JP5685338B1 - 炒め加工米飯類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャーハン等の炒め加工米飯類製造時の炒め工程の作業性向上や外観と喫食時の食感に優れた炒め加工米飯類を得るための製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、炒め加工米飯類の製造方法であって、レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、を含む、前記製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、炒め加工米飯類の製造方法に関する。
チャーハンは、炊飯した米飯と具材や調味料とともにフライパン等で加熱することで製造される炒め加工米飯類のひとつである。中華料理店等の専門店のチャーハンは、加熱時に米飯の水分を飛ばすことで、パラっとした食感とともに均一な味付けがなされている。一方、家庭等の場合、火力不十分等のため、米飯粒同士が結着し、充分な食感や均一な味付けがなされていないという問題があった。
また、近年、コンビニエンスストア等では、チャーハン等の炒め加工米飯類が販売されるようになった。しかしながら、チャーハン等を大量に一度で調理製造するため、家庭等の場合と同様の問題に加え、さらに、炒め調理装置の焦げ付きが作業性の点で大きな問題となっている。
このような問題を解決するために、特許文献1(特開2011−50301)には、炒飯用米飯を製造するにあたり、米飯の炊飯工程に、HLB値が3.0以上8.0未満であり、かつ1.0質量%を超え18.0質量%以下の量のポリグリセリン脂肪酸エステル、及び2.0〜15.0質量%の量のレシチンを含む油脂組成物を添加することが開示されている。しかしながら、米飯の炊飯時に添加するため、充分な効果が得られず、また、食感も十分ではなかった。
また、特許文献2(特開2003−92987)には、米飯を炊飯する際に用いる炊飯油として、レシチンやポリグリセリン脂肪酸エステルのような乳化剤と風味油脂とを添加した調理用油脂組成物が開示されている。しかしながら、米飯の炊飯時に添加するため、炊飯後の米飯に付与されるほぐれ性が悪化する傾向にあるため、炒め工程時における米飯の作業性を充分に向上させることができず、改善の余地があった。
また、特許文献3(特開平8−89186)には、油脂中にレシチン、グリセリン脂肪酸エステル及び又はポリグリセリン脂肪酸エステル、動植物性ワックスを、各々0.1〜8重量%、0.1〜5重量%、0.1〜5重量%含有することを特徴とする調理用油脂が開示されている。実施例では、米飯に散布して炒めた時の評価をおこなっている。しかしながら、当該発明は、所定量の動物性ワックスを含有することが必須であり(段落0010)、実施例を参酌すると、レシチンとポリグリセリン脂肪酸エステルのみでは、充分な効果が発揮できないことが記載されている(比較例7)。さらに、本願実施例で示したように、前記調理用油脂は、特に、外観と食感の点で充分でなかった。
特開2011−50301号公報 特開2003−92987号公報 特開平8−89186号公報
このように、従来のチャーハン等の製造方法では、炒め時の作業性の点で十分ではなく、さらに、得られたチャーハン等の外観や喫食時の食感の点でも十分ではなかった。そこで、本発明では、チャーハン等の炒め加工米飯類製造時の炒め工程の作業性向上や外観と喫食時の食感に優れた炒め加工米飯類を得るための製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、炒め加工米飯類の製造方法であって、
レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
を含む、前記製造方法により、炒め加工米飯類製造時の炒め工程の作業性が向上するとともに、外観と喫食時の食感に優れた炒め加工米飯類を得ることができることを見出した。
本発明の製造方法によれば、炒め加工米飯類製造時の炒め工程の作業性が向上するとともに、外観と喫食時の食感に優れた炒め加工米飯類を得ることができる。
本発明は、炒め加工米飯類の製造方法であって、
レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
を含む、前記製造方法である。
前記乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸がオレイン酸であることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度が2以上8以下であることが好ましい。
前記レシチンのホスファチジン酸含量が3質量%以上であることが好ましい。
