JP3180109B2 - 揚げ物用油脂組成物 - Google Patents

揚げ物用油脂組成物

Info

Publication number
JP3180109B2
JP3180109B2 JP29228092A JP29228092A JP3180109B2 JP 3180109 B2 JP3180109 B2 JP 3180109B2 JP 29228092 A JP29228092 A JP 29228092A JP 29228092 A JP29228092 A JP 29228092A JP 3180109 B2 JP3180109 B2 JP 3180109B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fried
frying
extract
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29228092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06113742A (ja
Inventor
裕久 太和田
健治 近藤
喜和 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Original Assignee
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Miyoshi Oil and Fat Co Ltd filed Critical Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority to JP29228092A priority Critical patent/JP3180109B2/ja
Publication of JPH06113742A publication Critical patent/JPH06113742A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3180109B2 publication Critical patent/JP3180109B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は揚げ物用油脂組成物に関
するものである。さらに詳しくは、食品を揚げる時に使
用して、素材が本来有する風味を保持したままの揚げ物
を製造することができ、かつ劣化が少なく長時間使用す
ることのできる、揚げ物用油脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、揚げ物用油脂は食品素材を加熱加
工する際の直接的な熱媒として、綿実油、ヒマワリ油、
サフラワー油、コーン油、大豆油、ナタネ油、米油等の
ハイリノールタイプ油、パーム油、オリーブ油、豚脂、
牛脂等のローリノールタイプ油、更にこれらを水素添加
して得られる硬化油等が挙げられ、用途に応じてハイリ
ノールタイプ油、ローリノールタイプ油、エステル交換
油、分別油、硬化油、あるいはこれらを配合したタイプ
等の油脂の中から望ましいタイプが使い分けられてい
る。
【0003】一般的にハイリノールタイプ油は、必須脂
肪酸を多量に含有するため栄養学的に有用である。一
方、揚げ物に用いると、高温に長時間曝される結果、空
気や、素材から蒸散してくる水分との接触が多く、また
加熱による重合物、水分による加水分解物を生成して劣
化する。ローリノールタイプ油はハイリノールタイプ油
と比べて酸化安定性は良好であるが、熱と水分に対する
傾向はハイリノールタイプ油とあまり大きな差はない。
また硬化油は最も酸化安定性と耐熱性に優れているが、
耐加水分解性が悪く、また使い込んでくると一般に水添
臭とか硬化臭と呼ばれる特有の戻り臭がある。
【0004】これらの油脂を単独、もしくは組み合わせ
て用いる従来の揚げ物用油脂は、新しい時はサラッとし
た揚げ物に仕上がるものの、使用中に油脂が劣化し、酸
