JP2000180623A - カラーフィルターの製造方法および製造装置 - Google Patents

カラーフィルターの製造方法および製造装置

Info

Publication number
JP2000180623A
JP2000180623A JP10356818A JP35681898A JP2000180623A JP 2000180623 A JP2000180623 A JP 2000180623A JP 10356818 A JP10356818 A JP 10356818A JP 35681898 A JP35681898 A JP 35681898A JP 2000180623 A JP2000180623 A JP 2000180623A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrodeposition
thin film
film
light
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10356818A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigemi Otsu
茂実 大津
Hidekazu Akutsu
英一 圷
Takashi Shimizu
敬司 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP10356818A priority Critical patent/JP2000180623A/ja
Publication of JP2000180623A publication Critical patent/JP2000180623A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Filters (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトリソグラフィー工程を経ずに、表面平
滑性に富み、かつ鮮鋭で、高解像度なカラーフィルター
の製造方法を提供する。 【解決手段】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
および光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜を
この順に積層した基板の、少なくとも前記光半導体薄膜
を、金属を含有する電着材料を含む電解液に接触させ、
電圧を印加するとともに、光照射することにより未照射
部、或いは、照射部に選択的に金属メッキ薄膜のブラッ
クマトリックスを形成する工程と、選択的に電極部分が
形成された前記基板を、色材を含有する電着材料を含む
電解液に接触させて光照射し、前記基板上の光半導体薄
膜の光照射部に選択的に光起電力を発生させ、電気化学
的に前記色材を含有する電着材料を析出させて着色電着
膜を形成する工程と、を含むカラーフィルターの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CCDカメラや液
晶表示素子等の各種表示素子、およびカラーイメージセ
ンサー等に使用されるカラーフィルターの製造方法およ
びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、カラーフィルターの製造方法とし
ては、(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷
法、(4)インクジェット法(5)電着法等が知られて
いる。第一の染色法は、ガラス基板上に染色させるため
の水溶性高分子層を形成し、これをフォトリソグラフィ
の工程を経て所望の形状にパターンニングした後、染色
液に浸すことで着色されたパターンを得る。これを3回
繰り返し、R.(レッド)、G.(グリーン)、B.
(ブルー)のカラーフィルター層を得る。透過率も高く
色相も豊富で、技術の完成度も高いため、現在カラー固
体撮像素子(CCD)に多用されている。しかし、染料
を使用するため耐光性に劣り、製造工程の数も多いこと
から、液晶表示素子(LCD)用のカラーフィルターの
製造方法としては、顔料分散法に取って代わられつつあ
る。
【0003】第二の顔料分散法は、まず、ガラス基板上
に顔料を分散した樹脂層を形成し、これをフォトリソグ
ラフィー工程を経てパターニングする。これを3回繰り
返しR.G.B.のカラーフィルター層を得る。この製
造法は、技術の完成度が高く、近年最も主流の方法であ
るが、工程数が多くコストが高いのが欠点である。第三
の印刷法は熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷を3
回繰り返すことでR.G.B.を塗り分け、その後で熱
を加えて樹脂を硬化させることでカラーフィルター層を
得る。この方法は、R.G.B.層の形成工程に限れ
ば、フォトリソグラフィーを必要としないが、得られた
カラーフィルターの解像度や膜厚の均一性の点で劣る。
【0004】第四のインクジェット法は、まず、水溶性
高分子からなるインク受容層を形成した後、所望のパタ
ーンに親水化・疎水化処理を施し、親水化された部分に
インクジェット法でインクを吹きつけR.G.B.を塗
り分けカラーフィルター層を得る。この方法も、R.
G.B.層に限ればフォトリソグラフィーを必要としな
いが、得られるカラーフィルターは解像度の点で劣る。
また、隣接するフィルター層間に混色が生じる確立が高
く、位置精度の点でも劣る。第五の電着法は、水溶性高
分子に顔料を分散させた電解溶液中で、予めパターニン
グした透明電極上に100V程度の高電圧を印加し、電
着膜を形成することで電着塗装を行い、これを3回繰り
返しR.G.B.のカラーフィルター層を得る。この方
法は、予め、透明電極をフォトリソグラフィーによりパ
ターニングし、これを電着用の電極として使用するた
め、パターンの形状が限定されTFT液晶用には使えな
いという欠点がある。
【0005】また、一般に液晶用カラーフィルターはカ
ラーフィルター層だけでは使えず、各微少フィルターセ
ルの間隙をブラックマトリックスで覆うことが必要であ
る。ブラックマトリックスの形成にも、通常、フォトリ
ソグラフィー法が用いられ、コストアップの大きな要因
の一つとなっている。従って、ブラックマトリックスの
形成を含めて、フォトリソグラフィー等の複雑な工程を
経ることなく、簡易な工程により高解像度でかつパター
ン精度に優れたカラーフィルターを製造できれば、製造
コストも大幅に減少されることになる。また、近年のC
PUの発達とともに、映像情報および通信情報を高解像
度で表示し得るディスプレイへの要求が高まり、これに
伴い、より微細パターン化されたカラーフィルターを簡
易に製造し得る技術が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記問
題点を解決するため光電着法を利用した簡易な工程によ
り、高解像度な画像パターンを有するカラーフィルター
を安定的に製造することができる技術について、既に出
願中である(特願平9−135410号、特願平9−2
97466号等、特願平10−162170号、特願平
10−197564号)。
【0007】ところで、カラーフィルターに設けるブラ
ックマトリックス層は、高い遮光性が要求される一方、
薄膜であることが好ましい。ブラックマトリックス層の
膜厚が厚くなると、エッジ部におけるグレーゾーンが拡
大し、カラーフィルターの光学特性が低下することがあ
り、ブラックマトリックス層を薄層化することにより、
カラーフィルターの光学特性をより向上させることがで
きる。例えば、金属薄膜は、薄膜で高い遮光性を有する
ためブラックマトリックスに好適であるが、従来は、先
ず絶縁性の高い材料を使用して光電着法により予め選択
的に所望の画素パターンの着色電着膜を形成し、着色電
着膜の形成されていない部分、即ち、導電性を有する部
分に、電圧等を付与して一様に金属薄膜を形成するよう
な場合にしか用いることができず、所望の画素パターン
に制御しながら金属薄膜からなるブラックマトリックス
を形成することは不可能であった。しかし、高解像度の
カラーフィルターを得るためには、ブラックマトリック
スを各色の着色電着膜を形成する前に形成する方が有利
である。
【0008】本発明は、前記従来における諸問題を解決
し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本
発明は、膜厚が薄くて遮光性の高いブラックマトリック
スを選択的に、所望の画像パターンに制御して形成しう
るカラーフィルターの製造方法を提供することを目的と
する。また、本発明は、微細で複雑な画素パターンを有
する、高解像度のカラーフィルターを簡易に製造しうる
カラーフィルターの製造方法を提供することを目的とす
る。さらに、遮光性の高いブラックマトリックスを選択
的に制御して形成することができ、高解像度のカラーフ
ィルターを安定に、かつ低コストで製造することができ
るカラーフィルターの製造装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜および
光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜をこの順
に積層した基板の、少なくとも前記光半導体薄膜を、金
属を含有する電着材料を含む電解液に接触させ、電圧を
印加するとともに、光照射することにより未照射部分に
選択的に金属メッキ薄膜のブラックマトリックスを形成
する工程と、選択的に電極部分が形成された前記基板
を、色材を含有する電着材料を含む電解液に接触させて
光照射し、前記基板上の光半導体薄膜の光照射部に選択
的に光起電力を発生させ、電気化学的に前記色材を含有
する電着材料を析出させて着色電着膜を形成する工程
と、を含むカラーフィルターの製造方法である。
【0010】<2> 光透過性の基体上に、光透過性の
導電膜および光起電力機能を有する光透過性の光半導体
薄膜をこの順に積層した基板の、少なくとも前記光半導
体薄膜を、金属を含有する電着材料を含む電解液に接触
させ、電圧を印加するとともに、光照射することにより
照射部分に選択的に光起電力を発生させ、電気的に金属
メッキ薄膜のブラックマトリックスを形成する工程と、
選択的に電極部分が形成された前記基板を、色材を含有
する電着材料を含む電解液に接触させ光照射し、前記基
板上の光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発
生させ、電気化学的に前記色材を含有する電着材料を析
出させて着色電着膜を形成する工程と、を含むカラーフ
ィルターの製造方法である。
【0011】<3> 前記光照射の際に、少なくとも、
