JP3152192B2 - 画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置

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JP3152192B2
JP3152192B2 JP34678197A JP34678197A JP3152192B2 JP 3152192 B2 JP3152192 B2 JP 3152192B2 JP 34678197 A JP34678197 A JP 34678197A JP 34678197 A JP34678197 A JP 34678197A JP 3152192 B2 JP3152192 B2 JP 3152192B2
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semiconductor
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茂実 大津
英一 圷
龍淳 夫
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Fujifilm Business Innovation Corp
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G17/00Electrographic processes using patterns other than charge patterns, e.g. an electric conductivity pattern; Processes involving a migration, e.g. photoelectrophoresis, photoelectrosolography; Processes involving a selective transfer, e.g. electrophoto-adhesive processes; Apparatus essentially involving a single such process
    • G03G17/02Electrographic processes using patterns other than charge patterns, e.g. an electric conductivity pattern; Processes involving a migration, e.g. photoelectrophoresis, photoelectrosolography; Processes involving a selective transfer, e.g. electrophoto-adhesive processes; Apparatus essentially involving a single such process with electrolytic development

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機半導体又は無
機半導体基板に電気化学反応によって画像を形成するた
めの画像形成方法、及びこの画像形成方法に好適に用い
うる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、電気信号や光学信号から紙等の記
録媒体に画像を転写する方法としてプリンター等に利用
されている方法には、ドットインパクト法、熱転写法、
熱昇華法、インクジェット法、レーザープリンタの電子
写真法が挙げられる。これらの方法は、きく3つの分類
に分けられる。
【0003】即ち、ドットインパクト法、熱転写法、熱
昇華法等のように、インクリボンやドナーフィルムなど
色素分子が分散されたシートと紙等を重ね合わせ、力学
的なインパクトや熱により紙上に色素を転写する方法、
インクジェット法のように、紙上にヘッドからインクを
直接転写する方法、レーザープリンターなどの電子写真
法のように、レーザースポットにより形成される感光体
上の静電像に対してトナーが吸着し、これを紙に転写し
て画像を形成する方法である。加圧、加熱を要する第一
の方法では、高速化が困難でエネルギー的にも効率が低
くランニングコストが高い、第二の方法は,インクのド
ットを電気的に制御しかつ紙幅のヘッドを形成するのが
困難なため高速化が困難である。また、画像の最小単位
がヘッドの大きさや間隔により規定される問題がある。
第三の方法である電子写真法では、静電像を形成したり
トナーが吸着・転写するのには高電圧が必要で、消費電
力が大きく、オゾンや窒素酸化物を発生するという問題
点がある。
【0004】これらをまとめると、現在プリンター等に
利用されている画像形成方法においては、品質が高く、
比較的高速で、ランニングコストが低く、省エネルギー
・省資源な、環境にも使用者にも優しい汎用性のある画
像形成方法は存在しないということになる。これは、色
素を分子レベルで直接制御して画像形成に利用する方法
が確立していないことによる。
【0005】本発明者らは、このような電着技術そのも
のを原理的なところから検討することにより、水溶性の
色素分子の中には、酸化状態、中性状態及び還元状態で
水への溶解度が大きく変化する分子があることに着目し
た。このような特性をもつ化合物の例を挙げれば、例え
ば、フルオレセイン系の色素であるローズベンガルやエ
オシンはpH4以上では還元状態をとり水に溶解する
が、pH4未満の領域では酸化されて中性状態となり析
出、沈殿する。また、一般にカルボキシル基をもった色
素材料は、構造変化を伴わなくても溶液の水素イオン濃
度(pH)によって溶解度が大きく変化することが知ら
れており、具体的には、耐水性改良インックジェット染
料は、pH6以上では水に溶けるがそれ以下では沈殿す
る。これらの色素を純水中に溶解し、溶液中に電極を浸
して電圧を印加すると、陽極側の電極上にこれらの色素
分子からなる電着膜が生成される。また、カルボキシル
基を持った高分子の一種である水溶性アクリル樹脂もp
Hが6以上では水に溶けるが、それ以下では沈殿する。
この高分子中に顔料を分散させて、溶液中に電極を浸し
電圧を印加すると、陽極側の電極上に顔料及び高分子が
析出して顔料と高分子が混合された電着膜が形成され
る。これらの電着膜は、逆電圧を印加するかpH10〜
12の水溶液に浸すことで、水溶液中に再溶出させるこ
とができる。また、キノンイミン染料の一つであるオキ
サジン系の塩基性染料Cathilon Pure B
lue 5GH(C.I.BasicBlue 3)や
チアジン系の塩基性染料メチレンブルー(C.I.Ba
sicBlue 9)はpHが10以下では酸化状態を
取り発色しているがそれ以上になると還元されて不溶化
し析出する。これらの色素を純水中に溶解し、溶液中に
電極を浸し電圧を印加すると、陰極側の電極上にこれら
の色素分子からなる電着膜が生成される。これらの色素
電着膜は、逆電圧を印加するかpH8以下の水溶液に浸
すことで、元に戻って水溶液中に再溶出する。
【0006】従来の電着技術は、電着膜形成に必要とな
る電圧が約70Vと高く、このような高い電圧を印加す
ると、半導体と電解液とのショトキーバリアを壊してし
まい画像形成はできない。
【0007】また、導電性高分子のドーピング・脱ドー
ピングに色素を用い、光で画像形成する方法も提案され
ているが、導電性高分子がなくても色素のみで電着膜を
形成することは可能である。ところが、色素自体で電着
膜を形成するのに必要な電圧は、導電性高分子がある場
合に比較して大きくなる。一方、光起電力は汎用のSi
においても約0.6V程度であり、画像形成するには光
起電力だけでは不十分である。従って、バイアス電圧を
印加してかさ上げするなどの方法が考えられるが、それ
でも一定の電圧(使用する半導体のバンドギャップに依
存した電圧)以上になると、光起電力の形成に必要な半
導体と溶液の間のショトキーバリアーが壊れてしまうと
いう問題があり、印加できるバイアス電圧には限界があ
る。このため、光起電力を用いた水溶液中での画像形成
は、1.0V以下で酸化還元するポリピロールなどの導
電性高分子の光重合反応を使うものなどに限られてい
た。また、この分野で公知の特開平5−119209号
公報(「カラーフィルター製造方法及びカラーフィルタ
ー製造用の電着基板」)や、特開平5−157905公
報(「カラーフィルター製造方法」)においては、電着
電圧は20Vから80Vと高くなっており、電着物質と
して高分子の酸化還元反応を利用している。このよう
に、一般的に電着用塗装として良く知られている高分子
は、電着に必要な電圧が10V以上である。従って、画
