JP3190619B2 - コンクリート製排水溝ブロックの蓋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート製排水
溝ブロックの蓋に関し、例えば側溝ブロック、Ｕ形ブロ
ック、水路ブロック、泥溜ブロック等の蓋として最適で
あり、蓋が断面同形状または断面異形状の蓋構成板を共
用のグレーチング部材に対して用途に応じて工場等にお
ける組立が容易に行われて選択的な取付けが行なえる多
機能性を発揮し、道路に降雨する雨水等の集水を効率よ
く行おうとするものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、道路に降雨する雨水等を集水し、
排水するための排水設備には道路の路肩に連続して敷設
されたり、道路を横断して敷設されるコンクリート製排
水溝ブロックがある。この側溝ブロックに被冠される側
溝蓋には図１５ないし図１７に示すものがある。すなわ
ち、蓋ａは、運搬性を考慮して長さＬ′₂ が５００ｍｍ
程度と比較的短く、断面略矩形の同一厚みｔ′にてコン
クリートにより形成され、しかも長手方向Ｘにおける側
端には手掛孔ａ₁ が設けられる。また蓋ａの内部には鉄
筋が配筋され蓋ａの構造的な強度を発揮するようにして
いる。そして、１つの側溝ブロック本体ｂの上方の開口
部ｃに数個の蓋ａが嵌脱可能に被冠される。しかも側溝
ブロック本体ｂ相互は、所定間隔毎に配置される側溝ブ
ロック本体ｂよりも幅広の集水枡ブロックを介して接続
される。そして、例えば道路Ｄの路肩Ｅに沿って側溝ブ
ロック本体ｂを敷設した場合に、集水枡ブロックや蓋ａ
に設けられた手掛孔ａ₁ を通じて道路Ｄの路面に降った
雨水等を集水し、側溝ブロック本体ｂ内に導入させ、排
水を行うものである。このように側溝蓋には道路Ｄに降
雨した雨水が道路Ｄの路面における横断勾配θに伴って
路肩Ｅに流れ落ちて路面に溜まることなく排水するの
と、限られた面積での道路敷設用地において道路Ｄの幅
員幅を確保することにより車輛の走行を損なうことなく
安全走行が行なえる等の要請がある。また図１８に示す
ように、道路Ｄに平行して歩道Ｊを敷設する場合に、道
路Ｄの路肩Ｅに連続して敷設されるＵ形ブロックｄに被
冠され、道路Ｄの横断勾配θに合致する傾斜面ｅ₁ が上
面に形成され、歩道Ｊの敷設側の一側には縁石部ｆが一
体に形成されたものとしてＬ形側塊ブロックｅがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図１５
ないし図１７に示す上記従来の側溝蓋は、運搬性を考慮
して通常、長さＬ′₂ が５５０ｍｍ程度をなして断面略
矩形の同一厚みｔ′に形成されるので、１つの側溝ブロ
ック本体ｂに対して上方の開口部ｃに数個の蓋ａを側溝
ブロック本体ｂに被冠しなければならず、敷設現場にお
いて覆工に要する作業能率が悪く作業性が低かった。し
かも蓋ａは断面略矩形の同一厚みｔ′にて上面が平坦面
に形成され、排水には所定間隔毎に配置される集水枡ブ
ロックと側溝ブロック本体ｂの開口部ｃに被冠される蓋
ａに設けた手掛孔ａ₁ とを通じて雨水等を排水するの
で、道路Ｄの横断勾配θにしたがって路肩Ｅに流れ落ち
る雨水の排水効率が低く、排水性に難点があった。降雨
量が多い場合には、側溝ブロック本体ｂでの排水が間に
合わず、路肩Ｅには雨水が溢れ出すことにより道路Ｄの
路面が冠水し、車輛の走行に支障を来し、安全性を阻害
することになる。しかも上記従来の側溝蓋は、敷設後に
は手掛孔ａ₁ が道路Ｄの路肩Ｅに沿って断続的に敷設さ
れるので、車輛の走行時において目障りになり前方の視
認性を損なうことになる。また車輛が蓋ａの上面に乗っ
た場合には、車輛の荷重が加わることにより側溝ブロッ
ク本体ｂに対して蓋ａが衝突することにより騒音を発生
するとともに蓋ａの端部には衝突時に衝撃によりカケを
生ずることがあった。また図１５ないし図１７に示す上
記従来の側溝蓋や図１８に示すＬ形側塊ブロックをコン
クリートを用いて成形するためには専用の成形型を用い
て成形していた。このため道路の敷設用地の広狭、地
形、地盤の硬軟や降雨量の多少等の気象的要因、さらに
は交通量の多少等の現場状況を考慮し、用途に合う排水
設備を選定する必要があるが、これらの排水設備を全て
揃えるには高価な成形型を全てに用意しなければなら
ず、多大な設備費が必要になり、製品コストも高価にな
っていた。本発明は上記従来の不都合を解決し、共用の
グレーチング部材に対して断面同形状または断面異形状
の蓋構成板を現場状況を考慮して用途に適うように工場
等において容易に組立てて選択的に取付けが行なえる多
機能性を発揮し、排水効率は良く、また運転者の前方視
認性を損なうことなく車輛の安全走行に寄与し、また騒
音を発生することなく構造堅牢にして端部にカケを生ず
る等の不都合がなく、さらには成形型も安価で設備費は
多くを必要とすることなく製品の製作コストが低廉なコ
ンクリート製排水溝ブロックの蓋を提供しようとするも
のである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
なされ、請求項１は排水溝ブロックに被冠される蓋が長
手方向に伸びるスリットを介して平行に配置される蓋構
成板と、前記スリット内に嵌合され長手方向に交叉する
方向には前記蓋構成板を支持可能に設けた複数の支持杆
を所望間隔に有するグレーチング部材とから成り、前記
蓋構成板は断面同形状または断面異形状に形成されて取
付けられることを特徴とするという手段を採用した。

