JP4113765B2 - 複屈折性フィルムの製造方法、積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板及び表示装置 - Google Patents

複屈折性フィルムの製造方法、積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板及び表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、液晶セルの光学補償等に好適な複屈折性フィルムの製造方法、並びにそのフィルムを用いた積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板、及びそれらを設けた液晶表示装置と自発光型の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
1/4波長板や1/2波長板が偏光変調素子などとして多用されている。ちなみに1/4波長板と偏光板を組合せた円偏光板は、自発光型表示装置の反射防止板や反射型液晶表示装置の円偏光を利用したスイッチングモードの形成に利用されている。斯かるモードでは可視光の広い領域で1/4波長板として機能する広帯域な波長板が望まれ、その目的は例えば1/4波長板を1/2波長板と一緒に用いることで達成される。一方、液晶が垂直配向したVA型液晶セルの表示装置においても円偏光板は、セルの両側に設けることでディスクリネーションによる開口率の低下を防止でき、光利用効率の向上に有用である。
【0003】
従来、柔軟性等で取扱性に優れ大面積体の形成も容易なポリマーからなる前記波長板の製造方法としては、ロール間引張延伸法やロール間庄縮延伸法、テンターによる横一軸延伸法や二軸延伸方法が知られていた(特開平3−33719号公報、特開平3−24502号公報)。
【0004】
しかしながら面内の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さをd、(nx−ny)d=Reとしたとき(以下同じ)、従来方法では発現する(nx−ny)が小さくて目的とするReの波長板を得るためにはフィルム厚dを大きくする必要がある問題点があった。薄いフィルム厚では大きい延伸倍率を要してRe等の精度が大きく低下する。特にnx>ny>nzの特性を示す二軸性の波長板を得る場合には、面内の二方向と厚さ方向の三次元の屈折率を制御する必要があり、二軸延伸方法ではx及びy方向の延伸倍率を大きくする必要があって光学軸やReの精度低下がボーイング現象等で大きくなる。
【0005】
他方、ポリイミドからなる一軸性の複屈折性フィルムも提案されている(特開平4−194820号公報)。しかしポリイミドではnx≒nyとなり、Re≒0nmの特性しか付与できない難点がある。
【0006】
【発明の技術課題】
本発明は、nx>ny>nzの特性を示す場合にもReを容易に制御できて薄膜性にも優れる1/4波長板又は1/2波長板からなる複屈折性フィルムの製造方法の開発を目的とする。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は、面内の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さをd、(nx+ny)/2−nz=nα及び(nx−ny)d=Reとしたとき、液状化した固体ポリマーの展開層を固体化させて形成した前記nαが0.0〜0.3であり、かつ前記固体ポリマーが2 , ' −ビス(3 , 4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと2 , ' −ビス(トリフルオロメチル)−4 , ' 一ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド、又は4,4 ' −ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と2,2 ' −ジクロロ−4,4 ' −ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドである透明フィルムに、その面内で分子を配向させる処理を施して、Reが可視光に対して1/4波長又は1/2波長である特性を付与することを特徴とする複屈折性フィルムの製造方法を提供するものである。
【0008】
また本発明は、1/4波長板と1/2波長板の組合せ、又は1/2波長板同士の組合せで複数の複屈折性フィルムを積層してなり、かつその複屈折性フィルムの少なくとも1枚が前記の方法によるものであることを特徴とする積層複屈折性フィルム、及び前記の方法による複屈折性フィルム又は前記の積層複屈折性フィルムと、偏光板との積層体からなることを特徴とする光学補償偏光板、並びに前記の方法による複屈折性フィルム若しくは前記の積層複屈折性フィルム、又はその一方と偏光板を液晶セルの外側又は自発光型の表示装置に設けてなることを特徴とする液晶表示装置又は表示装置を提供するものである。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、大きい(nx−ny)を付与でき、Reも容易に制御できて、nx>ny>nzの特性を示す場合にもそのReの面全体での均一性に優れると共に薄さにも優れる1/4波長板又は1/2波長板を安定して効率よく製造することができる。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明による製造方法は、面内の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さをd、(nx+ny)/2−nz=nα及び(nx−ny)d=Reとしたとき、液状化した固体ポリマーの展開層を固体化させて形成した前記nαが0.0〜0.3であり、かつ前記固体ポリマーが2 , ' −ビス(3 , 4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと2 , ' −ビス(トリフルオロメチル)−4 , ' 一ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド、又は4,4 ' −ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と2,2 ' −ジクロロ−4,4 ' −ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドである透明フィルムに、その面内で分子を配向させる処理を施して、Reが可視光に対して1/4波長又は1/2波長である特性を付与した複屈折性フィルムを得るものである。
【0011】
複屈折性フィルムを形成する固体ポリマーについては前記したポリイミドの1種又は2種が用いられ、必要に応じて従来に準じた適宜な光透過性のものを1種又は2種以上用いうる。就中、光透過率が75%以上、特に85%以上の透光性に優れるフィルムを形成しうるポリマーが好ましく用いうる。また前記したnαを示す透明フィルムの安定した量産性等の点より、延伸方向の屈折率が低くなる負の複屈折性を示す固体ポリマーが好ましく用いうる。斯かる固体ポリマーは、nx>ny>nzの特性を示す複屈折性フィルムの形成にも有利に用いうる。
【0012】
ちなみに前記した負の複屈折性を示す固体ポリマーの例としては、ポリエーテルケトン、就中ポリアリールエーテルケトンやポリアミド、ポリエステルやポリイミド、ポリアミドイミドやポリエステルイミドなどがあげられる。
【0013】
なお前記したポリエーテルケトン、就中ポリアリールエーテルケトンの具体例としては、例えば下記の一般式(1)で表される繰返し単位を有するものなどがあげられる(特開2001−49110号公報)。
Figure 0004113765
【0014】
前記の一般式(1)において、Xはハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基であり、ベンゼン環へのXの結合数q、すなわちp−テトラフルオロベンゾイレン基とオキシアルキレン基が結合しない、残る位置での水素原子の置換数qの値は、0〜4の整数である。またRは下記の一般式(2)で表される化合物(基)であり、mは0又は1である。さらにnは、重合度を表わし、2〜5000、就中5〜500が好ましい。
