JP2003315557A - 傾斜光学補償フィルムとその製造方法、及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

傾斜光学補償フィルムとその製造方法、及びそれを用いた液晶表示装置

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JP2003315557A
JP2003315557A JP2003041670A JP2003041670A JP2003315557A JP 2003315557 A JP2003315557 A JP 2003315557A JP 2003041670 A JP2003041670 A JP 2003041670A JP 2003041670 A JP2003041670 A JP 2003041670A JP 2003315557 A JP2003315557 A JP 2003315557A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NTモードの液晶表示装置に有用である、非
液晶ポリマーから形成される傾斜光学補償フィルムを提
供する。 【解決手段】 非液晶ポリマーを基材上に塗工して塗工
膜を形成し、前記塗工膜における前記非液晶ポリマーを
傾斜配向させ、前記塗工膜を固化して傾斜光学補償フィ
ルムを形成する。前記非液晶ポリマーは、例えば、前記
塗工膜に対して風を当てる等、外力を加えることによっ
て、傾斜配向できる。このような傾斜光学補償フィルム
は、例えば、複屈折(Δn)が0.001〜0.5の範
囲であり、NTモードの液晶表示装置等に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、視野角特性の改善
に用いられる傾斜光学補償フィルム、その製造方法、お
よびこれを用いた各種画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置においては、光学補
償のために各種位相差フィルムが使用されており、例え
ば、負の複屈折性を有するポリマーから形成された複屈
折層が使用されている。前記負の複屈折性を有するポリ
マーとしては、例えば、ポリイミド等が各種文献に開示
されている(例えば、特許文献1〜特許文献7参照)。
しかしながら、この負の複屈折層は、例えば、表示方式
が垂直配向(VA)モードである液晶表示装置には傾斜
光学補償フィルムとして使用できるが、ねじれネマティ
ック(TN)モードの液晶表示装置には、傾斜光学補償
フィルムとしての効果が不十分であるという問題点があ
る。
【0003】一方、TNモードの液晶表示装置に有用な
傾斜光学補償フィルムとしては、例えば、高分子マトリ
ックス中に傾斜配向された低分子液晶を含むフィルムや
(例えば、特許文献8参照)、支持体上に配向膜を形成
し、その上にディスコティック液晶を傾斜配向して、前
記液晶を重合させたフィルムが報告されている(例え
ば、特許文献9、10参照)。
【0004】しかしながら、このような液晶材料を傾斜
配向させたTNモード用の傾斜光学補償フィルムは、多
く報告されているものの、例えば、液晶材料の選択(空
気界面の表面エネルギーの違いを利用した傾斜配向しや
すい液晶材料の選択)や、液晶材料の傾斜角の制御(界
面活性剤による傾斜角の制御)が必要であり、また配向
基板が必須である等、製法が複雑であり、制御因子も多
岐にわたるため、傾斜角や位相差を変化させることも困
難であるという問題点もある(例えば、特許文献11参
照)。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,344,916号
【特許文献2】米国第5,395,918号
【特許文献3】米国第5,480,964号
【特許文献4】米国第5,580,950号
【特許文献5】米国第5,694,187号
【特許文献6】米国第5,750,641号
【特許文献7】米国第6,074,709号
【特許文献8】特許第2565644号明細書
【特許文献9】特許第2692035号明細書
【特許文献10】特許第2802719号明細書
【特許文献11】特開平12−105315号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、従来の液晶材料を用いた傾斜光学補償フィルムでは
なく、新たな傾斜光学補償フィルムの提供であり、具体
的には、TNモードの液晶表示装置等に有用である傾斜
配向型の傾斜光学補償フィルムの提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、非液晶ポリマーを含む光学補償フィルム
であって、以下に示す第1および第2の傾斜光学補償フ
ィルムがあげられる。
【0008】本発明の第1の傾斜光学補償フィルムは、
非液晶ポリマーを含む光学補償フィルムであって、前記
非液晶ポリマーが傾斜配向しており、前記光学補償フィ
ルム面の法線を0°、前記法線と測定軸との角度を測定
角度(0°)とした場合に、前記測定軸方向から測定し
た位相差値が、前記0°における位相差値を中心とし
て、測定角度が+側と−側とで、その位相差値の変化が
非対称となり、かつ、下記式で表される複屈折(Δn)
が0.001〜0.5の範囲であることを特徴とする。 Δn=[[(nx+ny)/2]−nz]・d/d 前記式において、Δnは、前記傾斜光学補償フィルムの
複屈折を示し、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記
傾斜光学補償フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方
向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記傾斜光学補償フ
ィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であ
り、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な
軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚
み方向を示し、dは前記傾斜光学補償フィルムの厚みを
示す。
【0009】また、本発明の第2の傾斜光学補償フィル
ムは、非液晶ポリマーを含む光学補償フィルムであっ
て、前記非液晶ポリマーが傾斜配向しており、前記光学
補償フィルム面の法線を0°、前記法線と測定軸との角
度を測定角度(0°を含む)とした場合に、前記測定軸
方向から測定した位相差値が、前記0°における位相差
値を中心として、測定角度が+側と−側とで、その位相
差値の変化が非対称となり、かつ、前記非液晶ポリマー
が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエー
テルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミ
ドからなる群から選ばれる少なくとも一つのポリマーで
あることを特徴とする。
【0010】本発明者らは、鋭意研究の結果、形成材料
として液晶材料ではなく非液晶ポリマーを選択し、しか
も前記非液晶ポリマーの中でもポリイミド等の非液晶ポ
リマーを用いることによって、従来とは全く異なる傾斜
光学補償フィルムが形成できることを新たに見出し、本
発明に至った。このように非液晶ポリマーが傾斜し、か
つ、前記条件を満たす傾斜光学補償フィルムであれば、
従来の液晶材料製の傾斜光学補償フィルム(傾斜位相差
フィルム)と同様に、例えば、TNモード液晶表示装置
等に有用である。さらに、本発明の傾斜光学補償フィル
ムは、非液晶ポリマーから形成されるため、固体化して
しまう従来の液晶材料とは異なり、傾斜光学補償フィル
ムとして形成された後にも、さらに後述するような延伸
や収縮等を施すことによって、さらに位相差等の光学特
性を変化させることもできる。このため、より一層優れ
る光学特性を付与する等、用途に応じて光学特性を調整
でき、従来の傾斜光学補償フィルムよりも広範囲な用途
に供することができ、低コスト化にもつながるという効
果を奏する。また、非液晶ポリマーとして前述のポリイ
ミド等を使用することによって、前述ような範囲の複屈
折(Δn)を満足できるため、広視野角において良好な
コントラストが得られる等の視覚補償効果にも優れる。
したがって、本発明の光学補償フィルムは、液晶表示装
置をはじめとする各種画像表示装置に有用な新たな位相
差フィルムとして使用できる。
【0011】なお、本発明において、法線を含む測定軸
の軌跡は同一平面となり、法線から傾斜する測定軸の傾
斜方向は、特に制限されない。
【0012】次に、本発明の傾斜光学補償フィルムの製
造方法は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポ
リエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステ
ルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つの非液
晶ポリマーを基材上に塗工して塗工膜を形成する工程、
および前記塗工膜における前記非液晶ポリマーを傾斜配
向させて傾斜光学補償フィルムを形成する工程とを含
み、前記非液晶ポリマーを傾斜配向させる方法が、前記
塗工膜に対して、前記非液晶ポリマーが傾斜配向するよ
うに外力を加える方法である、傾斜光学補償フィルムの
製造方法である。
【0013】前述のような非液晶ポリマーであれば、そ
れ自身の性質によって、従来の液晶性材料とは異なり、
基材の配向性に関係なく、それ自身の性質により分子が
配向して光学的に負の一軸性(nx>nz)、(ny>
nz)を示す塗工膜が形成できる。したがって、基材と
しては配向基板や配向膜が形成された基板に限定される
こともない。また、このように形成される塗工膜に外力
を加えるだけで、前記塗工膜を構成する前記非液晶ポリ
マーを傾斜配向できるのである。そして、このような方
法によって、前述のような光学特性に優れた新たな傾斜
光学補償フィルムが得られるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の傾斜光学補償フィルム
は、前述のように、非液晶ポリマーを含む光学補償フィ
ルムであって、前記非液晶ポリマーが傾斜配向してお
り、前記光学補償フィルム面の法線を0°、前記法線と
測定軸との角度を測定角度(0°)とした場合に、前記
測定軸方向から測定した位相差値が、前記0°における
位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、そ
の位相差値の変化が非対称となっている。そして、本発
明の第1の傾斜光学補償フィルムは、さらに、下記式で
表される複屈折(Δn)が0.001〜0.5の範囲で
あることを特徴とする。 Δn=[[(nx+ny)/2]−nz]・d/d 前記式において、Δnは、前記傾斜光学補償フィルムの
複屈折を示し、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記
傾斜光学補償フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方
向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記傾斜光学補償フ
ィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であ
り、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な
軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚
み方向を示し、dは前記傾斜光学補償フィルムの厚みを
示す。また、本発明の第2の傾斜光学補償フィルムは、
さらに、前記非液晶ポリマーが、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイ
ミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる
少なくとも一つのポリマーであることを特徴とする。
【0015】本発明において、「測定軸方向から測定し
た位相差値が、前記0°における位相差値を中心とし
て、測定角度が+側と−側とで、その位相差値の変化が
非対称となっている」とは、例えば、各測定角度におけ
る位相差値を横軸とし、前記測定角度を縦軸としてプロ
ットした際に得られるグラフが、図1に示すように、測
定角度0°(法線)における縦軸(図において点線)を
中心として非対称となるような状態をいう。
【0016】前記測定角度は、特に制限されないが、例
えば、−50〜+50°であることが好ましい。これ
は、実際に傾斜光学補償フィルムのサンプルを傾斜させ
て位相差を測定する場合、前記範囲であれば、より一層
精度良く位相差を測定できるからである。なお、この測
定角度は、本発明の位相差を測定する場合の条件であっ
て、なんら本発明を限定するものではない。
【0017】本発明において、前記位相差値の最大値ま
たは最小値は、測定角度が+側または−側における位相
差値であることが好ましい。つまり、法線(0°)方向
における位相差値が、最大または最小値とならないこと
が好ましい。
【0018】本発明の傾斜光学補償フィルムにおいて、
前記グラフの形状は、例えば、前記図1に示すような凹
状曲線、凸状曲線、右上がり曲線、右下がり曲線があげ
られる。前記グラフ形状が、凹状曲線の場合は、その頂
点が最大位相差値であり、凸状曲線の場合は、その頂点
が最小位相差値となる。また、右上がり曲線の場合は、
最大測定角度(例えば、+50°)における測定値が最大
位相差値、最小測定角度(例えば、-50°)における測
定値が最小位相差値となり、右下がり曲線の場合は、最
大測定角度における測定値が最小位相差値、最小測定角
度における測定値が最大位相差値となる。
【0019】本発明において、前記測定軸は、法線およ
び法線から傾斜した軸を含み、その傾斜方向は特に制限
されず、例えば、前記法線から傾斜した軸が、前記傾斜
光学補償フィルムの遅相軸方向に傾斜してもよいし、前
記傾斜光学補償フィルムの進相軸方向に傾斜してもよ
い。
【0020】本発明において、前記式で表される複屈折
(Δn)は、薄型化が十分に可能であることから、0.
