JP4026269B2 - カラーフィルターの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCDカメラや液晶表示素子等の各種表示素子やカラーセンサーに使用されるカラーフィルターの製造技術に関するものであり、着色層およびブラックマトリックスを作製する方法を含むカラーフィルターの製造方法に関する。具体的には、フォトリソグラフィー技術を使用することなく、着色層やブラックマトリックスを簡便に、しかも高解像度で形成し得る新規なカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、カラーフィルターの製造方法としては、(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷法、(4)インクジェット法(5)電着法等が知られている。
第一の染色法は、ガラス基板上に染色させるための水溶性高分子層を形成し、これをフォトリソグラフィの工程を経て所望の形状にパターンニングした後、染色液に浸すことで着色されたパターンを得る。これを3回繰り返しR.(レッド)、G.(グリーン)、B.(ブルー)のカラーフィルター層を得る。透過率も高く色相も豊富で、技術の完成度も高いため、現在カラー固体撮像素子(CCD)に多用されている。しかし、染料を使用するため耐光性に劣り、製造工程の数も多いことから、液晶表示素子(LCD)用のカラーフィルターの製造方法としては、顔料分散法に取って代わられつつある。
【0003】
第二の顔料分散法は、まず、ガラス基板上に顔料を分散した樹脂層を形成し、これをフォトリソグラフィー工程を経てパターニングする。これを3回繰り返しR.G.B.のカラーフィルター層を得る。この製造法は、技術の完成度が高く、近年最も主流の方法であるが、工程数が多くコストが高いのが欠点である。
第三の印刷法は熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷を3回繰り返すことでR.G.B.を塗り分け、その後で熱を加えて樹脂を硬化させることでカラーフィルター層を得る。この方法は、R.G.B.層の形成工程に限れば、フォトリソグラフィーを必要としないが、得られたカラーフィルターの解像度や膜厚の均一性の点で劣る。
【0004】
第四のインクジェット法は、まず、水溶性高分子からなるインク受容層を形成した後、所望のパターンに親水化・疎水化処理を施し、親水化された部分にインクジェット法でインクを吹きつけR.G.B.を塗り分けカラーフィルター層を得る。この方法も、R.G.B.層に限ればフォトリソグラフィーを必要としないが、得られるカラーフィルターは解像度の点で劣る。また、隣接するフィルター層間に混色が生じる確立が高く、位置精度の点でも劣る。
第五の電着法は、水溶性高分子に顔料を分散させた電解溶液中で、予めパターニングした透明電極上に100V程度の高電圧を印加し、電着膜を形成することで電着塗装を行い、これを3回繰り返しR.G.B.のカラーフィルター層を得る。この方法は、予め、透明電極をフォトリソグラフィーによりパターニングし、これを電着用の電極として使用するため、パターンの形状が限定されTFT液晶用には使えないという欠点がある。
【0005】
また、一般に液晶用カラーフィルターはカラーフィルター層だけでは使えず、各微少フィルターセルの間隙をブラックマトリックスで覆うことが必要である。ブラックマトリックスの形成にも、通常、フォトリソグラフィー法が用いられ、コストアップの大きな要因の一つとなっている。
従って、ブラックマトリックスの形成を含めて、フォトリソグラフィー等の複雑な工程を経ることなく、簡易な工程により高解像度でかつパターン精度に優れたカラーフィルターを製造できれば、製造コストも大幅に減少されることになる。また、近年のCPUの発達とともに、映像情報および通信情報を高解像度で表示し得るディスプレイへの要求が高まり、これに伴い、より微細パターン化されたカラーフィルターを簡易に製造し得る技術が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、前記問題点を解決するため光電着法を利用したカラーフィルターの作製方法を開発し、この方法について特許出願中である(特願平9−135410号、特願平9−297466号等、特願平10−162170号、特願平10−197564号)。この方法によれば、ブラックマトリックスの形成を含めて、簡易な工程により、しかも高解像度な微細パターンを有するカラーフィルターを安定的に製造することができる。
【0007】
しかし、微細パターンを形成しても一度形成された電着膜をバイアス電圧を印加しない状態で電解液中に長時間放置しておくと再溶出してしい、電着膜の全部又は一部が消失したり、エッジプロファイルが劣化してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、ブラックマトリックスを含むカラーフィルターを簡易に製造する方法、およびこれに用いられるカラーフィルターの製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、微細で複雑な画素パターンにも対応し得るカラーフィルターの製造方法、およびこれに用いられるカラーフィルターの製造装置を提供することを目的とする。特に本発明は、一度形成された電着膜の再溶出を防止して、各画素のエッジ部がシャープなカラーフィルターを製造する方法、およびこれに用いられるカラーフィルターの製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、前記問題点を解決するため、
光透過性支持体上に光透過性の導電膜、および光起電力機能を有する光半導体薄膜を順次積層した基板を、水素イオン濃度の変化により析出する色材を含有する電着材料を含む電解液に、少なくとも光半導体薄膜が接触するように配置し、選択的に光を照射し、前記光半導体薄膜の光照射部に光起電力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出させて着色電着膜からなるカラーフィルター層を形成する工程を含むカラーフィルターの製造方法であって、少なくとも前記基板と前記電解液が接触している間は前記基板にバイアス電圧を常時印加することを特徴とする。
本発明の方法によれば、光が照射されていないときでも電解液に基板が接触している間はバイアス電圧が印加されるため、一度形成された電着膜が劣化しない。
【0010】