【0015】
Figure 0004113765
【0016】
なお前記一般式(1)におけるXとしてのハロゲンとしては、例えばフッ素原子や臭素原子、塩素原子やヨウ素原子などがあげられ、就中フッ素原子が好ましい。またアルキル基としては、例えばメチル基やエチル基、プロピル基やイソプロピル基、ブチル基の如き炭素数が1〜6、就中1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基などがあげられ、就中メチル基やエチル基、それらのトリフルオロメチル基の如きハロゲン化アルキル基が好ましい。
【0017】
さらにアルコキシ基としては、例えばメトキシ基やエトキシ基、プロポキシ基やイソプロポキシ基、ブトキシ基の如き炭素数が1〜6、就中1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基などがあげられ、就中メトキシ基やエトキシ基、それらのトリフルオロメトキシ基の如きハロゲン化アルコキシ基が好ましい。前記において特に好ましいXは、フッ素原子である。
【0018】
一方、前記一般式(2)で表される基において、X'はハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基であり、ベンゼン環へのX'の結合数q'の値は、0〜4の整数である。X'としてのハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基としては、前記したXと同じものが例示できる。
【0019】
好ましいX'は、フッ素原子、メチル基やエチル基、それらのトリフルオロメチル基の如きハロゲン化アルキル基、メトキシ基やエトキシ基、それらのトリフルオロメトキシ基の如きハロゲン化アルコキシ基であり、就中フッ素原子が好ましい。
【0020】
なお前記の一般式(1)においてXとX'は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また一般式(1)、(2)においてq又はq'が2以上であることに基づいて分子中に2個以上存在するX又はX'は、それぞれ独立に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
特に好ましいRは、下記の一般式(3)で表される基である。
Figure 0004113765
【0022】
前記の一般式(2)、(3)においてRは、2価の芳香族基であり、Pは0又は1である。その2価の芳香族基としては、例えば(o,m又はp−)フェニレン基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、(o,m又はp−)テルフェニル基、フェナントレン基、ジベンゾフラン基、ビフェニルエーテル基、ビフェニルスルホン基、下記の式で表される2価の芳香族基などがあげられる。なお当該2価の芳香族基は、その芳香環に直接結合する水素が前記したハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0023】
Figure 0004113765
【0024】
前記において好ましい2価の芳香族基(R)は、下記の式で表されるものである。
Figure 0004113765
【0025】
前記した一般式(1)で表されるポリアリールエーテルケトンは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。後者の場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
【0026】
上記を踏まえて一般式(1)で表されるポリアリールエーテルケトンの内の好ましいものは、下記の一般式(4)で表されるものである。
Figure 0004113765
【0027】
また分子末端の基を含めた場合の好ましいポリアリールエーテルケトンは、一般式(1)に対応して下記の一般式(5)で表されるものであり、一般式(4)に対応するものは下記の一般式(6)で表されるものである。これらは分子内のp−テトラフルオロベンゾイレン基側にフッ素原子が結合し、オキシアルキレン基側に水素原子が結合したものである。
【0028】
Figure 0004113765
【0029】
Figure 0004113765
【0030】
一方、上記したポリアミド又はポリエステルの具体例としては、例えば下記の一般式(7)で表される繰返し単位を有するものなどがあげられる。
Figure 0004113765
【0031】
前記の一般式(7)において、Bは、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、それらの1種若しくは2種以上で置換されたフェニル基、又は非置換のフェニル基である。zは0〜3の整数である。
【0032】
Eは、共有結合、炭素数2のアルケニル基若しくはそのハロゲン化物、CH基、C(CX基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R)基、又はNR基である。前記のC(CX基におけるXは、水素原子又はハロゲンであり、Si(R)基及びNR基におけるRは、炭素数1〜3のアルキル基又はそのハロゲン化物である。なおEは、カルボニル基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。またハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(7)において同じ)。
【0033】
さらにYは、O原子又はNH基である。Aは、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のチオアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはそのハロゲン化物、アリール基若しくはそのハロゲン化物、炭素数1〜9のアルキルエステル基、炭素数1〜12のアリールエステル基若しくはその置換誘導体、又は炭素数1〜12のアリールアミド基若しくはその置換誘導体である。
【0034】
またnは0〜4の整数、pは0〜3の整数、qは1〜3の整数、rは0〜3の整数である。好ましいポリアミド又はポリエステルは、前記のrとqが1であり、そのビフェニル環の少なくとも1個が2位及び2'位で置換されてなる下記の一般式(8)で表される繰返し単位を有するものである。
【0035】
Figure 0004113765
【0036】
前記の一般式(8)においてmは0〜3の整数、好ましくは1又は2であり、x及びyは0又は1で、かつ共に0であることはない。なお他の記号は前記の一般式(7)の場合と同義であるが、Eはカルボニル基又はY基に対してパラ配向の共有結合である。
【0037】
前記の一般式(7)、(8)において、B、E、Y又はAが分子中に複数存在する場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。z、n、m、x、yも同様に同じであってもよいし、異なっていてもよい。なおその場合、B、E、Y、A、z、n、m、x、yは、それぞれ独立に判断される。
【0038】
前記の一般式(7)で表されるポリアミド又はポリエステルは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。後者の場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
【0039】
他方、上記したポリイミドの具体例としては、例えば9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記の一般式(9)で表される繰返し単位を1単位以上有するものなどがあげられる。
【0040】
Figure 0004113765
【0041】