結像光学部材と、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とを
この順に積層した基板をパターニングするためのフォト
マスクと、光学部材と、光源とがこの順に前記基板側か
ら配置されてなる露光装置を用いて光照射するカラーフ
ィルターの製造方法である。
【0012】<4> 光透過性の基体上に、光透過性の
導電膜および光起電力機能を有する光透過性の光半導体
薄膜をこの順に積層した基板の、少なくとも前記光半導
体薄膜を、色材を含有する電着材料を含む電解液に接触
させる工程と、少なくとも、結像光学部材と、少なくと
も導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板をパ
ターニングするためのフォトマスクと、光学部材と、光
源とがこの順に前記基板側から配置されてなる露光装置
を用いて光照射し、前記基板上の光半導体薄膜の光照射
部に選択的に光起電力を発生させ、電気化学的に前記電
着材料を析出させて着色電着膜を形成する工程と、選択
的に電極部分が形成された前記基板を、金属を含有する
電着材料を含む電解液に接触させ、電圧を印加すること
により前記電極部分に金属メッキ薄膜のブラックマトリ
ックスを形成する工程と、を含むカラーフィルターの製
造方法である。
【0013】<5> 上記<1>〜<4>のいずれかに
記載のカラーフィルターの製造方法が用いられるカラー
フィルターの製造装置であって、少なくとも、結像光学
部材と、少なくとも導電膜と光半導体薄膜とをこの順に
積層した基板をパターニングするためのフォトマスク
と、光学部材と、光源とがこの順に前記基板側から配置
されてなる露光装置を備えることを特徴とするカラーフ
ィルターの製造装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】<カラーフィルターの製造方法>
まず、本発明のカラーフィルターの製造方法について詳
述する。電着技術を用いた膜形成技術は、水溶性色素分
子のうち、酸化状態、中性状態、還元状態で各々水への
溶解度が大きく変化しうる色素分子に注目し、色素分子
を電気化学的に直接酸化還元するか、または色素分子が
溶解された水溶液のpHを適宜変化させることにより前
記状態間の移動が可能となるという原理を利用するもの
である。例えば、フルオレセイン系の色素であるローズ
ベンガルやエオシン等は、pH4以上では還元状態をと
って水に溶解するが、それ以下では酸化されて中性状態
となり沈殿する。また、カルボキシル基をもった色素材
料では、一般に構造変化を伴わなくとも溶液中の水素イ
オン濃度(pH)によって溶解度が大きく異なり、例え
ば、耐水性改良インクジェット染料は、pH6以上で水
に溶解するが、それ以下では沈殿をする。そこで、これ
らの色素を純水中に溶解した溶液を電解液とし、電極を
浸して電圧を印加すると、陽極電極上にこれらの色素分
子からなる電着膜が形成される。同様に、カルボキシル
基を持つ高分子化合物の一種である水溶性アクリル樹脂
もpHが6以上では水に溶解するが、それ以下では沈殿
する。そこで、前記同様にこのアクリル樹脂と顔料を分
散させ、電極を浸し電圧を印加すると、陽極電極上に顔
料とアクリル樹脂が析出して顔料とアクリル樹脂とが混
合された電着膜が形成される。前記のようにして形成さ
れた電着膜は、逆電圧を印加するか、或いは、pH10
〜12の水溶液に浸すことにより、水溶液中に再溶出さ
せることができる。
【0015】また、キノンイミン染料の一つであるオキ
サジン系塩基性染料Cathilon Pure Bl
ue 5GH(C.I.Basic Blue 3)や
チアジン系塩基性染料メチレンブルー(C.I.Bas
ic Blue 9)は、pHが10以下では酸化状態
をとり発色しているが、それ以上になると還元されて不
溶化し析出する。そこで、これらの染料を純水中に溶解
し、電極を浸し電圧を印加すると、陰極電極上にこれら
の染料分子からなる電着膜が形成される。前記同様、こ
れらの染料電着膜も、逆電圧を印加するか、或いは、p
H8以下の水溶液に浸すことにより、水溶液中に再溶出
させることができる。以下、前記のようにして形成した
各色相の電着膜を着色電着膜と呼ぶ。
【0016】ところが、着色電着膜の形成には、ある一
定のしきい値以上の電圧を印加する必要があり、単に電
流が流れても必ずしも電着膜が形成されるわけではな
い。従って、バイアス電圧を印加しておくことにより、
仮に外部から入力される電圧レベルが小さい場合でも着
色電着膜を形成することができ、用いる入力電圧レベル
を制御することにより所望の着色電着膜を形成すること
ができる。ここで、着色電着膜を形成しようとする基板
に半導体材料を利用し、電極として用いれば、入力信号
に光を用い、さらにこの光の照射を制御することにより
所望の位置に着色電着膜を形成することができ、任意の
画像パターンを形成することができる。
【0017】即ち、前述のように、液性変化により溶解
度が大きく変化する色素や染料等を溶解、分散した溶液
(以下、「電解液」と言う場合がある。)を入れた電解
液槽を用意し、該槽内の電解液に電極として有機または
無機の半導体材料を接触または浸した状態で、光を所望
の画像パターンに対応するように前記半導体材料上に照
射することにより、電解液中の色素等を半導体材料上に
析出させ、所望の画像パターンを有するカラーフィルタ
ーを形成することができる。従って、従来の電着法のよ
うに、予めパターニングされた透明導電膜が不要であ
り、フォトリソグラフィ工程を経ずに任意の画像パター
ンを形成することができる。
【0018】一方、カラーフィルターは、着色電着膜の
みでは高解像度のカラーフィルターとすることはでき
ず、他にブラックマトリックスを設けて構成される。ブ
ラックマトリックスの形成方法としては、従来より、フ
ォトリソグラフィを用いてカラーフィルター層と同様に
して形成する方法、紫外線硬化樹脂を用いてカラーフィ
ルター層のない部分にのみブラックマトリックスを形成
する方法などが行われてきたが、完全な遮へいが難し
く、カラーフィルターのコストアップの大きな要因とな
っている。ところが、一般に、前記のようにして形成し
た着色電着膜は、絶縁性の高い材料が好適に用いられる
ため、着色電着膜を形成した後に、ブラックマトリック
ス用の電解液に浸漬し、電圧を印加すれば、着色電着膜
の未形成部分、即ち、半導体材料の露出部分にのみブラ
ックマトリックスを形成することができる。しかし、カ
ラーフィルターの解像度を高めるためには、ブラックマ
トリックスを着色電着膜の形成前に形成することが好ま
しいが、前記方法では、ブラックマトリックスを着色電
着膜の形成前に、所望の画像パターンで形成することは
困難である。
【0019】また、ブラックマトリックスの形成に用い
る電着材料としては、金属系材料と樹脂系材料の2種類
が挙げられる。樹脂系材料では、製造コストが低いとい
う利点があるが、形成したブラックマトリックスの膜厚
が薄いと遮光性が十分に確保できず、逆に膜厚を厚くす
るとフィルター表面の平滑性に劣るという欠点がある。
一方、金属系材料では、膜厚が薄くても十分な遮光性が
得られ、解像度も高いという利点を有するが、高解像度
なカラーフィルターとするには、着色電着膜を形成する
前に設けることが好ましく、前記金属系材料を用いた場
合には、液性変化等による析出性の制御が困難であるた
め、金属系材料によるパターニングは難しかった。
【0020】本発明のカラーフィルターの製造方法は、
上記知見に基づくものであり、光透過性の基体上に、光
透過性の導電膜および光起電力機能を有する光透過性の
光半導体薄膜をこの順に積層した基板の、少なくとも前
記導体薄膜を、金属を含有する電着材料を含む電解液に
浸漬させ、電圧を印加するとともに、光照射することに
より、選択的に金属メッキ薄膜のブラックマトリックス
を形成する工程と、選択的に電極部分が形成された前記
基板を、色材を含有する電着材料を含む電解液に接触さ
せて光照射し、前記基板上の光半導体薄膜の光照射部に
選択的に光起電力を発生させ、電気化学的に前記色材を
含有する電着材料を析出させて着色電着膜を形成する工
程と、を有するカラーフィルターの製造方法である。以
下、本発明のカラーフィルターの製造方法について、詳
細に説明するとともに、該説明を通して本発明のカラー
フィルターの製造装置をも明らかにする。
【0021】本発明のカラーフィルターの製造方法は、
ブラックマトリックスの形成に金属を含有する電着材料
を含む電着液を使用し、各色の着色電着膜の形成前に、
金属メッキ薄膜からなるブラックマトリックスを形成す
る。金属メッキ薄膜のパターニングには、用いる各光半
導体の光照射したときの性質を利用し、電解液中に溶存
する金属イオンの還元速度に起因する金属析出性を制御
することにより、金属メッキ薄膜によるパターニングを
可能にしたものである。従って、n型、p型等の各種光
半導体を用いて、選択的にパターニングすることができ
る。また、黒色樹脂を用い、光電着法によりブラックマ
トリックスを形成した場合、完全な遮蔽性を得るには膜
厚が1μm以上必要であり、表面の平滑なフィルターを
形成することが困難であるが、金属メッキ薄膜によりブ
ラックマトリックスを設けることにより、サブミクロン
以下の膜厚で十分な遮蔽性を確保することができ、フィ
ルター表面の平滑性も確保することができる。
【0022】通常、金属メッキは、溶液中の金属イオン
を還元析出させることで形成されるため、負極側に形成
される。還元には、電流を通す必要があるため、少なく
ともブラックマトリックスを形成しようとする表面に光
起電力機能を持つ半導体(光半導体)を有する光半導体
材料を使用し、負極側の作用電極として配置すれば、該
光半導体の性質を利用し光照射の有無で所望の領域にブ
ラックマトリックスを形成することができる。即ち、前
記光半導体として、p型光半導体を電極として使用し、
負のバイアス電圧を印加して光照射すると、負の光起電
力が生じて、光半導体表面から電解液中に電子が放出さ
れ、溶液中の金属イオンが還元、析出する。従って、光
照射部のみ還元速度が増加し、光照射部に選択的に金属
メッキ薄膜を形成することができる。
【0023】一方、前記光半導体として、n型光半導体
を電極として使用し、負のバイアス電圧を印加して光照
射すると、光半導体表面から電解液中にホールが放出さ
れ、光照射部上における溶液中の金属イオンの還元速度
が著しく低下する。その結果、電圧の印加されている未
照射部に比べ、光照射部における金属イオンの還元が著
しく抑制され、金属として析出されにくくなり、未照射
部にのみ選択的に金属メッキ薄膜を形成することが可能
となる。従って、n型、p型等の光半導体の極性によら
ず、金属メッキ薄膜によるパターニングを行うことがで
きる。
【0024】少なくともブラックマトリックスを形成し
ようとする表面に光起電力機能を持つ光半導体を有する
光半導体材料としては、特に限定されるものではなく、
