JP2004226945A - 複屈折性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配向処理された非液晶性ポリマー製複屈折層を、液晶化合物のための配向層として用いる製造方法である。この製造方法によれば、別途配向層を準備する工程が省略され、かつ別の配向層が不要なので、全体の複屈折性フィルムの厚みを薄くすることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複屈折性フィルムの製造方法に関する。詳細には、非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムの製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
液晶化合物を含む複屈折性フィルムを製造するためには、液晶化合物を配向させ、その配向状態を固定化する必要がある。液晶化合物を配向させるためには、従来、配向膜を準備し、配向膜上に液晶化合物を塗工する必要があった。そのような配向膜としては、通常、ポリイミドやポリビニルアルコールの薄膜をラビング布で擦ったラビング膜、光二量化ポリマーの膜に偏光を照射して形成した光配向膜(例えば、特許文献1参照)、ポリエステルフィルムなどを延伸した延伸ポリマーフィルム(例えば、特許文献2参照)などが知られている。また、そのような配向膜上に形成した液晶化合物の複屈折性フィルムに、光学補償を向上させるために、さらに別の複屈折性フィルムを積層させることもあった。そのような別の複屈折性フィルムとしては、非液晶性ポリマーから形成されるものなどが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかし、配向膜上に形成した液晶化合物の複屈折性フィルム上に、さらに別の複屈折性フィルムを積層させると、全体の厚みが厚くなるという問題があった。また、配向膜(または配向基板)を準備する必要があるため、全体の製造工程数も増加するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−95066号公報
【特許文献2】
特開平3−9325号公報
【特許文献3】
特開2000−190385号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、複屈折性フィルム全体の厚みが薄く、全体の製造工程数も少ない、複屈折性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、配向した液晶化合物製複屈折層が形成される複屈折性フィルムの製造方法であって、
前記非液晶性ポリマー製複屈折層が、配向処理された層であり、
この配向により、前記液晶化合物製複屈折層が、その形成の際に配向処理される複屈折性フィルムの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法によれば、非液晶性ポリマー製複屈折層が、配向処理されているため、この非液晶性ポリマー製複屈折層上に塗工される液晶化合物を配向できるのはもちろんのこと、前記非液晶性ポリマー製複屈折層は複屈折性を有するため、実用に際して、更なる光学補償を実現することもできる。つまり、従来技術によれば、前述のように、液晶化合物を配向させるためには配向膜が必要であり、一方では、光学補償能を向上させるために別途複屈折性フィルムを必要としていたため、得られるフィルムの全体の厚みが厚くなっていた。しかし、本発明の製造方法により得られたフィルムは、非液晶性ポリマー製複屈折層が配向膜の役割と光学補償の両方を兼ねるため、必然的に得られるフィルムの全体の厚みを薄くできるのである。
また、非液晶性ポリマー製複屈折層のみで、配向膜の役割と光学補償の役割を果たすため、従来の製造方法よりも製造工程を減らすことができる。
【0008】
本発明の製造方法で用いる非液晶性ポリマー製複屈折層は、例えば、非液晶性ポリマーフィルムを、配向処理して形成することができる。非液晶性ポリマーフィルムは、例えば、以下のようにして準備することができる。非液晶性ポリマーフィルムは、市販で入手可能なものを購入してもよいし、基材の表面に非液晶性ポリマーの溶液または溶融液を塗工し、固化させることにより形成してもよい。例えば、基材の表面に非液晶性ポリマーを塗工して、固化させることによる、非液晶性ポリマーフィルムの準備方法を説明する。
まず、基材の表面に、非液晶性ポリマーを塗工することにより塗工層を形成する。
【0009】
前記非液晶性ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、負の配向複屈折性(ポリマーフィルムを延伸した際に、延伸方向の屈折率が小さくなる性質)を示すポリマー、特にポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。前記非液晶性ポリマーとしては、光透過率が優れるのもが好ましく、光透過率としては、例えば75%以上、好ましくは85%以上である。
このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0010】
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。なお、重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを標準試料とし、ジメチルホルムアミド溶媒を使用してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値である。
【0011】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
【0012】
【化1】
【0013】
前記式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
【0014】
前記式(1)中、Zは、例えば、C6〜20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(2)で表される基である。
【0015】
【化2】
【0016】
前記式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R7)2基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C2H5)2基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC(R9)3である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC6〜20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
【0017】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C1〜10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
【0018】
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記式(5)のポリイミドは、下記式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0019】
【化3】
【0020】
前記一般式(3)〜(5)中、GおよびG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH3)2基、C(CF3)2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH3)2基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0021】
前記式(3)および式(5)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素があげられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
【0022】
前記式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
【0023】
前記式(4)中、R10およびR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0024】
前記式(5)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。
【0025】
前記式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(6)で表されるもの等があげられる。
【0026】
【化4】
【0027】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげられる。
【0028】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0029】
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0030】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
【0031】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0032】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
【0033】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
【0034】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
【0035】
前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンがあげられる。
【0036】
【化5】
【0037】
前記式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
【0038】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげられる。
【0039】
前記式(7)中、qは、0から4までの整数である。前記式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
また、前記式(7)中、R1は、下記式(8)で表される基であり、mは、0または1の整数である。
【0040】
【化6】
【0041】
前記式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記式(7)におけるXと同様である。前記式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q’は、前記X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。
