JP2000221315A - フィルターの製造方法及び製造装置 - Google Patents

フィルターの製造方法及び製造装置

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JP2000221315A
JP2000221315A JP11022485A JP2248599A JP2000221315A JP 2000221315 A JP2000221315 A JP 2000221315A JP 11022485 A JP11022485 A JP 11022485A JP 2248599 A JP2248599 A JP 2248599A JP 2000221315 A JP2000221315 A JP 2000221315A
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film
electrodeposition
filter layer
filter
transparent substrate
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JP11022485A
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Shigemi Otsu
茂実 大津
Takashi Shimizu
敬司 清水
Hidekazu Akutsu
英一 圷
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 フィルターの製造方法及び製造装置 【課題】 フォトリソグラフィー工程を必要とせず、
高解像度で制御性が高く、各画素のエッジがシャープな
フィルターの製造方法及びそれに用いる製造装置を提供
する。 【解決手段】 透明な基体上に透明導電膜と透明半導体
薄膜を積層してなる透明基板を着色材及び電着材を含む
電解液に接触させて通電し、電気化学的に着色材を含む
電着材を析出させてフィルター層を形成する電着法を用
いたフィルターの製造方法において、光照射によって像
様に起電力を発生させ選択的に電着材を析出させて電着
膜を形成するフィルター層の形成工程と、フィルター層
を形成した後に乾燥・硬化させ、電着膜を溶解しうる水
溶液を接触させてフィルター層周辺に形成された薄い絶
縁性の電着膜を除去する不要電着膜除去工程とを順次実
施しすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CCDカメラや液晶
表示素子なの各種表示素子やカラーセンサーに使用され
るカラーフィルターの形成技術に関するものであり、着
色層やブラックマトリックスの製造方法に関する。具体
的には、フォトリソ工程を使わずに着色層やブラックマ
トリックスを簡便にしかも高解像度で形成する新規なカ
ラーフィルターの製造方法及びそれに用いる製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、 フィルターの製造方法としては、
(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷法、
(4)インクジェット法、(5)電着法などが知られて
いる。これらのうち、(1)染色法及び(2)顔料分散
法はいずれも技術の完成度は高く、カラー固体撮像素子
(CCD) に多用されているが、フォトリソグラフィの工程
を経てパターニングする必要があり、工程数が多くコス
トが高いという問題がある。これに対して、(3)印刷
法、(4)インクジェット法はいずれもフォトリソグラ
フィ工程を必要としないが、(3)印刷法は顔料を分散
させた熱硬化型の樹脂を印刷し、硬化させる方法であ
り、解像度や膜厚の均一性の点で劣る。(4)インクジ
ェット法は特定のインク受容層を形成し、親水化・ 疎水
化処理を施した後、親水化された部分にインクを吹きつ
けてカラーフィルター層を得る方法であり、解像度の
点、さらに、隣接するフィルター層に混色する確率が高
く、位置精度の点でも問題がある。
【0003】(5)電着法は、水溶性高分子に顔料を分
散させた電解溶液中で、予めパターニングした透明電極
上に70V 程度の高電圧を印加し、電着膜を形成すること
で電着塗装を行い、これを3 回繰り返しR.G.B.のカラー
フィルター層を得る。この方法は、予め、透明電極をフ
ォトリソグラフィーによりパターニングする必要があ
り、これを電着用の電極として使用するため、パターン
の形状が限定されTFT 液晶用には使えないという欠点が
ある。
【0004】また、一般にカラーフィルターはカラーフ
ィルター層だけでは使えず、各カラーフィルター画素間
をブラックマトリックスで覆う必要がある。通常、ブラ
ックマトリックスの形成にはフォトリソグラフィーが使
われており、コストアップの大きな要因の一つである。
従って、R.G.B.の各色相のフィルター層とブラックマト
リックスを含めて考えると、高解像度で、制御性も高
く、さらにフォトリソグラフィーを使用しなくてすみ工
程数も少ない、カラーフィルターの製造方法は知られて
いないのが現状であり、カラーフィルターの製造におい
て、歩留りが上がらずコストが高い原因となっている。
【0005】また、カラー画像のドキュメントは、CPU
の発達と共に高画質化と社会への普及が拡大し、高解像
度の再現技術及び印字プロセスの高信頼の要求が高まっ
ている。そのため、光による画像入力でパターン形成プ
ロセスの簡略化された技術の要求が強い。
【0006】以上の従来技術に対して、本発明者らは、
予めパターニングされた透明導電膜が不要であり、フォ
トリソグラフィの工程なしに任意の画像パターンを形成
できる画像形成方法として、本発明者らは有機あるいは
無機の半導体を基板として利用し、パターン光を照射し
て水溶液中の色素分子を半導体基板上に色素電着膜の形
で析出させることで画像を形成し、それをカラーフィル
ターの製造に適用する方法を見いだし、先に、特願平9
−135410号、同10−113176号、同10−
335330号等を出願した。ここに記載の方法によれ
ば、従来電着法によるカラーフィルターの形成法で必要
であったフォトリソグラフィの工程なしに、微細で複雑
な画素配置であっても対応でき、ブラックマトリックス
の形成が容易で、低コストでカラーフィルターが製造で
きる。
【0007】本発明者らが提案した光電着法によってフ
ィルター層やブラックマトリックス電着膜を形成する場
合、光照射条件により、微細な画素としての電着膜の形
成が可能となるが、これらのフィルター層やブラックマ
トリックスを詳細に観察すると、異なる色相のフィルタ
ー層同士やフィルター層とブラックマトリックスとの界
面において、形成された電着膜のエッジのテーパー等に
起因すると思われる膜の欠陥が生じる場合があることが
判明した。このおような欠陥が発生するとフィルターの
信頼性を低下させることになり、特に微細な画素を形成
する鮮鋭度の高いフィルターの場合にその傾向が著し
く、各画素のエッジがよりシャープで、且つ、各色相の
界面やフィルター層とブラックマトリックスとの界面に
おける欠陥のない、信頼性の高いフィルターの簡易な製
造方法が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フォ
トリソグラフィー工程を必要とせず、工程数も少なく、
高解像度で制御性が高く、各画素のエッジがシャープで
カラーフィルターに適するフィルターの製造方法及びそ
れに用いる製造装置を提供することである。また、微細
で複雑な画素配置であっても対応でき、ブラックマトリ
ックスの形成が容易で、大量生産可能な簡便なフィルタ
ーの製造方法及びそれに用いる製造装置を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者らは、微細な個々の画素におけるエッジ
のシャープネスについて検討し、画素を構成する所望の
電着膜の周囲に漏れ電流やイオンの泳動拡散に起因する
と思われる薄い外輪状の不要な電着膜の形成や所望の電
着膜におけるテーパー部の形成などの現象が見られる点
を見出し、その効率のよい除去について検討し、本発明
を完成した。
