JP2003306557A - 飽和ノルボルネン系樹脂フィルム、それを用いた偏光板、位相差板および画像表示装置、ならびにその製造方法 - Google Patents

飽和ノルボルネン系樹脂フィルム、それを用いた偏光板、位相差板および画像表示装置、ならびにその製造方法

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JP2003306557A
JP2003306557A JP2002111481A JP2002111481A JP2003306557A JP 2003306557 A JP2003306557 A JP 2003306557A JP 2002111481 A JP2002111481 A JP 2002111481A JP 2002111481 A JP2002111481 A JP 2002111481A JP 2003306557 A JP2003306557 A JP 2003306557A
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saturated norbornene
casting
resin film
based resin
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English (en)
Inventor
Narikazu Hashimoto
斉和 橋本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示装置に適用した場合に、フィルムに
起因して生じる表示特性の低下を軽減可能な飽和ノルボ
ルネン系樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】 全面のレターデーション分布が4nm以
下である、または遅相軸の配向角分布が5゜以下である
飽和ノルボルネン系樹脂フィルムである。好ましくは、
150℃に1時間保持した後のベース幅方向全領域にお
ける寸法変化率が0.5%以下である前記飽和ノルボル
ネン系樹脂フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置等の
画像表示装置に光学フィルムとして用いられる飽和ノル
ボルネン系樹脂フィルム、それを用いた偏光板、位相差
板および画像表示装置、ならびにその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏
光板、保護フィルム、位相差板、反射板およびバックラ
イトなどで構成されている。前記液晶セルは、ガラスま
たはプラスチック製の透明な基板の内向面に透明電極な
どを設けた2つの液晶基板、スペーサー、液晶材料等に
より構成されている。また、前記偏光板としては、薄膜
型の偏光子(偏光膜)の両方に偏光板保護フィルムを積
層したものが用いられる。前記保護フィルムは液晶表示
素子の耐傷性、反射防止性等を目的として、最外層に張
り合わされるフィルムである。前記位相差フィルムは、
液晶表示装置の視野角改善のために、光学異方性を持た
せフィルムをいう。光学異方性を付与するために、フィ
ルム表面に異方性を有する化合物(例えばディスコティ
ック液晶化合物)からなる層を形成してもよく、または
延伸により分子を配向させて、光学異方性を付与しても
よい。
【0003】この様に、画像表示装置にはポリマーフィ
ルムが種々の光学部材として用いられている。従来、前
記フィルムとしては、光学特性に優れていることから、
セルロースエステルフィルムが用いられていた。しか
し、セルロースエステルフィルムは吸湿性が高いため、
湿度により伸縮して、応力歪みによるレターデーション
むらを発生しやすい。通常、位相差フィルムは、液晶表
示装置内部において基板等に粘着されているため、吸湿
しても自由に伸縮できない。そのため、吸湿による歪み
は内部応力を発生させ、これが光弾性となってレターデ
ーションむらを引き起こすことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のレターデーショ
ンむらを改良するため、吸水性が低いポリマーフィルム
を光学フィルムとして利用することが提案されている。
その一つに飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなる光
学フィルムが提案されている。特に、特開2001−3
24616号公報に記載されている溶液流延法を利用し
て製造された飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、優れ
た光学特性を有するので、液晶表示装置の光学部材とし
ての用途に適している。しかし、前記公報には、数十c
m程度の小さな枚葉サンプルの製造方法は記載されてい
るが、これを製造機を用いて連続製膜し、切り出して、
偏光板に加工後、液晶表示装置に組み込んだところ、各
ロットにより表示むらが発生することが判明した。加え
て、長期間の経時により光漏れ(黒表示の時に光が漏れ
明るく見える故障)が発生することが判明し、改良が望
まれていた。
【0005】本発明は前記諸問題に鑑みなされたもので
あって、画像表示装置、特に液晶表示素子に適用した場
合に、フィルムに起因して発生する表示特性の低下(特
に表示むらまたは長期経時での光漏れ)を軽減可能な飽
和ノルボルネン系樹脂フィルム、偏光板および位相差
板、ならびにその簡易且つ安定的な製造方法を提供する
こと課題とする。また、本発明は、フィルムに起因して
発生する表示特性の低下(特に表示むらまたは長期経時
での光漏れ)が軽減された画像表示装置を提供すること
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者が鋭意検討を重
ねた結果、液晶表示素子等の画像表示装置の表示むら
は、光学フィルムの面内の光学特性の不均一性、即ち、
光学フィルムの面内に存在するレターデーションむら、
