JP2006243266A - 光学積層体、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 様々な使用環境において色味、コントラスト、及びその視野角依存性に優れ、高品位の画像が得られる光学積層体、偏光板および液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 互いにレターデーションの異なる少なくとも2つの光学ユニットを含む光学積層体であって、少なくとも1つの光学ユニットが、下記式(A)、(B)及び(C)の関係を満たすポリマーフィルムである光学積層体と、これを用いた偏光板および液晶表示装置。 (A) Re≦10nm; (B) −25nm≦Rth≦25nm; (C) 0.75≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.25。[式中、Reは波長590nmにおける正面レターデーションであり、Rthは波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションである。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学積層体、偏光板および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であったが、近年、VAモード、IPSモード等の高視野角液晶モードが実用化されており、これによりテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
これに伴い液晶表示装置において、色味、コントラスト、及びそれらの視野角依存性改良用に用いられる光学補償部材に対してもより精緻な設計が求められてきているため、単一の部材で上記要求を満たすことが難しくなり、レターデーションの異なる複数の部材が組み合わされた光学積層体を用いることが一般的となってきている。
一方、液晶表示装置用の偏光板は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール系フィルムを延伸した偏光子に、セルロースアシレートフィルムを鹸化処理し表面に親水性を付与した保護フィルムを両側から貼り合わせて製造することが一般的である。前記積層体は偏光板作製前あるいは後に保護フィルムに貼り合わされる、あるいは光学積層体の一部が保護フィルムを兼ねることが一般的である。
ところが、セルロースアシレートフィルムの有するレターデーションが邪魔をして、十分な光学補償能が得られないという問題が生じていた。また湿度などの環境変化による光学性能の変化が小さいフィルムが求められていた。
これに対して特許文献1には環状ポリオレフィン開環重合体であるアートンフィルムを光学補償フィルムの支持体として用いた例が開示されている。
特開2004−246338号公報
しかし、特許文献1の開示例では、フィルム中のポリマー分子鎖の配向低減が不十分であり、光学補償層の支持体として用いられた場合に、フィルムの有するレターデーションが邪魔をして十分な光学補償能を得ることが出来なかった。とりわけ、液晶表示装置が高湿下で長時間点灯されるような環境では、フィルムのレターデーション変化に起因する色味変化、周辺ムラの発生が大きいという問題を有していた。さらに特許文献1に開示されている光学積層体は、偏光板のカールが大きく液晶パネルへの貼りあわせ時に気泡の混入による面状故障が発生しやすいという問題があり、改善を求められていた。
本発明の目的は、様々な使用環境において色味、コントラスト、及びその視野角依存性に優れ、高品位の画像が得られる光学積層体、偏光板および液晶表示装置を提供することである。本発明のさらなる目的は上記性能に加え、カールが改善された光学積層体およびそれを用いた偏光板、液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、モノマーユニットからなるフィルムにおいて特定の方法により高分子鎖の配向度を低下させ、十分に低レターデーションを実現したポリマーフィルムを光学積層体に用いれば、前記色味変化を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、レターデーションは厚みに比例して増加するが、本発明の光学異方性が十分に小さいフィルムを用いることで、ある程度の厚みを持ちながらも光学異方性の小さいフィルムを作製することが可能となる。その結果、厚みが不十分であることに由来するカールの発生を抑制でき、光学異方性が小さく、かつカールが小さいフィルムを得
ることができる。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
<1> 互いにレターデーションの異なる少なくとも2つの光学ユニットを含む光学積層体であって、少なくとも1つの光学ユニットが、下記式(A)、(B)及び(C)の関係を満たすポリマーフィルムであることを特徴とする光学積層体。
Re≦10nm (A)
−25nm≦Rth≦10nm (B)
0.75≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.25 (C)
[式中、Reは波長590nmにおける正面レターデーションであり、Rthは波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションである。]
<2> 該ポリマーフィルムが、環状オレフィン系開環重合体を含有することを特徴とする上記<1>に記載の光学積層体。
<3> 該環状オレフィン系開環重合体が下記一般式(1)及び(2)のモノマーユニットを有することを特徴とする上記<2>に記載の光学積層体。
一般式(1)
Figure 2006243266
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R1とR2、R3とR4またはR2とR3は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]一般式(2)
Figure 2006243266
[式中、Yは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R5とR6、R7とR8またはR6とR7は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環(但し、一般式(1)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
<4> 該環状オレフィン系開環重合体が溶解する溶媒の雰囲気下に曝すことにより製造されたフィルムであることを特徴とする上記<2>または<3>に記載の光学積層体。
<5> 該環状オレフィン系開環重合体が溶解する溶媒の雰囲気下に曝されたフィルムを四辺を固定した状態で溶媒を乾燥する工程を含む製造法により作製されたことを特徴とする上記<4>に記載の光学積層体
<6> 該ポリマーフィルムの厚みが60μm以上200μm以下であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載の光学積層体。
<7> 該ポリマーフィルムの60℃、95%RH、24時間における透湿度が250g/m2以下であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の光学積層体。
<8> 他の光学ユニットが、少なくとも一つの非液晶性ポリマーを含有する光学異方性層であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載の光学積層体。
<9> 他の光学ユニットが、少なくとも一つの液晶性化合物を含有する光学異方性層で
あることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の光学積層体。
<10> 延伸ポリマーフィルムを含むことを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれかに記載の光学積層体。
<11> 上記<1>〜<10>のいずれかに記載の光学積層体を含むことを特徴とする光学補償機能付き偏光板。
<12> 液晶セルと、その両側に配置された二枚の偏光板とを有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一枚が、上記<11>に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、様々な使用環境において色味、コントラスト、及びその視野角依存性に優れ、高品位の画像が得られる光学積層体、偏光板および液晶表示装置が得られる。また上記性能に加え、カールが改善された光学積層体、偏光板および液晶表示装置が得られる。
本発明の光学積層体は、互いにレターデーションの異なる少なくとも2つの光学ユニットを含み、少なくとも1つの光学ユニットが、上記式(A)、(B)及び(C)の関係を満たすポリマーフィルム(以下、この光学ユニットを低レターデーションポリマーフィルムと言う。)であることを特徴としている。また本発明の光学積層体は、他の光学ユニットとして光学異方性層および/または延伸ポリマーフィルムを含むことができる。以下、各成分について詳しく説明する。
<低レターデーションポリマーフィルム>
まず、本発明に用いられる低レターデーションポリマーフィルムの特性について説明する。
(レターデーション)
低レターデーションポリマーフィルムは下記式(A)、及び(B)のレターデーションを満たすことが必要である。
Re≦10nm (A)
−25nm≦Rth≦10nm (B)
さらに好ましくはRe≦5nmであり、最も好ましくはRe≦3nmである。
またRthはさらに好ましくは−10nm≦Rth≦5nmであり、最も好ましくは−5nm≦Rth≦3nmである。
本明細書において、ReおよびRthは各々、正面レターデーションおよび膜厚方向のレターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と、平均屈折率と、膜厚とを基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
(光弾性係数)
また、低レターデーションポリマーフィルムの光弾性係数は下記式(C)の関係を満たすことが必要である。
0.75≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.25 (C)
好ましくは下記式(C−1)を満たすことである。
0.85≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.15 (C−1)
さらに好ましくは下記式(C−1)を満たすことである。
0.90≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.10 (C−2)
Re、Rthを前記範囲にし、さらに光弾性係数を前記範囲にすることにより、液晶表示装置の使用環境による色味変化をさらに小さくすることができる。
光弾性係数は、3.5cm×12cmに切り出してフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReを測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから算出することができる。測定機器は、エリプソメーター(M150、日本分光(株))が用いられる。
(透湿度)
本発明に用いられる低レターデーションポリマーフィルムの60℃、95%RH、24時間における透湿度は250g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がさらに好ましい。
透湿度は例えば、試料60mmΦを60℃、95%RHで24時間経時させ、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にてJIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=経時後質量−経時前質量で求めることができる。
(フィルムの厚み)
低レターデーションポリマーフィルムの厚みは50μm以上200μm以下であり、60μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上150μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚みが該下限値以上であれば剛性が低下することがなく、さらには他の光学ユニットの寸度変化に起因する応力による変形が大きくなることがない。したがってカールの発生を抑制することが出来、液晶表示装置に組み込んだ場合、長時間表示中に周辺部に光漏れを起こす等の問題を生じることがない。また、フィルム厚みが厚すぎると相対的にレターデーションが大きくなり好ましくない。
<ポリマー材料>
次に本発明に用いられる低レターデーションポリマーフィルムに用いるポリマー材料について説明する。
前記式(A)〜(C)を満たす低レターデーションポリマーフィルムとしては、シクロオレフィン系開環重合体が挙げられ、該シクロオレフィン系ポリマーとしては、下記一般式(1)及び(2)のモノマーユニットを有する開環重合体が好ましく用いられる。
一般式(1)
Figure 2006243266
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む
連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R1とR2、R3とR4またはR2とR3は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]一般式(2)
Figure 2006243266