バイアス電圧は基板と電解液との接触時間に同期させることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、電解液を貯蔵し得る液槽と、光透過性支持体上に、光透過性導電膜と、光起電力機能を有する光半導体薄膜を順次積層した基板を、少なくとも光半導体薄膜が電解液に接触するように固定する手段と、前記基板に選択的に光を照射する光照射手段と、前記液槽内の電解液と前記基板の接触を感知するセンサーと、前記センサーからの信号に同期して前記基板にバイアス電圧を印加する手段とを有するカラーフィルターの製造装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用い得るカラーフィルターの製造方法の1態様を図2に、およびこれに用いるカラーフィルターの製造装置の1態様を図1に示す。
支持体11、導電膜12、および光半導体薄膜13を順次積層した基板10(図2(A))、対向電極23、リファレンス電極25、を図1に示すように配置する。基板10は、少なくとも光半導体薄膜13が、水系電解液20に接触するように治具26等によって配置されている。水系電解液20には少なくとも色材を含有する電着材料が溶解または分散している。次に、導電性膜12にポテンショスタット24よりバイアス電圧を供与しつつ、フォトマスク31を介して、基板10に光30を照射する。光30は、光源(不図示)とフォトマスク31との間に配置されている結像光学レンズ32によって、まず、フォトマスクの表面31aで結像されるようになっている。
【0013】
結像された入射光30は、フォトマスク31と基板との間に配置されている結像光学レンズ33を通過して、支持体11側から基板10に入射する。入射光30は、結像光学レンズ33によって、フォトマスク31の画像パターンを光半導体薄膜13の表面13aに結像する。その結果、光半導体薄膜13の光照射部には、光起電力が生じ、この生じた光起電力およびポテンショスタット24から供与されているバイアス電圧により、光半導体薄膜13の電位が水系電解液の電着材料の電着の閾値を超えると、光照射部のみに着色電着膜21が形成される(図2(B))。これを、R.G.B.の色材を含有する電着液の各々について行い、所望のパターンを有するカラーフィルター層を形成する(図2(C))。
【0014】
着色電着膜21が形成された後、基板10を図1に示すように(但し、フォトマスク31は配置しない。)再び配置する。基板10を、黒色の色材、例えば、カーボンブラックを含有する電着材料を溶解または分散させた水系電解液20中で、全面光照射すると、着色電着膜21の未形成領域のみに光起電力が発生し、該領域にのみカーボンブラックを含有する黒色電着膜22が形成される(図2(D))。あるいは、水系電解液20中で、バイアス電圧を印加して、着色電着膜21の未形成領域にのみブラックマトリックスを形成してもよい。但し、この場合は、着色電着膜21が絶縁性となるように、電着材料として絶縁性の高い材料を選択する。また、バイアス電圧のみで黒色の電着膜を形成する場合は、電着材料の電着の閾値を超えるように、バイアス電圧を供与する。
このように、カラーフィルター層とカーボンブラックを含むカラーフィルターを、フォトリソグラフィーを使用することなく、容易に作製することができる。尚、前記したように、電着法によりブラックマトリックスを形成するのが好ましいが、紫外線硬化樹脂等を用いて、ブラックマトリックスを形成することもできる。
【0015】
図2には、着色電着膜21を形成した後、ブラックマトリックスを形成する工程を実施する方法を示したが、これに限定されず、黒色の電着膜22からなるブラックマトリックスを形成した後、着色電着膜21を形成してもよい。この場合は、ブラックマトリックスの形成工程においても、所望のブラックマトリックスパターンに従って選択的に光照射を行い、光照射部に生じた光起電力とバイアス電圧とにより、黒色の色材を含有する電着材料を電着させる。ブラックマトリックスのパターンに従って、支持体側から選択的に光照射を行う際にも、結像光学レンズにより、光半導体薄膜の表面13a上に、入射光が結像されるように、フォトマスク31、結像光学レンズ32、および33を配置する。その後、前記着色電着膜21の形成工程を、例えば、R.G.B.層各々について3回繰り返して、カラーフィルターを作製することができる。R.G.B.層の形成工程のうち、最後に形成する層については、選択的に光照射を行わず、基板を支持体側から全面光照射するか、あるいは、バイアス電圧を印加することのみによって、着色電着膜を形成することもできる。このようにして、最後の着色電着膜を形成すると、白ぬけ等の隙間を最後の電着膜で埋めることができ、より欠陥のないカラーフィルターを作製できるので好ましい。
尚、基板10上に着色電着膜とブラックマトリックスを形成した後、カラーフィルターを他のガラス基板等に転写してもよい。
【0016】
ところで電着膜は、それが生成された直後から電着液に浸っている間、少しずつではあるが再溶解を起こしている。また各カラーフィルター層の形成工程間に設けられる洗浄工程において純水に浸っている間にも同様に少しずつ再溶解を起こす。また工程を短縮するため既存の電着膜の乾燥・硬化する時間を短縮するには、乾燥工程を短縮して既存の電着膜が生乾きのまま2色め以降の光電着工程を行なうのが有力な方法だが、この場合既存の電着膜が生乾きのまま電着液に浸ることにより、さらに再溶解を起こす。たとえ再溶解の時間が短くても、光電着膜のエッジは削られるため望ましくない。
【0017】
ところが、基板に本来光照射にしか必要ないバイアス電圧を常時印加すると、このような再溶解はほとんど進行しない。これはバイアス電圧により水の電気分解が少しずつ進み、電着膜周りの水素イオン濃度の変化が押さえられる効果や、電気泳動により電着膜を構成する顔料や導電性高分子が基板側に引き付けられる効果などが複合しているためと考えられる。
【0018】
上記の効果を実験で確認したデータを図10に示す。図10は本発明で用いる電着液を用いて着膜量をE−QCM(電気化学水晶振動子マイクロバランス法)で測定したものである。縦軸は相対的着膜量、横軸は標準カラメル電極を基準としたバイアス電圧を示す。実線が本実施例で用いている電着液のバイアス電圧を変化させた場合のヒステリシス特性である。まず、バイアス電圧が低い間は着膜しない(図9実線のA部分)が、電解液と半導体の間のショトキーバリアより大きくなると一気に着膜が始まる(図9実線のB部分)。その後、バイアス電圧をショトキーバリアより下げても(図9実線のC部分)着膜量はほとんど減少しない。バイアス電圧が0近傍になって初めて膜の再溶解が始まり、着膜量が0に近づくことがわかる。再溶解によって電着膜は等方エッチングされるため、エッジが削られることになる。よって、本発明において電着後、基板にバイアス電圧を掛け続けることによってエッジが削られることがなく、電着膜の品質を改善することができる。