前記油脂組成物を前記米飯100質量部に対し、0.2質量部以上5質量部以下添加することが好ましい。
前記加熱する温度が120℃以上280℃以下であることが好ましい。
また、本発明は、
レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
を含む、製造方法で得られた炒め加工米飯類である。
本発明の炒め加工米飯類とは、炊飯した米飯をフライパン等で加熱調理した米飯類を意味する。例えば、チャーハン、焼き飯、ドライカレー、チキンを米飯とともに炒めたチキンライス、米飯を炒める際にガーリックで風味をつけたガーリックライス等である。米飯を炒めることにより加熱し、少なくとも加熱前、加熱中、または加熱後に調味し、調理する。好ましくは、米飯以外の他の具材を含むものであり、例えば、チャーハン、焼き飯、ドライカレー、チキンライスである。調理時に、玉ねぎ等の野菜類、豚肉、鶏肉等の肉類、海老等の海鮮類等を加えることができる。また、加熱理調理工程の後、目玉焼き、調理済みの具材等を載せる等をおこなってもよい。
また、本発明で使用する米飯には、ひえ、粟、麦などの雑穀類、グルコマンナンやカルシウム、鉄などの栄養機能成分を練りこみ米状に成形加工した米類似物などを含んでいてもよい。
本発明において用いられるレシチンは、食品または食品添加物の分野で慣用的に用いられているレシチンを総称するものである。大豆、菜種、コーン、ヒマワリ、パーム、落花生などの植物油精製時の副産物(例えば、脱ガム工程で発生する水和物)や卵黄などの粗原料から調製したペースト状のレシチンや、この粗原料を溶剤で分別して得た分画レシチン、それにこの粗原料を酵素処理して得た酵素分解レシチンなど、リン脂質を主成分とした混合物からなるレシチンを使用することができる。なお、このリン脂質とは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸(以下「PA」と略称することもある)や、これらのリゾ体を含むアシルグリセロ型リン脂質を指す。本発明で用いられるレシチンのPA含量は、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましい。PA含量に特に上限はないが、例えば、20質量%以下である。
油脂組成物中の前記レシチンの含量は、0.1質量%以上5質量%以下である。含量の下限は、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。また、含量の上限は、4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
本発明において用いられる乳化剤のHLBは4.5〜10である。好ましくは4.5〜9であり、より好ましくは4.7〜8.8である。
油脂組成物中の前記乳化剤の含量は、0.3質量%以上7質量%以下である。含量の下限は、炒め工程の作業性向上と喫食時のほぐれ性に優れた炒め加工米飯類を得る点で、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。また、含量の上限は、6質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。0.3質量%未満では、特に保存後の喫食時の食感が充分でない場合がある。7質量%より多いと、炒め加工米飯類の外観のツヤが弱く、ぼけた感じとなる場合がある。
前記乳化剤はポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましく、さらに、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸はオレイン酸であることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、蒸留精製の有無は特に問わないが、炒め工程の作業性向上と喫食時の食感に優れた炒め加工米飯類を得る点で、蒸留精製工程を経たものが好ましい。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度は2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。炒め工程の作業性向上と喫食時のほぐれ性に優れた炒め加工米飯類を得る点で、最も好ましくはジグリセリン脂肪酸エステル(重合度 2)である。