価やカルボニル価が徐々に上昇する結果、食べた時に非
常に劣化した油脂の味や臭いを感じるさせる揚げ物がで
きるなど長期間にわたって一定の品質の物が得られ難い
と言う欠点がある。
【0005】このような欠点を解決するため、従来の最
も一般的に実施されている手段として、揚げ物用油脂中
に酸化防止剤としてトコフェロールを添加する方法、酸
化防止剤の存在下に数ppmのシリコーンを添加する方
法等があり、また劣化した揚げ物用油脂をフライヤーの
底部より抜き出して再生処理して再使用することで揚げ
物用油脂の寿命を延ばす方法、単に揚げ粕をフィルター
で除去するか、またはその時に劣化した揚げ物用油脂に
特定粒度の酸性(活性)白土やベントナイト、シリカゲ
ル等の吸着剤を添加して60〜200℃で吸着処理し、
多孔質濾過面を通過させる方法(特公昭62−4127
9や同62−43478)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では問題点を十分解決することができない。例えば
揚げ物用油脂中に酸化防止剤を添加する方法では、酸化
防止剤が揚げ物用油脂に対する選択性を有すること、作
用機構の主体は自動酸化防止であり、また単一の酸化防
止剤では酸化防止効果が弱いこと等から、メインの酸化
防止剤と相乗効果を有する他の酸化防止剤の併用が不可
欠である一方、使用する揚げ物用油脂によって効果が異
なることの欠点がある。劣化した揚げ物用油脂を再生処
理して再使用する方法では、単に揚げ粕を除去するだけ
では酸化によって生成する劣化した油脂の重合物や分解
物を除去することができず、また吸着剤を添加する方法
では吸着剤の味が残って揚げたものの風味が低下した
り、油の劣化による生成物を完全に除去できない為に、
これら生成物が劣化を促進する可能性が高く再生方法と
して実用的でない。
【0007】また、従来の揚げ物用油脂では揚種に対す
る濡れが悪いために、フライ中に揚物が本来有する風味
成分や水分の蒸発が起こり、良好な風味の揚げ物が得ら
れなかった。揚種に対する濡れが悪いと、揚種が揚げ物
用油脂に投入された後浮き上がった時、揚げ物用油脂面
から出た部分の表面を揚げ物用油脂で覆うことができな
いので、生地のまま露出する。そして揚げ物用油脂中に
没した部分は加熱されるので、揚種中の風味成分、水分
が蒸発し易くなり、露出した軟らかい生地の表面から噴
出した比較的大きな孔を生じる。さらに表裏を反転して
フライを継続すると、初めのフライ時に生じた孔より劣
化した揚げ物用油脂が吸収される。揚げ上がったもの
は、孔の中に揚げ物用油脂を多量に吸い込むため、油脂
感が強く、表面が軟弱の食感の悪い製品となるととも
に、素材本来の風味の出方が弱いものとなる。素材の風
味を強く出すために多量のフレーバーを用いて揚げ物用
油脂由来の風味をマスキングすると、揚げ上がった製品
の風味がしつこいものとなる。さらに、揚種中の風味成
分や水分の蒸発は揚げ物のボリューム感を低下させ食感
の悪いものとなる。また特にドーナツ等では、揚げた製
品の給油量が多いと、シュガーリングした時、経時的に
砂糖が溶けてナキやシミが発生したり包装紙に油が移行
して見掛けが悪くなり、またフライドチキン、コロッ
ケ、カキアゲ、天ぷら等の惣菜では、経時的に衣の張り
が無くなり、商品相互が接着したり、衣が剥離する等の
問題がある。
【0008】一方、交換時期の近づいた揚げ油等、十分
に使い込んだ揚げ物用油脂では揚種との濡れが向上する
場合が多々ある。加熱された揚げ物用油脂の中に揚種が
投入された時に、加熱された揚げ物用油脂が揚種の表面
を瞬間的に覆い、初めに揚種の表層だけ水分が蒸発した
保護層ができ、その後浮き上がって一部が空気中に出て
も、その表面に加熱された揚げ物用油脂の膜ができ揚げ
物用油脂中に没した部分からの伝熱により、同時に均一
に加熱される。また初期に揚種表面に保護層ができると
揚種内部の水分の蒸発が抑えられ、火通りが良く、早く
揚げることができ、素材の風味を保った揚げ物が得られ
ると共に、表面は歯ごたえの有るクラストを形成し、内