【0010】すなわち、本発明のフィルターの製造方法
は、透明な基体上に透明導電膜を形成し、その上部に透
明半導体薄膜を積層してなる透明基板を着色材及び電着
材を含む電解液に接触させて通電し、電気化学的に該透
明基板に着色材を含む電着材を析出させてフィルター層
を形成するフィルターの製造方法において、光照射によ
って像様に起電力を発生させ選択的に電着材を析出させ
て電着膜を形成するフィルター層の形成工程と、該フィ
ルター層を形成した後に乾燥・硬化させ、電着膜を溶解
しうる水溶液を接触させてフィルター層周辺に形成され
た薄い絶縁性の電着膜を除去する不要電着膜除去工程と
を順次実施し、その後、色相の異なる別のフィルター層
又はブラックマトリクス層の形成工程を実施することを
特徴とする。
【0011】本発明の方法によれば、ひとつの電着膜を
形成する毎に、電着膜周辺の所望されない薄層の電着膜
を除去するため、不要な薄膜により絶縁部分が形成され
ることによる、次に形成されるフィルター層やブラック
マトリックスの未形成領域の発生を有効に防止すること
ができ、界面における欠陥のない優れた解像度のフィル
ターを形成することができる。
【0012】より高解像度を達成するためには、基板の
裏面から露光する場合に生じる基板の厚さに依存した光
学的な回折を防止する観点から、前記フィルター層の形
成工程において、像様に起電力を発生させるための光照
射手段として、光源と像様の電着膜形成に必要なフォト
マスクと結像光学系とを備え、該フォトマスクと前記透
明基板との間に結像光学系が位置する構造の光照射手段
を用いることが好ましい。このような結像光学系を備え
る光照射手段を用いることで、本発明の如く着色材を含
む電着膜を形成するために、基板の裏面から露光する必
要がある場合に生じる基板の厚さに依存した光学的な回
折の懸念がなく、基板の所望の深度において鮮鋭な露光
領域を形成することができるため、各画素のエッジがシ
ャープなカラーフィルターを製造することができる。
【0013】前記フィルター層の形成工程を、着色材の
色相を代えて複数回実施することによりカラーフィルタ
ーの製造が可能になる。所望の色相のフィルター層を形
成した後にブラックマトリックスを形成する場合には、
単色のフィルター層あるいは異なる色相の複数のフィル
ター層を形成した後、電圧を印加することでフィルター
層を構成する電着膜の未形成部分に電着膜によるブラッ
クマトリックスを形成することもできるし、前記透明基
板の全面に光を照射しながら通電することで、フィルタ
ー層を構成する電着膜の未形成部分に電着膜によるブラ
ックマトリックスを形成することもできる。
【0014】また、ブラックマトリックスを先に形成し
た後、フィルター層を形成することもできる。即ち、黒
色の着色材を用いて前記したフィルターの形成工程を実
施して、フォトマスクを介して光照射することで所定の
パターンを有するブラックマトリックスを形成し、その
後に同様の方法により黒色以外の色相のフィルター層、
所望によっては異なる色相の複数のフィルター層を形成
することができる。このようにして、先にブラックマト
リックスを形成し、その後、黒色以外の色相のフィルタ
ー層を形成する際には、最後に形成する色相のフィルタ
ー層はフォトマスクを使用せずに、光を透明基板の全面
に照射するか、または電圧のみを印可して、電着膜の未
形成部分に最後に形成する色相のフィルター層を形成す
ることができる。
【0015】本発明の透明基板に用いられる半導体薄膜
は、n型であっても、p型であってもよいが、前記半導
体薄膜が、n型半導体又は、n型半導体とp型半導体を
順次積層したpn接合、あるいはn型半導体、i型半導体、
p型半導体を順次積層したpin接合を持つ基板からなる場
合、電着膜を形成する電着材としてカルボキシル基を有
する高分子材料を用い、前記フィルター層周辺に形成さ
れた薄い絶縁性の電着膜を除去する水溶液にアルカリ性
の材料を用いることが好ましく、半導体薄膜として、p
型半導体又は、p型半導体とn型半導体を順次積層した
pn接合、あるいはp型半導体、i型半導体、n-型半導体
を順次積層したpin接合を持つ基板からなる場合、電着
膜を形成する電着材としてアミノ基またはイミノ基を有
する高分子材料を用い、前記フィルター層周辺に形成さ
れた薄い絶縁性の電着膜を除去する水溶液に酸性の材料
を用いることが好ましい。
【0016】不要な電着膜の除去性の観点からは、前記
n型半導体として酸化チタンを使用し、前記フィルター
層周辺に形成された薄い絶縁性の電着膜を除去する水溶
液として、pHが9〜14のアルカリ性水溶液を用いるこ
とが好ましい。
【0017】また、請求項10に記載の本発明のフィル
ターの製造装置は、透明な基体上に透明導電膜を形成
し、その上部に透明半導体薄膜を積層してなる透明基板
を着色材及び電着材を含む電解液に接触させて通電し、
電気化学的に該透明基板に着色材を含む電着材を析出さ
せてフィルター層を形成する電着法を用いたフィルター
の製造に用いる製造装置であって、透明な基体上に透明
導電膜を形成し、その上部に透明半導体薄膜を積層して
なる透明基板と、着色材及び電着材を含む電解液を満た
した液槽と、光照射手段とを備え、該透明基板が電解液
に接触するように配置され、該光照射手段が、光源とフ
ォトマスクと結像光学系とを備え、結像光学系が透明基
板とフォトマスクとの間に位置する構造を有する、こと
を特徴とする。
【0018】ここで、前記結像光学系において、結像光
学レンズと透明基板面との距離が1mm〜50cmの範
囲にあること、及び、前記結像光学系が、焦点深度が±
10〜±100μmの範囲にある結像光学レンズを備え
ることが好ましい態様である。
【0019】
【発明の実施の形態】ここで、本発明のフィルターの製
造方法において、フィルター層或いはブラックマトリッ
クスの形成に適用される光電着法について説明する。本
発明者らが注目する光電着材料は、水溶性高分子を構成
要素とするもので、電着膜を形成した後、酸化状態、中
性状態、及び還元状態などの変化により水への溶解度が
大きく変化する物質を用いる。これら電着膜の析出或い
は溶解という状態間の変化は、 高分子を電気化学的に直
接酸化還元するか、 または高分子が溶けている水溶液の
pHを変化させることで行える。
【0020】例えば、フルオレセイン系の色素であるロ
ーズベンガルはやエオシンはpH4以上では還元状態を取
り水に溶けるが、それ以下では酸化されて中性状態とな
り沈殿する。また、一般にカルボキシル基をもった色素
材料は、構造変化を伴わなくても溶液の水素イオン濃度
(pH)によって溶解度が大きく異なる。例えば、耐水性改
良インックジェット染料は、pH6以上では水に溶けるが
それ以下では沈殿する。これらの色素を純水中に溶解
し、溶液中に電極を浸し電圧を印加すると、陽極側の電
極上にこれらの色素分子からなる電着膜が生成される。
また、カルボキシル基を持った高分子の一種である水溶
性アクリル樹脂もpHが6以上では水に溶けるが、それ以
下では沈殿する。この高分子中に顔料を分散させて、溶
液中に電極を浸し電圧を印加すると、陽極側の電極上に
顔料及び高分子が析出して顔料と高分子が混合された電
着膜が形成される。これらの電着膜は、逆電圧を印加す
るかpH10〜12の水溶液に浸すことで、水溶液中に再溶出
させることができる。また、キノンイミン染料の一つで
あるオキサジン系の塩基性染料Cathilon Pure Blue 5GH
(C.I.Basic Blue 3)やチアジン系の塩基性染料メチレン
ブルー(C.I.Basic Blue 9)はpHが10以下では酸化状態を
取り発色しているがそれ以上になると還元されて不溶化
し析出する。これらの色素を純水中に溶解し、溶液中に
電極を浸し電圧を印加すると、陰極側の電極上にこれら
の色素分子からなる電着膜が生成される。これらの色素
電着膜は、逆電圧を印加するかpH8以下の水溶液に浸す
ことで、元に戻って水溶液中に再溶出する。
【0021】ところが、前記電着膜にはある一定以上の
閾値電圧が必要であり、電流が流れれば必ず電着膜が形
成されるわけではない。従って、バイアス電圧を印加し
て置けば、外部から入力される電圧レベルは小さくても
画像を形成することがである。そこで、電着される基板