本発明で使用される油脂は、その種類には特に限定がなく食用油として用いられるものであればよい。具体例として、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油などの植物油脂並びに牛脂、豚脂等の動物脂、並びにこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂の単品又は、これらの二種類以上の混合したものでも良い。作業性の点で、大豆油、菜種油、コーン油、パームオレイン等のヨウ素価が60以上の油脂から選ばれる一種または二種以上を配合した油脂が好ましく、大豆油、菜種油、コーン油、パームオレイン等のヨウ素価が60以上の油脂から選ばれる一種または二種以上の配合量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、上限は特にないが、100質量%以下である。
また、前記油脂組成物中の前記油脂の含量は、好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは88質量%以上である。油脂含量の上限は、特に限定されないが、レシチン、乳化剤及び油脂の合計が100質量%以下となるようにする。
前記油脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の油脂に用いられる添加剤が含まれていても良い。具体的には、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ-オリザノール、シリコーン、トコフェロール等が挙げられる。
本発明の製造工程について述べる。本発明は、レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
を含む。
前記油脂組成物を米飯に添加する工程では、炊飯した米飯に油脂組成物を添加、噴霧等することにより、前記油脂組成物が米飯に均一にまぶされるようにする。必要に応じて、米飯を混合する工程を加えてもよい。
前記油脂組成物は、前記米飯100質量部に対し、0.2質量部以上5質量部以下添加することが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、0.8質量部以上3質量部以下であることがさらに好ましい。
また、前記米飯は、炊飯後直ぐ(90℃程度)、あるいは、冷却したものを用いることができ、また、冷凍、冷蔵保存したものでも良い。前記油脂組成物は、30℃〜70℃である前記米飯に添加することが好ましい。また、前記油脂組成物を添加した米飯を冷凍、冷蔵保存の工程を経ずに、加熱する工程をおこなうことが好ましい。
前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程では、フライパン、チャーハン製造機等を用いて加熱する。具体的には、米飯を加熱しながら、混合し、炒める。加熱温度は特に限定されないが、120℃以上280℃以下が好ましい。炒め工程の作業性向上と喫食時のほぐれ性に優れた炒め加工米飯類を得る点で、170℃以上230℃以下がより好ましい。
前記加熱工程において、フライパン、チャーハン製造機等を使用する際に、通常用いられる炒め用油脂をフライパン等に添加した後、前記米飯を加えてもよい。前記炒め用油脂には、大豆油、菜種油、離型油等を用いることができる。また、本発明で使用する前記油脂組成物を用いてもよい。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。なお、%は質量%を意味する。
実施に際しては、以下のものを使用した。
菜種油(株式会社J−オイルミルズ社製)
大豆油(株式会社J−オイルミルズ社製)
コーン油(株式会社J−オイルミルズ社製)
パームオレイン(ヨウ素価67;株式会社J−オイルミルズ社製)
レシチンA(レシチンAY;株式会社J−オイルミルズ社製、PA含量4.7質量%)
レシチンB(SLP−ホワイト;辻製油株式会社製、PA含量7質量%)
ライスワックス(精製ライスワックスS-100;東亜化成株式会社製)
乳化剤は、表1に記載のものを用いた。
Figure 0005685338
(油脂組成物の調製)
レシチンおよび乳化剤は、予め、60℃程度に加温した(ただし、レシチンBとPS−3Sは加温せずに使用した)。200ml容量のビーカーにレシチン、乳化剤、ライスワックス、油脂の順に添加した。80℃で5分間攪拌し、油脂組成物を得た。ただし、ライスワックスは溶解しにくいため、ライスワックスを添加したものは85℃でおこなった。
(米飯の調製)
生米 2000gに対し、水 2900gを加え、1時間浸漬した。業務用炊飯器(SR−PGA54A;パナソニック株式会社製)で炊飯し、米飯を得た。
表2に記載の油脂組成物を調製し、炊飯後の米飯(約60℃)100質量部に対し油脂組成物を1質量部添加し、油脂組成物が均一に米飯にまぶされるように混合した。得られた米飯は、以下のように作業性の評価をおこなった。結果を表2に示す。
<作業性>
ステンレスボウルに米飯300gを取り、プラスチック製のへらで切り返しを行い、ほぐれ性を評価した。