像形成には電子写真用のZnO2 などのフォトコンダク
ティブ特性を利用するなどしていたが、取り扱いの容易
な水系液体で使用可能な実用的な電着材料は未だ見いだ
されていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1)
ランニングコストが低く、2)高解像度、高品質で、
3)濃度階調も連続的にすることが可能で、4)省エネ
ルギー・低コスト・高効率で、5)環境にも使用者にも
優しく、6)汎用性が十分に期待できる画像形成方法、
つまり色素を分子レベルで直接制御して画像形成する方
法を提供することである。本発明の第2の目的は、前記
のように形成された画像を好適な被転写媒体に転写した
保存性のよい画像形成方法を提供することである。ま
た、本発明の第3の目的は、そのような画像形成方法に
好適に利用できる画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者らは電着技術そのものを原理的なところ
から改めて見直した。そして、前述した水への溶解度が
大きく変化する分子について、その物性などを詳しく検
討した。この分子の溶解度変化による溶解或いは析出、
沈殿の相変化は、分子を電気化学的に直接酸化還元する
か、または分子が溶けている水溶液のpHを変化させる
ことで行える。これら電気化学的に相変化する材料を以
下、適宜、電着材料と称する。本発明の画像形成方法
は、透明基板上に透明導電膜を形成し、その上部に有機
半導体膜又は無機半導体膜を形成した基板を準備し、液
体を保持しうる容器内に色材とpHの変化により化学的
に溶解或いは析出・沈降する電着材料を含有する水系液
であって、該水系液体中の電着材料の、pHの変化に
対する溶解特性が、電着材料の析出状態が一定期間保持
されるヒステリシス曲線を示す水系液体を準備し、電流
または電界を供与できる手段を透明導電膜に接続した該
基板を半導体薄膜が該水系液体に浸漬されるよう固定す
るとともに、電極対の他方である対向電極を合わせ持つ
装置を該容器内に配置し、該透明基板上に光照射を行
い、光照射による起電力が発生した部分に選択的電着材
料を含む電着膜を析出させて画像を形成すること、を特
徴とする。
【0010】この方法によれば、電着材料を水系の液体
中に溶解、分散し、水系液体中に電極を浸して電圧を印
加すると、陽極側の電極上にこれらの電着材料からなる
電着膜が生成される。電着材料が無色あるいは淡色高分
子材料である場合には、この高分子中に顔料等の色材を
分散させて、溶液中に電極を浸し電圧を印加すると、陽
極側の電極上に色材を含んだ状態で高分子が析出して顔
料と高分子が混合された有色の電着膜が形成される。ま
た、電着材料自体が有色物質である場合には、そのまま
着色電着膜が形成されるが、その場合は特に色材を添加
する必要はなく、本発明において、「色材とpHの変化
により化学的に溶解或いは析出・沈降する電着材料」と
は、それ自体が色材となる染料からなる電着材料をも包
含するものとする。これらの電着膜は、逆電圧を印加す
るか、溶解度の高いpH(アニオン性電着材料ではpH
10〜13、カチオン性電着材料ではpH1〜4)の水
溶液に浸すことで、水溶液中に再溶出させることができ
る。なお、本発明において、「水系液体」とは電着材料
(染料、顔料、高分子化合物等)の全てもしくは一部が
水系媒体に溶解もしくは分散した水溶液もしくは水系分
散液を総称するものである。
【0011】前記電着膜形成には、ある一定以上の閾値
電圧が必要であり、電流が流れれば必ず電着膜が形成さ
れるわけではない。従って、バイアス電圧を印加してお
けば、外部から入力される電圧レベルは小さくても画像
を形成することがである。そこで、電着される基板に透
明な半導体層を形成し、この入力信号に光を使用すれば
所望する位置に任意の電着膜を形成することができる。
以下、このようにして形成した電着膜を光電着膜と呼
ぶ。ここで、半導体層への光照射による起電力と、透明
電極に印加するバイアス電圧の総和により電着材料が電
着膜を形成すればよいのであるが、バイアス電圧の印加
は光起電力に応じて任意に調整すればよく、例えば、半
導体の光起電力が電着膜を形成するに十分であれば透明
電極に印加するバイアス電圧は省略することもできる。
【0012】本発明者らがここで提案する光電着膜を利
用した画像形成技術は、上記知見に基づくものであり、
その画像形成方法の概要は有機あるいは無機の透明な半
導体を基板として利用し、光を照射することで水溶液中
の色材を含む(或いは兼ねる)電着材料を半導体基板上
に色素電着膜の形で析出させることで画像を形成する方
法であり、本発明の画像形成方法によれば、透明な半導
体薄膜と電着溶液とのショトキー接合、あるいは透明な
半導体薄膜自身の、pn接合あるいはpin接合を利用
することで高解像度の光電着膜を形成しうる。また、基
板としてアモルファスシリコンを使用した場合には、酸
化膜によって電気抵抗が増加することを抑えるために保
護層として導電性のn型SiCまたはp型SiCを使用
することが好ましい。
【0013】さらに、透明な基板に裏面から光を入射し
たい場合には蒸着法やゾル・ゲル法で作成したTiO2
薄膜を水素雰囲気中で還元し、n型の半導体としての効
率を高めることが好ましい。有機半導体のpn接合を使
う場合には、p型の半導体としてのフタロシアニン誘導
体とn型の半導体としてのペリレン誘導体を積層するこ
とが好ましい態様である。
【0014】本発明の電着膜による画像に階調性を与え
る場合には、前記透明基板上に光照射を行い、光照射に
よる起電力が発生した部分に選択的電着材料を含む電着
膜を析出させて画像を形成する際に、(a)印加するバ
イアス電圧の強さ、(b)光照射の時間、(c)照射す
る光強度、のいずれか1種以上を制御することで通電時
の電荷量を調整し、析出する電着膜の量を制御すればよ
い。
【0015】本発明の画像形成方法により得られた電着
膜は好適な被転写媒体に転写することもでき、転写時に
は、電着膜と被転写媒体とを接触させて、加熱及び/又
は加圧すること、さらには、電着膜がアニオン性又はカ
チオン性化合物からなる場合、その電着膜にアルカリ性
または酸性にした被転写媒体を接触させることにより好
適な転写を行いうる。また、本発明の画像形成方法は、
透明基板上に透明導電膜を形成しその上部に有機半導体
膜又は無機半導体膜を形成した、電極対の一方として機
能する基板の少なくとも前記半導体薄膜を、色材とpH
の変化により化学的に溶解或いは析出・沈降する電着材
料を含有する水系液体であって、該水系液体中の電着材
料の、pHの変化に対する溶解特性が、電着材料の析出
状態が一定期間保持されるヒステリシス曲線を示す水系
液体に接触させた状態で、前記基板と水系液体中に置か
れた電極対の他方である対向電極との間に電流または電
界を印加しつつ、前記透明基板に光照射を行い、光照射
による起電力が発生した部分に電着材料を析出させて画
像を形成することを特徴とする。
【0016】また、本発明の画像形成装置は、透明基板
上に透明導電膜を形成し、その上部に有機半導体薄膜又
は無機半導体薄膜を形成した基板と、色材とpHの変化
により化学的に溶解或いは析出・沈降する電着材料を含
有する水系液体であって、該水系液体中の電着材料の、
pHの変化に対する溶解特性が、電着材料の析出状態が
一定期間保持されるヒステリシス曲線を示す水系液体
満たした容器と、少なくとも画像パターンに従って電流
または電界を供与できる手段と、電極対の他方である対
向電極と、該基板の透明基板上に光照射を行う光源とを
備え、該透明導電膜に該電流または電界を供与できる手
段が接続され、該基板が半導体薄膜が該水系液体に浸漬
されるよう固定され、該対向電極が容器内の水系液体に
浸漬されるように配置されること、を特徴とする。
【0017】以下、本発明をさらに詳細に説明する。ま
ず、アルカリ性あるいは酸性等のpHの変化や電気化学
的な変化により溶解度が変化し、溶解、或いは析出、沈
殿する分子(電着材料)が必要である。電着材料は色素
自身であるか、あるいは透明な高分子がアルカリ性ある
いは酸性で析出する性質を持ち、色材をこの高分子とと
もに分散させて使用してもよい。色材を高分子に分散さ
せて使用する場合には、染料だけではなく、顔料も使用
できる。高い耐光性が要求される画像を形成する場合に
は、水性高分子に顔料を分散させたものを利用するほう
が望ましい。
【0018】このような電気化学的な条件の変化により
溶解或いは析出、沈殿の相変化を起こす特性をもつ化合
物としては、例えば、色素材料としては、pH4以上で
は還元状態をとり水に溶解するが、pH4未満の領域で
は酸化されて中性状態となり析出、沈殿するフルオレセ