【0042】
前記式(8)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0043】
【化7】
【0044】
前記式(7)中、前記R1としては、下記式(16)で表される基が好ましく、下記式(16)において、R2およびpは前記式(8)と同義である。
【0045】
【化8】
【0046】
さらに、前記式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0047】
さらに、前記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(17)で表すことができる。なお、下記式において、nは前記式(7)と同様の重合度を表す。
【0048】
【化9】
【0049】
前記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、前記式(7)と同様の重合度を表す。
【0050】
【化10】
【0051】
また、これらの他に、前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。
【0052】
【化11】
【0053】
前記式(22)中、Yは、OまたはNHである。また、Eは、例えば、共有結合、C2アルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xはハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、および、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、C1−3アルキル基およびC1−3ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基またはY基に対してメタ位またはパラ位にある。
【0054】
また、前記(22)中、AおよびA’は、置換基であり、tおよびzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
【0055】
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C1−9アルコキシカルボニル基、C1−9アルキルカルボニルオキシ基、C1−12アリールオキシカルボニル基、C1−12アリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、C1−12アリールカルバモイル基、ならびに、C1−12アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせがあげられる。前記tは、0から4までの整数であり、前記zは、0から3までの整数である。
【0056】
前記式(22)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(23)で表されるものが好ましい。
【化12】
【0057】
前記式(23)中、A、A’およびYは、前記式(22)で定義したものであり、vは0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞれ0または1であるが、共に0であることはない。
【0058】
また、他に、前記ポリアミドイミドとしては、例えば、特開昭61−162512号公報に記載されるポリアミドイミドが挙げられる。
【0059】
前記基材としては、特に限定されず、無機化合物の基材(SUSベルト、銅薄板、ガラス、Siウエハ等)、ポリマーフィルムまたは金属板等を用いることができる。
ポリマーフィルムの形成材料として、具体的には、例えば、ポリオレフイン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、セルロース系ポリマー(トリアセチルセルロース(TAC)等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル樹脂や、これらの混合物等が挙げられる。
【0060】
また、これらの他に、液晶ポリマー等も使用できる。さらに、例えば、特開平2001−343529号公報(WO 01/37007号)に記載されているような、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物等も使用できる。具体例としては、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドの交互共重合体と、アクリロニトリルとスチレンの共重合体との混合物等である。
【0061】
これらの形成材料の中でも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロース系ポリマー、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂、イソブテンとN−メチルマレイミドの交互共重合体と、アクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物が好ましい。この混合物を用いたポリマーフィルムとしては、例えば、鐘淵化学社製の商品名「HTフィルム」等が挙げられる。
【0062】
前記ポリマーフィルムとしては、前記樹脂を、押出成形、カレンダー法、溶媒キャスティング法等で製造することができる。さらに、ポリマーフィルムは、延伸(一軸、二軸等)されてもよく、延伸されたポリマーフィルムが好ましい。
前記ポリマーフィルムとしては、親水化処理や疎水化処理、基材の溶解性を低減する処理等の表面処理を施したものを用いることもできる。また、後記する偏光子を用いてもよい。
【0063】
前記ポリマーフィルムの厚みは、通常10μm以上200μm以下であり、好ましくは20μm以上150μm以上、特に好ましくは30μm以上100μm以下である。
【0064】
前記基材の表面に前記非液晶性ポリマーを塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、前述のような非液晶性ポリマーを加熱溶融して塗工する方法や、前記非液晶性ポリマーを溶媒に溶解させた非液晶性ポリマー溶液を塗工する方法等があげられる。その中でも、作業性に優れ、光学異方性制御の点から、前記非液晶性ポリマー溶液を塗工する方法が好ましい。
【0065】
前記非液晶性ポリマー溶液における前記非液晶性ポリマーの濃度は、特に制限されないが、例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、前記非液晶性ポリマーが、例えば0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部である。溶媒100重量部に対して前記非液晶性ポリマーが0.5重量部以上であると、塗工に適した粘度が得られるので好ましい。また、50重量部以下であると、滑らかな塗工面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
【0066】
前記非液晶性ポリマー溶液の溶媒としては、特に制限されず、例えば、前記非液晶性ポリマー等の形成材料を溶解できればよく、前記形成材料の種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等があげられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、前記基材を侵食しないものが好ましい。
【0067】
前記非液晶性ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。
【0068】
また、前記非液晶性ポリマー溶液は、例えば、前記形成材料の配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
【0069】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等があげられる。
【0070】
このように、前記他の樹脂等を前記非液晶性ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、前記非液晶性ポリマーに対して、例えば、0〜50重量%であり、好ましくは、0〜30重量%である。
【0071】
前記非液晶性ポリマー溶液の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、押出法等があげられる。また、塗工に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
【0072】
前記非液晶性ポリマーの溶融液は、特に限定されないが、例えば前述のような非液晶性ポリマーを加熱溶融した液が挙げられる。前記非液晶性ポリマーの溶融液の塗工方法としては、前記基材の表面上に塗工可能な方法であれば限定されないが、例えば、キャスティング法、溶融押し出し法等が挙げられる。前記非液晶性ポリマーの溶融液は、例えば、必要に応じて、上述の安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤および異なる他の樹脂をさらに含有してもよい。
【0073】
次いで、前記基材上の非液晶性ポリマーの塗工層を固化させて、非液晶性ポリマーフィルムを形成する。
前記固化の方法としては、前記非液晶性ポリマーを固化させ、前記非液晶性ポリマーフィルムを形成する方法であれば、特に制限されず、例えば、自然乾燥や加熱乾燥等の乾燥があげられる。その条件も、例えば、前記非液晶性ポリマーの種類や、溶液の場合には前記溶媒の種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、温度は、通常、25℃〜400℃であり、好ましくは60℃〜300℃であり、さらに好ましくは65℃〜250℃である。なお、固化は、一定温度で行っても良いし、段階的に温度を上昇または下降させながら行っても良い。固化時間も特に制限されないが、非液晶性ポリマーの溶液を用いた場合、固化により溶媒を除去する条件を用いる必要がある。通常、固化時間は、10秒〜60分、好ましくは30秒〜30分である。
【0074】
このようにして、基材上に非液晶性ポリマーフィルムを形成することができる。なお、前記非液晶性ポリマーフィルムから前記基材を剥離して除去し、前記非液晶性ポリマーフィルムを単独で得ることもできる。
【0075】
なお、複屈折率 △n=[{(nx+ny)/2}−nz]・d/d、面内位相差 Re=(nx−ny)・dである。
前記nx、nyおよびnzは、それぞれ前記非液晶性ポリマーフィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記非液晶性ポリマーフィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記非液晶性ポリマーフィルム面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