前記一般式(9)において、Rは、水素原子、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン若しくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基で置換されたフェニル基、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である。4個のRは、各々独立に決定でき、0〜4個の範囲で置換することができる。その置換基は、前記のものであることが好ましいが、一部に異なるものを含んでいてもよい。なおハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(9)において同じ)。
【0042】
Zは、6〜20個の炭素原子を有する三置換芳香族基である。好ましいZは、ピロメリット基、あるいはナフチレン基やフルオレニレン基、ベンゾフルオレニレン基やアントラセニレン基の如き多環式芳香族基若しくはその置換誘導体、又は下記の一般式(10)で表される基である。なお前記多環式芳香族基の置換誘導体における置換基としては、ハロゲン、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又はそのフッ素化物などがあげられる。
【0043】
Figure 0004113765
【0044】
前記の一般式(10)において、Dは、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、N(R基又はそれらの組合せであり、mは1〜10の整数である。なお前記のRは各々独立に、水素原子又はC(R基である。またRは独立に、水素原子、1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基、又は約6〜約20個の炭素原子を有するアリール基である。Rは各々独立に、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。
【0045】
また前記以外のポリイミドとして下記の一般式(11)、(12)で表される単位を有するものなどもあげることができる。就中、一般式(13)で表される単位を有するポリイミドが好ましい。
【0046】
Figure 0004113765
【0047】
Figure 0004113765
【0048】
Figure 0004113765
【0049】
前記の一般式(11)、(12)、(13)において、T及びLは、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、それらの1種若しくは2種以上で置換されたフェニル基、又は非置換のフェニル基である。前記のハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(11)、(12)、(13)において同じ)。zは0〜3の整数である。
【0050】
またG及びJは、共有結合若しくは結合ボンド、CH基、C(CX基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、又はN(CH)基である。前記C(CX基におけるXは、水素原子又はハロゲンである(以下、一般式(11)、(12)、(13)において同じ)。
【0051】
Aは、水素原子、ハロゲン、アルキル基若しくはそのハロゲン化物、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基若しくはそのハロゲン化物、アリール基若しくはそのハロゲン化物、又はアルキルエステル基若しくはその置換誘導体である。
【0052】
Rは、水素原子、ハロゲン、フェニル基若しくはそのハロゲン化物等の置換フェニル基、又はアルキル基若しくはそのハロゲン化物等の置換アルキル基である。nは0〜4の整数、pは0〜3の整数、qは1〜3の整数である。
【0053】
なお前記の一般式(11)、(12)、(13)においてT、A、R又はLは、それぞれ独立に分子中に複数存在する場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。z、n、mも同様に同じであってもよいし、異なっていてもよい。なおその場合、T、A、R、L、z、n、mは、それぞれ独立に判断される。
【0054】
前記した一般式(9)、(11)、(12)、(13)で表されるポリイミドは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。その異なる繰返し単位は、前記以外の酸二無水物又は/及びジアミンの1種又は2種以上を共重合させて形成したものであってもよい。ジアミンとしては特に芳香族ジアミンが好ましい。後者の異なる繰返し単位を有する場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
【0055】
前記した異なる繰返し単位を形成するための酸二無水物としては、例えばピロメルト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメルト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメルト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメルト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメルト酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボフェニル)メタン二無水物があげられる。
【0056】
またビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4'−オキシジフタル酸無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物)、4,4'−〔4,4'−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)〕ビス(フタル酸無水物)も前記酸二無水物の例としてあげられる。
【0057】
さらにN,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物や1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物の如きナフタレンテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物やピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物の如き複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物なども前記酸二無水物の例としてあげられる。
【0058】
好ましく用いうる酸二無水物は、2,2'−ジブロモ−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物や2,2'−ジクロロ−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'−トリハロ置換二無水物の如き2,2'−置換二無水物などであり、特に2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0059】
一方、前記した異なる繰返し単位を形成するためのジアミンとしては、例えば(o,m又はp−)フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンの如きベンゼンジアミン、4,4'−ジアミノビフェニル、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)一1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンがあげられる。
【0060】