[式中、Yは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R5とR6、R7とR8またはR6とR7は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環(但し、一般式(1)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
上記一般式(1)及び(2)のポリマーは下記の(イ)〜(ニ)に示す単量体の(共)重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)として合成される。
(イ)下記一般式(3)で表される化合物(以下、「特定単量体d」ともいう。)の開環重合体。
(ロ)特定単量体dと、当該特定単量体dと共重合可能な化合物(以下、「共重合性単量体」ともいう。)との開環重合体。
(ハ)上記(イ)の開環重合体または(ロ)の開環重合体の水素添加物。
(ニ)上記(イ)の開環重合体または(ロ)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化して得られた化合物若しくはその水素添加物。
一般式(3)
Figure 2006243266
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R1とR2、R3とR4またはR2とR3は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
特定重合体は、共重合性単量体として下記一般式(4)で表される化合物(以下、「特定単量体b」ともいう。)を用い、特定単量体dと、特定単量体bとを共重合して得られるものであることが好ましい。このような構成の特定重合体によれば、最終的に得られるフィルムの靱性等の機械的な特性が一層優れたものとなり、また、延伸加工によりフィルムに必要とされる所望の位相差を得やすくなる。
一般式(4)
Figure 2006243266
[式中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R5とR6、R7とR8またはR6とR7は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素
環または複素環(但し、一般式(1)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
更に、特定重合体は、特定単量体dと特定単量体bとの開環重合体であって、上記一般式(1)で表される特定単量体dに由来の構造単位(以下、「構造単位d」ともいう。)と、上記一般式(2)で表される特定単量体bに由来の構造単位(以下、「構造単位b」ともいう。)とを有するものであれば、耐熱性と延伸加工等による加熱加工性とのバランスを図ることができる点で好ましい。
一般式(1)〜一般式(4)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、一般式(1)〜一般式(4)における置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。
連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基〔例えば、−(CH2q −(式中、qは1〜10の整数)で表されるアルキレン基〕;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基〔例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2 −)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R92 −(式中、R9 はメチル、エチル等のアルキル基)〕、あるいはこれらの2種以上が結合されたものなどが挙げられる。
極性基としては、例えば水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル含有基、およびカルボキシル基などが挙げられる。更に具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
炭化水素基の置換基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基が挙げられる。
特定単量体dの具体例としては、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[9.2.1.13,9 .02,10.04,8 ]−12−ペンタデセン、
ペンタシクロ[9.2.1.15,8 .02,10.04,9 ]−12−ペンタデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5. 17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
8−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(4−ビフェニルカルボニルオキシエチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,
5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
1,2−(2H、3H−[1,3]エピシクロペンタ)−1,2−ジヒドロアセナフチレンとシクロペンタジエンとのディールス・アルダー付加体
などを挙げることができるが、特定単量体dは、これらの化合物に限定されるものでなはい。また、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて特定単量体dとして用いることができる。
これらの中では、分子内に少なくとも1つの極性基を有する化合物が好ましく、特に、一般式(3)において、R1 およびR3 が水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2 およびR4 が水素原子または一価の有機基に相当するものであって、かつR2 およびR4 の少なくとも一つが水素原子および炭化水素基以外の極性基であるものが、他素材との密着性・接着性を高めるので好ましい。
ここに、得られる特定重合体中の極性基の含有量は、最終的に得られる低レターデーションポリマーフィルムに要求される所望の機能等により決定されるものであり、特に限定はされないが、全構造単位中、極性基を有する特定単量体が、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、特定単量体dに由来する全構造単位が極性基を有するものであってもよい。
また、特定単量体dとしては、一般式(3)において、R2 およびR4 の少なくとも一つが一般式(5)で表される極性基を有するものであることが、得られる特定重合体のガラス転移温度と吸水性を制御しやすい点で好ましい。
一般式(5)
Figure 2006243266
〔式中、nは0〜5の整数であり、R10は一価の有機基である。〕
一般式(5)においてR10で表される一価の有機基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。また、一般式(5)において、nは0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0である。nの値が小さいものほど得られる特定重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にnが0である特定単量体dは、その合成が容易である点で好ましい。
更に、特定単量体dは、一般式(3)において、一般式(5)で表される極性基が結合した炭素原子に更にアルキル基が結合したものであることが好ましく、これにより、得られる特定重合体の耐熱性と吸水性のバランスを図ることができる。ここで、アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、特定単量体dとしては、一般式(3)においてmが1でありpが0であるものは、ガラス転移温度の高い特定重合体が得られる点で好ましい。
特定単量体bの具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデカ−9−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α体およびβ体)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−アントラセニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
アセナフチレンとシクロペンタジエンとのディールス・アルダー付加体などを挙げることができるが、特定単量体bは、これらの化合物に限定されるものでなはい。また、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて特定単量体bとして用いることができる。
特定単量体dと特定単量体bとを共重合させることによって得られる特定重合体は、当該特定単量体dおよび特定単量体b以外の他の共重合性単量体と共に共重合されてなるものであってもよい。
他の共重合性単量体としては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、更に好ましくは5〜12である。更にポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体dおよび必要に応じて特定単量体bを重合させてもよく、このようにして得られる特定重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
特定重合体の30℃クロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は、0.2〜5dl/gであることが好ましい。更に好ましくは0.3〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gである。該上限値以下であれば、溶液粘度が高くなりすぎることがなく、さらには加工性が悪化することがない。また該下限値以上であれば、フィルム強度が低下することがない。
特定重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常は8,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、更に好ましくは20,000〜100,000、特に好ましくは30,000〜100,000、また、質量平均分子量(Mw)が、通常は20,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜1,000,000、更に好ましくは40,000〜500,000、特に好ましくは40,000〜300,000の範囲である。
また、特定重合体の分子量分布は、上記のMw/Mnが通常1.5〜10、好ましくは2〜8、更に好ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。
特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば特定重合体の構造単位dおよび構造単位bの種類若しくは構造単位dと構造単位bとの比の調整、あるいは添加剤の添加等により適宜変えることが可能であるが、通常は100〜250℃、好ましくは110〜200℃、更に好ましくは120〜180℃である。Tgが100℃未満の場合は、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、最終的に得られるフィルムの光学特性が温度により大きく影響を受けることがある。また、Tgが250℃を超えると、延伸加工等にTg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
構造単位dおよび構造単位bを有する特定重合体においては、構造単位dと構造単位bとの比(d/b)は、好ましくは、モル比ではd/b=95/5〜5/95、更に好ましくは95/5〜60/40である。構造単位dの割合が該上限以下であれば靱性改良の効果や光学特性が所望のものから外れることがなく、該下限値以上であればガラス転移温度が低くなったり、耐熱性に問題が生じたりすることがない。
更に、構造単位dおよび構造単位bを有する特定重合体において、当該重合体中の構造単位dと構造単位bの比率(組成比)は、分子量分布全範囲においてバラツキが小さいことが好ましい。具体的には、重合反応に供した特定単量体dと特定単量体bとの比率に対して、任意の分子量における組成比を、±50%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内のバラツキ範囲に収めることで、より一層均一なフィルムを得ることができる。また、こうした範囲に収めることで、延伸配向した際に、位相差のより一層の均一性を得ることが可能となる。
以下に、特定単量体d、および必要に応じて特定単量体bあるいはその他の共重合性単量体を開環重合することにより、あるいはこれらの単量体を開環重合した後、得られる開環重合体を水素添加することにより得られる特定重合体を製造するための条件について説明する。
開環重合触媒:
単量体の開環重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われることが好ましい。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB
族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49Li、(C253Al 、(C252 AlCl、(C251.5AlCl1.5 、(C25)AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定単量体dおよび特定単量体b(以下、双方を併せて「特定単量体」という。)とのモル比で(a)成分:特定単量体が、通常1:500〜1:50000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる範囲である。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
分子量調節剤:
特定重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
開環重合反応用溶媒:
開環重合反応において用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素類が好ましい。
溶媒の使用量としては、溶媒:特定単量体(質量比)が、通常1:1〜10:1となる量、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
水素添加:
以上の開環重合により得られる開環共重合体は、そのまま特定重合体として使用することもできるが、当該開環共重合体において残留するオレフィン性不飽和結合を水素添加された水素添加物とすることが好ましい。
この水素添加物は、優れた熱安定性を有するものとなり、フィルム製膜加工時および延伸加工時、あるいは製品としての使用時において、加熱によってその特性が劣化しにくくなる。このような水素添加物において、オレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は、50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上である。また、水素添加に供される開環重合体が分子内に芳香環を有するものである場合には、水素添加後において、当該芳香環が実質的に水素添加されていないことが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。なお、芳香環を有する置換基を分子内に有する開環重合体を水素添加する場合には、芳香環の不飽和結合が実質的に水素添加されない条件を選択することが好ましい。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環重合体:水素添加触媒(質量比)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
上記特定重合体は、上記成分からなる触媒を用い、前記溶媒中で、−20〜120℃の温度範囲で重合を行うことにより得ることができる。。
低レターデーションポリマーフィルムは、通常、溶液キャスト法を用いて次の<製膜法>の項に挙げる手順で製造されるが、本発明はこの手順に限定されるものではない。すなわち、低レターデーションポリマーフィルムは、例えば、上記特定重合体、酸化防止剤、必要に応じて添加される架橋剤、その他添加剤を含む溶液を用いて、溶液キャスト法によるフィルムを製造し、必要に応じてフィルムを架橋処理し、次いでフィルムを溶媒(I)の雰囲気下に曝し、次いでフィルムの残留溶媒の除去することにより製造することができる。また、溶融押出法を用いて得られたフィルムを溶媒(I)の雰囲気下に曝すことによっても製造することが可能である。
本発明において、特定重合体のフィルムを溶液キャスト法により製造するために用いる溶媒としては、該特定重合体が溶解し均一相を形成するもの(以下、「良溶媒」ともいう。)であれば特に制限はないが、好ましくは25℃において固形分濃度が20質量%でも均一に溶解できるもので、さらに、1気圧下での沸点が好ましくは30〜200℃、より好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃のものである。
沸点の低い溶媒はフィルムを形成する際、乾燥しやすいが、溶媒の揮発が速すぎ、表面のムラができやすい。一方、沸点の高い溶媒は乾燥しにくいがフィルムの表面のムラはできにくい。このため、沸点の異なる良溶媒2種以上からなる混合溶媒を用いてもよい。また、該特定重合体が析出しない範囲内で、該特定重合体を溶解しない溶媒(以下、「貧溶媒」ともいう。)を良溶媒に添加してもよい。さらに、得られたフィルムを貧溶媒の蒸気雰囲気下に曝すことにより、フィルムの残留溶媒のさらなる除去がなされることもある。
上記良・貧溶媒としては、例えば、シクロペンタン、シクロペンテン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、エタノール、イソプロピルアルコールブタノールなどのアルコール、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられ、前記特定重合体の溶解性により、良溶媒もしくは貧溶媒として使用する。
<製膜法>
次に低レターデーションポリマーフィルムの製膜法について説明する。
前記特定重合体のフィルムを製造する際のキャスティング組成物には、該重合体、該重合体を溶解する溶媒以外に、架橋剤、酸化防止剤、その他添加剤を含むことができる。特定重合体のフィルムは、キャスティング組成物をキャストした後、溶媒を蒸発・乾燥で除去する工程、または溶媒が除去された後の工程でフィルムに対して、該重合体の官能基の種類により異なるが、外部から加熱、活性光線の照射、水または水蒸気暴露などの処理を行うことにより架橋化できる。フィルムを架橋化することにより、耐熱性、耐薬品性、靭性、および寸法安定性がさらに向上したものとなる。以下に、架橋するための具体的方法を例示するが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
特定重合体のフィルムを架橋させる方法は、該重合体に含有される架橋に関わる官能基の種類により異なり、下記のように分類される。
1)側鎖置換基としてアクリロイル基、メタクリロイル基を有する特定重合体の場合、架橋剤として熱や活性光線などによりラジカルを発生させる過酸化物、アゾ化合物などのラジカル発生剤をキャスティング組成物に添加してフィルムを製造し、熱や活性光線などを添加したラジカル発生剤に対応する手段でラジカルを発生させて架橋させる。
2)側鎖置換基として加水分解性シリル基を有する特定重合体の場合、下記a)〜d)から選ばれた少なくとも1種の化合物をキャスティング組成物に添加してフィルムを製造し、対応する加熱処理や活性光線照射処理などにより架橋させる。
a)スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモンなどの金属酸化物、アルコキサイド化合物、フェノキサイド化合物、β−ジケトン化合物、アルキル化合物、ハロゲン化合物、有機酸塩化合物から選ばれた化合物…… 加熱処理
b)対アニオンがBF4,PF4,AsF6,SbF6,B(C654 などから選ばれた芳香族スルフォニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、メタロセンの鉄塩などの、50℃以上に加熱することで酸を発生する化合物…… 加熱処理
c)トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステルなどで、水または水蒸気の存在下、50℃以上に加熱することで加水分解し、酸を発生する化合物…… 水または水蒸気暴露および
加熱処理
d)g線、h線、i線などの紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの活性光線照射によりブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、ホスフォニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩などのオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物などのハロゲン化有機化合物、その他、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルフォニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルフォニルジアゾメタン化合物、スルフォニル化合物、有機酸エステル化合物、アミド化合物、有機酸イミド化合物…… 活性光線照射処理
3)側鎖置換基としてエステル基、カルボキシル基を有する環状オレフィン系重合体の場合、スズまたはアンチモンのハロゲン化物、アルコキシ化合物、有機カルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種の化合物と2〜4官能の多価アルコール化合物または2〜4官能のアミン化合物をキャスティング組成物に添加してフィルムを製造し、その後100℃以上に加熱することによりエステル交換反応を進行させて架橋させる。
上記の架橋処理の際に用いられる化合物は、前記特定重合体100質量部当たり、0.0001〜5.0質量部の範囲で配合して用いられる。
本発明における特定重合体には、所望により、他の樹脂やフェノール系やリン系の酸化防止剤、紫外線防止剤など配合することができる。また、コート層の表面粗さを小さくするためには、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などを用いることができる。これらの化合物は、溶媒と相溶性が良いものが好ましく、これら化合物のキャスティング組成物中の添加量は1〜50,000ppmの範囲である。
特定重合体のキャスティング組成物には、Si、Ti、Al、Zrなどの金属の多官能アルコキシ化合物およびそのオリゴマーから選ばれた少なくとも1種や粒径が200μm以下の微粒子状金属酸化物を含むことができる。これら化合物は、前記特定重合体のフィルムを製造する際の乾燥工程、およびその後の架橋処理工程の段階で共縮合して、ミクロ充填剤としての作用をする。これら添加剤を加えることにより、フィルムの硬さ、弾性率を高めることができる。
Si、Ti、Al、Zrの多官能アルコキシ化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシチタン、テトラエトキシアルミニウム、テトラエトキシジルコンが挙げられ、また、これら化合物のオリゴマーとしては、縮合度が4〜20の化合物を挙げられる。また、金属酸化物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの酸化物などが挙げられる。これらの化合物の添加は、キャスティング組成物を調製する際に行われ、その添加量は特定重合体100質量部に対して、5〜50質量部添加することができる。添加量が5質量部以上であれば、フィルムの硬さ、弾性率を高める効果が所望のものとなり、一方、50質量部以下であれば、フィルムの透明性が損なわれることがない。
前記キャスティング組成物における特定重合体の溶液濃度は、通常5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。該重合体の濃度が該下限値以上であればフィルムの厚さの調整が容易であり、一方、濃度が該上限値以下であれば粘度が高くなりすぎたり、溶液キャスト法による製膜の作業性や得られたフィルムの表面性などが悪くなったりすることがない。
本発明において、フィルムをキャストする方法(製膜するための塗布方法)には特に限
定はなく、ポリエステルフィルム、スチールなどの基板上に、はけやブラシを用いた塗布、スプレーによる吹き付け、スクリーン印刷法、フローコーティング、スピンコーティング、ディップ塗装、ロールや平板に塗布するなどの方法を用いて行われる。
本発明において、塗布されたキャスティング組成物の乾燥方法には特に限定はなく、長時間の放置もあるが一般的には多段階に乾燥温度を30〜50℃の低温から100〜200℃の高温に昇温し、フィルムの残留溶媒が3質量%以下、好ましくは1質量%以下になるまで乾燥する。
本発明においては、溶液キャスト法もしくは溶融押出法により得られたフィルムを、該フィルムに含まれる特定重合体が溶解する溶媒(I)の雰囲気下に曝すことが特に好ましく、重要な技術として挙げられる。さらに、前記溶媒(I)の雰囲気下に曝した後、該フィルムの四辺を固定した状態でフィルム中の溶媒を蒸発させる方法を組み合わせると、フィルム中のポリマー分子鎖の配向を低減させることが可能となり、高温高湿下で安定にレターデーションを発現できる光学積層体を得る上で特に好ましい。ここで、「溶媒(I)の雰囲気下に曝す」とは、溶媒(I)の蒸気もしくは気体と、または、該フィルムに含まれる特定重合体が溶解しない溶媒に溶媒(I)が該フィルムに含まれる特定重合体が溶解しない範囲で混合された混合溶媒と、溶液キャスト法もしくは溶融押出法により得られたフィルムを接触させることを意味する。係る溶媒(I)としては、上記キャスティング組成物の調製に用いることができる良溶媒が挙げられる。また、キャスティング組成物の調製に用いた良溶媒と同種の溶媒を溶媒(I)として用いてもよいし、キャスティング組成物調製に用いた良溶媒とは異なる種の良溶媒を溶媒(I)として用いてもよい。さらに、良溶媒を複数種組み合わせて用いることも可能である。
溶媒(I)の蒸気または気体と接触させる場合、溶媒(I)の濃度は、処理後のフィルムの表面性に影響を与えない範囲である必要があり、通常、1〜85体積%、好ましくは5〜70体積%、さらに好ましくは10〜60体積%である。また、係る処理を行う際の処理温度としては、通常、0〜120℃、好ましくは10〜100℃である。さらに、処理時間としては、通常、1〜120分、好ましくは5〜60分である。一方、混合溶媒と接触させる場合も、処理後のフィルムの表面性に影響を与えないことが必要であり、溶媒(I)の濃度は、通常、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜25質量%である。また、処理温度は、通常、0〜60℃、好ましくは5〜40℃であり、処理時間としては、通常、1〜120分、好ましくは5〜60分である。係る処理は、バッチ式方法または連続式方法で行われる。なお、係る処理は、本発明における未架橋のフィルムにも適用できるが、架橋されたフィルムである方が、表面性低下や寸法もしくは形状変化が発生しにくいため好ましい。