任意の態様で光半導体部分を有する光半導体材料の中か
ら適宜選択して用いることができ、例えば,光半導体自
体、導電性の薄膜を有する任意の基板上に光半導体薄膜
が設けられた基板等を好適に挙げることができる。本発
明においては,導電性の薄膜を有する任意の基体上に光
半導体薄膜が設けられた基板が好ましい。
【0025】前記のようにして、所望の画像パターンに
ブラックマトリックスを形成した後、金属を含有する電
着材料を含む電着液に代えて、液性変化により溶解度が
大きく変化する色素や染料等を溶解、分散した、R,
G,Bの各々の着色電着膜形成用の電解液を用意し、該
電解液に接触させブラックマトリックスを形成した前記
光半導体材料を電極として配置し、さらに各色の所望の
パターンに光照射することにより、光半導体上の選択的
に形成されたブラックマトリックスの未形成部分に光起
電力が発生し、各色の電解液について色素等が析出する
ことにより、所望のカラー画像パターンを有するカラー
フィルターを形成することができる。
【0026】前記方法によれば、各色の着色電着膜を形
成する前に、ブラックマトリクスを所望の任意の画像パ
ターンを形成することができるため、高解像度で、表面
平滑性に優るカラーフィルターを、複雑な画像パターン
であっても簡易に、かつ低コストで製造することができ
る。従って、従来の電着法のように、予めパターニング
された透明導電膜が不要であり、フォトリソグラフィ工
程を経る必要がないため,製造工程の簡易化、低コスト
化が可能となる。
【0027】一方、前記ブラックマトリックスの形成
は、各色の着色電着膜を形成した後に行うことも可能で
ある。この場合には、着色電着膜を前記と同様の方法に
より光電着法で形成した後、金属を含有する電着材料を
含む電解液を用い、前記着色電着膜を形成した着色電着
用基板を接触させ、電圧を印加することにより、着色電
着膜の未形成部分に金属メッキ薄膜を形成することがで
きる。
【0028】前記光半導体材料を電解液中に配置する位
置関係としては、任意の位置関係を適宜選択して設定す
ることができるが、例えば、光半導体材料全体を電解液
中に浸漬して配置してもよいし、所望の着色電着膜を形
成しようとする部分のみを接触するように配置してもよ
い。しかし、電着液中には、着色電着膜を形成するため
の色材等の、光を吸収する成分が含有されているため、
画像パターンの形成に際し、光を所望の画像パターンに
対応するように光半導体材料上に照射する場合、前記半
導体材料を浸した電解液中を通して光照射することは困
難となる。従って、本発明のカラーフィルターの製造方
法においては、少なくとも着色電着膜を形成しようとす
る部分が電解液に接触するように配置し、着色電着膜を
形成しようとする部分の裏側の表面は、電着液外に存在
している態様が好ましい。
【0029】一方、光半導体材料表面上に光照射し、画
像パターンを形成する場合、一般にフォトマスクと、半
導体材料の着色電着膜を形成しようとする表面とを密着
させて、フォトマスク上に公知の光源により平行光を照
射する方法がある。しかし、前記のように電着液中には
着色電着膜を形成するための色材等の、光を吸収する成
分が含有されているため、フォトマスクを密着した面を
電解液に接触して光照射しても所望の画像パターンを得
ることはできない。従って、光半導体材料の着色電着膜
を形成しようとする面の裏側の表面(裏面)にフォトマ
スクを配置し、照射光が電解液を通過しないように裏面
から光照射する態様が好ましい。
【0030】このため、露光光源から照射した光の平行
度が悪いと、導電膜や光半導体材料を有する基板に入射
した光が、厚み方向に進行し、電解液と接する光半導体
材料表面に到達するまでに、光が拡散したり、回折の影
響を受けて解像度が低下してしまう。従って、本発明に
おいては、ブラックマトリックスや着色電着膜を形成し
ようとする光半導体材料(露光面)側から、少なくと
も、結像光学部材と、少なくとも導電膜および光半導体
薄膜をこの順に積層した基板をパターニングするための
フォトマスクと、光学部材と、光源とをこの順に配置し
てなる露光装置を用いて、光源から光学部材を経てフォ
トマスクに結像し、フォトマスクを介して出てきた画像
パターン状の光をさらに結像光学部材を通して露光面に
画像パターン状に光を結像させて照射する。
【0031】本発明のカラーフィルターの製造は、例え
ば、図5に示すような装置を用いて好適に行うことがで
きる。図5は、本発明のカラーフィルターの製造装置の
一例を示す概略断面図である。電着用治具9には、電着
液10が満たされた電着槽が設けられ、該電着槽の底面
にはカウンター電極11が配置され、ポテンショスタッ
ト12と接続されている。さらに、該ポテンショスタッ
ト12と接続されたリファレンス電極13は、電着槽中
の電着液10と接触するように電着用治具9に固定され
ている。電着用治具9の電着槽上には、基体5と導電膜
6と光半導体薄膜7とが順次積層された電着用基板8
が、少なくとも光半導体薄膜7が電着液10と接触する
ように配置され、作用電極として導電膜6を介してポテ
ンショスタット12と接続されている。電解液10に
は、少なくとも金属を含有する電着材料が溶解または分
散されている。
【0032】電着用基板8の上方には、該電着用基板8
側から順に、結像光学部材4と、フォトマスク3と、光
学部材2と、光源1とが配置された、露光装置20が配
設されている。電着用基板8は、導電膜6を介してポテ
ンショスタット12から負のバイアス電圧が印加された
後、光源1よりフォトマスク3を介して光照射される。
光源1より発せられた光は、一旦光学部材2を通ってフ
ォトマスク3上に結像される。所望のフォトマスク3の
パターン状の光に変えられた後、さらに結像光学部材4
を介して電着用基板8を透過し、電着液10と接する光
半導体薄膜7表面に結像されて、マスクパターン3の画
像パターン状に光照射される。
【0033】電着用基板8として、図6に示すようなア
モルファスシリコン薄膜(p−Si膜)が設けられたp
型半導体基板を用いた場合、光半導体薄膜7の光照射部
にのみ負の光起電力が生じ、この負の光起電力と負のバ
イアス電圧との総電位が、電解液10の電着材料の電着
が開始されるしきい値を超えると、光照射部のみに金属
メッキ薄膜からなるブラックマトリックス14が形成さ
れる。一方、電着用基板8として、図4に示すような酸
化チタン薄膜(TiO2 膜)が設けられたn型半導体基
板を用いた場合、光半導体薄膜7の光照射部では電解液
中の金属イオンの還元反応が抑制されるが、未照射部で
は負のバイアス電圧により電解液10の電着材料中の金
属イオンが還元されて未照射部のみに金属メッキ薄膜か
らなるブラックマトリックスが形成される。
【0034】電着用基板8上にブラックマトリックスを
形成した後、電着液10をR.G.B.の各色材を含有
する電着液に順次変え、正のバイアス電圧を印加し、所
望のパターンに光照射することにより、電着用基板8上
に選択的に形成されたブラックマトリックスの未形成部
分の光照射部に、選択的に各色の着色電着膜が形成さ
れ、所望のカラー画像パターンを有する本発明のカラー
フィルターを作製することができる。
【0035】<電着用基板>本発明のカラーフィルター
の製造方法に用いる電着用基板について説明する。本発
明のカラーフィルターの製造方法に用いる電着用基板と
しては、光透過性の基体上に、少なくとも、光透過性の
導電膜と、光透過性の光半導体薄膜とがこの順に積層さ
れた基板を用いることが好ましい。前記光透過性の基体
とは、可視光域の光を透過させるものをいい、例えば、
ガラス板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート等
の板、シートあるいはフィルム等が挙げられる。
【0036】前記導電膜は、導電性を有し、かつ光透過
性の材料であれば広く用いることができる。例えば、A
l、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr等の金属、ITO
(インジュウム−スズ酸化物)、二酸化スズ等の金属酸
化物等が挙げられる。また、導電性カーボン材料、導電
性セラミックス材料等を用いることもできる。導電膜
は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等従
来公知の方法により支持体上に形成することができる。
【0037】前記光半導体薄膜を構成する光半導体とし
ては、光照射により起電力を発生する光起電力機能を有
し、強い光履歴効果がなく(非光メモリー性)、透明の
ものであれば特に制限なく使用することができる。即
ち、本発明に用いる光半導体薄膜は、該光半導体薄膜上
に選択的に露光(像露光)し、また同時に導電膜と電着
液中の対向電極との間に電圧を印加することにより、光
照射部または未照射部に選択的に金属メッキ薄膜または
着色電着膜を形成するものである。強い光履歴効果(光
メモリー性)のある光半導体を使用しないため、光が照
射されている間のみ光起電力が発生し、電着現像が発生
するので、解像度の高いシャープな画像を得ることがで
きる。
【0038】光半導体としては、具体的には、GaN、
ダイヤモンド、c−BN、SiC、ZnSe、Ti
2 、ZnO等の透明な半導体が挙げられる。半導体に
は、n型半導体とp型半導体があるが、本発明ではいず
れの半導体も使用することができ、また、n型光半導体
薄膜とp型光半導体薄膜とを積層したpn接合を有する
光半導体薄膜、またはn型光半導体薄膜と、i型光半導
体薄膜と、n型光半導体薄膜とを積層したpin接合を
有する光半導体薄膜等、積層構造の光半導体薄膜を用い
ると、高出力の光電流が確実に得られ、画像のコントラ
ストがより高くなるので好ましい。
【0039】中でも、TiO2 、ZnO等の金属酸化物
は、電着時の安定性に優れ、光照射効率も優れているの
で、繰り返し使用するような場合には好適である。ま
た、特に、TiO2 は、ゾル・ゲル法、スパッタリング
法、電子ビーム蒸着法等種々の方法により製膜すると、
良好なn型光半導体薄膜が得られることが近年の研究で
明らかになっている。ところが、通常の前記製膜法で
は、電着に必要十分な光起電力が得られないため、光電
流の変換効率を高めるために還元処理を行う。還元処理
の方法としては、通常、水素ガス中で550℃程度で加
熱する。例えば、J.Electrochem.So
c.(Vol.141,No3,p.660,199
4)では、Y.Hamasaki等は、水素ガス中で約
550℃野下で約1時間加熱を行っている。しかし、3
%の水素混合窒素ガスを1l/minの流量で流しなが
ら約300℃の温度下で10分間加熱することにより、
より低温で、かつ短時間の処理で行うことができる。
【0040】電着基板に設ける光半導体薄膜の厚みは、
良好な特性を得る点で0.05〜3μmが好ましい。