また4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−〔4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルチオエ一テル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、1,8−ジアミノナフタレンや1,5−ジアミノナフタレンの如きナフタレンジアミン、2,6−ジアミノピリジンや2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジンの如き複素環式芳香族ジアミンなども前記したジアミンの例としてあげられる。
【0061】
好ましく用いうるポリイミドは、例えば2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物や4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物やビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などの芳香族系酸二無水物を用いて調製された、耐熱性で溶媒可溶性のポリイミドである。
【0062】
またジアミンとして、例えば4,4−(9−フルオレニリデン)−ジアニリンや2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタンや2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',5,5'−テトラクロロベンジジンや2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンや1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどの芳香族系ジアミンを用いて調製された、耐熱性で溶媒可溶性のポリイミドも好ましく用いうる。
【0063】
他方、上記したポリアミドイミド又はポリエステルイミドとしては、特に限定はなく適宜なものを1種又は2種以上用いうる。就中、特開昭61−162512号公報に記載されたポリアミドイミドや、特開昭64−38472号公報に記載されたポリエステルイミドなどが好ましく用いうる。
【0064】
固体ポリマーの分子量については、特に限定はないが溶剤に可溶であることが好ましい。就中、膜強度、フィルム化した場合の伸縮や歪等によるクラック発生の防止性、溶剤に対する溶解性(ゲル化防止)などの点より重量平均分子量に基づいて1万〜100万、就中2万〜50万、特に5万〜20万が好ましい。なお重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを標準試料とし、ジメチルホルムアミド溶媒を使用してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値である。
【0065】
複屈折性フィルムの形成に際しては上記のポリアリールエーテルケトンやポリアミド、ポリエステルやポリイミド、ポリアミドイミドやポリエステルイミド等の必要に応じて用いられる固体ポリマーを単独で用いてもよいし、同種物を2種以上混合して用いてもよい。また例えばポリアリールエーテルケトンとポリアミドの混合物の如く、異なる官能基を持つ2種以上の固体ポリマーの混合物として用いてもよい。
【0066】
また固体ポリマーの配向性が著しく低下しない範囲で、上記以外の適宜なポリマーの1種又は2種以上を併用してもよい。ちなみにその併用ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂及びAS樹脂、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリイミド、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー(光重合性液晶モノマーを含む)などの熱可塑性樹脂があげられる。
【0067】
またエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂の如き熱硬化性樹脂なども前記併用ポリマーの例としてあげられる。併用ポリマーの使用量は、配向性が著しく低下しない範囲であれば特に制限されないが、通常50重量%以下、就中40重量%以下、特に30重量%以下とされる。
【0068】
複屈折性フィルムの母体となる透明フィルムの形成は、固体ポリマーを液状化してそれを展開し、その展開層を固体化させることにより行うことができる。透明フィルムの形成に際しては安定剤や可塑剤や金属類等からなる種々の添加剤を必要に応じて配合することができる。また固体ポリマーの液状化には、熱可塑性の固体ポリマーを加熱して溶融させる方式や、固体ポリマーを溶媒に溶解させて溶液とする方法などの適宜な方式を採ることができる。
【0069】
従って当該展開層の固体化は、前者の溶融液ではその展開層を冷却させることにより、また後者の溶液ではその展開層より溶媒を除去して乾燥させることにより行うことができる。その乾燥には自然乾燥(風乾)方式や加熱乾燥方式、特に40〜200℃の加熱乾燥方式、減圧乾燥方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を採ることができる。製造効率や光学的異方性の発生を抑制する点からはポリマー溶液を塗工する方式が好ましい。
【0070】
前記の溶媒としては、例えばクロロホルムやジクロロメタン、四塩化炭素やジクロロエタン、テトラクロロエタンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンやクロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンの如きハロゲン化炭化水素類、フェノールやパラクロロフェノールの如きフェノール類、ベンゼンやトルエン、キシレンやメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンの如き芳香族炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンやシクロヘキサノン、シクロペンタノンや2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンの如きケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチルの如きエステル類があげられる。
【0071】
また、t-ブチルアルコールやグリセリン、エチレングリコールやトリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルやジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールやジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールの如きアルコール類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドの如きアミド類、アセトニトリルやブチロニトリルの如きニトリル類、ジエチルエーテルやジブチルエーテル、テトラヒドロフランの如きエーテル類、その他、塩化メチレンや二硫化炭素、エチルセロソルブやブチルセロソルブなども前記溶媒の例としてあげられる。
【0072】
溶媒は、単独で、あるいは2種以上を適宜な組合せで混合して用いることができる。溶液は、フィルム形成に適した粘度の点より、溶媒100重量部に対して固体ポリマーを2〜100重量部、就中5〜50重量部、特に10〜40重量部溶解させたものが好ましい。
【0073】
固体ポリマーを液状化したものの展開には、例えばスピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等のキャスティング法、押出法などの適宜なフィルム形成方式を採ることができる。就中、厚さムラや配向歪ムラ等の少ないフィルムの量産性などの点より、キャスティング法等の溶液製膜法が好ましく適用することができる。
【0074】
