JP3167318B2 - モーターチェーンソー等の様な作業機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、気化器を通して燃料と空気との混合物を吸
入して作業部を駆動する内燃機関のためのケースと、作
業機の携帯および操作のためのハンドグリップとを有
し、該ハンドグリップはケース上部でほぼケースの長手
軸線方向に延びているグリップ部と、該グリップ部の前
端に対し角度をもって配置されている横のグリップ柄部
とからなり、前記グリップ部がスロットルを有するモー
ターチェーンソー等、例えば片手用チェーンソーのよう
な作業機に関する。

【０００２】 〔従来技術〕 このようないわゆる片手用チェーンソーは使用者が片
手で保持して操作するが、その間使用者はもう一方の手
で確実に保持する。チェーンソーの重心が明らかにスロ
ットルの位置より前にあると、作用する力がチェーンソ
ーの前への傾倒運動を生じさせ、該傾倒運動を使用者
は、機械を偏らない状態で保持するために、支えている
手の適当する力の消費で補償しなければならない。これ
によって、支持する手若しくは使用者の手首に大きな負
担がかかる。

【０００３】 モーターチェーンソーが稼動状態で斜めに保持されな
ければならないと、使用者の手の中の上部グリップ部が
回されることが避けられないので、そのために使用者は
チェーンソーを好ましい傾斜状態で保持することは困難
である。

【０００４】 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、大きな力消費なしに、使用者の手で任意の
作業状態で確実に支持されることができるように、モー
ターチェーンソーを構成することを課題とする。

【０００５】 〔課題を解決するための手段〕 本発明により、上記の課題は、気化器を通して燃料と
空気との混合物を吸入して作業部を駆動する内燃機関の
ためのケースと、モーターチェーンソーの携帯および操
作のためのハンドグリップとを有し、該ハンドグリップ
はケース上部でほぼケースの長手軸線方向に延びている
グリップ部と、該グリップ部の前端に対し角度をもって
配置されている横のグリップ柄部とからなり、前記グリ
ップ部がスロットルを有するモーターチェーンソーにお
いて、グリップ部の後端がモーターチェーンソーの長手
軸線に対して交差して拡がって構成されており且つ全て
の側が閉じている受容室を形成しており、該受容室がモ
ーターチェーンソーのケースから間隔をもって位置して
おり、且つ該受容室内に気化器が固定配置されているこ
とと、モーターチェーンソーの長手軸線のまわりで作用
する回転モーメントを支持するために、受容室のグリッ
プ部の両側に位置する外壁が使用者の手（Handballen）
のための土台として形成されていることとを特徴とする
モーターチェーンソーによって解決される。

【０００６】 〔作用及び効果〕 グリップケースの受容室内に気化器を配置すると、作
業機の構造大きさを小さく保持でき、従って上部のグリ
ップ部が作業機の重心の近くに移すことができるという
利点がある。上部のグリップ部の重心との間隔が僅かで
あるということが、あまり力を消費せずに作業機を簡単
に操作することを可能にする。受容室の外壁部を使用者
の手（Handballen）のための支持面として形成すること
が機械を確実に支持することを保証する。特に、手（Ha
ndballen）によって生じる回転モーメントが支持される
ことができるので、使用者の手でグリップ部が回転する
ことが十分に避けられる。特に作業機を旋回させるとき
に生じる、旋回運動に反作用するこま運動力（Kreiselk
raefte）は、支持面を介して力をいれることによって補
償されることができるので、本発明に係る作業機は、好
ましくない作業状態でも、使用者が大きな力を消費する
ことなく確実に支持され得る。グリップ部の長手軸線方
向とその周囲方向を手（Handballen）が確実に支持して
いるので、支持する手に対するグリップ部のずれは十分
に排除される。

【０００７】 抗振動エレメントを介して作業機のケースから連結解
除されたハンドグリップ内に気化器を配置することは、
更に気化器をエンジンの振動からまもるという利点があ
る。また、２サイクルエンジンから気化器への熱の伝達
が妨げられるので、ベーパーロックが十分に排除され
る。これは特に高温のモーターチェーンソーの始動の場
合に有利である。

【０００８】 受容室は全ての側が閉じられ、作業機のケースとの間
に間隔があるので、受容室とケースとの間のスリット内
の空気が付加的に絶縁の役を果たし、そのことは熱放射
による気化器の加熱に反作用する。

【０００９】 受容室は２つのケース部から形成されるのが有利であ
り、該ケース部の分離面がほぼ対角線状に受容室を延び
る。第１のケース部がグリップ部と一体状に形成され、
第２のケース部が取外し可能な蓋として設けられるのが
有利である。この構成は、内燃機関のケースを開くこと
なく、保守および修繕作業のために自由に気化器に手が
とどくように受容室を開くことを可能にする。このこと
は特に燃焼空気のための空気フィルターの交換の際に重
要である。

【００１０】 受容室がそのケースと向かい合った壁面に空気流入ス
リットを有利に持つので、燃焼空気は受容室と作業機の
ケースとの間のスリットを通して吸入される。この方法
で、大きなちりが燃焼空気とともに受容室内に吸入され
ることが妨げられる。さらに受容室とエンジンケースと
の間のスリット内の空気流によって、改良された熱絶縁
が作られる。