【0076】
次いで、非液晶性ポリマーフィルムに、配向処理を行う。配向処理としては、延伸処理、収縮処理およびラビング処理が挙げられる。この延伸処理、収縮処理のような配向処理により、非液晶性ポリマーフィルム中の非液晶性ポリマーが配向され、その結果、前記非液晶性ポリマーフィルムが光学的に二軸性、例えばnx>ny>nzの特性を示す非液晶性ポリマー製複屈折層になる。ラビング処理によっては、非液晶性ポリマーフィルムは、光学的に一軸性、すなわちnx=ny>nzの特性を示す複屈折層のままである。
【0077】
前記非液晶性ポリマーフィルムの延伸方法としては特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、テンター横延伸、二軸延伸、ロール法縦延伸等が挙げられる。二軸延伸は、長軸方向の延伸倍率が短軸方向の延伸倍率よりも小さいのが好ましい。また、二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロール・テンター法による逐次二軸延伸のいずれの方法でも用いることができる。ロール縦延伸における加熱は、加熱ロールを用いる方法、周りの雰囲気を加熱する方法、前者両方を行う方法のいずれの方法によっても行うことができる。また、斜め延伸法を用いて、配向角を制御することもできる。
【0078】
前記非液晶性ポリマーフィルムの延伸倍率は、延伸方法によって異なるが、1〜100%、好ましくは3〜50%である。
【0079】
前記非液晶性ポリマーフィルムを延伸する温度は、前記フィルムのガラス転移点(Tg)や前記非液晶性ポリマーフィルム中の添加物の種類などに応じて適宜選択される。前記非液晶性ポリマーフィルムを延伸する温度は、例えば80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。特に、前記非液晶性ポリマーフィルムを延伸する温度は、前記非液晶性ポリマーフィルムのTg付近またはTg以上であるのが好ましい。
【0080】
前記非液晶性ポリマーフィルムの収縮方法としては、特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、非液晶性ポリマーフィルムを形成する際に基材を用い、非液晶性ポリマーフィルムが形成された基材を加熱または冷却することにより、基材を収縮させて行うことができる。そのような基材としては、熱収縮性フィルムなどの収縮能を有する基材を用いることができる。収縮能を有する基材を用いる場合、延伸機を利用して、基材の収縮率を制御することが好ましい。具体的には、テンター延伸機で延伸倍率を1未満に設定する方法や、縦一軸延伸機にて等倍に設定し、幅収縮を行う方法が挙げられる。
【0081】
非液晶性ポリマーフィルムのラビング処理としては特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、非液晶性ポリマーフィルムの表面を、織布、フェルト、ラバー、刷毛などで、一定方向に擦ることにより行われる。ラビング圧力、ラビング回数などのラビング条件は、特に制限されない。
【0082】
このように、非液晶性ポリマーフィルムは、延伸、収縮等の配向処理により、非液晶性ポリマー製複屈折層になる。なお、この非液晶性ポリマー製複屈折層は、面内における配向軸の精度が優れている。例えば、配向軸のばらつきは、通常±0.5度以下であり、好ましくは±0.3度以下である。また、面内位相差Reは、通常Re≦250nm、好ましくは1nm≦Re≦200nm、より好ましくは5nm≦Re≦150nmである。また、厚み方向位相差Rzは、通常Rz≦500nm、好ましくは2nm≦Rz≦400nm、より好ましくは10nm≦Rz≦300nmである。
なお、Rz=(nx−nz)・dであり、
nx、nz、dおよびReは前記で定義したとおりである。
【0083】
また、非液晶性ポリマー製複屈折層の厚さは、対象となる画像表示装置の画面の大きさに応じて適宜に決定することができる。非液晶性ポリマー製複屈折層は、例えば、1μm〜20μm、好ましくは2〜10μmの厚さのものが用いられる。
【0084】
本発明の製造方法においては、例えば、前記基材上に前記非液晶性ポリマーの塗工層を固化させた後に、前記基材を剥離して除去せず、前記非液晶性ポリマーフィルムと前記基材の積層物に、前述のような配向処理を行って、基材上に非液晶性ポリマー製複屈折層を形成することができる。
【0085】
また、本発明の製造方法において、前記基材(以下、「第1の基材」という)と前記第1の基材上に直接形成された前記非液晶性ポリマーフィルムとの積層体を、さらに他の基材(以下、「第2の基材」)上に、前記非液晶性ポリマーフィルムが対向するように接着し、前記第1の基材のみを剥離する工程を含んでもよい。このように第2の基材に前記非液晶性ポリマーフィルムを転写して、前記第1の基材を剥離することによって形成された前記非液晶性ポリマーフィルムと前記第2の基材との積層体に、配向処理を行って、基材上に非液晶性ポリマー製複屈折層を形成することができる。
【0086】
次いで、このようにして得られた非液晶性ポリマー製複屈折層上に、配向した液晶化合物性複屈折層を形成する。配向した液晶化合物複屈折層を形成するには、例えば、前記配向処理をした非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、液晶化合物溶液を塗工する。
液晶化合物溶液は、液晶化合物を含有する限り特に限定されない。
【0087】
液晶化合物は特に限定されないが、例えば、液晶ポリマー、光または熱重合性液晶モノマーおよびそれらの混合物等を使用することができる。また、単独で使用しても二種類以上を混合して使用しても良い。前記液晶ポリマーとしては、ネマチック液晶(例えば、カイラル性液晶を含むネマチック液晶)、ディスコチック液晶、コレステリック液晶(例えば、可視光において円偏光の選択反射性を示すコレステリック液晶)などが挙げられる。
【0088】
ネマチック液晶としては、特開平6−75114号公報、特開平6−300920号公報、特開平6−331826号公報等に記載されたネマチック液晶が挙げられる。
ディスコチック液晶としては、特開平7−98411号公報、特開平7−146409号公報、特開平7−191217号公報等に記載されたディスコチック液晶が挙げられる。
コレステリック液晶またはカイラル性液晶を含むネマチック液晶としては、特開平3−67219号公報、米国特許第5798808号公報、国際公開WO00/39631号公報等に記載されたものが挙げられる。
可視光において円偏光の選択反射性を示すコレステリック液晶としては、特開平1−133003号公報、特開平3−45906号公報、特開平6−324333号公報、特開平9−133810等に記載されたコレステリック液晶が挙げられる。
【0089】
中でも、ネマチック性液晶モノマーが好ましく、具体的には、下記式(24)で表されるモノマーがあげられる。これらの液晶モノマーは、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0090】
【化13】
【0091】
前記式(24)において、
A1およびA2は、それぞれ重合性基を表し、同一でも異なっていてもよい。
また、A1およびA2はいずれか一方が水素原子であってもよい。
Xは、それぞれ単結合、−O−、−S−、−C=N−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−CH2−O−または−NR−CO−NRを表し、前記XにおいてRは、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、
Mはメソーゲン基を表す。
【0092】
前記式(24)において、Xは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記式(24)のモノマーの中でも、A2は、それぞれA1に対してオルト位に配置されていることが好ましい。
【0093】
また、前記A1およびA2は、それぞれ独立して下記式
Z−X−(Sp)n ・・・(25)
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
【0094】
前記式(25)において、
Zは架橋性基を表し、
Xは前記式(24)と同様であり、
Spは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基からなるスペーサーを表し、前記アルキル基は、例えば、エーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基またはC1〜C4のアルキルイミノ基等により割り込まれてもよい。
nは、0または1を表す。
【0095】
前記式(25)において、Zは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましい。下記式において、Rとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル基等があげられる。
【0096】
【化14】
【0097】
また、前記式(25)において、Spは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましく、下記式において、mは1〜3、pは1〜12であることが好ましい。
【0098】
【化15】
【0099】
前記式(24)において、
Mは、下記式(26)で表されることが好ましく、下記(26)において、Xは、前記式(24)におけるXと同様である。
Qは、例えば、置換または未置換のアルキレン基しくは芳香族炭化水素原子団を表し、また、例えば、置換または未置換の直鎖または分枝鎖のC1〜C12アルキレン基等であってもよい。
【0100】
【化16】
【0101】
前記Qが、前記芳香族炭化水素原子団の場合、例えば、下記式に表されるような原子団や、それらの置換類似体が好ましい。
【化17】
【0102】
前記式に表される芳香族炭化水素原子団の置換類似体は、例えば、芳香族環1個につき1〜4個の置換基を有してもよく、また、芳香族環または基1個につき、1または2個の置換基を有してもよい。前記置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、C1〜C4アルキル基、ニトロ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、フェニル基、C1〜C4アルコキシ基等があげられる。
【0103】
前記液晶モノマーの具体例としては、例えば、下記式(27)〜(42)で表されるモノマーがあげられる。
【化18】
【0104】