部はソフトなクラムを形成する物性の良い揚げ物が得ら
る。この様な望ましい物性の揚げ物は、従来の未だ揚げ
ていない新しい油脂では得られず、油脂がかなり劣化し
て初めてできるものであるが、クラスト表面に付着ある
いはクラムに吸着された油脂は廃油寸前の劣化した油で
あるために風味の悪い製品となる。
【0009】本発明は、上記の揚げ物用油脂が極端に劣
化した時に、揚種の表面や内面に作用する物性変化に着
目し行ったもので、揚げ物に使用した時、素材の風味を
生かした揚げ物を、使用する初期から長期間に渡って一
定した品質で製造することができ、吸油率が小さく、揚
げ物表面で油脂のベタ付きが少なく、かつ揚げた後も揚
げたての風味を長時間維持する揚げ物を得ることのでき
る揚げ物用油脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意研究を行った結果、特定な食用油脂、食
用乳化剤及び香辛料抽出物からなる揚げ物用油脂組成物
を用いると、揚種が接触した瞬間に揚げ物用油脂組成物
が揚種の表面を隈無く覆って、揚種表面の水分が部分的
に蒸発し、保護層ができる迄の間に、揚げ物用油脂組成
物中の食用乳化剤及び食用油脂が揚種表面のデンプン、
蛋白質等と複合体を形成し加熱処理されて、強固で緻密
な組織のクラスト表面を形成するために揚種が本来有す
る風味や水分の蒸発が少なく、同時に揚げ物用油脂組成
物の吸収が少なく、内面の圧力が上昇し易くなり、火通
りが早くなり、フライ時間が短縮される。またフライヤ
ーから引き上げた揚げ物のクラスト表面を隈無く覆って
いる揚げ物用油脂組成物中には、食用乳化剤が存在する
ために、食用油脂由来の微細結晶の析出が早く、結晶の
転移が殆ど起きないため、表面の油脂のベタ付きが少な
い。更に、本発明に使用している食添乳化剤と香辛料抽
出物との組合せでは、酸化防止の相乗効果を著しく発揮
するために、従来の揚げ物用油脂では考えられない程
の、熱、空気、紫外線、水分等に起因する酸化を防止で
き、新しい揚げ物用油脂の風味を維持できる。香辛料は
古来から肉料理に於ける副材料の一つであった。本発明
では、単純に香辛風味から脱皮して、油脂本来の劣化臭
や水添臭のマスキングを鋭意研究した結果、従来の香辛
料抽出物に特定の食用乳化剤を併用することで、香辛料
抽出物特有の風味が少なく、かつ油脂の劣化臭や水添臭
等のマスキングを完成することができた。これらの総合
的な効果より吸油量が少なく油脂感のないサッパリした
味の揚げ物を挙げ開始から廃油になるまで、均質な物性
を有する揚げ物を製造することができ、揚種の本来有す
る風味や水分蒸発が少なく味が良好で、揚種によっては
ボリュームの高い揚げ物を得ることができ、また酸化安
定性が優れ特異臭のない揚げ物用油脂組成物を得ること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、A:食用油脂、B:香辛
料抽出物又はおよび該抽出物の加水分解生成物(以下
「香辛料抽出物類」と称する)、C:脂肪酸モノグリセ
リド、D:脂肪酸ジグリセリド及びE:有機酸モノグリ
セリドからなり、A100重量部とB0.005〜0.
5重量部、C0.01〜5重量部、D0.01〜5重量
部、E0.005〜2重量部の比で含有する揚げ物用油
脂組成物であり、今一つの要旨は香辛料抽出物としてロ
ーズマリー抽出物を用いる揚げ物用油脂組成物である。
【0012】本発明において用いる食用油脂としては、
綿実油、ヒマワリ油、サフラワー油コーン油、大豆油、
ナタネ油、米油、パーム油、オリーブ油、豚脂、牛脂、
あるいはこれらを水素添加した微水添油、硬化油、エス
テル交換油、これらから得られる分別油等が挙げられ、
これらの食用油脂から選ばれた少なくとも1種を用いる
ことができる。
【0013】本発明において用いる香辛料抽出物類とし
ては、アオイ花抽出物、アルペルギルステレウス抽出
物、カンゾウ油性抽出物、グローブ抽出物、グァヤク
脂、生コーヒー抽出物、米糠油抽出物、ゴマ油抽出物、
