延し、該流延
    したドープをある程度乾燥させてフィルムを形成し、フ
    ィルムを流延支持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後
    さらに乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法にお
    いて、前記流延支持体からの剥離点と、剥ぎ取りロール
    に接する接触点までの距離をL、流延支持体の周速度を
    V1、剥ぎ取りロールの周速度をV2とすると、L/
    {(V1+V2)/2}を0.3秒以内にしたことを特
    徴とする溶液製膜方法。
  3. 【請求項3】 前記流延支持体の周速度をV1、剥ぎ取
    りロールの周速度をV2とすると、(V2−V1)/V
    1を0.005〜1.0の範囲にした請求項1記載の溶
    液製膜方法。
  4. 【請求項4】 2層以上の重層製膜を行い、流延支持体
    に接触する層に流延支持体との剥離抵抗を軽減する添加
    剤を添加し、その添加量を調整することで剥ぎ取り角度
    を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の溶液
    製膜方法。
  5. 【請求項5】 流延ダイから流延支持体に高分子、溶媒
    及び可塑剤等の添加剤からなるドープを流延し、該流延
    したドープをある程度乾燥させてフィルムを形成し、フ
    ィルムを流延支持体から剥ぎ取りロールで剥ぎ取った後
    さらに乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法にお
    いて、流延支持体の周速度をV1、剥ぎ取りロールの周
    速度をV2とし、(V2−V1)/V1が0.001の
    とき、剥離直後のフィルム張力をF(kg)、剥離点か
    ら剥ぎ取りロール間でのフィルム平均幅をW(mm)、
    フィルム平均厚みをS(mm)とし、E=F/(S×W
    ×0.001)とすると、Eを0.01〜7(kgf/
    mm)としたことを特徴とする溶液製膜方法。
  6. 【請求項6】 フィルムの固形分の重量をP、溶媒量の
    重量をQとし、そのフィルムの残留溶媒量をR=Q/P
    ×100(wt%)とすると、この残留溶媒量Rで前記
    Eを制御する請求項5記載の溶液製膜方法。
  7. 【請求項7】 剥離点での流延支持体温度を−30〜6
    0℃の範囲で調整することにより、前記Eを制御する請
    求項5記載の溶液製膜方法。
  8. 【請求項8】 前記流延支持体の剥離点から剥ぎ取りロ
    ール間におけるフィルム張力を、剥ぎ取りロール軸トル
    ク値とテンションメーター値により定量化する請求項5
    記載の溶液製膜方法。
  9. 【請求項9】 前記フィルムが流延支持体から剥ぎ取ら
    れる剥離点において、フィルムの固形分の重量をP、溶
    媒量の重量をQとし、そのフィルムの残留溶媒量をR=
    Q/P×100(wt%)とすると、その残留溶媒量R
    が120wt%以上である請求項1、2又は5記載の溶
    液製膜方法。
  10. 【請求項10】 前記フィルムが流延支持体から剥ぎ取
    られる剥離点において、剥ぎ取りに必要な流延支持体表
    面の法線方向に対する力を剥離抵抗力とすると、その剥
    離抵抗力がフィルム1cm当たり100gf未満である
    請求項1、2又は5記載の溶液製膜方法。
  11. 【請求項11】 前記フィルムが流延支持体から剥ぎ取
    られる剥離点において、乾燥後の厚み換算で、フィルム
    幅方向端部最大厚みをX、製品範囲の平均フィルム厚み
    をYとすると、Yは20〜300μmの範囲であり、か
    つその精度を±3%以内とし、厚み比Z=X/Yが0.
    5<Z<2.0である請求項1、2又は5記載の溶液製
    膜方法。
  12. 【請求項12】 前記流延支持体と剥ぎ取りロールとの
    クリアランスCLが1〜30mmの範囲である請求項
    1、2又は5記載の溶液製膜方法。
  13. 【請求項13】 前記剥ぎ取りロール半径Rが30mm
    以上であり、そのロール表面温度を−20〜80℃にし
    た請求項1、2又は5記載の溶液製膜方法。
  14. 【請求項14】 2つ以上の各層を同時重層流延するた
    めに、単層ダイの入り口部に合流部を設けたフィードブ
    ロック方式、もしくはダイ内に2系統以上のマニホール
    ドを有するマルチマニホールド方式を用いた請求項1、
    2又は5記載の溶液製膜方法。
  15. 【請求項15】 前記流延支持体に、最大外径30μm
    以上のピンホールが皆無な鏡面のステンレスバンドを用
    いた請求項1、2又は5記載の溶液製膜方法。
  16. 【請求項16】 前記流延支持体に、最大外径30μm
    以上のピンホールが皆無なニッケルクロムメッキの鏡面
    を持つ直径1.5〜5.0mのドラムを用い、該ドラム
    に設けたジャケットに−40〜70℃の熱媒体を連続的
    に通水することによりドラム表面温度を制御する請求項
    1、2又は5記載の溶液製膜方法。
  17. 【請求項17】 前記流延支持体から剥ぎ取った直後の
    フィルムに、赤外光線を透過させ、その分光吸収量分布
    の変化から非接触でフィルムの残留溶媒量を測定し、目
    標とする残留溶媒量になるように上流工程の乾燥条件を
    調整する請求項9記載の溶液製膜方法。
  18. 【請求項18】 ドープがセルローストリアセテートを
    10質量%以上含む請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9及び10記載の溶液製膜方法。
  19. 【請求項19】 前記溶液製膜方法において、セルロー
    スアシレート溶液の溶媒が酢酸メチル、ケトン溶媒及び
    アルコールからなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20
    〜90質量%、ケトン溶媒が5〜60質量%、そしてア
    ルコールが5〜30質量%である請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16、17及び18記載の溶液製膜方法。
  20. 【請求項20】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種以上の可塑剤をセルロ
    ースアシレートに対して0.1〜20質量%含有してい
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
    11、12、13、14、15、16、17及び19記
    載の溶液製膜方法。
  21. 【請求項21】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種以上の紫外線吸収剤を
    セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含
    有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11、12、13、14、15、16、1
    7、19又は20記載の溶液製膜方法。
  22. 【請求項22】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種以上の微粒子粉体をセ
    ルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有
    している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、
    10、11、12、13、14、15、16、17、1
    9、20又は21記載の溶液製膜方法。
  23. 【請求項23】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種以上の離型剤をセルロ
    ースアシレートに対して0.001〜2質量%含有して
    いる請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0、11、12、13、14、15、16、17、1
    9、20、21又は22記載の溶液製膜方法。
  24. 【請求項24】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種以上のフッ素系界面活
    性剤をセルロースアシレートに対して0.002〜2質
    量%含有していることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16、17、19、20、21又は22記載
    の溶液製膜方法。
  25. 【請求項25】 1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11、12、13、14、15、16、1
    7、18、19、20、21、22、23又は24記載
    の溶液製膜方法で製造された厚み20〜120μmを有
    するフィルムよりなることを特徴とする偏光板保護フィ
    ルム。
  26. 【請求項26】 前記請求項25に記載の偏光板保護フ
    ィルムが装着されていることを特徴とする偏光板。
  27. 【請求項27】 請求項25記載の偏光板保護フィルム
    又は請求項26記載の偏光板を用いたことを特徴とする
    液晶表示装置。
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