に半導体を用いて、この入力信号に光を使用すれば所望
する位置に任意の電着膜を形成することができる。以
下、このようにして形成した電着膜を光電着膜と呼ぶ。
従来の電着技術は、電着膜形成に必要となる電圧が約70
Vと高く、このような高い電圧を印加すると、半導体と
電解液とのショトキーバリアを壊してしまい画像形成は
できない。また、透明で実用的はカラーフィルター使用
可能な半導体は皆無であった。このことが、電着塗装を
利用したカラーフィルターの製造方法で透明電極のパタ
ーニングが必要とされたのである。
【0022】本発明者らが提案する光電着膜及びその関
連技術は、 上記知見に基づくものであり、 その画像形成
方法の概要は有機あるいは無機の半導体を基板として利
用し、 光を照射することで水溶液中の電着性材料を半導
体基板上に膜の形で析出させることで画像を形成するた
め、 従来電着法によるカラーフィルターの形成法では、
必要であったパーターニング透明導電膜が不要であり、
フォトリソグラフィの工程なしに画像光照射だけで任意
の画像パターンを形成できる。
【0023】本発明のフィルターの製造方法では、 透明
電極上に透明な光半導体薄膜を形成し、 フィルター形成
材料である高分子光電着材料と所定の色相の着色材料と
を含む電着液中で、 その透明電極にバイアス電圧を加え
ておき、 さらに光を照射して光起電力を発生させること
によって、 基板近傍の電着液のpHを変化させて、 高分子
材料のpHによる溶解度の違いを利用して、光照射部に選
択的に電着膜を形成し、ここで、次工程に移る前に電着
膜を乾燥硬化させ、その後に所謂エッチング処理にあた
る処理を施して、エッジプロファイルをシャープにした
ことが特徴的な要件である。
【0024】通常はカラーフィルター層やブラックマト
リクスは前記の電着法を複数回行って形成する。この場
合には、それぞれの電着膜を十分に乾燥させて硬化させ
て次の工程に供することが好ましい。硬化が不十分であ
ると、2回目以降の電着膜形成時にそれまでに形成され
た電着膜が再溶出したり剥がれ落ちる可能性が高くな
る。このように電着膜を乾燥硬化させた場合、膜の絶縁
性は高分子膜が形成されることになるので急に上昇す
る。このため極微量の薄膜が不必要な領域に付着してい
ると、その領域には2回目以降の電着膜が形成され無く
なってしまう。また半導体基板上に電着膜を形成した場
合、漏れ電流の影響でエッジのダレが生じてしまい、本
来必要のない領域にも薄い電着膜が形成されてしまう。
一般に、エッジプロファイルがシャープではない場合、
特に、所望の電着膜の周縁に不要の電着膜の薄膜が形成
される場合、その領域は高分子材料などの薄膜により絶
縁されるので、次の工程において同様の操作を行っても
その部分に新たな電着膜は形成されず、しかも薄膜によ
り可視光が透過する領域となってしまい、光が漏れるこ
とからカラーフィルターの特性上、白抜けとなって悪影
響を与える。また、電着膜の未形成領域の表面を汚して
しまい、電着効率が低下するなど、次工程での電着膜の
形成に影響を与える。
【0025】この電着効率の低下を抑えるために、次工
程に移る前に電着膜を乾燥、硬化させた後に酸やアルカ
リでエッチング処理を施す。このように、この微量の絶
縁膜を除去するために乾燥、硬化させた後、酸やアルカ
リでエッチングして除去するのが本特許の特徴的なこと
である。このようなエッチング処理の具体的な方法とし
ては、析出した電着膜を乾燥、硬化させ、その電着材料
の特性に適する処理液、具体的には、電着膜を溶解しう
る水溶液に接触させ、所望によりさらに水で洗浄処理を
行い、不要な付着電着液を除去する方法が挙げられる。
すると、エッジ領域においては薄い電着膜が溶出洗浄さ
れてエッジプロファイルをシャープにすることが出来
る。同時に、電着膜の未形成領域が洗浄されることにな
り、2回目以降の電着膜がスムーズに形成されるのであ
る。
【0026】例えば、電着材料としてカルボキシル基を
有するものを用いた場合には、電着膜を溶解しうる水溶
液としてアルカリ性の水溶液に接触させ、電着材料とし
てアミド基あるいはイミド基を有するものを用いた場合
には、酸性の水溶液に接触させればよい。電着膜を溶解
しうる水溶液のうち、アルカリ性の水溶液としてはpHが
9〜14のアルカリ性水溶液、さらには、アルカリ金属
を含有しないものを用いることが好ましく、具体的に
は、有機系アルカリ水溶液、例えば、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド水溶液等が挙げられる。ま
た、所定のイオン濃度になるように濃度調整したフォト
リソグラフ用のエッチング液を使用することもできる。
このとき、pHが8以下では電着膜の溶解性が不充分であ
り、pHが14を超えると、溶解性が上がりすぎ、必要は
電着膜を損なう虞があるため、いずれも好ましくない。
一方、酸性の水溶液としては、具体的には塩酸等が挙げ
られる。酸性の場合の好ましい水溶液は、pHが5〜1の
範囲のものである。
【0027】形成された電着膜の安定性を向上するた
め、このエッチング処理を行う前に電着膜を乾燥、硬化
させることが必要であり、この乾燥、硬化処理として
は、100℃前後の乾燥ゾーンを通過させる方法、ドラ
イエアを吹き付ける方法など、樹脂皮膜の乾燥、硬化に
適用しうる公知の方法を適宜用いることができる。通
常、光電着法により形成される所望の電着膜の厚みは
0.8〜1.5μmであるが、周辺に形成される不要な
電着膜の厚みは0.1μm以下であるため、処理液との
短時間の接触により不要な電着膜は完全に溶解除去され
るが、所望の電着膜は処理液との接触により場合によっ
ては表面の一部が軟化あるいは可溶化されるとしても、
形成しようとするフィルター層の特性に影響を与えるに
は至らない。処理液の選択、あるいは、電着膜との接触
時間については。電着膜形成材料との処理液との関連に
おいて適宜選択しうるものであり、その適用範囲は広
い。
【0028】本発明におけるフィルター層の基本的な形
成方法は、透明電極上に透明な半導体薄膜を形成し、フ
ィルター層形成材料を含む電着溶液中で、透明電極にバ
イアス電圧を加えておき、さらに光を照射して光起電力
を発生させることによって、基板近傍のpHを変化させ
て、高分子または色素分子のpHによる溶解度の違いを利
用した電着膜を光照射部に選択的に薄膜を形成してフィ
ルター層となし、フルカラーのフィルター層を形成する
場合には着色剤の色相を変えて、これをR.G.B.の3回繰
り返すことで達成される。また、本発明においては、ブ
ラックマトリックス形成にも同じプロセスを用いること
でフォトリソグラフィーを用いることなく簡単なプロセ
スで、ブラックマトリックスを形成することもできる
が、ブラックマトリックスは前記と同様のプロセスを用
いて電着法により製膜することに限るわけではなく、従
来公知の方法である、紫外線硬化樹脂や、金属メッキを
用いる方法を適用することもできる。
【0029】以下、本発明をさらに詳細に説明する。フ
ィルター形成用の電着液には、アルカリ性あるいは酸性
で溶解度・分散性が低下し析出する物質(光電着材料)
が必要である。 析出する物質は高分子材料であり、アル
カリ性あるいは酸性で析出する性質を持つものを用い
る。この高分子材料が透明な場合は、色材をこの高分子
に分散させて使用してもよく、高分子材料自体が有色の
場合には、そのまま使用することもできる。 色材を高分子に分散させて使用する場合には、 色材とし
ては染料だけではなく、 顔料も使用できる。 カラーフィ
ルターとして利用する場合には、 高い耐光性を要求され
ることから、 水性高分子に顔料を分散させたものを光電
着材料として利用することが望ましい。
【0030】光電着高分子材料の一例として、 カルボン
酸基を有する水溶性アクリル樹脂が電着形成能力を有す
るものとして挙げられる。この材料は、 弱アルカリ性水
(pH8〜9) に容易に溶解し、 アニオンとして水溶液中
に存在するがpHが7以下になると不溶化して析出する性
質を持つ。 この水溶液中に白金電極を浸し通電すると、
陽極付近では水溶液中のOH-イオンが消費されてO2にな
り、 水素イオンが増えてpHが低下する。 これは、 陽極付