◎:米飯同士の付着が弱く、非常にほぐれやすい
○:米飯同士の付着がやや弱く、ほぐれやすい
△:米飯同士が付着し、ほぐれにくい
×:米飯同士がかなり付着し、非常にほぐれにくい
下記配合で、以下のようにチャーハンを作製した。

1.ステンレスフライパンをIHヒーター(中)にて中心の表面温度が200℃になるまで加熱した。
2.溶き卵、米飯の順に投入し、1分炒めた。
3.長ネギを投入し、30秒炒めた。
4.塩、こしょう、ウェイパーを投入し、1分30秒炒めた。
(チャーハンの配合)
米飯 300g
溶き卵 50g
長ネギ(みじん切り) 15g
塩 1g
こしょう 0.15g
ウェイパー 3g
得られたチャーハンは、以下のように評価をおこなった。
<離型性>
チャーハンを炒めた後のフライパンに付着した焦げ付きの状態を評価した。

◎:焦げ付きがなく、非常に良好
○:わずかに焦げ付きがあるが、ほぼ良好
△:焦げ付きがあり、良好ではない
×:焦げ付きが激しく、不良
<外観>
15℃で1日(D+1)保存後のチャーハンの外観を評価した。

○:ボケはなく、良好
△:ややボケており、ツヤが弱い
×:白くボケており、不良
<食感>
調理後、および、15℃で1日保存後(D+1)のチャーハンを食した際の食感を評価した。

◎:米飯同士の塊がほとんどなく、口の中で非常にほぐれやすい
○:米飯同士の塊が生じにくく、口の中でほぐれやすい
△:米飯同士が付着し、塊が生じて口の中でほぐれにくい
×:米飯同士がかなり付着し、大きな塊が生じて口の中で非常にほぐれにくい
<風味>
調理後、および、15℃で1日保存後(D+1)のチャーハンを食した際の風味を評価した。

○:風味がよく、おいしい
△:食品本来とは異なる風味がやや感じられる
×:食品本来とは異なる風味がはっきりと感じられる
Figure 0005685338
DO−100Vが0.1質量%である比較例1では、離型性が十分でなく、また保存後の食感が好ましくなかった。また、DO−100Vが8質量%である比較例2では、外観の点で好ましくなかった。
一方、DO−100Vが0.5質量%〜5質量%である実施例1〜3では、作業性、離型性、外観、食感、風味いずれも良好であった。DO−100Vが2質量%〜5質量%では、特に作業性と食感が良好であった。
表3および表4に記載の油脂組成物を調製し、比較例1と同様に評価をおこなった。結果を表3および表4に示す。
Figure 0005685338
Figure 0005685338
HLBが4、2.6、11.6および2である8070V、PS−3S、MO−5SおよびER−290を使用した比較例4〜7では、作業性と保存後の食感が共通して好ましくなかった。比較例6では、特に、離型性が好ましくなかった。
一方、HLBが4.7〜6.5であるQ−17B、MO−3S、PO−5Sを用いた実施例4〜6では、作業性、離型性、外観、食感、風味いずれも良好であった。
表5に記載の油脂組成物を調製し、比較例1と同様に評価をおこなった。結果を表5に示す。
Figure 0005685338
レシチンが0.33質量%〜3質量%のいずれにおいても、作業性、離型性、外観、食感、風味いずれも良好であった。特にPA含量7質量%であるレシチンBでは、作業性、離型性、食感の点で優れていた。また、レシチンやDO−100V単独では十分な効果が得られなかった。特に、作業性や調理後の食感の効果が充分でないレシチンと離型性の効果が充分でないDO−100Vを組み合わせているにもかかわらず、実施例に示したように非常に良好な結果を得ることができた。
(比較例10)
乳化剤とライスワックスを用いて、特開平8−89186の実施例に相当する表6に記載の油脂組成物を調製し、比較例1と同様に評価をおこなった。結果を表6に示す。
Figure 0005685338
外観が充分ではなく、食感も充分ではなく、特に保存後の食感が悪かった。
菜種油、大豆油、レシチンA,DO−100Vをそれぞれ48.75%、48.75%、0.5%、2%配合した油脂組成物Aを調製した。表7に示したように、炊飯後の米飯(約60℃)に油脂組成物Aを添加し、油脂組成物Aが均一に米飯にまぶされるように混合した。得られた米飯は、比較例1と同様に作業性の評価をおこなった。結果を表7に示す。
さらに、得られた米飯を用いて、下記条件でチャーハンを作製した。また、油脂組成物Aを添加せず、大豆油の代わりに炒め油として油脂組成物Aを使用してチャーハンを作製した(比較例11)。
1.ステンレスフライパンをIHヒーター(中)にて中心の表面温度が200℃になるまで加熱し、炒め油として大豆油または油脂組成物A(米飯100質量部に対し、3質量部)を添加した。
2.溶き卵、米飯の順に投入し、1分炒めた。
3.長ネギを投入し、30秒炒めた。
4.塩、こしょう、ウェイパーを投入し、1分30秒炒めた。
(チャーハンの配合)
米飯 300g
溶き卵 50g
長ネギ(みじん切り) 15g
塩 1g
こしょう 0.15g
ウェイパー 3g
得られたチャーハンは「外観」、「食感(調理後)」、「風味(調理後)」の評価を比較例1と同じ評価基準でおこなった。結果を表7に示す。
Figure 0005685338
米飯に100質量部に対し、油脂組成物Aを0.5質量部〜3質量部添加することで、効果があることが判った。特に1質量部以上で、作業性、食感が好ましいことが判った。また、炒め油として油脂組成物Aを用いたほうが、焦げ付きの点でより好ましかった。
一方、油脂組成物Aを米飯に添加せずに、油脂組成物Aを炒め油として使用した比較例11では、充分な食感を得ることができなかった。
(比較例12:炊飯時に添加した場合)
生米 2000gに対し、水 2900gを加え、1時間浸漬した。菜種油、レシチンA,DO−100Vをそれぞれ97.5質量%、0.5質量%、2質量%配合した油脂組成物20gを添加し、軽く撹拌後、業務用炊飯器(SR−PGA54A;パナソニック株式会社製)で炊飯し、米飯を得た。
得られた米飯は、比較例1と同様に作業性の評価をおこなった。結果を表8に示す。
さらに、得られた米飯を用いて、下記条件でチャーハンを作製した。