または遅相軸の配向角分布に起因して発生するとの知見
を得た。さらに、液晶表示素子等の画像表示装置の光漏
れが経時により発生するのは、光学フィルムの製膜時に
残った残留応力が、長期間の経時により少しずつ解消さ
れ、寸法変化した結果レターデーションが変化して、偏
光特性が変化することに起因するとの知見を得た。これ
らの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、以下の
手段により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明
を完成するに到った。
【0007】前記課題を解決するための手段は以下の通
りである。 (1) 全面のレターデーション分布が4nm以下であ
る飽和ノルボルネン系樹脂フィルム。 (2) 遅相軸の配向角分布が5゜以下である飽和ノル
ボルネン系樹脂フィルム。 (3) 150℃に1時間保持した後のベース幅方向全
領域における寸法変化率が0.5%以下である(1)ま
たは(2)に記載の飽和ノルボルネン系樹脂フィルム。 (4) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液を、幅方向にお
いて端部から中央部に向けて温度が高くなっている温度
分布のある基材(バンド)上に流延してなる(1)〜
(3)のいずれかに記載の飽和ノルボルネン系樹脂フィ
ルム。 (5) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液を、幅方向中央
部の温度が両端部の温度より1℃以上30℃以下高くな
っている温度分布が与えられているバンド上に流延して
なる(1)〜(3)のいずれかに記載の飽和ノルボルネ
ン系樹脂フィルム。 (6) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液を基材(バン
ド)上に流延して得られた流延膜を、前記基材上から剥
ぎ取った後、段階的および/または連続的に温度を上昇
させて乾燥してなる(1)〜(5)のいずれかに記載の
飽和ノルボルネン系樹脂。 (7) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液を基材(バン
ド)上に流延して得られた流延膜を、前記基材上から剥
ぎ取った後、段階的および/または連続的に温度を5℃
以上100℃以下上昇させて乾燥してなる(1)〜
(5)のいずれかに記載の飽和ノルボルネン系樹脂。
【0008】(8) (1)〜(7)のいずれかに記載
の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムと、偏光膜とを備え
た偏光板。 (9) (1)〜(7)のいずれかに記載のノルボルネ
ン系樹脂フィルムと、光学異方性層とを備えた位相差
板。 (10) 前記光学異方性層が液晶からなる(9)に記
載の位相差板。 (11) (1)〜(7)のいずれかに記載の飽和ノル
ボルネン系樹脂フィルムを延伸してなる位相差板。 (12) (1)〜(7)のいずれかに記載の飽和ノル
ボルネン系樹脂フィルムを備えた画像表示装置。 (13) (8)に記載の偏光板を供えた画像表示装
置。 (14) (9)〜(11)のいずれかに記載の位相差
板を供えた画像表示装置。
【0009】(15) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液
をバンド上に流延して流延膜を形成する流延工程を含
み、前記バンドに幅方向の端部から中央部に向かって温
度が高くなっている温度分布が与えられていることを特
徴とする飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法。 (16) 前記バンドに、幅方向中央部の温度が両端部
の温度より1℃以上30℃以下高くなっている温度分布
が与えられている(15)に記載の飽和ノルボルネン系
樹脂フィルムの製造方法。 (17) 前記バンドの中心部の温度が40℃以上11
0℃以下である(15)または(16)に記載の飽和ノ
ルボルネン系樹脂フィルムの製造方法。 (18) 前記流延工程の後、前記流延膜をバンドから
剥ぎ取った後、前記流延膜を加熱して流延膜を乾燥する
乾燥工程をさらに含み、前記乾燥工程において、加熱温
度を段階的および/または連続的に上昇させることを特
徴とする(15)〜(17)のいずれかに記載の飽和ノ
ルボルネン系樹脂フィルムの製造方法。 (19) 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液をバンド上に
流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前
記バンド上から剥ぎ取った後、前記流延膜を加熱して乾
燥する乾燥工程とを含み、前記乾燥工程において、加熱
温度を段階的および/または連続的に上昇させることを
特徴とする飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方
法。 (20) 前記乾燥工程において、5℃以上100℃以
下加熱温度を上昇させる(18)または(19)に記載
の飽和ノルボルネン系樹脂の製造方法。 (21) 前記乾燥工程において、加熱温度の初期温度
(最低温度)が50℃以上100℃以下であり、乾燥工
程に要する時間が0.3時間以上5時間以下である(1
5)〜(20)のいずれかに記載の飽和ノルボルネン系
樹脂の製造方法。 (22) 前記流延工程の後、前記流延膜を前記バンド
上から剥取り張力30kg/cm2以下で剥取る(1
5)〜(21)のいずれかに記載の飽和ノルボルネン系
樹脂の製造方法。 (23) 前記乾燥工程が、前記流延膜を下記関係式
(1)式を満足する間隔Lで配置されたパスロール上を
搬送しつつ、乾燥する工程である(18)〜(22)の
いずれかに記載の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製
