JP3180936B2 - 自動車の前部車体構造 - Google Patents

自動車の前部車体構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の前部車体構造
に関し、さらに詳しくは、ランプサポートパネルとフェ
ンダエプロンとの結合箇所におけるエクステンション部
材の溶接結合構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】図４〜図７は従来における自動車の前部
車体構造を示すものであって、図４において、１はエン
ジンルーム、２ａ，２ｂはエンジンルーム１の前方の両
側部に配設された一対のランプサポートパネル、３ａ，
３ｂはエンジンルーム１の左右両側部に配設された一対
のフェンダエプロン、４は図外のフロントフードを閉状
態にロックするロック部材が配設されるフードロックメ
ンバ、５はエンジンルーム１と車室とを仕切るダッシュ
パネル、６はダッシュパネル５の上部箇所に配置される
カウルトップパネルである。
【０００３】上述のフードロックメンバ４は、図４及び
図５に示すように、フェンダエプロン３ａ，３ｂの上部
間に架設され、その両端縁４ａ，４ｂがランプサポート
パネル２ａ，２ｂの上部箇所に接合されて溶接等にて固
着されている。これにより、フェンダエプロン３ａ，３
ｂの前部の間にフードロックメンバ４が架設されてい
る。さらに、これらのランプサポートパネル２ａ，２ｂ
の下端部間には、図５に示すようにクロスメンバ７が架
設されており、ランプサポートパネル２ａ，２ｂ、フー
ドロックメンバ４及びクロスメンバ７にてフロントエン
ドアッセンブリ８が構成されている。
【０００４】一方、フェンダエプロン３ａ，３ｂは、エ
プロン本体１０と、このエプロン本体１０の下端縁に溶
接結合されたエプロンサイドメンバ（エプロンサイドイ
ンナパネル）１１と、このエプロンサイドメンバ１１の
前端部１１ａに対応配置されて組付けられるエクステン
ション部材（エプロンサイドアウタパネル）１２とから
それぞれ構成されている。そして、フェンダエプロン３
ａ，３ｂの前端部分１１ａが、図５，図６及び図７に示
す如く、前記一対のランプサポートパネル２ａ，２ｂに
それぞれ組付けられて溶接結合されている。
【０００５】具体的には、エプロンサイドメンバ１１の
前端部１１ａが、図５において矢印Ｒで示すようにラン
プサポートパネル２ａ，２ｂの開口１４ａ，１４ｂにラ
ンプサポートパネル２ａ，２ｂの後方側から差し込まれ
てその前方側に突出され（図６参照）、図７に示すよう
に、フェンダエプロン３ａ，３ｂの屈曲片部１５がラン
プサポートパネル２ａ，２ｂの後面１６に接合された状
態となされている。そして、この突出した前端部１１ａ
の部分にコ字状のエクステンション部材１２が組付けら
れてこれら両部材にて閉断面形状部が形成されると共
に、エクステンション部材１２の屈曲片部１２ａがラン
プサポートパネル２ａ，２ｂの前面１７に接合されてい
る。
【０００６】かくして、フェンダエプロン３ａ，３ｂの
屈曲片部１５とエクステンション部材１２の屈曲片部１
２ａとの間にランプサポートパネル２ａ，２ｂが挟み込
まれた状態の下で、これらがスポット溶接Ｓ1 にて三者
一体に結合され、これにより車体前部の組付けがなされ
ている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来の自動車の前部車体構造にあっては、ランプサ
ポートパネル２ａ，２ｂをフェンダエプロン３ａ，３ｂ
とエクステンション部材１２との間に挾んだ状態でスポ
ット溶接するようにしているので、次のような問題点が
ある。すなわち、エクステンション部材１２に取付けら
れるトーイングフック（図示せず）にて牽引を行う際
に、フェンダエプロン３ａ，３ｂ及びエクステンション
部材１２に図７において矢印Ｆで示す方向（車体前方）
に向かう牽引力を受けると、この牽引力は前記スポット
溶接Ｓ1 に対して剥離力（引張力）として作用すること
となる。そのため、前記スポット溶接Ｓ1 の破断が生
じ、これに伴ってエクステンション部材１２がランプサ
ポートパネル２ａ，２ｂから剥離してしまうおそれがあ
る。従って、エクステンション部材１２の保持強度が充
分でないという問題点がある。
【０００８】また、エンジンルーム１の前部の車体部分
を組み立てるに当たっては、ランプサポートパネル２
ａ，２ｂ、フードロックメンバ４及びクロスメンバ７を
予め組付けて成る１つのフロントエンドアッセンブリ８
と、一対のフェンダエプロン３ａ，３ｂと、一対のエク
