JP3592902B2 - 加熱調理用油脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は揚げ物用や炒め物用に用いられる加熱調理用油脂組成物に関し、詳しくは調理時に油特有の匂い立ちが少なく、快適に加熱調理することができる油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
揚げ物や炒め物を調理する際に油を加熱すると、加熱された油特有の不快な匂いが発生し、特に揚げ物用に油を繰り返し使用すると匂いがきつくなる。
この問題の解決のために、抗酸化剤等の添加が検討されており、例えば、特開平4−96992号公報では、リン脂質及び/又はジグリセリドに抗酸化剤を含有してなる酸化防止剤組成物を添加した、耐酸化性及び耐高温性の優れた食用油組成物が提案され、特開平4−226588号公報では、アスコルビルパルミテートと、トコフェロール濃縮物と、ローズマリーエキス混合物を含む、金属及びミネラルの存在下でも有効な抗酸化剤組成物を添加した食用油組成物が提案されているが、その効果は充分とは言えない。
一方、ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)を着色の目的で油脂に配合することは特開昭64−47341号公報により公知であるが、ニンジンカロチンの用途としては着色、栄養強化が示されているに過ぎない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、調理時に油特有の匂い立ちが少なく、快適に加熱調理することができる油脂組成物について研究を重ねた結果、ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)と抗酸化剤を併用して油に添加すると、加熱調時に不快な匂いをほとんど感じず、快適に調理できる油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)と抗酸化剤を配合した加熱調理用油脂組成物である。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)とは、ニンジン(Daucus carota L.)の根葉より抽出されたニンジン色素である。抽出法としては、大豆油、コーン油等の食用油で抽出し、カロチノイド色素をこれらの油に転用させるようにした油溶法、アセトン、酢酸エチル、ジクロロエタン、ヘキサン、低級脂肪族アルコール類等の有機溶媒で抽出する方法、二酸化炭素等を使用した超臨界抽出法等の抽出法を用いることができる。これらの抽出法によって得られたニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)には、ニンジン本来が持っている色素類、香り成分及びその他天然成分、抽出工程中に生成した成分が含まれている。また、ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)を油で希釈した製剤等も使用することができる。
本発明において、ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)の配合量は特に制限はされないが、油脂に対しカロチン量として0.3 〜50ppm 、特に1〜30ppm が好ましい。
【0005】
本発明で使用する抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミテート等のL−アスコルビン酸エステル(ビタミンCエステル)、L−プロリン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、トコフェロールの他、スパイス、茶、甘草、ローズマリー等の天然物からの抽出物等が挙げられる。
本発明では、特にL−アスコルビン酸パルミテート等のL−アスコルビン酸エステル(ビタミンCエステル)を用いることが好ましく、更に天然物からの抽出物を併用することも好ましい。特に好ましいのは、L−アスコルビン酸パルミテート等のL−アスコルビン酸エステル(ビタミンCエステル)と抽出トコフェロールを併用する場合である。
本発明において、抗酸化剤の配合量は特に制限はされないが、油脂に対し100 〜2000ppm 、特に100 〜1000ppm が好ましい。抗酸化剤を併用する場合、L−アスコルビン酸エステル(a) と天然物からの抽出物(b) の好ましい比率は、(a) /(b) <1/1、特に1/1.5 〜1/10である。
【0006】