近でホール(P )とOH-イオンとが結び付く次のような
反応が起こるためである。 2OH- +2p+ →1/2(O2)+H2
【0031】この反応が起こるには、 一定の電圧印加に
よる水のイオン解離が必要であり、反応の進行に伴って
水溶液中の水素イオン濃度が増えてpHが低下するのであ
る。従って、 ある一定以上の電圧を印加すると、 電極の
陽極側では水溶性アクリル樹脂の溶解度が低下して不溶
化し電極上に薄膜が形成されるのである。 本発明はこの一定の電着電圧の閾値電圧を得るのに半導
体に光を照射して生じる光起電力を利用するものであ
る。 このような、 光起電力を利用する試みは今までいろ
いろな検討がなされてきた。 たとえば、A. Fujishima,
K. Honda Nature Vol.238, p37, (1972)ではn 型半導体
のTiO2に光を照射して水の電気分解を行った。 また、 フ
ォトエレクトロクロミズムの研究に関連して、Si基板上
に光を照射してピロールを電解重合し、 ドーピング・ 脱
ドーピングで画像形成を行った例がH. Yoneyama らによ
りJ. Electrochem. Soc., p2414, (1985) に報告されて
いる。 また、 それ以外にも導電性高分子のドーピング・ 脱ド
ーピングに色素を用い、光で画像形成する方法の提案も
ある。
【0032】しかし、導電性高分子がなくても色素のみ
で電着膜を形成することは可能である。ところが、電着
膜形成に必要な電圧は、導電性高分子がある場合に比較
して大きくなる。一方、光起電力は効率のよい結晶Siで
あっても0.6V程度にすぎず、画像形成するには光起電力
だけでは不十分である。従って、バイアス電圧を印加し
てかさ上げするなどの方法が考えられるが、それでも一
定の電圧(使用する半導体のバンドギャップに依存した
電圧)以上になると、光起電力の形成に必要な半導体と
溶液の間のショトキーバリアーが壊れてしまうという問
題があり、印加できるバイアス電圧には限界がある。こ
のため、光起電力を用いた水溶液中での画像形成は、1.
0V以下で酸化還元するポリピロールなどの導電性高分子
の光重合反応を使うものなどに限られていた。例えば、
大日本印刷の特許「カラーフィルター製造方法及びカラ
ーフィルター製造用の電着基板」(特開平5-119209)や、
「カラーフィルター製造方法」(特開平5-157905)では、電
着電圧は20Vから80Vと高くなっており電着物質は高分子
の酸化還元反応を利用している。このように、一般的に
電着用塗装として良く知られている高分子は、電着に必
要な電圧が10V以上である。従って、画像形成には電子
写真用のZnO2などをフォトコンダクティブ特性を利用す
るなどしていたが水系で実用的な材料はなかった。
【0033】ところが、我々は上記の分子のpHによる溶
解度の違いを原理にしているために、低い電圧で薄膜形
成が可能であり、種々の半導体で光起電力による電着膜
の画像形成ができる。特に酸化チタンは、吸収が波長40
0nm以下に存在せず、可視光に対しては透明であり、カ
ラーフィルター作製用の基板としてはそのまま使用する
ことが可能である。また、近年、酸化チタンはゾル・ゲ
ル法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法などいろい
ろな手法でn型半導体として特性の良いものが得られて
いる。
【0034】本発明に利用できる光起電力半導体として
は、 基本的には光照射により起電力を発生する透明半導
体薄膜であれば全て使用できる。 具体的には、 透明な光
起電力半導体材料としてGaN、ダイヤモンド、c-BN、Si
C、ZnSe、TiO2、ZnOなどがある。これら半導体の層厚み
は0.05μmから3μmの範囲が良好な特性が得られ
る使用範囲である。0.05μm未満では得られる光電
力が弱すぎて像形成に問題を生じる。また、3μm以上
の厚みの範囲では光による発生電荷が層内にトラップさ
れ光履歴現象が大きくなり過ぎ像形成に問題を生じる。
半導体には、n型半導体とp 型半導体があるが、 本発明で
はいずれの半導体も使用可能である。 さらに、pn接合やp
in 接合を利用した積層構造にすれば、 光電流がより多
く流れ確実に起電力が得られてコントラストが良くなり
より望ましくなる。
【0035】次に、半導体と電着膜形成能力のある材料
との組合せであるが、これは使用する半導体の極性によ
って決まる。光起電力の形成には太陽電池として良く知
られているように、半導体と接触した界面に生じたショ
トキーバリアやpnあるいはpin接合を利用する。一
例として、図1の模式図によりn型半導体を例にとって
説明する。図1(A)の模式図はショトキー接合の場合
を示し、(B)の模式図はPIN接合の場合を示す。n
型半導体と溶液との間にショトキーバリアーがある時
に、半導体側を負にした場合には電流が流れる順方向で
あるが、逆に半導体側を正にした時には電流が流れな
い。ところが、半導体側を正にして電流が流れない状態
でも、光を照射するとエレクトロン・ホールペアが発生
し、ホールが溶液側に移動して電流が流れる。この場
合、半導体電極を正にするのであるから電着される材料
は負イオンでなければならない。従って、n型半導体と
アニオン性分子の組合せとなり、逆にp型半導体ではカ
チオンが電着されることになる。
【0036】一般に、 半導体の光起電力は比較的電位の
大きなSiでも0.6Vしか得られない。ところが、0.6Vで電着
が可能な材料は限られている。 そこで、 足りない電圧は
バイアス電圧を印加して補う必要がある。 印加できるバ
イアス電圧の上限は、 ショトキーバリアーが維持される
限界までである。 ショトキーバリアーが壊れると、光が
当たってない領域も電流が流れて、 半導体基板の全領域
に電着膜が形成され画像形成ができなくなる。 例えば、
2.0Vで電着される材料であれば1.5Vのバイアス電圧を印
加して光を照射すると、 半導体の光起電力0.6Vを足して
2.1Vとなり電着に必要な閾値電圧を越え、 光が照射され
た領域のみ光電着膜が形成される。ここで用いている機
構は、単に光により導電度が増加して、バイアスの印加
電圧により通電電流が増加する外部光電流効果機構とは
異なる光起電力機構である。
【0037】フィルター層形成用電着材料の構造として
は、イオン解離する親水基と水に不溶化を促進させる疎
水基を有するイオン性分子を最小モノマ−単位にした共
重合体により構成され、好ましくはランダム重合の高分
子材料である。本発明に利用しうるイオン性分子とは、
アニオン性、カチオン性等の分子からなり、pHの変化に
よって溶解度が変化する材料であれば公知のイオン性分
子のいずれも使用可能である。具体的には、トリフェニ
ルメタンフタリド系、フェノサジン系、フェノチアジン
系、フルオラン系、インドリルフタリド系、スピロピラ
ン系、アザフタリド系、ジフェニルメタン系、クロメノ
ピラゾール系、ロイコオーラミン系、アゾメチン系、ロ
ーダミンラクタル系、ナフトラクタム系、トリアゼン
系、トリアゾールアゾ系、チアゾールアゾ系、アゾ系、
オキサジン系、チアジン系、ベンズチアゾールアゾ系、
キノンイミン系等の分子が代表的な例として挙げられ
る。
【0038】さらに、2種類以上のアニオン性分子混合
物や2種類以上のカチオン性分子混合物のような同極性
分子の混合物、アニオン性分子とカチオン性分子の混合
物のような異極性分子の混合物や、染料と顔料の混合物
や高分子と顔料の混合物などなまざまな混合物も使用で
きる。この場合には、混合色が得られることになる。混
合物の場合には、少なくとも1種類以上の分子は単体でp
Hの変化によって溶解度が変化し薄膜が形成されるとい
う性質を持っている必要がある。このとき、単体では薄
膜形成能力が無い材料であっても、膜形成時には製膜能
力がある材料に取り込まれてしまい混合色が得られるの
である。なお、本発明において「着色材を含む電着材」
という表記は、析出能力を持った電着材と顔料などの着
色材との組み合わせや、電着材それ自体が有色の化合物
である場合には、有色の電着材自体を指すものである。
【0039】例えば、2種類のイオンを混合した場合に
ついて考えてみる。一般に、塩基性溶液と酸性溶液を混
合すると中和して錯体など別の析出物を生じて沈殿す