0.05μm未満であると、得られる光電流が弱すぎて
電着膜形成に問題を生じることがあり、3μmを超える
と,光照射により生じた電荷が光半導体内にトラップさ
れ、光履歴現象が大きくなり過ぎてシャープな画像パタ
ーンを形成しにくくなる。また、光半導体自身の光吸収
により照射光の透過性が低下する点から、光半導体薄膜
の厚みは薄い方が好ましい。
【0041】光半導体薄膜は、微結晶性または多結晶性
の膜質を有しているのが、光起電力発生効率の点で好ま
しい。さらに、光半導体のみからなるものが好ましく、
樹脂等の絶縁性材料を含有していないものが好ましい。
光半導体薄膜に樹脂等の絶縁性材料を混合すると、光起
電力の発生効率が低下し、光履歴効果が高くなる。
【0042】<電解液>本発明のカラーフィルターの製
造方法に用いる電解液について説明する。電解液は、水
系溶媒中に前記電着材料を溶解または分散させて用い
る。ここで、水系溶媒とは、水を主成分とし、所望によ
り本発明の効果を損なわない範囲でアルコール等の水と
親和性のある他の溶剤や、種々の塩および添加剤等を添
加した溶媒をいう。 −金属を含有する電着材料を含む電解液− 本発明のカラーフィルターの製造方法では、ブラックマ
トリックスの形成に金属を含有する電着材料を含む電解
液を用いる。金属メッキ薄膜の形成工程では、ブラック
マトリックスを形成しようとする基板を作用電極とし
て,電解液中で通電し、基板上に所望の金属メッキ薄膜
を形成する。金属メッキ薄膜の形成工程を、着色電着膜
の形成工程前に実施する場合は、形成した金属メッキ薄
膜が、着色電着膜の形成工程に用いる電解液に対して、
耐性を有していることが好ましい。また、金属メッキ薄
膜の形成工程は、各色の着色電着膜を形成した後に設け
てもよく,この場合には、使用する電解液が、着色電着
膜に悪影響を及ぼさない液特性を有していることが好ま
しい。例えば、着色電着膜が、陰イオン性解離基を有す
る電着材料からなる場合は、電解液は酸性系であるのが
好ましい。
【0043】従って、金属メッキ薄膜形成工程において
は、形成される金属メッキ薄膜が高い堅牢性を有するよ
うな金属を含有する電解液を用いるのが好ましい。例え
ば、電解液中には、Ni,Cr,Cu,Au,Ag,M
o,Sn,Zn,Co,Ti,Ta,Pb,Rrより選
択される金属イオンを1種、または複数種用いてもよ
い。特に、Ni,Cr,Cu,Au,Ag,Mo,S
n,Zn,Coより選択される金属イオンは、薄膜形成
能およびメッキ液安定性等のの点で好ましい。尚、金属
は陰極性の電極に析出するものがほとんどなので、例え
ば、基板を構成する光半導体薄膜として酸化チタン等の
n型光半導体を用いる場合は、着色電着膜を形成する工
程では、基板が陽極性となるようにバイアスを印加し、
金属メッキ薄膜を形成する工程においては、基板が陰極
性となるようにバイアスを印加する。
【0044】−色材を含有する電着材料を含む電解液− 水系溶媒に電着材料を分散または溶解させたものであ
る。電着材料は、少なくとも溶液のpH変化に対応して
溶解度が変化するイオン性分子と、電着膜を所望の色に
着色するための染料、顔料、色素等の色材を含んでい
る。色材自体が、電着能を有する必要はなく、イオン性
分子が電着する際に、色材を取り込んで凝集、析出する
ことにより着色電着膜が形成されてもよい。また、色材
自体がイオン性分子であって、電着能を有する場合は、
電着材料は色材のみからなっていてもよい。色材として
顔料を含有するとともに、イオン性高分子を含有する電
着材料を使用すると、得られる着色電着膜の耐光性が高
くなるので好ましい。尚、イオン性分子は陰イオン解離
性基を有するアニオン性分子であっても、陽イオン解離
性基を有するカチオン性分子であってもよく、用いられ
る光半導体薄膜の極性に応じて選択される。
【0045】いずれのイオン性分子を電着材料として選
択するかは、イオン性分子が有するpHの変化に対応し
た溶解度の変化特性を目安にすることができる。本発明
に用いられる電着材料は、溶液のpH変化に依存して、
急激に溶解度が変化する性質を有するものが好ましい。
例えば、溶液の±2.0のpH変化に対応して、より好
ましくは、±1.0のpH変化に対応して状態変化(溶
存状態→沈殿、または沈殿→溶存状態)するものが好ま
しい。このような溶解度特性を有するイオン性分子を電
着材料として用いれば、より迅速に着色電着膜を作製で
き、また耐水性に優れた着色電着膜を作製することがで
きる。さらに、電着材料として用いるイオン性分子は、
pHの変化に対応する状態変化(溶存状態→析出の変化
と析出→溶存状態の変化)にヒステリシスを示すものが
好ましい。即ち、pHの減少または増加に対応する析出
状態への変化は急峻であり、かつpHの増加または減少
に対応する溶存状態への変化は緩慢であると、着色電着
膜の安定性が向上するので好ましい。
【0046】イオン性分子としては、陰イオン性解離基
であるカルボキシル基等を有するアニオン性高分子、陽
イオン性解離基であるアミノ基、イミノ基等を有するカ
チオン性高分子が好適に挙げられる。例えば、イオン性
解離基を有する親水性モノマーと疎水性モノマーとの共
重合体が好ましく、ランダム共重合体が特に好ましい。
【0047】陰イオン性解離基を有する親水性モノマー
としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒ
ドロキシエチル、アクリルアミド、無水マレイン酸、無
水トリメリト酸、無水フタル酸、ヘミメリット酸、コハ
ク酸、アジピン酸、プロピオル酸、プロピオン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマ
ー、およびこれらの誘導体が挙げられる。中でも、メタ
クリル酸、アクリル酸をモノマーとするイオン性高分子
は、pHの変化により状態変化が急峻であるとともに、
水系液体への親水性も高いので好ましい。陽イオン性解
離基を有するモノマーとしては、1級アミン、2級アミ
ン、3級アミン、4級アミン、オキサゾリン、アルキル
アミン、アルキルイミン、ポリアミン、ポリイミン等の
アミノ基またはイミノ基を有するモノマー等が挙げられ
る。また、陽イオン性解離基を有するカチオン性高分子
は、高分子にアミノ基、イミノ基等の陽イオン性解離基
を導入したものであってもよい。親水性モノマーは、そ
の分子構造中に50重量%以上75重量%以下の割合で
イオン解離性基を含有するものが好ましい。また、親水
性モノマーは、2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0048】疎水性モノマーとしては、エチレン、ブタ
ジエン等のオレフィン、スチレン、α−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等、およ
びこれらの誘導体が用いられる。特に、スチレン、α−
メチルスチレンは疎水化効率が高く、電着析出効率が良
好なので好ましい。また、親水性モノマーとの共重合の
際の制御性が高い点でも好ましい。尚、疎水性モノマー
は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】イオン性高分子を色材とともに使用する場
合は、イオン性高分子は、透明な電着膜を形成し得るも
のが、色材の発色を妨げないので好ましい。例えば、水
溶性アクリル樹脂が好ましい。
【0050】イオン性高分子は、電着液の液安定性の観
点からは、適度な親水性を有している必要があり、一
方、着色電着膜の膜強度および耐水性の観点からは、適
度な疎水性を有している必要がある。電着材料として用
いられるイオン性高分子に要求されるこのような疎水性
と親水性のバランスは、例えば以下の様なモノマー単位
の疎水性基の数と、親水性基の数とで表わすことができ
る。イオン性高分子が疎水性モノマーと親水性モノマー
との共重合体である場合、モノマー単位の疎水性基数と
親水性基数との総和に対する疎水性基の数は、40〜8
0%が好ましく、55〜70%がより好ましい。疎水性
基数の割合が40%未満であると、着色電着膜の耐水性
や膜強度が不十分となり好ましくない。また、疎水性基
数の割合が80%を超えると、イオン性高分子の水系溶
媒に対する親和性が低下し、沈殿したり、電着液の粘度
が高くなりすぎて、均一な電着膜を形成できないので好
ましくない。一方、疎水性基の数が前記範囲であると、
水系溶媒との親和性も高く、電着液の液性が安定化する
とともに、電着効率も高いので好ましい。
【0051】イオン性高分子の疎水性と親水性のバラン
スは、アニオン性高分子を用いる場合は、酸価によって
示すこともできる。アニオン性高分子の酸価は、良好な
電着特性が得られる点で60〜300が好ましく、90
〜195がより好ましい。アニオン性高分子の酸価が6
0未満であると、水系溶媒への親和性が低くなり、アニ
オン性高分子が沈殿したり、電着液の粘度が高くなりす
ぎて、均一な着色電着膜が形成できない場合がある。一
方、酸価が300を超えると、形成された着色電着膜の
耐水性が低下したり、電着効率が低下する傾向がある。
【0052】電着材料として用いるイオン性高分子の分
子量は、着色電着膜の膜特性等の観点から、重量平均分
子量が6.0×103 〜2.5×104 が好ましく、
9.0×103 〜2.0×104 がより好ましい。重量
平均分子量が、6.0×103未満であると、膜が不均
一で、耐水性が不十分となる傾向がある。その結果、着
色電着膜中にクラックが発生したり、着色電着膜が粉末
化することがあり、堅牢性の高い電着膜が得られにく
い。一方、重量平均分子量が2.5×104 を超える
と、水系溶媒との親和性が低下し、沈殿が生じたり、電
着液の粘度が高すぎて着色電着膜が不均一となる場合が
ある。また、これらイオン性高分子は、ガラス転移点が
80℃以下で、流動開始点が180℃以下、分解点が1
50℃以上であると、基板上に形成されたイオン性高分
子からなる着色電着膜を像保持基材上に熱転写する場合
に、転写制御が容易となるので好ましい。
【0053】電着材料がイオン性の色材からなる場合、
イオン性の色材としては、トリフェニルメタンフタリド
系、フェノサジン系、フェノチアジン系、フルオレセイ
ン系、インドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフ
タリド系、ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール
系、ロイコオーラミン系、アゾメチン系、ローダミンラ
クタル系、ナフトラクタム系、トリアゼン系、トリアゾ
ールアゾ系、チアゾールアゾ系、アゾ系、オキサジン
系、チアジン系、ベンズチアゾールアゾ系、キノンイミ
ン系の染料、およびカルボキシル基、アミノ基、または
イミノ基を有する親水性染料等が挙げられる。
【0054】ブラックマトリックスの形成工程の後、或
いは、各色の着色電着膜の形成工程の後に、基板に付着