前記液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なるが、例えば、40〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜100℃の範囲であり、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。
【0105】
前記液晶モノマーは、前記化学式(24)で表されるモノマーが好ましい。このような液晶モノマーは、一般に、ネマチック性液晶モノマーであるが、本発明においては、例えば、後記カイラル剤によってねじりが付与され、最終的には、コレステリック構造をとるようになる。
【0106】
前記液晶化合物溶液は、さらに、カイラル剤を含むことが好ましい。本発明における前記カイラル剤とは、例えば、液晶モノマーや液晶ポリマーの液晶化合物をコレステリック構造となるように配向する機能を有する化合物である。
【0107】
前記カイラル剤としては、コレステリック層の構成分子をコレステリック構造に配向できるものであれば、その種類は特に制限されないが、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0108】
前記重合性カイラル化剤としては、例えば、下記一般式(43)〜(46)で表されるカイラル化合物が使用できる。
(Z−X5)nCh (43)
(Z−X2−Sp−X5)nCh (44)
(P1−X5)nCh (45)
(Z−X2−Sp−X3−M−X4)nCh (46)
【0109】
前記各式においては、
Zは前記式(25)と同様であり、
Spは、前記式(25)と同様であり、
X2、X3およびX4は、互いに独立して、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR−を表し、前記Rは、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す。
【0110】
また、X5は、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR、−CH2O−、−O−CH2−、−CH=N−、−N=CH−または−N≡N−を表す。前記Rは、前述と同様に水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す。
Mは、前述と同様にメソーゲン基を表し、
P1は、水素原子、1〜3個のC1〜C6アルキルによって置換されたC1〜C30アルキル基、C1〜30アシル基またはC3〜C8シクロアルキル基を表し、
nは、1〜6の整数である。
Chはn価のカイラル基を表す。
【0111】
前記式(46)において、X3およびX4は、少なくともその一方が、−O−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−または−NR−CO−NR−であることが好ましい。
また、前記式(45)において、P1がアルキル基、アシル基またはシクロアルキル基の場合、例えば、その炭素鎖が、エーテル官能基内の酸素原子、チオエーテル官能基内の硫黄原子、非隣接イミノ基またはC1〜C4アルキルイミノ基によって割り込まれてもよい。
【0112】
前記Chのカイラル基としては、例えば、下記式に表される原子団があげられる。
【化19】
【化20】
【0113】
前記原子団において、Lは、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、ハロゲン原子、COOR、OCOR、CONHRまたはNHCORであって、前記RはC1〜C4アルキル基を表す。なお、前記式に表した原子団における末端は、隣接する基との結合手を示す。
【0114】
前記原子団の中でも、特に好ましくは下記式で表される原子団である。
【化21】
【0115】
また、前記(44)または(46)で表されるカイラル化合物は、例えば、nが2、ZがH2C=CH−を表し、Chが下記式で表される原子団であることが好ましい。
【化22】
【0116】
前記カイラル化合物の具体例としては、例えば、下記式(47)〜(67)で表される化合物があげられる。なお、これらのカイラル化合物は、ねじり力が 1×10−6 nm−1・(wt%)−1 以上である。
【化23】
【0117】
前述のようなカイラル化合物の他にも、例えば、RE−A4342280号およびドイツ国特許出願19520660.6号および19520704.1号にあげられるカイラル化合物が好ましく使用できる。
【0118】
前記カイラル化剤としては、重合性カイラル化剤であることが好ましい。これらのカイラル剤は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0119】
また、コレステリック層を形成する際の前記液晶モノマーと前記カイラル剤との組み合わせとしては、特に制限されないが、具体的には、前記式(33)のモノマー剤と、前記式(61)のカイラル剤との組み合わせ、前記式(34)のモノマー剤と、前記式(62)のカイラル剤との組み合わせ等があげられる。
【0120】
これらのカイラル剤の中でも、そのねじり力が、1×10−6 nm−1・(wt%)−1 以上であることが好ましく、より好ましくは 1×10−5 nm−1・(wt%)−1 以上であり、さらに好ましくは 1×10−5 〜 1×10−2 nm−1・(wt%)−1の範囲であり、特に好ましくは 1×10−4 〜 1×10−3 nm−1・(wt%)−1 の範囲である。このようなねじり力のカイラル剤を使用すれば、例えば、形成されたコレステリック層のらせんピッチを、後述する範囲に制御でき、これによって選択反射波長帯域を、特定な範囲に制御することが十分に可能となる。
【0121】
なお、前記ねじり力とは、一般に、液晶モノマーや液晶ポリマー等の液晶化合物にねじれを与え、らせん状に配向させる能力のことを示し、下記式で表すことができる。
ねじり力=1/[コレステリックピッチ(nm)×カイラル剤重量比(wt%)]
【0122】
前記式においてカイラル剤重量比とは、例えば、液晶化合物とカイラル剤とを含む混合物における前記カイラル剤の割合(重量比)をいい、下記式で表される。
カイラル剤重量比(wt%)= [X/(X+Y)]×100
X:カイラル剤重量
Y:液晶化合物重量
【0123】
また、前記コレステリック層におけるらせんピッチは、例えば、0.01〜0.25μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.03〜0.20μmの範囲、特に好ましくは0.05〜0.15μmの範囲である。前記らせんピッチが0.01μm以上であれば、例えば、十分な配向性が得られ、0.25μm以下であれば、例えば、可視光の短波長側における旋光性を十分に抑制できるため、偏光下で補償用の位相差フィルム等として使用する場合に、光漏れ等を十分に回避できる。そして、前述のようなねじり力のカイラル剤を使用すれば、形成されたコレステリック層のらせんピッチを前記範囲に制御できる。
【0124】
例えば、本発明の液晶化合物製複屈折層製造時において、選択反射波長帯域の設定は、例えば、液晶モノマーとカイラル剤との添加割合を制御することによって行うことができる。そして、選択反射波長帯域を低波長側にシフトする手段として、例えば、カイラル剤添加量を増加する方法があるが、カイラル剤の添加量が増えると、液晶モノマー等がコレステリック配向をとる温度範囲、すなわち液晶相となる温度範囲が非常に狭くなる。そのため、選択反射波長帯域が100nmより小さい液晶化合物製複屈折層を製造する時には、前記構成材料をコレステリック配向させるための温度制御を厳密に行うことが必要となり、製造が困難になるという問題がある。
【0125】
また、例えば、同じねじり力のカイラル剤を使用した場合、液晶モノマーに対するカイラル剤の添加割合が多い方が、形成される選択反射波長帯域は低波長側となる。また、例えば、液晶モノマーに対するカイラル剤の添加割合が同じ場合には、例えば、カイラル剤のねじり力が大きい方が、形成される液晶化合物製複屈折層の選択反射波長帯域は、低波長側となる。具体例として、形成される液晶化合物製複屈折層の前記選択反射波長帯域を200〜220nmの範囲に設定する場合には、例えば、ねじり力が 5×10−4 nm−1・(wt%)−1 のカイラル剤を、液晶モノマーに対して11〜13重量%となるように配合すればよく、前記選択反射波長帯域を290〜320nmの範囲に設定する場合には、例えば、ねじれ力が 5×10−4 nm−1・(wt%)−1 のカイラル剤を、液晶モノマーに対して7〜9重量%となるように配合すればよい。
【0126】
前記カイラル剤の添加割合は、例えば、所望のらせんピッチ、所望の選択反射波長帯域に応じて適宜決定されるが、前記液晶モノマーに対する添加割合は、例えば5〜23重量%の範囲であり、好ましくは10〜20重量%の範囲である。前述のように、液晶モノマー等の液晶化合物とカイラル剤との添加割合をこのように制御することによって、形成される液晶化合物製複屈折層の選択波長帯域を設定できるのである。液晶モノマー等の液晶化合物に対するカイラル剤の割合が5重量%よりも大きい場合、形成される液晶化合物製複屈折層の選択反射波長帯域を低波長側に制御することが容易となる。また、前記割合が23重量%よりも小さい場合は、液晶モノマー等の液晶化合物がコレステリック配向する温度範囲、すなわち前記液晶モノマー等の液晶化合物が液晶相となる温度範囲が広くなるため、配向工程における温度制御を厳密に行うことが不要となり、製造が容易になる。
【0127】
前記液晶化合物溶液は、さらに、重合剤および架橋剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、例えば、紫外線硬化剤、光硬化剤、熱硬化剤等が使用できる。
前記重合剤および架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のようなものが使用できる。前記重合剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が使用でき、前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が使用できる。これらはいずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0128】
また、前記液晶モノマー等の液晶化合物に対する架橋剤または重合剤の添加割合は、例えば、0.1〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜8重量%の範囲、より好ましくは1〜5重量%の範囲でである。前記液晶モノマー等の液晶化合物に対する架橋剤または重合剤の割合が、0.1重量%以上であれば、例えば、コレステリック層の硬化が十分容易となり、また、10重量%以下であれば、例えば、前記液晶モノマー等の液晶化合物がコレステリック配向する温度範囲、すなわち前記液晶モノマー等の液晶化合物が液晶相となる温度が十分な範囲となるため、後述する配向工程における温度制御がより一層容易となる。
【0129】