ステンション部材１２との計５つの組付部材をそれぞれ
別々に用意して組付けを行う必要があるため、組付作業
が面倒であるという問題点もある。
【０００９】本発明は、このような問題点を解消すべく
なされたものであって、その目的は、トーイングフック
にかかる引張力に対して強い構造でエクステンション部
材の剥離を生じるようなことがなく、しかも、車体前部
の組付作業の簡素化を図り得るような構成の自動車の前
部車体構造を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、車体前部の左右両側に配設されたラ
ンプサポートパネル(2a,2b)の開口(14a,14b)に、フェン
ダエプロン(3a,3b)の一部を構成するエプロンサイドメ
ンバ(11)の先端部分(11a)を差し込んで、前記ランプサ
ポートパネル(2a,2b)の前方に突出せしめ、この突出さ
れたエプロンサイドメンバ(11)の先端部分(11a)にエク
ステンション部材(12)を対応配置した状態で前記ランプ
サポートパネル(2a,2b)、フェンダエプロン(3a,3b)及び
エクステンション部材(12)を溶接結合するようにして成
る自動車の前部車体構造において、前記エクステンショ
ン部材(12)は、平面状の基体部(20)と該基体部(20)の上
端及び下端にそれぞれ屈曲形成された屈曲片部(21,22)
とから構成され、前記フェンダエプロン(3a,3b)に予め
部組されるものであり、前記上端側の屈曲片部(21)が断
面ほぼコ字状のエプロンサイドメンバ(11)の上壁部(23)
にスポット溶接(S2)にて溶接接合され、前記エクステン
ション部材(12)の下端縁部(24)が前記エプロンサイドメ
ンバ(11)の下端側の垂下片部(25)にスポット溶接(S3)に
て溶接結合されており、前記エクステンション部材(12)
の後端部(26)は、フェンダエプロン(3a,3b)のエプロン
本体(10)の前端部(27)に接合され、前記後端部(26)と前
記前端部(27)との接合面(P)が車体前後方向にほぼ沿っ
て配置され、この接合面(P)の複数箇所がスポット溶接
(S4)にて溶接結合されており、エクステンション部材(1
2)の下端側の屈曲片部(22)、エプロン本体(10)の屈曲片
部(31)及び下端縁部(32)には、係着孔(33)を有するトー
イングフック(34)がスポット溶接(S6)にて溶接結合され
ている。
【００１１】
【作用】このような構成によれば、エクステンション部
材とフェンダエプロンとの接合部をほぼ車体前後方向に
沿うように配置してこの部分を溶接結合するようにした
ので、トーイングフックを介して前記エクステンション
部材に車体前後方向の負荷がかかった場合に、この負荷
は溶接部に対してせん断方向に作用することとなる。そ
のため、前記負荷はエクステンション部材とフェンダエ
プロンとの溶接部分においてせん断力として作用するの
で、溶接部に剥離を生じるのを効果的に防止できる。
【００１２】また、前記エクステンション部材はフェン
ダエプロンに予め溶接結合した状態で一対のランプサポ
ートパネルと共にフロントエンドアッセンブリに組み込
んでおくことができ、このようにすることにより、車体
前部の組立作業に要する治具の簡素化を図ることが可能
となる。
【００１３】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図１〜図３
を参照して説明する。なお、図１〜図３において図４〜
図７と同様の部分には同一の符号を付してその詳細な説
明を省略する。
【００１４】図１は本発明に係る自動車の前部車体構造
を示すものであって、本例においては、エクステンショ
ン部材１２はフェンダエプロン３ａ，３ｂに予め部組さ
れて溶接結合されている。
【００１５】上述のエクステンション部材１２は、図２
に示すように、平面状の基体部２０と、この基体部２０
の上端及び下端にそれぞれ屈曲形成された屈曲片部２１
及び２２とから構成されており、フェンダエプロン３
ａ，３ｂのエプロンサイドメンバ１１の前端部１１ａに
対応配置されている。そして、上述の屈曲片部２１が、
断面ほぼコ字状のエプロンサイドメンバ１１の上壁部２
３にスポット溶接Ｓ2 にて溶接結合され、エクステンシ
ョン部材１２の下端縁部２４がエプロンサイドメンバ１
１の下端側の垂下片部２５にスポット溶接Ｓ3 にて溶接
結合されている。
【００１６】さらに、エクステンション部材１２の後端
部２６は、図２及び図３に示すように、フェンダエプロ
ン３ａ，３ｂのエプロン本体１０の前端部２７に接合さ
れ、前記後端部２６と前端部２７との接合面Ｐが車体前