本発明においては、上記溶媒(I)の雰囲気に曝す処理を施したフィルムは、再度、乾燥などにより残留溶媒を除去することが好ましい。係る残留溶媒を除去のために、熱による通常の乾燥のほか、前記特定重合体を溶解しない、1気圧下での沸点が100℃以下の溶媒(II)に1分〜1時間浸漬するか、溶媒(II)の蒸気または気体に1分〜1時間曝露した後、50〜150℃で5分から2時間の範囲で乾燥する方法が有効であり、係る処理によりフィルム中の残留溶媒を0.1質量%以下にすることができる。係る溶媒(II)としては、上記キャスティング組成物の調製における貧溶媒のうち、沸点が条件に合致するものを適宜選択できるが、通常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルが用いられる。
<フィルムの表面処理>
前記低レターデーションポリマーフィルムは偏光子との密着を確保するため、少なくとも一方の表面が親水化処理されていることが好ましい。
表面処理方法としては、例えば特開2000-24167号、特開平10-130402号、特開2002-148436号、特開2002-90546号、特開2001-350017号の各公報に記載の接着層を設ける方法、また、特開2001-350018号公報に記載のコロナ放電処理等の表面処理により親水性を付与することもできる。
次に本発明の光学積層体に前記低レターデーションポリマーフィルムとともに好適に組み込まれるもう一つの光学ユニットである光学異方性層について説明する。
<光学異方性層>
本発明に適用される光学異方性層は非液晶性ポリマーまたは液晶性化合物を含有することが好ましい。
(光学異方性層のレターデーション)
本発明の光学異方性層のReは0以上500nm以下が好ましく、0以上400nm以下がさらに好ましい。Rthの絶対値は0以上1000nm以下が好ましく、0以上500nm以下がさらに好ましい。
(非液晶性ポリマーを含有する光学異方性層)
まず非液晶性ポリマー、および該非液晶性ポリマーを含有する光学異方性層について説明する。
本発明で用いられる光学異方性層を形成するポリマーとしては、ジメチルホルムアミド溶媒によるポリエチレンオキサイドを標準試料として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した質量平均分子量(Mw)が1万以上かつ40万以下の範囲にあるものが挙げられる。この質量平均分子量が1万以上のポリマーを用いれば、高い複屈折を有する複屈折層が得られ、さらにクラックの発生を防止でき、質量平均分子量が40万以下のポリマーを用いれば、位相差のバラツキが防止される。これは、ポリマー溶液を塗工して前記光学異方性層を形成する場合、質量平均分子量が40万以下のポリマーの溶液は粘度が高くなりすぎず、基材などへのポリマー溶液の塗工が容易になり、その結果、均一な光学異方性層が形成可能となるからである。また、質量平均分子量が40万以下のポリマーを用いてポリマー溶液を調製する場合は、ポリマーの可溶性が高いため、使用する溶媒量を少なくすることができる。その結果、塗工層の厚みを薄くすることができ、精密塗工が可能となる。光学異方性層を形成するポリマーの質量平均分子量(Mw)は、より好ましくは1万以上30万以下、さらに好ましくは1万以上20万以下である。
非液晶性ポリマーは、例えば、液晶性ポリマーとは異なり、基板の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示す膜を形成することができる。このため、例えば、使用する基板としては、配向基板に限定されることもなく、例えば、未配向基板であっても、その表面に配向膜を塗布する工程や配向膜を積層する工程等を省略することができる。
本発明で用いられる非液晶性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、耐熱性、耐薬品性に優れ、剛性に富み、透明性に優れる等の理由から、特に二軸性フィルムの材料として適している。これらのポリマーは特に限定はなく、従来公知のポリマー材料を適宜使用でき、単独で又は任意の組み合せで用いることができる。
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合
生成物を含み、下記一般式(6)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
一般式(6)
Figure 2006243266
前記一般式(6)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
前記一般式(6)中、Zは、例えば、C6〜20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記一般式(7)で表される基である。
一般式(7)
Figure 2006243266
前記一般式(7)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R72基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC(R93である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC6〜20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C1〜10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(8)または(9)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(10)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記一般式(10)のポリイミドは、下記一般式(8)のホモポリマーの好ましい形態である。
Figure 2006243266
前記一般式(8)〜一般式(10)中、GおよびG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH32基、C(CF32基、C(CX32基(ここで、Xは、ハロゲン原子である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH32基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
前記一般式(8)および一般式(10)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基
、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素があげられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
前記一般式(8)〜一般式(10)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
前記一般式(9)中、R10は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から独立して選択される基である。その中でも、R10は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(10)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン原子、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−3アルキル基、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。
前記一般式(8)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記(11)で表されるもの等があげられる。
Figure 2006243266
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげられる。
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物と
しては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。
前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。
前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。
前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ
)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(12)で表されるポリアリールエーテルケトンがあげられる。
一般式(12)
Figure 2006243266
前記一般式(12)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。aは、フッ素原子Fの置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげられる。
前記一般式(12)中、qおよびaは、0から4までの整数である。前記一般式(12)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。また、前記一般式(12)中、R1は、下記一般式(13)で表される基であり、mは、0または1の整数である。
一般式(13)
Figure 2006243266
前記一般式(13)中、X’は置換基を表し、例えば、前記一般式(12)におけるXと同様である。前記一般式(13)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q’は、前記X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。bはフッ素原子Fの置換数を表し、0から4までの整数である。
前記一般式(13)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、
ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記(14)〜(20)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
Figure 2006243266
前記一般式(12)中、前記R1としては、下記一般式(21)で表される基が好ましく、下記一般式(21)において、R2およびpは前記一般式(13)と同義である。
一般式(21)
Figure 2006243266
さらに、前記一般式(12)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
さらに、前記一般式(12)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。なお、下記式において、nは前記一般式(12)と同様の重合度を表す。
一般式(22)
Figure 2006243266
前記一般式(12)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記(23)〜(26)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、前記一般式(12)と同様の重合度を表す。
Figure 2006243266
また、これらの他に、前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(27)で表すことができる。
一般式(27)
Figure 2006243266
前記一般式(27)中、Yは、OまたはNHである。また、Eは、例えば、共有結合、C2アルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX32基(ここで、Xはハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、および、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、C1−3アルキル基およびC1−3ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基またはY基に対してメタ位またはパラ位にある。
また、前記一般式(27)中、AおよびA’は、置換基であり、tおよびzは、それぞ
れの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C1−9アルコキシカルボニル基、C1−9アルキルカルボニルオキシ基、C1−12アリールオキシカルボニル基、C1−12アリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、C1−12アリールカルバモイル基、ならびに、C1−12アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせがあげられる。前記tは、0から4までの整数であり、前記zは、0から3までの整数である。