している各工程で用いた電解液を除去することを目的と
して、基板を液体洗浄してもよい。用いる洗浄液は、透
明で安全性の高い不活性な液体が好ましい。また、着色
電着膜の固形化が促進されるような洗浄液を用いると、
着色電着膜の膜強度が向上するのでさらに好ましい。そ
のような洗浄液としては、電解液の析出開始pH値より
も含有される電着材料が析出し易いpHに調製されてい
る水系液体が好ましい。このようなpH調製液で着色電
着膜が形成された基板を洗浄すると、基板に付着してい
る前工程に使用した電解液等を除去できるとともに、着
色電着膜の膜強度を向上させることができる。このよう
な洗浄により、例えば、カルボキシルキ等の陰イオン性
解離基を有する電着材料を用いた場合は、洗浄液のpH
値が電着材料の析出開始のpH値よりも低く、アミノ基
等の陽イオン性解離基を有する電着材料の場合は、洗浄
液のpH値が電着材料の析出開始のpH値よりも高くす
ることにより、電着膜の堅牢性が向上し、結果として解
像度の高いカラーフィルターを作製できる。
【0055】電解液中には、電着速度を速めることを目
的として、電着材料以外の塩を添加してもよい。塩を添
加すると溶液の導電率が増加する。本発明者等が検討し
た結果、水系液体中の導電率と、電着速度(換言すれ
ば、電着量)とは相関し(図2)、導電率が高くなれば
なるほど一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり、
導電率が約100mS/cm2 (10Ω・cmに相当す
る。)になると飽和する。従って、着色電着膜の形成に
影響しないイオン、例えば、Na+ イオン、Cl - イオ
ン等を加えれば、電着速度をコントロールすることがで
きる。電解液中の体積固有抵抗率は、100 〜10
5 [Ω・cm]以下の範囲であるのが好ましい。
【0056】光照射前の電解液のpHは、用いる電着材
料の状態変化が生じるpHより±2の範囲に設定するの
が好ましい。電解液のpHをこのような範囲に設定して
おけば、電着膜が形成される前に電着材料の水系溶媒へ
の溶解が飽和状態となる。その結果、一旦着色電着膜を
形成してしまえば、膜形成後に電解液中に再溶解し難い
ので、安定的に着色電着膜を形成することができる。一
方、着色電着膜の形成時に、電着材料が未飽和状態であ
ると、一旦電着膜が形成されても、電流等の供与を中止
した途端に膜が再溶解し始めることがある。尚、電着液
のpHを調整するには、電着特性に影響を与えない酸性
またはアルカリ性物質を添加し、バイアス電圧を2V以
下まで下げて着色電着膜を形成することが好ましい。
【0057】また、エッジ部がシャープで、高鮮鋭なブ
ラックマトリックスおよび着色電着膜を形成する観点か
ら、電着時に用いる電解液の温度を一定の温度に保持
し、一定の電着速度でブラックマトリックスおよび着色
電着膜を形成することが好ましい。
【0058】2種類以上のアニオン性分子の混合物や2
種類以上のカチオン性分子の混合物のような同極性分子
の混合物や、アニオン性分子とカチオン性分子の混合物
のような異極性分子の混合物や、染料と顔料の混合物や
高分子と顔料の混合物等の様々な混合物も使用できる。
この場合には、混合色が得られることになる。混合物の
場合には、少なくとも1種類以上の分子は、単体でpH
変化により溶解度が変化し、着色電着膜を形成できる性
質を有する必要がある。この場合、単体では膜形成能力
のない色素分子は、膜形成時に製膜能力がある色素分子
に取り込まれ混合色が得られるのである。例えば、フル
オレセイン系の色素であるローズベンガルやエオシンは
pH4以上では還元状態をとり水に溶解するが、それ以
下では酸化されて中性状態となり沈殿する。同様にジア
ゾ系のPro JetFast Yellow2やある
種の水溶性アクリル樹脂は、pH6以上では水に溶解す
るが、それ以下では沈殿する。
【0059】これらの分子を純水中に溶解し、溶液中に
電極を浸し、電圧を印加すると、陽極側の電極上にこれ
らの分子からなる電着膜が形成され、該電着膜は、逆電
圧を印加するか、或いは、pH10〜12の水溶液に浸
すことで、水溶液中に再溶出させることができる。即
ち、ローズベンガル、エオシン、Pro Jet Fa
st Yellow2は、単体で膜形成能力を有する
が、これに膜形成能力のない色素分子を混合すると、混
色の電着膜が得られる。この時、混合する材料は、イオ
ン性の有無も、イオンの極性も問わない。例えば、2種
類のイオンを混合した場合、一般に塩基性溶液と酸性溶
液との混合では、中和して錯体など別の析出物を生じて
沈殿する。このため、2種類の色素分子を混合して混合
色を出す場合には、無極性または同極性の色素分子を分
散させるのが一般的である。しかし、染料の中には、錯
体が形成されず、色素イオンが共存した状態をとるもの
があり、この場合には、塩基性溶液と酸性溶液を混合し
ても析出を抑えることができ、イオンの極性によらず使
用することができる。以下に、この性質を利用して2種
類のイオン性色素分子を混合した場合について示す。
【0060】第一に、同極性の2種の色素イオン、例え
ば、アニオン性で膜形成能力のあるローズベンガル(赤
色)と、アニオン性であるが膜形成能力のないブリリア
ントブルー(青色)とを混合した混合溶液中で、電気化
学的に酸化させると、電極には混合液の色と同色の紫色
の着色電着膜が形成される。これは、膜形成能力を有す
るローズベンガルにブリリアントブルーのイオンが取り
込まれて製膜されるためである。このように、極性が同
じ2種類のイオンを混合する場合には、いずれか1種の
色素イオンに膜形成能力があればよい。
【0061】次に、異極性の2種の色素イオン、例え
ば、アニオン性で膜形成能力のあるPro Jet F
ast Yellow2(黄色)と、カチオン性で膜形
成能力のあるCathilon Pure Blue
5GH(青色)とを混合した混合溶液中で、電気化学的
に酸化させると、電極には混合液の色と同色の緑色の着
色電着膜が形成される。逆に、電気化学的に還元させる
と、電極にはCathilon Pure Blue
5GH単体の青色の着色電着膜が形成される。即ち、ア
ニオン性の色素イオン溶液とカチオン性の色素イオン溶
液との混合液中で、電気化学反応をさせると、印加する
電圧の極性を変化させることにより、同一の電極上に異
なる色素の着色電着膜を形成することができる。
【0062】さらに、顔料等の非イオン性分子と組合せ
る場合には、膜形成能力のある透明な高分子材料であ
る、水溶性アクリル樹脂や水溶性スチレン樹脂等を用い
て顔料等とともに混合、分散した溶液を使用すれば、顔
料からなる着色電着膜を得ることができる。
【0063】次に、電解液の基板近傍で生じるpH変
化、およびこれに伴う着色電着膜の形成機構について説
明する。一般的に、水溶液中に白金電極を浸し電流また
は電圧を供与すると、アノード近傍の水溶液中のOH-
イオンは消費されてO2 になり、水素イオンが増えてp
Hが低下する。これは、アノード近傍でホール(p)と
OH- イオンとが結び付く以下の反応が起こるためであ
る。 2OH- +2p+ → 1/2(O2 )+H2 O 但し、この反応が起こるには、基板の電位が一定値(し
きい値電位)を超える必要がある。しきい値電位を超え
て始めて反応が進行し、水溶液中のpHが変化する(ア
ノード近傍ではpHが低下し、カソード近傍ではpHが
増加する)。本発明において着色電着膜を形成する場
合、光照射により光半導体に光起電力を起こさせ、光照
射部のみをしきい値電位を超える電位とし、基板の光照
射部近傍の電解液のみに前記の反応を進行させるもので
ある。反応が進行した結果、光照射部近傍の電解液のp
Hは変化し、これに対応して電着材料の溶解度が変化
し、光照射部のみに着色電着膜が形成される。
【0064】このように、光起電力を利用して電気化学
反応を引き起こす試みは、今までに種々検討されてき
た。例えば、A.Fujishima,K.Hond
a,Nature vol.238,p37,(197
2)には、n型光半導体のTiO 2 に光を照射して、生
じた光起電力により水の電気分解を行った例が報告され
ている。 また、 光起電力を利用した画像形成の例として
は、H.Yoneyama,et al,J.Elec
trochem.Soc.,p2414(1985)
に、Si基板上に光を照射して、生じた光起電力により
ピロールを電解重合し、 ドーピング・ 脱ドーピングで画
像形成を行った例が報告されている。 また、 我々も導電
性高分子のドーピング・ 脱ドーピングに色素を用い、 光
で画像形成する方法を特許出願中である。 しかし、光起
電力を利用して、導電性高分子により画像形成を行う場
合は、使用できる発色材料に限界がある。その結果、多
彩色の画像形成を行うのは困難であった。
【0065】導電性高分子が存在しない系であっても、
着色電着膜を形成することは可能であるが、着色電着膜
形成に必要な電圧は、 導電性高分子がある場合に比較し
て大きくなる。 例えば、 前記特開平5−119209号
公報「カラーフィルター製造方法及びカラーフィルター
製造用の電着基板」、および特開平5−157905号
公報「カラーフィルター製造方法」では、 光半導体薄膜
に光照射を行い、該光照射部に発現した光導電性を利用
して着色電着膜を形成する技術が開示されているが、印
加電圧は、20Vから100Vであり、電着物質は高分
子の酸化還元反応を利用している。 一方、 光半導体薄膜
の光起電力は1V未満(例えば、Siで0.6V程度)
であり、画像を形成するには光起電力だけでは不十分で
ある。 あらかじめ電流または電圧の供与により電位を嵩
上げしておくことも考えられるが、一定の電圧(用いる
光半導体のバンドギャップに対応する電圧)を超えて電
圧を印加すると(例えば、Siで5Vを越える電圧)、
半導体と電着液間のショトキーバリヤーが壊れてしま
い、画像形成ができなくなる。本発明では、電着に高分
子等の酸化還元反応を利用せず、前記のように、電着液
中のpH変化に対応した電着材料の溶解度変化を利用し
て着色電着膜を形成しているので、ショットキーバリヤ
ーを破壊しない範囲で、電着することが可能である。
【0066】本発明において、あらかじめ基板(基板中
の光透過性導電膜)に電圧を印加しておいてもよい。こ
のときに印加するバイアス電圧は、光半導体薄膜が発現
する光起電力により基板に生じる電位を補い、基板の電
位がしきい値電位に達するようにその大きさを設定す
る。また、印加するバイアス電圧は、ショトキーバリア
ーを超えない大きさに設定する。あらかじめ基板に印加
する電圧が大きすぎると、ショトキーバリアーが壊れ、
光照射されていない領域にも電流が流れ、光半導体基板
の全領域に電着膜が形成され、着色電着膜の形成位置を
制御できなくなるからである。例えば、TiO2 の光起
電力は、約0.6Vであるので、2.0Vで電着する電
