JP2000356957A - 導電性カラーフィルタ、その製造方法、製造装置及び液晶表示素子 - Google Patents

導電性カラーフィルタ、その製造方法、製造装置及び液晶表示素子

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JP2000356957A
JP2000356957A JP11168755A JP16875599A JP2000356957A JP 2000356957 A JP2000356957 A JP 2000356957A JP 11168755 A JP11168755 A JP 11168755A JP 16875599 A JP16875599 A JP 16875599A JP 2000356957 A JP2000356957 A JP 2000356957A
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conductive
color filter
electrodeposition
film
light
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JP11168755A
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English (en)
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Shigemi Otsu
茂実 大津
Takashi Shimizu
敬司 清水
Takao Tomono
孝夫 友野
Hidekazu Akutsu
英一 圷
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細で複雑な画素パターンを有する、高解像
度で表面平滑性に優れ、かつ液晶分子の配向を緻密に制
御しうる高い導電性を均一に有する導電性カラーフィル
タを簡易に製造しうる導電性カラーフィルタの製造方法
を提供する。 【解決手段】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
及び光半導体薄膜をこの順に積層した基板の前記光半導
体薄膜に選択的にブラックマトリックスを形成する工程
と、前記基板の少なくとも光半導体薄膜を、色材を含有
する導電性の電着材料を含む電解液に接触させて光照射
し、前記光半導体薄膜の光照射部に選択的に前記電着材
料を析出させて導電性の着色電着膜を形成する工程とを
含む導電性カラーフィルタの製造方法。電着材料が、光
透過性の導電材料、導電性高分子化合物又は導電性の着
色材を含有する態様、電着液中に電着特性に影響を与え
ない塩を含有する態様が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CCDカメラや液
晶表示素子等の各種表示素子や表示パネル、及びカラー
イメージセンサー等に使用されるカラーフィルタ、その
製造方法、製造装置及び該カラーフィルタを用いた液晶
表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、カラーフィルタの製造方法として
は、(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷法、
(4)インクジェット法(5)電着法等が知られてい
る。第一の染色法は、ガラス基板上に染色のための水溶
性高分子層を形成し、これをフォトリソグラフィの工程
を経て所望の形状にパターニングした後、染色液に浸す
ことで着色パターンを得る。これを3回繰り返すことに
より、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフ
ィルタ層が得られ、色相が豊富で、透過率、技術の完成
度も高いため、現在カラー固体撮像素子(CCD)に多
用されている。しかし、染料を使用するため耐光性に劣
り、製造工程の数も多いことから、液晶表示素子(LC
D)用のカラーフィルタの製造方法としては、顔料分散
法に取って代わられつつある。
【0003】第二の顔料分散法は、まず、ガラス基板上
に顔料を分散した樹脂層を形成し、これをフォトリソグ
ラフィ工程を経てパターニングする。これを3回繰り返
しR,G,Bのカラーフィルタ層を得る。この製造法
は、工程数が多くコストが高いという欠点がある。第三
の印刷法は、熱硬化型樹脂に顔料を分散させ、印刷を3
回繰り返してR,G,Bを塗り分けた後、熱を加えて樹
脂を硬化させてカラーフィルタ層を得る。この方法は、
RGB層形成工程に限ればフォトリソグラフィを要しな
いが、解像度や膜厚均一性の点で劣る。
【0004】第四のインクジェット法は、まず、インク
受容層を形成した後、所望のパターンに親水化・疎水化
処理を施し、親水化部分にインクジェット法でインクを
吹きつけカラーフィルタ層を得る。この方法も、フォト
リソグラフィを要しないが、解像度の点で劣る。また、
隣接フィルタ層間で混色を生じやすく、位置精度の点で
も劣る。第五の電着法は、水溶性高分子に顔料を分散さ
せた電解溶液中で、予めパターニングした透明電極上に
100V程度の高電圧を印加して電着膜を形成し、これ
を3回繰り返しRGBのカラーフィルタ層を得る。この
方法は、予め、フォトリソグラフィによりパターニング
し、これを電着用電極として使用するため、パターン形
状が限定されTFT液晶用には使えないという欠点があ
る。
【0005】また、一般に液晶用カラーフィルタは、カ
ラーフィルタ層を形成するのみでは使えず、各色のフィ
ルタセル間をブラックマトリックスで覆う必要がある
が、該ブラックマトリックス形成にも、通常、フォトリ
ソグラフィ法が用いられ、コストアップの大きな要因の
1つとなっている。
【0006】従って、フォトリソグラフィ等の複雑な工
程を経ることなく、簡易な工程で低コストに、かつ高解
像度でパターン精度に優れたカラーフィルタを製造しう
る製造方法が望まれている。また、近年では、映像情報
及び通信情報を高解像度に表示しうるディスプレイへの
要求が高まり、より高精細のパターン化されたカラーフ
ィルタが求められている。
【0007】一方、液晶分子を用いて表示する液晶表示
素子(LCD)は、カラーフィルタと透明な基板とをシ
ール材を介して対向配置しその間に液晶層を形成する
が、該液晶層中の液晶分子の配向を制御し表示を行うた
めには、液晶層のカラーフィルタを配置する側に液晶分
子の配向を制御するための駆動電極が必要となる。しか
し、カラーフィルタ層は一般に絶縁性であるため、液晶
層とカラーフィルタ層との間には導電性の層が不可欠で
あり、該層を別途設け駆動電極とする必要があった。従
って、カラーフィルタの製造工程としては、カラーフィ
ルタ層を形成した後に導電性層を形成する工程が増える
結果となる。しかしながら、これを無くすためにカラー
フィルタ層自体に均一で、かつ高い導電性を付与するこ
とは困難であり、構成の簡単な導電性カラーフィルタは
未だ提供されていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、微細で複雑な画素パターン
を有する、高解像度で表面平滑性に優れ、かつ液晶分子
の配向を緻密に制御しうる高い導電性を均一に有する導
電性カラーフィルタを簡易に製造しうる導電性カラーフ
ィルタの製造方法を提供することを目的とする。また、
本発明は、前記方法を用い、導電性のカラーフィルタ層
を有するカラーフィルタを低コストで、かつ高解像度に
製造しうる、簡易構造の導電性カラーフィルタの製造装
置を提供することを目的とする。本発明は、形成したカ
ラーフィルタ層上にさらに導電性層を設けることなく、
直接液晶表示素子に利用可能な、均一で、高い導電性を
持つカラーフィルタを提供することを目的とする。さら
に、本発明は、高解像度で、液晶分子の配向を緻密に制
御しうる高い導電性を均一に有する導電性カラーフィル
タを用い、カラーフィルタを構成する光透過性の導電膜
をそのまま液晶表示のための駆動電極として利用する液
晶表示素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜及び光
起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜をこの順に
積層した基板の前記光半導体薄膜に選択的にブラックマ
トリックスを形成する工程と、前記基板の少なくとも光
半導体薄膜を、色材を含有する導電性の電着材料を含む
電解液に接触させて光照射し、前記光半導体薄膜の光照
射部に選択的に光起電力を発生させ、電気化学的に前記
電着材料を析出させて導電性の着色電着膜を形成する工
程と、を含むことを特徴とする導電性カラーフィルタの
製造方法である。
【0010】<2> 電着材料が、カルボキシル基を有
する化合物を含む前記<1>に記載の導電性カラーフィ
ルタの製造方法である。 <3> カルボキシル基を有する化合物が、疎水基と親
水基を有する重合体であって、疎水基の数が疎水基と親
水基の総数の40〜80%である前記<2>に記載の導
電性カラーフィルタの製造方法である。 <4> 重合体が、疎水基を有するモノマーと、親水基
を有するモノマーとのランダム共重合体である前記<3
>に記載の導電性カラーフィルタの製造方法である。 <5> 重合体の親水基数の50%以上が、pHの変化
により水溶性から非水溶性、或いは、この逆に可逆的に
変化しうる前記<3>又は<4>に記載の導電性カラー
フィルタの製造方法である。
【0011】<6> 電着材料が、光透過性の導電材料
を含有する前記<1>〜<5>のいずれかに記載の導電
性カラーフィルタの製造方法である。 <7> 色材が、液晶分子の配向を制御しうる導電性の
着色材である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の導
電性カラーフィルタの製造方法である。 <8> カルボキシル基を有する化合物の含有量が、導
電性の着色材1重量%に対し、1.5重量%以下である
前記<7>に記載の導電性カラーフィルタの製造方法で
ある。 <9> 電着材料が、光透過性の導電性高分子化合物を