る。このため、2種類の色素を混合して混合色を出す場
合には無極性の顔料を使うか、同極性の材料を分散させ
るのが一般的である。ところが、ある種の染料同士で
は、錯体が形成されずイオンが共存した状態を取る。こ
の場合には、塩基性溶液と酸性溶液を混合しても析出物
を抑えることができ、イオンの極性によらず使用するこ
とができる。我々は、この性質を利用して2種類の色素
イオンを混合した場合について考察した。
【0040】第一に極性が同じ2種類のイオン、例えば
アニオン性で電着膜形成能力があるローズベンガル(赤
色)と同じアニオン性ではあるが電着膜形成能力がない
ブリリアントブルー(青色)を混合した混合溶液中で、電
気化学的に酸化させると電極には混合液の色と同じ紫色
の電着膜が形成される。これは、電着膜形成能力がある
ローズベンガルにブリリアントブルーのイオンが取り込
まれて製膜されるからである。このように、極性が同じ
2種類のイオンを混合する場合には1種類のイオンに電着
膜形成能力があればよい。
【0041】次に極性が異なる2種類のイオン、例えば
アニオン性で電着膜形成能力があるPro Jet Fast Yello
w2(黄色)とカチオン性で電着膜形成能力があるCathilon
Pure Blue 5GH(青色)を混合した混合溶液中で、電気化
学的に酸化させると電極には混合液の色と同じ緑色の電
着膜が形成される。逆に電気化学的に還元させると電極
にはCathilon Pure Blue 5GH単体の青色の電着膜が形成
される。このことは、アニオン性の色素溶液とカチオン
性の色素溶液の混合液中で電気化学反応をさせると印加
する電圧の極性を変化させるだけで、同一の電極上に異
なった色素の電着膜を形成できるのである。次に非イオ
ン性の分子、例えば顔料との組合せでは、電着性のある
透明な高分子材料、例えば水溶性アクリル樹脂や水溶性
スチレン樹脂と顔料を混合し、水溶液中で分散させて使
用すれば、同じように顔料が電着膜として得られるので
ある。
【0042】次にこのフィルター用電着溶液の導電率と
pHについて述べる。 導電率は実験によると電着スピード
にいいかえられ、 電着量に関連して抵抗率が低くなれば
なるほど一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり、
導電率は我々の実験によると電着スピードいいかえれ
ば、電着量に関連しており、導電率が高くなればなるほ
ど一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり約100
mS/cm2 (図2参照)、言い換えれば体積抵抗値
が約10Ω・cmで電着量の飽和傾向にある。 電着液の低効
率を1Ω・cmから105Ω・cmの範囲にコントロー
ルし電着を行い、この範囲では、良好な電着現象を行え
る。105Ω・cm以上の範囲では、十分な電流が得ら
れないために電着量が少量しかえられず、また1Ω・c
m以下の範囲では電着量の制御性が悪くなる。従って色
素イオンだけでは導電率が足りない場合には電着特性に
影響を与えない酸性又はアルカリ性物質、例えば、Na
+イオン、K+イオン、Cl-イオン、SO4 -イオン等を
加えてやることで電着スピードをコントロールすること
ができる。
【0043】また、水溶液のpHも当然ながら電着膜の形
成に影響する。例えば、電着膜形成前には色素分子の溶
解度が飽和するような条件で電着膜形成を行えば膜形成
後には再溶解しにくい。ところが、未飽和状態の溶液の
pHで電着膜の形成を行うと、電着膜が形成されても、通
電をやめた途端に膜が再溶解し始める。従って、溶解度
が飽和するような溶液のpHで電着膜の形成を行うほうが
望ましい。
【0044】本発明に用いる透明基板は、ガラス板など
の透明な基体上にITO等の透明な導電膜を形成し、そ
の上にさらに半導体膜を形成してなる。ここで、本発明
に公的に用いうる透明な半導体であるTiO2について述べ
る。TiO2は透明な酸化物半導体で紫外線を照射すると光
起電力が発生する。従って、基板の裏から紫外線を当て
れば透明な基板上に光電着膜を形成することができる。
TiO2の製膜方法についてはいくつかの方法が知られてい
る。例えば、熱酸化膜法、スパッタリング法、エレクト
ロンビーム法(EB法)、ゾル・ゲル法などが有名である。
われわれは、EB法とゾル・ゲル法でTiO2の製膜を行っ
た。ところが、通常の製膜法では効率が悪く電着に必要
な十分な光起電力が得られない。そこで、光電流の変換
効率を高めるために還元処理を行った。還元処理は、通
常は水素ガス中で550度程度で加熱するのが普通であ
る。例えば、Y.HamasakiらはJ. Electrochem. Soc. Vo
l.141,No3.p660,1994では水素ガス中で約550度で1時間
程度で加熱している。ところが、我々は約300度で10分
間という低温かつ短時間の処理で十分な効果を得た。こ
れは、3%の水素混合窒素ガスを1分間に1リットルの流量
で流しながら加熱することで達成できたのである。
【0045】ここで、本発明の方法に用いる透明基板の
製造方法と構成について、図3を参照して説明する。図
3(A)は本発明のフィルターの製造方法に用いうる透
明基板10の構成を示す概略断面図である。この図に示
す透明基板は、厚さ0.5mmのガラス基体12上にI
TO導電膜14が形成され、さらに透明な光半導体膜で
あるTiO2 膜16が形成されてなる。このような透明基
板10を形成する方法を一例を挙げて説明すれば、図3
(B)のようにまずガラス基体12上に厚さ0.1μm
のITO導電膜14を形成し、次に図3(C)に示すよ
うにその上にチタンアルコラート溶液を塗布して500
℃で燒結して酸化チタン膜を製膜し(図3(D)参
照)、水素雰囲気中300℃でアニールする等の手段に
より半導体膜の高効率化処理を行うものである。この製
法は一例であり、同様の機能を有する透明基板は公知の
方法により得ることができる。
【0046】次に、光電着膜作製用の露光装置について
述べる。カラーフィルターの背面から露光する必要があ
るため、透明な半導体に感度がある波長でなければなら
ない。すると、400nm以下の光源で露光する必要があ
り、通常は水銀灯や水銀キセノンランプ、He-Cdレーザ
ーやN2レーザー、エキシマレーザーなどが使われる。
【0047】本発明において、エッジプロファイルをシ
ャープにした高解像度のカラーフィルター層及びブラッ
クマトリックスを形成するためのさらに好ましい態様と
しては、基板の裏面から光を照射して結像光学系を用い
て電着面に結像する態様である。即ち、このような光電
着法において、パターニングによく利用される方法とし
ては、一般的に平行光を用いてフォトマスクと露光面と
を密着させる方法がある。しかし、光電着膜を形成する
場合には、電着液に光を吸収する着色材が含まれている
ため、基板の裏面から露光する必要がある。このため、
露光光源の光の平行度が悪いと、基板の厚み分自然に広
がり、また回折の影響で解像度が低下してしまう虞があ
る。同様に平行光を用いる場合、基板の背面から光を入
射するため基板の厚さが解像度に大きく影響する、具体
的にはなるべく薄い基板を用いる必要があり、厚さが1.
5mm以上ある場合にはほとんど実用的な解像度が得られ
ない。
【0048】この問題に対する改良方法として、密着露
光ではなくフォトマスクと露光面との間にレンズ系をい
れて結像させて所定の位置に光照射を行うことができる
結像光学系を使用する方法が好ましい態様として挙げら
れる。即ち、光源を平行光ではなく結像光学系にする
と、基板の厚さに関係なく使用することが出来るように
なる。結像光学系は、一度レンズ系を介してフォトマス
クに結像させ、さらにレンズ系を介して基板の裏面の光
半導体面に結像させるもので、この光学系を利用した露
光装置は、プロジェクション型露光装置とも呼ばれてい
る。本発明の場合、結像光学レンズとと結像面(光半導
体面)との距離は、基板の裏面から光を入射するため基
板の厚み以上離れている必要がある。また、焦点距離が
長くなれば解像力が低下し易く、露光装置の設計上から
も極端に結像光学系と結像面との距離を離すことはでき
ない。そこで、実用的には結像光学レンズと透明基板面