【0019】
なお、このときのバイアス電圧は、光照射時に印加する値をそのまま印加するのが制御の手間がかからず最も使いやすいが、それよりも低い電圧でも図10に示されるように効果が認められる。また当然ながら、電解液と半導体の間のショトキーバリアーが壊れてしまうような高いバイアス電圧をかけることは、光照射パターンと関係なく基板全体に電着膜が生成されてしまうことになり、好ましくない。
【0020】
なお、バイアス電圧は少なくとも基板が電解液又は洗浄液に接触している間印加されればよい。例えば、基板と電着液、または基板と洗浄水が接触するタイミングとバイアス電圧を印加するタイミングを同期させることによって、電着膜の再溶解によるエッジプロファイルの劣化を最小限に押さえることができる。従って、バイアス電圧が印加されたまま多色の電着液、および洗浄水の切り替えが連続的に行なえれば、乾燥工程を一切必要とせず、なおかつエッジプロファイルの劣化がなく、多色のカラーフィルターを製造することが可能になる。
基板と電解液又は洗浄液が接触していることを検知するセンサとしては、基板と電解液又は洗浄液の間の抵抗を測定するための電気回路、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサー、液面の上昇に伴って電解液が光を遮ることによって液面高さを検知する方式のセンサー等を挙げることができる。
なお、洗浄水に対してもバイアス電圧を印加する場合は純水に電着膜の形成に影響しないNa+ イオンやCl- イオンを若干加えたものを洗浄水とする必要がある。
【0021】
本発明では結像光学系を用いることは必須ではないが、用いることが好ましい。本発明に使用し得る結像光学系は、画像様の光を光半導体薄膜の表面に結像させる手段であり、例えば、光源からの光をフォトマスクに結像させる結像レンズと、さらにフォトマスクからの透過光を基板の光半導体の表面に結像させる結像レンズとから構成されるものが挙げられる。このような結像光学系が組み込まれた露光装置としては、例えば、プロジェクション型露光装置等が含まれ、本発明に好適に使用できる。本発明では、基板の支持体側から光を照射しているので、結像光学レンズと結像面(光半導体薄膜表面)との距離は、基板の厚み以上離れて配置されているのが好ましい。一方、焦点距離が長くなれば解像力が低下し易く、露光装置の設計上からも極端に結像光学系と結像面との距離を離すことはできない。そこで、実用的には、結像光学レンズと結像面との距離が1mm〜50cmの範囲となるように配置するのが好ましい。
【0022】
結像光学系として、結像光学レンズを用いる場合、結像光学系レンズの焦点深度は、±10μm〜±100μmであるのが好ましい。結像光学系レンズの焦点深度が前記範囲であると、治具に固定された基板に、たわみ等が生じていても、比較的容易な調節により、半導体面上に光を結像させることができる。
【0023】
本発明のカラーフィルターの製造方法に用いられる基板は、光透過性支持体上に、光透過性導電膜および光起電力機能を有する光半導体薄膜を順次積層したものである。支持体としては、光透過性の種々の材料を用いることができ、例えば、ガラス、プラスチック等を用いるのが好ましい。
【0024】
導電膜は、導電性を有し、かつ光透過性の材料であれば広く用いることができる。例えば、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr等の金属、ITO(インジュウム−スズ酸化物)、二酸化スズ等の金属酸化物等が挙げられる。また、導電性カーボン材料、導電性セラミックス材料等を用いることもできる。導電性膜は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等従来公知の方法により支持体上に形成することができる。
【0025】
光半導体薄膜は、光照射により光起電力を生じるものであればいずれも使用することができる。光半導体には、n型光半導体とp型光半導体があるが、本発明ではいずれの光半導体も使用可能である。さらに、n型光半導体薄膜とp型光半導体薄膜とを積層したpn接合を有する光半導体薄膜、またはn型光半導体薄膜と、i型光半導体薄膜と、n型光半導体薄膜とを積層したpin接合を有する光半導体薄膜等、積層構造の光半導体薄膜を用いると、高出力の光電流が確実に得られ、画像のコントラストがより高くなるので好ましい。
【0026】
また、本発明に用いられる光半導体薄膜は、無機光半導体からなるものであっても、有機光半導体からなるものであってもよい。無機光半導体としては、Ga−N、ダイヤモンド、C−BN、SiC、ZnSe、TiO2 、ZnO等が挙げられる。有機光半導体としては、ポリビニールカルバゾール、ポリアセチレン等が挙げられる。中でも、TiO2 、ZnO等の酸化物光半導体は、酸化されることがなく、水系電解液中でも安定なので好ましい。特に、TiO2 は、高い光感度、高い透過性を有するので好ましい。光半導体薄膜の製膜方法については、従来知られている、熱酸化膜法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法等を用いて作成することができる。
【0027】
TiO2 を用いてn型の光半導体薄膜を製膜する場合、TiO2 にあらかじめ還元処理を施し、光学活性の高いアナターゼ型のTiO2 結晶を用いるのが好ましい。光学活性の高い結晶を用いれば、高い光感度の光半導体薄膜が作製できる。アナターゼ型のTiO2 を還元処理すると、酸素原子が離脱してTiO2-X となり、さらに光学活性が高くなる。この還元処理の方法としては、水素ガスの雰囲気下で加熱処理する方法が挙げられる。加熱条件は、約500℃で1時間加熱する(J.Electrochem.Soc.,Vol.141,No3,p.660,1994,Y.Hamasaki et alに記載)等、比較的高温で長時間処理するのが一般的である。しかし、本発明者等が検討した結果、水素混合窒素ガスを所定の流速で流しながら加熱処理すれば、比較的低温短時間で処理することができることが判明した。例えば、TiO2の粉末を、3%の水素混合窒素ガスを、流速1リットル/minで流しながら、約360℃で10分間加熱処理することにより、比較的低温、短時間の加熱処理で、TiO2-X に還元できる。