含有する前記<1>〜<5>のいずれかに記載の導電性
カラーフィルタの製造方法である。 <10> 電着液中に、電着特性に影響を与えない塩を
含有する前記<1>〜<5>のいずれかに記載の導電性
カラーフィルタの製造方法である。
【0012】<11> 導電性の着色電着膜及びブラッ
クマトリックスを形成した後、電荷が移動しうる水分を
含んだ状態の前記着色電着膜及びブラックマトリックス
上に導電性の保護層を形成する工程を有する前記<6>
〜<10>のいずれかに記載の導電性カラーフィルタの
製造方法である。 <12> 導電性の着色電着膜を形成する工程におい
て、電着電位が5V以下の電圧を用いる前記<1>〜<
11>のいずれかに記載の導電性カラーフィルタの製造
方法である。 <13> フォトマスクを介してブラックマトリックス
を形成した後、該ブラックマトリックスと互いに重なる
領域を有するように単色若しくは複数色の着色電着膜を
形成する前記<1>〜<12>のいずれかに記載の導電
性カラーフィルタの製造方法である。 <14> フォトマスクを介して単色若しくは複数色の
着色電着膜を形成した後、該着色電着膜と互いに重なる
領域を有するようにブラックマトリックスを形成する前
記<1>〜<12>のいずれかに記載の導電性カラーフ
ィルタの製造方法である。
【0013】<15> 少なくとも、結像光学部材A
と、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層
した基板をパターニングするためのフォトマスクと、結
像光学部材Bと、光源とがこの順に前記基板側から配置
されてなる露光装置により光照射する前記<1>〜<1
4>のいずれかに記載の導電性カラーフィルタの製造方
法である。 <16> 少なくとも、ミラー反射光学部材と、少なく
とも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板を
パターニングするためのフォトマスクと、結像光学部材
と、光源とがこの順に前記基板側から配置されてなる露
光装置により光照射する前記<1>〜<14>のいずれ
かに記載の導電性カラーフィルタの製造方法である。
【0014】<17> 前記<1>〜<14>のいずれ
かに記載の導電性カラーフィルタの製造方法が用いられ
る導電性カラーフィルタの製造装置であって、少なくと
も、結像光学部材Aと、少なくとも導電膜と光半導体薄
膜とをこの順に積層した基板をパターニングするための
フォトマスクと、結像光学部材Bと、光源とがこの順に
前記基板側から配置されてなる露光装置を備えることを
特徴とする導電性カラーフィルタの製造装置である。 <18> 前記<1>〜<14>のいずれかに記載の導
電性カラーフィルタの製造方法が用いられる導電性カラ
ーフィルタの製造装置であって、少なくとも、ミラー反
射光学部材と、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とをこ
の順に積層した基板をパターニングするためのフォトマ
スクと、結像光学部材と、光源とがこの順に前記基板側
から配置されてなる露光装置を備えることを特徴とする
導電性カラーフィルタの製造装置である。
【0015】<19> 前記<1>〜<16>のいずれ
かに記載の導電性カラーフィルタの製造方法により得ら
れることを特徴とする導電性カラーフィルタである。 <20> 前記<19>に記載の導電性カラーフィルタ
を用い、該導電性カラーフィルタにおける光透過性の導
電膜を、液晶表示のための駆動電極として用いることを
特徴とする液晶表示素子である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の導電性カラーフィルタの
製造方法においては、ブラックマトリックスを形成する
工程と、導電性の着色導電膜を形成する工程とを有し、
前記導電性の着色導電膜を形成する工程で用いる電着液
に導電性の電着材料や塩を含有させ、該電着液に光半導
体薄膜を接触させて光照射し、該光照射部のみに導電性
のカラーフィルタ層を形成する。本発明のカラーフィル
タは、前記本発明の導電性カラーフィルタの製造方法に
より得られ、光透過性の基体上に、光透過性の導電膜、
光透過性の光半導体薄膜及び導電性のカラーフィルタ層
を有してなり、必要に応じて、他の層を有してなる。本
発明の導電性カラーフィルタの製造装置は、前記本発明
の導電性カラーフィルタの製造方法を用いた製造装置で
あって、少なくとも、結像光学部材Aと、少なくとも導
電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板をパター
ニングするためのフォトマスクと、結像光学部材Bと、
光源とがこの順に前記基板側から配置されてなる露光装
置、或いは、少なくとも、ミラー反射光学部材と、少な
くとも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板
をパターニングするためのフォトマスクと、結像光学部
材と、光源とがこの順に前記基板側から配置されてなる
露光装置を備えて構成される。本発明の液晶表示素子に
おいては、前記本発明の導電性カラーフィルタの製造方
法により得られる導電性カラーフィルタを、そのカラー
フィルタ層と液晶層とが直接接触するように配置し、前
記カラーフィルタを構成する光透過性の導電膜をそのま
ま液晶表示のための駆動電極として利用する。以下、本
発明の導電性カラーフィルタの製造方法について詳細に
説明するとともに、該説明を通じて本発明の製造装置、
導電性カラーフィルタ、液晶表示素子の詳細をも明らか
にする。
【0017】<カラーフィルタの製造方法>本発明のカ
ラーフィルタの製造方法は、光透過性の基体上に後述す
る導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板上
に、色素分子を主とする導電性の電着膜(以下、「着色
電着膜」と称する。)を形成する工程(以下、「着色電
着膜形成工程」ということがある。)と、ブラックマト
リックスを形成する工程(以下、「ブラックマトリック
ス形成工程」ということがある。)と、を有してなり、
該着色電着膜形成工程及びブラックマトリックス形成工
程は、いずれを先の工程としてもよい。但し、カラーフ
ィルタの解像度を高める観点からは、ブラックマトリッ
クス形成工程を経た後に、着色電着膜形成工程へ移行す
ることが好ましい。
【0018】−着色電着膜形成工程− 本発明のカラーフィルタの製造方法における着色電着膜
形成工程は、電着技術を用いた膜形成技術によるもので
あり、水溶性分子のうち、酸化状態、中性状態、還元状
態で各々水への溶解度が大きく変化しうる分子に注目
し、水溶性分子を電気化学的に直接酸化還元するか、又
は水溶性分子が溶解された水溶液のpHを適宜変化させ
ることにより、前記状態間の移動を可能とする原理を利
用したものである。
【0019】例えば、フルオレセイン系の色素であるロ
ーズベンガルやエオシン等は、pH4以上では還元状態
をとって水に溶解するが、それ以下では酸化されて中性
状態となり沈殿する。また、カルボキシル基をもった色
素材料では、一般に構造変化を伴わなくとも溶液中の水
素イオン濃度(pH)によって溶解度が大きく異なり、
例えば、耐水性改良インクジェット染料は、pH6以上
で水に溶解するが、それ以下では沈殿をする。そこで、
これらの色素を純水中に溶解した溶液を電解液とし、電
極を浸して電圧を印加すると、陽極電極上にこれらの色
素分子からなる電着膜(着色電着膜)が形成される。同
様に、カルボキシル基を持つ高分子化合物の一種である
水溶性アクリル樹脂もpHが6以上では水に溶解する
が、それ以下では沈殿する。そこで、前記同様にこのア
クリル樹脂と顔料を分散させ、電極を浸し電圧を印加す
ると、陽極電極上に顔料とアクリル樹脂が析出して顔料
とアクリル樹脂とが混合された電着膜が形成される。前
記のようにして形成された電着膜は、逆電圧を印加する
か、或いは、pH10〜12の水溶液に浸すことによ
り、水溶液中に再溶出させることができる。
【0020】また、キノンイミン染料の一つであるオキ
サジン系塩基性染料Cathilon Pure Bl
ue 5GH(C.I.Basic Blue 3)や
チアジン系塩基性染料メチレンブルー(C.I.Bas
ic Blue 9)は、pHが10以下では酸化状態
をとり発色しているが、それ以上になると還元されて不
溶化し析出する。そこで、これらの染料を純水中に溶解
し、電極を浸し電圧を印加すると、陰極電極上にこれら
の染料分子からなる電着膜が形成される。前記同様、こ
れらの染料電着膜も、逆電圧を印加するか、或いは、p
H8以下の水溶液に浸すことにより、水溶液中に再溶出
させることができる。
【0021】ところが、着色電着膜の形成には、ある一
定のしきい値以上の電圧を印加する必要があり、単に電
流が流れても必ずしも電着膜が形成されるわけではな
い。従って、バイアス電圧を印加しておくことにより、
仮に外部から入力される電圧レベルが小さい場合でも着
色電着膜を形成することができ、用いる入力電圧レベル
を制御することにより所望の着色電着膜を形成すること
ができる。ここで、着色電着膜を形成しようとする基板
に半導体材料を利用し、電極として用いれば、入力信号
に光を用い、さらにこの光の照射を制御することにより
所望の位置に着色電着膜を形成することができ、任意の
画像パターンを形成することができる。
【0022】即ち、具体的には、前述のように、液性変
化により溶解度が大きく変化する顔料や染料等を含有す
る電着材料を溶解、分散した溶液(以下、「電解液」と
いうことがある。)を入れた電解液槽を用意し、該槽内
の電解液に電極として有機又は無機の半導体材料を接触
又は浸した状態で、光を所望の画像パターンに対応する
ように前記半導体材料上に照射することにより、電解液
中の電着材料を半導体材料上に析出させ、所望の画像パ
ターンのカラーフィルタ層を有する単色のカラーフィル
タを形成することができる。これを、赤色、緑色、青色
のそれぞれの電解液を用いて繰り返し行うことにより、
多色のカラーフィルタを形成することができる。従っ
て、従来の電着法のように、予めパターニングされた透