との距離が1mm〜50cmの範囲で使う必要がある。
このようなプロジェクション型露光装置では、焦点深度
が±10〜±100μmと深くなり、基板のたわみなど
が生じていても、比較的容易に半導体面上に解像度の高
い画像を結像させることができる。
【0049】このような透明基板を用いれば、光電着膜
の未形成領域には半導体が露出しており、この部分にブ
ラックマトリックス用の電着膜を容易に形成できる。ま
た、一般に電着膜は絶縁性が高くカラーフィルター層の
上部に積層して光電着膜を形成するのは難しい。(ただ
し、導電性の高い電着膜をフィルター層に形成した場合
には積層することも可能である。)従って、光電着法を
用いてフィルター層を形成した後、ブラックマトリック
ス用の電解溶液中で電圧を印加すれば(この時光はあっ
ても無くてもよい)、フィルター層の未形成領域のみ
に、電着膜が形成されるため、光電着膜を利用すると、
フォトリソグラフィを使わずにカラーフィルター層とブ
ラックマトリックスを同じプロセスで、簡単にしかも低
コストで形成できる。なお、紫外線硬化樹脂を用いても
同様にフィルター層の未形成領域を電着膜が埋めてくれ
る。同じプロセスを適用する場合には、ブラックマトリ
ックスを先に形成して、フィルター層を後で形成するこ
ともできる。また、最後にブラックマトリックスを形成
する場合における他の手段として、クロムなどの金属メ
ッキをブラックマトリックスに使用する方法が挙げられ
る。
【0050】本発明のフィルターの製造装置は、前記本
発明のフィルターの製造方法に公的に使用しうる構成で
あることが好ましく、透明な基体上に透明導電膜を形成
し、その上部に透明半導体薄膜を積層してなる透明基板
を着色材及び電着材を含む電解液に接触させて通電し、
電気化学的に該透明基板に着色材を含む電着材を析出さ
せてフィルター層を形成する電着法を用いたフィルター
の製造に用いる製造装置であって、透明な基体上に透明
導電膜を形成し、その上部に透明半導体薄膜を積層して
なる透明基板と、着色材及び電着材を含む電解液を満た
した液槽と、光照射手段とを備え、該透明基板が電解液
に接触するように配置され、該光照射手段が、光源とフ
ォトマスクと結像光学系とを備え、結像光学系が透明基
板とフォトマスクとの間に位置する構造を有する、こと
を特徴とする。ここで、前記結像光学系が結像光学レン
ズを備え、該結像光学レンズと透明基板面との距離が1
mm〜50cmの範囲にあること、及び、前記結像光学
系が、焦点深度が±10〜±100μmの範囲にある結
像光学レンズを備えることが好ましい。
【0051】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 (実施例1)図4に本実施例に用いるフィルターの製造
装置を示す概略構成図である。電着膜の形成に用いる装
置には、液中にカウンター電極を備え、電着液を満たし
た容器と、該電着液面に接するように配置された透明基
板10とが備えられている。この透明基板10は前記図
3(A)にて説明したのと同様の構成を示す。このIT
O導電膜14が作用電極として機能し、電気化学で一般
的な三極式の配置を構成する。また、露光装置には、光
源とフォトマスクと投影レンズとを備えており、透明基
板10の裏面から露光して透明基板10における電着液
と接する半導体膜16表面に結像するように焦点を調整
してある。
【0052】図3に示すように厚さ0.5mmの無アルカ
リガラス基板(7059ガラス)12にITOの透明導電
膜14をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾ
ル・ゲル法により200nmTiO2を製膜する。製膜はITO基板
上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達製、
アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製膜し
たあと、約500度で1時間加熱すればTiO2の膜16が形成
される。つぎに、TiO2の光電流特性を上げるために還元
処理を行う。還元処理は、3%の水素ガスが混合された純窒
素ガス中で、300度で10分間アニールすることを行っ
た。 (赤色フィルター層の形成)これを、図4に示したよう
に電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン
ーアクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+
疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔
料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液
中で、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極とし
て利用し、作用電極を1.8Vにして基板の裏側から紫
外線を照射する。紫外線は、ウシオ電気製のプロジェク
ション型露光装置を使用した(波長365nmの光強度50mW/
cm2、結像レンズと結像面との距離は10cm、焦点深
度は±50μm)。プロジェクション型露光装置は、フォ
トマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の
裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。
この装置で3秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射
された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形
成された。
【0053】(緑色フィルター層の形成)次に、スチレ
ンーアクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基
+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリー
ン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料
を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作
用電極として利用し、作用電極を1.8Vにして基板の
裏側から同様の露光装置で3秒間露光したところ、TiO2
表面に光が照射された領域だけグリーンのマスクフィル
ターパターンが形成された。 (青色フィルター層の形成)同様に、スチレンーアクリ
ル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子
顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液
中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として
利用し、作用電極を1.8Vにして基板の裏側から同様の
露光装置で3秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射
された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形
成されて、カラーフィルター層が形成された。
【0054】(不要電着膜の除去)三色のフィルター層
が形成された後、純粋で洗浄し、100℃で10分間加
熱して乾燥硬化させる。次に、水素イオン濃度(pH)
が10.5になるように純水で薄めたフォトリソ用エッ
チング液に10秒間浸し、カラーフィルター層のエッジ
領域を除去し、更に純粋で洗浄した。 (ブラックマトリックスの形成)スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル
比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80n
m)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中