着材料であれば、1.5Vのバイアス電圧を印加しつつ
光照射すると、基板(光半導体膜)の光照射部の電位は
0.6V+1.5V=2.1Vとなり、電着に必要なし
きい値電位を越え、光照射部のみに着色電着膜が形成さ
れる。一方、この基板に2.5V以上のバイアス電圧を
印加すると、ショトキーバリアーが壊れてしまう。
【0067】次に、光半導体と着色電着材料の組み合わ
せについて説明する。これは、使用する半導体の極性に
より決まる。本発明では、光起電力の形成に、光半導体
と接触した界面に生じるショトキーバリヤーや、pn接
合あるいはpin接合の障壁を利用している。図1に、
n型光半導体と電着液との界面に生じるショトキーバリ
ヤーを、図2に、pin接合のエネルギーバンドを模式
的に示す。例えば、n型光半導体を用いた場合(図
1)、n型光半導体側を負にした場合には、電流が流れ
る順方向であるので電流は流れるが、逆に、n型光半導
体側を正にした場合は、n型光半導体と電解液とのショ
トキー接合がバリヤーを形成して、電流は流れない。と
ころが、n型光半導体側を正にして電流が流れない状態
でも、光を照射するとn型光半導体薄膜からエレクトロ
ン・ホールペアが発生し、ホールが溶液側に移動して電
流が流れる。この場合、n型光半導体を正電位にするの
であるから電着する材料はアニオン性分子でなければな
らない。従って、n型光半導体とアニオン性分子の組合
せとなり、逆にp型光半導体ではカチオンが電着される
ことになる。特に、n型光半導体を用いた場合はカルボ
キシル基を有するアニオン性分子、p型半導体を用いた
場合はアミノ基、またはイミノ基を有するカチオン性分
子を含有する着色電着材料を用いるのが好ましい。
【0068】導電膜に電流または電圧を印加するには、
図5中に示すように、導電膜の側縁等に電圧が印加され
るための通電路を設ければよい。電流または電圧の供給
には、ポテンショスタット等を用いる。
【0069】<装置>光半導体薄膜への光照射の光源に
は、前記した通り、透明な光半導体の感度を有する波長
域、即ち、400nm以下の波長を有する光源で露光す
る必要があり、水銀灯、水銀キセノンランプ、He−C
dレーザ、ガスレーザ、エキシマレーザ、He−Neレ
ーザ、半導体レーザ、赤外線レーザ等、従来知られてい
る光源の中から、適宜選択して用いることができる。ま
た、照射光は、光半導体薄膜に対して光起電力を発生さ
せる波長域の光である必要がある。例えば、二酸化チタ
ン、酸化亜鉛等の光半導体は、紫外線の照射により光起
電力を発生する。他方、ポリシリコン、フタロシアニン
系化合物等は、赤外線の照射により光起電力を発生す
る。このように、用いる光半導体が感知する光の光源を
適宜選択すればよい。
【0070】画像パターン状に光照射する方法として
は、公知の光照射可能な方法の中から適宜選択して使用
することができ、例えば、フォトマスク等を介して前記
水銀灯、水銀キセノンランプ等を用いて全面露光する方
法や、レーザを用いて走査露光する方法等が挙げられ
る。中でも,本発明のカラーフィルターの製造方法にお
いては、例えば、前記水銀灯、水銀キセノンランプ等の
公知の光源を用い、光学部材を通してフォトマスクに結
像し、フォトマスクを介して所望の画像パターン状の光
とした後、さらに結像光学部材を介して、電着用治具の
電着液収容部に収容された電着液と接触する光半導体薄
膜表面に結像させて光照射する、図5に示すような態
様、或いは、例えば、レーザを用いて走査露光する、図
7に示すような態様等が、高解像度が得られる点で特に
好ましく、また、これらの露光方法を用いた製造装置を
用いることが好ましい。後者の場合、照射するレーザー
等を電解液を通して露光するため、電解液中に光を吸収
する成分を有する場合には、所望の画像パターンを形成
することができないが、Ni金属を含有する電解液等の
特定の波長を通過しうる電解液を用いて、ブラックマト
リックスを形成するような場合には好適に使用すること
ができる。従って、ブラックマトリックスと着色電着膜
の両者に用いることができる前者の態様が、光半導体薄
膜上に高精度に光照射することができ、高解像度のカラ
ーフィルターを簡易に作製することができる点で特に好
ましく、この方法を用いた製造装置が特に好ましい。こ
の場合において、ブラックマトリックスの形成、各色の
着色電着膜の形成のいずれも行うこともでき、どちらを
先に形成してもよく、高解像度のカラーフィルターを形
成することができる。
【0071】また、着色電着膜を形成した後に、金属メ
ッキ薄膜を形成する場合には、前記着色電着膜には、電
気絶縁性の電着材料を用い、図5中に示すような露光装
置20、即ち、電着用基板8側から、結像光学部材、フ
ォトマスク、光学部材、光源をこの順に配置した露光装
置を用いることにより好適に光照射することにより着色
電着膜を形成し、前記着色電着膜の未形成部分にのみブ
ラックマトリックスを形成しうる製造装置を用いること
が好ましい。
【0072】図5中、光源1から発せられた光は、一度
光学部材2を介してフォトマスク3に結像され、該フォ
トマスク3を介して結像光がパターン化された後、光半
導体薄膜上に照射する前に、さらに前記結像光学部材を
介して、光半導体薄膜表面に結像される。この光学系を
利用した露光装置は、一般に、プロジェクション型露光
装置とも呼ばれている。本発明の場合、結像光学部材4
と結像面(光半導体薄膜7表面)との距離(以下,「焦
点距離」という。)は、電着用基板8の裏面から光が入
射されるため、電着用基板8の厚み以上離れた位置から
光照射される。一方、焦点距離が長くなると、解像力が
低下しやすく、露光装置の設計上の点でも極端に焦点距
離を離すことは好ましくなく、実用上、前記焦点距離は
1〜500mmとすることが好ましい。
【0073】前記プロジェクション型露光装置では、焦
点深度を±10μm〜±100μmと深くすることが可
能なため、電着用基板8のたわみ等が生じた場合や用い
る基体の表面精度が不十分な場合でも結像が可能であ
り、鮮鋭で、高解像度のカラーフィルターを安定に製造
することができる。焦点深度とは、露光面上における照
射光の広がりやボケの生じない、深さ方向の遠近の範囲
をいう。
【0074】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれにより限定されるものでは
ない。 (実施例1)厚さ0.5mmの無アルカリガラス基体
(7059ガラス)上に、スパッタリングにより膜厚1
00nmのITOの透明な導電膜(ITO薄膜)を製膜
し、該ITO薄膜6a上にさらに膜厚250nmのTi
2 膜を製膜(TiO2 薄膜)して図4に示す構造の電
着用基板8aを得た。次に、TiO2 薄膜7aの電流特
性を向上するために、3%の水素ガスを混合する純窒素
ガス中で、300℃下で10分間アニールし、還元処理
を施した。
【0075】図5に示すように、得られた電着用基板8
aを用いて、ITO薄膜6aを介してポテンショスタッ
ト12と接続し、さらに該ポテンショスタット12は、
リファレンス電極13およびカウンター電極11と接続
された三極式に配置されて構成されている。また、電着
用治具9の電着層には、電解液10としてNiメッキ液
を準備した。電着用基板8aは、TiO2 薄膜7aが、
前記Niメッキ液(NiSO4 27g、NiCl2
g、H3 BO3 4g、純水100g)と接するように配
置され、カウンター電極11(白金電極)に対する作用
電極とし、バイアス電圧を−1.0Vで印加した。さら
に、電着用基板8aの上方には、光源1、光学部材2、
フォトマスク3および結像光学部材4より構成された露
光装置20(プロジェクション型露光装置,結像光学部
材4と結像面との焦点距離=10cm、焦点深度は±5
0μm;ウシオ電気(株)製)を配置し、該露光装置2
0より電着用基板8aのITO薄膜6aの設けられてい
ない側の面(電着用基板8aの裏面)に、フォトマスク
の画像パターン状に紫外線(波長365nm、光強度5
0mW/cm2 )を照射した。
【0076】プロジェクション型露光装置20は、光源
1より発した光を光学部材2を介してフォトマスク3に
一旦結像し、更に結像光学部材4を介して、電着用基板
8aのTiO2 薄膜7a表面に結像するように調節し
た。10分間露光したところ、電着液10と接するTi
2 薄膜7a表面上の光照射された領域では、Niメッ
キ薄膜の形成が抑制され、光照射されてない領域にのみ
Niメッキ薄膜からなるブラックマトリクスが形成され
た。
【0077】次に、純粋100g中に、スチレン−アク
リル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水
基+疎水基)のモル比65%、酸価150)5gとアゾ
系赤色超微粒子顔料5gと(固形分比率1:1)を分散
混合した水溶液を電解液10として用い、該電解液10
に前記ブラックマトリックスを形成したTiO2 薄膜7
aを作用電極として前記同様に電着用治具9上に配置
し、バイアス電圧を1.8Vにして前記同様にしてプロ
ジェクション型露光装置20より紫外線を2秒間照射し
た。すると、TiO2 薄膜7a表面のブラックマトリッ
クスの未形成部の光照射された領域にのみ、赤色の着色
電着膜が形成された。
【0078】次いで、純粋100g中に、スチレンーア
クリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親
水基+疎水基)のモル比65%、酸価150)5gとフ
タロシアニングリーン系超微粒子顔料5gと(固形分比
率1:1)を分散混合した水溶液を電解液10として用
い、該電解液10に前記ブラックマトリックスおよび赤
色着色電着膜を形成したTiO2 薄膜7aを作用電極と
して前記同様に電着用治具9上に配置し、バイアス電圧
を1.8Vにして前記同様にしてプロジェクション型露
光装置20より紫外線を2秒間照射した。すると、Ti
2 薄膜7a表面のブラックマトリックスおよび赤色着
色電着膜の未形成部分で、光照射された領域にのみ緑色
の着色電着膜が形成された。
【0079】さらに、純粋100g中に、スチレン−ア
クリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親
水基+疎水基)のモル比65%、酸価150)5gとフ
タロシアニンブルー系超微粒子顔料5gと(固形分比率
1:1)を分散混合した水溶液を電解液10として用
い、該電解液10に前記ブラックマトリックス、赤色着
色電着膜および緑色着色電着膜を形成したTiO2 薄膜
7aを作用電極として前記同様に電着用治具9上に配置
し、バイアス電圧を1.8Vにして前記同様にしてプロ
ジェクション型露光装置20より紫外線を2秒間照射し
た。すると、TiO2 薄膜7a表面のブラックマトリッ
クス、赤色着色電着膜および緑色着色電着膜の未形成部
分で、光照射された領域にのみ青色の着色電着膜が形成