【０００５】また本発明の請求項２は請求項１において
複数枚の蓋構成板は、何れも断面略矩形の同一厚さをな
し平面略矩形に形成されたという手段を採用した。

【０００６】また本発明の請求項３は請求項１において
複数枚の蓋構成板は、一方が断面略矩形の同一厚さをな
した平面略矩形に形成され、他方がスリットに向いた下
り勾配の斜面部を上面に設けた断面略台形をなす平面略
矩形に形成されるという手段を採用した。

【０００７】また本発明の請求項４は請求項１または請
求項３において複数枚の前記蓋構成板のうち、道路側に
設けられる蓋構成板の側面には排水ブロック本体内に有
する排水路に連通する適宜複数個の透水窓孔が設けられ
るという手段を採用した。

【０００８】また本発明の請求項５は請求項１、または
請求項２、請求項３、請求項４の何れかにおいて複数枚
の前記蓋構成板のうち、歩道側に設けられる蓋構成板の
上面には縁石ブロックが長手方向に敷設されることを特
徴とするという手段を採用した。

【０００９】また本発明の請求項６は請求項１または請
求項３の何れかにおいて複数枚の前記蓋構成板は、長手
方向に交叉する幅方向に広狭異なる幅の平面略矩形に形
成され、前記スリットが幅方向の中央より変位して形成
されるという手段を採用した。

【００１０】また本発明の請求項７は請求項１または請
求項３の何れかにおいて前記スリットが複数枚の蓋構成
板間に長手方向にわたり全域に形成されるという手段を
採用した。

【００１１】また本発明の請求項８は請求項１または請
求項３の何れかにおいて前記スリットが複数枚の蓋構成
板間に長手方向に所望の間隔をあけて間欠的に形成され
るという手段を採用した。

【００１２】また本発明の請求項９は請求項１において
前記グレーチング部材は、前記スリットよりも突出して
形成されるという手段を採用した。

【００１３】また本発明の請求項１０は請求項１または
請求項９の何れかにおいて前記グレーチング部材は、間
隔をあけて長手方向に平行に設けられた鋼材よりなる複
数枚の横板材と該横板材に対して長手方向に交叉して所
望間隔毎に設けられた鋼材よりなる間隔保持用の複数枚
の縦板材とにより平面格子状に形成されることを特徴と
するという手段を採用した。

【００１４】また本発明の請求項１１は請求項１におい
て前記支持杆は、グレーチング部材の長手方向に交又す
る幅方向に所望の間隔に複数がグレーチング部材に対し
形成されることを特徴とするという手段を採用した。

【００１５】また本発明の請求項１２は請求項１または
請求項１１の何れかにおいて支持杆は、グレーチング部
材の左右両側に支持部が張出されるように長いものが所
望間隔に固着されることを特徴とするという手段を採用
した。

【００１６】また本発明の請求項１３は請求項１におい
て前記排水溝ブロック本体が、側溝ブロック、Ｕ形ブロ
ック、雨水ブロック、水路ブロック、泥溜ブロックの何
れであるという手段を採用した。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、図面に従って本発明の実施
の形態の具体例を説明する。図１ないし図１４は本発明
のコンクリート製排水溝ブロックを側溝蓋に適用した場
合の一実施例を示す。１は排水溝ブロックとしての側溝
ブロック本体であり、この側溝ブロック本体１はコンク
リートにより成形され、内部には円弧状の流水底１ａ₁
を有する断面Ｕ形の流水路１ａが設けられる。また側溝
ブロック本体１の長さＬ₁ はこの実施例では例えば２０
００ｍｍ程度に形成される。この流水路１ａの上方は開
口部となしている。１ｂは左右対向して設けられた側壁
であり、１ｂ₁ は側壁１ｂ，１ｂの上方に位置する肩部
である。