造方法。 W≦L≦10W (1) (関係式中、Lはパスロールの間隔であり、Wは流延膜
の幅である)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の一態様は、全面のレター
デーション分布が4nm以下のノルボルネン系樹脂フィ
ルムである。本発明では、レターデーションの分布を4
nm以下とすることで、液晶表示装置等の画像表示装置
に適用した場合に生じる表示むらの発生を軽減してい
る。レターデーションの分布は全面において、2nm以
下であるのが好ましく、1.5nm以下であるのがさら
に好ましい。本明細書において「フィルム全面のレター
デーション分布」とは、長手方向(MD)のレターデー
ション分布(幅中央部を1m毎にMD方向に50点レタ
ーデーション測定し、その最大値と最小値の差)と幅方
向(TD)のレターデーション分布(TD方向に均等に
割り振った50点のレターデーション値の最大点と最小
値の差)の平均をいう。レターデーション分布の測定方
法の詳細については実施例で説明する。
【0011】また、本発明の他の態様は、遅相軸の配向
角分布が5°以下である飽和ノルボルネン系樹脂フィル
ムである。本発明では、遅相軸の配向角分布を5°以下
とすることにより、液晶表示装置等の画像表示装置に適
用した場合に、フィルムの光学特性に起因して生じる表
示むらの発生を軽減している。遅相軸の配向角分布は、
3゜以下であるのがより好ましく、2゜以下であるのが
さらに好ましい。配向角分布の測定方法の詳細について
は実施例で説明する。
【0012】本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルム
は、経時によって寸法変化し難くいのが好ましい。経時
による寸法変化が少ないと、経時によるレターデーショ
ンの変化も小さくなり、その結果、液晶表示装置等の画
像表示装置の経時による光漏れが発生し難くなるので好
ましい。具体的には、本発明の飽和ノルボルネン系樹脂
フィルムは、150℃に1時間保持した後、ベース幅方
向全領域において寸法変化率が0.5%以下であるのが
好ましく、0.3%以下であるのがより好ましく、0.
2%以下であるのがさらに好ましい。150℃で1時間
保持するのは、長期間の経時を短時間で発現させるため
であり、前記条件で保持した後に寸法変化率が前記範囲
であれば、長期間の経時による寸法変化率も前記範囲内
になるものと推定される。なお、上記した様に、経時に
よる寸法変化は光学フィルムの製膜時に残った残留応力
が、長期間の経時により少しずつ解消されるために生じ
る。製膜時に生じる残留応力を軽減するには、剥ぎ取り
張力を後述の好ましい範囲まで低下させる、または乾燥
工程の搬送手段であるパスロールの間隔を後述の好まし
い範囲まで広げることによって達成できる。
【0013】以下、本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フ
ィルムの製造方法について説明する。以下の製造方法に
よれば、面内レターデーションむら、および遅相軸の配
向分布がそれぞれ上記範囲内であるノルボルネン系樹脂
フィルムを簡易且つ安定的に製造することができる。本
発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法の一
実施形態は、飽和ノルボルネン系樹脂の高濃度溶液(以
下、「ドープ」という場合がある)をバンド上に流延し
て流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記バン
ド上から剥ぎとった後、前記流延膜を加熱して乾燥する
乾燥工程とを含み、前記流延工程において、前記バンド
に幅方向の端部から中央部に向かって温度が高くなって
いる温度分布が与えられている、および/または、前記
乾燥工程において、加熱温度を段階的もしくは連続的に
上昇させる、飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方
法である。
【0014】以下、各工程について説明する。前記流延
工程では、飽和ノルボルネン系樹脂の高濃度溶液(以
下、「ドープ」という場合がある)をバンド上に流延す
る。前記飽和ノルボルネン系樹脂としては、例えば、
(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、
必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加
のごときポリマー変性を行った後に、水素添加した樹
脂;(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた
樹脂;(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−
オレフィンなどのオレフィン系モノマーとを付加型共重
合させた樹脂;などが挙げることができる。重合方法お
よび水素添加方法は、常法により行うことができる。
【0015】前記ノルボルネン系モノマーとしては、例
えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/また
はアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノル
ボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチ
ル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハ
ロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,
3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタ
ヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキ
リデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例え
ば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,
4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメ
タノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロ
インデン等との付加物;シクロペンタジエンの3〜4量
体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4
a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベ
ンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタ
ノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,
10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペ
ンタアントラセン;等が挙げられる。
【0016】本発明においては、本発明の目的を損なわ
ない範囲内において、開環重合可能な他のシクロオレフ
ィン類を併用することができる。このようなシクロオレ
フィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シ
クロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン
などのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が例
示される。
【0017】本発明で使用する飽和ノルボルネン系樹脂
は、トルエン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子量が通常
25,000〜100,000、好ましくは30,00
0〜80,000、より好ましくは35,000〜7
0,000の範囲のものである。数平均分子量が小さす
ぎると物理的強度が劣り、大きすぎると成形の際の操作
性が悪くなる。
【0018】前記飽和ノルボルネン系樹脂がノルボルネ
ン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られるもの
である場合、水素添加率は、耐熱劣化性、耐光劣化性な
どの観点から、通常90%以上、好ましくは95%以
上、より好ましくは、99%以上とする。
【0019】前記ドープは、飽和ノルボルネン系樹脂を
溶媒に溶解して調製することができる。ドープの調製に
使用する溶媒は、25℃において、固形分濃度10質量
%以上で飽和ノルボルネン系樹脂を均一に溶解できる溶
媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、ジク
ロロメタン、ジオキソラン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、ジ
エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クロロベンゼ
ン等が挙げられ、その中でもジクロロメタン、キシレ
ン、エチルベンゼン、クロロベンゼンが好ましい。ま
た、飽和ノルボルネン系樹脂を溶解可能である限りにお
いて、これらの溶媒に、シクロヘキサン、クロロホル
ム、ベンゼン、テトラヒドロフランやジオキサン等の環
状エーテル、あるいはn−ヘキサンやn−オクタン等の
直鎖の炭化水素等を含有させてもよい。
【0020】前記ドープ中の飽和ノルボルネン系樹脂の
濃度(後述する製膜屑を添加する場合は製膜屑の濃度を
加えた合計濃度)は、通常5〜60質量%であり、好ま
しくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜
45質量%である。前記飽和ノルボルネン系樹脂の濃度
が低すぎると粘度が低いため、製造されるフィルムの厚
さの調整が困難になる。一方、濃度が高すぎると粘度が
高いため、製膜性が悪く、また、外観性のよいフィルム
が得られない。
【0021】前記ドープの調製は、室温で行ってもよ
く、また加熱しながら行ってもよい。
【0022】前記ドープには、飽和ノルボルネン系樹脂
以外に、所望により、フェノール系やリン系などの老化
防止剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を
添加してもよい。特に、液晶表示装置の光学フィルムと
して使用する場合、紫外線による液晶の劣化を防止する
ことを目的として、紫外線吸収剤を添加することが好ま
しい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線
吸収剤、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤、アクリルニ
トリル系紫外線吸収剤などを用いることができ、それら
の中でもベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、添
加量は、通常10〜100,000ppm、好ましくは
100〜10,000ppmである。また、溶液流延で
の表面粗さを小さくするため、レベリング剤の添加が好
ましい。レベリング剤としては、例えば、フッ素系ノニ
オン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シ
リコーン系レベリング剤など塗料用レベリング剤を用い
ることができ、それらの中でも溶媒との相溶性の良いも
のが好ましく、添加量は、通常5〜50,000pp
m、好ましくは10〜20,000ppmである。
【0023】前記ドープは、流延に先立ち、布、濾紙、