され、表面平滑性に優る、高解像度のカラーフィルター
(1)を得た。
【0080】(実施例2)実施例1で用いた電着用基板
8aと同様の基板を用い、該基板に設けられたTiO2
薄膜7a上にブラックマトリックス、赤色着色電着膜お
よび緑色着色電着膜をこの順に実施例1と同様にして形
成した。さらに、実施例1と同様にしてスチレン−アク
リル酸共重合体とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料
とを含む電着液10を作製し、前記より得られた、ブラ
ックマトリックス、赤色着色電着膜および緑色着色電着
膜が形成されたTiO2薄膜7aを作用電極として、実
施例1と同様にして電着用治具9上に配置し、バイアス
電圧を2.3Vにして2秒間電圧を印加した。すると、
前記TiO2 薄膜7a上のブラックマトリックスおよび
着色電着膜の未形成部分に、青色着色電着膜が形成さ
れ、表面平滑性に優る、高解像度のカラーフィルター
(2)を得た。
【0081】(実施例3)厚さ0.5mmの無アルカリ
ガラス基体(7059ガラス)上に、実施例1と同様に
して、スパッタリングにより膜厚100nmのITOの
透明な導電膜(ITO薄膜6a)を製膜した後、該IT
O薄膜6a上にゾル・ゲル法により、さらに膜厚250
nmのTiO2 膜を製膜(TiO2 薄膜7b)して図4
に示す構造の電着用基板8bを得た。TiO2 製膜7b
は、前記ITO基板6a上にスピンコート法によりTi
2 のアルコキシド(商品名:アトロンNTi−09
2,日本曹達(株)製)を回転数1500rpmで20
秒間で製膜を行った後、約500℃1時間加熱してTi
2 薄膜7bを形成した。
【0082】さらに,実施例1と同様にして、前記Ti
2 薄膜7bの還元処理を施し、基体5上にITO薄膜
6aおよびTiO2 薄膜7bの設けられた電着用基板8
bを得た。該電着用基板8bを用いて、実施例1と同様
にしてTiO2 薄膜7b上に、ブラックマトリックスお
よび着色電着膜(赤色、緑色、青色)を形成し、表面平
滑性に優る、高解像度の本発明のカラーフィルター
(3)を得た。
【0083】(実施例4)厚さ0.5mmの無アルカリ
ガラス基体(7059ガラス)上に、実施例1と同様に
して、スパッタリングにより膜厚100nmのITOの
透明な導電膜(ITO薄膜6a)を製膜し、該ITO薄
膜6a上にプラズマCVD法により、さらに膜厚300
nmのp型アモルファスシリコン膜を製膜(アモルファ
スシリコン(p−Si)薄膜7c)して図6に示す構造
の電着用基板8cを得た。
【0084】実施例1で用いたプロジェクション型露光
装置20を実施例1と同様にして配置し、該露光装置2
0の、実施例1で用いた光源1の紫外線を、可視光(波
長550nm、光強度50mW/cm2 )に代え、さら
に実施例1で印加したバイアス電圧−1.0Vを、−
0.6Vに代えた以外,実施例1と同様にして、アモル
ファスシリコン薄膜7c上に光照射した。すると、アモ
ルファスシリコン薄膜7c上の光照射部にのみブラック
マトリックスが形成された。
【0085】前記ブラックマトリックスの形成された電
着用基板8cを用いて,実施例1と同様にして着色電着
膜(赤色、緑色、青色)を形成し、表面平滑性に優る、
高解像度の本発明のカラーフィルター(4)を得た。
【0086】(実施例5)実施例4と同様にして、基体
5上に膜厚100nmのITO薄膜6a、膜厚300n
mのアモルファスシリコン薄膜7cがこの順に積層され
た電着用基板8cを得た。図7に示すように、実施例1
と同様にして調製したNiメッキ液を電着液30として
用い、該電着液30を入れた電解槽を準備した。この電
解層中に対向電極としてPt電極31を浸漬し、さらに
作用電極として前記より得られたITO薄膜6aおよび
アモルファスシリコン薄膜7cが積層された電着用基板
8cを浸漬し、それぞれを電着槽外に配置された電源3
7と接続し、バイアス電圧として−0.6Vを印加し
た。
【0087】電着槽外部には、アルゴンレーザー管3
3、X軸ミラー34、Y軸ミラー35、Z軸フォーカス
レンズ36を有して構成された露光装置41(ガルバノ
スキャナー装置,焦点径=20μm;ジェネラルスキャ
ニング(株)製)を配置し、コントローラー40によ
り、X、Y方向とZフォーカスが制御されている。アル
ゴンレーザー管33より放出されたレーザーは、AOM
ドライバー39と接続されたAOM38を介してレーザ
ー変調し、電着用基板8cに設けられたp型アモルファ
スシリコン薄膜7cの表面に、スキャニング速度1mm
/secで画像パターン状にレーザー照射し、この照射
部にブラックマトリックスを形成した。
【0088】ブラックマトリックスを形成した前記電着
用基板8cを用いて、実施例1と同様にして着色電着膜
(赤色、緑色、青色)を形成し、表面平滑性に優る、高
解像度の本発明のカラーフィルター(5)を得た。
【0089】
【発明の効果】本発明のカラーフィルターの製造方法に
よれば、フォトリソグラフィ工程を経ずに、表面平滑性
に富み、かつ鮮鋭で、高解像度なカラーフィルターを製
造することができる。従って、複雑な画像パターンを有
するカラーフィルターをも、高精細に、かつ簡易に製造
することができる。本発明のカラーフィルターの製造装
置によれば、解像度が、使用する基体の厚さに依存する
ことなく、高解像度のカラーフィルターを安定に、低コ
ストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ショトキー接合を有する光半導体のエネルギ
ーバンドを示す図である。
【図2】 pin接合を有する光半導体のエネルギーバ
ンドを示す図である。
【図3】 導電率を変化させた時の最大電着量の変化を
示すグラフである。
【図4】 基体上に、n型半導体およびITO薄膜が設
けられた電着用基板の積層構造を示す図である。
【図5】 本発明のカラーフィルターの製造装置の一例
を示すプロジェクション型露光装置の概略図である。
【図6】 基体上に、p型半導体およびITO薄膜が設
けられた電着用基板の積層構造を示す図である。
【図7】 本発明のカラーフィルターの製造装置の一例
を示すガルバノスキャナー装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 光源 2 光学部材 3 フォトマスク 4 結像光学部材 5 基体 6 導電膜(作用電極) 7,7a〜7c 光半導体薄膜 8,8a〜8c 電着用基板 9 電着用治具 10,30 電着液 11 カウンタ電極 12 ポテンショスタット 13 リファレンス電極 14 電着膜(着色電着膜,金属メッキ薄
膜) 20 露光装置(結像光学系) 31 対向電極(Pt) 33 アルゴンレーザー管 34 X軸ミラー 35 Y軸ミラー 36 Z軸フォーカスレンズ 37 電源 38 AOM 39 AOMドライバー 40 コントローラー 41 露光装置(レーザー露光装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 敬司 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA62 BB02 BB14 BB42 BB46 2H091 FA02Y FA35Y FC06 FC10 FC23 FC29 GA01 GA03 GA14 LA12 LA16 4M118 AA10 AB01 BA10 FA06 GB11 GB19 GC08 GC17

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
    および光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜を
    この順に積層した基板の、少なくとも前記光半導体薄膜
    を、金属を含有する電着材料を含む電解液に接触させ、
    電圧を印加するとともに、光照射することにより未照射
    部分に選択的に金属メッキ薄膜のブラックマトリックス
    を形成する工程と、 選択的に電極部分が形成された前記基板を、色材を含有
    する電着材料を含む電解液に接触させて光照射し、前記
    基体上の光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を
    発生させ、電気化学的に前記色材を含有する電着材料を
    析出させて着色電着膜を形成する工程と、 を含むカラーフィルターの製造方法。
  2. 【請求項2】 光半導体薄膜が、n型光半導体薄膜、ま
    たはp型半導体とn型半導体をこの順に積層したpn接
    合、若しくは、p型半導体、i型半導体、n型半導体を
    この順に積層したpin接合を有する光半導体薄膜であ
    って、 着色電着膜を形成する工程において、カルボキシル基を
    有する化合物を電着材料として用いることを特徴とする
    請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
  3. 【請求項3】 n型光半導体薄膜が、酸化チタンを含有
    する化合物光半導体薄膜であることを特徴とする請求項
    2に記載のカラーフィルターの製造方法。
  4. 【請求項4】 n型光半導体薄膜が、酸化チタンを含有
    する化合物光半導体薄膜であって、かつ水素雰囲気下で
    加熱して還元処理されていることを特徴とする請求項3
    に記載のカラーフィルターの製造方法。
  5. 【請求項5】 ブラックマトリックスを形成する工程
    が、金属を含有する電着材料として、Niを含有する電
    着材料を用い、紫外線を照射することにより未照射部分
    に選択的に金属メッキ薄膜のブラックマトリックスを形
    成する工程であることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  6. 【請求項6】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
    および光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜を
    この順に積層した基板の、少なくとも前記光半導体薄膜
    を、金属を含有する電着材料を含む電解液に接触させ、
    電圧を印加するとともに、光照射することにより照射部
    分に選択的に光起電力を発生させ、電気的に金属メッキ
    薄膜のブラックマトリックスを形成する工程と、 選択的に電極部分が形成された前記基板を、色材を含有
    する電着材料を含む電解液に接触させ光照射し、前記基
    体上の光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発
    生させ、電気化学的に前記色材を含有する電着材料を析