前記一般式(27)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(28)で表されるものが好ましい。
一般式(28)
Figure 2006243266
前記一般式(28)中、A、A’およびYは、前記一般式(27)で定義したものであり、vは0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞれ0または1であるが、共に0であることはない。
非液晶性ポリマーを含む光学異方性層の製造は、例えば、以下に示すようにして行うことができる。まず基材上に、光学異方性層を形成する前記所定のポリマーを塗工して前駆層を形成する。塗工方法としては、特に限定されないが、例えば、前述のようなポリマーを加熱溶融して塗布する方法や、前記ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液を塗布する方法等があげられる。その中でも、作業性に優れ、光学異方性制御の点から、前記ポリマー溶液を塗布する方法が好ましい。
前記ポリマーの塗工工程により、製造される光学異方性層の厚みを調節することができる。例えば、前記ポリマー溶液を塗布する方法においては、基材の面積(cm2)あたりの前記ポリマーの塗工量を調節して、光学異方性層の厚みを調節することができる。
本発明の非液晶性ポリマーを含む光学異方性層の厚みは0.1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がさらに好ましい。
ポリマー溶液の溶媒としては、ポリマーを溶解させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。
前記ポリマー溶液の粘度は、塗工が容易な粘度が好ましい。塗工が容易であれば、前記したように均一な光学異方性層の形成が可能となるからである。その粘度は、例えば、0.1〜12Pa・s、好ましくは1〜10Pa・s、より好ましくは1〜5Pa・sである。前記ポリマー溶液における前記ポリマーの濃度は、特に制限されないが、用いる非液晶性ポリマーの質量平均分子量を考慮に入れて、溶液の粘度が前記の範囲になるように調整されることが好ましい。前記ポリマーの濃度は、溶媒100質量部に対して、例えば、前記ポリマー5〜50質量部であり、好ましくは10〜40質量部である。
前記ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。また、前記ポリマー溶液は、例えば、前記ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等があげられる。
このように、前記他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、前記ポリマーに対して、例えば、0〜50質量%であり、好ましくは、0〜30質量%である。
また塗工処理は、スピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等の適宜な方法で行うことができる。塗工に際しては、必要に応じポリマー層の重畳方式なども採ることができる。
また、前記ポリマーを塗工する際に、基材上に一方向に応力を加えながら塗工したり、基材に対して一方向から風などを送りながら塗工してもよい。
次いで、前記前駆層を固化させて基材上に光学異方性層を形成する。固化の方法としては、塗工後、自然乾燥(風乾)又は例えば25〜180℃、好ましくは80〜170℃、より好ましくは60〜150℃で加熱する方法がある。乾燥または加熱の時間は、その温度や、前駆層への溶媒の使用の有無、その溶媒の種類等により決定されるが、例えば0.5〜30分、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜15分、行うことができる。
本発明の光学異方性層を製造する方法においては、基材と光学異方性層との積層体を延伸する工程をさらに含んでもよい。前記積層体の延伸方法としては、特に制限されず、例
えば、固定端延伸や、従来公知の方法が適用できる。テンター横延伸や、長軸方向の延伸倍率が短軸方向の延伸倍率よりも小さい二軸延伸が好ましい。二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロールーテンター法による逐次二軸延伸のいずれでも良い。延伸倍率は、延伸方法によって異なるが、例えば前記積層体を1〜200%延伸する。延伸時の加熱温度は、使用する基材のガラス転移点(Tg)や添加物の種類などに応じて適宜選択されるが、例えば80〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜200℃である。特に、用いる基材のTg付近またはTg以上であるのがよい。
次に、基材上に直接形成された光学異方性層を、さらに低レターデーションポリマーフィルムと対向するように接着させ、基材のみを剥離する工程を行うことが好ましい。このように低レターデーションポリマーフィルムに前記光学異方性層を転写して、前記基材を剥離することによって形成された前記光学異方性層と前記低レターデーションポリマーフィルム)との積層体を製造し、本発明の光学積層体を得ることもできる。
前記基材としては、適宜な材料を用いることができ限定されるものではない。例えば、ガラス転移点(Tg)の低い高分子フィルム、弾性率の高い高分子フィルム、材料との線膨張が同等もしくはそれより大きい基材、熱伝達率が高い基材、アスペクト比が高い基材、厚みの薄い基材などが挙げられる。前記基材に伸縮性を持たせるには、基材の固定なしに乾燥し、全方位に収縮性を持たせる方法、少なくとも一方向以上固定しそれ以外に収縮性をもたせる方法、金属ベルトの線膨張を利用する方法、フィルム搬送時にテンター固定で収縮制御する方法、事前に基材を膨張させて乾燥により収縮率を上げる方法、基材に乾燥工程前に延伸をかけて、硬化収縮させる方法、基材に乾燥工程中あるいは工程後に延伸をかける方法などを用いることができる。その方法は限定されるものではない。
前記基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜決定することができるが、強度や薄層化などの点より、例えば5〜500μmであり、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜150μmの範囲であるのがよい。
(液晶性化合物を含有する光学異方性層)
以下、液晶性化合物、および該液晶性化合物を含有する光学異方性層について説明する。
(ネマティック液晶性層)
本発明における光学異方性層に用いられる液晶性化合物としてはディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物を好ましく用いることができる。重合性基を有しているディスコティック液晶性化合物または棒状液晶化合物がさらに好ましい。
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(例えば、C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
特開平8−50286号公報に記載されるディスコティック液晶性化合物を用いることが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけでは
なく、高分子液晶性化合物も用いることができる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)の棒状液晶性化合物である。
(I) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
一般式(I)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy1,Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1または2である。
以下にさらに一般式(I)の棒状液晶性化合物について説明する。
上記したように一般式(I)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2006243266
L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基である。L1およびL4はそれぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基,置換アルキレン基,アルケニレン基,置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、ブタメチレン、1−メチル−ブタメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1,Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
L2またはL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L2およびL3はそれぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはL1およびL4の定義と同義である。
式(I)において、nは0、1または2である。nが2の場合、二つのL3は同じであっても異なっていても良く、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキ
サン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルホ゛ニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、式(I)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006243266
Figure 2006243266
Figure 2006243266
Figure 2006243266
ディスコティック液晶性化合物及びあるいは棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
光学異方性層の厚さは、0.5乃至100μmであることが好ましく、0.5乃至30μmであることがさらに好ましい。
配向させた液晶性化合物を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20乃至5000mJ/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
(コレステリック液晶層)
さらに、本発明における光学異方性層は、コレステリック液晶層であることも好ましい。コレステリック液晶性を示す化合物は、コレステリック液晶の平均屈折率をnc、螺旋ピッチをP(nm)とした場合に、螺旋軸に平行に光が入射すると、nc×Pの値に等しい光波長を中心として選択反射が生じる。本発明においては、可視光領域において、このような選択反射が生じないように、nc×Pの値が可視光領域から外れるように材料を選定したものを用いるのが好ましい。コレステリック液晶層の選択反射波長帯域は100〜320nmの範囲に制御するのが好ましい。
コレステリック液晶層は、液晶状態においてコレステリック液晶相を呈するものであれば特に制限はない。コレステリック液晶層は単層または2層以上とすることができる。コレステリック液晶層の形成は液晶性化合物とカイラル剤により行うことができる。カイラル剤は、液晶性化合物との合計に対して、7質量%以上含有してなり、下記式で表されるねじり力(nm-1・質量%-1):ねじり力=1/{コレステリック液晶層の選択反射波長(nm)×カイラル剤質量比(質量%)}が、1×10-6(nm-1・質量%-1)以上になるよう調整されていることが好ましい。
前記ねじり力は光学特性の点から、1×10-6(nm-1・質量%-1)以上であるのが好ましく、さらには1×10-5(nm-1・質量%-1)以上、1×10-4(nm-1・質量%-1)以上であるのがコストの面からより好ましい。またこのカイラル剤の質量は、液晶性化合物に対して7質量%以上であるのが好ましく、特に7. 5〜17質量%であると非常に優れた光学特性を示すためより好ましい。
コレステリック液晶層の形成法としては、たとえば、重合性液晶モノマーを塗布、配向後、硬化して固定する方法と、液晶ポリマーを塗布、配向後、固定する方法があげられる。
前記重合性液晶モノマーとしては、たとえば、ネマティック液晶性またはスメクチック液晶性モノマーがあげられる。これらネマティック液晶性モノマー等には液晶状態においてコレステリック液晶相を呈するように、コレステリック液晶性モノマーやカイラル剤が配合される。
ネマティック液晶性モノマー等は、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性官能基を有し、これに環状単位等からなるメソゲン基を有するものがあげられる。また重合性官能基として、アクリロイル基、メタアクリロイル基等を2つ以上有するものを用いて架橋構造を導入して耐久性を向上させることもできる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロへキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系等があげられる。なお、これら環状単位の末端は、例えば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