本発明に使用する油脂は、一般的に使用されている食用油であれば特に制限はないが、天然由来の油脂、例えばサフラワー油、オリーブ油、綿実油、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、ひまわり油、ごま油等の植物油が好ましい。これらの油脂はそれぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合してもよい。
また、本発明の油脂組成物には、各種の乳化剤、例えばショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、リン脂質等を添加することもできる。また目的に応じて、各種の風味付与剤(フレーバー)、栄養強化材、減粘剤等を添加することもできる。
【0007】
本発明の油脂組成物は、野菜炒め等の炒め物調理、天ぷら、唐揚げ等の揚げ物物調理に好適に利用される。
【0008】
【実施例】
以下、実施例より本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す如くコーン油に各種添加剤を配合して、本発明の油脂組成物A〜Eと比較用の油脂組成物F〜Gを調製した。
【0009】
【表1】
【0010】
実施例1〜3、比較例1〜2
上記の如く調製した油脂組成物及びコーン油を用いて、繰り返して天ぷら調理を行い、調理時の匂いと天ぷらの風味の評価を行った。結果を表2に示す。
天ぷら調理の方法と評価方法は以下の通りである。
(天ぷら調理)
天ぷらの衣;卵/水/薄力粉=50/150/100
器具、油量;30cmの中華鍋に油を 600g
2回目以降は減った油分を継ぎ足して調理を行った。
油温;180 ℃
種;エビ8尾、ピーマン8切れ、レンコン8切れ、カボチャ8切れ、ナス8切れ
調理後の油は金属製オイルポットにとり、室温で保存し、2日おきに調理評価を実施した。
(評価方法)
パネラー10名
調理時の匂い及び揚げた天ぷらを下記の基準で5段階評価し、平均点を四捨五入した。
5;良い
4;やや良い
3;どちらとも言えない
2;やや悪い
1;悪い
【0011】
【表2】
【0012】
実施例4〜6、比較例3〜4
上記の如く調製した油脂組成物及びコーン油を用いて、繰り返して唐揚げ調理を行い、調理時の匂いと唐揚げの風味の評価を行った。結果を表3に示す。
唐揚げ調理の方法と評価方法は以下の通りである。
(唐揚げ調理)
器具、油量;30cmの中華鍋に油を 600g
2回目以降は減った油分を継ぎ足して調理を行った。
油温;180 ℃
種;鶏もも肉を30〜40gに切り、市販唐揚げ粉をまぶし、合計25個の種を調製した。
調理後の油は金属製オイルポットにとり、室温で保存し、2日おきに調理評価を実施した。
(評価方法)
パネラー10名
調理時の匂い及び揚げた唐揚げを下記の基準で5段階評価し、平均点を四捨五入した。
【0013】
5;良い
4;やや良い
3;どちらとも言えない
2;やや悪い
1;悪い
【0014】
【表3】
【0015】
実施例7〜9、比較例5〜6
上記の如く調製した油脂組成物及びコーン油を用いて、繰り返してヒレカツ調理を行い、調理時の匂いとヒレカツの風味の評価を行った。結果を表4に示す。
ヒレカツ調理の方法と評価方法は以下の通りである。
(ヒレカツ調理)
器具、油量;30cmの中華鍋に油を 600g
2回目以降は減った油分を継ぎ足して調理を行った。
油温;180 ℃
種;豚ヒレ肉を20〜30gにスライスし、塩、胡椒、小麦粉、卵、パン粉をまぶし、合計20枚の種を調製した。
調理後の油は金属製オイルポットにとり、室温で保存し、2日おきに調理評価を実施した。
(評価方法)
パネラー10名
調理時の匂い及び揚げたヒレカツを下記の基準で5段階評価し、平均点を四捨五入した。
5;良い
4;やや良い
3;どちらとも言えない
2;やや悪い
1;悪い
【0016】
【表4】
Claims (5)
- ニンジンカロチン(ニンジンオレオレジン)と抗酸化剤を配合した加熱調理用油脂組成物。
- 抗酸化剤がL−アスコルビン酸エステルである請求項1記載の加熱調理用油脂組成物。
- L−アスコルビン酸エステルがL−アスコルビン酸パルミテートである請求項2記載の加熱調理用油脂組成物。
- 更に天然物から抽出された抗酸化剤を併用した請求項2又は3記載の加熱調理用油脂組成物。
- 天然物から抽出された抗酸化剤が抽出トコフェロールである請求項4記載の加熱調理用油脂組成物。
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- 1997-09-17 JP JP25158997A patent/JP3592902B2/ja not_active Expired - Fee Related
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