食用カンナ抽出物、セージ抽出物、セリ抽出物、テンペ
抽出物、ナタネ油抽出物、ピメンタ抽出物、ブルーベリ
ー葉抽出物、プロポリス抽出物、ペッパー抽出物、ユー
カリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、ルチン抽出物、エン
ジュ抽出物、蕎麦全葉抽出物、小豆全草抽出物、茶葉抽
出物、ローズマリー抽出物及び、これら抽出物を濃縮精
製又は加水分解等の変性を行って得られる、ケルセチ
ン、エラグ酸、γ−オリザノール、カテキン、酵素処理
ルチン、米糠酵素分解物、ゴマ油不ケン化物、セザモリ
ン、セザモール、糖−アミノ酸混合物、トコトリエノー
ル、ミックストコフェロール、d−α−トコフェロー
ル、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール
d−σ−トコフェロール、ノルジヒドログアヤクレック
酸、ペスペレン、没食子酸プロピルエステル、メライカ
精油、モリン、ルチン分解物、テトラブチルハイドロキ
ノン、プロトカテキュ酸エチル、プロトカテキン酸エス
テル、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、油
柑、フラボン系化合物、メラノイド等、あるいはこれら
の水素添加物等が挙げられ、これらより選ばれた1種ま
たは2種以上を用いることができる。これら抽出物及び
その加工生成物はそれらに共通する性状としてフェノー
ル構造を有する化合物を含有している。これら、香辛料
抽出物類のうち、ローズマリー抽出物またはローズマリ
ー抽出物とミックストコフェロールの組合せが、脂肪酸
モノ、ジグリセリド、有機酸モノグリセリドの存在する
中で特に優れ好ましい。
【0014】本発明において用いる脂肪酸モノグリセリ
ドとしては、炭素数12〜22の脂肪酸、例えば、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
オレイン酸、リノール酸、エルシン酸、およびこれらの
混合脂肪酸、動植物油脂から得られる脂肪酸、及びこれ
らを水素添加した微水添脂肪酸、硬化脂肪酸等の脂肪酸
のモノグリセリド及び上記脂肪酸から構成される天然由
来のトリグリセリドまたは加工品とグリセリンとからエ
ステル交換で得られるモノグリセリドが挙げられ、また
本発明において用いる脂肪酸ジグリセリドとしては、上
記脂肪酸のジグリセリドが挙げられる。これらの脂肪酸
モノグリセリド及び脂肪酸ジグリセリドは蒸留して各々
単体としたものを併用しても、またエステル交換反応後
蒸留を行わない脂肪酸モノグリセリドと脂肪酸ジグリセ
リドとの混合物のままでであっても良い。
【0015】本発明において用いる有機酸モノグリセリ
ドとしては、酢酸、乳酸、コハク酸、クエン酸等の有機
酸と、上記脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸モノグリセリ
ドと脂肪酸ジグリセリドとの混合物等とのエステルが挙
げられ、例えば酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリ
ド、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド
等が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種を用
いることができる。
【0016】本発明の揚げ物用油脂組成物は、前記食用
油脂、香辛料抽出物類、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸
ジグリセリド及び有機酸モノグリセリドとを、食用油脂
100重量部に香辛料抽出物類0.005〜0.5重量
部、脂肪酸モノグリセリド0.01〜5重量部、脂肪酸
ジグリセリド0.01〜5重量部及び有機酸モノグリセ
リド0.005〜2重量部を加えて用いることが好まし
く、さらに食用油脂100重量部に、香辛料抽出物類
0.05〜0.5、脂肪酸モノグリセリド0.1〜4.