【００１１】 本発明のその他の構成において、スロットルは作業部
を具備する作業機の重心のほぼ上にあるので、使用者は
作業機の中立状態では傾倒運動等を補償する必要はな
い。従って中立状態では使用者は案内力を加える必要と
しないで作業機を専ら担持しなければならない。

【００１２】 グリップ部で重心に可能なかぎり近い位置が得られる
ように、グリップ部の下側でケースにグリップ窪みが形
成される。スロットルとエンジンケースとの間に指（Ga
sfinger）をはさむ危険なしに、グリップ部は重心によ
り近くに設けることができ、それによって本発明に係る
作業機の操作がさらに改善される。

【００１３】 〔実施例〕 本発明の詳細を、図に示す実施例に基づいて説明す
る。 第１図に示されている作業機はモーターチェーンソー
１であり、該モーターチェーンソーはケース２内に配置
された内燃機関３（第２図）を有する。内燃機関は作業
部（図示されていない）の駆動に用いられ、該作業部
は、モーターチェーンソーの場合、周回動する鋸チェー
ンを有する鋸刀からなる。この作業部はモーターチェー
ンソー１の長手軸線方向の前方端面に固定され、さらに
支持かぎづめ（Abstuetzkralle）23を担持する。

【００１４】 モーターチェーンソーの１つの長手側面には空気採り
入れ格子21によって覆われたファンならびに手動スター
ター20が配置されている。ケース２の前方端面に隣接し
て、鋸刀を周回動する鋸チェーンの潤滑のためのオイル
タンクが設けられている。オイルタンクは蓋24によって
閉じられている注入パイプを通して後に満たされること
ができる。ケース２には、さらにケースの後方領域にあ
り、蓋22によって閉じられる注入開口部を有する燃料タ
ンク19（第２図）が備えられている。もう一方の長手側
面（第３図）には鋸刀のククンプ端（Einspannende）の
ための覆い部25ならびにエンジン冷却空気と排気ガス放
出のための放出格子26が設けられている。

【００１５】 モーターチェーンソーは片手用作業機として施行さ
れ、それに応じて片手で作業機の支持および操作を行う
のに適しているハンドグリップ５を有する。該ハンドグ
リップ５はケース２の上面に配置されて第４図に示され
ているようにモーターチェーンソーの長手軸線８の方向
に延びるグリップ部5aからなる。グリップ部5aはその前
方端部６が抗振動エレメント28（第２図）を介して装置
ケース２と接続され、また後方端部７が抗振動エレメン
ト29を介して装置ケース２と接続されている。第４図に
示されているように、グリップ部5aにたいして角度をも
って、特に直角状に、横グリップ柄5bがグリップ部5aに
接続され、該グリップ柄5bは空気採り入れ格子21を有す
るエンジンケースの側面を通ってその下端まで延びてい
る。その際、グリップ柄5bの自由下方端部が抗振動エレ
メント30（第５図）を介してエンジンケース２と結合さ
れている。特にグリップ部5aとグリップ柄5bは一体成形
されているが、２つあるいは多数の部分で形成すること
もできる。

【００１６】 グリップ部5aはその後方端部７が長手軸線８（第４
図）に対して交差して拡がって形成されていて、受容室
14を形成しており、その受容室の内部に内燃機関３のた
めの気化器４が配置されている。内燃機関３はクランク
軸31を介して鋸チェーンが掛けられる図示されていない
駆動歯車を駆動する。クランク軸31はシリンダー16で燃
焼室15を境界づけるピストン17によって連接棒32を介し
て駆動される。シリンダー16は水平（liegend）に配置
されていて、受容室14の方を面した吸入路18を有する。
シリンダー16内の燃焼室15の吸入路18とは反対の側には
排気路33が配置され、該排気路は消音器ケース34内に開
口し、該消音器ケースの排出口27が第３図に示されてい
る。

【００１７】 受容室14内に固定配置されている気化器４は接続パイ
プ35を介して吸入路18と結合されており、その際に、接
続パイプの吸入路18に面した端部が吸入路18の端部を覆
うように掴む。接続パイプ35はハンドグリップ５とシリ
ンダー16との間の相対運動が可能なように設けられてお
り、従って受容室14内に配置された気化器４が内燃機関
３から振動的に切り離されている。

【００１８】 気化器内に配された絞り弁はグリップ部5aに旋回する
ように支持されたスロットル11によって操作されるスロ
ットル棒36と接続されている。スロットル11はグリップ
部5aのケース２に面する側にあり、一方グリップ部5aの
ケース２と反対を向いた面にはスロットル11と協働する
スロットルレバー止め12がある。先ずスロットルレバー
止め12を押し下げている状態ではスロットル11は絞り弁
が開く（ガス供給）方向へ旋回される。

【００１９】 ハンドグリップ５のグリップ部5aはほぼ作業機の長手
軸線方向にあり、その際にハンドグリップ5aに配された
スロットル11は作業部（鋸チェーンをもつ鋸刀）が接続
された状態で与えられる重心Ｓのほぼ上方にある。