【００１８】２は側溝ブロック本体１に被冠される蓋で
ある。この蓋２は工場においてコンクリートにより形成
され、長手方向Ｘに伸びるスリット３を介して平行に配
置される複数枚、この実施例では２枚の蓋構成板４，４
と、この蓋構成板４，４の間に形成されるスリット３内
に嵌合され、長手方向Ｘに交叉する方向には前記蓋構成
板４，４を支持可能に設けた複数、この実施例では４本
の支持杆６を所定間隔Ｋ毎に有する共用のグレーチング
部材５とにより形成される。

【００１９】２枚の前記蓋構成板４，４は、例えば図３
および図６に示すように何れもが断面略矩形の同一厚さ
ｔをなした平面略矩形に形成される。この蓋構成板４，
４は側溝ブロック本体１を２分割する１０００ｍｍ程度
またはそれの近い長さＬ₂ に形成され、この実施例では
２枚で１組に組付が行われて１枚の蓋２が形成される。
また蓋構成板４，４の厚さｔは、例えば１００ｍｍ程度
に形成される。この２枚の蓋構成板４，４を用いて１枚
の蓋２を形成した場合にはスリット３は図１に示すよう
に蓋構成板４，４間に長手方向Ｘにわたり全域に形成さ
れる。また、断面略矩形の同一厚さｔをなした平面略矩
形に蓋構成板が形成される場合であっても図には示さな
いが幅方向Ｙに広狭異なる幅Ｗ₁ ，Ｗ₂ に２枚の蓋構成
板４，４が形成される場合にはスリット３は幅方向Ｙの
中央より変位して長手方向Ｘの全域にわたり形成され
る。スリット３の幅Ｗは、この実施例では５０ｍｍ程度
に形成される。

【００２０】また蓋２は図１０および図１１に示す第２
変形例および図１２に示す第３変形例のように２枚の蓋
構成板が、上記説明のものに限らず一方、例えば道路Ｄ
から遠い側に設けられる蓋構成板４は前記説明と同様に
断面略矩形の同一厚さｔをなした平面略矩形に形成され
るが、他方側例えば道路Ｄに近く設けられる蓋構成板
４′，４Ａは道路Ｄの横断勾配θに連続してスリット３
に向いた下り勾配θ₁ の斜面部７を上面に設けた断面略
台形をなす平面略矩形に形成されるものもある。そして
この第２変形例および第３変形例においては、道路Ｄの
路面に降雨した雨水は、蓋２において道路Ｄに近くに設
けられる断面略台形の蓋構成板４′，４Ａの上面に有す
る斜面部７が道路Ｄの横断勾配θに連続して略合致する
ので、道路Ｄの路面に降雨した雨水が横断勾配θに伴っ
て流れ落ちる。次いで雨水はこの横断勾配θに合致する
ように蓋構成板４Ａの上面に設けた斜面部７上を流れ落
ち、路肩Ｅに溜まることなく速やかにスリット３を通じ
て側溝ブロック本体１内に導入され、排水路１ａにより
効率良く排水を行うようにする。また図１０および図１
１に示す第２変形例においては、２枚の蓋構成板４，
４′が幅方向Ｙに広狭異なる幅Ｗ₁ ，Ｗ₂ に形成したこ
とによりスリット３が幅方向の中央より変位して略全域
に形成される。

【００２１】また図１３に示す蓋２の第４変形例のよう
に２枚の蓋構成板のうち、道路Ｄ側に設けられる蓋構成
板４′Ａは、その側面に排水溝ブロックとしての側溝ブ
ロック本体１内に有する排水路１ａに連通する適宜複数
個の透水窓孔８が設けられたものもあり、この蓋構成板
４′Ａは道路Ｄの舗装として不透水性層９の上部に道路
Ｄの横断勾配θに伴って透水性舗装部１０を敷設するこ
とにより、道路Ｄの路面に降雨した雨水の一部が路面上
を横断勾配θにつれて路肩Ｅに向かって流れ落ち、しか
も降雨した雨水の一部は透水性舗装部１０内に浸透し、
不透水性層９の表面を路肩Ｅに向かって流れ落ちて排水
するのに最適に使用される。