0、脂肪酸ジグリセリド0.1〜4.0、有機酸モノグ
リセリド0.01〜1.5を加えて用いることが好まし
い。食用油脂100重量部に対し、香辛料抽出物類が
0.005重量部未満では脂肪酸モノグリセリド、脂肪
酸ジグリセリド、有機酸モノグリセリドの存在下で酸化
防止効果が小さく、油脂または加工油脂由来の特有の特
に加熱劣化が進んだ時の特有の臭気や戻り臭をマスキン
グできない。脂肪酸モノグリセリドが0.01重量部未
満では香辛料抽出物類、脂肪酸ジグリセリド、有機酸モ
ノグリセリドの存在下で酸化防止効果が小さく、さらに
揚げ物表面の蛋白質やデンプンとの複合体に由来する揚
げ物表面の物理的な強度が十分に発揮できない。脂肪酸
ジグリセリドが0.001重量部未満では脂肪酸モノグ
リセリドと同様に、酸化防止における相乗効果や揚げ物
表面の物理的強度等が十分に発揮できない。有機酸モノ
グリセリドが0.005重量部未満では香辛料抽出物類
の場合と同様に、酸化防止における相乗効果や油脂由来
のマスキング効果、揚げ物表面の物理的な強度等が十分
に発揮できない。また食用油脂100重量部に対し、香
辛料抽出物類が0.5重量部をこえると、初期の酸化防
止効果が優れるが、長期の効果を得るために、脂肪酸モ
ノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、有機酸モノグリセ
リドが範囲内であっても、長期にわたる酸化防止効果を
発揮できない。また油脂、加工油脂由来の特に加熱劣化
時の特有な臭気や戻り臭の防止を香辛料抽出物類との相
乗効果で抑制できない。脂肪酸モノグリセリドが5重量
部を越えると、フライに使用した時に、加熱劣化が激し
く、これに伴ってサクサが小さく、胃もたれ感の強い風
味の悪い揚げ物しか得られない。脂肪酸ジグリセリドが
5重量部を越えるとフライに使用した時に加熱劣化が激
しく、これに伴って胃もたれ感、油脂感を強く感じる揚
げ物が得られ、好ましくない。さらに有機酸モノグリセ
リドが2重量部をこえると、揚げ物本来の風味やクラス
ト表面の仕上がりは良くなる傾向にある反面、酸化防止
に於ける相乗効果が小さいために、フライ使用時の劣化
に伴う油脂感、胃もたれ感の強い揚げ物が得られ易くな
り好ましくない。
【0017】本発明の揚げ物用油脂組成物は例えば、食
用油脂に香辛料抽出物類、脂肪酸モノグリセリド、脂肪
酸ジグリセリド及び有機酸モノグリセリドを所定量配合
し混合することにより製造することができる。混合に用
いる装置としては通常の撹拌装置、コンビネーター、ボ
テーター等が揚げらる。コンビネーター、ボテーター等
を用いる場合、各組成を混合した後、一旦溶解し、さら
に急冷混合することでより均一な組成物とすることがで
きるので好ましい。
【0018】本発明の揚げ物用油脂組成物は、そのまま
でも、あるいは必要に応じてこれにショ糖脂肪酸エステ
ル、ショ糖イソ酪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン
酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステ
ル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナ
トリウム、レシチン、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノステアレート、ポリオキシエチレンモノグリセリド等
の食用乳化剤、クエン酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、
食塩、天然フレーバー、合成フレーバー、イノシン酸、
動植物抽出エキス、シーズニングオイル等の呈味剤、ナ
タネ赤水、アスコルビン酸脂肪酸エステル、メラノイジ
ン、アミノ酸、ペプチドの酸化安定剤等を添加し、併用
して揚げ物用油に使用することができる。
【0019】本発明の揚げ物用油脂組成物は、ポテトチ
ップ、肉類、ドーナッツ、インスタントラーメン、コロ
ッケ、フライドポテト、豆腐、天ぷら、かまぼこ、あら
れ、かりんとう等を揚げるのに用いることが出来るが、
肉類、魚貝類、野菜類の炒め物用に、又炒飯、スパゲッ
ティーやお好み焼き等の炒め物、焼き物等の調理にも用
いることができ、油脂の劣化も少なく、調理した素材の
風味を損なうことが少ない。
【0020】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されない。
【0021】
【実施例】
実施例1〜6、比較例1〜8 パーム油100重量部にローズマリー抽出物(アサマ化
成株式会社製)、ラードとグリセリンとよりエステル交
換法で製造した後、溶剤分別、分子蒸留してモノとジと
に分別して得たラード脂肪酸モノグリセリド、ラード脂
肪酸ジグリセリド及びオレイン酸モノグリセリドのコハ
ク酸エステル(サンソフトNo681C、太陽化学株式
会社製)を所定量(表1に示す)を配合し、60℃に加
熱し、ボテーターに通して15℃に急冷して、揚げ物用