前記液晶化合物溶液は、例えば、前記液晶化合物等を、適当な溶媒に溶解または分散することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、前記非液晶性ポリマー溶液の溶媒として挙げられているものを使用することができる。これらの中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶剤は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
【0130】
また、前記液晶化合物溶液には、例えば、必要に応じて各種添加物を適宜配合してもよい。前記添加物としては、例えば、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等があげられる。これらの添加剤は、例えば、いずれか一種を添加してもよいし、二種類以上を併用してもよい。具体的に、前記老化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物等、前記変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類やアルコール類等、従来公知のものがそれぞれ使用できる。また、前記界面活性剤は、例えば、液晶化合物製複屈折層の表面を平滑にするために添加され、例えば、シリコーン系、アクリル系、フッ素系等の界面活性剤が使用でき、特にシリコーン系が好ましい。
【0131】
前記液晶化合物溶液は、例えば、塗工等の作業性に優れた粘性を示すのが好ましい。前記塗工液の粘度は、通常、前記液晶化合物の濃度や温度等に応じて異なるが、前記塗工液における液晶化合物の濃度が前記範囲5〜70重量%の場合、その粘度は、例えば、0.2〜20mPa・sの範囲であり、好ましくは0.5〜15mPa・sであり、特に好ましくは1〜10mPa・sである。具体的には、前記塗工液における液晶化合物の濃度が、30重量%の場合、例えば、2〜5mPa・sの範囲であり、好ましくは3〜4mPa・sである。前記塗工液の粘度が0.2mPa・s以上であれば、例えば、塗工液を走行することによる液流れの発生がより一層防止でき、また、20mPa・s以下であれば、例えば、表面平滑性がより一層優れ、厚みムラを一層防止でき、塗工性にも優れる。なお、前記粘度としては、温度20〜30℃における範囲を示したが、この温度には限定されない。
【0132】
前記配向処理をした非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、液晶化合物溶液を塗工する方法としては、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法を用いることができ、この中でも、塗布効率の点からスピンコート、エクストルージョンコートが好ましい。
【0133】
非液晶性ポリマー製複屈折層上に塗工された液晶化合物溶液は、任意に固化させてもよい。前記固化の方法としては、前記液晶化合物溶液を固化させる方法であれば、特に制限されず、例えば、自然乾燥や加熱乾燥等の乾燥があげられる。その条件も、例えば、前記液晶化合物の種類や、前記溶媒の種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、温度は、通常、40℃〜120℃であり、好ましくは60℃〜100℃であり、さらに好ましくは65℃〜90℃である。なお、固化は、一定温度で行っても良いし、段階的に温度を上昇または下降させながら行っても良い。固化時間も特に制限されない。通常、固化時間は、10秒〜60分、好ましくは30秒〜30分である。
【0134】
次いで、このようにして形成された液晶化合物層に、配向処理を行うことによって、前記液晶化合物を配向させる。前記配向処理としては、加熱処理等が挙げられる。
【0135】
前記液晶化合物の配向は特に限定されず、最適な光学補償が得られるように適宜設定すれば良い。例えば、水平配向、垂直配向、ツイスト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向、ホモジニアス配向、ティルト配向、フォーカルコニック配向などが挙げられる。
【0136】
前記液晶化合物溶液に、前記液晶化合物とカイラル剤が含まれている場合、液晶相(液晶状態)となった液晶化合物が、前記カイラル剤によってねじりを付与された状態で配向する。つまり、液晶化合物がコレステリック構造(らせん構造)を示す。
【0137】
また、良好な視野角補償を得るためには、前記液晶化合物製複屈折層が、平面に平行な方向にあるか、平面に垂直な方向にあるか、または平面に垂直な方向から傾いている光学軸を有するのが好ましい。光学軸が平面に平行な方向にあるものは、いわゆるCプレートと呼ばれ、中でも光学軸方向の屈折率がその直交する方向の屈折率より大きいものは、いわゆる正のCプレート、光学軸方向の屈折率がその直行する方向の屈折率より小さいものは、いわゆる負のCプレートと呼ばれる。また、光学軸が平面に垂直な方向にあるものは、いわゆるAプレートと呼ばれ、光学軸が平面に垂直な方向から傾いているものは、いわゆるOプレートと呼ばれる。
【0138】
なお、上記の内容を屈折率の関係で示すと、以下のようになる。正のCプレートは、nx=ny<nz、負のCプレートは、nx=ny>nz、正のAプレートは、nx>ny=nz、負のAプレートは、nx<ny=nzを意味する。前記nx、nyおよびnzは、それぞれ前記液晶化合物製複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記液晶化合物製複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
【0139】
この光学軸の方向は、例えば、TN型液晶表示装置やOCB型液晶表示装置の液晶セルにおいては、平面に垂直な方向から傾いているのが、良好な視野角補償を得るためには好ましい。また、VA型液晶表示装置の液晶セルにおいては、光学軸の方向は、平面に対して水平の方向にあるのが、良好な視野角補償を得るためには好ましい。
【0140】
具体的には、ディスコチック液晶の水平配向は、負のCプレートとなり、垂直配向は負のAプレートとなり、ハイブリッド配向は負のOプレートとなる。さらに、ネマチック液晶の水平配向は、正のAプレートとなり、垂直配向は正のCプレートとなり、ハイブリッド配向は正のOプレートとなる(表1参照)。カイラル性液晶を含むネマチック液晶の水平配向は、負のCプレートとなり、ハイブリッド配向は正または負のOプレートとなる。
【0141】
【表1】
【0142】
前記加熱処理の温度条件は、例えば、前記液晶化合物の種類、具体的には前記液晶化合物が液晶性を示す温度に応じて適宜決定できるが、通常、40〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは60〜90℃の範囲である。前記温度が40℃以上であれば、通常、十分に液晶化合物を配向することがでる。例えば、液晶化合物として液晶ポリマーを用いた前記液晶化合物層には、前記液晶ポリマーのガラス転移点から等方相を呈する溶融状態までの温度範囲で加熱することにより、配向処理することができる。
【0143】
加熱時間は、加熱処理の温度、前記液晶化合物の種類等に応じて適宜決定できるが、通常0.5〜20分であり、好ましくは1〜15分であり、より好ましくは2〜10分である。
【0144】
次いで、前記配向した液晶化合物を固定化して、液晶化合物製複屈折層を形成するのが好ましい。
固定化の方法としては、液晶化合物の種類に応じて異なるが、前記配向状態を固定化することができる限り限定されず、例えば、光照射処理、熱処理、冷却処理等が挙げられる。なお液晶化合物として液晶ポリマーを用いた前記液晶化合物層の配向状態を固定化するためには、例えば冷却処理を用いることができる。その冷却処理は、通常、自然冷却による処理が用いられる。
【0145】
また、液晶化合物として液晶モノマーを用いた前記液晶化合物層の配向状態を固定化するためには、例えば光照射処理、熱処理等を用いることができる。
【0146】
前記光照射処理や熱処理は、例えば、使用する重合剤や架橋剤の種類によって適宜決定できる。例えば、光重合剤や光架橋剤を使用した場合には、光照射を施し、紫外線重合剤や紫外線架橋剤を使用した場合には、紫外線照射を施せばよい。これらの処理により、液晶モノマーは重合や架橋し、固定化することができる。
【0147】
このようにして、配向状態を固定化させて液晶化合物製複屈折層を形成するのが好ましい。得られた液晶化合物製複屈折層の厚みは、特に制限されないが、例えば、光学補償用等の位相差フィルムとして使用する場合、配向の乱れや透過率低下の防止、選択反射性、着色防止、生産性等の点から、0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30μmの範囲、特に好ましくは1〜20μmの範囲である。
なお、この液晶化合物製複屈折層の配向軸のばらつきは、通常±0.5度以下であり、好ましくは±0.3度以下である。また、面内位相差Reは、通常0nm≦Re≦300nm、好ましくは30nm≦Re≦150nmである。また、厚み方向位相差Rzは、通常40nm≦Rz≦800nm、好ましくは40nm≦Rz≦600nm、より好ましくは40nm≦Rz≦400nmである。
なお、Re=(nx−ny)・d、
Rz=(nx−nz)・dであり、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記液晶化合物製複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記液晶化合物製複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。dは前記液晶化合物製複屈折層の厚みを示す。
【0148】
つぎに、本発明の偏光板は、複屈折性フィルムを含む光学補償層付き偏光板であって、前記複屈折性フィルムが本発明の複屈折性フィルムであることを特徴とする。
【0149】
このような光学補償層付き偏光板は、前記本発明の製造方法により得られる複屈折性フィルムや前記複屈折性フィルムと前記基材との積層体等の本発明の複屈折性フィルムと、偏光子とを有していれば、その構成は特に制限されないが、例えば、以下のような偏光板が例示できる。
【0150】
まず第1の光学補償層付き偏光板としては、例えば、前記本発明の複屈折性フィルム、偏光子および二つの透明保護層を有し、前記偏光子の両面に透明保護層がそれぞれ積層されており、一方の透明保護層の表面にさらに前記複屈折性フィルムが積層された形態である。
【0151】
また、前記透明保護層は、前記偏光子の両側に積層してもよいし、いずれか一方の面のみに積層してもよい。また、両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の透明保護層を使用しても、異なる種類の透明保護層を使用してもよい。
【0152】