で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利
用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側からマスク
未装着の露光装置で2秒間露光したところ、カラーフィ
ルター層の未形成領域のみにカーボンブラックを含む電
着膜が形成された。このフィルターを実用に供したとこ
ろ、解像度に優れ、且つ、着色フィルター層とブラック
マトリックスの界面における光漏れのないカラーフィル
ターを形成できた。
【0055】(比較例1)前記工程中、不要電着膜の除
去のみを行わなかった他は実施例1と同様にして、カラ
ーフィルター層とブラックマトリックスを形成し、カラ
ーフィルターを得た。このカラーフィルターを実用に供
したところ、フィルター層のエッジ領域にはブラックマ
トリックスが形成されず、白抜け領域が形成された。
【0056】(実施例2)実施例1と同様にしてレッド
のマスクフィルターパターン(赤色フィルター層)を形
成した後に、純粋で洗浄し、100℃で10分間加熱し
て乾燥硬化させた。次に、水素イオン濃度(pH)が1
0.5になるように純水で薄めたフォトリソ用エッチン
グ液に浸し、赤色フィルター層のエッジ領域を除去す
る。次に、実施例1と同様の方法でグリーンのマスクフ
ィルターパターン(緑色フィルター層)を形成した後、
純粋で洗浄し、100℃で10分間加熱して乾燥硬化さ
せる。次に、水素イオン濃度(pH)が10.5になる
ように純水で薄めたフォトリソ用エッチング液に浸し、
緑色フィルター層のエッジ領域を除去する。次に、純粋
で洗浄した後、実施例1と同様にしてブルーのマスクフ
ィルターパターン(青色フィルター層)を形成した後
に、純粋で洗浄し、100℃で10分間加熱して乾燥硬
化させた。次に、水素イオン濃度(pH)が10.5に
なるように純水で薄めたフォトリソ用エッチング液に浸
し、青色フィルター層のエッジ領域を除去する。
【0057】次に、純粋で洗浄した後、スチレンーアク
リル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)
のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒
子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む
水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極
として利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側か
らマスク未装着の露光装置で2秒間露光したところ、カ
ラーフィルター層の未形成領域だけにブラックマトリッ
クスを形成できた。このフィルターを実用に供したとこ
ろ、各色相の着色フィルター層同士の界面における解像
度が極めて良好で、且つ、着色フィルター層とブラック
マトリックスの界面における光漏れ(白抜け)のないカ
ラーフィルターを形成できた。
【0058】(実施例3)図3に示すように厚さ0.5m
mの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透
明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上に
ゾル・ゲル法により200nmTiO2を製膜する。製膜はITO基
板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達
製、アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製
膜したあと、約500度で1時間加熱すればTiO2の膜が形成
される。還元処理は、実施例1と同様に3%の水素ガスが
混合された純窒素ガス中で、300度で10分間アニールす
ることを行った。これを、図4に示したように電気化学
で一般的な三極式の配置において、スチレンーアクリル
酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモ
ル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径8
0nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶
液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極とし
て利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側から紫
外線を照射する。紫外線は、実施例1と同様にウシオ電
気製のプロジェクション型露光装置を使用し、この装置
で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領
域だけブラックマトリックスの細線が描かれた。純粋で
洗浄した後、ドライエアを吹き付けて乾燥硬化させる。
次に、水素イオン濃度(pH)が10.5になるように
純水で薄めたフォトリソ用エッチング液に浸し、ブラッ
クマトリックスのエッジ領域に形成された不要な電着膜
を除去する。
【0059】純粋で洗浄した後、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル
比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔
料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中
で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利
用し、作用電極を1.8Vにして基板の裏側から同様の
露光装置で3秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射
された領域だけグリーンのマスクフィルターパターンが
形成された。純粋で洗浄した後、ドライエアを吹き付け
て乾燥硬化させる。次に、水素イオン濃度(pH)が1
0.5になるように純水で薄めたフォトリソ用エッチン
グ液に浸し、緑色フィルター層のエッジ領域を除去す
る。純粋で洗浄した後、スチレンーアクリル酸共重合体
(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸
化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分
比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロ
メル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用
電極を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で
3秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域
だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、
カラーフィルター層が形成された。次に、純粋で洗浄し
た後、ドライエアを吹き付けて乾燥硬化させる。次に、
水素イオン濃度(pH)が10.5になるように純水で
薄めたフォトリソ用エッチング液に浸し、青色フィルタ
ー層のエッジ領域を除去する。
【0060】純粋で洗浄した後、スチレンーアクリル酸
共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル
比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率
で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で、飽和カロメ
ル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電
極を1.8Vにして基板の裏側からマスク未装着の露光
装置で3秒間露光したところ、緑色、青色の各カラーフ