イン系の色素であるローズベンガルやエオシン、また、
構造変化を伴わなくても溶液の水素イオン濃度(pH)
によって溶解度が大きく変化するカルボキシル基をもっ
た色素材料(具体的には、耐水性改良インックジェット
染料が挙げられ、これはpH6以上では水に溶けるがそ
れ以下では沈殿する)等が挙げられる。また、高分子材
料としては、pHが6以上では水に溶けるが、それ以下
では沈殿するカルボキシル基を持った高分子の一種であ
る特定の水溶性アクリル樹脂等が挙げられる。また、そ
のほかにも、キノンイミン染料の一つであるオキサジン
系の塩基性染料Cathilon Pure Blue
5GH(C.I.Basic Blue 3)やチアジ
ン系の塩基性染料メチレンブルー(C.I.Basic
Blue 9)はpHが10以下では酸化状態を取り
発色しているがそれ以上になると還元されて不溶化し析
出する。これらの色素を純水中に溶解し、溶液中に電極
を浸し電圧を印加すると、陰極側の電極上にこれらの色
素分子からなる電着膜が生成される。これらの色素電着
膜は、逆電圧を印加するかpH8以下の水溶液に浸すこ
とで、元に戻って水溶液中に再溶出する。
【0019】これら電気化学的に相変化する材料を以
下、適宜、電着材料と称する。電着材料を純水中に溶解
し、溶液中に電極を浸して電圧を印加すると、陽極側の
電極上にこれらの電着材料からなる電着膜が生成され
る。電着材料が有色物質である場合には、そのまま着色
電着膜が形成され、無色あるいは淡色高分子材料である
場合には、この高分子中に顔料を分散させて、溶液中に
電極を浸し電圧を印加すると、陽極側の電極上に顔料及
び高分子が析出して顔料と高分子が混合された電着膜が
形成される。これらの電着膜は、逆電圧を印加するか、
溶解度の高いpH(アニオン性電着材料ではpH10〜
13、カチオン性電着材料ではpH1〜4)の水溶液に
浸すことで、水溶液中に再溶出させることができる。前
記電着膜形成には、ある一定以上の閾値電圧が必要であ
り、電流が流れれば必ず電着膜が形成されるわけではな
い。従って、バイアス電圧を印加しておけば、外部から
入力される電圧レベルは小さくても画像を形成すること
がである。そこで、電着される基板に半導体を用いて、
この入力信号に光を使用すれば所望する位置に任意の電
着膜を形成することができる。以下、このようにして形
成した電着膜を光電着膜と呼ぶ。
【0020】このような光電着膜を形成しうる化合物の
一例として、酸性染料で色素自身が電着形成能力があ
る、ゼネカ社製のPro Jet Farst Yel
low2を例にとって説明する。この染料は、純水(p
H6〜8)に容易に溶解し、アニオンとして水溶液中に
存在しているがpHが6以下になると不溶化して析出す
る性質を持つ。このPro Jet farst Ye
llow2の水溶液中に白金電極を浸し通電すると、陽
極付近では水溶液中のOH- イオンが消費されてO2
なり、水素イオンが増えてpHが低下する。これは、陽
極付近でホール(p)とOH- イオンとが結び付く次の
ような反応が起こるためである。 2OH- +2p+ → 1/2(O2 )+H2 O この反応が起こるには、一定の電圧が必要であり、反応
の進行に伴って水溶液中の水素イオン濃度が増えてpH
が低下するのである。従って、ある一定以上の電圧を印
加すると、電極の陽極側ではPro Jet fars
t Yellow2の溶解度が低下して不溶化し薄膜が
形成されるのである。
【0021】本発明はこの一定の閾値電圧を得るのに半
導体に光を照射して生じる光起電力を利用するものであ
る。このような、光起電力を利用する試みは今までいろ
いろな検討がなされてきた。たとえば、A.Fujis
hima,K.Honda、Nature Vol.2
38,p37,(1972)ではn型半導体のTiO 2
に光を照射して水の電気分解を行った。また、フォトエ
レクトロクロミズムの研究に関連して、Si基板上に光
を照射してピロールを電気化学重合し、ドーピング・脱
ドーピングで画像形成を行った例がH. Yoneya
maらによりJ. Electrochem.So
c.,p2414,(1985)に報告されている。ま
た、本発明者らも、導電性高分子のドーピング・脱ドー
ピングに色素を用い、光で画像形成する方法を特許とし
て先に出願した。一方、導電性高分子を用いることなく
色素のみで電着膜を形成することも可能であるが、電着
膜形成に必要な電圧は、導電性高分子を用いる場合に比
較して大きくなる。一方、光起電力はSiでたかだか
0.6Vであり、画像形成するには光起電力だけでは不
十分である。従って、バイアス電圧を印加してかさ上げ
するなどの方法が考えられるが、それでも一定の電圧
(使用する半導体のバンドギャップに依存した電圧)以
上になると、光起電力の形成に必要な半導体と溶液の間
のショトキーバリアーが壊れてしまうという問題があ
り、印加できるバイアス電圧には限界がある。このた
め、光起電力を用いて物質の酸化還元を利用する水溶液
中での画像形成は、1.0V以下で酸化還元するポリピ
ロールなどの導電性高分子の光重合反応を使うものなど
に限られていた。ところが、本発明者らは上記の分子の
pHによる溶解度の違いを画像形成に利用するため、低
い電圧で有色高分子層の形成が可能であり、種々の半導
体を用いた光起電力による電着膜により着色画像形成が
可能となるのである。
【0022】透明な高分子の電着材料としては、分子内
に疎水基と親水基を併せ持ち、該高分子を構成するモノ
マ−単位の疎水基数が親水基と疎水基の総数の割合の4
0%から80%の範囲であり、親水基部分の50%以上
がpHの変化により親水基から疎水基に可逆的に変化で
きる特性を有し、且つ、酸価が30〜600である共重
合体を用いることが、析出性および形成された電着膜の
保持性の観点から好ましく、これに微粒子色材を併用す
ることにより、耐光性に優れた着色層を形成することが
できる。また、電着材料として、先に述べたように、分
子内にpHを変化させることにより析出・沈降する単位
と、色材単位とを併せ持つ化合物を用いることもでき
る。
【0023】次に、本発明の画像形成方法に用いる基体
について述べる。本発明においては、画像(電着膜)の
形成に光起電力を用いることから、基体は透明であるこ
とが好ましいが、光照射方向によっては必ずしも透明で
なくてもよい。基体は半導体の基体としても好適に使用
しうるガラス基体、アモルファスシリコン基体等が挙げ
られる。このような基体上にまず、透明な導電層を形成
するが、この導電層は公知のものを任意に使用すること
ができ、例えば、汎用のITO膜を形成すればよい。
【0024】この透明な導電層上に有機もしくは無機の
半導体層を形成する。この半導体層としては、基本的に
は光照射により起電力を発生する薄膜基板であれば全て
使用できる。具体的には、有機半導体としては、フタロ
シアニン誘導体、ペリレン誘導体、ポリビニルカルバゾ
ール(PVK)、ポリアセチレン等が、無機半導体とし
てはGa−N、ダイヤモンド、C−BN、Si、Si
C、Ga、GaAs、CdS、CdSe、CdTe、A
lSb、Inp、ZnSe、TiO2 、ZnOなどが挙
げられる。
【0025】なかでも、酸化被膜形成による起電力の低
下がない酸化チタンや酸化亜鉛等が好適である。特に、
酸化チタンは吸収が400nm以下にしかなく透明であ
り、画像形成用の基板としてそのまま使用することが可
能である。また、近年、酸化チタンはゾル・ゲル法、ス
ッパタリング法、電子ビーム蒸着法などいろいろな手法
でn型半導体として特性の良いものが得られている。
【0026】ここで好適な透明半導体であるTiO2
ついて述べる。TiO2 は透明な酸化物半導体で紫外線
を照射すると光起電力が発生する。従って、基板の裏か
ら紫外線を当てれば透明な基板上に光電着膜を形成する
ことができる。TiO2 の製膜方法についてはいくつか
の方法が知られている。例えば、熱酸化膜法、スパッタ
リング法、エレクトロンビーム法(EB法)、ゾル・ゲ
ル法などが有名である。われわれは、EB法とゾル・ゲ
ル法でTiO2 の製膜を行った。ところが、通常の製膜
法では効率が悪く電着に必要な光電流が流れない。そこ
で、光電流の変換効率を高めるために還元処理を行っ
た。還元処理は、通常は水素ガス中で550度程度で加
熱するのが普通である。例えば、Y.Hamasaki
らはJ.Electrochem. Soc. Vo
l.141, No3.p660,1994では水素ガ
ス中で約550度で1時間程度で加熱している。ところ
が、我々は約360度で10分間という低温かつ短時間
の処理で十分な効果を得た。これは、3%の水素混合窒
素ガスを用いて1分間に1リットルの流量を流しながら