油脂組成物(実施例1〜6、比較例1〜8)を調製し、
この油脂組成物を用いて、イーストドーナツ生地を揚げ
てイーストドーナツを焼成した。新しい油脂組成物(以
下「新油」という)3Kgを加熱し、油温が180℃に
昇温したら、イーストドーナツ生地25ケ(1ケ当り4
5g)を揚げ、減量した分だけ新油を補充する。その2
4時間後、同様にドーナツ生地を揚げ、又新油を減量分
だけ補充する。その後この操作を24時間毎に繰り返
し、計8回ドーナツを揚げる。8回目と同時に平行し
て、別に新油を用いて上記と同様にドーナツ生地を揚げ
る。揚げていない間は油温を180±5℃に保持する。
得られた新油で揚げたイーストドーナツ及び8回目に揚
げたイーストドーナツの2種を10人のパネラーに試食
せしめ、1時間後の胃もたれ感を下記判定基準により判
定し、その結果を表1に示す。
【0022】胃もたれ感の判定基準 ◎:胃もたれ感がある人 0〜1人 ○: 〃 2〜4人 △: 〃 5〜6人 ×: 〃 7〜10人
【0023】
【表1】
【0024】上記試験に用いたイーストドーナツ生地は
次のようにして調製した。イーストドーナツミックス#
201(日清ディー・シー・エー・食品株式会社製)1
00重量部に水46部、イースト5部を加え、混合後3
0分間醗酵し、ガス抜きベンチ、シーティング後、型抜
き器(カッターサイズ78mm)を用いて整型し、相対
湿度60%中、35分間ホイロしてイーストドーナツ生
地とした。
【0025】実施例7〜12、比較例9〜16 綿実硬化油(mp34℃)100重量部に香辛料抽出物
類(ローズマリー抽出物と食用植物油の80:20混合
物)、表1で使用したモノ、ジグリセリドと同様の調製
法で得たサフラワー油脂肪酸モノグリセリド、サフラワ
ー油脂肪酸ジグリセリド及びステアリン酸モノグリセリ
ドの乳酸エステル(サンソフトNo661AS、太陽化
学株式会社製)を所定量配合し実施例1〜6と同様に製
造して揚げ物用油脂組成物(実施例7〜12、比較例9
〜16)を調製し、この油脂組成物を用いて、予め調製
したケーキドーナツ生地を実施例1〜6と同様に揚げて
ケーキドーナツを焼成した。新油を用いて揚げたケーキ
ドーナツと8回目に揚げたケーキドーナツの2種を10
人のパネラーに試食せしめ、食べたときの風味とサクサ
の有無を下記の判定基準により判定し、その結果を表2
に示す。
【0026】 風味の判定基準 ◎:食べてすぐ甘さを感じ、油脂の風味を感じない人 8〜10人 ○: 〃 6〜7人 △: 〃 4〜5人 ×: 〃 0〜3人
【0027】サクサの判定基準 ◎:サクサがある 8〜10人 ○: 〃 6〜7人 △: 〃 4〜5人 ×: 〃 0〜3人
【0028】
【表2】
【0029】上記試験に用いたケーキドーナツ生地は次
のようにして調製した。ケーキドーナツミックス#10
2(日清ディー・シー・エー・食品株式会社製)100
重量部に水46部、卵5部を加え、混合後15分間ねか
したものを生地とし、これをハンドカッター(タケオ工
業株式会社製、直径40mm)に充填し、油中に落とし
フライした。
【0030】実施例13〜18、比較例17〜24 硬化コーン油(mp34℃)100重量部に香辛料抽出
物類(ローズマリー抽出物と食用植物油の80:20混
合物)、極度硬化牛脂脂肪酸モノグリセリド、極度硬化
牛脂脂肪酸ジグリセリド及びオレイン酸モノグリセリド
のエステル(ポエムK−37、理研ビタミン株式会社
製)を所定量配合した揚げ物用油脂組成物(実施例13
〜18、比較例17〜24)を調製し、この油脂組成物
を用いて、実施例7〜12と同様に調製したケーキドー
ナツ生地を実施例1〜6と同様に揚げてケーキドーナツ
を焼成した。新油及び8回揚げた後の油脂組成物につい
て発煙の有無を観察すると共に、酸価(AV)、カルボ
ニル価(COV)を測定し、その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の揚げ物用
油脂組成物は、食用油脂、食用乳化剤及び香辛料抽出物
類からなり、従来の揚げ物用油脂と比べて、揚げ物に使
用した時、揚げ物の素材が接触した瞬間に素材の表面を
隈無く覆い、素材中の水分が部分的に突沸した後出来る
孔を少なくすることができ、吸油量が少なく油脂感のな
いサッパリした味の揚げ物を製造することができ、表面
の油脂量も少なく、砂糖等をトッピングしてもナキやシ
ミなどの発生がなく、また素材の有する風味や水分の蒸
発が少なく、風味が良好でボリューム感があり、外相で
サクサを感じ、ソフトなクラムの揚げ物が得られると共
に、水分の蒸発に伴う素材内部の温度低下が少ないの
で、火通りが良く短時間に揚げることができる。さらに
本発明の揚げ物用油脂組成物は、酸化安定性が優れてい
るので特異臭の発生がなく、初めて使用した時から長時
間に渡って、素材の風味を生かした一定した品質の揚げ
物を製造することができ、揚げたものは長時間に渡って
その風味を維持することができる等の効果を発揮する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A:食用油脂、B:香辛料抽出物、又は