明導電膜が不要であり、フォトリソグラフィ工程を経る
ことなく、簡易で低コストな方法で任意の画像パターン
を平滑に、かつ高解像度に形成することができる。ま
た、前記電解液中の電着材料として、導電性の電着材料
を用いることにより、電極とした半導体材料上に導電性
の電着材料を析出させることができ、所望の導電性を持
つカラーフィルタ層を有する導電性カラーフィルタを形
成することができる。
【0023】(電解液)前記電解液としては、水系溶媒
に導電性の成分を含む水系電解液を用いる。具体的に
は、導電性の電着材料を分散又は溶解させた水系電解液
を用いてもよい。また、導電性の電着材料とともに、或
いは、電着材料に導電性を与えずに、電着特性に影響を
与えない塩を含有させた水系電解液を用いてもよい。 −電着材料− 本発明の導電性カラーフィルタの製造方法に用いる前記
導電性の電着材料としては、少なくとも溶液のpH変化
に対応して溶解度が変化するイオン性分子と、電着膜を
所望の色に着色するための染料、顔料、色素等の色材
と、を含有し、さらに導電性の材料を含有して導電性の
電着材料としてもよい。前記導電性の材料を含有すると
ともに、或いは、前記導電性の材料を含有させずに、前
記色材として導電性の着色材を用いて構成することもで
きる。前記導電性の材料又は着色材を含有するととも
に、又は前記導電性の材料又は着色材を含有せずに、電
着特性に影響を与えない塩を含有させて、導電性の着色
電着膜を形成しうる電解液としてもよい。
【0024】前記導電性の材料としては、光透過性の導
電材料、光透過性の導電性高分子化合物、塩、導電性の
着色材等を挙げることができる。前記光透過性の導電材
料としては、ITO、SnO2等の透明導電性微粒子が
挙げられる。前記塩としては、電着特性に影響を与えな
い塩、例えば、NaCl、KCl、NH4Cl等の無機
塩、テトラエチルアンモニウムクロライドやテトラエチ
ルアンモニウムパークロレート等の有機塩等が挙げられ
る。塩の種類は様々な組合わせがあるが、カチオンとし
ては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、第4
アルキルアンモニウムが挙げられ、アニオンとしては、
ハロゲンイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イ
オン、スルホン酸イオン、BF4-、PF4-等が挙げられ
る。中でも、導電性を付与する点で、それ自身が酸化還
元を受け難いイオンが好ましく、さらに水に対する溶解
度の点で、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、
スルホン酸イオンのアンモニウム塩や第4アルキルアン
モニウム塩がより好ましい。一方、薄膜トランジスタ
(TFT)に悪影響を与えないという点においては、ア
ルカリ金属は避けた方がよい。
【0025】前記導電性の材料を用いる場合、分散させ
る水溶性高分子、即ち、後述するカルボキシル基等を有
するアニオン性高分子化合物の含有量としては、導電性
の材料1重量部に対し、1.5重量部以下とすることが
好ましい。
【0026】また、電着材料中に含有する色素として、
前記導電性の着色材を用いることにより導電性の電着材
料とすることができる。導電性の着色材としては、後述
するイオン性の色材のほか、カーボンブラック等を挙げ
ることができる。従って、例えば、ブラックマトリック
スにカーボンブラックを使用する場合、該カーボンブラ
ックはそれ自体高い導電性を有するため、別の導電性の
成分を必ずしも加える必要はない。しかし、分散させる
水溶性高分子の比率が、カーボンブラックよりも大きい
と絶縁性になることがあり、この場合には、顔料比率を
大きくする必要がある。ところが、青色や緑色のフタロ
シアニン系の顔料は、それ自身の導電率が低いため、こ
れら顔料の含有比率を多くするのみでは十分な導電性を
得ることができない。この場合には、上述の光透過性の
導電材料等を添加することにより導電性を確保できる。
【0027】従って、前記導電性の着色材を用いる場
合、分散させる水溶性高分子、即ち、後述するカルボキ
シル基等を有するアニオン性高分子化合物の含有量とし
ては、導電性の着色材1重量部に対し、1.5重量部以
下とすることが好ましい。
【0028】上記のように、導電性の電着材料を均一に
分散、溶解してなる電解液を用いて着色電着膜を形成す
ることから、その解像度に優れると同時に、形成された
着色電着膜における導電性は極めて均一であり、また各
膜間(画素間)における導電性のバラツキの小さいカラ
ーフィルタ層を形成することができる。従って、液晶表
示素子用として用いた場合に、全面に渡って、液晶分子
を均一に配向させることができる。
【0029】前記色材自体は必ずしも電着能を有する必
要はなく、イオン性分子が電着する際に、色材を取り込
んで凝集、析出することにより着色電着膜が形成されて
もよい。また、色材自体がイオン性分子であって、電着
能を有する場合は、電着材料は色材のみからなっていて
もよい。ここで、色材として顔料を含有するとともに、
イオン性高分子を含有させた電着材料を用いると、形成
した着色電着膜の耐光性を向上させることができ、特に
好ましい。尚、イオン性分子は、陰イオン解離性基を有
するアニオン性分子であっても、陽イオン解離性基を有
するカチオン性分子であってもよく、用いられる光半導
体薄膜の極性に応じて選択される。
【0030】いずれのイオン性分子を電着材料として選
択するかは、イオン性分子が有するpHの変化に対応し
た溶解度の変化特性を目安にすることができる。本発明
に用いられる電着材料は、溶液のpH変化に依存して、
急激に溶解度が変化する性質を有するものが好ましい。
例えば、溶液の±2.0のpH変化に対応して、より好
ましくは、±1.0のpH変化に対応して状態変化(溶
存状態→沈殿、又は沈殿→溶存状態)するものが好まし
い。このような溶解度特性を有するイオン性分子を電着
材料として用いれば、より迅速に電着膜を作製でき、ま
た耐水性に優れた電着膜を作製することができる。さら
に、電着材料として用いるイオン性分子は、pHの変化
に対応する状態変化(溶存状態→析出の変化と析出→溶
存状態の変化)にヒステリシスを示すものが好ましい。
即ち、pHの減少又は増加に対応する析出状態への変化
は急峻であり、かつpHの増加又は減少に対応する溶存
状態への変化は緩慢であると、着色電着膜の安定性が向
上するので好ましい。
【0031】前記イオン性分子としては、例えば、陰イ
オン性解離基であるカルボキシル基等を有するアニオン
性高分子化合物;陽イオン性解離基であるアミノ基、イ
ミノ基等を有するカチオン性高分子化合物等が挙げら
れ、中でも、イオン性解離基を有する親水性モノマーと
疎水性モノマーとの共重合体が好ましく、ランダム共重
合体が特に好ましい。
【0032】陰イオン性解離基を有する親水性モノマー
としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒ
ドロキシエチル、アクリルアミド、無水マレイン酸、無
水トリメリト酸、無水フタル酸、ヘミメリット酸、コハ
ク酸、アジピン酸、プロピオル酸、プロピオン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマ
ー、及びこれらの誘導体が挙げられる。中でも、メタク
リル酸、アクリル酸が、これらをモノマーとするイオン
性高分子は、pHの変化により状態変化が急峻であると
ともに、水系液体への親水性も高い点で好ましい。
【0033】陽イオン性解離基を有するモノマーとして
は、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミ
ン、オキサゾリン、アルキルアミン、アルキルイミン、
ポリアミン、ポリイミン等のアミノ基又はイミノ基を有
するモノマー等が挙げられる。また、陽イオン性解離基
を有するカチオン性高分子は、高分子にアミノ基、イミ
ノ基等の陽イオン性解離基を導入したものであってもよ
い。親水性モノマーは、その分子構造中に50〜75重
量%の割合でイオン解離性基を含有するものが好まし
い。また、親水性モノマーは、2種類以上を組合わせて
用いてもよい。
【0034】疎水性モノマーとしては、エチレン、ブタ
ジエン等のオレフィン、スチレン、α−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等、及び
これらの誘導体が挙げられる。中でも、スチレン、α−
メチルスチレンは、疎水化効率が高く、電着析出効率が
良好である点、また親水性モノマーとの共重合の際の制
御性が高い点で好ましい。尚、疎水性モノマーは、2種
類以上を組合わせて用いてもよい。
【0035】イオン性高分子を色材とともに使用する場
合は、イオン性高分子は、透明な電着膜を形成し得るも
のが、色材の発色を妨げないので好ましい。例えば、水
溶性アクリル樹脂が好ましい。
【0036】イオン性高分子は、電着液の液安定性の観
点からは、適度な親水性を有している必要があり、一
方、電着膜の膜強度及び耐水性の観点からは、適度な疎
水性を有している必要がある。電着材料として用いるイ
オン性高分子に要求される疎水性と親水性のバランス
は、例えば、以下のようなモノマー単位の疎水性基の数
と、親水性基の数とで表すことができる。即ち、イオン
性高分子が、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重
合体である場合、モノマー単位の疎水性基数と親水性基
数との総和に対する疎水性基の数としては、40〜80
%が好ましく、55〜70%がより好ましい。前記疎水
性基数の割合が、40%未満であると、電着膜の耐水性
や膜強度が不十分となることがあり、80%を超える
と、イオン性高分子の水系溶媒に対する親和性が低下し
沈殿を生じたり、電着液の粘度が高くなりすぎて、均一
な電着膜を形成できないことがある。一方、疎水性基の
数が前記範囲にあると、水系溶媒との親和性も高く、電
着液の液性が安定化するとともに、電着効率も高いので
好ましい。
【0037】一方、前記親水基としては、該親水基の数
の50%以上が、pHの変化により水溶性から非水溶