一方、第2の光学補償層付き偏光板は、前記本発明の複屈折性フィルムと基材の積層体、偏光子および透明保護層を有し、前記偏光子の一方の表面に前記複屈折性フィルムが、前記偏光子の他方の表面に前記透明保護層が、それぞれ積層されている形態である。この際、基材は透明な基材が好ましい。
【0153】
前記複屈折性フィルムと基材との積層体は、いずれの表面が前記偏光子に面してもよいが、例えば、以下のような理由から、前記複屈折性フィルムの前記基材側が偏光子に面するように配置することが好ましい。このような構成であれば、前記複屈折性フィルムの前記基材を、前記偏光板における透明保護層として兼用できるからである。すなわち、前記偏光子の両面に透明保護層を積層する代わりに、前記偏光子の一方の面には透明保護層を積層し、他方の面には、前記基材が面するように複屈折性フィルムを積層することによって、前記基材が透明保護層の役割も果たすのである。このため、より一層薄型化された偏光板を得ることができる。
【0154】
一方、第3の光学補償層付き偏光板は、前記本発明の複屈折性フィルムと基材としての偏光子の積層体、および透明保護層を有し、前記積層体の偏光子の表面に前記透明保護層が、それぞれ積層されている形態である。
【0155】
前記複屈折性フィルムと基材としての偏光子の積層体は、前記複屈折性フィルムが、偏光子の保護層として兼用できるから好ましい。すなわち、前記偏光子の両面に透明保護層を積層する代わりに、前記偏光子の一方の面には透明保護層を積層し、他方の面には、複屈折性フィルムを積層することによって、前記複屈折性フィルムが保護層の役割も果たすのである。このため、より一層薄型化された偏光板を得ることができる。
【0156】
前記偏光子(偏光フィルム)としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
【0157】
前記保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
【0158】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムがあげられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。なお、前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
【0159】
また、前記保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Re)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同様であり、dは、その膜厚を示す。
Re=[{(nx+ny)/2}−nz]・d
【0160】
また、前記透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、前記液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコティック系やネマチック系の液晶ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム株式会社製「WVフィルム」等の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
【0161】
前記透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である
【0162】
前記透明保護層は、例えば、偏光フィルムに前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルムに前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
【0163】
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
【0164】
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
【0165】
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜50重量部の範囲である。
【0166】
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
【0167】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
【0168】
各構成物同士(複屈折性フィルム、偏光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。また、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。これらの接着剤は、例えば、その水溶液を前記各構成物表面に塗工し、乾燥すること等によって使用できる。前記水溶液には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合できる。これらの中でも、前記接着剤としては、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA系接着剤が好ましい。
【0169】
なお、VA型の液晶表示装置においては、偏光板の透過軸と、複屈折性フィルムの遅相軸方向が平行または直交するような位置関係で積層すると、コントラストの正面方向の特性に影響を与えることなく、斜視方向の特性を生後することができ、従って視野角の拡大を得ることができるので、好ましい。
【0170】
本発明の光学補償層付き偏光板は、実用に際して、前記本発明の複屈折性フィルムの他に、さらに他の光学層を含んでもよい。前記光学層としては、例えば、以下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム、他の位相差板、拡散制御フィルム、偏光散乱フィルム等、液晶表示装置等の形成に使用される、従来公知の各種光学層があげられる。これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、また、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。このような光学層をさらに含む光学補償層付き偏光板は、例えば、光学補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像表示装置への使用に適している。
【0171】
以下に、このような一体型偏光板について説明する。
【0172】
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、本発明の光学補償層付き偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型偏光板は、本発明の光学補償層付き偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
【0173】
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
【0174】
前記反射型偏光板は、例えば、前記弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
【0175】
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
【0176】
また、前述のように偏光板の透明保護層に前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
【0177】
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
【0178】
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
【0179】
つぎに、本発明の光学補償層付き偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
【0180】
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D−BEF」等があげられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等があげられる。
【0181】
また、複屈折性フィルム以外の位相差板としては、1/4波長板のほか一軸や二軸等の延伸ポリマーフィルム、Z軸配向処理したポリマーフィルム、液晶性ポリマー層などの適当な位相差を有するものを用いることができる。拡散制御フィルムは、視野角や解像度に関連するギラツキ、散乱光等の制御をするためのものであり、拡散、散乱および/または屈折を利用した光学機能フィルムであってもよい。偏光散乱フィルムは、フィルム中に散乱性物質を含有させて、偏光がその振動方向により散乱異方性を生じるようにしたフィルムであり、偏光の制御に用いられることができる。
【0182】
本発明の各種偏光板は、例えば、前述のような複屈折層を含む積層偏光板と、さらに光学層とを積層して、2層以上の光学層を含む光学部材であってもよい。
【0183】
このように2層以上の光学層を積層した光学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
【0184】
前述のような各種偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、前記偏光板の片面または両面に配置することができる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。前記偏光板表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等により、前記偏光板の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記偏光板の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成してもよく、例えば、偏光板における前記位相差板の露出面に形成してもよい。
【0185】
このように偏光板に設けた粘着剤層等の表面が露出する場合は、前記粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって前記表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記透明保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
【0186】
前記粘着剤層等は、例えば、単層体でもよいし、積層体でもよい。前記積層体としては、例えば、異なる組成や異なる種類の単層を組合せた積層体を使用することもできる。また、前記偏光板の両面に配置する場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