    および該抽出物の加水分解生成物、C:脂肪酸モノグリ
    セリド、D:脂肪酸ジグリセリド及びE:有機酸モノグ
    リセリドからなり、A100重量部とB0.005〜
    0.5重量部、C0.01〜5重量部、D0.01〜5
    重量部、E0.005〜2重量部の比で含有することを
    特徴とする揚げ物用油脂組成物。
  2. 【請求項2】 香辛料抽出物としてローズマリー抽出物
    を用いることを特徴とする請求項1の揚げ物用油脂組成
    物。
JP29228092A 1992-10-06 1992-10-06 揚げ物用油脂組成物 Expired - Lifetime JP3180109B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29228092A JP3180109B2 (ja) 1992-10-06 1992-10-06 揚げ物用油脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29228092A JP3180109B2 (ja) 1992-10-06 1992-10-06 揚げ物用油脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06113742A JPH06113742A (ja) 1994-04-26
JP3180109B2 true JP3180109B2 (ja) 2001-06-25

Family

ID=17779713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29228092A Expired - Lifetime JP3180109B2 (ja) 1992-10-06 1992-10-06 揚げ物用油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3180109B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101587496B1 (ko) * 2014-05-28 2016-01-22 주식회사 케이디파워 Led 조명장치
KR101587497B1 (ko) * 2014-07-07 2016-01-22 주식회사 케이디파워 Led 조명장치
KR101719531B1 (ko) 2015-03-23 2017-03-24 주식회사 오이알 스마트 led 조명장치
KR102459490B1 (ko) * 2017-10-17 2022-10-27 쑤저우 레킨 세미컨덕터 컴퍼니 리미티드 광원 장치

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3372735B2 (ja) * 1995-12-12 2003-02-04 花王株式会社 揚げ菓子類の製造方法
JP3553251B2 (ja) * 1995-12-16 2004-08-11 昭和産業株式会社 揚げ物用油脂組成物
JP3519219B2 (ja) * 1996-10-11 2004-04-12 日清オイリオ株式会社 炒め物用調味料
JP4046437B2 (ja) * 1999-04-09 2008-02-13 日清オイリオグループ株式会社 油脂組成物
JP2001218558A (ja) * 2000-02-10 2001-08-14 Fuji Oil Co Ltd 油脂組成物
JP6253219B2 (ja) * 2011-03-01 2017-12-27 太陽化学株式会社 油ちょう時間短縮剤
JP6159537B2 (ja) * 2012-03-29 2017-07-05 日清オイリオグループ株式会社 食用油脂組成物及び該食用油脂組成物含有食品
JP5855634B2 (ja) * 2013-12-24 2016-02-09 日清オイリオグループ株式会社 加熱調理用油脂組成物及び該加熱調理用油脂組成物の製造方法
JP6632797B2 (ja) * 2014-11-19 2020-01-22 日清オイリオグループ株式会社 加熱調理用油脂組成物、該加熱調理用油脂組成物の製造方法及び加熱調理後の調理対象物に残存する油分を低減する方法
KR101843423B1 (ko) * 2015-07-27 2018-05-14 씨제이제일제당(주) 유지의 항산화용 조성물, 이의 제조방법, 이를 함유하는 식용유 및 상기 식용유의 제조 방법
JP6315828B2 (ja) * 2015-11-02 2018-04-25 日清オイリオグループ株式会社 加熱調理用油脂組成物及び該加熱調理用油脂組成物の製造方法
JP6682143B2 (ja) * 2016-09-23 2020-04-15 日清オイリオグループ株式会社 食感改良油脂組成物とその製造方法、及び加熱調理用品の食感を改良させる方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101587496B1 (ko) * 2014-05-28 2016-01-22 주식회사 케이디파워 Led 조명장치