001〜0.5の範囲であることが好ましい。また、前
記複屈折は、例えば、さらに生産性に優れた薄型の傾斜
光学補償フィルムが可能になることから、0.001〜
0.2の範囲が好ましく、特に好ましくは0.002〜
0.15の範囲である。
【0021】また、他の光学特性も特に制限されない
が、下記式で表される面内位相差(Δnd)が、例え
ば、5〜200nmの範囲であり、好ましくは10〜1
50nmである。また、下記式で表される厚み方向位相
差(Rth)が、例えば、20〜1000nmの範囲で
あり、好ましくは30〜800nmであり、より好まし
くは40〜500nmである。下記式において、nx、
ny、nzおよびdは、前述のとおりである。 Δnd=(nx-ny)・d Rth=[[(nx+ny)/2]−nz]・d
【0022】本発明の傾斜光学補償フィルムは、例え
ば、前述のように、表示方式がTN(Twisted Nemati
c)モードまたはOCB(Optically Aligned Birefring
ence)モードである液晶表示装置へ適用することが好ま
しい。また、液晶配向がモノドメイン配向である液晶表
示装置ならば、その表示方式は制限されず、例えば、V
Aモード等の液晶表示装置にも適用できる。
【0023】本発明の傾斜光学補償フィルムは、液晶表
示装置に配置することによって、例えば、表示方式がT
Nモードである液晶表示装置におけるコントラスト10
以上を示す領域を、表示面の左右方向にさらに10°以
上拡大することが好ましい。
【0024】前記コントラストは、例えば、以下に示す
方法によって測定できる。まず、サンプルを偏光板とと
もに液晶表示装置に配置し、前記液晶表示装置に、白画
像および黒画像を表示させ、例えば、商品名Ez contras
t 160D(ELDIM社製)等によって、表示画面の正
面、上下左右について、視野角0〜70°におけるXY
Z表示系のY値、x値、y値をそれぞれ測定する。そし
て、白画像におけるY値(Yw)と、黒画像におけるY
値(YB)とから、各視野角におけるコントラストが算
出できる。
【0025】本発明における前記非液晶ポリマーは、例
えば、液晶性材料とは異なり、基材の配向性に関係な
く、それ自身の性質により光学的に負の一軸性(nx>
nz)、(ny>nz)を示す膜が形成できる。このた
め、従来の液晶材料のように、配向基板や、表面に配向
膜が積層された基板のように複屈折性の基材を使用する
ことなく、それ自身の性質によって非液晶ポリマーが配
向した状態となる。したがって、液晶材料ではないにも
かかわらず、後述するような処理によって、非液晶ポリ
マーを傾斜配向させることができるのである。
【0026】前記非液晶ポリマーとしては、例えば、耐
熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことか
ら、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリ
ールエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアミド
イミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。
これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用して
もよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリ
アミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以
上の混合物として使用してもよい。このようなポリマー
の中でも、高い複屈折性が得られることから、ポリイミ
ド等が好ましい。このように高い複屈折性を示すと、大
きい複屈折値が得られるため、例えば、同程度の補償効
果を、他のポリマーと比較して薄層で達成できるからで
ある。これらのポリマーとしては、特に制限されない
が、例えば、米国特許第5,344,916号、同第
5,395,918号、同第5,480,964号、同
第5,580,950号、同第5,694,187号、
同第5,750,641号、同第6,074,709号
等に開示されたものが使用できる。
【0027】前記ポリマーの分子量は、特に制限されな
いが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜
1,000,000の範囲であることが好ましく、より好
ましくは2,000〜500,000の範囲である。
【0028】前記ポリイミドとしては、例えば、面内配
向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。
具体的には、例えば、特表2000−511296号公
報に開示された、9,9-ビス(アミノアリール)フルオ
レンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生
成物、具体的には、下記式(1)に示す繰り返し単位を
1つ以上含むポリマーが使用できる。
【0029】
【化1】 前記式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニ
ル基、1〜4個のハロゲン原子またはC110アルキル
基で置換されたフェニル基、およびC110アルキル基
からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一
種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲ
ン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1
10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC110
アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少
なくとも一種類の置換基である。
【0030】前記式(1)中、Zは、例えば、C620
の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、
多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下
記式(2)で表される基である。
【0031】
【化2】 前記式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R7)2
基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C25)2
基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同
一であるかまたは異なる。また、wは、1から10まで
の整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC
(R93である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20
のアルキル基、またはC620アリール基であり、複数
の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、
それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
【0032】前記多環式芳香族基としては、例えば、ナ
フタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアント
ラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前
記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C1
10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやC
l等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一
つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
【0033】この他にも、例えば、特表平8−5118
12号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式
(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返
し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等があ
げられる。なお、下記式(5)のポリイミドは、下記式
(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0034】
【化3】
【化4】
【化5】
【0035】前記一般式(3)〜(5)中、Gおよび
G’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH3)2基、
C(CF3)2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲン
である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si
(CH2CH3)2基、および、N(CH3)基からなる群か
ら、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同
一でも異なってもよい。
【0036】前記式(3)および式(5)中、Lは、置
換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、
例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化
アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であ
り、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C
1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル基から
なる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有す
る置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲンと
しては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素があ
げられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0
から3までの整数である。
【0037】前記式(3)〜(5)中、Qは置換基であ
り、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水
素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ
基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置
換アルキルエステル基からなる群から選択される原子ま
たは基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一である
かまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ
素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。前記置換ア
ルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があ
げられる。また前記置換アリール基としては、例えば、
ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4ま
での整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3およ
び1から3までの整数である。また、gおよびhは、1
より大きいことが好ましい。
【0038】前記式(4)中、R10およびR11は、水
素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル
基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独
立に選択される基である。その中でも、R10およびR11
は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であること
が好ましい。
【0039】前記式(5)中、M1およびM2は、同一で
あるかまたは異なり、例えば、ハロゲン、C1-3アルキ
ル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、また
は、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例
えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。
また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲ
ン、C1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル
基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基
を有する置換フェニル基があげられる。
【0040】前記式(3)に示すポリイミドの具体例と
しては、例えば、下記式(6)で表されるもの等があげ
られる。
【化6】
【0041】さらに、前記ポリイミドとしては、例え
ば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水
物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげら
れる。
【0042】前記酸二無水物としては、例えば、芳香族
テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テ
トラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト
酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳
香族テトラカルボン酸二無水物、2,2′−置換ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0043】前記ピロメリト酸二無水物としては、例え
ば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメ
リト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)
ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸
二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等が
あげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物としては、例えば、3,3′,4,4′−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレ
ン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフ
タレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ
−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無
水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,
4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,
3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−
2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげら
れる。前記2,2′−置換ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物としては、例えば、2,2′−ジブロモ−4,
4′,5,5′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2′−ジクロロ−4,4′,5,5′−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′−ビス(トリ
フルオロメチル)−4,4′,5,5′−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0044】また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水
物のその他の例としては、3,3′,4,4′−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカル
ボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−
トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン
二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物、4,4′−(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
4,4′−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、(3,
3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸
二無水物)、4,4′−[4,4′−イソプロピリデン
−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水