加熱することで達成できたのである。
【0027】また、太陽電池などで実用化されている、
Si系の半導体は一般に酸化膜SiO2 が大気中でも自
然に生じる。なお、SiO2 は絶縁体であるために電着
膜形成用の基板としては電気抵抗がまして好ましくな
い。また、水溶液中では、酸化膜が成長して通電すれば
するほど電気抵抗が増すという問題があった。この問題
は、半導体層上に酸化膜の保護層を設けることにより解
消することができる。保護層は、下層の半導体の特性を
損なうことなく、それ自身が半導体であることが望まし
い。Si系の半導体の場合、SiCを保護層に使用する
ことが好ましい。SiCはn型、p型ともに製膜が可能
で、導電率を制御することが可能な材料の一つである。
また、SiCはSiと相性が良いばかりではなく酸化膜
を形成しないという性質がありSiの保護層として望ま
しい特性を持っている。この保護層を設けることで、酸
化膜に伴う電圧低下をなくすことができた。
【0028】本発明の画像形成用基体に適用しうる半導
体には、n型半導体とp型半導体があるが、本発明では
いずれの半導体も使用可能である。さらに、pn接合や
pin接合を利用した積層構造にすれば、光電流が良く
流れ確実に起電力が得られてコントラストが良くなりよ
り望ましくなる。
【0029】次に、半導体と電着膜形成能力のある材料
との組合せであるが、これは使用する半導体の極性によ
って決まる。光起電力の形成には太陽電池として良く知
られているように、半導体と接触した界面に生じたショ
トキーバリアやpnあるいはpin接合を利用する。一
例として、図1の模式図によりn型半導体を例にとって
説明する。図1(A)の模式図はショトキー接合の場合
を示し、(B)の模式図はpin接合の場合を示す。n
型半導体と溶液との間にショトキーバリアーがある時
に、半導体側を負にした場合には電流が流れる順方向で
あるが、逆に半導体側を正にした時には電流が流れな
い。ところが、半導体側を正にして電流が流れない状態
でも、光を照射するとエレクトロン・ホールペアが発生
し、ホールが溶液側に移動して電流が流れる。この場
合、半導体電極を正にするのであるから電着される材料
は負イオンでなければならない。従って、n型半導体と
アニオン性分子の組合せとなり、逆にp型半導体ではカ
チオンが電着されることになる。
【0030】一般に、半導体の光起電力は比較的大きな
Siでもせいぜい0.6Vしか得られない。ところが、
0.6Vで電着が可能な材料は限られている。そこで、
足りない電圧はバイアス電圧を印加して補う必要があ
る。印加できるバイアス電圧の上限は、ショトキーバリ
アーが維持される限界までである。ショトキーバリアー
が壊れると、光が当たってない領域も電流が流れて、半
導体基板の全領域に電着膜が形成され画像形成ができな
くなる。例えば、2.0Vで電着される材料であれば
1.5Vのバイアス電圧を印加して光を照射すると、半
導体の光起電力0.6Vを足して2.1Vとなり電着に
必要な閾値電圧を越えて、光が照射された領域のみ光電
着膜が形成される。
【0031】ここで、本発明の画像形成方法に好適に使
用しうる半導体基板の構成を説明する。図2(A)は透
明なn型半導体基板の構成を示す概略断面図である。ホ
ウケイ酸ガラス基体(厚み:1.0mm)上に、透明電
極(ITO)が形成され、さらに厚み250nmの酸化
チタン半導体層が形成されている。図2(B)はpin
構造を有するa−Si(アモルファスシリコン)基板の
構成を示す概略断面図である。ホウケイ酸ガラス基体
(厚み:1.0mm)上に、透明電極としてのSnO2
透明電極膜が形成され、さらに、n型半導体層a−Si
(厚み:50nm)、i型半導体層a−Si(厚み:3
00nm)、p型半導体層a−Si(厚み:20n
m)、p型半導体層a−SiCが順次積層されており、
最上層の安定なp型半導体層a−SiCが保護層として
の役割を果たしている。図2(C)は、有機PN接合基
板の構成を示す概略断面図である。ホウケイ酸ガラス基
体(厚み:1.0mm)上に、透明電極(ITO)が形
成され、さらに有機半導体ベンズイミダゾールペリレン
層(厚み:50nm)、銅フタロシアニン層(厚み:5
0nm)が順次積層され、銅フタロシアニン層が保護層
としての役割を果たしている。
【0032】この電着膜を形成しうる物質(電着材料)
を選択する目安として電着材料のpHの変化に伴う溶解
特性を図3のグラフに示す。図3は、各種の材料の溶解
特性と溶液のpHとの関係を示すグラフである。材料の
中にはグラフA(実線で示す)のように、あるpH値を
境に急激に析出がおこるもの、グラフB(破線で示す)
の材料のようにpH値に係わらず溶解性が良好なもの、
グラフC(一点破線で示す)の材料のようにpH値に係
わらず不溶なものがあり、これらの特性は材料と用いる
溶媒(分散媒)との関係でも変化する。本発明において
はグラフAに示すような、あるpH値を境に急激に析出
がおこるものが好ましく、また、このグラフAが所謂ヒ
ステリシス曲線を示すように、pH値の変化に対して、
再溶解が急激に行われず、析出状態で一定期間保持され
るものが、形成された画像の安定性の観点からは理想的
である。従って、このような特性を有する電着材料と溶
媒との組み合わせを選択することが好ましい。
【0033】本発明の画像形成方法に利用されているイ
オン性分子とは、アニオン性、カチオン性等の分子から
なり、pHの変化によって前記の如く溶解度が変化する
材料であれば公知のイオン性分子のいずれも使用可能で
ある。具体的には、トリフェニルメタンフタリド系、フ
ェノサジン系、フェノチアジン系、フルオラン系、イン
ドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフタリド系、
ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール系、ロイコオ
ーラミン系、アゾメチン系、ローダミンラクタル系、ナ
フトラクタム系、トリアゼン系、トリアゾールアゾ系、
チアゾールアゾ系、アゾ系、オキサジン系、チアジン
系、ベンズチアゾールアゾ系、キノンイミン系の化合物
等が代表的な者として挙げられる。
【0034】これらの電着材料としては1種類の化合物
の使用のみならず、2種以上の化合物を組み合わせて用
いることもできる。例えば、(1)2種類以上のアニオ
ン性分子の混合物や2種類以上のカチオン性分子の混合
物のような同極性分子の混合物、(2)アニオン性分子
とカチオン性分子の混合物のような異極性分子の混合
物、(3)染料と顔料の混合物、(4)高分子と顔料の
混合物などさまざまな混合物の組み合わせで使用でき
る。2種以上の化合物がそれぞれ異なる色相を有する場
合には、混合色が得られることになる。混合物の場合に
は、単体でpHの変化によって溶解度が変化し薄膜が形
成されるという性質を持っている物質が少なくとも1種
類含まれる必要がある。この物質と併用することによ
り、単体では薄膜形成能力が無い材料であっても、膜形
成時には製膜能力がある材料に取り込まれた状態で電着
膜が形成されるため混合色が得られるのである。例え
ば、フルオレセイン系の色素であるローズベンガルやエ
オシンはpH4以上では還元状態をとり水に溶けるが、
それ以下では酸化されて中性状態となり沈殿する。同様
にジアゾ系のPro Jet Farst Yello
w2や、ある種の水溶性アクリル樹脂はpH6以上では
水に溶けるが、それ以下では沈殿する。これらの分子を
純水中に溶解し、溶液中に電極を浸し電圧を印加する
と、陽極側の電極上にこれらの分子からなる電着膜が生
成される。これらの電着膜は、逆電圧を印加するかpH
10〜12の水溶液に浸すことで、水溶液中に再溶出さ
せることができる。このように、ローズベンガルやエオ
シンやPro JetFarst Yellow2は単
体で電着膜形成能力がある材料であるが、これに電着膜
形成能力がない色素材料を混合すると混色の電着膜が得
られる。この時、混合する色素材料はイオン性があって
も無くても良い。また、組み合わせる物質の特性によっ
ては、イオンの極性が異なるもの同士も併用することが
できる。
【0035】2種類のイオンを混合した場合について考
えてみる。一般に、塩基性溶液と酸性溶液を混合すると
中和して錯体など別の析出物を生じて沈殿する。このた
め、2種類の色素を混合して混合色を出す場合には無極
性の顔料を使うか、同極性の材料を分散させるのが一般
的である。ところが、ある種の染料同士では、錯体が形
成されずイオンが共存した状態を取る。この場合には、
塩基性溶液と酸性溶液を混合しても析出物を抑えること
ができ、異なる極性のイオン同士の組み合わせでも使用