ィルター層及びブラックマトリックスの未形成領域に最
後の色相である赤色フィルター層が形成された。このフ
ィルターを実用に供したところ、各色相の着色フィルタ
ー層同士の界面における解像度が極めて良好で、且つ、
着色フィルター層とブラックマトリックスの界面におけ
る光漏れ(白抜け)のないカラーフィルターを形成でき
た。
【0061】
【発明の効果】本発明のカラーフィルターの製造方法に
よれば、フォトリソグラフィー工程を必要とせず、工程
数も少なく、高解像度で制御性が高く、各画素のエッジ
がシャープでカラーフィルターに適するフィルターの製
造方法及びそれに用いる製造装置を提供することができ
る。また、微細で複雑な画素配置であっても対応でき、
ブラックマトリックスの形成が容易で、大量生産可能な
簡便なフィルターの製造方法及びそれに用いる製造装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)はショトキー接合、(B)はPIN接
合の場合の半導体のエネルギーバンドを示す模式図であ
る。
【図2】 導電率を変化させた時の電着材料の電着量の
変化を示すグラフである。
【図3】 (A)透明n型半導体を形成した透明基板の
概略断面図であり、(B)〜(D)は透明基板の製造プ
ロセスを示す概略断面図である。
【図4】 実施例1の画像記録に用いた画像記録装置を
示す概略図である。
【符号の説明】
10 透明基板 16 光半導体膜(酸化チタン薄膜)
フロントページの続き (72)発明者 圷 英一 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA62 BB02 BB14 BB42 BB46

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明な基体上に透明導電膜を形成し、その
    上部に透明半導体薄膜を積層してなる透明基板を着色材
    及び電着材を含む電解液に接触させて通電し、電気化学
    的に該透明基板に着色材を含む電着材を析出させてフィ
    ルター層を形成するフィルターの製造方法において、光
    照射によって像様に起電力を発生させ選択的に電着材を
    析出させて電着膜を形成するフィルター層の形成工程
    と、該フィルター層を形成した後に乾燥・硬化させ、電
    着膜を溶解しうる水溶液を接触させてフィルター層周辺
    に形成された薄い絶縁性の電着膜を除去する不要電着膜
    除去工程とを順次実施し、その後、色相の異なる別のフ
    ィルター層又はブラックマトリクス層の形成工程を実施
    することを特徴とするフィルターの製造方法。
  2. 【請求項2】前記フィルター層の形成工程において、像
    様に起電力を発生させるための光照射手段として、光源
    と像様の電着膜形成に必要なフォトマスクと結像光学系
    とを備え、該フォトマスクと前記透明基板との間に結像
    光学系が位置する構造の光照射手段を用いることを特徴
    とする請求項1に記載のフィルターの製造方法。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は2に記載のフィルターの
    製造方法を実施して、異なる色相の複数のフィルター層
    を形成した後、電圧を印加することでフィルター層を構
    成する電着膜の未形成部分に電着膜によるブラックマト
    リックスを形成することを特徴とする請求項1又は2に
    記載のフィルターの製造方法。
  4. 【請求項4】前記請求項1又は2に記載のフィルターの
    製造方法を実施して、異なる色相の複数のフィルター層
    を形成した後、前記透明基板の全面に光を照射しながら
    通電することで、フィルター層を構成する電着膜の未形
    成部分に電着膜によるブラックマトリックスを形成する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルターの
    製造方法。
  5. 【請求項5】前記請求項1又は2に記載のフィルターの
    製造方法を実施して、フォトマスクを介して光照射する
    ことでブラックマトリックスを形成し、その後に同様の
    方法により黒色以外の色相のフィルター層を形成するこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルターの製
    造方法。
  6. 【請求項6】前記黒色以外の色相のフィルター層を形成
    する際に、最後に形成する色相のフィルター層はフォト
    マスクを使用せずに、光を透明基板の全面に照射する
    か、または電圧のみを印可して、電着膜の未形成部分に
    最後に形成する色相のフィルター層を形成することを特
    徴とする請求項5に記載のフィルターの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記半導体薄膜が、n型半導体又は、n
    型半導体とp型半導体を順次積層したpn接合、あるいは
    n型半導体、i型半導体、p型半導体を順次積層したpin接
    合を持つ基板からなり、電着膜を形成する電着材として
    カルボキシル基を有する高分子材料を用い、前記フィル
    ター層周辺に形成された薄い絶縁性の電着膜を溶解しう
    る水溶液にアルカリ性の材料を用いることを特徴とする
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルターの製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記半導体薄膜が、p型半導体又は、p型
    半導体とn型半導体を順次積層したpn接合、あるいはp
    型半導体、i型半導体、n-型半導体を順次積層したpin接
    合を持つ基板からなり、電着膜を形成する電着材として
    アミノ基またはイミノ基を有する高分子材料を用い、前
    記フィルター層周辺に形成された薄い絶縁性の電着膜を
    溶解しうる水溶液に酸性の材料を用いることを特徴とす
    る前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルタ
    ーの製造方法。
  9. 【請求項9】前記n型半導体として酸化チタンを使用
    し、前記フィルター層周辺に形成された薄い絶縁性の電
    着膜を溶解しうる水溶液として、pHが9〜14のアルカ
    リ性水溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至7の
    いずれか1項に記載のフィルターの製造方法。
  10. 【請求項10】透明な基体上に透明導電膜を形成し、そ
    の上部に透明半導体薄膜を積層してなる透明基板を着色
    材及び電着材を含む電解液に接触させて通電し、電気化
    学的に該透明基板に着色材を含む電着材を析出させてフ
    ィルター層を形成する電着法を用いたフィルターの製造
    に用いる製造装置であって、透明な基体上に透明導電膜
    を形成し、その上部に透明半導体薄膜を積層してなる透
    明基板と、着色材及び電着材を含む電解液を満たした液
    槽と、光照射手段とを備え、該透明基板が電解液に接触
    するように配置され、該光照射手段が、光源とフォトマ
    スクと結像光学系とを備え、結像光学系が透明基板とフ
    ォトマスクとの間に位置する構造を有する、ことを特徴
    とするフィルターの製造装置。
  11. 【請求項11】 前記結像光学系が結像光学レンズを備
    え、該結像光学レンズと透明基板面との距離が1mm〜
    50cmの範囲にあることを特徴とする請求項10に記
    載のフィルターの製造装置。
  12. 【請求項12】前記結像光学系が、焦点深度が±10〜
    ±100μmの範囲にある結像光学レンズを備えること
    を特徴とする請求項10に記載のフィルターの製造装
    置。
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