【0187】
前記粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmである。
前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等があげられる。
【0188】
前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
【0189】
以上のような本発明の複屈折性フィルムや偏光板、各種光学部材(光学層をさらに積層した各種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
【0190】
本発明の複屈折性フィルムや偏光板は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に使用することが好ましく、例えば、偏光板を液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。
【0191】
液晶表示装置を形成する前記液晶セルの種類は、任意で選択でき、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、本発明の複屈折性フィルムや偏光板は、特にVA(垂直配向;Vertical Aligned)セルの光学補償に非常に優れているので、VAモードの液晶表示装置用の視角補償フィルムとして非常に有用である。
【0192】
また、前記液晶セルは、通常、対向する液晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、前記液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、前記プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従来公知の材料があげられる。
【0193】
また、液晶セルの両面に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0194】
さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶パネルを含み、前記液晶パネルとして、本発明の液晶パネルを使用する以外は、特に制限されない。また、さらに光源を有する場合には、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
【0195】
本発明の液晶パネルの一例としては、以下のような構成があげられる。例えば、液晶セル、本発明の複屈折性フィルム、偏光子および透明保護層を有しており、前記液晶セルの一方の面に前記複屈折性フィルムが積層されており、前記複屈折性フィルムの他方の面に、前記偏光子および前記透明保護層が、この順序で積層されている構造である。前記液晶セルは、二枚の液晶セル基板の間に、液晶が保持された構成となっている。また、前記複屈折性フィルムが、前述のように複屈折層と基材との積層体である場合、その配置は特に制限されないが、例えば、前記複屈折層側が前記液晶セルに面しており、前記基材側が前記偏光子に面している形態があげられる。
【0196】
本発明の液晶表示装置は、視認側の複屈折性フィルム(偏光板)の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層、保護板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム、拡散制御フィルム、偏光散乱フィルムなどのほかの光学層の1以上を配置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
【0197】
なお、本発明の複屈折性フィルムや偏光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フラットディスプレイに使用する場合は、例えば、本発明の複屈折性フィルムの面内位相差値Reをλ/4にすることで、円偏光を得ることができるため、反射防止フィルターとして利用できる。
【0198】
以下に、本発明の偏光板を備えるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について説明する。本発明のEL表示装置は、本発明の複屈折性フィルムまたは偏光板を有する表示装置であり、このEL装置は、有機ELおよび無機ELのいずれでもよい。
【0199】
近年、EL表示装置においても、黒状態における電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏光板等の複屈折性フィルムをλ/4板とともに使用することが提案されている。本発明の偏光子や複屈折性フィルムは、特に、EL層から、直線偏光、円偏光もしくは楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、あるいは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用である。
【0200】
まずここで、一般的な有機EL表示装置について説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこの順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有している。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせがあげられる。
【0201】
そして、このような有機EL表示装置は、前記陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0202】
前記有機EL表示装置においては、前記有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に、仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
【0203】
このような構成の有機EL表示装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認した際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
【0204】
本発明の有機EL表示装置は、例えば、前記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、本発明の複屈折性フィルム(偏光板等)が配置されることが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との間に配置することが好ましい。このように、本発明の複屈折性フィルムを配置することによって、外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と複屈折性フィルムとの間に、さらに位相差板が配置されることが好ましい。
【0205】
前記位相差板および複屈折性フィルム(偏光板等)は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差板によって、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合には、円偏光となる。
【0206】
この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるのである。
【0207】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、複屈折性フィルムの特性は以下の方法で評価した。
(位相差測定)
商品名KOBRA21ADH(王子計測機器製)を用いて測定した。
(軸精度測定)
商品名KOBRA21ADH(王子計測機器製)を用いて測定した。
【0208】
なお、各層におけるReとRzは、下記の式を用いて得た。
Re(面内方向の位相差値)=(nx−ny)・d
Rz(厚み方向の位相差値)=(nx−nz)・d
前記式中、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸とは、前記層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。dは前記層の厚みを示す。
【0209】
(実施例1)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルとから合成された重量平均分子量(Mw)120,000のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15重量%のポリイミド溶液を調製した。そして、厚み50μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に前記ポリイミド溶液を塗工した。そして、この塗工膜を100℃で10分乾燥処理した結果、厚み6μmのポリイミドフィルムが形成された。前記ポリイミドフィルムは、Reが0.04nm、Rzが240nmのフィルムであった。
【0210】
前記ポリイミドフィルムとTACフィルムの積層体を、延伸前の積層体の長さに対して10%の縦一軸延伸を160℃で行った。延伸された積層体の前記ポリイミドフィルムは、nx>ny>nzの特性を示し、Reが140nm、Rzが250nmの複屈折性層であった。
【0211】
下記化学式(68)に示す棒状ネマチック液晶モノマー(90重量部)、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製)(5重量部)およびメチルエチルケトン(300重量部)を混合し、この混合物を前記複屈折性層上に約1.1μmの厚さで塗工した。そして、これを90℃で1分間加熱処理することによって、液晶モノマーを配向させた後、紫外線照射によって前記モノマーを重合させて固定化した。この液晶化合物の層は、厚み約0.8μm、Reが100nm、nx>ny=nzの特性(正のAプレート)を示す複屈折層であった。nx>ny>nzの特性を有する非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムを得た。得られた複屈折性フィルムの光学特性を下記の表2に示す。
【0212】
【化24】
【0213】
(実施例2)
残存溶媒量が1重量%、厚み0.5μmのポリイミドフィルムを形成した以外は、実施例1と同様に行った。nx>ny>nzの特性を示す非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムを得た。得られた複屈折性フィルムの光学特性を下記の表2に示す。
【0214】
(実施例3)