性、或いは、この逆に可逆的に変化しうる親水基である
ことが好ましい。前記親水基の数が、50%未満である
と、水に対する溶解度が低すぎて水に溶けなくなること
がある。
【0038】イオン性高分子の疎水性と親水性のバラン
スは、アニオン性高分子を用いる場合は、酸価によって
示すこともできる。アニオン性高分子の酸価は、電着特
性が良好となる点で、60〜300が好ましく、90〜
195が特に好ましい。前記アニオン性高分子の酸価
が、60未満であると、水系溶媒への親和性が低くな
り、アニオン性高分子が沈殿したり、電着液の粘度が高
くなりすぎて、均一な電着膜が形成できないことがあ
り、300を超えると、形成された電着膜の耐水性が低
下したり、電着効率が低下することがある。
【0039】前記イオン性高分子の分子量としては、電
着膜の膜特性等の観点から、重量平均分子量が6.0×
103〜2.5×104が好ましく、9.0×103
2.0×104がより好ましい。前記重量平均分子量
が、6.0×103未満であると、膜が不均一となり、
耐水性が低下する結果、電着膜中にクラックが発生した
り、電着膜が粉末化して、堅牢性の高い電着膜が得られ
ないことがあり、2.5×104を超えると、水系溶媒
との親和性が低下し、沈殿が生じたり、電着液の粘度が
高すぎて電着膜が不均一となることがある。
【0040】また、前記イオン性高分子は、ガラス転移
点が80℃以下で、流動開始点が180℃以下、分解点
が150℃以上であると、基板上に形成されたイオン性
高分子からなる電着膜を別の画像保持基材上に熱転写す
る場合に、転写制御が容易となり好ましい。
【0041】電着材料がイオン性の色材を含有してなる
場合、該イオン性の色材としては、トリフェニルメタン
フタリド系、フェノサジン系、フェノチアジン系、フル
オレセイン系、インドリルフタリド系、スピロピラン
系、アザフタリド系、ジフェニルメタン系、クロメノピ
ラゾール系、ロイコオーラミン系、アゾメチン系、ロー
ダミンラクタル系、ナフトラクタム系、トリアゼン系、
トリアゾールアゾ系、チアゾールアゾ系、アゾ系、オキ
サジン系、チアジン系、ベンズチアゾールアゾ系、キノ
ンイミン系の染料、及びカルボキシル基、アミノ基、又
はイミノ基を有する親水性染料等が挙げられる。
【0042】水系電解液は、水系溶媒中に前記電着材料
を溶解又は分散させて用いるが、水系溶媒とは、水を主
成分とし、所望により本発明の効果を損なわない範囲で
アルコール等の水と親和性のある他の溶剤や、種々の塩
及び添加剤等を添加した溶媒をいう。
【0043】光照射前の電解液のpHは、用いる電着材
料の状態変化が生じるpHより±2の範囲に設定するの
が好ましい。電解液のpHをこのような範囲に設定して
おけば、電着膜が形成される前に電着材料の水系溶媒へ
の溶解が飽和状態となる。その結果、一旦着色電着膜を
形成してしまえば、膜形成後に電解液中に再溶解し難い
ので、安定的に着色電着膜を形成することができる。一
方、着色電着膜の形成時に、電着材料が未飽和状態であ
ると、一旦電着膜が形成されても、電流等の供与を中止
した途端に膜が再溶解し始めることがある。尚、電着液
のpHを調整するには、電着特性に影響を与えない酸性
又はアルカリ性物質を添加し、バイアス電圧を5V以下
まで下げて着色電着膜を形成することが好ましく、2V
以下まで下げて着色電着膜を形成することがより好まし
い。
【0044】また、エッジ部がシャープで、高鮮鋭なブ
ラックマトリックス及び着色電着膜を形成しうる観点か
ら、電着時に用いる電解液の温度を一定の温度に保持
し、一定の電着速度でブラックマトリックス及び着色電
着膜を形成することが好ましい。
【0045】2種類以上のアニオン性分子の混合物や2
種類以上のカチオン性分子の混合物のような同極性分子
の混合物や、アニオン性分子とカチオン性分子の混合物
のような異極性分子の混合物や、染料と顔料の混合物や
高分子と顔料の混合物等の様々な混合物も使用できる。
この場合には、混合色が得られることになる。混合物の
場合には、少なくとも1種類以上の分子は、単体でpH
変化により溶解度が変化し、着色電着膜を形成できる性
質を有する必要がある。この場合、単体では膜形成能力
のない色素分子は、膜形成時に製膜能力がある色素分子
に取り込まれ混合色が得られるのである。例えば、フル
オレセイン系の色素であるローズベンガルやエオシンは
pH4以上では還元状態をとり水に溶解するが、それ以
下では酸化されて中性状態となり沈殿する。同様にジア
ゾ系のPro JetFast Yellow2やある
種の水溶性アクリル樹脂は、pH6以上では水に溶解す
るが、それ以下では沈殿する。
【0046】これらの分子を純水中に溶解し、溶液中に
電極を浸し、電圧を印加すると、陽極側の電極上にこれ
らの分子からなる電着膜が形成され、該電着膜は、逆電
圧を印加するか、或いは、pH10〜12の水溶液に浸
すことで、水溶液中に再溶出させることができる。即
ち、ローズベンガル、エオシン、Pro Jet Fa
st Yellow2は、単体で膜形成能力を有する
が、これに膜形成能力のない色素分子を混合すると、混
色の電着膜が得られる。この時、混合する材料は、イオ
ン性の有無も、イオンの極性も問わない。例えば、2種
類のイオンを混合した場合、一般に塩基性溶液と酸性溶
液との混合では、中和して錯体など別の析出物を生じて
沈殿する。このため、2種類の色素分子を混合して混合
色を出す場合には、無極性又は同極性の色素分子を分散
させるのが一般的である。しかし、染料の中には、錯体
が形成されず、色素イオンが共存した状態をとるものが
あり、この場合には、塩基性溶液と酸性溶液を混合して
も析出を抑えることができ、イオンの極性によらず使用
することができる。以下に、この性質を利用して2種類
のイオン性色素分子を混合した場合について示す。
【0047】第一に、同極性の2種の色素イオン、例え
ば、アニオン性で膜形成能力のあるローズベンガル(赤
色)と、アニオン性であるが膜形成能力のないブリリア
ントブルー(青色)とを混合した混合溶液中で、電気化
学的に酸化させると、電極には混合液の色と同色の紫色
の着色電着膜が形成される。これは、膜形成能力を有す
るローズベンガルにブリリアントブルーのイオンが取り
込まれて製膜されるためである。このように、極性が同
じ2種類のイオンを混合する場合には、いずれか1種の
色素イオンに膜形成能力があればよい。
【0048】次に、異極性の2種の色素イオン、例え
ば、アニオン性で膜形成能力のあるPro Jet F
ast Yellow2(黄色)と、カチオン性で膜形
成能力のあるCathilon Pure Blue
5GH(青色)とを混合した混合溶液中で、電気化学的
に酸化させると、電極には混合液の色と同色の緑色の着
色電着膜が形成される。逆に、電気化学的に還元させる
と、電極にはCathilon Pure Blue
5GH単体の青色の着色電着膜が形成される。即ち、ア
ニオン性の色素イオン溶液とカチオン性の色素イオン溶
液との混合液中で、電気化学反応をさせると、印加する
電圧の極性を変化させることにより、同一の電極上に異
なる色素の着色電着膜を形成することができる。
【0049】さらに、顔料等の非イオン性分子と組合せ
る場合には、膜形成能力のある透明な高分子材料であ
る、水溶性アクリル樹脂や水溶性スチレン樹脂等を用い
て顔料等とともに混合、分散した溶液を使用すれば、顔
料からなる着色電着膜を得ることができる。
【0050】次に、電解液の基板近傍で生じるpH変
化、及びこれに伴う着色電着膜の形成機構について説明
する。一般的に、水溶液中に白金電極を浸し電流又は電
圧を供与すると、アノード近傍の水溶液中のOH-イオ
ンは消費されてO2になり、水素イオンが増えてpHが
低下する。これは、アノード近傍でホール(p)とOH
-イオンとが結び付く以下の反応が起こるためである。 2OH-+2p+ → 1/2(O2)+H2O 但し、この反応が起こるには、基板の電位が一定値(し
きい値電位)を超える必要がある。しきい値電位を超え
て始めて反応が進行し、水溶液中のpHが変化する(ア
ノード近傍ではpHが低下し、カソード近傍ではpHが
増加する)。本発明において着色電着膜を形成する場
合、光照射により光半導体に光起電力を起こさせ、光照
射部のみをしきい値電位を超える電位とし、基板の光照
射部近傍の電解液のみに前記の反応を進行させるもので
ある。反応が進行した結果、光照射部近傍の電解液のp
Hは変化し、これに対応して電着材料の溶解度が変化
し、光照射部のみに着色電着膜が形成される。
【0051】このように、光起電力を利用して電気化学
反応を引き起こす試みは、今までに種々検討されてき
た。例えば、A.Fujishima,K.Hond
a,Nature vol.238,p37,(197
2)には、n型光半導体のTiO 2に光を照射して、生
じた光起電力により水の電気分解を行った例が報告され
ている。 また、 光起電力を利用した画像形成の例として
は、H.Yoneyama,et al,J.Elec
trochem.Soc.,p2414(1985)
に、Si基板上に光を照射して、生じた光起電力により
ピロールを電解重合し、 ドーピング・ 脱ドーピングで画
像形成を行った例が報告されている。 また、 我々も導電
性高分子のドーピング・ 脱ドーピングに色素を用い、 光
で画像形成する方法を特許出願中である。 しかし、光起
電力を利用して、導電性高分子により画像形成を行う場
合は、使用できる発色材料に限界がある。その結果、多
彩色の画像形成を行うのは困難であった。
【0052】導電性高分子が存在しない系であっても、
着色電着膜を形成することは可能であるが、着色電着膜
形成に必要な電圧は、 導電性高分子がある場合に比較し
て大きくなる。 例えば、 前記特開平5−119209号
公報「カラーフィルター製造方法及びカラーフィルター
製造用の電着基板」、及び特開平5−157905号公
報「カラーフィルター製造方法」では、 光半導体薄膜に
光照射を行い、該光照射部に発現した光導電性を利用し
て着色電着膜を形成する技術が開示されているが、印加
電圧は、20Vから80Vであり、電着物質は高分子の
酸化還元反応を利用している。 一方、 光半導体薄膜の光
起電力は1V未満(例えば、Siで0.6V程度)であ