カイラル剤としては、光学活性基を有し、ネマティック液晶性モノマー等の配向を乱さないものであれば特に制限されない。カイラル剤は液晶性を有していてもよく液晶性を有しなくてもよいが、コレステリック液晶性を示すものを好ましく使用できる。カイラル剤は反応性基を有するもの、有しないもののいずれも使用できるが、硬化して得られるコレステリック液晶配向フィルムの耐熱性、耐溶剤性の点では反応性基を有するものが好ましい。反応性基としては、たとえば、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アジド基、エポキシ基などがあげられる。
なお、前記コレステリック液晶層の形成に、重合性液晶モノマーを用いた場合には、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は各種のものを特に制限なく使用できる。光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907,同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の添加量は、サーモトロピック液晶性化合物の配向性を乱さない程度に加えられる。通常、重合性液晶モノマー100質量部に対して、0.5〜30質量部程度が好ましい。特に3〜15質量部が好ましい。
前記液晶ポリマーとしては、たとえば、コレステリック性の液晶配向を示す主鎖型、側鎖型またはこれらの複合型の各種骨格の液晶ポリマーを使用できる。液晶ポリマーは、液晶状態においてコレステリック液晶相を呈するように、液晶ポリマー中にカイラル成分を導入することにより調製することができる。また、液晶ポリマーとしてネマチック系液晶ポリマーを用い、液晶状態においてコレステリック液晶相を呈するように、これにカイラル剤を含有させることができる。
主鎖型の液晶ポリマーとしては、芳香族単位等からなるメソゲン基を結合した構造を有する縮合系のポリマー、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリエステルイミド系などのポリマーがあげられる。メソゲン基となる前記芳香族単位としては、フェニル系、ビフェニル系、ナフタレン系のものがあげられ、これら芳香族単位は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
側鎖型の液晶ポリマーとしては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリシロキサン系、ポリマロネート系の主鎖を骨格とし、側鎖に環状単位等からなるメソゲン基を有するものがあげられる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロへキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系等があげられる。なお、これら環状単位の末端は、たとえば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
前記重合性液晶モノマー、液晶ポリマーのいずれのメソゲン基も屈曲性を付与するスペーサ部を介して結合していてもよい。スペーサ部としては、ポリメチレン鎖、ポリオキシメチレン鎖等があげられる。スペーサ部を形成する構造単位の繰り返し数は、メソゲン部の化学構造により適宜に決定されるがポリメチレン鎖の繰り返し単位は0〜20、好ましくは2〜12、ポリオキシメチレン鎖の繰り返し単位は0〜10、好ましくは1〜3である。
液晶ポリマーの分子量は特に制限されないが質量平均分子量に基づき2千〜10万程度のものが好ましい。液晶ポリマーの質量平均分子量が大きくなると、液晶としての配向性が乏しくなって液晶ポリマーが均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があることから、液晶ポリマーの質量平均分子量は、5万以下とするのがより好ましい。また、液晶ポリマーの質量平均分子量が小さくなると非流動層としての成膜性に乏しくなる傾向があることから、液晶ポリマーの質量平均分子量は、2.5千以上とするのがより好ましい。
前記液晶性化合物(重合性液晶モノマーや液晶ポリマー)の展開は、加熱溶融方式で行うことができ、また溶剤による溶液として行うことができる。溶剤としては、通常、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベン
ゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、シクロヘキサノンなどを用いることができる。溶液の濃度は、液晶性化合物の溶解性やコレステリック液晶層の膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50質量%、好ましくは7〜30質量%の範囲である。溶液の塗工後、溶媒を除去し、基板上に液晶層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶ポリマー層または液晶性組成物層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
前記液晶性化合物の塗工方法は、前述の方法を採用できる。コレステリック液晶層を形成する基材は、通常、配向処理されている。配向基材としては、従来知られているものを採用できる。たとえば、基板上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる薄膜を形成して、それをレーヨン布等でラビング処理したラビング膜、斜方蒸着膜、シンナメートやアゾベンゼンなど光架橋基を有するポリマーあるいはポリイミドに偏光紫外線を照射した光配向膜、延伸フィルムなどが用いられる。その他、磁場、電場配向、ずり応力操作により配向させることもできる。また配向基材として延伸フィルムを用いた場合には、配向処理が不要となるので製造工程を簡略化することができる。延伸フィルムとしては、たとえば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等を例示できる。
次いで、前記基材フィルム上に形成された液晶層を液晶状態とし、コレステリック配向させる。たとえば、液晶層が液晶温度範囲になるように熱処理を行う。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
熱処理温度は、液晶性化合物の種類により異なるため一概には言えないが、通常60〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲において行う。また熱処理時間は、熱処理温度および使用する液晶性化合物の種類によって異なるため一概には言えないが、通常10秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分の範囲で選択される。
熱処理終了後、冷却操作を行い配向を固定する。冷却操作としては、熱処理後のコレステリック液晶層を、熱処理操作における加熱雰囲気中から、室温中に出すことによって行うことができる。また空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。前記コレステリック液晶層は、液晶性化合物のガラス転移温度以下に冷却することにより配向が固定化される。
液晶性化合物として、重合性液晶モノマーを含有している場合には、このように固定化されたコレステリック液晶層に対して、光照射を行い光重合性液晶化合物を重合または架橋させて光重合性液晶化合物を固定化して、耐久性を向上したコレステリック液晶層を得る。光照射は、たとえば、紫外線照射により行う。紫外線照射条件は、十分に反応を促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。通常、約80〜160mW/cm2 の照度を有する高圧水銀紫外ランプが代表的に用いられる。メタハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時の液晶層表面温度が液晶温度範囲内になるように、コールドミラー、水冷その他の冷却処理あるいはライン速度を速くするなどして適宜に調整する。
前記(非液晶性ポリマーを含有する光学異方性層)の項で述べたと同様にして、液晶性化合物を含有する光学異方性層は、該光学異方性層を別のフィルム上に形成したものを、前記低レターデーションポリマーフィルムに転写することにより作成しても良い。
<延伸ポリマーフィルム>
本発明の光学積層体は本発明の低レターデーションフィルムに対して偏光子と反対側に延伸ポリマーフィルムを含有してもよい。
ポリマーフィルムとしては、特に限定されず、フィルム延伸により光学異方性を付与することができる材料で、複屈折の制御性、透明性、耐熱性に優れる材料が好ましい。未延伸ポリマーフィルムは、単独で使用しても良いし二種類以上混合して使用しても良い。例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリノルボルネン系ポリマー、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、セルロースエステルおよびそれらの共重合体等が使用可能である。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムもあげられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換若しくは非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換若しくは非置換のフェニル基およびシアノ基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。
前記未延伸ポリマーフィルムの製造方法は特に制限されず、通常の方法を用いることができる。押し出し法又は流延製膜法が、延伸後のポリマーフィルムの複屈折のムラを少なくできるので、好ましい。前記未延伸ポリマーフィルムは、例えば、3mm以下、好ましくは1μm〜1mm、特に好ましくは5〜500μmの厚さのものが用いられる。
前記未延伸ポリマーフィルムの延伸方法としては特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、テンター横延伸や二軸延伸が挙げられる。二軸延伸は、長軸方向の延伸倍率が短軸方向の延伸倍率よりも小さいのが好ましい。また、二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロールーテンター法による逐次二軸延伸のいずれの方法でも用いることができる。
前記未延伸ポリマーフィルムの延伸倍率は、延伸方法によって異なるが、通常前記未延伸ポリマーフィルムの長さに対して、101〜250%延伸する。前記未延伸ポリマーフィルムの延伸倍率は、前記未延伸ポリマーフィルムの長さに対して、101〜200%が好ましい。
前記未延伸ポリマーフィルムを延伸する温度は、使用する前記未延伸ポリマーフィルムのガラス転移点(Tg)や前記未延伸ポリマーフィルム中の添加物の種類などに応じて適宜選択される。前記未延伸ポリマーフィルムを延伸する温度は、例えば80〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜200℃である。特に、前記未延伸ポリマーフィルムを延伸する温度は、延伸される前記未延伸ポリマーフィルムのTg付近またはTg以上であるのが好ましい。
延伸ポリマーフィルムの厚さは、対象となる画像表示装置の画面の大きさに応じて適宜に決定することができる。前記延伸ポリマーフィルムの厚さは、例えば1mm以下、好ましくは1〜500μm、特に好ましくは5〜300μmである。
前記延伸ポリマーフィルムのレターデーションは、以下の数式(D)および(E)を満たすのが好ましい。
20(nm)≦Re≦300(nm) (D)
1.2≦Rth/Re (E)
数式(D)に示すReは、好ましくは25≦Re≦250であり、より好ましくは30
≦Re≦200である。また、数式(E)に示すRth/Reは、好ましくは1.5≦Rth/Reであり、より好ましくは2≦Rth/Reである。
<光学補償機能付き積層偏光板>
本発明の光学積層体は、各種の光学用途、具体的には、各種液晶表示素子の光学補償部材として利用することができる。例えば、工業的に製造されているヨウ素系や染料系の偏光板(または偏光子)と本発明の光学積層体とを組み合わせることにより、液晶表示素子の複屈折性を補償、調整する機能を有する積層偏光板とすることができる。
以下に本発明の偏光板について詳しく説明する。
本発明の光学積層体と任意に組み合わせて用いる偏光板は、特に限定されないが、その基本的な構成は、偏光子の片側または両側に、保護フィルムを積層したものであり、少なくとも片側の保護フィルムは本発明の光学積層体が兼ねることが好ましい。
前記偏光子(偏光フィルム)としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはヨウ素または二色性染料を吸着配向させたPVA系フィルムである。また、前記偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
本発明の光学積層体と反対側の保護フィルムとしては、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような保護フィルムの材質の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物、液晶ポリマー等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが好ましい。
また、前記保護フィルムは、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、Rthが、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記Rthが−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。