【００２２】また図１４に示すものは蓋２の第５変形例
であり、断面略矩形の同一厚さｔ，ｔをなし平面矩形に
形成された２枚の蓋構成板４，４間に形成されるスリッ
ト３よりもグレーチング部材５を突出して形成し、蓋構
成板４，４の平坦な上面にはグレーチング部材５の突出
部分５ａを挟むように彩色や天然石を表面に施すことに
より化粧がなされたり、透水性を発揮するようにコンク
リートを用いて形成されたインターロッキングブロック
１１を敷設することにより公園、競技場、工場等の広場
や公共施設、さらにはコンクリート建築物のベランダ等
に排水路を敷設するのに最適である。

【００２３】前記グレーチング部材５は、間隔をあけて
長手方向Ｘに平行に設けられた鋼材よりなる複数枚、図
１では３枚の横板材１２と、該横板材１２に対して長手
方向Ｘに交叉して所望間隔Ｋ₁ 毎に設けられた鋼材より
なる間隔保持用の複数枚、例えば７枚の縦板材１３とに
より平面格子状に形成される。そしてこの実施例ではグ
レーチング部材５の前記横板材１２の下面には蓋構成板
４，４の下面に設けた対応する溝内に嵌合支持される複
数、図では４本の前記支持杆６の支持部６ａ，６ａを長
手方向Ｘに交叉する幅方向Ｙに左右に張出すように所望
の間隔Ｋに一体に形成される。このように蓋構成板４，
４を鋼材よりなる４本に支持杆６を用いて支持するよう
にしたのは、圧縮および引張り双方ともに支持杆６が応
力を発揮し構造材としてコンクリートよりなる蓋構成板
４，４を構造堅牢に支持するためである。

【００２４】図９において１４は施工現場において側溝
ブロック本体１に被せられる蓋２を固定するための一例
としての固定手段であり、この固定手段１４は側溝ブロ
ック本体１の上方に対向する肩部１ｂ₁ ，１ｂ₁ に下方
部１５Ａが埋設され、この下方部１５Ａ内には複数の割
り溝１６ａを放射方向に有する小径な取付孔１６が設け
られ、上方部１５Ｂ内には複数の割り溝１７ａを放射方
向に有する大径な取付孔１７が設けられ、小径な取付孔
１６と大径な取付孔１７とは中径な連絡孔１８により連
通された係止筒体１９と、先端部には前記係止筒体１９
内に設けた小径な取付孔１６内に圧入される小径部２０
Ａと上方部には大径な前記取付孔１７内に圧入される大
径部２０Ｂとを設けた係止ピン体２０とから形成される
係止具を用いて側溝ブロック本体１に蓋２を被せ、取付
けるようにしてもよい。なお係止筒体１９と係止ピン体
２０とは金属や合成樹脂により形成される。

【００２５】そして係止筒体１９の連絡孔１８は取付孔
１６よりも大径に形成され、取付孔１７は連絡孔１８よ
りも大径に形成される。また係止ピン体２０の大径部２
０Ｂは小径部２０Ａよりも大径に形成される。さらに係
止ピン体２０の小径部２０Ａは、係止筒体１９の前記連
絡孔１８よりも小径に形成されるが、取付孔１６よりも
僅かに大径に形成される。また係止ピン体２０の大径部
２０Ｂは係止筒体１９の取付孔１７よりも僅かに大径に
形成される。

【００２６】図４において２２ａ，２２ｂは側溝ブロッ
ク本体１の対向する肩部１ｂ₁ ，１ｂ₁ の上面と蓋構成
板４，４；４，４′；４，４Ａ；４，４′Ａとの対応す
る個所に所望数組が設けられた凸部と該凸部が挿入され
る凹部である。この凸部２２ａが凹部２２ｂ内に挿入さ
れることにより側溝ブロック本体１に対して蓋２のずれ
動きが防止される。また蓋２は図には示さないが、係止
筒体１９と係止ピン体２０とによる固定手段に代えて埋
込みボルトやこの埋込みボルトに螺合されるナットによ
り固定することもできる。

【００２７】本発明の一実施例は以上の構成からなり、
工場または必要時には施工現場において蓋２の組立を行
うには、道路Ｄの敷設用地の広狭、地形、地盤の硬軟や
降雨量の多少等の気象的要因、車輛の交通量の多少等の
現場状況を考慮して以下に述べる用途にあった蓋構成板
を選択して組立を行う。この組立の詳細を述べると、例
えば図１および図３に示すように断面略矩形の同一厚さ
ｔをなした平面略矩形の蓋構成板４，４を選択して平行
に配置することにより蓋構成板４，４間に形成されるス
リット３内に下方から共用のグレーチング部材５を嵌合
する。この際、グレーチング部材５の横板材１２の下面
に所望間隔Ｋ毎に一体に固着した支持杆６の左右に張出
した支持部６ａ，６ａを蓋構成板４，４の下面の対応個
所に設けた溝部内に嵌合することにより蓋２を組上げ
る。この時、蓋構成板４，４は鋼材よりなる４本の支持
杆６により支持されるので、圧縮および引張り双方とも
に支持杆６が応力を発揮し構造材としてコンクリートよ
りなる蓋構成板４，４を構造堅牢に支持する。