り、画像を形成するには光起電力だけでは不十分であ
る。 あらかじめ電流又は電圧の供与により電位を嵩上げ
しておくことも考えられるが、一定の電圧(用いる光半
導体のバンドギャップに対応する電圧)を超えて電圧を
印加すると(例えば、Siで5Vを越える電圧)、半導
体と電着液間のショトキーバリヤーが壊れてしまい、画
像形成ができなくなる。本発明では、電着に高分子等の
酸化還元反応を利用せず、前記のように、電着液中のp
H変化に対応した電着材料の溶解度変化を利用して着色
電着膜を形成しているので、ショットキーバリヤーを破
壊しない範囲で、電着することが可能である。
【0053】本発明において、あらかじめ基板(基板中
の光透過性導電膜)に電圧を印加しておいてもよい。こ
のときに印加するバイアス電圧は、光半導体薄膜が発現
する光起電力により基板に生じる電位を補い、基板の電
位がしきい値電位に達するようにその大きさを設定す
る。また、印加するバイアス電圧は、ショトキーバリア
ーを超えない大きさに設定する。あらかじめ基板に印加
する電圧が大きすぎると、ショトキーバリアーが壊れ、
光照射されていない領域にも電流が流れ、光半導体基板
の全領域に電着膜が形成され、着色電着膜の形成位置を
制御できなくなるからである。例えば、TiO2の光起
電力は、約0.6Vであるので、2.0Vで電着する電
着材料であれば、1.5Vのバイアス電圧を印加しつつ
光照射すると、基板(光半導体膜)の光照射部の電位は
0.6V+1.5V=2.1Vとなり、電着に必要なし
きい値電位を越え、光照射部のみに着色電着膜が形成さ
れる。一方、この基板に2.5V以上のバイアス電圧を
印加すると、ショトキーバリアーが壊れてしまう。
【0054】次に、光半導体と電着材料の組合わせにつ
いて説明する。本発明では、光起電力の形成に、光半導
体と接触した界面に生じるショトキーバリヤーや、pn
接合あるいはpin接合の障壁を利用している。図1の
左図にn型光半導体と電着液との界面に生じるショトキ
ーバリヤーを、図1の右図にpin接合のエネルギーバ
ンドを模式的に示す。例えば、n型光半導体を用いた場
合(左図)、n型光半導体側を負にした場合には、電流
の流れる順方向であるので電流は流れるが、逆に、n型
光半導体側を正にした場合は、n型光半導体と水系電解
液とのショトキー接合がバリヤーを形成して、電流は流
れない。ところが、n型光半導体側を正にして電流が流
れない状態でも、光を照射するとn型光半導体薄膜から
エレクトロン・ホールペアが発生し、ホールが溶液側に
移動して電流が流れる。この場合、n型光半導体を正電
位にするのであるから電着する材料はアニオン性分子で
なければならない。従って、n型光半導体とアニオン性
分子の組合せとなり、逆にp型光半導体ではカチオンが
電着されることになる。特に、n型光半導体を用いた場
合はカルボキシル基を有するアニオン性分子、p型半導
体を用いた場合はアミノ基、又はイミノ基を有するカチ
オン性分子を含有する着色電着材料を用いるのが好まし
い。
【0055】導電性膜に電流又は電圧を供与するには、
導電性膜の側縁等に電流又は電圧が供与されるための通
電路を設ければよい。電流又は電圧の供給には、ポテン
ショスタット等が使用可能である。
【0056】−ブラックマトリックス形成工程− 次に、ブラックマトリックスの形成工程について説明す
る。ブラックマトリックスの形成工程では、上述の着色
電着膜形成工程と同様のプロセスにより、黒色の色材を
含有する電解液を用いて光照射し、該光照射部に選択的
に黒色の着色電着膜、即ち、ブラックマトリックスを形
成してもよい。電解液として、金属を含有する電着材料
を含む電解液を用いて金属メッキ薄膜を形成する工程で
あってもよい。これらの場合には、フォトリソグラフィ
を用いることなく、ブラックマトリックスを簡易かつ高
精細に形成することができる。ブラックマトリックス形
成工程は、前記着色電着膜形成工程の前に設けてもよ
く、着色電着膜形成工程を経た後に設けてもよい。
【0057】また、ブラックマトリックス形成工程を着
色電着膜形成工程の後に設ける場合には、基板に形成さ
れた着色電着膜上に、ブラックカーボン粉末等の黒色の
色材を含む紫外線硬化樹脂の溶液を塗布したり、或い
は、着色電着膜を形成した基板を前記溶液に接触させ
て、紫外線照射して黒色の色材を含む樹脂薄膜を形成さ
せることにより、ブラックマトリックスを形成してもよ
い。
【0058】上記のように、黒色の色材を含有する電解
液を用いた方法の場合、前記黒色の色材としては、公知
の黒色の色材を適宜使用できるが、後述するようにブラ
ックマトリックスを形成した後に着色電着膜を重なり部
分を有するように形成させることができる観点からは、
導電性の黒色の色材が好ましく、中でも、カーボンブラ
ックが特に好ましい。その他、電着材料に含有される高
分子材料については、着色電着膜形成工程に用いる材料
と同様である。
【0059】金属メッキ薄膜を形成する場合において
は、電解液として金属を含む電着材料を含有する電解液
を用い、前記着色電着膜形成工程、及び黒色の色材を含
有する電解液を用いたブラックマトリックス形成工程と
同様のプロセスにより金属メッキ薄膜よりなるブラック
マトリックスを形成できる。金属メッキ薄膜が着膜した
上層では、金属膜の抵抗が低いために、発生電流の拡散
が生じ、不要に電着膜が積層され難い傾向があり、ブラ
ックマトリックスを薄層化できる点で好ましい。金属メ
ッキ薄膜を、着色電着膜形成工程後に設ける場合には、
使用する水系電解液は着色電着膜に悪影響を及ぼさない
液特性を有していることが好ましく、例えば、着色電着
膜が、陰イオン性解離基を有する電着材料からなる場合
は、水系電解液は酸性系であることが好ましい。
【0060】また、金属メッキ薄膜を、着色電着膜形成
工程前に設ける場合には、金属メッキ薄膜が着色電着膜
形成工程に用いる水系電解液に対して、耐性を持つこと
が好ましい。従って、金属メッキ薄膜として、高い堅牢
性を有する金属を含む電解液を用いることが好ましく、
該金属としては、例えば、Ni,Cr,Cu,Au,A
g,Mo,Sn,Zn,Co,Ti,Ta,Pb,Rr
等が挙げられ、これらより選択される金属イオン1種又
は複数種を含有する電解液を用いることが好ましい。中
でも、Ni,Cr,Cu,Au,Ag,Mo,Sn,Z
n,Coより選択される金属イオンは、薄膜形成能及び
メッキ液安定性等の点で特に好ましい。
【0061】尚、金属は、陰極性の電極に析出するもの
がほとんどなので、基板を構成する光半導体薄膜とし
て、例えば、酸化チタン等のn型光半導体を用いる場合
は、着色電着膜形成工程では、基板が陽極性となるよう
にバイアスを印加し、金属メッキ薄膜を形成場合におい
ては、基板が陰極性となるようにバイアスを印加する。
【0062】前記黒色の色材を含む紫外線硬化樹脂の溶
液を用いてブラックマトリックスを形成する場合には、
溶媒に紫外線硬化樹脂を溶解した溶液中に、黒色の色材
を分散させ、これを着色電着膜を形成した側の基板上の
表面全体に付着させ、ブラックマトリックスを形成する
領域のみに紫外線を照射して硬化させ、その後、溶媒で
溶解させて未硬化領域に存在する前記溶液を除去する。
【0063】基板上に着色電着膜及びブラックマトリッ
クスを設ける場合、該着色電着膜とブラックマトリック
スとの隙間を無くす目的で、フォトマスクを介してブラ
ックマトリックス又は単色若しくは複数色の着色電着膜
を形成した後、該ブラックマトリックス又は着色電着膜
と互いに重なりを有するように、単色若しくは複数色の
着色電着膜又はブラックマトリックスを形成することが
好ましい。即ち、ブラックマトリックスを形成した後に
着色電着膜を形成する場合、ブラックマトリックスと重
なる領域ができるようにブラックマトリックスの領域ま
で光照射することにより、光照射されたブラックマトリ
ックス上にも着色電着膜を形成する。逆に、着色電着膜
を形成した後にブラックマトリックスを形成する場合に
おいても同様である。
【0064】上記のようにして、基板上に形成した着色
電着膜及びブラックマトリックス上には、配向処理を施
した導電性の保護層を設けることが好ましい。また、前
記保護層表面には、ラビング処理等の公知の方法により
配向処理を施すこともできる。
【0065】(光源)光半導体薄膜への光照射の光源に
は、水銀灯、水銀キセノンランプ、He−Cdレーザ、
ガスレーザ、エキシマレーザ、He−Neレーザ、半導
体レーザ、赤外線レーザ等、従来知られている光源を広
く用いることができる。上記のうち、高圧水銀ランプや
DeepUVが出力される水銀キセンノンランプが好ま
しい。また、照射光は、光半導体薄膜に対して光起電力
を発生させる波長域の光である必要がある。例えば、二
酸化チタン、酸化亜鉛等の光半導体は、紫外線の照射に
より光起電力を発生する。他方、ポリシリコン、フタロ
シアニン系化合物等は、赤外線の照射により光起電力を
発生する。このように、用いる光半導体が感知する光の
光源を適宜選択すればよい。画像様に光照射する方法と
しては、フォトマスク等を介して水銀灯、水銀キセノン
ランプ等を用いて全面露光する方法や、レーザを用いて
走査露光する方法等がある。
【0066】<基板>本発明のカラーフィルタの製造方
法に用いる基板の断面構造を図2に示す。前記基板は、
光透過性の基体5上に、少なくとも、光透過性の導電膜
6と、光起電力機能を有する光半導体薄膜7と、を順次
積層したものである。 (基体)前記基体としては、光透過性の種々の材料を用
いることができ、例えば、ガラス、プラスチック等を好
適に挙げられる。
【0067】(導電膜)導電膜は、導電性を有し、かつ
光透過性の材料であれば広く用いることができる。例え
ば、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr等の金属、I
TO(インジュウム−スズ酸化物)、二酸化スズ等の金
属酸化物等が挙げられる。また、導電性カーボン材料、
導電性セラミックス材料等を用いることもできる。導電
性膜は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD法
等従来公知の方法により支持体上に形成することができ