後方向にほぼ沿って配置されると共に、この接合面Ｐの
複数箇所がスポット溶接Ｓ4 にて溶接結合されている。
【００１７】かくして、エクステンション部材１２は、
フロントエンドアッセンブリ８を車体に組付ける前に予
めフェンダエプロン３ａ，３ｂにそれぞれ一体に部組さ
れ、このエクステンション部材１２とエプロンサイドメ
ンバ１１の前端部１１ａとにより閉断面形状部３０が形
成されて補強構造となされている。
【００１８】このように構成されたフェンダエプロン３
ａ，３ｂはエンジンルーム１内の左右両側箇所に取付け
られ、これらのフェンダエプロン３ａ，３ｂに対してフ
ロントエンドアッセンブリ８が次のような構造で組付け
られる。
【００１９】すなわち、フロントエンドアッセンブリ８
の一部を構成するランプサポートパネル２ａ，２ｂの開
口１４ａ，１４ｂに、フェンダエプロン３ａ，３ｂの前
端部１１ａ及びエクステンション部材１２から成る閉断
面形状部３０が差し込まれ、この閉断面形状部３０がラ
ンプサポートパネル２ａ，２ｂの前方側に突出された状
態となされる。そして、図３に示すように、エプロン本
体１０の前端部２７に形成された屈曲片部１５とランプ
サポートパネル２ａ，２ｂの後面１６とが互いに接合さ
れ、スポット溶接Ｓ5 にて溶接結合される。
【００２０】さらに、図２に示すように、エクステンシ
ョン部材１２の下端側の屈曲片部２２、エプロン本体１
０の屈曲片部３１及び下端縁部３２には、係着孔３３を
有するトーイングフック３４がスポット溶接Ｓ6 にて溶
接結合されている。
【００２１】このような構成の車体前部構造によれば、
エクステンション部材１２の後端部２６とエプロン本体
１０の前端部２７との接合面Ｐにおけるスポット溶接Ｓ
４の溶接箇所は、図３中の引張力Ｆに対してせん断方向
にあるので、車両牽引時にトーイングフック３４に負荷
（引張力）が作用した場合には、この負荷はスポット溶
接部分においてせん断力として作用することとなる。従
って、トーイングフック３４の引張力に対して強い構造
となる。
【００２２】また、本例においては、エクステンション
部材１２をフェンダパネル３ａ，３ｂに予め部組してお
くようにしたので、車体前部の組立作業に際してはフロ
ントエンドアッセンブリ８をフェンダパネル３ａ，３ｂ
に組付けるだけの作業で済み、組付用の治具の簡素化を
図ることが可能となる。
【００２３】以上、本発明の一実施例につき述べたが、
本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明
の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能であ
る。例えば、エクステンション部材１２やフェンダエプ
ロン３ａ，３ｂの形状等は必要に応じて各種に変形可能
である。また、エクステンション部材１２の結合手段と
しては、スポット溶接に限らず、アーク溶接等により溶
接結合する場合にも本発明を適用できることは言う迄も
ない。
【００２４】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、前記エクステン
ション部材(12)は、平面状の基体部(20)と該基体部(20)
の上端及び下端にそれぞれ屈曲形成された屈曲片部(21,
22)とから構成され、前記フェンダエプロン(3a,3b)に予
め部組されるものであり、前記上端側の屈曲片部(21)が
断面ほぼコ字状のエプロンサイドメンバ(11)の上壁部(2
3)にスポット溶接(S2)にて溶接接合され、前記エクステ
ンション部材(12)の下端縁部(24)が前記エプロンサイド
メンバ(11)の下端側の垂下片部(25)にスポット溶接(S3)
にて溶接結合されており、前記エクステンション部材(1
2)の後端部(26)は、フェンダエプロン(3a,3b)のエプロ
ン本体(10)の前端部(27)に接合され、前記後端部(26)と
前記前端部(27)との接合面(P)が車体前後方向にほぼ沿
って配置され、この接合面(P)の複数箇所がスポット溶
接(S4)にて溶接結合されており、エクステンション部材
(12)の下端側の屈曲片部(22)、エプロン本体(10)の屈曲
片部(31)及び下端縁部(32)には、係着孔(33)を有するト
ーイングフック(34)がスポット溶接(S6)にて溶接結合さ
れているものであるから、トーイングフック等を介して
エクステンション部材に車体前後方向の引張力等に対し
て強い構造とすることができ、フェンダエプロンからの
エクステンション部材の剥離を防止することができる。