本発明の光学積層体と反対側の保護フィルムの厚みは、40μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは60〜150μmの範囲である。
また、本発明の光学積層体と反対側の保護フィルムは、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等
が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、保護フィルムの表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記保護フィルムの表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記保護フィルムを形成する方式等があげられる。
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、例えば、前述のような透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部の範囲である。
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、保護フィルムそのものとして使用することもでき、また、保護フィルム表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視野角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記保護フィルムとは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
各構成物同士(光学積層体、偏光子、保護フィルム等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や保護フィルムの表面に塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。
なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。
偏光板と本発明の光学積層体を積層して本発明の光学補償機能付き偏光板を形成する場合、両者を接着層や粘着層等の適宜な接着手段を用いて積層することができるが、これに限定されるものではない。
本発明の光学積層体は前記の光学異方性層以外に各種位相差板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等と組合せて用いることもできる。位相差板としては、ポリマーを一軸延伸したもの、二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性高分子を塗布したもの等が挙げられる。拡散制御フィルムは、視野角を制御するための拡散、散乱、屈折を利用したフィルムや、解像度に関わるギラツキ、散乱光等を制御する拡散、散乱、屈折を利用したフィルム等を用いることができる。輝度向上フィルムは、コレステリック液晶の選択反射とλ/4板を用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異方性散乱を利用した散乱フィルム等を用いることができる。また、ワイヤーグリッド型偏光子と組合せて用いてもよい。
本発明による偏光板は、各種液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができるが、その適用に際しては、必要に応じ接着層や粘着層を介して、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルムなどの他の光学層の1層または2層以上を積層することができる。
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、本発明の偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型偏光板は、本発明の偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
前記反射型偏光板は、例えば、前記弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、前記偏光板における保護フィルムの片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした保護フィルムの上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記保護フィルムの凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
また、前述のように偏光板の保護フィルムに前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、保護フィルムの別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射
し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
本発明の偏光板に、さらに輝度向上フィルムを積層して光学フィルムや積層偏光板等を作製することができる。
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D−BEF」等があげられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等があげられる。
本発明の光学積層体は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
本発明の偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、前記光学積層体や偏光板等の片面または両面に配置することができる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。前記光学積層体や偏光板等の表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記光学積層体や偏光板等の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記光学積層体や偏光板等の所定面に移着する方式等によって行うことができる。
偏光板に設けた粘(接)着層が表面に露出する場合には、その粘(接)着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的にセパレータにて仮着カバーすることが好ましい。このセパレータは、前記保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
なお、偏光板を構成する偏光子や保護フィルム、粘(接)着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式等の適宜な方式により紫外線吸収能を持たせたもの等であってもよい。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができ、例えば、本発明の偏光板を液晶セルの片側又は両側に配置して反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置とすることができる。液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってよい。
例えばSTN(Super Twisted Nematic)セル、TN(Twisted Nematic)セル、IPS(In−Plane Switching)セル、VA(Vertical Aligned)セル、OCB(Optically Aligned Birefringence)セル、HAN(Hybrid Aligned Nematic)セル、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)セル、強誘電・反強誘電セル及びこれらに規則正しい配向分割を行ったもの、ランダムな配向分割を行った物等の各種のセルが含まれる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。なお例中、「部」とあるのは特記しない限り質量部を意味する。
[作製例1]
(低レターデーションポリマーフィルム1の作製)
(樹脂Aの合成)
窒素置換した反応容器に、特定単量体dとして8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 227部と、特定単量体eとして5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 26部と、分子量調節剤として1−ヘキセン 17部と、溶媒としてトルエン 753部とを仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム1.5モル/lを含有するトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)を含有する濃度0.05モル/lのトルエン溶液3.8部とを添加し、この系を85℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は96%であり、得られた開環共重合体溶液を構成する開環共重合体の30℃のクロロホルム中における固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.64dl/gであった。
得られた開環共重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム:RuHCl(CO)[P(C6533 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂(A)」)を得た。
<フィルムA−1の作製>
樹脂(A)をトルエンに濃度が30%となるように溶解した。得られた溶液の室温における溶液粘度は30,000mPa・sであった。
この溶液に、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、樹脂(A)100質量部に対
して0.1質量部を添加し、得られた溶液を日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した後、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製の「INVEXラボコーター」を用い、アクリル酸系表面処理剤によって親水化(易接着性化)処理された、厚みが100μmのPETフィルム(東レ(株)製の「ルミラーU94」)に塗布した。
次いで、得られた液層に対して、50℃で一次乾燥処理を行い、更に、90℃で二次乾燥処理を行った後、PETフィルムから剥離させることにより、厚さ82μmのフィルム(A−1)を形成した。得られたフィルム(A−1)の残留溶媒量は0.5質量%であり、光線透過率は93%以上であった。 Reは3nm、Rthは11nmであった。
[作製例2]
<フィルムA−2の作製>
フィルムA−1を30cm×30cmに切り出し、30℃で1時間シクロヘキサンの蒸気雰囲気下に曝した。そのフィルム中に残留しているシクロヘキサンを除去するために、フィルムを25℃で30分間、塩化メチレンの蒸気雰囲気下に曝した。その後、フィルムの四辺を固定した状態で140℃で40分乾燥し、フィルムA−2を得た。厚みは80μm、Reは1nm、Rthは3nmであった。
[作製例3]
<フィルムB−1の作製>
JSR(株)製アートンを塩化メチレンに溶解した後、キャスティング法により厚さ42μmのフィルムB−1を作製した。このフィルム(B−1)のReは5nm、Rthは13nmであった。
[作製例4]
<フィルムC−1の作製>
イソブテンおよびN−メチルマレイミドからなる交互共重合体(N−メチルマレイミド含有量50モル%,ガラス転移温度157℃)81部と、アクリロニトリルの含有量が26%であるアクリロニトリル−スチレン共重合体19部とを塩化メチレンに溶解し、固形分濃度15%の溶液を得た。この溶液をガラス板状に敷いたポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製,テトロンHS)上に流延し、室温で60分間放置した。そのフィルムを剥がし、4片固定治具に挟んで、100℃で10分間乾燥後に、140℃で10分間、さらに160℃で30分間乾燥して、厚さ72μmの保護フィルムを得た。保護フィルムのReは8nm、Rthは8nmであった。
[作製例5]
<フィルムD−1の作製>
酢化度61.0%のセルロースアセテートをメチレンクロライドに溶解し、ステンレスバンド上に流延した。残留溶剤含率が40%になるまで80℃で乾燥したのち、バンドから剥ぎ取り、さらに130℃で20分間乾燥させて、セルロースアセテートフィルムD−1を作製した。厚みは81μm、Reは3nm、Rthは48nmであった。
(光学特性の測定)
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い25℃60%RHでRe及びRthを測定した。測定波長は590nmとした。結果を表1に示す。
(光弾性係数の測定)
3.5cm×12cmに切り出してフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReを測定し、応力に対するRe変
化の直線の傾きから光弾性係数を算出した。測定波長は450nm及び630nmについておこない、450nmにおける光弾性係数の630nmにおける光弾性係数に対する比を算出した。結果を表1に示す。