る。
【0068】(光半導体薄膜)光半導体薄膜は、光照射
により光起電力を生じるものであればいずれも使用する
ことができる。光半導体は光照射による効果を一定期間
保有する光履歴効果を有するが、本発明に用いられる光
半導体は、光履歴効果の弱いものが好ましい。但し、光
履歴効果が強いものであっても、光半導体薄膜を薄くす
れば、光履歴効果を小さくなる傾向があるので、使用す
ることができる。光半導体には、n型光半導体とp型光
半導体があるが、本発明ではいずれの光半導体も使用可
能である。さらに、n型光半導体薄膜とp型光半導体薄
膜とを積層したpn接合を有する光半導体薄膜、又はn
型光半導体薄膜と、i型光半導体薄膜と、n型光半導体
薄膜とを積層したpin接合を有する光半導体薄膜等、
積層構造の光半導体薄膜を用いると、高出力の光電流が
確実に得られ、画像のコントラストがより高くなるので
好ましい。
【0069】また、本発明に用いられる光半導体薄膜
は、無機光半導体からなるものであっても、有機光半導
体からなるものであってもよい。無機光半導体として
は、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化
ニッケル、酸化錫、酸化モリブデン、SiGaN、a−
C、BN、ZnSe、ダイヤモンド、GaAs系化合
物、CuS、Zn32、ポリシリコン等が挙げられる。
有機光半導体としては、フタロシアニン系顔料、ペリレ
ン系顔料、アゾ系顔料、ポリビニルカルバゾール、ポリ
アセチレン等が挙げられる。これらの混合物からなるも
のであってもよく、また、各々の材料からなる光半導体
薄膜を複数積層したものであってもよい。
【0070】中でも、TiO2、ZnO等の金属酸化物
は、電着時の安定性に優れ、光照射効率も優れているの
で、繰り返し使用するような場合には好適である。ま
た、TiO2は、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、電
子ビーム蒸着法等種々の方法により製膜すると、良好な
n型光半導体薄膜が得られることが近年の研究で明らか
になっている。光電流の変換効率を高めるには、還元処
理が有効であり、通常、水素ガス中で550℃程度で加
熱する。例えば、約300℃下で10分間、3%の水素
混合窒素ガスを用いて1分間に1lの流量を流しなが
ら、加熱することにより達成できる。
【0071】光半導体薄膜は、従来公知のゾル−ゲル
法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンコー
ト法、グロー放電着膜法等により、導電性膜上に形成す
ることができる。前記光半導体薄膜の膜厚としては、特
に制約はないが、良好な特性が得られる点で、0.05
〜3.0μmが好ましい。前記膜厚が、0.05μm未
満であると、生じる光起電力が弱すぎてパターン形成に
問題を生ずることがり、3.0μmを超えると、光照射
によって生じた電荷が膜内にトラップされ、光履歴効果
が大きくなるためパターン形成性が悪化することがあ
る。
【0072】光半導体薄膜は、微結晶性又は多結晶性の
膜質を有しているのが、光起電力発生効率の点で好まし
い。さらに、光半導体のみからなるものが好ましく、樹
脂等の絶縁性材料を含有していないものが好ましい。光
半導体薄膜に樹脂等の絶縁性材料を混合すると、光起電
力の発生効率が低下し、光履歴効果が高くなる。尚、光
半導体薄膜の光照射下での体積抵抗値としては、10-2
〜108Ω・cmが好ましく、100〜106Ω・cmが
より好ましい。前記光半導体薄膜の体積抵抗値が、10
8Ω・cmを越えると、通電するのに高い電圧が必要と
なるため、光起電力の発生効率が著しく低下することが
ある。
【0073】−カラーフィルタ− 本発明のカラーフィルタは、前記本発明の導電性カラー
フィルタの製造方法により得られ、光透過性の基体上
に、光透過性の導電膜、光起電力機能を有する光透過性
の光半導体薄膜、及び導電性のカラーフィルタ層を有し
てなり、必要に応じて、他の層を有してなる。
【0074】上述した基板上に、ブラックマトリクスの
みを形成したカラーフィルタの断面図を図4(A)に、
これにさらに単色の着色電着膜を形成したカラーフィル
タの断面図を図4(B)に、本発明のカラーフィルタの
断面図を図4(C)に、示す。本発明のカラーフィルタ
ーは、前記基板8上に形成したブラックマトリックス間
に、複数色の、導電性の着色電着膜15B,15G,1
5Rを設けてなるカラーフィルタ層16を有することを
特徴とする。このようにカラーフィルタ自体が導電性を
有することにより、該カラーフィルタ層と液晶層とが積
層してなる液晶表示素子を作製したときに、導電膜6を
そのまま液晶表示のための駆動電極として利用すること
ができる。また、上述のように着色電着膜の導電性は均
一であり、さらに光電着により析出形成された着色電着
膜は極めて薄膜であるため、液晶層中の液晶分子を均一
に配向させることができる。尚、ブラックマトリックス
14’及び着色電着膜15B,15G,15Rは、隙間
を無くす目的で、互いに重なり部分を有するように形成
することもできる。
【0075】前記本発明のカラーフィルタは、前記本発
明のカラーフィルタの製造方法により作製され、高解像
度で、かつ極めて均一で、高い導電性を有するカラーフ
ィルタ層を有するカラーフィルタである。カラーフィル
タを液晶表示素子に利用する場合、一般に着色電着膜及
びブラックマトリックスよりなるカラーフィルタ層は絶
縁性であるため、カラーフィルタ層と接する液晶層との
間には、液晶表示を制御する駆動電極となる導電性の層
を設ける必要があるが、前記本発明のカラーフィルタ
は、そのカラーフィルタ層自体が、液晶分子を制御する
のに十分な導電性を有していることから、導電性の新た
な層を設けることなく、形成したカラーフィルタの導電
膜をそのまま駆動電極として利用でき、簡易な構造で、
かつ簡易な製造工程で高解像度の液晶表示素子を作製で
きる。また、カラーフィルタ層の導電性は、その全面に
渡り極めて均一であることから、液晶分子の配向を均一
に制御でき、高画質で鮮明なフルカラー画像を表示する
ことが可能となる。
【0076】<製造装置>次に、本発明の導電性カラー
フィルタの製造装置について説明する。本発明の製造装
置は、前記本発明のカラーフィルタの製造方法を利用し
た装置であって、少なくとも、結像光学部材A若しくは
ミラー反射光学部材と、少なくとも導電膜と光半導体薄
膜とをこの順に積層した基板をパターニングするための
フォトマスクと、結像光学部材(B)と、光源とがこの
順に前記基板側から配置されてなる露光装置を有して構
成される。また、画像パターン状に光照射する照射方法
としては、公知の照射方法の中から適宜選択でき、例え
ば、フォトマスク等を介して水銀灯、水銀キセノンラン
プ等の公知の光源により全面露光する方法や、レーザを
用いて直接画像状に走査露光する方法等が挙げられる。
【0077】前記露光装置は、図2のように構成された
基板における、導電膜6及び半導体薄膜7が設けられて
いない側の基体5表面(基体の裏面)の上方に配置して
もよい。ここで、前記基板の光半導体薄膜7を、導電性
の電着材料を含む電解液に接触させ、前記露光装置より
画像様に光照射して電着材料を析出させることにより、
導電性のカラーフィルタ層を形成することができる。
【0078】前記基板の光半導体薄膜7を電解液に接触
させる際の、基板の電解液に対する位置関係としては、
任意の位置関係を適宜選択でき、例えば、基板全体を電
解液中に浸漬して配置してもよいし、基板の一部、例え
ば、着色電着膜を形成する光半導体薄膜のみが接触する
ように配置してもよい。しかし、電着液中には、着色電
着膜を形成するための色材等の、光を吸収する成分が含
有されるため、光を所望の画像パターンに対応するよう
に基板上に照射する場合に、浸漬した基板を、その電解
液中を通して光照射することは困難となる。従って、本
発明のカラーフィルタの製造方法においては、少なくと
も、着色電着膜を形成しようとする部分が電解液に接触
するように配置し、着色電着膜を形成しようとする部分
の裏側の表面(光半導体薄膜の設けられていない側の基
体表面)は、電着液外に存在している態様が好ましい。
【0079】一方、導電膜及び光半導体薄膜を形成した
基板上に光照射して画像パターンを形成する場合、一般
に、フォトマスクと、前記基板の光半導体薄膜表面とを
密着させて、フォトマスク上から公知の光源により平行
光を照射してもよい。しかし、上記のように電着液中に
は色材等の、光を吸収しうる成分が含有されているた
め、フォトマスクを密着した面を電解液に接触して光照
射しても所望の画像パターンを得ることはできない。従
って、着色電着膜を形成しようとする光半導体薄膜の設
けられていない側の基体表面(裏面)にフォトマスクを
配置し、照射光が電解液を通過しないように裏面のフォ
トマスク上から光照射する態様が好ましい。
【0080】ここで、着色電着膜を形成しようとする光
半導体薄膜に光を入射させる場合、入射光は、基板の厚
み方向へ基体及び導電膜を通過して進むため、電解液と
接する光半導体薄膜の表面に到達するまでに、光が拡散
したり、回折の影響を受けて解像度が低下してしまうこ
とがある。従って、ブラックマトリックスや着色電着膜
を形成しようとする光半導体薄膜(露光面)の設けられ
ていない側の基板表面から、少なくとも、結像光学部材
B若しくはミラー反射光学部材と、少なくとも導電膜お
よび光半導体薄膜をこの順に積層した基板をパターニン
グするためのフォトマスクと、結像光学部材Aと、光源
とをこの順に配置してなる露光装置を用いて、光源から
結像光学部材Aを経てフォトマスクに結像し、フォトマ
スクを介して出てきた画像パターン状の光をさらに結像
光学部材Bを通して前記露光面に光を結像させる態様が
より好ましい。
【0081】本発明のカラーフィルタの製造装置として
は、例えば、図3に示すような態様であってもよい。即
ち、水銀灯、水銀キセノンランプ等の公知の光源1を用
い、該光源1から発せられた光は、結像光学部材2を通
してフォトマスク3上に結像され、該フォトマスク3を
介して所望の画像パターン状の光とした後、さらに結像