nαが0.0〜0.3の特性の付与は、前記した液状化した固体ポリマーの展開層を固体化させて透明フィルムを形成する過程で付与することができる。特に前記に例示した負の複屈折性を示す固体ポリマーでは、液状化したものの展開層を固体化させる操作だけで当該nαの特性を付与することができる。
【0075】
nαは、最終的に得られる複屈折性フィルムのnα・d、すなわちRzに影響する。そのRzの制御、特にフィルムの薄膜化の点より透明フィルムの好ましいnαは、0.02〜0.2である。なお前記のdは、フィルム厚である。
【0076】
本発明による複屈折性フィルムとしてのReが可視光に対して1/4波長又は1/2波長である特性は、透明フィルムに、その面内で分子を配向させる処理を施すことにより付与される。また斯かる処理で負の複屈折性を示す固体ポリマーにおけるnx>ny>nzの特性も付与される。すなわち上記した液状化物の展開による透明フィルムの形成過程は、nzの制御を目的とし、その形成過程で得られる透明フィルムは、nx≒ny、従ってRe≒0nmの特性を示すものであることが普通であり、フィルム厚を50μmとしてもReが30nm未満、特に0〜10nmのものである。Re=0は、nx=nyを意味する。
【0077】
従って本発明による製造方法は、特に負の複屈折性を示す固体ポリマーを用いた場合に、透明フィルムの形成過程でnz、ひいてはRzを制御し、その透明フィルムの面内において分子を配向させる処理でnxとny、ひいてはReを制御するものと説明することもできる。斯かる役割分担方式には、例えば二軸延伸方式等の従来のRzとReを同時的に制御する方法に比べて少ない延伸率で目的を達成でき、Reの特性や光学軸の各精度に優れた複屈折性フィルム、特に負の複屈折性を示す固体ポリマーによるnx>ny>nzに基づくRzとReの特性や光学軸の各精度に優れた二軸性の複屈折性フィルムが得られやすい利点がある。
【0078】
透明フィルムの面内において分子を配向させる処理は、フィルムの伸張処理又は/及び収縮処理として施すことができ、その伸張処理は、例えば延伸処理などとして施すことができる。延伸処理には逐次方式や同時方式等による二軸延伸方式、自由端方式や固定端方式等の一軸延伸方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を適用することができる。ボーイング現象を抑制する点よりは一軸延伸方式が好ましい。延伸処理温度は、従来に準じることができ、透明フィルムを形成する固体ポリマーのガラス転移温度の近傍、就中ガラス転移温度以上が一般的である。
【0079】
一方、収縮処理は、例えば透明フィルムの塗工形成を基材上で行って、その基材の温度変化等に伴う寸法変化を利用して収縮力を作用させる方式などにより行うことができる。その場合、熱収縮性フィルムなどの収縮能を付与した基材を用いることもでき、そのときには延伸機等を利用して収縮率を制御することが望ましい。
【0080】
得られる複屈折性フィルムにおけるRzとReの大きさは、固体ポリマーの種類や、液状化物の塗工方式等の展開層の形成方式、乾燥条件等の展開層の固体化方式や、形成する透明フィルムの厚さなどにて制御することができる。透明フィルムの厚さは、薄型化を目的に通例0.5〜30μm、就中1〜25μm、特に2〜20μmとされる。
【0081】
波長板の薄型化の点より好ましい複屈折性フィルムは、フィルム厚をd、nx>ny(nxが遅相軸)として、フィルム厚1μmあたりのRe(Re/d)に基づいて3〜100nm、就中5〜75nm、特に10〜50nmを満足するものである。また負の複屈折性を示す固体ポリマーを用いた場合、フィルム厚1μmあたりのRz(Rz/d)が5nm以上、就中10〜100nm、特に20〜70nmの複屈折性フィルムであることが好ましい。
【0082】
本発明による複屈折性フィルムの好ましい製造方法は、溶媒に溶解させて液状化した固体ポリマーを支持基材上に展開して乾燥させ、その固体化物からなるnx=nyないしnx≒nyの透明フィルムに伸張処理又は収縮処理の一方又は両方を施して面内で分子を配向させ、目的とする波長の位相差Re、さらには必要に応じてのnx>ny>nzやRzの特性を付与する方式である。この方式によれば、透明フィルムを基材で支持した状態で処理できて製造効率や処理精度などに優れており、連続製造も可能である。
【0083】
前記の支持基材には適宜なものを用いることができ、特に限定はない。複屈折性フィルムは、その支持基材が透明フィルムと一体化したものであってもよいし、支持基材より分離した透明フィルムよりなっていてもよい。前者の支持基材一体型の場合、延伸処理等で支持基材に生じた位相差を複屈折性フィルムにおける位相差として利用することもできる。後者の分離方式は、延伸処理等で支持基材に生じた位相差が不都合な場合などに有利である。なお前者の支持基材一体型の場合、その支持基材としては透明なポリマー基材が好ましく用いられる。
【0084】
ちなみに前記のポリマー基材を形成するものの例としては、上記の固体ポリマーで例示したものやアセテート系ポリマー、ポリエーテルスルホンやポリスルホン、ポリカーボネートやポリノルボルネン、ポリオレフィンやアクリル系ポリマー、セルロース系樹脂やポリアリレート、ポリスチレンやポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、あるいはアクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系やシリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。
【0085】
また特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマー、例えば(A)側鎖に置換又は/及び非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換又は/及び非置換のフェニル基並びにニトリル基を有する熱可塑性樹脂との前記A、Bを含有する樹脂組成物などもポリマー基材の形成に用いうる。ちなみに前記樹脂組成物の具体例としてはイソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物などがあげられる。ポリマー基材は、樹脂組成物の混合押出品等からなるフイルムなどとして得ることができる。支持基材による位相差の影響を抑制する点よりはアセテート系ポリマーの如く等方性に優れるものが好ましい。なお前記のポリマーは、透明フィルムの形成にも用いうる。
【0086】
複屈折性フィルムは、単層にて用いることもできるし、積層して用いることもできる。積層は、1/4波長板又は1/2波長板として機能する波長域の拡大を目的とする。斯かる積層複屈折性フィルムからなる広帯域の1/4波長板は、1枚又は2枚以上の1/4波長板と1枚又は2枚以上の1/2波長板の組合せで複数の複屈折性フィルムを積層することにより形成することができる。
【0087】
また積層複屈折性フィルムからなる広帯域の1/2波長板は、2枚又は3枚以上の1/2波長板同士の組合せで複数の複屈折性フィルムを積層することにより形成することができる。積層複屈折性フィルムの形成に際して本発明による複屈折性フィルムは、少なくとも1枚が用いられる。
【0088】
従って積層複屈折性フィルムを形成する複屈折性フィルムは、その全部が本発明によるものであってもよいし、本発明によるものと他の方法による1/4波長板又は/及び1/2波長板との組合せであってもよい。各複屈折性フィルムを光軸を交差させて積層することにより、その交差角に応じて積層複屈折性フィルムの位相差を制御することができる。
【0089】
複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムは、従来に準じた適宜な目的に好ましく用いうる。その実用に際しては、例えば液晶セル等の他部材と接着することを目的にその片面又は両面に接着層ないし粘着層を設けたものや、偏光板と積層して光学補償偏光板としたものなどの適宜な形態にて用いることができる。
【0090】