(透湿度の測定)
JIS Z−0208にしたがって、60℃、95%RH、24時間における透湿度を測定した。
Figure 2006243266
[実施例1]
(光学積層体の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキジフェニル)ヘキサフルオロプロパン)および2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド(質量平均分子量59,000)をシクロヘキサノンに溶解し、15質量%のポリイミド溶液を調製した。このポリイミド溶液を、厚み80μmのPETフィルム上に塗工し、温度150℃で10分乾燥させながら、テンター横延伸をおこなった。延伸倍率は、2.5倍であった。また、形成した光学異方性層の厚みは9μmであり、光学特性は、Reが63nm、Rthが200nmであった。そして、前記PETフィルム上の光学異方層と実施例1で作製した低レターデーションポリマーフィルム(A−2)とを、厚み14μmのアクリル系粘着剤を介して接着した後、前記PETフィルムを剥離して、光学積層体(A−2)を得た。
[比較例1]
フィルムA−1、B−1、C−1、D−1についても同様にして光学積層体A−1、B−1、C−1、D−1を作製した。
[実施例2]
(偏光子の作成)
重合度1700、厚さ39μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水浴にて膨潤した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液からなる30℃の染色浴にて約3倍に延伸した。次いで、ホウ酸とヨウ化カリウムの入った50℃の架橋浴にて総延伸倍率が5.5倍になるように延伸し、架橋した。これを、35℃のヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して色相の調整を行った。さらに水洗、乾燥して、厚さ18μmの偏光子を得た。この偏光子の水分率は14%であった。また波長900nmにおける複屈折率(Δn)は0.0482、透過率は43%、偏光度は99.9%であった。
なお、複屈折率は、900nmの波長光により、平行ニコル回転法を用いて位相差値(Δnd)を求め、厚さd(nm)で割ることにより求めた。
透過率は、分光光度計(村上色彩技術研究所製,DOT−3)を用いて測定し、JIS
Z8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
偏光度は、2枚の同じ偏光子を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0)と直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)を、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から求めた。なお、偏光の透過率(H0)と直交の透過率(H90)は、視感度補正したY値である。
偏光度(%)=√{(H0 −H90)/(H0 +H90)}×100
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル社製,タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製,タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
(偏光板の作成)
上記偏光子の両面に、上記接着剤溶液を塗布した後、実施例1で作製した光学積層体(A−2)と鹸化処理したフジタックTD80により偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、総厚178μmの偏光板A−2を作製した。得られた偏光板の透過率は42%、偏光度は99.9%であった。なお、偏光子には、光学積層体(A−2)の低レターデーションポリマーフィルムの面を貼りあわせた。
[比較例2]
光学積層体A−1、B−1、C−1、D−1についてもそれぞれ実施例2と同様にして偏光板A−1、B−1、C−1、D−1を作製した。
(カールの測定)
該偏光板を幅方向50mm、長手方向2mmに切断し、25℃60%RHの湿度で24時間調湿し、曲率スケールを用いて偏光板のF式カール値を測定した。なお低レターデーションポリマーフィルム側に凸をプラスカールとした。結果を表2に示す。
Figure 2006243266
[実施例3]
(VA液晶表示装置の作製)
図1の液晶表示装置を作製した。即ち、観察者側(上)から上側偏光板11、上基板、液晶層および下基板からなるVAモード液晶セル12、下側偏光板13を積層し、さらにバックライト光源(図示せず)を配置した。以下の例では、下側偏光板13に市販品の偏光板を用いて、上側偏光板11に本発明の偏光板を使用している。すなわち、上側偏光板11は、偏光子112の両側に保護フィルム111および113を積層してなり、保護フィルム113が本発明の光学積層体である。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図1)の下側偏光板13に市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC−5618)を用い、上側偏光板11に実施例2で作製した偏光板A−2を用い、低レターデーションポリマーフィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、VAモード液晶セル12の観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けて液晶表示装置A−2を作製した。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[比較例3]
比較例の偏光板A−1、B−1、C−1、D−1についても実施例3と同様にして液晶表示装置A−1、B−1、C−1、D−1を作製した。
<色味変化の評価>
実施例3及び比較例3で作製した液晶表示装置の、30℃80%の環境下で点灯直後及び500時間点灯後の正面の色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。さらに周辺部の表示ムラ発生の有無を確認した。結果を表3に示す。
Figure 2006243266
表2及び表3の結果から本発明の光学積層体を用いた偏光板は、液晶表示に組み込んだ場合、長時間点灯しても色味変化が少なく、また表示ムラも発生せず、好ましいことがわかった。
[実施例4]
実施例1で作製した低レターデーションポリマーフィルムA−2の片面に、ポリビニルアルコールを塗布し、ラビングにより配向処理して配向膜を形成した。次いで、配向膜に、液晶材料(CB−15,大日本インキ化学工業(株)製)を塗布し、90℃で3分間加熱した後、コレステリック相状態に冷却固定化することにより、厚さ5μmのコレステリック液晶層を形成し、光学積層体を得た。コレステリック液晶層のReは1nm、Rthは123nmであった。
この光学積層体の低レターデーションポリマーフィルム(A−2)側を、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて延伸したフィルム(偏光子)の片面にポリビニルアルコール系粘着剤により貼り合せた。偏光子の反対面には、フジタックTD80を鹸化処理して同様にして貼り合せて偏光板(A−3)を作製した。
この偏光板(A−3)をVAモードの液晶セルの両側に、コレステリック液晶層側が液晶セルの基板側となるように、アクリル系粘着剤層(厚さ23μm)を介して貼り合せて液晶表示装置を得た。偏光板の吸収軸は互いに直交するように貼り合せた。
本発明の光学積層体付き偏光板を用いた液晶表示装置は高湿下で長時間点灯しても色味変化が少なく、表示ムラも発生せず、好ましかった。
[実施例5]
(偏光板A−4)の作製
実施例1で作製した低レターデーションポリマーフィルム(A−2)を、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて延伸したフィルム(偏光子)の片面にポリビニルアルコール系粘着剤により貼り合せた。偏光子の反対面には、フジタックTD80を鹸化処理して同様にして貼り合せて偏光板(A−4)を作製した。
[実施例6]
(IPS液晶表示装置への実装評価)
実施例5で作製した偏光板(A−4)に対して、ポリカーボネートを一軸延伸した光学補償フィルムを低レターデーションポリマーフィルム(A−2)面に貼りあわせて光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フイルムの正面レターデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムのReは220nm、Rthは110nmのものを用いた。
偏光板(A−4)と光学補償フイルムの積層体、IPS型の液晶セル、偏光板(A−4)の順番に上から重ね合わせて組み込んだ液晶表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわ
ち光学補償フィルムの遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。また、IPS型の液晶セルには、光学補償フイルムが接するように貼りあわせた。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
本発明の光学積層体付き偏光板を用いた液晶表示装置は高湿条件で長時間点灯しても色味変化が小さく、かつ表示ムラも発生せず好ましかった。
実施例4で作製した液晶表示装置を説明するための図である。
符号の説明
11 上側偏光板
12 VAモード液晶セル
13 下側偏光板
111,113 保護フィルム
112 偏光子

Claims (12)

  1. 互いにレターデーションの異なる少なくとも2つの光学ユニットを含む光学積層体であって、少なくとも1つの光学ユニットが、下記式(A)、(B)及び(C)の関係を満たすポリマーフィルムであることを特徴とする光学積層体。
    Re≦10nm (A)
    −25nm≦Rth≦10nm (B)
    0.75≦(波長450nmで測定した光弾性係数)/(630nmで測定した光弾性係数)≦1.25 (C)
    [式中、Reは波長590nmにおける正面レターデーションであり、Rthは波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションである。]
  2. 該ポリマーフィルムが、環状オレフィン系開環重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学積層体。
  3. 該環状オレフィン系開環重合体が下記一般式(1)及び(2)のモノマーユニットを有することを特徴とする請求項2に記載の光学積層体。
    一般式(1)
    Figure 2006243266
    [式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R1とR2、R3とR4またはR2とR3は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]一般式(2)
    Figure 2006243266
    [式中、Yは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R5とR6、R7とR8またはR6とR7は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環(但し、一般式(1)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
  4. 該環状オレフィン系開環重合体が溶解する溶媒の雰囲気下に曝すことにより製造されたフィルムであることを特徴とする請求項2または3に記載の光学積層体。
  5. 該環状オレフィン系開環重合体が溶解する溶媒の雰囲気下に曝されたフィルムを四辺を固定した状態で溶媒を乾燥する工程を含む製造法により作製されたことを特徴とする請求項4に記載の光学積層体
  6. 該ポリマーフィルムの厚みが60μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
  7. 該ポリマーフィルムの60℃、95%RH、24時間における透湿度が250g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
  8. 他の光学ユニットが、少なくとも一つの非液晶性ポリマーを含有する光学異方性層であ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  9. 他の光学ユニットが、少なくとも一つの液晶性化合物を含有する光学異方性層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学積層体。
  10. 延伸ポリマーフィルムを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学積層体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学積層体を含むことを特徴とする光学補償機能付き偏光板。
  12. 液晶セルと、その両側に配置された二枚の偏光板とを有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一枚が、請求項11に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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