JP6910713B2 - から揚げ様食品、及びから揚げ様食品の製造方法 - Google Patents
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Description
一般にから揚げは、魚、肉等に、片栗粉、小麦粉、片栗粉や小麦粉ベースのから揚げ粉を付着させ、180℃前後の油中で揚げる操作を行うので、手間・時間がかかり、また、油に十分浸るよう調理するので、調理後に大量の高温の油を排油処理する必要があった。
そこで、特許文献1には、フライをせずに、オーブン等の焼き調理を行うから揚げ粉が提案されている。しかし、から揚げのようなフライ調理品は、油に起因するコク等の風味により、おいしさを感じるため、特許文献1のように、から揚げ粉に固形脂を最大30%含むとしても、から揚げとしての十分な風味を得ることができなかった。
[2] 前記油脂組成物が、風味成分を含有するものである、[1]のから揚げ様食品の製造方法。
[3] 前記風味成分が、焙煎油及び/又はニンニクエキスから選ばれる成分を含有するものである、[1] 又は[2]のから揚げ様食品の製造方法。
[4] 前記穀粉が、片栗粉、小麦粉及びから揚げ粉からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、[1] 〜[3]のいずれかのから揚げ様食品の製造方法。
[5] 前記肉片が、鶏肉である、[1]〜[4]のいずれかのから揚げ様食品の製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかの製造方法で製造されたから揚げ様食品。
以下に、本発明のから揚げ様食品とその製造方法を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)〜B(数値)は、A以上B以下を意味する。
本発明で用いる肉片は、一般的にから揚げとして用いられる肉片を用いることができる。肉片としては、鶏肉、魚肉、豚肉、牛肉等を用いることができ、より好ましくは鶏肉又は魚肉が好ましく、最も好ましくは鶏肉である。肉片の大きさは、特に限定するものではないが、適宜、数〜数十センチの大きさのものを用いることができ、3〜15cmの大きさに切断したものが好ましく、2〜6cmの大きさがより好ましい。なお、この範囲の大きさの小魚であれば、切断せずにそのまま用いることもできる。
肉片は、特に調味料を添加せずに用いることができるが、適宜、水溶性の調味料を含浸させて用いることが好ましい。前記調味料としては、しょう油、塩、味噌、アミノ酸等が挙げられる。調味料の添加量は特に限定するものではないが、肉片100質量%に対して、0.1〜10質量%用いてもよい。
本発明で用いる穀粉は、でん粉、小麦粉、から揚げ粉などを用いることができる。でん粉は、片栗粉が好ましく、より好ましくは馬鈴薯でん粉のものである。から揚げ粉は、市販のものを用いることができ、一例を挙げれば、小麦粉及び/又は澱粉を主成分としたものに、デキストリン、香辛料、エキス粉末等の風味成分、砂糖、ブドウ糖、食塩、蛋白加水分解物、卵白粉、卵黄粉、乳化剤、粉末油脂、色素等を含むものを用いることができる。
本発明では、肉片は穀粉でまぶされるが、肉片に穀粉をふるなどして付着してまぶすことができる。この時、穀粉は肉片の表面の水分を利用して付着するが、肉片によっては肉片外部表面に、水や液卵などを付着させ、さらに穀粉をふるなどして付着させることができる。
本発明で用いる油脂組成物は、モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル及び平均エステル化率が15〜60質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上の乳化剤を油脂に含有させたものである。モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、平均エステル化率が15〜60質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルを1種以上用いることで、焦付きを抑えつつ、穀粉等に適度に焼き色が付与される。油脂への溶解性の点から、前記乳化剤を構成する脂肪酸は不飽和脂肪酸が多い方が好ましく、例えば、構成脂肪酸中、60質量%以上が不飽和脂肪酸である乳化剤が好ましい。不飽和脂肪酸の中で、オレイン酸、エルカ酸が油脂への溶解性、酸化安定性の点から最も好ましい。また、モノグリセリドは、ジグリセリドと質量比モノグリセリド:ジグリセリド1:2〜9:1で併用することが好ましく、ジグリセリドを含む市販品を用いることができる。ショ糖脂肪酸エステルは、HLB1〜3のものが好ましい。
これらの風味成分由来の風味は、から揚げ様食品において、油脂組成物の肉片に対する使用量によって変動するため、風味成分の配合量は限定するものではない。例を挙げれば、焙煎油やガーリックオイルのように風味油の場合は、油脂組成物中に1〜80質量%、好ましくは5〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%含有することができる。また、ガーリック香辛料などの高濃度の抽出物などであれば、油脂組成物中に0.01〜2質量%、好ましくは0.01〜0.8質量%含有することができる。また、風味油と抽出物を併用してもよい。
油脂組成物において、前述の乳化剤と風味成分と油脂の合計量が油脂組成物の95質量%になることが好ましく、また、前記合計量が油脂組成物の99質量%以上になることがより好ましい。