    出させて着色電着膜を形成する工程と、 を含むカラーフィルターの製造方法。
  7. 【請求項7】 光半導体薄膜が、p型半導体薄膜、また
    はn型半導体とp型半導体をこの順に積層したpn接
    合、若しくは、n型半導体、i型半導体、p型半導体を
    この順に積層したpin接合を有する光半導体薄膜であ
    って、 着色電着膜を形成する工程において、アミノ基またはイ
    ミノ基を有する化合物を電着材料として用いることを特
    徴とする請求項6に記載のカラーフィルターの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 着色電着膜を形成する工程が、 選択的に電極部分が形成された前記基板を、色材を含有
    する電着材料を含む電解液に接触させ光照射し、前記基
    板上の光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発
    生させ、前記電着材料を析出させて単色または複数色の
    着色電着膜を形成した後、フォトマスクおよび結像光学
    部材を介さずに前記基板全面に光照射または電圧印加す
    ることにより、前記着色電着膜および金属メッキ薄膜の
    未形成部分にさらに着色電着膜を形成する工程、 であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記
    載のカラーフィルターの製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも、結像光学部材と、少なくと
    も導電膜と光半導体薄膜とをこの順に積層した基板をパ
    ターニングするためのフォトマスクと、光学部材と、光
    源とがこの順に前記基板側から配置されてなる露光装置
    により光照射することを特徴とする請求項1から8のい
    ずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  10. 【請求項10】 光透過性の基体上に、光透過性の導電
    膜および光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜
    をこの順に積層した基板の、少なくとも前記光半導体薄
    膜を、色材を含有する電着材料を含む電解液に接触させ
    る工程と、 少なくとも、結像光学部材と、少なくとも導電膜と光半
    導体薄膜とをこの順に積層した基板をパターニングする
    ためのフォトマスクと、光学部材と、光源とがこの順に
    前記基板側から配置されてなる露光装置を用いて光照射
    し、前記基板上の光半導体薄膜の光照射部に選択的に光
    起電力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出さ
    せて着色電着膜を形成する工程と、 選択的に電極部分が形成された前記基板を、金属を含有
    する電着材料を含む電解液に接触させ、電圧を印加する
    ことにより前記電極部分に金属メッキ薄膜のブラックマ
    トリックスを形成する工程と、 を含むカラーフィルターの製造方法。
  11. 【請求項11】 露光装置が、結像光学部材と基板表面
    との距離が1mm〜500mmとなるように配置されて
    いることを特徴とする請求項9または10に記載のカラ
    ーフィルターの製造方法。
  12. 【請求項12】 露光装置において、結像光学部材の焦
    点深度が±10〜±100μmであることを特徴とする
    請求項9から11のいずれかに記載のカラーフィルター
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 着色電着膜を形成する工程において、
    析出する電着材料が、電気絶縁性の高い材料であること
    を特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のカラ
    ーフィルターの製造方法。
  14. 【請求項14】 電着特性に影響を与えない酸またはア
    ルカリを用いてpH調整した電解液を用い、2V以下の
    電圧を印加して着色電着膜を形成することを特徴とする
    請求項1から13のいずれかに記載のカラーフィルター
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 電着特性に影響を与えない塩を用いて
    導電率を調整した電解液を用い、電着速度を高めて着色
    電着膜を形成することを特徴とする請求項1から14の
    いずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  16. 【請求項16】 温度調整により、一定の電着速度で着
    色電着膜を形成することを特徴とする請求項1から15
    のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1から16のいずれかに記載の
    カラーフィルターの製造方法が用いられるカラーフィル
    ターの製造装置であって、 少なくとも、結像光学部材と、少なくとも導電膜と光半
    導体薄膜とをこの順に積層した基板をパターニングする
    ためのフォトマスクと、光学部材と、光源とがこの順に
    前記基板側から配置されてなる露光装置を備えることを
    特徴とするカラーフィルターの製造装置。
  18. 【請求項18】 Niを含有する電着材料を含む電解液
    を収容する電解液収容部を有してなり、前記基板におけ
    る前記光源側とは反対側の表面が前記電解液と接触する
    請求項17に記載のカラーフィルターの製造装置であっ
    て、 紫外線を照射することにより未照射部分に選択的に金属
    メッキ薄膜のブラックマトリックスを形成することを特
    徴とするカラーフィルターの製造装置。
JP10356818A 1998-12-15 1998-12-15 カラーフィルターの製造方法および製造装置 Pending JP2000180623A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10356818A JP2000180623A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 カラーフィルターの製造方法および製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10356818A JP2000180623A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 カラーフィルターの製造方法および製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000180623A true JP2000180623A (ja) 2000-06-30

Family

ID=18450933

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10356818A Pending JP2000180623A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 カラーフィルターの製造方法および製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000180623A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001074927A (ja) 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置
US6224735B1 (en) Process for recording image
JP4172149B2 (ja) 低電位電着用電着液及びこれを用いた電着方法
JP3237667B2 (ja) 光触媒を用いた新規な着膜方法およびこの方法を使用するカラーフィルターの製造方法、それに使用する電解液、ならびに製造装置
JP2000356957A (ja) 導電性カラーフィルタ、その製造方法、製造装置及び液晶表示素子
JP3152192B2 (ja) 画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置
JP3364418B2 (ja) カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター及びその製造装置
JP3815061B2 (ja) フィルターの製造方法及びフィルター
JP2000180623A (ja) カラーフィルターの製造方法および製造装置
JP2000147238A (ja) カラーフィルターの作製方法およびカラーフィルター
JP2000275429A (ja) フィルターの製造方法
JP3941232B2 (ja) 光電着法を用いた画像記録方法およびこれを用いたカラーフィルターの製造方法
JP2002243929A (ja) 光電着法および光触媒法によるカラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、液晶表示装置およびカラーフィルターの製造装置
JP3575284B2 (ja) 酸化チタン薄膜、光透過性の画像形成用基板、及びカラーフィルターの製造方法、並びにカラーフィルター製造装置
JP2000275428A (ja) フィルターの製造方法
JP4026269B2 (ja) カラーフィルターの製造方法及び製造装置
JP3941261B2 (ja) 画像記録方法
JP3932725B2 (ja) 着色膜の形成方法
JPH11295516A (ja) カラーフィルターの製造方法およびカラーフィルター
JP2000275427A (ja) カラーフィルターの製造方法およびカラーフィルターの製造装置
JP2001164399A (ja) 高分子膜の形成方法
JP2000221315A (ja) フィルターの製造方法及び製造装置
JP2000162420A (ja) カラーフィルターの製造方法およびカラーフィルターの製造装置
JP2000266924A (ja) カラーフィルターの製造方法
JP2000235113A (ja) フィルターの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070515

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070717

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070918