前記した粘着層の形成には、例えばアクリル系重合体やシリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどの適宜なポリマーを用いてなる透明粘着剤を用いることができる。就中、光学的透明性や粘着特性、耐候性などの点よりアクリル系粘着剤が好ましい。
【0091】
粘着層には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性を示す粘着層とすることもできる。その透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカや酸化カルシウム、アルミナやチタニア、ジルコニアや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレートやポリウレタの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子などの適宜なものを1種又は2種以上用いうる。粘着層が表面に露出する場合には、それを実用に供するまでの間、セパレータなどを仮着して粘着層表面の汚染等を防止することが好ましい。
【0092】
前記した偏光板との積層による光学補償偏光板の形成は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行いうるが、予め積層することにより、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置等の製造効率を向上させうる利点などがある。積層に際し複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムと偏光板の進相軸や透過軸等の光軸の配置角度については特に限定はなく、適宜に決定することができる。
【0093】
光学補償偏光板の形成には、適宜な偏光板を用いることができ、その種類について特に限定はない。就中ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したものや架橋処理したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム等からなる偏光フィルムなどの如く、自然光を入射させると直線偏光を透過する特性を示す吸収型の偏光板が高い偏光度の達成などの点より好ましく用いうる。偏光フィルムの厚さは、1〜80μmが一般的であるがこれに限定されない。
【0094】
前記の偏光板は、偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を設けたものや、ワイヤーグリッド型偏光子などであってもよい。前記の透明保護層は、偏光フィルムの補強、耐熱性や耐湿性の向上などの種々の目的で設けられ、その形成には透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。ちなみにその例としては上記した支持基材で例示したものなどがあげられる。偏光特性や耐久性などの点より特に好ましい透明保護層は、表面をアルカリ等でケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。
【0095】
透明保護層の厚さは、任意であるが、一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、就中5〜300μm、特に5〜150μmとされる。なお偏光フィルムの両側に透明保護層を設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護層とすることもできる。
【0096】
透明保護層は、樹脂の塗布層や樹脂フィルムのラミネート層などとして形成でき、透明微粒子の含有によりその表面が微細凹凸構造に形成されていてもよい。その透明微粒子には、上記に例示したものなどを用いうる。透明微粒子の使用量は、透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部、就中5〜50重量部が一般的である。
【0097】
前記した樹脂フイルムのラミネート処理は、限定するものではないが、例えばアクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいはホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミンやシュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。これにより湿度や熱の影響で剥がれにくく光透過率や偏光度に優れるものとすることができる。斯かる接着層は、水溶液の塗工乾燥層等として形成されるものであるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。特にポリビルアルコール系フィルムとの接着性に優れる点より、ポリビニルアルコール系接着剤を用いることが好ましい。
【0098】
また透明保護層は、複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムに兼ねさせることもできる。その場合には光学補償偏光板、ひいては液晶表示装置等をより薄型化することができる。複屈折性フィルムは、上記した支持基材に透明保護フィルムを用いてなる支持基材一体型のものであってもよいし、支持基材とは分離したものであってもよい。
【0099】
前記した光学補償偏光板の作製方式としては、例えば(a)接着層ないし粘着層を介して複屈折性フィルムと偏光板とを接着した後、支持基材を剥離する方式、(b)支持基材を偏光フィルムの透明保護フイルムとして用い、その支持基材上に上記に準じ透明フィルム層を設けて複屈折性フィルムを形成した後、その支持基材露出側を介して偏光フィルムと接着する方式、(c)支持基材上に上記に準じ透明フィルム層を設けて複屈折性フィルムを形成した後、その複屈折性フィルムを偏光板の透明保護層上に転写して支持基材を分離する方式などがあげられる。工程数が少なくて量産性に優れ点などより前記の(b)又は(c)の方式が好ましい。前記の作製方式は、積層複屈折性フィルムの形成にも適用することができる。
【0100】
前記の接着処理には必要に応じて、例えばアクリル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やゴム系等の透明な粘着剤などの適宜な接着剤を用いうる。複屈折性フィルム等の光学特性の変化を防止する点より、硬化や乾燥の際に高温プロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。また加熱や加湿条件下に剥離等を生じない接着剤が好ましく用いられる。
【0101】
前記において偏光板は、特に複屈折性フィルム等を設けない側にハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止処理や拡散ないし防眩等を目的とした処理などを施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系やウレタン系、アクリル系やエポキシ系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮膜ないしフィルムを透明保護層の表面に付加する方式などにて形成することができる。
【0102】
一方、反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、例えばフッ素系ポリマーのコート層や多層金属蒸着膜等の光干渉性の膜や従来に準じた反射防止フィルムからなるものなどとして適宜に形成することができる。他方、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、防眩処理層は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えば上記した透明微粒子含有の樹脂塗工層やエンボス加工、サンドブラスト加工やエッチング加工等の適宜な方式で表面に微細凹凸構造を付与することなどにより、表面反射光が拡散する適宜な方式で形成することができる。
【0103】