することができる。我々は、この性質を利用して2種類
の色素イオンを混合した場合について考察した。
【0036】まず第一に極性が同じ2種類のイオン、例
えばアニオン性で電着膜形成能力があるローズベンガル
(赤色)と同じアニオン性ではあるが電着膜形成能力が
ないブリリアントブルー(青色)を混合した混合溶液中
で、電気化学的に酸化させると電極には混合液の色と同
じ紫色の電着膜が形成される。これは、電着膜形成能力
があるローズベンガルにブリリアントブルーのイオンが
取り込まれて製膜されるからである。このように、極性
が同じ2種類のイオンを混合する場合には、いずれか1
種類のイオンに電着膜形成能力があればよい。
【0037】次に極性が異なる2種類のイオン、例えば
アニオン性で電着膜形成能力があるPro Jet F
arst Yellow2(黄色)とカチオン性で電着
膜形成能力があるCathilon Pure Blu
e 5GH(青色)を混合した混合溶液中で、電気化学
的に酸化させると電極には混合液の色と同じ緑色の電着
膜が形成される。逆に電気化学的に還元させると電極に
はCathilonPure Blue 5GH単体の
青色の電着膜が形成される。このようなイオン性化合物
の特性について説明するに、例えば、図4のグラフに示
すように一方の化合物がグラフA(実線で示す)のよう
に、中性領域では溶媒中に溶解しており、ある低pH値
において急激に析出がおき、他方の化合物はグラフB
(破線で示す)の材料のようにある中性領域では溶媒中
に溶解し、高pH値において急激に析出がおきる特性を
有する場合、中性領域では高い溶解性を保持し、特定p
H値において、溶解、析出の相変化を生じるため、併用
が可能となる。このような特性を有する場合、アニオン
性の色素溶液とカチオン性の色素溶液の混合液中で電気
化学反応をさせると印加する電圧の極性を変化させるだ
けで、同一の電極上に異なった色素の電着膜を形成でき
るのである。
【0038】次に顔料を色材として用いる場合には、電
着性のある透明あるいは淡色の高分子材料、例えば水溶
性アクリル樹脂や水溶性スチレン樹脂と組合せ、水溶液
中に分散させて使用すればよく、同じように電着材料が
電着膜を形成するとき、顔料を含む有色電着膜が得られ
るのである。
【0039】次に溶液の導電率とpHについて述べる。
導電率は我々の実験によると電着スピードいいかえれ
ば、電着量に関連しており、導電率が高くなればなるほ
ど一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり約100
mS/cm2 で飽和する。(図5参照)従って、色素イ
オンだけでは導電率が足りない場合には電着特性に影響
を与えない酸性又はアルカリ性物質、例えば、Na+
オンやCl- イオンを加えてやることで電着スピードを
コントロールすることができ、例えば、5V以下の電圧
の印加によっても電着膜の形成を可能にすることもでき
る。また、水溶液のpHも当然ながら電着膜の形成に影
響する。例えば、電着膜形成前には色素分子の溶解度が
飽和するような条件で電着膜形成を行えば膜形成後には
再溶解しにくい。ところが、未飽和状態の溶液のpHで
電着膜の形成を行うと、電着膜が形成されても、通電を
やめた途端に膜が再溶解し始める。従って、溶解度が飽
和するような溶液のpHで電着膜の形成を行うほうが望
ましい。
【0040】次に画像の階調性について述べる。画像の
階調性は電着膜の膜厚の変化により達成できるが、電着
膜の膜厚は電着時の通電電荷量によって制御することが
できる。通電電荷量は、(a)印加するバイアス電圧の
強さ、(b)光照射の時間、(c)照射する光強度、の
いずれか1種以上を制御することで制御することができ
る。つまり画像形成時の光強度、バイアス電圧、電圧印
加時間によって形成される画像の膜厚を制御することが
でき、階調性のある画像を容易に形成できるのである。
【0041】この画像(電着膜)は、紙等の被転写媒体
に転写することもできる。画像の転写は一般に、電着膜
形成時とは逆の電圧を印加することで可能である。しか
し、色素分子のpHによる溶解度の違いを利用している
ため、電圧を印加しなくても、pHを変化させてやれば
容易に転写できる。即ち、電着膜がアニオン性分子によ
り形成されている場合、電着膜形成面とアルカリ性の表
面を有する被転写媒体とを接触させることにより、ま
た、電着膜がカチオン性分子により形成されている場
合、電着膜形成面と酸性の表面を有する被転写媒体とを
接触させることにより、容易に転写しうる。また、融点
や軟化点を有するような電着材料を用いた場合、電着膜
形成面と被転写媒体とを接触させ、加熱する、圧力を加
える、又は加熱と加圧とを同時に行うことで、容易に転
写媒体に転写できる。
【0042】本発明の画像形成方法について、図6を参
照して説明する。まず、前述のような透明基板12上に
透明導電膜14を形成し(図6(A))、その上部に半
導体薄膜16を形成した基板18(図6(B))を準備
する。次に、図7に示す如き電気化学で一般的な三極式
の配置の装置を用いて、液体を保持し得る容器20内に
色材とpHの変化により化学的に溶解或いは析出・沈降
する電着材料とを含有する水系液体22を満たして、さ
らに、容器20内に少なくとも画像パターンに従って電
流または電界を供与できる手段24を透明導電膜14に
接続した該基板18を半導体薄膜(電極)16が該水系
液体22に浸漬されるよう固定するとともに、電極対の
他方である対向電極26を同様に容器20内に配置す
る。なお、半導体薄膜はその表面が水系液体に接触して
いる状態に配置してもよい。一方、飽和カロメル電極2
5を、基準液体界面として飽和塩化カリウム水溶液を満
たした容器23に配置し、前記電着材料を含む容器22
との間に塩橋27を設けた。ここで、飽和カロメル電極
25に対して、TiO2 電極16を作用電極として利用
する。
【0043】該基板18の透明基板12上に所定のマス
クパターン28を配置して光照射を行うと、光照射によ
る起電力が発生した部分に選択的に電着材料と色材とを
含む有色電着膜30が析出し、画像が形成される(図6
(C))。この有色電着膜が形成された基板18を水系
液体22から取り出して溶媒を除去することにより、着
色層30を固定化する。なお、ここではマスクパターン
28を配置して起電力を発生させる部分を決定したが、
マスクパターン28を用いず、直接レーザー光により書
き込みを行うことにより、所定の部分に光照射による起
電力を発生させることもできる。この画像30は、紙等
の被転写媒体31に転写することもできる(図6
(D))。
【0044】飽和カロメル電極電位は20℃、25℃、
30℃においてそれぞれ0.2444V、0.2412
V、0.23878Vであり、ほぼ接地電位=0Vに等
しい。画像を形成するに当たっては、飽和カロメル電極
を使用せず、容器(電解液)をアース接続して使用する
こともできるが、ワーク電極(析出側電極)の電位を明
確にするため、前記のように電解液を飽和カロメル電極
に接続し電解液表面の電位を飽和カロメル電極の標準電
位に設定してもよい。
【0045】次に、光電着膜作製用の露光装置について
述べる。この露光方法としては、レーザーを光源とし
て、走査露光を行う方法、マスクパターンを介して全面
露光をする方法等が挙げられ、後者の場合、光源として
は、基板全領域を均一に照射しうる均一照射光源を用い
ることが好ましい。また、露光する光の波長は、半導体
に感度がある波長という観点から決定される。通常は水
銀灯や水銀キセノンランプ、キャノンランプ、He−C
dレーザー、He−Neレーザー、N2 レーザー、エキ
シマレーザー、半導体レーザーなどが好適に使われる。
【0046】露光装置は、図7に模式図で示したよう
な、マスクパターンを用いる全面露光を使用する画像形
成装置の他、図8に概略構成図で示すような、He−N
eレーザーを用いて走査露光により画像形成に必要な光
照射を行う画像形成装置を用いることもできる。この装
置によれば、所定のマスクパターンによらず、スキャナ
ーコントローラーに画像情報を入力することにより、自
由な像様露光が可能となる。
【0047】また、電着膜析出と転写とを含む画像形成
を連続的に行うために、図9に概略構成図で示すよう
な、ロール状の電極基板を有する連続画像形成装置を用
いることもできる。本発明の画像形成装置は、これらに
限定されず、前記構成要素を備えるものであれば、公知
の部材を組み合わせて種々の変形例が可能である。
【実施例】
【0048】以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。 (実施例1)図2(A)に示すようにITO基板上にE