金属メッシュ等を通し濾過してもよい。
【0024】上記の如く調製したドープをバンド上に流
延する。前記ドープはT−ダイ等を介して、バンドの表
面に所定の膜厚で流延することができる。前記ドープを
流延するバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくこと
が好ましい。流延および乾燥方法については、米国特許
2336310号、同2367603号、同24920
78号、同2492977号、同2492978号、同
2607704号、同2739069号、同27390
70号、英国特許640731号、同736892号の
各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614
号、特開昭60−176834号、同60−20343
0号、同62−115035号の各公報に記載がある。
【0025】バンド上にドープを流延すると、ドープ中
の揮発成分(溶液)が蒸発し、流延膜が形成される。揮
発成分の蒸発を促すため、バンドを加熱するのが好まし
い。通常、溶液流延では、バンドの幅方向において、中
央部より両端部の乾燥が速く進むため、遅れて乾く中央
部に収縮応力が発現し、両端部を引っ張る傾向がある。
そのため、両端の遅相軸が流延方向から内側に向かって
ずれ、配向角が増大する。このような収縮応力は分子配
向をも促進し、局所的に配向が進むため、レターデーシ
ョンの分布(むら)も発現する。特に飽和ノルボルネン
系樹脂は、溶剤を含んでいる状態にあると、運動性が大
きく、配向し易いため、このような乾燥むらに起因した
レターデーション分布が生じ易い。
【0026】この様な乾燥むらを軽減し、光学特性の均
一性の高いフィルムを得るために、本実施形態では、幅
方向において温度が一様でなく、幅方向に温度分布のあ
るバンド上に流延する。即ち、乾燥し難い中央部の温度
が、乾燥し易い両端部の温度よりも高くなっている温度
分布が与えられているバンド上に流延する。幅方向に1
℃以上30℃以下の温度差があるのが好ましく、2℃以
上25℃以下の温度差があるのがより好ましく、3℃以
上20℃以下の温度差があるのがさらに好ましい。乾燥
の進みやすい両端部より中央部の温度を高くすること
で、両端部と中央部の乾燥速度の差を軽減することがで
きる。なお、「バンドの中央部」とは、バンドの幅方向
の中心から幅1/4程度の領域をいい、「バンドの両端
部」とは、バンドの端から幅1/4程度の領域のことを
いい、双方の温度差は、各領域の平均温度の差として定
義される。
【0027】バンド上の温度は、例えば、バンドに吹き
込む風の吹き出し口を幅方向に分割して設置し、該吹き
出し口から異なった温度の風を吹き出すことによって幅
方向に分布を持たせることができる。また、バンドの下
に幅方向に分割されたヒーターを設置し、各ヒーターの
温度を調整することで、バンドの幅方向に温度の分布を
与えることができる。バンドの中央部の温度は40℃以
上110℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下が
より好ましく、60℃以上90℃以下がさらに好まし
い。
【0028】温度分布があるバンド上に、ドープを流延
した後、溶剤を蒸発させて、剥ぎ取り可能な程度の強度
を有する流延膜とした後、バンド上から流延膜を剥ぎ取
ることができる。剥ぎ取り時の流延膜中の揮発成分(溶
剤)量については特に制限はないが、5〜40質量%程
度が好ましく、10〜30質量%程度がより好ましく、
12〜25質量%程度がさらに好ましい。
【0029】流延膜をバンドから剥ぎ取る際の剥取り張
力は、30kg/cm2以下であるのが好ましく、25
kg/cm2以下であるのがより好ましく、20kg/
cm2以下であるのがさらに好ましい。バンドから剥ぎ
取られる際の流延膜も揮発成分を未だ多く含んでいるの
で、剥取り部において分子が引っ張られ易く、残留歪み
が溜まり易い。そのため、高張力で剥取ると、経時での
レターデーション変化が大きくなる。前記範囲の低張力
で剥取ると、残留歪みの溜まりを軽減することができ、
径時によるレターデーション変化の抑制に寄与する。な
お、従来の溶液流延法では、通常、剥取り張力は50k
g/cm2程度である。
【0030】前記低張力での剥取りを安定的に行うため
には、両端部の厚みを平均厚みに対して3%以上20%
以下厚くしておくのが好ましい。両端部から剥取られる
ので、両端部を厚くすることで剥取り応力を集中させる
ことができ、弱い張力でもスムースに剥取ることができ
る。このような厚みの差を持たせることは、流延ダイの
リップ間隔を調整することで容易に行うことができる。
【0031】バンドから流延膜を剥ぎ取った後、流延膜
を加熱して、残留溶剤を蒸発させ、流延膜を乾燥する乾
燥工程を実施する。乾燥工程の温度を一様に高温に維持
しておくと、残留溶剤が急激に揮発するため、局所的に
乾燥が進むところと、少し乾燥が遅れるところが発生す
る。このため、乾燥が進んだ領域が収縮応力を発現し、
これが周囲の分子を配向させレターデーションむらを発
現する場合がある。このようなレターデーションむらは
幅方向(TD)のみならず長手方向(MD)でも発生す
る。そこで、本実施の形態では、時間経過とともに加熱
温度を上昇させて、乾燥むらを抑制している。
【0032】加熱温度は、最低温度となる初期加熱温度
を50℃以上100℃以下に設定するのが好ましく、5
5℃以上95℃以下に設定するのがより好ましく、60
℃以上90℃以下に設定するのがさらに好ましい。乾燥
時間は0.2時間以上6時間以下が好ましく、0.3時
間以上5時間以下がより好ましく、0.5時間以上3時
間以下がさらに好ましい。加熱温度の最高温度(終期加
熱温度)と最低温度(初期加熱温度)との差は、5℃以
上100℃以下であるのが好ましく、10℃以上80℃
以下であるのがより好ましく、15℃以上50℃以下で
あるのがさらに好ましい。また、乾燥工程における加熱