物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N
−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
【0045】これらの中でも、前記芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物としては、2,2′−置換ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、
2,2′−ビス(トリハロメチル)−4,4′,5,
5′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さ
らに好ましくは、2,2′−ビス(トリフルオロメチ
ル)−4,4′,5,5′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物である。
【0046】前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジ
アミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミ
ン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複
素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミン
があげられる。
【0047】前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、
o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジ
アミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベン
ゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび
1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼ
ンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげ
られる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、
2,2′−ジアミノベンゾフェノン、および3,3′−
ジアミノベンゾフェノン等があげられる。前記ナフタレ
ンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタ
レン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられ
る。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6
−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、およ
び2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
【0048】また、前記芳香族ジアミンとしては、これ
らの他に、4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−
ジアミノジフェニルメタン、4,4′−(9−フルオレ
ニリデン)-ジアニリン、2,2'−ビス(トリフルオロメ
チル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジク
ロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−
ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',
5,5'−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4
−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−
アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
4,4′−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4′
−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
【0049】前記複屈折層の形成材料である前記ポリエ
ーテルケトンとしては、例えば、特開2001−491
10号公報に記載された、下記一般式(7)で表される
ポリアリールエーテルケトンがあげられる。
【0050】
【化7】 前記式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換
数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル
基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、また
は、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、
それぞれ同一であるかまたは異なる。
【0051】前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ
素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげら
れ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級
アルキル基としては、例えば、C16の直鎖または分岐
鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくは
14の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的
には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、および、
tert-ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基
およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基とし
ては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アル
キル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキ
シ基としては、例えば、C16の直鎖または分岐鎖のア
ルコキシ基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖ま
たは分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、
ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、およ
び、tert-ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好まし
くはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン
化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキ
シ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげら
れる。
【0052】前記式(7)中、qは、0から4までの整
数である。前記式(7)においては、q=0であり、か
つ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテ
ルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好まし
い。
【0053】また、前記式(7)中、R1は、下記式
(8)で表される基であり、mは、0または1の整数で
ある。
【0054】
【化8】 前記式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記式
(7)におけるXと同様である。前記式(8)におい
て、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異
なる。q’は、前記X’の置換数を表し、0から4まで
の整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0
または1の整数である。
【0055】前記式(8)中、R2は、2価の芳香族基
を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、
m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、
ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テ
ルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェ
ニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導
される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族
基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲ
ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換
されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下
記式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族
基が好ましい。
【0056】
【化9】
【0057】前記式(7)中、前記R1としては、下記
式(16)で表される基が好ましく、下記式(16)に
おいて、R2およびpは前記式(8)と同義である。
【0058】
【化10】
【0059】さらに、前記式(7)中、nは重合度を表
し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、
5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造
の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構
造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の
場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合で
あってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0060】さらに、前記式(7)で示されるポリアリ
ールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベン
ゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が
水素原子であることが好ましく、このようなポリアリー
ルエーテルケトンは、下記一般式(17)で表すことが
できる。なお、下記式において、nは前記式(7)と同
様の重合度を表す。
【0061】
【化11】
【0062】前記式(7)で示されるポリアリールエー
テルケトンの具体例としては、下記式(18)〜(2
1)で表されるもの等があげられ、下記各式において、
nは、前記式(7)と同様の重合度を表す。
【0063】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0064】また、これらの他に、前記複屈折層の形成
材料である前記ポリアミドまたはポリエステルとして
は、例えば、特表平10−508048号公報に記載さ
れるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰
り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すこと
ができる。
【0065】
【化16】 前記式(22)中、Yは、OまたはNHである。また、
Eは、例えば、共有結合、C2アルキレン基、ハロゲン
化C2アルキレン基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、
Xはハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、
S原子、SO2基、Si(R)2基、および、N(R)基から
なる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それ
ぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、
Rは、C1-3アルキル基およびC1-3ハロゲン化アルキル
基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基または
Y基に対してメタ位またはパラ位にある。
【0066】また、前記(22)中、AおよびA’は、
置換基であり、tおよびzは、それぞれの置換数を表
す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1
から3までの整数であり、rは、0から3までの整数で
ある。
【0067】前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C
1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、OR(こ
こで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアル
コキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリー
ル基、C1-9アルコキシカルボニル基、C1-9アルキルカ
ルボニルオキシ基、C1-12アリールオキシカルボニル
基、C1-12アリールカルボニルオキシ基およびその置換
誘導体、C1-12アリールカルバモイル基、ならびに、C
1-12アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体
からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一で
あるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、
1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニ
ル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複
数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置
換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例え
ば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アル
キル基およびこれらの組み合わせがあげられる。前記t
は、0から4までの整数であり、前記zは、0から3ま
での整数である。
【0068】前記式(22)で表されるポリアミドまた
はポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式
(23)で表されるものが好ましい。
【0069】
【化17】 前記式(23)中、A、A’およびYは、前記式(2
2)で定義したものであり、vは0から3の整数、好ま
しくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞ
れ0または1であるが、共に0であることはない。
【0070】本発明の傾斜光学補償フィルムは、例え
ば、前記傾斜配向した非液晶ポリマーから形成される複
屈折層のみでもよいし、前記複屈折層の他に、さらに基
材等の他の部材とを含む積層体であってもよい。
【0071】本発明において、前記非液晶ポリマーから
形成される複屈折層の厚みは、特に制限されないが、例
えば、位相差フィルムとして適用した場合に液晶表示装
置の薄型化を可能とし、また、視覚補償機能に優れ、か
つ均質なフィルムとできることから、0.1〜50μm
の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜30μmで
あり、特に好ましくは1〜20μmである。また、本発
明の傾斜光学補償フィルムの厚みは、例えば、前述のよ
うに前記複屈折層のみを含む場合と、さらに基材等の他
の部材を含む場合で異なるが、例えば、0.5〜50μ
mの範囲であり、好ましくは1〜40μmである。
【0072】つぎに、本発明の傾斜光学補償フィルムの
製造方法について説明する。本発明の傾斜光学補償フィ
ルムは、前述のような条件を満たすものであれば、その
製造方法は特に制限されないが、例えば、以下に示す第
1および第2の製造方法があげられる。
【0073】前記第1の製造方法は、前記非液晶ポリマ
ーを基材上に塗工して塗工膜を形成する工程と、前記塗
工膜における前記非液晶ポリマーを傾斜配向させて傾斜
光学補償フィルムを形成する工程とを含み、前記非液晶
ポリマーを傾斜配向させる方法が、前記塗工膜に対し
て、前記非液晶ポリマーが傾斜配向するように外力を加
える方法である。以下に具体的に説明する。
【0074】まず、前記非液晶ポリマーを基材上に塗工
して塗工膜を形成する。前述のように、前記非液晶ポリ
マーは光学的一軸性を示す性質を有することから、基板
の配向性を利用する必要がない。このため、前記基材と
しては、配向性基板、非配向性基板の両方が使用でき
る。また、例えば、複屈折による位相差を生じるもので
もよいし、複屈折による位相差を生じないものでもよ
い。前記複屈折による位相差を生じる基材としては、例
えば、延伸フィルム等があげられ、厚み方向の屈折率が
制御されたもの等も使用できる。前記屈折率の制御は、