【００２５】また、本発明によれば、エクステンション
部材をフェンダエプロンに予め部組するようにしたの
で、車体前部の組立作業に際しての組付部品点数が少な
くなって組立作業を容易に行うことが可能となる上に、
組立用治具の簡素化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る自動車の前部車体構造を示す分解
斜視図である。
【図２】本発明に係る自動車の前部車体構造の要部を示
す斜視図である。
【図３】図２におけるＡ−Ａ線断面図である。
【図４】従来の自動車車体の前部を示す斜視図である。
【図５】従来の自動車の前部車体構造を示す分解斜視図
である。
【図６】従来の自動車の前部車体構造の要部を示す斜視
図である。
【図７】図６におけるＢ−Ｂ線断面図である。
【符号の説明】
１ エンジンルーム ２ａ，２ｂ ランプサポートパネル ３ａ，３ｂ フェンダエプロン ８ フロントエンドアッセンブリ １０ エプロン本体 １１ エプロンサイドメンバ １１ａ 前端部 １２ エクステンション部材 １４ａ、１４ｂ 開口 ２６ 後端部 ２７ 前端部 ３０ 閉断面形状部 ３４ トーイングフック Ｐ 接合面 Ｓ4 スポット溶接
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−208779（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−63774（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−312279（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−121284（ＪＰ，Ａ) 実開 昭55−27154（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−87184（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−53275（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B62D 25/08 B62D 25/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 車体前部の左右両側に配設されたランプ
    サポートパネル(2a,2b)の開口(14a,14b)に、フェンダエ
    プロン(3a,3b)の一部を構成するエプロンサイドメンバ
    (11)の先端部分(11a)を差し込んで、前記ランプサポー
    トパネル(2a,2b)の前方に突出せしめ、この突出された
    エプロンサイドメンバ(11)の先端部分(11a)にエクステ
    ンション部材(12)を対応配置した状態で前記ランプサポ
    ートパネル(2a,2b)、フェンダエプロン(3a,3b)及びエク
    ステンション部材(12)を溶接結合するようにして成る自
    動車の前部車体構造において、前記エクステンション部
    材(12)は、平面状の基体部(20)と該基体部(20)の上端及
    び下端にそれぞれ屈曲形成された屈曲片部(21,22)とか
    ら構成され、前記フェンダエプロン(3a,3b)に予め部組
    されるものであり、前記上端側の屈曲片部(21)が断面ほ
    ぼコ字状のエプロンサイドメンバ(11)の上壁部(23)にス
    ポット溶接(S2)にて溶接接合され、前記エクステンショ
    ン部材(12)の下端縁部(24)が前記エプロンサイドメンバ
    (11)の下端側の垂下片部(25)にスポット溶接(S3)にて溶
    接結合されており、前記エクステンション部材(12)の後
    端部(26)は、フェンダエプロン(3a,3b)のエプロン本体
    (10)の前端部(27)に接合され、前記後端部(26)と前記前
    端部(27)との接合面(P)が車体前後方向にほぼ沿って配
    置され、この接合面(P)の複数箇所がスポット溶接(S4)
    にて溶接結合されており、エクステンション部材(12)の
    下端側の屈曲片部(22)、エプロン本体(10)の屈曲片部(3
    1)及び下端縁部(32)には、係着孔(33)を有するトーイン
    グフック(34)がスポット溶接(S6)にて溶接結合されてい
    ることを特徴とする自動車の前部車体構造。
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