【００２８】このようにして組立られた蓋２は、倉庫に
保管されて積み上げたり、施工現場まで運搬されるが、
２枚の蓋構成板４，４にグレーチング部材５が組付けら
れることにより一体化されるので、運搬中に車輛からの
振動や外力が加わることにより不用意にグレーチング部
材５が取外れることはない。またグレーチング部材５
は、間隔をあけて長手方向Ｘに平行に設けられた鋼材よ
りなる複数枚、図では３枚の横板材１２と、該横板材１
２に対して長手方向Ｘに交叉して所望間隔Ｋ₁ 毎に設け
られた鋼材よりなる間隔保持用の複数枚、例えば７枚の
縦板材１３とにより平面格子状に形成されるので、構造
堅牢になり、長手方向Ｘと幅方向Ｙと高さ方向の何れの
方向からの引張、圧縮、ねじれに対して強固に蓋構成板
４，４を支持することができる。

【００２９】このようにして工場等で組立てられた蓋２
を側溝ブロック本体１の開口部に被冠して取付けるため
には、例えば図９に示すように側溝ブロック本体１の上
方に対向する肩部１ｂ₁ ，１ｂ₁ に埋設した係止筒体１
９の上方部１５Ｂに設けた取付孔１７内に係止ピン体２
０の先端部を挿入して係止ピン体２０をハンマーを用い
て打撃すると、係止ピン体２０の先端部に設けた小径部
２０Ａは係止筒体１９内に設けられる大径な取付孔１７
に連通する連絡孔１８を通じて小径な取付孔１６内に圧
入される。この際、未だ蓋２は側溝ブロック本体１に被
冠されてはいない。

【００３０】その後係止ピン体２０をハンマーによりさ
らに打撃するか或いは打撃を加えることなく蓋２を側溝
ブロック本体１に被せると、ハンマーの打撃力によるか
蓋２の荷重が加わることにより係止ピン体２０の大径部
２０Ｂは係止筒体１９の上方部１５Ｂ内に設けた大径な
取付孔１７内に圧入されることにより係止ピン体２０は
係止筒体１９に結合される。また蓋２が側溝ブロック本
体１に被冠された場合には、蓋２の荷重により係止筒体
１９の上方部１５Ｂは蓋２の対応個所に設けた取付孔４
ａ内に嵌合され蓋２は側溝ブロック本体１に固定され
る。このほか、図には示さないが埋込ボルトとナットと
を用いて蓋２を側溝ブロック本体１に着脱可能に固定
し、取付けることもできる。

【００３１】このようにして、図３に示すように側溝ブ
ロック本体１を道路Ｄに沿って連続して敷設し、蓋２を
被冠し、固定すると、路面に降った雨水は路肩Ｅに流れ
落ち蓋２の幅方向Ｙの略中央に長手方向Ｘにわたって全
体的に形成されるスリット３からグレーチッグ部材５を
介して側溝ブロック本体１内に導入される。そして、道
路Ｄ等の路面に降る雨水等が溜まることなく効率的に側
溝ブロック本体１内に設けられた排水路１ａにより排水
することができる。従って降雨量が多くても道路Ｄが冠
水したり、路肩Ｅに雨水等が溢れることなく排水が行わ
れる。

【００３２】また断面略矩形の同一厚さｔ，ｔに形成さ
れる蓋２は前述のようにして側溝ブロック本体１に被冠
され、取付けられるので、自動車が走行することにより
荷重が加わっても蓋２が側溝ブロック本体１に衝突する
という衝突音は発生しない。

【００３３】しかも蓋２は蓋構成板４，４が同一厚さ
ｔ，ｔの断面略矩形に形成され、上面が平坦面に形成さ
れるので、限られた面積の道路敷設用地に対して新設道
路を形成する場合や道路Ｄを改修する場合に、道路Ｄの
幅員幅を充分に確保でき車輛を安全走行することができ
る。しかも蓋２の蓋構成板４，４の間に形成され、グレ
ーチング部材５が嵌合されるスリット３は、道路Ｄに沿
って蓋２に連続して設けられるので、車輛の走行時に目
障りになることなく前方の視認性は確保され、安全運転
に寄与できる。