また前記の防眩処理層は、偏光板の透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能など)を兼ねるものであってもよい。なお上記のハードコート層や反射防止層、スティッキング防止層や拡散層ないし防眩処理層等は、それらの層を設けたシートなどからなる光学層として、透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0104】
本発明による複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板は、液晶表示装置等の各種表示装置の形成などに好ましく用いうる。その適用に際しては必要に応じ接着層ないし粘着層を介して、例えば偏光板や反射板、半透過反射板や輝度向上フィルム、他の位相差板や拡散制御フィルム、偏光散乱フィルムなどの他の光学層の1層又は2層以上を積層してなる光学部材として用いることもできる。特に光学補償偏光板は、光学補償機能を有する偏光板として好ましく用いられる。なお前記の積層には、上記した粘着層等の適宜な接着手段を用いることができる。
【0105】
前記の反射板は、それを偏光板に設けて反射型偏光板を形成するためのものである。反射型の偏光板は通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。
【0106】
反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式で行うことができる。その具体例としては必要に応じマット処理した透明保護層の片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設したものがあげられる。
【0107】
また前記の反射層は、光拡散型のものであってもよい。光拡散型の反射層は、例えば透明微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射層を形成する方式などにより得ることができる。表面微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点を有する。微細凹凸構造を反映させた反射層は、当該微細凹凸構造上に例えば真空蒸着方式やイオンプレーティング方式やスパッタリング方式等の蒸着方式、メッキ方式などの適宜な方式で金属反射層を付設することにより形成することができる。
【0108】
なお反射層は、上記した偏光板の透明保護層に直接付設する方式に代えて、適宜なフィルムに反射層を付設してなる反射シートなどとして設けることもできる。金属からなる反射層は、その反射面がフィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などから好ましい。
【0109】
さらに反射層は、ハーフミラー等からなる、光を反射しかつ透過する半透過型のものなどであってもよい。半透過型偏光板も通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射外光を反射させて表示を達成し、比較的暗い雰囲気においては半透過型偏光板の裏側に配置したバックライト等の内蔵光源を使用して表示を達成するタイプの表示装置などを形成するためのものである。従って半透過型偏光板は、明るい雰囲気下ではバックライト等の光源使用によるエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの表示装置などの形成に有用である。
【0110】
一方、上記した輝度向上フィルムは、偏光板による吸収ロスなどを抑制して輝度の向上を図ることなどを目的に用いられるものである。輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの(例えば3M社製、「D−BEF」等)、あるいはコレステリック液晶層、就中コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの(例えば日東電工社製、「PCF350」や、Merck社製、「Transmax」等)の如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。後者のコレステリック液晶系のものでは、円偏光を直線偏光に変換することを目的に必要に応じて1/4波長板と組合せて用いることもできる。
【0111】
また複屈折性フィルム以外又は積層複屈折性フィルム以外の位相差板としては、一軸や二軸等の適宜な方式による各種ポリマーの延伸フィルム、Z軸配向処理したポリマーフィルム、液晶性高分子層などの適宜な位相差を有するものを用いうる。拡散制御フィルムは、視野角や解像度に関わるギラツキ、散乱光等の制御を目的に用いられるものであり、拡散、散乱又は/及び屈折を利用した光学機能フィルムが用いられる。さらに偏光散乱フィルムは、フィルム中に散乱性物質を含有させて偏光がその振動方向により散乱異方性を生じるようにしたものであり、偏光の制御などに用いられる。
【0112】
上記した2層又は3層以上の光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業性等に優れて液晶表示装置等の製造効率を向上させう利点などがある。
【0113】
本発明による複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板や光学部材には、他の光学層や液晶セル等の他部材と接着するための粘着層ないし接着層を必要な面に設けることもできる。その接着層は、上記に準じて形成することができる。就中、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましく用いうる。また透明微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等とすることもできる。
【0114】
複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板や光学部材に設けた粘着層ないし接着層が表面に露出する場合には、その粘着層等を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的にセパレータにて仮着カバーすることが好ましい。セパレータは、上記の支持基材等に準じた適宜な薄葉体に、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤によるコート層を設ける方式などにより得ることができる。
【0115】
上記した光学補償偏光板や光学部材等を形成する複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、偏光フィルムや透明保護層や粘着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0116】
本発明による複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板や光学部材は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができ、例えば偏光板を液晶セルの片側又は両側に配置してなる反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置の形成に用いることができる。
【0117】
すなわち液晶表示装置は一般に、複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムの一方と液晶セル、及び必要に応じての偏光板や照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムを用いて、それを必要に応じ偏光板等と共に液晶セルの外側の少なくとも片側に設ける点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。
【0118】