例えば、ポリマーフィルムを熱収縮性フィルムと接着
し、さらに加熱延伸する方法等によって行うことができ
る。
【0075】前記基材の材料としては、特に制限されな
いが、例えば、透明性に優れるポリマーが好ましく、ま
た、後述するような延伸処理や収縮処理に適しているこ
とから、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、例え
ば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル
樹脂、ポリノルボルネン樹脂、セルロース樹脂、ポリア
リレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコー
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹
脂、ポリアクリル樹脂や、これらの混合物等があげられ
る。また、液晶ポリマー等も使用できる。さらに、例え
ば、特開平2001−343529号公報(WO 01
/37007号)に記載されているような、側鎖に置換
イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂
と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニ
トリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物等も使用で
きる。具体例としては、例えば、イソブテンとN−メチ
レンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニト
リル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物等であ
る。これらの形成材料の中でも、前述の側鎖に置換イミ
ド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側
鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル
基とを有する熱可塑性樹脂との混合物が好ましい。
【0076】前記基材の厚みは、特に制限されないが、
例えば、5〜500μmの範囲であり、好ましくは10
〜200μmの範囲であり、特に好ましくは15〜15
0μmの範囲である。
【0077】前記基材上に、前記非液晶ポリマーを塗工
する方法としては、特に限定されないが、例えば、作業
性に優れることから、前記非液晶ポリマーを溶媒に溶解
させたポリマー溶液を塗工する方法等が好ましい。
【0078】前記ポリマー溶液におけるポリマー濃度
は、特に制限されないが、例えば、塗工が容易な粘度と
なることから、溶媒100重量部に対して、例えば、前
記非液晶ポリマー5〜50重量部であることが好まし
く、より好ましくは10〜40重量部である。
【0079】前記ポリマー溶液の溶媒としては、前記非
液晶ポリマーを溶解できれば特に制限されず、前記非液
晶ポリマーの種類に応じて適宜決定できる。具体例とし
ては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化
炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロ
ロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、
オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フ
ェノール、バラクロロフェノール等のフェノール類;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,
2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、
N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアル
コール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−
2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのような
アミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのよう
なニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテ
ル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;ある
いは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ
等があげられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、
ニ種類以上を併用してもよい。
【0080】前記ポリマー溶液は、例えば、必要に応じ
て、さらに、安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤
を配合してもよい。具体的には、前記基材や他の部材と
の密着性向上のために、シランカップリング剤や、アク
リル系共重合物等の添加物があげられる。
【0081】また、前記ポリマー溶液は、例えば、前記
非液晶ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、
異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂として
は、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチ
ック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
【0082】前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン
(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、A
BS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジ
ニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテ
ート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミ
ド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PB
T)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテ
ルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミ
ド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタ
レート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および
液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボ
ラック樹脂等があげられる。
【0083】このように、前記他の樹脂等を前記ポリマ
ー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、前記ポ
リマー材料に対して、例えば、0〜50質量%であり、
好ましくは、0〜30質量%である。
【0084】前記ポリマー溶液の塗工方法としては、例
えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート
法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バー
コート法、グラビア印刷法等があげられる。また、塗工
に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採
用できる。
【0085】次に、前記基材上の塗工膜に対して外力を
加えることによって、前記非液晶ポリマーを傾斜配向さ
せる。このように傾斜配向させることによって、前記基
材上に前記傾斜光学補償フィルムが形成できる。前記外
力を加える方法としては、前記非液晶ポリマーが傾斜配
向する方法であれば特に制限されないが、例えば、塗工
膜に風を吹き付ける方法があげられる。
【0086】前記塗工膜に風を吹き付ける条件は、特に
制限されず、前記ポリマー溶液の物性、例えば、粘度等
に応じて適宜決定できるが、例えば、前記塗工膜を固定
した場合、前記塗工膜の面の法線から、10〜80°の
角度となるように、風を吹き付けることが好ましく、よ
り好ましくは20〜70°の角度である。
【0087】また、風を吹き付ける時間も特に制限され
ず、例えば、非液晶ポリマーの所望の傾斜角度に応じて
適宜決定できるが、一箇所あたり、例えば、5秒〜10
分であることが好ましく、より好ましくは10秒〜9分
であり、特に好ましくは30秒〜8分である。
【0088】このように前記塗工膜に外力を加えること
によって、前記塗工膜を形成する前記非液晶ポリマー
を、例えば、前記塗工膜の法線方向から5〜50°に傾
斜配向することができる。この傾斜配向の角度は、例え
ば、用途に応じて適宜決定できる。
【0089】なお、前記非液晶ポリマーの傾斜角度は、
例えば、位相差計(商品名KOBRA−21ADH;王
子計測機器社製)等を用いて、法線方向からの平均傾斜
角として算出することができる。
【0090】また、前記塗工膜に外力を加えた後、さら
に、前記傾斜配向した非液晶ポリマーを前記基材上に固
化させる工程を含んでもよい。前記非液晶ポリマーを固
化させる方法としては、特に制限されないが、例えば、
傾斜配向させた非液晶ポリマーを、自然乾燥したり、加
熱処理を施すことによって、前記非液晶ポリマーを前記
基材上に固化することができる。
【0091】前記加熱処理の条件としては、例えば、加
熱温度が25〜300℃の範囲であることが好ましく、
より好ましくは50〜250℃の範囲であり、特に好ま
しくは60〜200℃の範囲である。
【0092】基材上の傾斜光学補償フィルム中に残存す
る前記ポリマー溶液の溶媒は、その量に比例して光学特
性を経時的に変化させるおそれがあるため、前記加熱等
によって、その残存量が5%以下となるように処理する
ことが好ましく、より好ましくは2%以下であり、さら
に好ましくは0.2%以下である。
【0093】また、前記傾斜配向処理工程において、例
えば、熱風を吹き付けることによって、前記傾斜配向処
理工程と固化工程とが同時に行われることとなってもよ
い。つまり、両工程を同時に行うことによって、前記非
液晶ポリマーの傾斜配向と固化とが行われてもよい。
【0094】このようにして形成された傾斜光学補償フ
ィルムは、その他の部材との密着性を向上させるため
に、例えば、コロナ処理、オゾン処理等のドライ処理、
アルカリ処理等のウェット処理等を施してもよい。
【0095】一方、前記第2の製造方法は、前記非液晶
ポリマーを基材上に塗工して塗工膜を形成する工程と、
前記塗工膜における前記非液晶ポリマーを傾斜配向させ
る工程とを含み、前記非液晶ポリマーを傾斜配向させる
方法が、前記基材として収縮性を有する基材(第1の基
材)を使用し、前記第1の基材上に塗工膜を形成した
後、さらに前記第1の基材とは異なる収縮率の第2の基
材を前記塗工膜上に形成して、前記塗工膜を前記第1の
基材と第2の基材とで挟み、前記第1の基材と第2の基
材とを共に収縮させることによって、前記塗工膜に外力
を加える方法である。以下に具体的に説明する。なお、
特に説明しない限り、前記第1の製造方法と同様の材料
を用いて、同様に製造を行うことができる。
【0096】前記塗工膜の形成に先立って、前記収縮性
を有する第1の基材および前記第2の基材を準備する。
前記両基材としては、収縮性を有し、前記両者の収縮率
が異なっていれば、前述と同様の材質のものが使用でき
る。なお、第2の基材は、前記第1の基材と異なる収縮
率であればよいが、例えば、収縮性を有さないものであ
ってもよい。
【0097】前記収縮性を有する基材としては、その面
内において一方向に収縮性を有していることが好まし
い。このような収縮性は、例えば、未処理の基材に延伸
処理を施すことによって付与できる。このように、基材
を予め延伸しておくことによって、前記延伸方向と反対
方向に収縮力が発生するのである。また、本来収縮性を
有する基材であれば、未処理のまま使用し、加熱によっ
て収縮させてもよい。
【0098】延伸前の前記基材の厚みは、特に制限され
ないが、例えば、10〜200μmの範囲であり、好ま
しくは20〜150μmの範囲であり、特に好ましくは
30〜100μmの範囲である。
【0099】また、前記基材の延伸方法は、特に制限さ
れないが、例えば、後に基材を収縮させる際に、1方向
への収縮が実現できることから、基材の一端を固定した
状態で延伸(固定端延伸法延伸法)することが好まし
い。前述のように、基材を延伸すると、延伸方向とは逆
方向が収縮方向となるため、基材の一端を固定して1方
向に延伸を行えば、1方向に収縮がおきる。このように
すれば、後述するように基材上の非液晶ポリマーは1方
向に傾斜配向できるからである。
【0100】次に、前記第1の基材に、前述と同様に非
液晶ポリマーを塗工して塗工膜を形成し、前記塗工膜上
に、さらに前記第2の基材を積層して、前記塗工膜を前
記第1の基材と前記第2の基材とで挟みこむ。この際、
第1の基材の延伸方向と第2の基材の延伸方向、ずなわ
ち、前記第1の基材の収縮方向と前記第2の基材の延伸
方向とを揃えておくことが好ましい。
【0101】前記第2の基材を前記塗工膜上に積層する
方法は、特に制限されないが、例えば、そのまま積層す
るだけでもよい。この場合、前記非液晶性ポリマーを傾
斜配向した後に前記第2の基材を除去してもよいし、密
着性が高い場合は、そのまま一体化物として使用しても
よい。また、これには限定されず、例えば、前記塗工膜
上に前記第2の基材を、接着剤や接着剤によって接着し
てもよい。
【0102】続いて、前記第1の基材と第2の基材との
収縮率の違いによって、前記塗工膜に外力を加える。な
お、いずれか一方の基材は、収縮しないものであっても
よい。
【0103】このように前記両基材(または一方の基
材)を収縮させると、前記両者は収縮率が異なるため、
両者間に収縮程度の違いが生じ、これによって前記塗工
膜を形成する非液晶ポリマーが傾斜配向するのである。
具体的に説明すると、例えば、第2の基材よりも第1の
基材の収縮率が大きい場合、この収縮率の違いに応じ
て、前記塗工膜の中でも、前記第1の基材側の部分は、
前記第2の基材側の部分よりも、さらに収縮するため、
前記塗工膜を形成する非液晶ポリマーが、傾斜配向する
のである。このため、例えば、前記両基材の収縮率の差
が大きい程、前記ポリマーの傾斜角度が大きくなるので
ある。具体的には、傾斜光学補償フィルムの法線を0°
とした場合、前記法線に対する前記非液晶ポリマーの傾
斜角度が大きくなり、基材の面方向に前記ポリマーが傾
いた状態になる。
【0104】前記両基材を収縮させる場合には、前述の
ように前記基材上の前記非液晶ポリマーを一定方向に傾
斜配向させることが好ましいことから、例えば、前記第
1の基材と第2の基材の収縮方向における一端を、共に
固定させておくことが好ましい。
【0105】前記基材を収縮させる方法としては、例え
ば、加熱処理があげられる。前記加熱処理の条件として
は、特に制限されず、例えば、非液晶ポリマーの種類や
基材の材料の種類等によって適宜決定できるが、例え
ば、加熱温度は、25〜300℃の範囲であり、好まし
くは50〜200℃の範囲であり、特に好ましくは60
〜180℃の範囲である。
【0106】このようにして、前記第1の基材上に、傾
斜配向した前記非液晶ポリマー製の傾斜光学補償フィル
ムが形成できる。なお、前記第1の基材と第2の基材
は、例えば、いずれか一方を剥離してもよいし、両方を
積層したまま、傾斜光学補償フィルムとして使用するこ
ともできる。
【0107】また、前記第1の製造方法と同様に、前記
非液晶ポリマーを傾斜配向させた後に、さらに、前記傾
斜配向した非液晶ポリマーを前記第1の基材上に固化さ
せる工程を含んでもよいし、前記加熱処理によって、傾
斜配向と共に固化を行ってもよい。
【0108】以上のような方法によって、前記本発明の
傾斜光学補償フィルムが製造できることは、本発明者ら
が初めて見出したことである。ただし、本発明の傾斜光
学補償フィルムの製造方法は、これらには制限されな
い。
【0109】前記基材上に形成された傾斜光学補償フィ
ルムは、前記基材から剥離してもよいし、前記両者の積
層体として使用してもよい。
【0110】このようにして製造された本発明の傾斜光
学補償フィルムは、前述のように複屈折層(Δn)が
0.001〜0.5を示す。また、その他の光学特性と
しては、例えば、厚み方向位相差(Rth)が、20〜
1000nmの範囲であることが好ましく、より好まし
くは30nm〜800nmである。面内位相差(Δn
d)は、0〜100nmの範囲であることが好ましく、
より好ましくは10〜70nmであり、特に好ましくは
である。
【0111】また、本発明の傾斜光学補償フィルムの製
造方法は、さらに、延伸または収縮工程を含んでもよ
い。従来のように液晶材料を用いて傾斜光学補償フィル
ムを形成した場合、前記液晶材料を傾斜配向させた後、
前記液晶材料は固体化されるため、形成された傾斜光学
補償フィルムは、それ以上、延伸等の処理を施すことが
できない。例えば、延伸等の処理を施すと、傾斜配向し
た分子構造がばらばらになって、傾斜光学補償フィルム
としても光学特性を示さなくなるのである。したがっ
て、液晶材料を傾斜配向させた後は、光学特性をそれ以
上変化させることは不可能である。しかしながら、本発
明の製造方法のように形成材料として非液晶ポリマーを
使用した場合は、前記非液晶ポリマーを固化した後であ
っても、さらに延伸等が可能である。このため、さらに
面内方向や厚み方向の位相差を変化させることができ、
例えば、使用目的に応じて、光学特性の設定が可能とな
る。このように、さらに光学特性の改変が可能になれ
ば、同じ傾斜光学補償フィルムであっても、その用途が
拡大され、低コスト化を図ることもできる。
【0112】具体的に、さらに光学特性を変化させる方
法としては、例えば、基材と前記基材上に形成された傾
斜光学補償フィルムとを、さらに共に延伸する方法があ