【0028】
次に、該基板を浸漬する水系液体中に含有される着色電着材料について説明する。
着色電着材料は、少なくとも、溶液のpHの変化によって溶解度が変化するイオン性分子と、着色電着膜を形成するための着色の分子である染料、顔料、色素等の色材を含んでいる。色材自体がイオン性分子であってもよく、この場合は、着色電着材料が色材のみからなっていてもよい。イオン性分子はアニオン性分子であってもカチオン性分子であってもよく、用いられる光半導体薄膜の極性に応じて選択される。
【0029】
いずれのイオン性分子を電着材料として選択するかは、イオン性分子が有するpHの変化に対応した溶解度の変化特性を目安にすることができる。本発明に用いられる電着材料は、溶液のpH変化に依存して、急激に溶解度が変化する性質を有するものが好ましい。例えば、溶液の±1.0のpH変化に対応して、より好ましくは、±0.5のpH変化に対応して状態変化(溶存状態→沈殿、または沈殿→溶存状態)するものが好ましい。このような溶解度特性を有するイオン性分子を電着材料として用いれば、より迅速に電着膜を作製でき、また耐水性に優れた電着膜を作製することができる。
さらに、電着材料として用いるイオン性分子は、pHの変化に対応する状態変化(溶存状態→析出の変化と析出→溶存状態の変化)にヒステリシスを示すもの、即ち、pHの減少または増加に対応する析出状態への変化は急峻であり、かつpHの増加または減少に対応する溶存状態への変化は緩慢である必要がある。
【0030】
イオン性の色材としては、トリフェニルメタンフタリド系、フェノサジン系、フェノチアジン系、フルオレセイン系、インドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフタリド系、ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン系、アゾメチン系、ローダミンラクタル系、ナフトラクタム系、トリアゼン系、トリアゾールアゾ系、チアゾールアゾ系、アゾ系、オキサジン系、チアジン系、ベンズチアゾールアゾ系、キノンイミン系の染料、およびカルボキシル基、アミノ基、またはイミノ基を有する親水性染料等が挙げられる。
【0031】
例えば、フルオレセイン系の色素であるローズベンガルやエオシンは、pH4以上の水溶液中では還元状態となり溶存するが、pHが4未満の水溶液中では酸化状態となり沈殿する。また、オキサジン系の塩基性染料Cathilon Pure Blue 5GH(C.I.Basic Blue 3)やチアジン系の塩基性染料メチレンブルー(C.I.Basic Blue 9)は、pHが10以下の水中では酸化状態となり溶存するが、pH10以上の水中では還元状態となり不溶化し析出する。
このような構造変化は伴わないが、一般にカルボキシル基、アミノ基、またはイミノ基を有する親水性染料は、水溶液のpH変化によって溶解度が大きく変化する。例えば、カルボキシル基を有する耐水性改良インクジェット染料は、pH6以上の水には可溶であるが、pH6未満の水には不溶で沈殿する。
【0032】
着色電着材料が、顔料とイオン性分子とからなる場合のイオン性分子としては透明な膜を形成し得る高分子が好ましい。例えば、アニオン性であるカルボキシル基を有する高分子、カチオン性であるアミノ基またはイミノ基を有する高分子等が挙げられる。カルボキシル基を有する高分子の一種である水溶性アクリル樹脂は、pH6以上の水には溶けるが、pH6未満の水には不溶で沈殿する。この高分子中に顔料を分散させれば、高分子が基板上に電着する際に顔料を取り込んで膜を形成するので、着色の電着膜が基板上に形成される。
【0033】
本発明の電着材料に用いられる高分子は、水系液体中に溶解または分散するための適度な親水性と、一旦電着膜を形成した後は、再び水系液体中に溶解しないための適度な疎水性を有する必要がある。従って、高分子は、構造中に疎水基と親水基を併せ持つ。このような機能を満足させる高分子の目安としては、高分子を構成しているモノマーの疎水基の数が、モノマーの親水基と疎水基の総和の40〜80%の範囲のものである。また、親水基部分の50%以上が、pHの変化により親水基から疎水基に変化し、かつ、酸価数が30〜600のものが析出性、電着膜の安定性の点で好ましい。高分子は、1種類のモノマーからなるものであっても、2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。
【0034】
着色電着材料としては、前記特性を有する2種類以上のイオン性分子の混合物(同極性分子の混合物、異極性分子の混合物を含む)を用いることもできる。また前記特性を有するオン性染料と顔料の混合物、前記特性を有するイオン性高分子と色材の混合物等、種々の組み合わせからなる混合物を使用することができる。それ自体電着膜形成能がない材料であっても、前記特性を有するイオン性分子と組み合わせることにより、電着膜形成時に取り込まれて、着色電着膜の形成成分となり得る。
着色電着材料が、イオン性高分子と色材からなる場合、色材の固形分重量%は、30重量%〜95重量%であると、着色電着膜の安定性、着色層の色調が高くなる点で好ましい。
【0035】
2以上の色材を含む着色電着材料の例を以下に示す。
同極性の分子の混合物、例えば、電着膜形成能力のあるアニオン性分子、ローズベンガル(赤色)と電着膜形成能力のないアニオン性分子ブリリアントブルー(青色)を混合した水溶液中にn型光半導体薄膜を積層した基板を浸漬し、基板が正電位となるように電流等を供与するとともに光照射すると、光照射部に溶液と同じ紫色の電着膜が形成される。これは、電着膜形成能力のあるローズベンガルにブリリアントブルーが取り込まれて、製膜されるからである。このように、同極性の分子を2種以上混合して用いる場合は、少なくとも1種類のイオンが電着膜形成能力があればよい。
【0036】
極性が異なる分子の混合物、例えばアニオン性で電着膜形成能力のあるProFast Jet Yellow2(黄色)とカチオン性で電着膜形成能力があるCathilon Pure Blue 5GH(青色)を混合した水溶液中にn型光半導体薄膜を積層した基板を浸漬し、基板が正電位となるように電流等を供与するとともに光照射すると、光照射部に溶液と同じ緑色の電着膜が形成される。一方基板が負電位となるように電流等を供与しつつ光照射すると、光照射部には青色の電着膜(Cathilon Pure Blue 5GHからなる電着膜)が形成される。このように、異極性の分子の混合物を用いる場合は、光半導体薄膜の極性および印加電圧の極性を変化させると、同一の着色電着材料を用いて異なる色の電着膜を形成することもできる。