B(Elecrton Beam)蒸着により200n
mTiO2 を蒸着する。つぎに、光半導体の導電性を上
げるために還元処理を行う。還元処理は、3%の水素ガ
スが混合された純窒素ガス中で350度で10分間アニ
ールすることを行った。これを、図7に示したように電
気化学で一般的な三極式の配置において、0.02Mの
Pro Jet Farst Yellow2を含む水
溶液中で、飽和カロメル電極に対しTiO2 電極を作用
電極として利用し、作用電極を2.0Vにして基板の裏
側から水銀キセノンランプをフォトマスクを介して10
秒間光を照射したところ、TiO2 表面に光が照射され
た領域だけPro Jet Farst Yellow
2の薄膜による画像が形成された。この画像が描かれた
TiO2 基板をpH10のアルカリ性水溶液を含んだ紙
に接触させたところPro Jet Farst Ye
llow2が再溶解してして、紙に画像が転写された。
【0049】(実施例2)図2(A)に示すように厚さ
1mmのガラス基板にITOの透明導電膜をスパッタリ
ングで100nm製膜し、さらに250nmのTiO2
を製膜する。つぎに、TiO2 の光電流特性を上げるた
めに還元処理を行う。還元処理は、3%の水素ガスが混
合された純窒素ガス中で350度で10分間アニールす
ることを行った。これを、実施例1と同様に電気化学で
一般的な三極式の配置において、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎
水基)のモル比65%、酸価150)とアゾ系赤色超微
粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む
水溶液中で、飽和カロメル電極に対しTiO2 電極を作
用電極として利用し、作用電極を1.7Vにして基板の
裏側から水銀キセノンランプ(山下電装製、波長365
nmの光強度50mW/cm2 )をフォトマスクを介し
て10秒間光を照射したところ、TiO2 表面に光が照
射された領域だけ赤色の薄膜による画像が形成された。
この画像が描かれたTiO2 基板を紙に接触させ、加圧
しながら、150℃に加熱したところ赤色の画像が紙に
転写された。
【0050】(実施例3)図2(B)に示すようにSn
2 の透明導電膜を蒸着したホウケイ酸ガラス基板の上
に、n型のa−Siを50nm、i型のa−Siを30
0nm、p型のa−Siを20nmのp型のa−SiC
を20nmの順で積層する。このpin構造を持ったa
−Si基板を図7に示したように電気化学で一般的な三
極式の配置において、0.02MのPro Jet F
arst Yellow2を含む水溶液中で、飽和カロ
メル電極に対しSnO2電極を作用電極として利用し、
作用電極を1.8Vにして基板の裏側からキセノンラン
プをフォトマスクを介して、10秒間光を照射したとこ
ろ、p−SiC表面に光が照射された領域だけProJ
et Farst Yellow2の薄膜による黄色い
画像が得られた。この画像が描かれたpin基板をpH
10のアルカリ性水溶液を含んだ紙に接触させたところ
Pro Jet Farst Yellow2が再溶解
してして、紙に黄色い画像が転写された。
【0051】(実施例4)有機PN接合基板は、図2
(C)に示したように透明導電膜(ITO)付きのホウ
ケイ酸ガラスの上にペリレン誘導体であるベンズイミザ
ゾールペリレンを50nm、銅フタロシアニンを50n
mの順で積層する。これを図7に示した電気化学で一般
的な三極式の配置において、0.02MのPro Je
t Farst Yellow2を含む水溶液中で、飽
和カロメル電極に対し透明導電膜電極を作用電極として
利用し、作用電極を1.8Vにして基板の裏側からキセ
ノンランプをフォトマスクを介して、10秒間光を照射
したところ、銅フタロシアニン層表面に光が照射された
領域だけPro Jet Farst Yellow2
の薄膜による黄色い画像が得られた。この画像が描かれ
たpin基板をpH10のアルカリ性水溶液を含んだ紙
に接触させたところPro Jet Farst Ye
llow2が再溶解してして、紙に黄色い画像が転写さ
れた。
【0052】(実施例5)図2(B)に示したようにS
nO2 の透明導電膜を蒸着したホウケイ酸ガラス基板の
上に、p型のa−Siを50nm、i型のa−Siを3
00nm、n型のa−Siを20nmのn型のa−Si
Cを20nmの順で積層する。このpin構造を持った
a−Si基板を図7に示したように電気化学で一般的な
三極式の配置において、0.02MのCathilon
Pure Blue 5GHを含む水溶液中で、飽和
カロメル電極に対しSnO2 電極を作用電極として利用
し、作用電極を−0.7Vにして基板の裏側からキセノ
ンランプをフォトマスクを介して、10秒間光を照射し
たところ、n−SiC表面に光が照射された領域だけC
athilon Pure Blue 5GHの薄膜に
よる青色の画像が得られた。この画像が描かれたpin
基板をpH5の酸性水溶液を含んだ紙に接触させたとこ
ろCathilon Pure Blue 5GHが再
溶解してして、紙に青色の画像が転写された。
【0053】(実施例6)図2(A)に示すように厚さ
1mmのガラス基板にITOの透明導電膜をスパッタリ
ングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル法
により250nmTiO2 を製膜する。製膜はITO基
板上にスピンコート法でTiO2 のアルコキシド(日本
曹達製、アトロンNTi−092)を回転速度1500
回転、20秒間で製膜したあと、約500度で1時間加
熱すればTiO2 の膜が形成される。還元処理は、実施
例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中
で350度で10分間アニールすることを行った。これ
を、図7に示したように電気化学で一般的な三極式の配
置において、0.01MのPro Jet Farst
Yellow2と0.01MのCathilon P
ure Blue 5GHを混合させた水溶液中で、飽
和カロメル電極に対しTiO2 電極を作用電極として利
用し、作用電極を2.0Vにして基板の裏側から水銀キ
セノンランプ(山下電装製、波長365nmの光強度5
0mW/cm2 )をフォトマスクを通して10秒間光を
照射したところ、TiO2 表面に光が照射された領域だ
け緑色の画像が形成された。この画像が描かれたTiO
2 基板を紙に接触させ、加圧しながら、150℃に加熱
したところ緑色の画像が紙に転写された。
【0054】(実施例7)実施例6と同様にITO基板
上にゾル・ゲル法により200nmTiO2 を製膜す
る。製膜はITO基板上にスピンコート法でTiO2
アルコキシドを製膜し約550度で1時間加熱すればT
iO2 の膜が形成される。還元処理は、実施例1と同様
に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で350度
で10分間アニールすることを行った。これを、図7に
示したように電気化学で一般的な三極式の配置におい
て、0.02MのPro Jet Farst Yel
low2を含む水溶液中で、飽和カロメル電極に対しT
iO2 電極を作用電極として利用し、作用電極を2.0
Vにして基板の裏側からHe−Cdレーザーを光源とす
るガルバノスキャナー装置で画像を描画した。レーザー
のスキャンスピードは1mm/secで行った。する
と、TiO2 表面に光が照射された領域だけProJe
t Farst Yellow2の薄膜による黄色い画
像が形成された。この画像が描かれたTiO2 基板をp
H10のアルカリ性水溶液を含んだ紙に接触させたとこ
ろPro Jet Farst Yellow2が再溶
解してして、紙に黄色い画像が転写された。
【0055】(実施例8)実施例3と同様にSnO2
透明導電膜を蒸着したホウケイ酸ガラス基板の上に、n
型のa−Siを50nm、i型のa−Siを300n
m、p型のa−Siを20nmのp型のa−SiCを2
0nmの順で積層する。このpin構造を持ったa−S
i基板を図7に示したように電気化学で一般的な三極式
の配置において、0.02MのPro Jet Far
st Yellow2を含む水溶液中で、飽和カロメル
電極に対しSnO2 電極を作用電極として利用し、作用
電極を1.8Vにして基板の裏側からHe−Neレーザ
ーを光源とするガルバノスキャナー装置で画像を描画し
た。レーザーのスキャンスピードは1mm/secで行
った。すると、p−SiC表面に光が照射された領域だ
けPro Jet Farst Yellow2の薄膜