1.ステンレスフライパンをIHヒーター(中)にて中心の表面温度が200℃になるまで加熱し、炒め油として大豆油(米飯100質量部に対し、3質量部)を添加した。
2.溶き卵、米飯の順に投入し、1分炒めた。
3.長ネギを投入し、30秒炒めた。
4.塩、こしょう、ウェイパーを投入し、1分30秒炒めた。
(チャーハンの配合)
米飯 300g
溶き卵 50g
長ネギ(みじん切り) 15g
塩 1g
こしょう 0.15g
ウェイパー 3g
得られたチャーハンは「離型性」、「外観」、「食感(調理後)」、「風味(調理後)」の評価を比較例1と同じ評価基準でおこなった。結果を表8に示す。
Figure 0005685338
炊飯時に油脂組成物を添加した比較例12では、作業性が充分でなく、また、離型性、食感も充分ではなかった。
(実施例16:チキンライスの作製)
菜種油、コーン油、パームオレイン、レシチンA,DO−100Vをそれぞれ39質量%、29質量%、29質量%、1質量%、2質量%配合した油脂組成物Bを調製した。炊飯後の米飯(約60℃)100質量部に油脂組成物Bを1質量部添加し、油脂組成物Bが均一に米飯にまぶされるように混合した。得られた米飯は、下記条件でチキンライスを作製した。

1.ステンレスフライパンをIHヒーター(中)にて中心の表面温度が200℃になるまで加熱し、炒め油として大豆油(米飯100質量部に対し、3質量部)を添加した。
2.玉ねぎ、米飯の順に投入し、1分炒めた。
3.鶏肉を投入し、1分炒めた。
4.塩、こしょう、ケチャップを投入し、1分30秒炒めた。
(チキンライスの配合)
米飯 200g
玉ねぎ(みじん切り) 50g
鶏肉 50g
塩 1g
こしょう 0.15g
ケチャップ 40g
得られたチキンライスは、外観、食感、風味いずれも良好であった。

Claims (8)

  1. 炒め加工米飯類の製造方法であって、
    レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
    前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
    を含む、前記製造方法(ただし、前記油脂組成物を炒め油としてのみ使用する場合を除く)
  2. 前記乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸がオレイン酸である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度が2以上8以下である請求項2または3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記レシチンのホスファチジン酸含量が3質量%以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記油脂組成物を前記米飯100質量部に対し、0.2質量部以上5質量部以下添加する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記加熱する温度が120℃以上280℃以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. レシチンを0.1質量%以上5質量%以下とHLB 4.5〜10の乳化剤を0.3質量%以上7質量%以下、含有する油脂組成物を米飯に添加する工程、および、
    前記油脂組成物を添加した前記米飯を加熱する工程、
    を含む、製造方法(ただし、前記油脂組成物を炒め油としてのみ使用する場合を除く)で得られた炒め加工米飯類。
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