温度は、段階的に上昇させても、連続的に上昇させても
よい。
【0033】前記乾燥工程は、例えば、バンドから剥ぎ
取られた流延膜を、引き続き、加熱ゾーンに搬送して、
加熱ゾーン中を搬送しつつ加熱することにより実施する
ことができる。加熱温度を段階的に上昇させるには、加
熱ゾーンの入口と出口とで温度に前記範囲の温度差を持
たせ、入口側の温度を出口側の温度より低くしておくこ
とにより、乾燥時に生じるレターデーションむらの発生
を抑制することができる。加熱ゾーンを分割し、各々異
なった温度の風を送ることで、加熱ゾーンに温度差を持
たせることができる。
【0034】加熱ゾーンにおいて、パスロールにより流
延膜を加熱ゾーンの入口から出口へ搬送することができ
る。加熱ゾーンにおいてパスロールにより流延膜を搬送
する場合は、下記関係式(1)を満たす間隔Lでパスロ
ールを配置するのが好ましい。より好ましくは下記関係
式(2)、さらに好ましくは下記関係式(3)を満たす
間隔Lでパスロールを配置する。 W ≦ L ≦ 10W (1) 1.2W ≦ L ≦ 5W (2) 1.5W ≦ L ≦ 3W (3) 式中、Lはパスロール間隔を、Wは流延膜の幅である。
Wは、1m以上3m以下が好ましく、より好ましくは
1.2m以上2.5m以下であり、さらに好ましくは
1.4m以上2m以下である。
【0035】溶液流延では乾燥工程で溶剤が揮発するた
め、幅方向にも収縮が起こる。しかし、パスロール上で
は、ロールと流延膜との間に摩擦力が発生し、自由に収
縮することができず、残留歪みが発生する。ロール間隔
Lを前記範囲の如く長くすることは、フィルムの残留歪
みを小さくすることに寄与する。なお、従来、溶液流延
フィルムは残留溶剤が多いため弾性率が低く、パスロー
ル間隔を狭めて乾燥するのが一般的であり、L ≦
0.5Wが一般的であった。
【0036】前記パスロール上を搬送される流延膜は未
だ溶剤を含んでいるので、伸び易い状態にある。前記範
囲の長い間隔で配置されたパスロール上を安定的に搬送
させるには、上記した様に、流延膜の両端部の厚みを平
均厚みに対して3%以上20%以下厚くしておくのが好
ましい。両端部の支持力を向上させることにより、安定
的な搬送が可能になる。
【0037】前記乾燥工程を経て製造された飽和ノルボ
ルネン系樹脂フィルムの、残留溶剤濃度は2質量%以下
であるのが好ましい。残留溶剤濃度が高過ぎると耐熱性
が悪く、また、高温環境下での使用において残留溶剤が
蒸発し、周囲に悪影響を与えたり、変形の原因となった
りする。
【0038】この様にして製造した飽和ノルボルネン系
樹脂フィルムの厚さは、通常30〜300μm程度であ
るのが好ましく、40〜200μmであるのがより好ま
しく、60〜150μmであるのがさらに好ましい。フ
ィルムの光線透過性は80%以上、好ましくは85%以
上、より好ましくは90%以上である。
【0039】飽和ノルボルネン系樹脂は、透明性、耐熱
性、耐湿性、物理的強度、粘着剤との密着性、粘着剤に
対する耐久性等に優れている。厚み25μmのシート
で、吸湿性は通常0.05%以下、好ましくは0.01
%以下、水蒸気透過度が25℃、90%RHの環境下で
20g/m2・24hr以下のものが容易に得ることが
できる。また、その光弾性係数は、3〜9×10-13
2/dyneと小さいため、外力がかかったり、残留
応力があってもレターデーションへの影響が小さく、光
学的に均一なフィルムの製造に好適である。
【0040】本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルム
には、表面処理を施すことも好ましい。好ましい例とし
て、特開平13−350018、同10−15170
9、同12−43202等の各公報に記載のコロナ放電
処理、特開平7−3056、同14−37953等の各
公報に記載のグロー放電処理、特開平8−196985
公報等に記載の火炎処理等を行うことも、粘着剤とも接
着性向上のために好ましい。
【0041】本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルム
は、液晶表示装置等の画像表示装置用の種々の光学部材
として用いることができる。本発明の飽和ノルボルネン
系樹脂フィルムを用いることにより、フィルムに起因し
て生じる表示むらおよび長期経時での光漏れ等の表示特
性の低下を軽減することができる。 (偏光フィルムへの応用)本発明の飽和ノルボルネン系
樹脂フィルムは、偏光フィルムの保護層として用いるこ
とができる。本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルム
は、耐久性に優れているとともに、レターデーションむ
らがないので、偏光フィルムの保護層として用いること
で、均一な偏光を形成可能な、耐久性に優れた偏光板を
提供することができる。例えば、偏光膜の少なくとも一
面に、本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを保護
層として積層することができる。偏光膜に飽和ノルボル
ネン系樹脂フィルムを積層するには、通常、粘着剤や接
着剤を用い、その粘着剤や接着剤に適した接着方法で行
なわれる。
【0042】前記粘着剤としては、透明性に優れ、複屈
折などが小さく、薄い層として用いても充分に粘着力を
発揮できるものが好ましい。そのような粘着剤として
は、例えば、天然ゴム、合成ゴム・エラストマー、塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルキルエー
テル、ポリアクリレート、変性ポリオレフィン系樹脂系
粘着剤等や、これらにイソシアネート等の硬化剤を添加
した硬化型粘着剤が挙げられ、特に、ポリオレフィンフ
ォームやポリエステルフィルムの接着等に用いられる粘
着剤の内で硬化型粘着剤が好ましい。また、ポリウレタ
ン系樹脂溶液とポリイソシアネート樹脂溶液を混合する
ドライラミネート用接着剤、スチレンブタジエンゴム系