による黄色い画像が得られた。この画像が描かれたpi
n基板をpH10のアルカリ性水溶液を含んだ紙に接触
させたところPro Jet Farst Yello
w2が再溶解してして、紙に黄色い画像が転写された。
【0056】(実施例9)QCM法(水晶振動子マイク
ロバランス法)で一定時間に電着される色素量を、導電
率を変化させて電着量の導電率に与える影響を調べた。
電着材料は0.01MのPro Jet Farst
Yellow2で、導電率はNaClを加えることで変
化させた。QCM装置は北斗電工製のもので、電極はイ
オンプレーティングで製膜したAu電極である。付着量
は水晶振動子の周波数の変化量であり、電着された素の
質量に比例する。図5に示すように、約50mS/cm
まではほぼ比例するが、その後約100mS/cmで飽
和することがわかった。
【0057】(実施例10)図2(A)に示すように厚
さ1mmのガラス基板にITOの透明導電膜をスパッタ
リングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル
法により250nmTiO2 を製膜する。製膜はITO
基板上にスピンコート法でTiO2 のアルコキシド(日
本曹達製、アトロンNTi−092)を回転速度150
0回転、20秒間で製膜したあと、約500度で1時間
加熱すればTiO2 の膜が形成される。還元処理は、実
施例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス
中で350度で10分間アニールすることを行った。こ
れを、実施例1と同様に電気化学で一般的な三極式の配
置において、スチレンーアクリル酸共重合体(分子量1
3,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65
%、酸価150)とフタロシアニン系超微粒子シアン顔
料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液
中で、飽和カロメル電極に対しTiO2 電極を作用電極
として利用し、作用電極を1.8Vにして基板の裏側か
ら水銀キセノンランプ(山下電装製、波長365nmの
光強度50mW/cm2 )を、シアンに着色したい領域
のみ透過性があるように予め作製しておいたフォトマス
クを介して10秒間光を照射したところ、TiO2 表面
に光が照射された領域だけシアンの薄膜による画像パタ
ーンが形成された。
【0058】次に、水洗した後、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎
水基)のモル比65%、酸価150)と、アゾ系超微粒
子マゼンタ顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料
を含む水溶液中で、飽和カロメル電極に対しTiO2
極を作用電極として利用し、作用電極を1.8Vにして
基板の裏側から水銀キセノンランプ(山下電装製、波長
365nmの光強度50mW/cm2 )を、マゼンタに
着色したい領域のみ透過性があるように予め作製してお
いたフォトマスクを介して10秒間光を照射したとこ
ろ、TiO2 表面に光が照射された領域だけマゼンタの
薄膜による画像パターンが形成され、シアンとマゼンタ
の2色画像が形成された。
【0059】さらに水洗した後、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎
水基)のモル比65%、酸価150)と、アゾ系超微粒
子イエロー顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料
を含む水溶液中で、飽和カロメル電極に対しTiO2
極を作用電極として利用し、作用電極を1.8Vにして
基板の裏側から水銀キセノンランプ(山下電装製、波長
365nmの光強度50mW/cm2 )を、イエローに
着色したい領域のみ透過性があるように予め作製してお
いたフォトマスクを介して10秒間光を照射したとこ
ろ、TiO2 表面に光が照射された領域だけイエローの
薄膜による画像パターンが形成され、シアン、マゼン
タ、イエローの3色画像が形成された。
【0060】さらに水洗した後、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎
水基)のモル比65%、酸価150)と、カーボンブラ
ック(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分
散させた顔料を含む水溶液中で、飽和カロメル電極に対
しTiO2 電極を作用電極として利用し、作用電極を
1.6Vにして基板の裏側から水銀キセノンランプ(山
下電装製、波長365nmの光強度50mW/cm2
を、ブラックに着色したい領域のみ透過性があるように
予め作製しておいたフォトマスクを介して10秒間光を
照射したところ、TiO2 表面に光が照射された領域だ
けブラックの薄膜による画像パターンが形成され、4色
フルカラーの画像が形成された。この画像が描かれたT
iO2 基板を紙に接触させ、加圧しながら、150℃に
加熱したところフルカラーの画像が紙に転写された。
【0061】
【発明の効果】本発明の画像形成方法によれば、有機半
導体又は無機半導体からなる基板上にわずか数Vの低い
電圧で電着膜の画像を形成することができ、さらに、光
起電力を有する半導体を利用して光の照射部分のみに光
強度に応じた電着膜の画像を形成することができるとい
う、優れた効果を奏する。さらに本発明の画像形成装置
によれば、高解像度で階調性の制御が容易な高画質の画
像を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はショトキー接合、(B)はpin接合
の場合の半導体のエネルギーバンドを示す模式図であ
る。
【図2】(A)は透明なn型半導体基板の構成を示す概
略断面図であり、(B)はpin構造を有するa−Si
基板の構成を示す概略断面図であり、(C)は有機pn
接合基板の構成を示す概略断面図である。
【図3】電着材料のpHの変化に伴う溶解特性を示すグ
ラフである。
【図4】異なる極性を示し、かつ、併用可能な2つの電
着材料のpHの変化に伴う溶解特性を示すグラフであ
る。
【図5】導電率を変化させた時の電着材料の電着量の変
化を示すグラフである。
【図6】(A)〜(D)本発明の画像形成プロセスを示
す概略断面図である。
【図7】実施例の画像形成に用いた装置の概略構成図で
ある。
【図8】He−Neレーザーを用いて走査露光により光
照射を行う画像形成装置の概略構成図である。
【図9】ロール状の電極基板を有する連続画像形成装置
の概略構成図である。
【符号の説明】
12 透明基板 14 透明導電膜 16 半導体薄膜 18 基板 20 液体を保持し得る容器 22 電着材料を含有する水系液体(電着液) 24 電流/電界供与手段 26 対向電極 25 飽和カロメル電極 27 塩橋 28 マスクパターン 30 有色電着膜(画像)
フロントページの続き (72)発明者 夫 龍淳 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリー ンテクなかい 富士ゼロックス株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭63−237085(JP,A) 特開 平4−104101(JP,A) 特開 平9−34147(JP,A) 特開 昭59−50604(JP,A) 特開 平6−116540(JP,A) 特表 平8−511816(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/05 B05D 1/28 B41M 1/00 - 3/06

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に透明導電膜を形成し、その
    上部に有機半導体膜又は無機半導体膜を形成した基板を
    準備し、 液体を保持しうる容器内に色材とpHの変化により化学
    的に溶解或いは析出・沈降する電着材料を含有する水系
    液体であって、前記水系液体中の電着材料の、pHの変
    化に対する溶解特性が、電着材料の析出状態が一定期間
    保持されるヒステリシス曲線を示す水系液体を準備し、 電流または電界を供与できる手段を透明導電膜に接続し
    た該基板を半導体薄膜が該水系液体に浸漬されるよう固
    定するとともに、電極対の他方である対向電極を合わせ
    持つ装置を該容器内に配置し、 該透明基板上に光照射を行い、光照射による起電力が発