げられる。このように前記傾斜光学補償フィルムを延伸
することによって、前記傾斜光学補償フィルムにおける
面内位相差や厚み方向位相差を変化させることができ
る。なお、前記延伸処理は、これらの方法には限られ
ず、例えば、基材の延伸に伴って前記傾斜光学補償フィ
ルムも延伸されるため、基材のみを延伸してもよいし、
前記基材を剥離して、前記傾斜光学補償フィルムのみを
延伸することもできる。
【0113】また、前記延伸方法の他にも、例えば、前
記基材として収縮性を有する基材を使用し、前記基材上
に傾斜光学補償フィルムを形成した後、前記基材を収縮
させる方法があげられる。このように傾斜光学補償フィ
ルムの形成後に、前記基材を収縮させることによって、
これに伴い前記傾斜光学補償フィルムも収縮し、さらに
面内位相差を変化させることができるのである。
【0114】このように、非液晶ポリマーを傾斜配向さ
せた後に、さらに延伸や収縮処理を行うことによって、
前記傾斜光学補償フィルムの光学特性は、例えば、厚み
方向位相差(Rth)を、例えば、20〜1000nm
の範囲に、面内位相差(Δnd)を、5〜200nmの
範囲に変化させることができる。なお、前記延伸や収縮
の程度は、例えば、所望の光学特性に応じて変化させれ
ばよく、公知の方法によって行うことができる
【0115】以上のように、本発明の傾斜光学補償フィ
ルムは、光学的な屈折率の異方性を種々制御することも
可能である。したがって、本発明の傾斜光学補償フィル
ムの屈折率楕円体としては、例えば、図2に示すような
形態があげられ、また、これらがハイブリッド配向して
いる形態であってもよい。同図は、本発明の傾斜配向補
償フィルムの屈折率楕円体を模式的に表した図であっ
て、(a) nx≒ny>nzの屈折率楕円体が傾斜して
いるもの、(b) nx>ny>nzの屈折率楕円体が傾
斜しているもの、(c) nx>nz>nyやnz>nx
>nyの屈折率楕円体が傾斜しているもの、(d) nz
>nx≒nyの屈折率楕円体が傾斜しているものを示
す。なお、同図(a)〜(d)において、楕円の中心を
通る軸は「傾斜光学補償フィルムの法線」であって、矢
印方向に向かって「屈折率楕円体の法線」が傾斜してい
る。
【0116】つぎに、本発明の傾斜光学補償フィルム
は、例えば、光学補償用の位相差フィルムや位相差板と
して有用である。
【0117】本発明の傾斜光学補償フィルムは、前述の
ように、前記非液晶ポリマーが傾斜配向した複屈折層を
含んでいれば、それ以外の構成は特に制限されないが、
例えば、以下に示すような形態が例示できる。本発明の
傾斜光学補償フィルムは、例えば、前述のような基材
(第1の基材)上に形成した場合、前記第1の基材から
剥離した前記傾斜複屈折層のみでもよいし、前記第1の
基材上に前記複屈折層が直接形成されていた積層体であ
ってもよい。また、前記第1の基材から前記複屈折層を
剥離して、さらに他の第2の基材に積層した積層体でも
よいし、前記第1の基材と前記複屈折層との積層体を、
前記第2の基材に、前記複屈折層が対向するように接着
した後、前記第1の基材のみを剥離することによって作
製した積層体であってもよい。
【0118】これらの形態の中でも、例えば、前記第1
の基材と複屈折層との積層体は、前記基材上に複屈折層
を直接形成した後、そのまま使用することが可能である
ため、製造工程が簡略化でき、例えば、液晶表示装置等
の各種画像表示装置に使用する際に、安価に傾斜光学補
償フィルムを提供できるため好ましい。
【0119】つぎに、本発明の偏光板は、光学補償フィ
ルムと偏光子とを含む積層偏光板であって、前記光学補
償フィルムが本発明の傾斜光学補償フィルムであること
を特徴とする。
【0120】このような積層偏光板は、前記本発明の傾
斜光学補償フィルムと、前記偏光子とを有していれば、
その構成は特に制限されないが、例えば、以下のような
構成が例示できる。
【0121】例えば、第1の積層偏光板は、前記本発明
の傾斜光学補償フィルム、偏光子および二つの透明保護
層を有し、前記偏光子の両面に透明保護層がそれぞれ積
層されており、一方の透明保護層の表面にさらに前記傾
斜光学補償フィルムが積層された形態である。なお、前
記傾斜光学補償フィルムは、前述のように前記複屈折層
と樹脂性基材との積層体の場合、いずれの表面が前記透
明保護層に面してもよい。
【0122】また、前記透明保護層は、前記偏光子の両
側に積層してもよいし、いずれか一方の面のみに積層し
てもよい。また、両面に積層する場合には、例えば、同
じ種類の透明保護層を使用しても、異なる種類の透明保
護層を使用してもよい。
【0123】一方、第2の積層偏光板は、前記本発明の
傾斜光学補償フィルム、偏光子2および透明保護層を有
し、前記偏光子の一方の表面に前記傾斜光学補償フィル
ムが、前記偏光子2の他方の表面に前記透明保護層が、
それぞれ積層されている形態である。
【0124】前記傾斜光学補償フィルムが、前述のよう
な複屈折層と樹脂性基材との積層体の場合は、いずれの
表面が前記偏光子に面してもよいが、例えば、以下のよ
うな理由から、前記傾斜光学補償フィルムの前記基材側
が偏光子に面するように配置することが好ましい。この
ような構成であれば、前記傾斜光学補償フィルムの前記
基材を、積層偏光板における透明保護層として兼用でき
るからである。すなわち、前記偏光子の両面に透明保護
層を積層する代わりに、前記偏光子の一方の面には透明
保護層を積層し、他方の面には、前記基材が面するよう
に傾斜光学補償フィルムを積層することによって、前記
基材が透明保護層の役割も果たすのである。このため、
より一層薄型化された偏光板を得ることができる。
【0125】前記傾斜光学補償フィルムが、前述のよう
な複屈折層と樹脂性基材との積層体の場合は、前記樹脂
性基材として偏光子を使用してもよい。前記樹脂製基材
が偏光子を兼ねることによって、より一層薄型化した偏
光板を得ることができる。
【0126】前記偏光子(偏光フィルム)としては、特
に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フ
ィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着さ
せて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製し
たもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させ
ると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率
や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸
着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルア
ルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PV
A系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケ
ン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子
フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PV
Aの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポ
リエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、
好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光フ
ィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、
これには限定されない。
【0127】前記保護層としては、特に制限されず、従
来公知の透明保護フィルムを使用できるが、例えば、透
明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性など
に優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質
の具体例としては、トリアセチルセルロール(TAC)
等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボ
ネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテル
スルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノ
ルボルネン系、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポ
リアセテート系等の透明樹脂等があげられる。また、前
記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポ
キシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬
化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久
性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTAC
フィルムが好ましい。
【0128】また、特開2001−343529号公報
(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムが
あげられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖
に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂
と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニト
リル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用
でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドか
らなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共
重合体とを有する樹脂組成物があげられる。なお、前記
ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成
形物であってもよい。
【0129】また、前記保護層は、例えば、色付きが無
いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィ
ルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+7
5nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−
80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70n
m〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90n
m〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに
起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。
なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同
様であり、dは、その膜厚を示す。 Rth=[[(nx+ny)/2]-nz]・d
【0130】また、前記透明保護層は、さらに光学補償
機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を
有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける
位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防
止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のもの
が使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂
を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液
晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマ
ー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これら
の中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、
前記液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、デ
ィスコティック系やネマティック系の液晶ポリマーの傾
斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセ
チルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板
が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例
えば、富士写真フィルム株式会社製「WVフィルム」等
の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板
は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィ
ルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによ
って、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
【0131】前記透明保護層の厚みは、特に制限され
ず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定でき
るが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜3
00μm、より好ましくは5〜150μmの範囲であ
る。
【0132】前記透明保護層は、例えば、偏光フィルム
に前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルム
に前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を
積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成で
き、また市販品を使用することもできる。
【0133】また、前記透明保護層は、さらに、例え
ば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング
の防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施
されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光
板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保
護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り
性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型
樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、ア
クリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用で
き、前記処理は、従来公知の方法によって行うことがで
きる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防
止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面で
の外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等
の形成により行うことができる。
【0134】前記アンチグレア処理とは、偏光板表面に
おいて外光が反射することによる、偏光板透過光の視認
妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の
方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構
造を形成することによって行うことができる。このよう
な凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラス
ト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のよう
な透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形
成する方式等があげられる。
【0135】前記透明微粒子としては、例えば、シリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化イ
ンジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげら
れ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋ま
たは未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微
粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均
粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μ
mの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、
特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂1
00質量部あたり2〜70質量部の範囲が好ましく、よ