接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤、例えば、エポキ
シ樹脂とポリチオールの二液からなるもの、エポキシ樹
脂とポリアミドの二液からなるものなどを用いることが
でき、特に溶剤型接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤
が好ましく、透明のものが好ましい。接着剤によって
は、適当な接着用プライマーを用いることで接着力を向
上させることができるものがあり、そのような接着剤を
用いる場合は接着プライマーを用いることが好ましい。
【0043】(位相差フィルムへの応用)本発明の飽和
ノルボルネン系樹脂フィルムを位相差フィルムに適用す
ることにより、均一な光学特性を有する、耐久性に優れ
た位相差フィルムを提供することができる。例えば、本
発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、特開平7−
134213号、特開平7−146409号、特開平8
−50206号、特開平9−197397号等の各公報
に記載のディスコティック液晶層を有する位相差板の、
基材フィルムとして用いることができる。また、本発明
の飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを、特開2002−
40258号、特開2001−337222号、特開2
001−200065号等の各公報に記載の方法に従っ
て延伸して、位相差板、1/2波長板、円偏光板として
使用することができる。
【0044】(保護フィルムへの応用)本発明の飽和ノ
ルボルネン系樹脂フィルムを、液晶表示素子または有機
EL表示素子等の画像表示装置の最外層に貼り付けるこ
とによって、耐傷性、低反射性を付与し得る保護フィル
ムとして使用することができる。
【0045】
【実施例】以下に参考例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、こ
れらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以
下の例において、「部」および「%」は、特に断りのな
い限り質量基準である。 (1)飽和ノルボルネン樹脂の重合 6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン
(以下、MTDと略記)に、重合触媒としてトリエチル
アルミニウムの15%シクロヘキサン溶液10部、トリ
エチルアミン5部、および四塩化チタンの20%シクロ
ヘキサン溶液10部を添加して、シクロヘキサン中で開
環重合し、得られた開環重合体をニッケル触媒で水素添
加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプ
ロピルアルコール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂
を得た。この樹脂の数平均分子量は40,000、水素
添加率は99.8%以上、Tgは142℃であった。
【0046】この樹脂15質量部を表1に記載の溶剤8
5質量部に溶解した溶液に、レベリング剤(フロラード
FC−430、住友スリーエム)500ppmと、紫
外線安定剤(Viosorb 80、共同製薬)300
ppmとを添加して、ドープを得た。調製したドープ
を、T−ダイからバンド上に流延した。この際、流延膜
の両端部が表1に示しただけ厚くなるように、T−ダイ
の隙間(リップ)を調整した。なお、表1の「両端厚み
アップ率」は、両端部5cmの間で最も厚い厚みを、全
幅の平均厚みで割った値を百分率で表したものである。
【0047】ドープを、表1に記載されているような、
幅方向に温度分布のあるバンド上に流延し乾燥した。端
部の温度とは、両端から全幅の1/4の幅の温度の平均
値を指す。これを表1記載の張力で剥取った後、表1に
記載の温度勾配を付与した加熱ゾーンを通して乾燥し
た。この加熱ゾーンのパスロール間のベース幅に対する
比率(パスロール間/ベース幅比)を表1に記載した。
なお、ここでいうパスロール間の長さとは、全加熱ゾー
ン中の平均値である。その後、両端5cmをトリミング
した後3000m巻き取った。
【0048】
【表1】
【0049】(3)製膜フィルムの評価得られた飽和ノ
ルボルネン系樹脂フィルムについて、以下の方法によ
り、フィルム全面のレターデーション分布、遅相軸の配
向分布、および150℃1時間保持後の寸法変化率(1
50℃寸法変化)を測定した。得られた結果を表2に記
載した。なお、本発明の飽和ノルボルネン系樹脂フィル
ムはいずれも全光透過率は94%以上、ヘーズは1%以
下であった。 面内レターデーション分布 MDレターデーション分布は、幅中央部を1m毎にMD
(長手方向)に50点サンプリングし、下記方法でレタ
ーデーションを測定し、その最大値と最小値の差をMD
レターデーション分布とした。TDレターデーション分
布は、TD(幅方向)に均等に割り振った50点のレタ
ーデーションを下記の様にして測定し、その最大点と最
小値の差をTDレターデーション分布とした。MDレタ
ーデーション分布とTDレターデーション分布の平均値
を面内レターデーションとして表2に示した。レターデ
ーションの測定は、上記サンプルフィルムを温度25℃
相対湿度60%の雰囲気に3時間以上調湿後、同条件の
雰囲気下でサンプルフィルム表面に対し垂直方向から波
長550nmの光に対するレターデーション値を、自動
複屈折計(KOBRA−21ADH/PR:王子計測器
(株)製)により測定した。
【0050】 遅相軸の配向角分布 幅方向に全幅にわたって等間隔で50点、流延方向に平
行にサンプルを切り出した。これらのサンプルの遅相軸
の配向角を、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、
王子計測機器(株))により測定した。なお、サンプル