【0037】
着色電着材料の色材として、水に不溶性の顔料を用いる場合は、電着膜形成能力のあるイオン性高分子材料、例えば、水溶性アクリル樹脂や水溶性スチレン樹脂の水溶液中に分散させて用いればよい。水溶性高分子が電着膜を形成する際に顔料を取り込み、着色電着膜が作製される。顔料としては、従来公知のあらゆる顔料を用いることができる。
【0038】
これらの着色電着材料は、水系液体中に溶解または分散させて用いる。ここで、水系液体とは、水を主成分とし、本発明の効果を損なわない範囲で種々の添加剤を添加した液体をいう。
【0039】
電着速度を速めることを目的として、水系液体中に着色電着材料の他に、電解質を添加してもよい。電解質である塩を添加すると、溶液の導電率が増加する。本発明者等が検討した結果、水系液体中の導電率と、電着速度(言い換えると電着量)とは相関し(図3)、導電率が高くなればなるほど一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり、導電率が約100mS/cm2 になると飽和する。従って、電着膜の形成に影響しないイオン、例えばNa+ イオンやCl- イオンを加えれば、電着速度を速めることができる。電解液中の体積固有抵抗率を10Ω・cm以上106Ω・cm以下となるように、電解液中に塩を加えるのが好ましい。
【0040】
一定時間内に形成される膜厚は、温度が高い程、顕著に厚くなる。従って、電解液の温度を一定に保つように、温度コントロールを行えば、電着膜の膜厚を均一にすることができ、より平滑性の高い着色電着膜を形成できるので好ましい。
【0041】
光照射前の水系液体のpHは、用いる電着材料の状態変化が生じるpHより±2の範囲に設定するのが好ましい。水系液体のpHをこのような範囲に設定しておけば、電着膜が形成される前に着色電着材料の水系液体への溶解が飽和状態となる。その結果、一旦電着膜を形成してしまえば、膜形成後に液体中に再溶解し難いので、安定的に電着膜を作製することができる。
水系液体のpHを前記の範囲にするには、電着特性に影響を与えない酸性またはアルカリ性物質を添加することにより行う。
【0042】
基材を水系液体中に浸漬する際には、少なくとも光半導体薄膜が水系液体に接触すればよく、基板全体が完全に液体中に浸っても、また、光半導体薄膜のみが液体に接触していてもよい。
【0043】
次に、水系液体の基板近傍で生じるpH変化、およびこれに伴う着色電着膜の形成機構について説明する。
一般的に、水溶液中に白金電極を浸し電流または電圧を供与すると、アノード近傍の水溶液中のOH- イオンは消費されてO2 になり、水素イオンが増えてpHが低下する。これは、アノード近傍でホール(p)とOH-イオンとが結び付く以下の反応が起こるためである。
2OH- +2p+ → 1/2(O2 )+H2O
但し、この反応が起こるには、一定の電圧(閾値電圧)が必要であるので、閾値電圧を超えて始めて、反応が進行し水溶液中のpHが変化する(アノード近傍ではpHが低下し、カソード近傍ではpHが増加する)。
光起電力のみでは、電着材料の電着の閾値を超えない場合は、あらかじめ基板の導電性膜に電流または電圧を供与してバイアス電圧を加えつつ、光照射して光半導体に光起電力を起こさせ、光照射部のみを閾値を超える電位とし、基板の光照射部近傍の水溶液のみに前記の反応を進行させるものである。反応が進行した結果、光照射部近傍の水溶液のpHは変化し、これに対応して着色電着材料の溶解度が変化し、光照射部のみに着色電着膜が形成される。
【0044】
従って、本発明において、あらかじめ基板(基板中の光透過性導電膜)に供与する電流または電圧の大きさは、光半導体薄膜が発現する光起電力により基板に生じる電位を補い、基板の電位が閾値電圧に達するように設定する必要がある。一方、あらかじめ基板(基板中の光透過性導電膜)に供与する電流または電圧は、ショトキーバリアーを超えない大きさに設定する必要がある。あらかじめ基板に供与する電流または電圧が大きすぎると、ショトキーバリアーが壊れ、光照射されていない領域にも電流が流れ、光半導体基板の全領域に電着膜が形成され、着色電着膜の配置を制御できなくなるからである。
例えば、TiO2の光起電力は、約0.6Vであるので、2.0Vで電着する着色材料であれば、1.4Vのバイアス電圧を印加しつつ光照射すると、基板(光半導体膜)の光照射部の電位は0.6V+1.4V=2.0Vとなり、電着に必要な閾値電圧を越えて、光照射部のみに着色電着膜が形成される。
【0045】
従来からの電着技術を利用したカラーフィルターの製造方法、例えば、特開平5−119209号公報、特開平5−157905号公報等に記載の方法は、電着電圧は20Vから80Vと高く、電着材料として高分子を用い、高分子の酸化還元反応を利用して電着膜を形成している。本発明では、前記の機構により電着膜を形成しているので、電着時の基板(光半導体薄膜)の電圧はショトキーバリヤー以下にすることができ、その結果、制御性が高く、微細な画素配置にも対応できる製造方法を提供することができる。電着時の基板(光半導体薄膜)の電圧は5V以下であるのが好ましい。
【0046】
次に、光半導体と着色電着材料の組み合わせについて説明する。
本発明では、光起電力の形成に、光半導体と接触した界面に生じるショトキーバリヤーや、pn接合あるいはpin接合の障壁を利用している。図5(A)にn型光半導体と水系液体との界面に生じるショトキーバリヤーを、(B)にpin接合の障壁を模式的に示した。例えば、n型光半導体を用いた場合(図5(A))、n型光半導体側を負にした場合には、電流が流れる順方向であるので電流は流れるが、逆に、n型光半導体側を正にした場合、即ちn型光半導体と水系液体とのショトキー接合がバリヤーを形成して、電流は流れない。ところが、n型光半導体側を正にして電流が流れない状態でも、光を照射するとn型光半導体薄膜からエレクトロン・ホールペアが発生し、ホールが溶液側に移動して電流が流れる。この場合、n型光半導体を正電位にするのであるから電着する材料はアニオン性の分子でなければならない。従って、n型光半導体とアニオン性分子の組合せとなり、逆にp型光半導体ではカチオンが電着されることになる。特に、n型光半導体を用いた場合はカルボキシル基を有する化合物、p型半導体を用いた場合はアミノ基、またはイミノ基を有する化合物を含有する着色電着材料を用いるのが好ましい。