光学部材4を介して、電着用治具9の電着液収容部に収
容された電着液10と接触する光半導体薄膜7表面に結
像させて光照射する。この光学系を利用した露光装置
は、一般に、プロジェクション型露光装置とも呼ばれて
いる。この場合、一定の電位を確保する目的で、基板8
をのITO薄膜6を介してポテンショスタット12と接
続し、さらに該ポテンショスタット12は、リファレン
ス電極13およびカウンター電極11と接続された三極
式に配置して構成する等により、バイアス電圧を印加し
てもよい。
【0082】この場合において、ブラックマトリックス
の形成、着色電着膜の形成のいずれも行うこともでき、
どちらを先に形成してもよく、表面平滑性に優れ、高解
像度のカラーフィルタを形成することができる。また、
電着材料が均一に分散された電解液を使用するため、均
一で、高い導電性を有するカラーフィルタ層を有するカ
ラーフィルタを得ることができる。また、フォトリソグ
ラフィによるパターニングを必要とすることなく、簡易
な構造で、低コストにカラーフィルタを製造することが
できる。
【0083】本発明の場合、結像光学部材4と結像面
(光半導体薄膜7表面)との距離(以下,「焦点距離」
という。)は、基板8の裏面から光が入射されるため、
基板8の厚み以上離れた位置から光照射される。一方、
焦点距離が長くなると、解像力が低下しやすく、露光装
置の設計上の点でも極端に焦点距離を離すことは好まし
くなく、実用上、前記焦点距離は1〜500mmとする
ことが好ましい。
【0084】前記プロジェクション型露光装置では、焦
点深度を±10〜±100μmと深くすることが可能な
ため、基板8のたわみ等が生じた場合や用いる基体の表
面精度が不十分な場合でも結像が可能であり、鮮鋭で、
高解像度のカラーフィルタを安定に製造することができ
る。焦点深度とは、露光面上における照射光の広がりや
ボケの生じない、深さ方向の遠近の範囲をいう。
【0085】本発明のカラーフィルタの製造装置として
は、画像パターン状の光をさらに結像する結像光学部材
Bに代えて、ミラー反射光学部材を用いて上記同様に構
成した露光装置(ミラープロジェクション型露光装置)
を用いた態様の装置も好ましい。前記ミラープロジェク
ション型露光装置は、市販のものを利用できる。光源と
しては、高圧水銀ランプやDeepUVが出力される水
銀キセンノンランプが好ましく用いられ、これらは幾つ
かの輝線を有するが、前記プロジェクション型露光装置
を用いた場合には、解像度を上げるためにこのうちの単
一の輝線しか利用できない。また、結像光学部材(レン
ズ)は、それ自体複雑に構成されている。従って、本発
明においては、上述のような結像光学部材を用いた結像
光学系に代えて、ミラー反射光学部材を用いた反射光学
系とする態様も好ましい。
【0086】前記反射光学系の場合、色収差がないこと
から、光源の全ての波長が使えることになり有利とな
る。また、反射ミラー面と結像照射面(光半導体薄膜の
表面等)との距離を自由に設計できるため、基板を上面
に配置して下面から光を入射するなどの自由度がある。
光を下面から入射する場合、電着液を基板上面に設ける
必要があるが、基板の保持が容易であり、たわみを少な
くでき点で有利である。また、このようなミラープロジ
ェクション型露光装置においても、焦点深度が±10〜
±100μmと深く設計することができ、基板のたわみ
等が生じていても、比較的容易に光半導体薄膜の表面に
結像させることが可能である。
【0087】<液晶表示素子>本発明の液晶表素子は、
本発明のカラーフィルタの製造方法により作製したカラ
ーフィルタを用い、その導電膜をそのまま駆動電極とし
て利用した液晶表示素子であり、構造が簡易で、高画質
で鮮明なフルカラー画像を表示することができる。
【0088】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)厚さ0.5mmの無アルカリガラス基体
(7059ガラス)上に、スパッタリングにより膜厚1
00nmのITOの透明な導電膜(ITO薄膜)を製膜
し、該ITO薄膜上にさらにゾル・ゲル法により膜厚2
00nmのTiO2膜を製膜(TiO2薄膜)して図2に
示す構造の電着用基板を得た。TiO2膜の製膜は、I
TO基板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド
(アトロンNTi−092,日本曹達(株)製)を回転
速度1200回転、20秒間で製膜した後、約500℃
で1時間加熱して形成した。次に、TiO2薄膜の電流
特性を向上するために、3%の水素ガスを混合する純窒
素ガス中で、330℃下で10分間アニールし、還元処
理を施した。
【0089】上記よりITO薄膜及びTiO2膜を形成
した電着用基板8を用い、このTiO2膜上にカラーフ
ィルタ層を形成する、図3と同様に構成された装置を準
備した。上記より得られた電着用基板8を用いて、IT
O薄膜6を介してポテンショスタット12と接続し、さ
らに該ポテンショスタット12は、リファレンス電極1
3およびカウンター電極11と接続された三極式に配置
されて構成されている。また、電着用治具9の電着層に
は、電解液10を準備した。前記電解液10として、ま
ず純粋100g中に、スチレン−アクリル酸共重合体
(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比65%、酸価150)とカーボンブラック粉末
(平均粒子径80nm)とを固形分比率1:2で分散混
合した水溶液を用いた。
【0090】電着用基板8は、TiO2薄膜7が、前記
電解液10と接するように配置され、カウンター電極1
1(白金電極)に対する作用電極とし、バイアス電圧を
1.7Vとして印加した。さらに、電着用基板8の上方
には、光源1、結像光学部材2、フォトマスク3及び結
像光学部材4より構成された露光装置20(プロジェク
ション型露光装置,結像光学部材4と結像面との焦点距
離=10cm、焦点深度は±50μm;ウシオ電気
(株)製)を配置し、該露光装置20より電着用基板8
のITO薄膜6の設けられていない側の面(電着用基板
8の裏面)から、フォトマスク3の画像パターン状に紫
外線(波長365nm、光強度50mW/cm2 )を照
射した。
【0091】プロジェクション型露光装置20は、光源
1より発した光を結像光学部材2を介して、線幅10n
mのパターンを持つフォトマスク3に一旦結像し、更に
結像光学部材4を介して、電着用基板8のTiO2薄膜
7表面に結像するように調節した。2秒間露光したとこ
ろ、電着液10と接するTiO2薄膜7表面上の光照射
された領域では、線幅10nmの細線からなるブラック
マトリクスが形成された。
【0092】その後、洗浄し、乾燥した後、前記電解液
10を、純粋100g中に、スチレン−アクリル酸共重
合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水
基)のモル比65%、酸価150)とアゾ系赤色超微粒
子顔料とを固形分比率1:2で分散混合した水溶液に入
れ替え、該電解液10に前記ブラックマトリックスを形
成したTiO2薄膜7を作用電極として前記同様に電着
用治具9上に配置し、バイアス電圧を1.8Vにして前
記同様にしてプロジェクション型露光装置20より紫外
線を2秒間照射した。すると、TiO2薄膜7表面の光
照射された領域にのみ、赤色の着色電着膜が形成され
た。前記アゾ系赤色超微粒子顔料は導電性の高い色材の
ため、導電性の材料を別途添加する必要はなかった。
【0093】次いで、前記電解液10を、純粋100g
中に、スチレンーアクリル酸共重合体(分子量13,0
00、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸
価150)と、フタロシアニングリーン系超微粒子顔料
と、ITO微粒子とを固形分比率1:1:1で分散混合
した水溶液に入れ替え、該電解液10に前記ブラックマ
トリックスおよび赤色着色電着膜を形成したTiO2
膜7を作用電極として前記同様に電着用治具9上に配置
し、バイアス電圧を1.8Vにして前記同様にしてプロ
ジェクション型露光装置20より紫外線を2秒間照射し
た。すると、TiO2薄膜7表面の光照射された領域に
のみ緑色の着色電着膜が形成された。
【0094】さらに、前記電解液10を、純粋100g
中に、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,0
00、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸
価150)と、フタロシアニンブルー系超微粒子顔料
と、ITO微粒子とを固形分比率1:1:1で分散混合
した水溶液に入れ替え、該電解液10に前記ブラックマ
トリックス、赤色着色電着膜および緑色着色電着膜を形
成したTiO2薄膜7を作用電極として前記同様に電着
用治具9上に配置し、バイアス電圧を1.8Vにして前
記同様にしてプロジェクション型露光装置20より紫外
線を2秒間照射した。すると、TiO2薄膜7表面の光
照射された領域にのみ青色の着色電着膜が形成され、表
面平滑性、解像度に優る本発明の導電性カラーフィルタ
(1)を得た。
【0095】(実施例2)実施例1で露光装置20とし
て用いたプロジェクション型露光装置に代えて、ミラー
プロジェクション型露光装置(光源は、DeepUVが
使えるように1KWの水銀キセノンランプを用いた。)
を用いたこと以外、実施例1と同様にして、表面平滑
性、解像度に優る本発明の導電性カラーフィルタ(2)
を得た。
【0096】(実施例3)実施例1と同様にして得た電
着用基板8を用い、ブラックマトリックスを形成する前
に、実施例1と同様にして赤色(R)、緑色(G)、青
色(B)の着色電着膜を順次形成した後、BGR3色の
着色電着膜が形成された電着用基板8を洗浄、乾燥させ
た。次いで、紫外線硬化樹脂にカーボンブラック粉末
(平均粒子径80nm)を分散した溶液に、前記電着用
基板8の3色の着色電着膜が形成されたTiO2薄膜7
を接触させ、着色電着膜の形成されていない側の無アル
カリガラス基体5表面上から露光装置(ウシオ電機
(株)製)を用いて全面に紫外線を照射したところ、着