KR101587497B1 (ko) * 2014-07-07 2016-01-22 주식회사 케이디파워 Led 조명장치
KR101719531B1 (ko) 2015-03-23 2017-03-24 주식회사 오이알 스마트 led 조명장치
KR102459490B1 (ko) * 2017-10-17 2022-10-27 쑤저우 레킨 세미컨덕터 컴퍼니 리미티드 광원 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06113742A (ja) 1994-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3180109B2 (ja) 揚げ物用油脂組成物
JP4181781B2 (ja) 油脂組成物
JP3619002B2 (ja) 揚げ物及びショートニング
JP4905999B2 (ja) 食感改良油脂組成物
RU2333675C2 (ru) Добавка для улучшения основного вкуса, содержащая высоконенасыщенную жирную кислоту с длинной цепью и/или ее сложный эфир, и содержащая ее композиция на основе растительного жира и масла
RU2347385C2 (ru) Способ применения усилителя основного вкуса, содержащего длинноцепочечную высоконенасыщенную жирную кислоту и/или ее сложный эфир
RU2423878C2 (ru) Улучшитель основного вкуса, содержащий высшую длинноцепочечную ненасыщенную жирную кислоту и/или ее эфир
JP2006246857A (ja) 油脂組成物、並びに食品
KR100880444B1 (ko) 튀김음식물의 제조방법
KR20220017224A (ko) 연어 김밥 및 그 제조방법
CN101711590A (zh) 一种金椒鱼锅配方及其加工方法
JPS6356790B2 (ja)
JP2000333604A (ja) 食用油脂組成物およびその利用
WO2019003930A1 (ja) 油脂組成物、該油脂組成物を用いた食品の製造方法及び食品の風味改善方法
JP4657230B2 (ja) 麺皮用油脂組成物
JPH04187048A (ja) 食用油脂組成物
JP7218047B2 (ja) 食感改良油脂組成物とその製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の食感を改良する方法
JP4098933B2 (ja) バッター用油脂組成物並びにこれを用いて製造されるバッター及び油ちょう食品
KR101687010B1 (ko) 참치 간장 구이 및 이의 제조방법
KR0139284B1 (ko) 풍미유(風味油) 및 그 제조방법
JP6910713B2 (ja) から揚げ様食品、及びから揚げ様食品の製造方法
JP6910712B2 (ja) から揚げ様食品製造用油脂組成物及びその製造方法。
JP6887051B1 (ja) ガーリックソース
JP3592902B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物
JP7000071B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090420

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090420

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100420

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110420

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110420

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120420

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130420

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130420

Year of fee payment: 12