    生した部分に選択的電着材料を含む電着膜を析出させて
    画像を形成すること、を特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記画像形成された透明基板上の色素を
    含む電着膜を、被転写媒体に転写して、被転写媒体上に
    画像を形成することを特徴とする請求項1記載の画像形
    成方法。
  3. 【請求項3】 前記電着材料が高分子材料であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記高分子材料が、分子内に疎水基と親
    水基を持ち、該高分子の疎水基数が親水基と疎水基の総
    数に対し40%から80%の範囲であり、親水基部分の
    50%以上がpHの変化により親水基から疎水基に可逆
    的に変化できる特性を有し、且つ、酸価が30〜400
    である高分子材料であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 前記基体上に形成された半導体薄膜がn
    型半導体からなり、前記電着材料として分子内にカルボ
    キシル基を持つ化合物を用いることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 前記基体上に形成された半導体薄膜が、
    n型半導体とp型半導体を順に積層したpn接合、また
    はn型半導体、i型半導体、p型半導体を順に積層した
    pin接合を持つ半導体からなり、前記電着材料として
    分子内にカルボキシル基を持つ化合物を用いることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記基体上に形成された半導体薄膜がp
    型半導体からなり、前記電着材料として分子内にアミノ
    基またはイミノ基を持つ化合物を用いることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記基体上に形成された半導体薄膜が、
    p型半導体とn型半導体を順に積層したpn接合、また
    はp型半導体、i型半導体、n型半導体を順に積層した
    pin接合を持つ半導体からなり、前記電着材料として
    分子内にアミノ基またはイミノ基を持つ化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方
    法。
  9. 【請求項9】 前記半導体としてn型酸化物半導体を使
    用し、水溶液中においても画像形成を可能にしたことを
    特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  10. 【請求項10】 前記半導体として、酸化チタンを水素
    雰囲気下で加熱して還元処理したn型酸化チタン半導体
    を使用したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画
    像形成方法。
  11. 【請求項11】 前記半導体として、n型半導体として
    ペリレン誘導体を、p型半導体としてフタロシアニン誘
    導体を使用したことを特徴とする請求項1又は2に記載
    の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 前記電着材料を含有する水系液体に、
    電着特性に影響を与えない酸又はアルカリを添加して水
    系液体のpHをコントロールすることにより、電着速度
    を向上させることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    画像形成方法。
  13. 【請求項13】 前記電着材料を含有する水系液体に、
    電着特性に影響を与えない塩を添加して水系液体の導電
    率をコントロールすることにより、電着速度を向上させ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方
    法。
  14. 【請求項14】 前記電着材料を含有する水系液体に、
    析出させたい電着材料として導電性材料を用いることに
    より、電着時の製膜スピードが低下しないようにして電
    着速度を向上させることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の画像形成方法。
  15. 【請求項15】 前記透明基板上に光照射を行い、光照
    射による起電力が発生した部分に選択的電着材料を含む
    電着膜を析出させて画像を形成する際に、(a)印加す
    るバイアス電圧の強さ、(b)光照射の時間、(c)照
    射する光強度、のいずれか1種以上を制御することで通
    電時の電荷量を調整し、析出する電着膜の量を制御し、
    画像に階調性を持たせることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の画像形成方法。
  16. 【請求項16】 前記電着膜を、被転写媒体に転写する
    際に、電着膜形成面と被転写媒体とを接触させ、熱及び
    圧力を加えることにより、電着膜を被転写媒体に転写す
    ることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  17. 【請求項17】 前記電着膜を、被転写媒体に転写する
    際に、電着膜形成面と被転写媒体とを接触させ、画像形
    成時と逆の電圧を印加することにより、電着膜を被転写
    媒体に転写することを特徴とする請求項2に記載の画像
    形成方法。
  18. 【請求項18】 前記電着膜がアニオン性分子により形
    成されており、電着膜形成面とアルカリ性の表面を有す
    る被転写媒体とを接触させることにより、電着膜を被転
    写媒体に転写することを特徴とする請求項2に記載の画
    像形成方法。
  19. 【請求項19】 前記電着膜がカチオン性分子により形
    成されており、電着膜形成面と酸性の表面を有する被転
    写媒体とを接触させることにより、電着膜を被転写媒体
    に転写することを特徴とする請求項2に記載の色材析出
    膜の形成方法。
  20. 【請求項20】 透明基板上に透明導電膜を形成し、そ
    の上部に有機半導体膜又は無機半導体膜を形成した、電
    極対の一方として機能する基板の少なくとも前記半導体
    薄膜を、色材とpHの変化により化学的に溶解或いは析
    出・沈降する電着材料を含有する水系液体であって、前
    記水系液体中の電着材料の、pHの変化に対する溶解特
    性が、電着材料の析出状態が一定期間保持されるヒステ
    リシス曲線を示す水系液体に接触させた状態で、前記基
    板と電極対の他方である対向電極との間に、前記水系液
    体を介して、電流または電界を印加しつつ、前記透明基
    板に光照射を行い、光照射による起電力が発生した部分
    に電着材料を析出させて色材析出膜を形成することを特
    徴とする色材析出膜の形成方法。
  21. 【請求項21】 透明基板上に透明導電膜を形成し、そ
    の上部に有機半導体薄膜又は無機半導体薄膜を形成した
    基板と、色材とpHの変化により化学的に溶解或いは析
    出・沈降する電着材料を含有する水系液体であって、前
    記水系液体中の電着材料の、pHの変化に対する溶解特
    性が、電着材料の析出状態が一定期間保持されるヒステ
    リシス曲線を示す水系液体を満たした容器と、少なくと
    も画像パターンに従って電流または電界を供与できる手
    段と、電極対の他方である対向電極と、該基板の透明基
    板上に光照射を行う光源とを備え、 該透明導電膜に該電流または電界を供与できる手段が接
    続され、該基板が半導体薄膜が該水系液体に浸漬される
    よう固定され、該対向電極が容器内の水系液体に浸漬さ
    れるように配置されること、を特徴とする画像形成装
    置。
  22. 【請求項22】 前記光源がレーザーであり、走査レー
    ザー光により像様露光を行うことを特徴とする請求項2
    に記載の画像形成装置。
  23. 【請求項23】 前記光源が、少なくとも基板全領域を
    均一に照射しうる均一照射光源であり、光学マスクを用
    いて像様露光を行うことを特徴とする請求項21に記載
    の画像形成装置。
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