pn接合またはpin接合の半導体薄膜を用いる場合、半導体膜部分は順方向に、液体との界面は逆方向になるように電流または電圧を供与する。
【0047】
光透過性導電膜に電流または電圧を供与するには、導電膜の側縁等に電流または電圧が供与されるための通電路を設ける必要がある。
電流または電圧の供給には、ポテンショスタット等を用いる。
【0048】
【実施例】
実施例1
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、さらに250nmのTiO2を製膜した。つぎに、TiO2の光電流特性を上げるために還元処理を行った。還元処理では、3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で、300℃で10分間TiO2膜をアニールした。
【0049】
この基板を、図1に示すように電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成された。
【0050】
図1の装置でレッドのマスクフィルターパターンを作成する工程の詳細を図6に示す。まず電解液で満たされている液槽に基板をセットした。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号に同期してバイアス電圧を印加した。紫外線照射が終了した後、作用電極に印加していたバイアス電圧を解除すると同時に液槽から基板を取り去った。次に基板洗浄に一般的によく使用されているシャワー洗浄を行い、水流が基板に対して直角にあたるようにして極力電着膜のエッジプロファイルが崩れないようにした。シャワー洗浄終了後、基板にクリーンエアーを吹き付けることにより水滴を拭き取った。その後5分程度放置して、作成したマスクパターンを乾燥させた。
【0051】
次に、図6に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液として、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのマスクフィルターパターンが形成された。
【0052】
同様に、図6に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液として、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
このようにして作られたカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
【0053】
最後に、カラーフィルター層を充分に乾燥させた後、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極を2.0Vにして2秒間電圧を印加したところ、カラーフィルター層の無い領域をカーボンの薄膜が覆いブラックマトリックスを形成できた。
なお基板と電解液の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよいし、液面の上昇に伴って電解液が光を遮ることによって液面高さを検知する方式のセンサーでもよい。
【0054】
実施例2
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、さらに250nmのTiO2を製膜した。つぎに、TiO2の光電流特性を上げるために還元処理を行った。還元処理では、3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で、300℃で10分間TiO2膜をアニールした。
【0055】
この基板を、図1に示したように電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成された。
【0056】
図1の装置でレッドのマスクフィルターパターンを作成する工程の詳細を図7に示す。まず基板を液槽にセットし、電解液を液槽に注入した。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号に同期してバイアス電圧を1.0V印加した。紫外線照射が終了した後、作用電極に印加していたバイアス電圧を解除すると同時に液槽から電解液を抜き取った。次に液槽に純水に若干の塩を加えた洗浄水を注入し、基板に洗浄水が接触するのを感知したセンサーの信号に同期してバイアス電圧を印加した。洗浄水は一定の流速をもつようにして、付着した不要な電着液を流し去るようにした。再びバイアス電圧を解除すると同時に液槽から洗浄水を取り去り、基板にクリーンエアーを吹き付けることにより水滴を拭き取った。その後5分程度放置して、作成したマスクパターンを乾燥させた。
【0057】
次に、図7に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのマスクフィルターパターンが形成された。同様に、図7に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
このようにして作られたカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
【0058】
最後に、カラーフィルター層を充分に乾燥させた後、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側からマスク未装着の露光装置で2秒間露光したところ、カラーフィルター層の無い領域だけカーボンの薄膜が覆いブラックマトリックスを形成できた。
なお基板と電解液、および基板と洗浄水の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよい。
【0059】
実施例3
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル法により200nm TiO2を製膜した。製膜ではITO基板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達製、アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製膜した後、約500℃で1時間基板を加熱してTiO2の膜を形成した。還元処理では、実施例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で、300℃で10分間TiO2の膜をアニールした。
【0060】