【００３４】図１０および図１１は断面略矩形の一方の
蓋構成板４を前記説明のものより薄い同一厚さｔ₁ に形
成することにより組付時にグレーチング部材５の上方部
を僅かに突出するとともに他方の蓋構成板４′がスリッ
ト３に向いた斜面部７上を上面に設けた断面略台形に形
成することにより蓋構成板４，４′は長手方向Ｘに交叉
する幅方向Ｙに広狭異なる幅Ｗ₁ ，Ｗ₂ の平面略矩形に
形成してスリット３を蓋構成板４，４′の長手方向Ｘに
わたり略中央よりも変位して形成するほか、２枚の蓋構
成板４，４′のうち、歩道Ｊ側に設けられる蓋構成板４
の上面には縁石ブロック３０を長手方向Ｘに設けた。そ
して、側溝ブロック本体１を道路Ｄに沿って敷設し、限
られた道路敷設用地を有効活用して縁石ブロック３０に
より道路Ｄと歩道Ｊとを区分して敷設できるようにした
点が前記変形例とは異なる構成であり、作用、効果とす
る。

【００３５】また図１２は、異種、異形の蓋構成板を共
用のグレーチング部材５を用いて組上げた蓋２の第３変
形例である。すなわち、道路Ｄから遠い側に設けられる
蓋構成板４は、図３に示すものと同様に断面略矩形の同
一厚さｔをなした平面略矩形に形成されたものを用いる
が、反対側の道路Ｄから近い側にはスリット３に向いた
下り勾配θ₁ の斜面部７を上面に設けた断面台形をなす
異形状の平面略矩形の蓋構成板４Ａを前記蓋構成板４に
対してスリット３を介して平行に配置し、スリット３内
に嵌入される共用のグレーチング部材５に所望間隔Ｋ毎
に設けた支持杆６を蓋構成板４，４Ａの下面の対応個所
に設けた溝内に嵌合させることにより図１および図３に
示す蓋２とは異種、異形の蓋２を組立てる。

【００３６】そして、このようにして組立てられた蓋２
は、道路Ｄの横断勾配θに略合致する下り勾配θ₁ の斜
面部７を上面に有する蓋構成板４Ａを道路Ｄ側に配置す
るので、道路Ｄの路面に降雨した雨水は道路Ｄの横断勾
配θにしたがって路肩Ｅに向かって流れ落ち、次いで道
路Ｄ側に近く道路Ｄに沿って設けられた蓋構成板４Ａの
上面の下り勾配θ₁ の斜面部７をスリット３に向かって
流れ落ちることによりスリット３を介して側溝ブロック
本体１内に路肩Ｅに溜まることなく導入され、排水路１
ａを通じて効率的に排水される点で図３に示すように断
面略矩形の同一厚さｔ，ｔをなし平面略矩形に形成され
た２枚の蓋構成板４，４をスリット３を介して平行に配
置した前記蓋２とは異なる。

【００３７】また図１３に示す第４変形例では、グレー
チング部材５により組上げられる２枚の蓋構成板のうち
道路Ｄ側に設けられる蓋構成板４′Ａは、その側面に側
溝ブロック本体１内に有する排水路１ａに連通する適宜
複数個の透水窓孔８を設けているので、道路Ｄの舗装材
として不透水性層９の上部に道路Ｄの横断勾配θにとも
なって透水性舗装部１０を敷設すると、道路Ｄの路面に
降雨した雨水の一部は路面上を横断勾配θにつれて路肩
Ｅに向かって流れ落ちる。しかも降雨した雨水の一部
は、透水性舗装部１０内に浸透し、不透水性層９の表面
を路肩Ｅに向かって流れ落ち透水性舗装部１０の端面１
０ａから道路Ｄ側に設けられる蓋構成板４′Ａの側面に
設けられた透水性窓孔８から側溝ブロック本体１内に導
入され排水路１ａにより排水されるのに好適に使用され
る。従って道路Ｄの舗装材としてアスファルト等の不透
水材を用いる場合に比して道路Ｄの路面が冠水されるこ
となく排水される点で有利である。なお、透水性舗装部
１０としては、砂利、砕石、スラッジ等の骨材を合成樹
脂接着剤やセメント等の結合剤を用いて連続する空隙を
内部に設けることにより透水性を発揮するものが用いら
れる。