本発明では、加熱容器中で、穀粉をまぶされた肉片が油脂組成物とともに加熱される。加熱容器は、特に限定するものではないが、本発明では、少量の特定の油脂組成物を用いるだけでよいため、通常の炒め調理等に使われるフライパン、鉄板、鍋等を用いることができる。油脂組成物は、穀粉をまぶされた肉片を加熱容器に投入する前後、あるいは投入と同時に添加することができるが、穀粉をまぶされた肉片の投入前に加熱容器に油脂組成物を投入あるいは塗布することが、から揚げ様食品の焦付きを抑える点で好ましい。
本発明のから揚げ様食品は、前述のから揚げ様食品の製造方法に基づき製造されたものである。
なお、本発明のから揚げ様食品は、通常のから揚げと以下の点で異なると考えられる。本発明のから揚げ様食品は肉片の表面近辺しか油脂組成物が存在しないと考えられるが、通常のから揚げは、フライ油中で加熱調理するので、肉片の内部まで油脂組成物が浸透していると考えられる。しかし、どの程度浸透するかは、肉片の状態によるので、から揚げ様食品を物性等で特定することができない。以上の点から、本発明において、いわゆるプロダクトバイプロセスの形式でから揚げ様食品に係る発明を特定している。
表1、2の配合で混合し、油脂組成物(油脂1〜9)を得た。
※焙煎ごま油(日清オイリオグループ株式会社製)
※ガーリックオイル(長谷川香料株式会社製)
※ガーリック香辛料抽出物(長谷川香料株式会社製)
※モノグリセリド混合物(脂肪酸(脂肪酸中のオレイン酸量 78質量%)とグリセリンの反応混合物:モノグリセリド 約60質量%、ジグリセリド 30質量%、グリセリン 約10質量%)
※ショ糖エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「リョートーシュガーエステルER−290」:ショ糖エルカ酸エステル HLB約2)
※ソルビタンエステル(太陽化学株式会社製「サンソフトNo.81S」:モノオレイン酸ソルビタン)
※焙煎ごま油(日清オイリオグループ株式会社製)
※ガーリックオイル(長谷川香料株式会社製)
※ガーリック香辛料抽出物(長谷川香料株式会社製)
※モノグリセリド混合物(脂肪酸(脂肪酸中のオレイン酸量 78質量%)とグリセリンの反応混合物:モノグリセリド 約60質量%、ジグリセリド 30質量%、グリセリン 約10質量%)※ショ糖エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「リョートーシュガーエステルER−290」:ショ糖エルカ酸エステル HLB約2)
※ソルビタンエステル(太陽化学株式会社製「サンソフトNo.81S」:モノオレイン酸ソルビタン)
鶏もも肉を20〜30g/個になるように切断し、肉片とした。10片の肉片(合計240〜260g)と、肉片100質量部に対し7.5質量部のしょう油をビニール袋に入れて、30秒間もみ、さらに2.5分間放置して、肉片にしょう油をなじませた。さらに、肉片に、肉片100質量部に対して16質量部の片栗粉(馬鈴薯でん粉)をまぶした。14gのキャノーラ油又は油脂1〜8をフライパンに入れて伸ばし、片栗粉をまぶした肉片を入れた。フライパンを加熱し、1.5分後に肉片を裏返し、その後は1分おきに裏返し、9分間加熱した(ガスレンジ中火:フライパンの表面温度:加熱4分後 201±1℃、9分後 231±1℃)。
加熱調理の後処理は、フライパンの少量の油をふき取り、洗浄するのみであった。
(焦付き)
から揚げ様食品10片の、焦げた面の数をカウントし、表3に示した。
(外観)
から揚げ様食品で用いた片栗粉をまぶした肉片を、キャノーラ油800g(180℃)で4分揚げたから揚げを比較対象として、から揚げ様食品と外観を比較した。
5名のパネラーが調理品の評価を行い、評価の平均を表3に示した。
3点:比較対象のから揚げと同等の外観
2点:比較対象のから揚げに近い外観
1点:比較対象のから揚げよる劣る外観。
(風味)
から揚げ様食品で用いた片栗粉をまぶした肉片を、キャノーラ油800g(180℃)で4分揚げたから揚げを比較対象として、から揚げ様食品と風味を比較した。
5名のパネラーが調理品の評価を行い、評価の平均を表3に示した。
3点:比較対象のから揚げより良好な風味
2点:比較対象のから揚げと遜色ない風味
1点:比較対象のから揚げより劣る風味
Claims (6)
- 肉片を、穀粉でまぶした後に、乳化させずに油脂組成物とともに加熱する、から揚げ様食品の製造方法であって、
前記油脂組成物が、着色料を含まず、モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル及び平均エステル化率が15〜60質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上の乳化剤を前記油脂組成物中に0.2〜10質量%含有し、かつ、
前記加熱時の前記油脂組成物の使用量が、肉片に対して2〜25質量%であることを特徴とする、から揚げ様食品の製造方法。 - 前記油脂組成物が、風味成分を含有するものである、請求項1記載のから揚げ様食品の製造方法。
- 前記風味成分が、焙煎油及び/又はニンニクエキスから選ばれる成分を含有するものである、請求項1又は2に記載のから揚げ様食品の製造方法。
- 前記穀粉が、でん粉、小麦粉からなる群から選ばれる1種以上である、及び/又はから揚げ粉の成分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のから揚げ様食品の製造方法。
- 前記でん穀粉が、片栗粉である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のから揚げ様食品の製造方法。
- 前記肉片が、鶏肉である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のから揚げ様食品の製造方法。
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