この基板を、図1に示したように電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成された。
【0061】
図1の装置でレッドのマスクフィルターパターンを作成する工程の詳細を図8に示す。まず電解液で満たされている液槽に基板をセットした。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号に同期してバイアス電圧を印加した。紫外線照射が終了した後、作用電極に印加していたバイアス電圧を解除すると同時に液槽から基板を取り去った。次に別途用意した洗浄水を満たした液槽に基板をセットし、基板と洗浄水が接触するのを感知したセンサーの信号に同期して再び作用電極にバイアス電圧を1.0V印加した。洗浄水は一定の流速をもつようにして、付着した不要な電着液を流し去るようにした。再びバイアス電圧を解除すると同時に液槽から基板を取り去り、基板にクリーンエアーを吹き付けることにより水滴を拭き取った。その後5分程度放置して、作成したマスクパターンを乾燥させた。
【0062】
次に、図8に示す工程で、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのマスクフィルターパターンが形成された。同様に、図8に示す工程で、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
このようにして作られたカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
【0063】
最後に、カラーフィルター層を充分に乾燥させた後、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側からマスク未装着の露光装置で2秒間露光したところ、カラーフィルター層の無い領域だけカーボンの薄膜が覆いブラックマトリックスを形成できた。
なお基板と電解液、および基板と洗浄水の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよい。
【0064】
実施例4
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル法により200nm TiO2を製膜した。製膜はITO基板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達製、アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製膜した後、約500℃で1時間加熱してTiO2の膜を形成した。還元処理では、実施例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で、300℃で10分間TiO2の膜をアニールした。
【0065】
この基板を、図1に示したように電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブラックマトリックスの細線パターンが描かれた。
【0066】
図1の装置でブラックマトリックスの細線パターンパターンを作成する工程の詳細を図8に示す。まず電解液で満たされている液槽に基板をセットした。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号に同期してバイアス電圧を印加した。紫外線照射が終了した後、作用電極に印加していたバイアス電圧を解除すると同時に液槽から基板を取り去った。次に別途用意した洗浄水を満たした液槽に基板をセットし、基板と洗浄水が接触するのを感知したセンサーの信号に同期して再び作用電極にバイアス電圧を1.0V印加した。洗浄水は一定の流速をもつようにして、付着した不要な電着液を流し去るようにした。再びバイアス電圧を解除すると同時に液槽から基板を取り去り、基板にクリーンエアーを吹き付けることにより水滴を拭き取った。その後5分程度放置して、作成したマスクパターンを乾燥させた。
【0067】
次に、図8に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのマスクフィルターパターンが形成された。同様に、図8に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。同様に、図8に示す工程でスチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
【0068】
このようにして作られたブラックマトリックス、およびカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
なお基板と電解液、および基板と洗浄水の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよい。
【0069】
実施例5
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル法により200nm TiO2を製膜した。製膜ではITO基板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達製、アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製膜した後、約500℃で1時間加熱してTiO2の膜を形成した。還元処理では、実施例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で300℃で10分間TiO2の膜をアニールした。
【0070】
この基板を、図1に示したように電気化学で一般的な三極式の配置において、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とアゾ系赤色超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成された。
【0071】
次に、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニングリーン系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのフィルターパターンが形成された。同様に、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とフタロシアニンブルー系超微粒子顔料を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を1.8Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのマスクフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