り好ましくは5〜50質量部の範囲である。
【0136】前記透明微粒子を配合したアンチグレア層
は、例えば、透明保護層そのものとして使用することも
でき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成され
てもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過
光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機
能等)を兼ねるものであってもよい。
【0137】なお、前記反射防止層、スティッキング防
止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層と
は別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構
成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
【0138】各構成物同士(傾斜光学補償フィルム、偏
光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、
従来公知の方法によって行うことができる。一般には、
前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類
は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前
記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコ
ール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接
着剤等があげられる。前述のような粘着剤、接着剤は、
例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過
率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPV
A系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点
から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘
着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に
塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成された
テープやシートのような層を前記表面に配置してもよ
い。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に
応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。
なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着
剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合
してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限され
ないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましく
は10nm〜300nmであり、より好ましくは20n
m〜100nmである。特に限定されず、例えば、アク
リル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着
剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。これらの
接着剤は、例えば、その水溶液を前記各構成物表面に塗
工し、乾燥すること等によって使用できる。前記水溶液
には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触
媒も配合できる。これらの中でも、前記接着剤として
は、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA
系接着剤が好ましい。
【0139】また、本発明の偏光板は、例えば、以下の
ような方法によって製造することもできる。例えば、本
発明の傾斜光学補償フィルムの製造方法によって、前記
基材上に前記複屈折層を形成して積層体を調製した場合
は、前記接着剤層等を介して、偏光子や偏光板の透明保
護層に、前記積層体の複屈折層が対向するように貼り合
わせる方法や、前記積層体の前記複屈折層を前記偏光子
や透明保護層に貼り合わせて転写してから、前記第1の
基材のみを剥離する方法がある。また、本発明の傾斜光
学補償フィルムの製造方法により、前記基材(第1の基
材)の一方の面上に複屈折層を形成し、前記第1の基材
を偏光板の透明保護層として、前記第1の基材の他面側
に、前記接着剤等を介して偏光子を貼り付ける方法もあ
る。このように本発明の傾斜光学補償フィルムの製造方
法を利用して、本発明の偏光板を製造すれば、例えば、
少ない工程数で、安価に偏光板を提供でき、また、前記
複屈折層が薄型化されるため、これを含む前記偏光板自
体も薄型化が可能になる。
【0140】さらに、本発明の傾斜光学補償フィルム
は、前述のような偏光子の他にも、例えば、各種位相差
板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等、従来公知
の光学部材と組合せて使用することもできる。前記位相
差板としては、例えば、ポリマーフィルムを一軸延伸ま
たは二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性
高分子の塗工膜等があげられる。前記拡散制御フィルム
としては、例えば、拡散、散乱、屈折を利用したフィル
ムがあげられ、これらは、例えば、視野角の制御や、解
像度に関わるギラツキや散乱光の制御等に使用すること
ができる。前記輝度向上フィルムとしては、例えば、コ
レステリック液晶の選択反射と1/4波長板(λ/4
板)とを用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異
方性散乱を利用した散乱フィルム等が使用できる。ま
た、前記傾斜光学補償フィルムは、例えば、ワイヤーグ
リッド型偏光子と組合せることもできる。
【0141】本発明の積層偏光板は、実用に際して、前
記本発明の傾斜光学補償フィルムの他に、さらに他の光
学層を含んでもよい。前記光学層としては、例えば、以
下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向
上フィルム等、液晶表示装置等の形成に使用される、従
来公知の各種光学層があげられる。これらの光学層は、
一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、ま
た、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。この
ような光学層をさらに含む積層偏光板は、例えば、光学
補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好
ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像
表示装置への使用に適している。
【0142】以下に、このような一体型偏光板について
説明する。
【0143】まず、反射型偏光板または半透過反射型偏
光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、本
発明の積層偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型
偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに半透過反射板
が、それぞれ積層されている。
【0144】前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏
側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射さ
せて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装
置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例え
ば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液
晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
【0145】前記反射型偏光板は、例えば、前記複屈折
層を含む偏光板の片面に、金属等から構成される反射板
を形成する方法等、従来公知の方法によって作製でき
る。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護
層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前
記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や
蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげら
れる。
【0146】また、前述のように各種透明樹脂に微粒子
を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上
に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、
反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造
である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散さ
せ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラ
を抑制できるという利点を有する。このような反射板
は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方
式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等
の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直
接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができ
る。
【0147】また、前述のように偏光板の透明保護層に
前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板とし
て、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反
射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射
板における前記反射層は、通常、金属から構成されるた
め、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初
期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避す
る点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前
記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好
ましい。
【0148】一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型
偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を
有するものである。前記半透過型反射板としては、例え
ば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミ
ラー等があげられる。
【0149】前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの
裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気
で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を
反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、
半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバック
ライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの
液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型
偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源
使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気
下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプ
の液晶表示装置等の形成に有用である。
【0150】つぎに、本発明の積層偏光板に、さらに輝
度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
【0151】前記輝度向上フィルムとしては、特に限定
されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が
相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光
軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示す
もの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとし
ては、例えば、3M社製の商品名「D-BEF」等があ
げられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステ
リック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層
をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これ
らは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する
特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名
「PCF350」、Merck社製の商品名「Tran
smax」等があげられる。
【0152】本発明の各種偏光板は、例えば、前述のよ
うな複屈折層を含む積層偏光板と、さらに光学層とを積
層して、2層以上の光学層を含む光学部材であってもよ
い。
【0153】このように2層以上の光学層を積層した光
学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程におい
て、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、
予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質
の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造
効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、
前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることが
できる。
【0154】前述のような各種偏光板は、例えば、液晶
セル等の他の部材への積層が容易になることから、さら
に粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、こ
れらは、前記偏光板の片面または両面に配置することが
できる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、
アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特
に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光
学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で
耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例え
ば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが
好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着
層等でもよい。前記偏光板表面への前記粘着剤層の形成
は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延
や塗工等の展開方式により、前記偏光板の所定の面に直
接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセ
パレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記偏光板
の所定面に移着する方式等によって行うことができる。
なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成し
てもよく、例えば、偏光板における前記位相差板の露出
面に形成してもよい。
【0155】このように偏光板に設けた粘着剤層等の表
面が露出する場合は、前記粘着層を実用に供するまでの
間、汚染防止等を目的として、ライナー(セパレータ)
によって前記表面をカバーすることが好ましい。このラ
イナーは、前記透明保護フィルム等のような適当なフィ
ルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル
系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コ
ートを設ける方法等によって形成できる。
【0156】前記粘着剤層等は、例えば、単層体でもよ
いし、積層体でもよい。前記積層体としては、例えば、
異なる組成や異なる種類の単層を組合せた積層体を使用
することもできる。また、前記偏光板の両面に配置する
場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異
なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
【0157】前記粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の
構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500
μmである。
【0158】前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、
例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や
接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例と
しては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、
ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム
等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘
着剤等があげられる。
【0159】前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例え
ば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分
子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配
合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するとい
うような、従来公知の方法によって適宜行うことができ
る。
【0160】以上のような本発明の傾斜光学補償フィル
ムや偏光板、各種光学部材(光学層をさらに積層した各
種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学
層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル
系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯
塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによっ
て、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
【0161】本発明の傾斜光学補償フィルムや偏光板
は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に
使用することが好ましく、例えば、偏光板を液晶セルの
片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半
透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に
用いることができる。
【0162】液晶表示装置を形成する前記液晶セルの種
類は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)型に代表さ
れるアクティブマトリクス駆動型のもの、TN(ツイス
トネマチック)型やSTN(スーパーツイストネマチッ
ク)型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種
々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、
表示方式が、TN型、STN型、OCB(Optically Al
igned Birefringence)型である液晶セルへの使用が好
ましい。また、VA(垂直配向;Vertical Aligned)型
等であっても、液晶の配向がモノドメイン配向である場
合には、このような液晶セルにも適用できる。
【0163】また、前記液晶セルは、通常、対向する液
晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、前
記液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガ
ラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、前記
プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従
来公知の材料があげられる。
【0164】また、液晶セルの両面に、本発明の光学補
償層や偏光板、その他の光学部材を設ける場合、それら
は同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さ
らに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズ
ムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバッ
クライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2
層以上配置することができる。
【0165】さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶パ
ネルを含み、前記液晶パネルとして、本発明の液晶パネ
ルを使用する以外は、特に制限されない。また、さらに
光源を有してもよく、前記光源としては、特に制限され
ないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できるこ
とから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが
好ましい。
【0166】本発明の液晶パネルの一例としては、例え
ば、以下のような形態があげられる。液晶パネルは、例
えば、液晶セル、本発明の傾斜光学補償フィルム、偏光
子2および透明保護層を有しており、前記液晶セルの一
方の面に前記傾斜光学補償フィルムが積層されており、
前記傾斜光学補償フィルムの他方の面に、前記偏光子お
よび前記透明保護層が、この順序で積層されている。前
記液晶セルは、二枚の液晶セル基板の間に、液晶が保持
された構成となっている。また、前記傾斜光学補償フィ
ルムが、前述のように複屈折層と基材との積層体である
場合、その配置は特に制限されないが、例えば、前記複
屈折層側が前記液晶セルに面しており、前記基材側が前
記偏光子に面している形態があげられる。
【0167】本発明の液晶表示装置においては、視認側
の傾斜光学補償フィルムの上に、例えば、さらに拡散
板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配
置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板
との間に補償用位相差板等を適宜配置することもでき
る。
【0168】なお、本発明の傾斜光学補償フィルムや偏
光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例
えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプ
レイ、PDP、プラズマディスプレイ(PD)およびF
ED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Displa
y)等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フ
ラットディスプレイに使用する場合は、例えば、前記本
発明の偏光板をΔnd=λ/4にすることで、円偏光を
得ることができるため、反射防止フィルターとして利用
できる。
【0169】以下に、本発明の傾斜光学補償フィルムや
偏光板を備えるエレクトロルミネッセンス(EL)表示
装置について説明する。本発明のEL表示装置は、本発
明の傾斜光学補償フィルムまたは偏光板を有する表示装
置であり、このEL装置は、有機ELおよび無機ELの
いずれでもよい。
【0170】近年、EL表示装置においても、黒状態に
おける電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏
光板等の光学フィルムをλ/4板とともに使用すること
が提案されている。本発明の傾斜光学補償フィルムや偏
光板は、特に、EL層から、直線偏光、円偏光もしくは
楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、ある
いは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の
出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用であ
る。
【0171】まずここで、一般的な有機EL表示装置に
ついて説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透
明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこ
の順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有して
いる。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であ
り、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔
注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光
層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等
からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入
層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わ
せがあげられる。
【0172】そして、このような有機EL表示装置は、
前記陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記
有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子
とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光
物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻ると
きに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と
電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオード
と同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して
整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0173】前記有機EL表示装置においては、前記有
機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の
電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジ
ウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電
極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にし
て発光効率を上げるには、陰極に、仕事関数の小さな物
質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al
−Li等の金属電極が使用される。
【0174】このような構成の有機EL表示装置におい
て、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極
めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記
有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完
全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前
記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発
光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前
記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認し
た際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見え
るのである。
【0175】本発明の有機EL表示装置は、例えば、前
記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光
層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含
む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、
本発明の傾斜光学補償フィルムや偏光板が配置されるこ
とが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との
間に配置することが好ましい。このように、本発明の傾
斜光学補償フィルムや偏光板を配置することによって、
外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果
を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と
光学フィルムとの間に、さらに位相差板が配置されるこ
とが好ましい。
【0176】前記位相差板および光学フィルム(偏光板
等)は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射
してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用
によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないと
いう効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を
使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向
のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を
完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL
表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線
偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差
板によって、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差
板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合
には、円偏光となる。
【0177】この円偏光は、例えば、透明基板、透明電
極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有
機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板
で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記
偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透
過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を
完全に遮蔽することができるのである。
【0178】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0179】(実施例1)2,2'-ヒ゛ス(トリフルオロメチル)-4,4',
5,5'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物と、2,2'-ヒ゛ス(トリフルオロメチ
ル)-4,4'-シ゛アミノヒ゛フェニルとから合成された重量平均分子量
(Mw)7万のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解
して10重量%のポリイミド溶液を調製した。そして、
厚み75μmのPETフィルム(東レ社製:商品名S2
7)の表面に前記ポリイミド溶液を塗工した。そして、
この塗工膜に、送風機より熱風をあてて、前記塗工膜の
ポリイミドを傾斜させた。この処理の条件は、風速20
m/sec、風の温度100℃、時間5分、塗工膜表面
と送風機先端との距離30cmとし、前記PETフィル
ムと塗工膜との積層体は、ベルト上に配置して、2m/
分の速度で連続的に送り出すことによって熱風を当て
た。そして、さらに150℃で5分間加熱乾燥を行っ
て、前記PETフィルム上に傾斜配向したポリイミドを
固定することによって、前記PETフィルム上に、厚み
4μmのポリイミドフィルムを形成した。前記ポリイミ
ドフィルムの複屈折性を評価したところ、複屈折率(Δ
n)約0.041の複屈折層であることがわかった。