【００３８】また図１４に示す第５変形例では、断面略
矩形の同一厚さｔ，ｔをなし平面略矩形に形成された２
枚の蓋構成板４，４を組立てるグレーチング部材５は、
蓋構成板４，４間に形成されるスリット３よりも突出し
て形成されているので、上面にグレーチング部材５の突
出部分を挟むように平坦面を上面に有する２枚の蓋構成
板４，４の上に路面舗装材として彩色や天然石を表面に
施すことにより化粧がなされたり、透水性を発揮するよ
うにコンクリートを用いて形成されたインターロッキン
グブロック１１，１１…を敷設することができ、インタ
ーロッキングブロック１１，１１…に降雨する雨水等を
側溝ブロック本体１内に排水することができる。従っ
て、公園、競技場、工場等の広場や公共施設、さにはコ
ンクリート建築物のベランダ等に排水路を敷設するのに
最適である。

【００３９】上記説明では蓋２が２枚の蓋構成板４，
４；４，４′；４，４Ａ；４，４′Ａにより形成され、
スリット３はこれらの蓋構成板４，４；４，４′；４，
４Ａ，４，４′Ａの間に１列に設けられることによりこ
のスリット３内にグレーチング部材５が嵌合されている
が、蓋構成板とその間に設けられるスリットの設置個数
はこれに限ることなく蓋２は３枚以上の蓋構成板が長手
方向Ｘに平行に配置されるとともにこの蓋構成板間に形
成されるスリット３内にグレーチング部材５を嵌合する
とともにこのグレーチング部材５の長手方向Ｘに交叉す
る幅方向Ｙに所望間隔Ｋ毎に突設した支持杆６に蓋構成
板を取付けることもできる。

【００４０】また上記説明においては、蓋構成板４，
４；４，４′；４，４Ａ；４，４′Ａ間に形成されるス
リット３は長手方向Ｘにわたり全体的に形成されたもの
が図示されているが、このスリットは長手方向Ｘに所望
の間隔をあけて間欠的に数個が形成されるものであって
もよく、その形状は図に示するものに限らない。

【００４１】また上記説明では、排水溝ブロックとして
側溝ブロック本体１について代表的に説明をしている
が、排水溝ブロックとしては側溝ブロック本体１に限る
ことなくＵ形ブロック、雨水ブロック、水路ブロック等
に被冠する蓋にも本発明は適用できる。

【００４２】

【発明の効果】以上のように本発明は、排水ブロック本
体に被冠される蓋が、長手方向に伸びるスリットを介し
て断面同形状または断面異形状の蓋構成板を共用のグレ
ーチング部材に対して現場状況を考慮して用途に適うよ
うに工場等において選択的に組立られるので、多機能性
が発揮されるとともに工場等での組立が作業効率が良く
容易に行える。また、蓋構成板の間にはスリットが形成
されるので、道路に降雨した雨水等は路面から横断勾配
にしたがい路肩に向かって流れ落ちてスリットを介して
排水溝ブロック内に導入され、効率良く排水される。ま
たスリットは道路に沿って敷設される蓋に連続して形成
されるので、運転者は手掛孔を有する従来の側溝蓋のよ
うに手掛孔が不連続になることにより目障りになり前方
視認性を損なうことなく車輛の安全運転に寄与できる。
また蓋は排水溝ブロックに被冠されて取付けられるの
で、排水溝ブロックに対する衝突による騒音が発生され
ないで済むとともに蓋構成板の端部にカケを生ずる等の
不都合は生じない。さらには、蓋構成板の成形型は従来
よりも形状が単純化され、しかも１枚の蓋は従来の側溝
蓋の幾つかに相当する長さに形成されるので、安価に製
作される。また、グレーチング部材は、形状が異種、異
型の蓋構成板に対して共用されて蓋が組立られるので、
資材費および設備費が安価になり、製品の製作コストは
低廉になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、排水溝ブロックとし
ての側溝ブロック本体に蓋を被冠した状態の平面図であ
る。