【００２０】 受容室14はケース２から距離ｕ離れていて全ての側が
閉じられた部屋である。距離ｕはエンジンケースが抗振
動エレメント28ないし30を通った振動の範囲内でハンド
グリップ５を相対的に振動させられることを保証し、そ
の際ハンドグリップ５は十分に静止している。

【００２１】 受容室のケース２に面した壁面14aに空気流入スリッ
トが配置されているために、距離ｕによって形成された
スリット37は同時に燃焼空気の流入のための裂け目とし
て設けられている。

【００２２】 受容室14はグリップ部5aと一体成形されている第１の
ケース部38（第１図）ならびに第１のケース部38の蓋と
して閉じられている第２のケース部39からなる。その
際、ケース部38と蓋39との間の分離面40は受容室14をほ
ぼ対角線状に延びるので、気化器４は蓋39を取り外した
後修繕および保守作業のために自由に手がとどく。特に
このようにして、ケース部38の開口は作業機１の自由な
端面にあるので、空気フィルターを容易に交換すること
ができる。

【００２３】 特に第１図、第３図および第４図から明らかなよう
に、グリップ部に面する外壁14bはグリップ部5aの特に
両側に使用者の手（Handballen）のための土台として形
成されている。使用者は作業機をこの方法によって確実
に支持されることができ、その際、使用者は重心のまわ
りの前後の傾倒運動のように、長手軸線８のまわりの傾
倒運動を確実にそして小さな力を使うことによって補償
することができる。

【００２４】 グリップ部5aを重心ＳもしくはＳ′に可能な限り近く
におくために、第２図に示すようなグリップ部5aに面す
るケース部にグリップ窪み13が形成されている。このグ
リップ窪み13によってスロットル11とケースのあいだに
十分な距離が設けられているので、ケースとスロットル
11との間に使用者の指をはさむこともないようにされて
いる。

【００２５】 本発明の実施態様は以下の如く形成することができ
る。 （１）受容室（14）が二つのケース部（38、39）から成
り、その分離面（40）が受容室（14）がほぼ対角線上に
延びていることを特徴とする請求項に記載のモーターチ
ェーンソー。

【００２６】 （２）第１のケース部（38）がグリップ部（5a）と一体
状に形成され、第２のケース部（39）が取外し可能な覆
いとして形成されていることを特徴とする前記第１項に
記載のモーターチェーンソー。

【００２７】 （３）受容室（14）がそのケース（２）と向かい合った
壁面（14a）に空気流入スリット（７）を有することを
特徴とする請求項又は前記第１項又は前記第２項に記載
のモーターチェーンソー。

【００２８】 （４）スロットル（11）が作業部を具備するモーターチ
ェーンソー（１）の重心（Ｓ）のほぼ上部に設けられて
いることを特徴とする請求項又は前記第１項〜第３項の
いずれか１つに記載のモーターチェーンソー。

【００２９】 （５）モーターチェーンソー（１）のほぼ長手軸線
（８）の方向に延びたグリップ部（5a）の下部でモータ
ーチェーンソー（１）のケース（２）にグリップ窪み
（13）が形成されていることを特徴とする請求項又は前
記第１項〜第４項のいずれか１つに記載のモーターチェ
ーンソー。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１図は本発明に係る作業機の側面図

【図２】 第２図は第１図の作業機の縦断面

【図３】 第３図は第１図の作業機のもう一方の側面図

【図４】 第４図は第１図の作業機の平面図

【図５】 第５図は作業機の正面図

【符号の説明】

１……作業機、２……ケース ３……内燃機関、４……気化器 ５……ハンドグリップ、5a……グリップ部 5b……グリップ柄、６……前端 ７……後端、11……スロットル 14……受容室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B27B 17/00 - 17/14

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】気化器（４）を通して燃料と空気との混合
   物を吸入して作業部を駆動する内燃機関（３）のための
   ケース（２）と、モーターチェーンソー（１）の携帯お
   よび操作のためのハンドグリップ（５）とを有し、該ハ
   ンドグリップ（５）はケース上部でほぼケースの長手軸
   線方向に延びているグリップ部（5a）と、該グリップ部
   （5a）の前端（６）に対し角度をもって配置されている
   横のグリップ柄部（5b）とからなり、前記グリップ部
   （5a）がスロットル（11）を有するモーターチェーンソ
   ーにおいて、グリップ部（5a）の後端（７）がモーター
   チェーンソー（１）の長手軸線（８）に対して交差して
   拡がって構成されており且つ全ての側が閉じている受容
   室（14）を形成しており、該受容室がモーターチェーン
   ソー（１）のケース（２）から間隔（ｕ）をもって位置
   しており、且つ該受容室内に気化器（４）が固定配置さ
   れていることと、モーターチェーンソー（１）の長手軸
   線（８）のまわりで作用する回転モーメントを支持する
   ために、受容室（14）のグリップ部（5a）の両側に位置
   する外壁（14b）が使用者の手のための土台（10）とし
   て形成されていることとを特徴とするモーターチェーン
   ソー。