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルとから合成された重量平均分子量(Mw)3万のポリイミドを、シクロペンタノンに溶解して20重量%のポリイミド溶液を調製した。そして、厚み80μmのTACフィルム上に前記ポリイミド溶液を塗工した。そして、この塗工膜を130℃で5分熱処理した結果、厚み7μmの透明で平滑なポリイミドフィルムが形成された。前記ポリイミドフィルムは、Reが0.05nm、Rzが175nmのフィルムであった。
【0215】
前記ポリイミドフィルムとTACフィルムの積層体を、延伸前の積層体の長さに対して15%の横一軸延伸(テンター)を160℃で行った。延伸された積層体のポリイミドフィルムは、nx>ny>nzの特性を示し、Reが130nm、Rzが260nmの複屈折性層であった。
【0216】
実施例1と同様にして、前記複屈折性層上に、厚み約0.8μm、Reが100nm、nx>ny=nzの複屈折層を形成し、nx>ny>nzの特性を示す非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムを得た。得られた複屈折性フィルムの光学特性を下記の表2に示す。
【0217】
(実施例4)
実施例1で調製したポリイミド溶液を、厚み50μmのTACフィルム上に塗工した。そして、この塗工膜を100℃で10分乾燥処理した結果、厚み6μmのポリイミドフィルムが形成された。前記ポリイミドフィルムは、Reが0.04nm、Rzが240nmのフィルムであった。
【0218】
前記ポリイミドフィルムに、ラビング布を用いてラビング処理をした。
実施例1と同様にして、前記複屈折性層上に、厚み約0.8μm、Reが100nm、nx>ny=nzの複屈折層を形成した。nx>ny>nzの特性を示す非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムが得られた。得られた複屈折性フィルムの光学特性を下記の表2に示す。
【0219】
(比較例1)
側鎖にシアノベンゼンを有するポリマーを、シクロヘキサノンに溶解して1重量%のポリマー溶液を調製した。そして、厚み50μmのTACフィルム上に前記ポリマー溶液を塗工した。そして、この塗工膜に、可視偏光を800mJ/cm2の強度で照射して、配向膜を形成した。
前記配向膜上に、実施例1と同様にして、厚み約0.8μm、Reが100nm、nx>ny=nzの複屈折層を形成した。従来の配向膜層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムを得た。得られた複屈折性フィルムの光学特性を下記の表2に示す。
【表2】
【0220】
(評価試験)
実施例1〜4で得た複屈折性フィルムおよび比較例1で得た複屈折性フィルムのそれぞれを、その遅相軸が偏光板の吸収軸と直交するように、偏光板(日東電工社製、商品名:SEG1425DU)とアクリル系粘着層を介して積層した。それを、垂直配向モードの液晶セルの両側に、両側の偏光板の偏光軸が直行するようにアクリル系粘着層を介して接着して液晶パネルを形成した。
【0221】
次に得られた液晶パネルの上下、左右、対角(45°〜225°)、対角(135°〜315°)の各方向でのコントラスト比(Co)≧10の視野角を測定した。コントラスト比は、前記液晶パネルに、白画像および黒画像を表示させ、Ez contrast 160D(ELDIM社製)により、表示画面の正面、上下左右について、視野角0〜70°におけるXYZ表示系のY値、x値、y値をそれぞれ測定した。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、各視野角におけるコントラスト比(YW/YB)を算出した。
【0222】
実施例1および2ならびに比較例1で得た複屈折性フィルムを含む液晶パネルのコントラスト図を図1〜3にそれぞれ示す。実施例3および4で得た複屈折性フィルムを含む液晶パネルのコントラスト図は、実施例1で得た複屈折性フィルムを含む液晶パネルのコントラスト図1とほぼ同一であった。なお、図中、黒部分が10以下のコントラスト比であることを意味する。
【0223】
図より、実施例1、3および4で得た複屈折性フィルムを含む液晶パネルは、表示コントラストが良好であることが示された。実施例2で得た複屈折性フィルムを含む液晶パネルは、実施例1、3および4に比べて表示コントラストは低下したが、実用レベルでは問題のないレベルであった。
【0224】
【発明の効果】
従って、本発明の製造方法は、製造工程数がより少ない、複屈折性フィルムの厚みがより薄い、複屈折性フィルムの製造方法である。その製造方法を用いると、液晶層を配向させる機能と光学補償機能を非液晶ポリマー製複屈折層に集約することができる。その結果、良好なコントラストを得るために、位相差板を更に積層させる必要がなくなる。また、非液晶ポリマー製複屈折層を二軸性フィルムとすることで、非常に良好なコントラストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の液晶パネルのコントラスト曲線である。
【図2】実施例2の液晶パネルのコントラスト曲線である。
【図3】比較例1の液晶パネルのコントラスト曲線である。
Claims (18)
- 非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、配向した液晶化合物製複屈折層が形成される複屈折性フィルムの製造方法であって、
前記非液晶性ポリマー製複屈折層が、配向処理された層であり、
この配向により、前記液晶化合物製複屈折層が、その形成の際に配向処理される複屈折性フィルムの製造方法。 - 前記非液晶性ポリマー製複屈折層が、非液晶性ポリマーフィルムの、延伸処理、収縮処理およびラビング処理からなる群から選択される1以上の処理により配向処理された層である請求項1に記載の製造方法。
- 前記非液晶性ポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選択される1以上のポリマーである請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記非液晶性ポリマー製複屈折層の厚みが、1μm以上20μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記非液晶性ポリマー製複屈折層が、nx>ny>nzの特性を示す請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
前記nx、nyおよびnzは、それぞれ前記非液晶性ポリマー製複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記非液晶性ポリマー製複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。 - 前記非液晶性ポリマー製複屈折層が、下記の式(I)および(II)に示す条件を満たす請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
0(nm)≦Re≦200(nm) (I)
40(nm)≦Rz≦800(nm) (II)
前記式(I)および(II)において、
Re=(nx−ny)・d
Rz=(nx−nz)・dであり、
前記nx、nyおよびnzは、それぞれ前記非液晶性ポリマー製複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記非液晶性ポリマー製複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。dは前記非液晶性ポリマー製複屈折層の厚みを示す。 - 前記液晶化合物製複屈折層の形成が、
前記配向処理をした非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、液晶化合物溶液を塗工することにより行われる請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 - 前記液晶化合物製複屈折層の形成が、配向した液晶化合物の固定化により行われる請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記液晶化合物が、液晶ポリマー、光重合性液晶モノマーおよび熱重合性液晶モノマーからなる群から選択される1以上の液晶化合物を含む請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記液晶ポリマーが、ネマチック液晶、ディスコチック液晶、またはコレステリック液晶である請求項9に記載の製造方法。
- 前記液晶化合物の配向が、水平配向、垂直配向、ツイスト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向、ホモジニアス配向、ティルト配向またはフォーカルコニック配向である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記液晶化合物製複屈折層が、
平面に平行な方向にあるか、平面に垂直な方向にあるか、または平面に垂直な方向から傾いている光学軸を有する請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により製造された複屈折性フィルム。
- 非液晶性ポリマー製複屈折層の上に、配向した液晶化合物製複屈折層が直接形成された、
非液晶性ポリマー製複屈折層と、液晶化合物製複屈折層とを含む複屈折性フィルムであって、
非液晶性ポリマー製複屈折層が、下記の式(III)および(IV)に示す条件を満たす複屈折性フィルム。
0(nm)≦Re≦200(nm) (III)
40(nm)≦Rz≦800(nm) (IV)
前記式(III)および(IV)において、
Re=(nx−ny)・d
Rz=(nx−nz)・dであり、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記非液晶性ポリマー製複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記非液晶性ポリマー製複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。dは前記非液晶性ポリマー製複屈折層の厚みを示す。 - 複屈折性フィルムを含む光学補償層付き偏光板であって、前記複屈折性フィルムが請求項13または14に記載の複屈折性フィルムである光学補償層付き偏光板。
- 液晶セルおよび光学部材を含み、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前記光学部材が配置された液晶パネルであって、前記光学部材が、請求項13もしくは14に記載の複屈折性フィルムまたは請求項15に記載の光学補償層付き偏光板である液晶パネル。
- 液晶パネルを含む液晶表示装置であって、前記液晶パネルが請求項16に記載の液晶パネルである液晶表示装置。
- 請求項13もしくは14に記載の複屈折性フィルムまたは請求項15に記載の光学補償層付き偏光板を含むことを特徴とする画像表示装置。
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