従って液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライト又はフロントライトを用いた液晶表示装置、あるいは反射板や半透過型反射板を用いてなる透過型や反射型、あるいは反射・透過両用型などの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、複屈折性フィルム又は積層複屈折性フィルムは、その目的に応じて適宜な位置に1層又は2層以上配置することができ、上記の光学補償偏光板や光学部材としたものを用いることもできる。
【0119】
前記において液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のもの、VA型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってよい。また液晶セルの両側に複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0120】
本発明による複屈折性フィルムや積層複屈折性フィルム、光学補償偏光板や光学部材は、自発光型の表示装置に設けて表示品位の向上などを図ることもできる。その自発光型の表示装置については特に限定はない。ちなみにその例としては、有機ELやPDP、FEDなどがあげられる。自発光型フラットパネルディスプレイに1/4波長板を適用することにより直線偏光を円偏光に変換して、反射防止フィルターを形成することができる。
【0121】
前記において液晶表示装置等の表示装置の形成部品は、積層一体化されていてもよいし、分離状態にあってもよい。また表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やや保護板などの適宜な光学素子を適宜に配置することができる。かかる素子は、複屈折性フィルム等と積層してなる上記した光学部材の形態にて表示装置の形成に供することもできる。
【0122】
【実施例】
実施例1
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'一ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドの15重量%シクロヘキサノン溶液を厚さ50μmトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に塗布し、100℃で10分間乾燥処理して、残存溶媒量が7重量%で、厚さが6μm、nαが約0.04で、Rzが240nmであり、nx≒nyの透明フィルムを得た後、TACフィルムと共に160℃で10%の縦一軸延伸処理を加えてTACフィルムより分離し、nx>ny>nzの特性を示す複屈折性フィルムを連続して得た。なお位相差等については、王子社製、KOBRA21ADHを用いて測定した(以下、同じ)。
【0123】
実施例2
実施例1に準じて、残存溶媒量が7重量%で、厚さが10μm、nαが約0.03で、Rzが300nmであり、nx≒nyの透明フィルムを得た後、それをTACフィルムと共に160℃で15%の縦一軸延伸処理を加えてTACフィルムより分離し、nx>ny>nzの特性を示す複屈折性フィルムを連続して得た。
【0124】
実施例3
4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニルから合成された重量平均分子量3万のポリイミドをシクロペンタノンに溶解して調製した20重量%溶液を厚さ80μmのTACフィルムに塗工し130℃で5分間熱処理して、TACフィルム上に透明で平滑な厚さが5μm、nαが0.025で、Rzが125nmであり、nx≒nyの透明フィルムを得た後、それをTACフィルムと共に160℃で15%の横一軸延伸処理(テンター)を加えてTACフィルムより分離し、nx>ny>nzの特性を示す複屈折性フィルムを連続して得た。
【0125】
比較例1
ポリノルボルネン系フィルム(JSR社製、ARTON)を175℃で自由端縦延伸処理にて1.3倍に延伸して、厚さが85μmでnx>ny=nzの特性を示す複屈折性フィルムを得た。
【0126】
比較例2
延伸倍率を1.7倍としたほかは比較例1に準じて、厚さが70μmでnx>ny=nzの特性を示す複屈折性フィルムを得た。
【0127】
評価試験
実施例、比較例で得た複屈折性フィルムについて、ReとRzを調べた。また面内の分子配向における配向軸の傾き(精度)も調べた。
【0128】
前記の結果を次表に示した。
Figure 0004113765
【0129】
表の実施例と比較例との対比より、実施例では配向軸の精度に優れる高精度の波長板が比較例の1/7以下の厚さで得られていることが判る。また実施例より透明フィルムの形成時に厚さ方向の屈折率nzに基づくRz特性をほぼ付与でき、その面内の配向性に乏しい点(nx≒ny)を面内の配向処理を加えることでnx>ny>nz>の特性を付与してReを増大させうることがことが判る。これより本発明にて、VA型液晶セル等の光学補償に有用で、均一性や透明性等の光学的特性に優れて薄型の波長板を安定して得られることが判る。

Claims (8)

  1. 面内の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さをd、(nx+ny)/2−nz=nα及び(nx−ny)d=Reとしたとき、液状化した固体ポリマーの展開層を固体化させて形成した前記nαが0.0〜0.3であり、かつ前記固体ポリマーが2 , ' −ビス(3 , 4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと2 , ' −ビス(トリフルオロメチル)−4 , ' 一ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド、又は4,4 ' −ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と2,2 ' −ジクロロ−4,4 ' −ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドである透明フィルムに、その面内で分子を配向させる処理を施して、Reが可視光に対して1/4波長又は1/2波長である特性を付与することを特徴とする複屈折性フィルムの製造方法。
  2. 請求項1において、分子を配向させる処理がnx>ny>nzの特性を付与するものである複屈折性フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2において、溶媒に溶解させて液状化した固体ポリマーを支持基材上に展開して乾燥させ、その固体化物からなる透明フィルムに伸張処理又は収縮処理の一方又は両方を施して面内で分子を配向させる複屈折性フィルムの製造方法。
  4. 1/4波長板と1/2波長板の組合せ、又は1/2波長板同士の組合せで複数の複屈折性フィルムを積層してなり、かつその複屈折性フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜3の一に記載の方法によるものであることを特徴とする積層複屈折性フィルム。
  5. 請求項1〜3の一に記載の方法による複屈折性フィルム又は請求項4に記載の積層複屈折性フィルムと、偏光板との積層体からなることを特徴とする光学補償偏光板。
  6. 請求項5において、請求項3に記載の方法による複屈折性フィルムがその支持基材を有する状態で偏光板の透明保護層として接着してなる、又は請求項3に記載の方法による複屈折性フィルムをその支持基材とは分離して偏光板に接着してなる光学補償偏光板。
  7. 請求項1〜3の一に記載の方法による複屈折性フィルム若しくは請求項4に記載の積層複屈折性フィルム、又はその一方と偏光板を液晶セルの外側に配置してなることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項1〜3の一に記載の方法による複屈折性フィルム若しくは請求項4に記載の積層複屈折性フィルム、又はその一方と偏光板を自発光型の表示装置に設けてなることを特徴とする表示装置。
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