はホルダーに平行になるようにセットし、温度25℃相
対湿度60%にて測定した。配向角の絶対値の最大のも
のと最小のものの差を遅相軸の配向角分布として表2に
示した。 150℃1時間保持後の寸法変化率 フィルム幅方向に等間隔に、MDおよびTD方向に各
々、10点のサンプル(サイズは25cm×5cm)を
切り出した。各サンプルを25℃で2時間調湿後、20
cm基長のピンゲージで原長(L0)を測定した。次
に、各サンプルを150℃の空気恒温槽に1時間放置
し、無張力状態で熱処理した。温度25℃相対湿度60
%で2時間調湿した後、ピンゲージを用い同様に測長し
た(L1)。L1およびL0から寸法変化率を求めた。 寸法変化率(%)=|100×(L0−L1)/L0| 幅方向10点の各MD、TDの測定値の中で絶対値の最
も大きいものを150℃1時間後の寸法変化率とした。
【0051】(4)偏光板への応用 ヨウ素を吸着させて延伸したPVA製偏光膜(厚さ約1
00μm)の両面に、スチレンブタジエンゴム系接着剤
(Scotch 3M 用途別接着剤 プラスチック、
住友スリーエム株式会社)を用いて本発明の熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂フィルムを保護層として積層した。さ
らに、片面に厚さ約8μmの粘着剤(ダイアボンドDA
753、ノガワケミカル製)を介して、厚さ1.2m
mのガラス基板に積層した。これを80℃の恒温槽に5
00時間放置した(長期間経時を短時間で実現するテス
トを行った)後、これを特開平8−95034号公報の
実施例2に記載の液晶表示装置の偏光板として使用し
た。これを黒表示にして、真っ暗な部屋に持ち込み、目
視で光漏れを評価した。薄明るく光が漏れている部分の
占める割合を表2に光漏れ率として示した。
【0052】
【表2】
【0053】(5)位相差板への応用 特開平7−146409号公報の実施例1に記載のセル
ロースアセテートフィルム支持体に代え、本発明の飽和
ノルボルネン樹脂フィルムを用いたが、良好な光学特性
を示した。特開2002−40258号公報の実施例1
に従い、延伸により位相差板を作製したが、良好な光学
特性を示した。
【0054】併せて特開2000−267097号公報
に記載の有機EL表示素子の保護タックとして使用した
が、良好な光学特性を示した。
【0055】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、画
像表示装置、特に液晶表示素子に適用した場合に、フィ
ルムに起因して発生する表示特性の低下(特に表示むら
または長期経時での光漏れ)を軽減可能な飽和ノルボル
ネン系樹脂フィルム、偏光板、および位相差板、ならび
に、その簡易且つ安定的な製造方法を提供することがで
きる。また、本発明によれば、フィルムに起因して発生
する表示特性の低下(特に表示むらまたは長期経時での
光漏れ)が軽減された画像表示装置を提供することがで
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 1/13363 1/13363 // B29K 45:00 B29K 45:00 C08L 45:00 C08L 45:00 65:00 65:00 Fターム(参考) 2H049 BA03 BA06 BA25 BB18 BB22 BB42 BB51 BB62 BC03 BC09 BC14 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FC07 FC22 KA02 LA30 4F071 AA39 AA69 AF30 BA02 BB02 BC01 BC16 4F205 AA12 AH73 AR20 GA07 GC07 GF24 GN19 GN21 GW16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全面のレターデーション分布が4nm以
    下である飽和ノルボルネン系樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 遅相軸の配向角分布が5゜以下である飽
    和ノルボルネン系樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の飽和ノルボル
    ネン系樹脂フィルムと、偏光膜とを備えた偏光板。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の飽和ノルボル
    ネン系樹脂フィルムと、光学異方性層とを備えた位相差
    板。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の飽和ノルボル
    ネン系樹脂フィルムを備えた画像表示装置。
  6. 【請求項6】 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液をバンド
    上に流延して流延膜を形成する流延工程を含み、前記バ
    ンドに幅方向の端部から中央部に向かって温度が高くな
    っている温度分布が与えられていることを特徴とする飽
    和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 飽和ノルボルネン系樹脂の溶液をバンド
    上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜
    をバンドから剥ぎ取った後、前記流延膜を加熱して乾燥
    する乾燥工程とを含み、前記乾燥工程において、加熱温
    度を段階的および/または連続的に上昇させることを特
    徴とする飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造方法。
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