色電着膜のない領域のみ紫外線が透過して硬化し、着色
電着膜の形成されていない領域にのみ、カーボンブラッ
クを含む樹脂薄膜よりなるブラックマトリックスが形成
された。上記のようにして、表面平滑性、解像度に優る
本発明の導電性カラーフィルタ(3)を得た。
【0097】
【発明の効果】本発明の導電性カラーフィルタの製造方
法によれば、微細で複雑な画素パターンを有する、高解
像度で表面平滑性に優れ、かつ液晶分子の配向を緻密に
制御しうる高導電性を均一に有する導電性カラーフィル
タを簡易に製造することができる。また、前記方法を用
いることで、均一で高い導電性を持つカラーフィルタ層
を有するカラーフィルタを低コストで、かつ高解像度に
製造しうる、簡易構造の導電性カラーフィルタの製造装
置を提供することができる。本発明によれば、形成した
カラーフィルタ層上にさらに導電性層を設けることな
く、直接液晶表示素子に利用可能な、均一で高い導電性
を持つカラーフィルタを提供することができる。さら
に、本発明の導電性カラーフィルタの採用により、カラ
ーフィルタを構成する光透過性の導電膜をそのまま液晶
表示のための駆動電極として利用する液晶表示素子を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光半導体のエネルギーバンドを説明するため
の図である。
【図2】 透明n型半導体の構造を示す概略断面図であ
る。
【図3】 プロジェクション型露光装置を用いた、本発
明の導電性カラーフィルタの製造装置の一例を示す概略
構成図である。
【図4】 本発明の導電性カラーフィルタの構造の一例
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 光源 2 結像光学部材(B) 3 フォトマスク 4 結像光学部材A 5 基体 6 導電膜(作用電極) 7 光半導体薄膜 8 基板 9 電着用治具 10 電着液 11 カウンタ電極 12 ポテンショスタット 13 リファレンス電極 14 着色電着膜又はブラックマトリック
ス 14’ ブラックマトリックス 15 単色の着色電着膜 16 カラーフィルタ層
フロントページの続き (72)発明者 友野 孝夫 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 圷 英一 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA62 BB02 BB14 BB37 BB42 2H091 FA02Y FA35Y FB02 FB12 FC06 GA02 GA06 GA14 LA12 5G435 AA17 BB12 CC12 GG12 KK07

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
    及び光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜をこ
    の順に積層した基板の前記光半導体薄膜に選択的にブラ
    ックマトリックスを形成する工程と、 前記基板の少なくとも光半導体薄膜を、色材を含有する
    導電性の電着材料を含む電解液に接触させて光照射し、
    前記光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発生
    させ、電気化学的に前記電着材料を析出させて導電性の
    着色電着膜を形成する工程と、 を含むことを特徴とする導電性カラーフィルタの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 電着材料が、カルボキシル基を有する化
    合物を含む請求項1に記載の導電性カラーフィルタの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基を有する化合物が、疎水
    基と親水基を有する重合体であって、疎水基の数が疎水
    基と親水基の総数の40〜80%である請求項2に記載
    の導電性カラーフィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 重合体が、疎水基を有するモノマーと、
    親水基を有するモノマーとのランダム共重合体である請
    求項3に記載の導電性カラーフィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】 重合体の親水基数の50%以上が、pH
    の変化により水溶性から非水溶性、或いは、この逆に可
    逆的に変化しうる請求項3又は4に記載の導電性カラー
    フィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】 電着材料が、光透過性の導電材料を含有
    する請求項1から5のいずれかに記載の導電性カラーフ
    ィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】 色材が、液晶分子の配向を制御しうる導
    電性の着色材である請求項1から5のいずれかに記載の
    導電性カラーフィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】 カルボキシル基を有する化合物の含有量
    が、導電性の着色材1重量%に対し、1.5重量%以下
    である請求項7に記載の導電性カラーフィルタの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 電着材料が、光透過性の導電性高分子化
    合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載の導電
    性カラーフィルタの製造方法。
  10. 【請求項10】 電着液中に、電着特性に影響を与えな
    い塩を含有する請求項1から5のいずれかに記載の導電
    性カラーフィルタの製造方法。
  11. 【請求項11】 導電性の着色電着膜及びブラックマト
    リックスを形成した後、電荷が移動しうる水分を含んだ
    状態の前記着色電着膜及びブラックマトリックス上に導
    電性の保護層を形成する工程を有する請求項6から10
    のいずれかに記載の導電性カラーフィルタの製造方法。
  12. 【請求項12】 導電性の着色電着膜を形成する工程に
    おいて、電着電位が5V以下の電圧を用いる請求項1か
    ら11のいずれかに記載の導電性カラーフィルタの製造
    方法。
  13. 【請求項13】 フォトマスクを介してブラックマトリ
    ックスを形成した後、該ブラックマトリックスと互いに
    重なる領域を有するように単色若しくは複数色の着色電
    着膜を形成する請求項1から12のいずれかに記載の導
    電性カラーフィルタの製造方法。
  14. 【請求項14】 フォトマスクを介して単色若しくは複
    数色の着色電着膜を形成した後、該着色電着膜と互いに
    重なる領域を有するようにブラックマトリックスを形成
    する請求項1から12のいずれかに記載の導電性カラー
    フィルタの製造方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも、結像光学部材Aと、少な
    くとも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板
    をパターニングするためのフォトマスクと、結像光学部
    材Bと、光源とがこの順に前記基板側から配置されてな
    る露光装置により光照射する請求項1から14のいずれ
    かに記載の導電性カラーフィルタの製造方法。
  16. 【請求項16】 少なくとも、ミラー反射光学部材と、
    少なくとも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した
    基板をパターニングするためのフォトマスクと、結像光
    学部材と、光源とがこの順に前記基板側から配置されて
    なる露光装置により光照射する請求項1から14のいず
    れかに記載の導電性カラーフィルタの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1から14のいずれかに記載の
    導電性カラーフィルタの製造方法が用いられる導電性カ
    ラーフィルタの製造装置であって、少なくとも、結像光
    学部材Aと、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とをこの
    順に積層した基板をパターニングするためのフォトマス
    クと、結像光学部材Bと、光源とがこの順に前記基板側
    から配置されてなる露光装置を備えることを特徴とする
    導電性カラーフィルタの製造装置。
  18. 【請求項18】 請求項1から14のいずれかに記載の
    導電性カラーフィルタの製造方法が用いられる導電性カ
    ラーフィルタの製造装置であって、少なくとも、ミラー
    反射光学部材と、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とを
    この順に積層した基板をパターニングするためのフォト
    マスクと、結像光学部材と、光源とがこの順に前記基板
    側から配置されてなる露光装置を備えることを特徴とす
    る導電性カラーフィルタの製造装置。
  19. 【請求項19】 請求項1から16のいずれかに記載の
    導電性カラーフィルタの製造方法により得られることを
    特徴とする導電性カラーフィルタ。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の導電性カラーフィ
    ルタを用い、該導電性カラーフィルタにおける光透過性
    の導電膜を、液晶表示のための駆動電極として用いるこ
    とを特徴とする液晶表示素子。
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