【0180】前記PETフィルムから前記ポリイミドフ
ィルムを剥離し、このポリイミドフィルムについて、位
相差計(商品名KOBRA−21ADH:王子計測機器
社製)を用いて、590nmにおける位相差を測定し
た。この位相差測定は、前記ポリイミドフィルムの法線
を0°に設定し、法線(0°)および法線から前記ポリ
イミドフィルムの進相軸方向に−50°〜+50°に傾
斜した軸を測定軸として、前記測定軸方向より行った。
これらの結果を図3に示す。同図は、測定角度(傾斜角
度)と、各測定角度における位相差値の関係を示すグラ
フであり、横軸が角度、縦軸が位相差値をそれぞれ示
す。
【0181】同図に示すように、法線を0°とした場合
の測定角度(-50〜+50°)における位相差値の曲線は、
0°(法線)を通る縦軸(同図において点線)に対して
非対称であることから、ポリイミドの配向が傾斜配向で
ある傾斜光学補償フィルムであることが確認できた。ま
た、最小位相差値を示すのは、法線から進相軸方向に+
10°程度傾斜した付近であった。
【0182】さらに、このポリイミドフィルムを市販の
偏光板(商品名HEG1425DU:日東電工社製)に
積層した。この積層偏光板を、さらに前記ポリイミドフ
ィルムと液晶パネルとが対向するように、市販のTNモ
ード液晶表示装置の液晶パネルに実装した。そして、こ
の液晶表示装置のコントラストを求めた。コントラスト
は、前記液晶表示装置に、白画像および黒画像を表示さ
せ、商品名Ez contrast 160D(ELDIM社製)によ
り、表示画面の正面、上下左右について、視野角0〜7
0°におけるXYZ表示系のY値、x値、y値をそれぞ
れ測定した。そして、白画像におけるY値(Yw)と、
黒画像におけるY値(YB)とから、各視野角における
コントラスト「Yw/YB」を算出した。一方、比較例と
して、前記積層偏光板にかえて、前記市販の偏光板のみ
を実装した液晶表示装置についても前記視野角における
コントラストを確認した。
【0183】その結果、実施例の積層偏光板を実装した
液晶表示装置によれば、市販の偏光板のみを実装した比
較例の液晶表示装置に比べて、コントラストが10以上
を示す視野角が、比較例の視野角よりも左右+15°の
範囲にまで拡大された。
【0184】(対照例1)ポリビニルアルコール(商品
名NH−18:日本合成化学社製)の1重量%水溶液
を、ガラス板表面にスピンコーターによって塗工し、こ
れを120℃で5分乾燥した。これによって、前記ガラ
ス板上に、膜厚0.5μmのPVA膜が形成された。さ
らに、前記PVA膜の表面を市販のラビング布で一方向
に5回ラビングを行い、配向膜を形成した。そして、前
記配向膜の表面に、下記式に示すトリフェニレン系ディ
スコティック液晶の10重量%テトラクロロエチレン溶
液を、スピンコーターによって塗工し、この塗工膜を2
00℃で5分間加熱処理することによって、前記液晶材
料の配向を行った。この加熱処理によって、前記配向膜
上に、厚み2μm、複屈折率(Δn)約0.040の傾
斜複屈折層が形成された。
【化18】
【0185】この対照例1の傾斜複屈折層について、前
記実施例1と同様にして位相差を測定した。この結果を
図4に示す。同図は、前記図3と同様に、法線−測定軸
の角度と、各測定軸における位相差値の関係を示すグラ
フであり、横軸が角度、縦軸が位相差値をそれぞれ示
す。この図4に示すように、法線を0°とした場合の測
定角度(-50〜+50°)における位相差値の曲線は、0°
(法線)を通る縦軸(同図において点線)に対して非対
称であり、最小位相差値を示すのは、法線から進相軸方
向に+30°程度傾斜した付近であった。
【0186】さらに、この複屈折層を、前記実施例1と
同様に市販のTNモードの液晶表示装置に実装した結
果、前記市販の偏光板のみを実装した場合と比較して、
コントラスト10以上を示す領域が左右方向に+15°
拡大していることが確認できた。
【0187】以上の結果からわかるように、実施例の傾
斜光学補償フィルムであれば、対照例と比べて、位相差
と測定角度のグラフの形状に若干違いはあるものの、同
様に縦軸に対して非対称であった。
【0188】また、実施例および対照例において製造し
た傾斜光学補償フィルムを、さらに延伸した結果、対照
例の傾斜光学補償フィルムは、液晶分子の傾斜配向がば
らばらとなり、傾斜光学フィルムとして実用不可となっ
たのに対して、実施例の傾斜光学補償層は、面内位相差
をさらに変化させることができた。このことからも、本
発明の傾斜光学補償フィルムによれば、用途に応じて、
さらに光学特性を変化できるため、用途も拡大され有用
であると言える。
【0189】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、液晶材
料を用いることなく、特にNTモード等の液晶表示装置
に有用な、新たな傾斜光学補償フィルムが提供できる。
また、非液晶ポリマーであるため、基板の配向性にも影
響を受けることがないため、基板の種類も制限されな
い。さらに、非液晶ポリマーを傾斜配向させた後でも、
延伸や収縮処理が可能であるため、光学特性の設計をさ
らに変化できるため、用途が拡大でき、位相差フィルム
として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の傾斜光学補償フィルムにおける、位相
差の測定角度と位相差値との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の傾斜光学補償フィルムにおける屈折率
楕円体の形態を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例において、傾斜光学補償フィ
ルムの位相差値と測定角度との関係を示すグラフであ
る。
【図4】対照例における、傾斜光学補償フィルムの位相
差値と測定角度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉見 裕之 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA42 BB44 BB45 BC03 BC22 2H091 FA08 FA11 FC07 FC14 FC21 FD06 HA07 HA09 4F071 AA09 AA14 AA21 AA22 AA24 AA25 AA29 AA32 AA33 AA43 AA48 AA50 AA54 AA60 AA64 AF35 AG21 BB07 BC01

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非液晶ポリマーを含む光学補償フィルム
    であって、前記非液晶ポリマーが傾斜配向しており、前
    記光学補償フィルム面の法線を0°、前記法線と測定軸
    との角度を測定角度(0°を含む)とした場合に、前記
    測定軸方向から測定した位相差値が、前記0°における
    位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、そ
    の位相差値の変化が非対称となり、かつ、下記式で表さ
    れる複屈折(Δn)が0.001〜0.5の範囲である
    ことを特徴とする光学補償フィルム。 Δn=[[(nx+ny)/2]−nz]・d/d 前記式において、Δnは、前記傾斜光学補償フィルムの
    複屈折を示し、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記
    傾斜光学補償フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方
    向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記傾斜光学補償フ
    ィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であ
    り、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な
    軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚
    み方向を示し、dは前記傾斜光学補償フィルムの厚みを
    示す。
  2. 【請求項2】 前記非液晶ポリマーが、ポリアミド、ポ
    リイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリア
    ミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選
    ばれる少なくとも一つのポリマーである請求項1記載の
    傾斜光学補償フィルム。
  3. 【請求項3】 非液晶ポリマーを含む光学補償フィルム
    であって、前記非液晶ポリマーが傾斜配向しており、前
    記光学補償フィルム面の法線を0°、前記法線と測定軸
    との角度を測定角度(0°を含む)とした場合に、前記
    測定軸方向から測定した位相差値が、前記0°における
    位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、そ
    の位相差値の変化が非対称となり、かつ、前記非液晶ポ
    リマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポ
    リエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステ
    ルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つのポリ
    マーであることを特徴とする光学補償フィルム。
  4. 【請求項4】 下記式で表される複屈折(Δn)が0.
    001〜0.5の範囲である請求項3記載の傾斜光学補
    償フィルム。 Δn=[[(nx+ny)/2]−nz]・d/d 前記式において、Δnは、前記傾斜光学補償フィルムの
    複屈折を示し、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記
    傾斜光学補償フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方
    向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記傾斜光学補償フ
    ィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であ
    り、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な
    軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚
    み方向を示し、dは前記傾斜光学補償フィルムの厚みを
    示す。
  5. 【請求項5】 位相差値の最大値または最小値が、測定
    角度が+側または−側における位相差値である請求項1
    〜4のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フィルム。
  6. 【請求項6】 前記測定角度が、−50〜+50°であ
    る請求項1〜5のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 位相差値の最大値または最小値が、前記
    測定角度−2°〜−50°または+2°〜+50°にお
    ける位相差値である請求項6記載の傾斜光学補償フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 前記測定軸が、法線および法線から傾斜
    した軸を含み、前記法線から傾斜した軸が、前記傾斜光
    学補償フィルムの遅相軸方向に傾斜している請求項1〜
    7のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フィルム。
  9. 【請求項9】 前記測定軸が、法線および法線から傾斜
    した軸を含み、前記法線から傾斜した軸が、前記傾斜光
    学補償フィルムの進相軸方向に傾斜している請求項1〜
    8のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フィルム。
  10. 【請求項10】 表示方式がTN(Twisted Nematic)
    モードまたはOCB(Optically Aligned Birefringenc
    e)モードである液晶表示装置に使用する請求項1〜9
    のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フィルム。
  11. 【請求項11】 液晶配向がモノドメイン配向である液
    晶表示装置に使用する請求項1〜10のいずれか一項に
    記載の傾斜光学補償フィルム。
  12. 【請求項12】 表示方式がTNモードである液晶表示
    装置におけるコントラスト10以上を示す領域を、表示
    面の左右方向に10°以上拡大する請求項10記載の傾
    斜光学補償フィルム。
  13. 【請求項13】 ポリアミド、ポリイミド、ポリエステ
    ル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリ
    エステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一つ
    の非液晶ポリマーを基材上に塗工して塗工膜を形成する
    工程と、前記塗工膜における前記非液晶ポリマーを傾斜
    配向させて傾斜光学補償フィルムを形成する工程とを含
    み、前記非液晶ポリマーを傾斜配向させる方法が、前記
    塗工膜に対して、前記非液晶ポリマーが傾斜配向するよ
    うに外力を加える方法である、傾斜光学補償フィルムの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記塗工膜傾斜配向した後に、前記塗
    工膜を形成する非液晶ポリマーを固化する工程を含む請
    求項13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記塗工膜に対して風を吹き付けるこ
    とによって、前記塗工膜に外力を加える請求項13また
    は14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記基材として収縮性を有する基材
    (第1の基材)を使用し、前記第1の基材上に塗工膜を
    形成後、さらに前記第1の基材とは異なる収縮率の第2
    の基材を前記塗工膜上に積層して、前記塗工膜を前記第
    1の基材と前記第2の基材とで挟み、前記第1の基材と
    第2の基材との収縮率の違いによって、前記塗工膜に外
    力を加える請求項13または14記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1の基材と第2の基材に加熱処
    理を施すことによって、前記基材を収縮させる請求項1
    6記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記基材と前記基材上に形成された傾
    斜光学補償フィルムとを、さらに共に延伸して、前記傾
    斜光学補償フィルムにおける位相差を変化させる工程を
    含む請求項13〜17のいずれか一項に記載の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記基材として収縮性を有する基材を
    使用し、前記基材上に傾斜光学補償フィルムを形成した
    後、前記基材を収縮させて、前記傾斜光学補償フィルム
    の位相差を変化させる請求項13〜18のいずれか一項
    に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記基材を前記傾斜光学補償フィルム
    から剥離する工程を含む請求項13〜19のいずれか一
    項に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項13〜20のいずれか一項に記
    載の傾斜光学補償フィルムの製造方法によって製造され
    た傾斜光学補償フィルム。
  22. 【請求項22】 偏光子と光学補償フィルムとを含む偏
    光板であって、前記光学補償フィルムが、請求項1〜1
    2のいずれか一項に記載の傾斜光学補償フィルムおよび
    請求項21記載の傾斜光学補償フィルムの少なくとも一
    方である偏光板。
  23. 【請求項23】 液晶セルと光学部材とを含む液晶パネ
    ルであって、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前
    記光学部材が配置され、前記光学部材が、請求項1〜1
    2および請求項21のいずれか一項に記載の傾斜光学補
    償フィルムおよび請求項22記載の偏光板の少なくとも
    一方である液晶パネル。
  24. 【請求項24】 液晶パネルを含む液晶表示装置であっ
    て、前記液晶パネルが請求項23記載の液晶パネルであ
    る液晶表示装置。
  25. 【請求項25】 表示方式がTNモードまたはOCBモ
    ードである請求項24記載の液晶表示装置。
  26. 【請求項26】 液晶配向がモノドメイン配向である請
    求項24記載の液晶表示装置。
  27. 【請求項27】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の傾斜光学補償フィルム、請求項21記載の傾斜光学補
    償フィルムおよび請求項22記載の偏光板からなる群か
    ら選択された少なくとも一つの光学部材を含む画像表示
    装置。
  28. 【請求項28】 液晶表示装置、エレクトロルミネッセ
    ンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(P
    D)およびFED(電界放出ディスプレイ:Field Emis
    sion Display)からなる群から選択された少なくとも一
    つである請求項27記載の画像表示装置。
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