【図２】同じく正面図である。

【図３】同じく側面図である。

【図４】同じく蓋を側溝ブロック本体の上方部に被冠し
た状態の拡大断面図である。

【図５】本実施例の蓋を形成する蓋構成板の一例を示す
平面図である。

【図６】同じく蓋構成板の側面図である。

【図７】本実施例のグレーチング部材を示す平面図であ
る。

【図８】同じくグレーチング部材を示す側面図である。

【図９】本実施例の排水ブロック本体と該排水ブロック
本体に被冠される蓋を取付けるための固定手段を示す拡
大斜視図である。

【図１０】本実施例の蓋の第２変形例を示す平面図であ
る。

【図１１】同じく蓋を側溝ブロック本体に被冠した側面
図である。

【図１２】本実施例の蓋の第３変形例を示す施工状態の
拡大断面図である。

【図１３】本実施例の蓋の第４変形例を示す施工状態の
拡大断面図である。

【図１４】本実施例の蓋の第５変形例を示す施工状態の
拡大断面図である。

【図１５】従来の側溝蓋を側溝ブロック本体に被冠した
状態の平面図である。

【図１６】同じく正面図である。

【図１７】同じく敷設状態を示す側面図である。

【図１８】従来のＬ形側塊ブロックを示す敷設状態の側
面図である。

【符号の説明】

１ 側溝ブロック本体 ２ 蓋 ３ スリット ４ 蓋構成板 ４′ 蓋構成板 ４Ａ 蓋構成板 ４′Ａ 蓋構成板 ４ａ 取付穴 ５ グレーチング部材 ６ 支持杆 ６ａ 支持部 １９ 係止筒体 １６ 取付孔 １７ 取付孔 １８ 連絡孔 ２０ 係止ピン体 ２０Ａ 小径部 ２１Ｂ 大径部

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平８−311980（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−151679（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−65876（ＪＰ，Ｕ) 登録実用新案3022691（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03F 5/04 - 5/06

Claims (13)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水溝ブロック本体に被冠される蓋が長
   手方向に伸びるスリットを介して平行に配置される蓋構
   成板と、前記スリット内に嵌合され長手方向に交叉する
   方向には前記蓋構成板を支持可能に設けた複数の支持杆
   を所望間隔に有するグレーチング部材とから成り、前記
   蓋構成板は断面同形状または断面異形状に形成されて選
   択的に取付けられることを特徴とするコンクリート製排
   水溝ブロックの蓋。
2. 【請求項２】 複数枚の蓋構成板は、何れも断面略矩形
   の同一厚さをなし平面略矩形に形成されたことを特徴と
   する請求項１に記載のコンクリート製排水溝ブロックの
   蓋。
3. 【請求項３】 複数枚の蓋構成板は、一方が断面略矩形
   の同一厚さをなした平面略矩形に形成され、他方がスリ
   ットに向いた下り勾配の斜面部を上面に設けた断面略台
   形をなす平面略矩形に形成されたことを特徴とする請求
   項１に記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
4. 【請求項４】 複数枚の前記蓋構成板のうち、道路側に
   設けられる蓋構成板の側面には排水溝ブロック本体内に
   有する排水路に連通する適宜複数個の透水窓孔が設けら
   れることを特徴とした請求項１または請求項３に記載の
   コンクリート製排水溝ブロックの蓋。
5. 【請求項５】 複数枚の前記蓋構成板のうち、歩道側に
   設けられる蓋構成板の上面には縁石ブロックが長手方向
   に敷設されることを特徴とする請求項１、または請求項
   ２、請求項３、請求項４の何れかに記載のコンクリート
   製排水溝ブロックの蓋。
6. 【請求項６】 複数枚の前記蓋構成板は、長手方向に交
   叉する幅方向に広狭異なる幅の平面略矩形に形成され、
   前記スリットが幅方向の中央より変位して形成されるこ
   とを特徴とした請求項１または請求項３の何れかに記載
   のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
7. 【請求項７】 前記スリットが複数枚の蓋構成板間に長
   手方向にわたり全域に形成されることを特徴とする請求
   項１または請求項３の何れかに記載のコンクリート製排
   水溝ブロックの蓋。
8. 【請求項８】 前記スリットが複数枚の蓋構成板間に長
   手方向に所望の間隔をあけて間欠的に形成されることを
   特徴とする請求項１または請求項３の何れかに記載のコ
   ンクリート製排水溝ブロックの蓋。
9. 【請求項９】 前記グレーチング部材は、前記スリット
   よりも突出して形成されることを特徴とした請求項１に
   記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
10. 【請求項１０】 前記グレーチング部材は、間隔をあけ
    て長手方向に平行に設けられた鋼材よりなる複数枚の横
    板材と該横板材に対して長手方向に交叉して所望間隔毎
    に設けられた鋼材よりなる間隔保持用の複数枚の縦板材
    とにより平面格子状に形成されることを特徴とする請求
    項１に記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
11. 【請求項１１】 前記支持杆は、グレーチング部材の長
    手方向に交又する幅方向に所望の間隔に複数がグレーチ
    ング部材に対して形成されることを特徴とする請求項１
    に記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
12. 【請求項１２】 支持杆は、グレーチング部材の左右両
    側に支持部が張出されるように長いものが所望間隔に固
    着されることを特徴とする請求項１または請求項１１の
    何れかに記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。
13. 【請求項１３】 前記排水溝ブロック本体が、側溝ブロ
    ック、Ｕ形ブロック、雨水ブロック、水路ブロック、泥
    溜ブロックの何れかであることを特徴とする請求項１に
    記載のコンクリート製排水溝ブロックの蓋。