【0072】
図1の装置で上記3色のカラーフィルターパターンを作成する工程の詳細を図9に示す。まずレッドの電解液で満たされている液槽に基板をセットした。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号と同期してバイアス電圧を印加した。紫外線照射が終了した後、液槽に純水に若干の塩を加えた洗浄水を注入しつつレッドの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。その次に液槽内にグリーンの電着液を注入しつつ、洗浄水を排出した。これを液槽内を満たすグリーンの電着液濃度が本来の値になるまで行なった。紫外線照射が終了した後、液槽に洗浄水を注入しつつグリーンの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。その次に液槽内にブルーの電着液を注入しつつ、洗浄水を排出した。紫外線照射が終了した後、液槽に洗浄水を注入しつつブルーの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。最後にバイアス電圧を解除すると同時に基板を液槽から取り去った。
このようにして作られたカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
【0073】
最後にカラーフィルター層を十分に乾燥させた後、カーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を分散させた紫外線硬化樹脂溶液に接触させ、基板の裏側からUV光を照射したところ、カラーフィルター層の無い領域だけ硬化したカーボンの樹脂薄膜が形成され、ブラックマトリックスを形成できた。
なお基板と電解液、および基板と洗浄水の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよい。
【0074】
実施例6
図4に示すように厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(7059ガラス)にITOの透明導電膜をスパッタリングで100nm製膜し、ITO薄膜上にゾル・ゲル法により200nm TiO2を製膜した。製膜ではITO基板上にスピンコート法でTiO2のアルコキシド(日本曹達製、アトロンNTi-092)を回転速度1500回転、20秒間で製膜した後、約500℃で1時間加熱してTiO2の膜を形成した。還元処理では、実施例1と同様に3%の水素ガスが混合された純窒素ガス中で、300℃で10分間TiO2の膜をアニールした。
【0075】
この基板を、図1に示したように電気化学で一般的な三極式の配置において、電着能力のあるアゾ系赤色染料を含む水溶液を電解液とし、飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を2.0Vにして基板の裏側から紫外線を選択的に照射した。紫外線の照射には、ウシオ電気製のプロジェクション型露光装置を使用した (波長365nmの光強度50mW/cm2)。プロジェクション型露光装置は、フォトマスクに一旦結像し、更に光学レンズを介して基板の裏面である酸化チタン表面に結像するように調節した。この装置で2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけレッドのマスクフィルターパターンが形成された。次に、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とCathilon Pure Blue 5GHを固形分比率で1対1に分散させた染料を含む水溶液を電解液とし飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を2.0Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけブルーのフィルターパターンが形成された。同様に、0.01MのPro Jet Fast Yellow2と0.01MのCathilon Pure Blue 5GHを混合させた水溶液を電解液とし飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極に印加するバイアス電圧を2.0Vにして基板の裏側から同様の露光装置で選択的に2秒間露光したところ、TiO2表面に光が照射された領域だけグリーンのフィルターパターンが形成されて、カラーフィルター層が形成された。
【0076】
図1の装置で上記3色のカラーフィルターパターンを作成する工程の詳細を図9に示す。まずレッドの電解液で満たされている液槽に基板をセットした。基板に電解液が接触するのを感知したセンサーの信号と同期してバイアス電圧を印加した。紫外線照射が終了した後、液槽に純水に若干の塩を加えた洗浄水を注入しつつレッドの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。その次に液槽内にグリーンの電着液を注入しつつ、洗浄水を排出した。これを液槽内を満たすグリーンの電着液濃度が本来の値になるまで行なった。紫外線照射が終了した後、液槽に洗浄水を注入しつつグリーンの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。その次に液槽内にブルーの電着液を注入しつつ、洗浄水を排出した。紫外線照射が終了した後、液槽に洗浄水を注入しつつブルーの電解液を排出した。これを液槽内を満たす液体が、ほぼ完全に洗浄水になるまで行なった。最後にバイアス電圧を解除すると同時に基板を液槽から取り去った。
このようにして作られたカラーフィルター層は、光照射時のみしかバイアス電圧を印加しないものに比べてエッジプロファイルがシャープに形成されていた。
【0077】
最後にカラーフィルター層を十分に乾燥させた後、スチレン−アクリル酸共重合体(分子量13,000、疎水基/(親水基+疎水基)のモル比65%、酸化150)とカーボンブラック粉末(平均粒子径80nm)を固形分比率で1対1に分散させた顔料を含む水溶液中で飽和カロメル電極に対しTiO2電極を作用電極として利用し、作用電極を1.6Vにして基板の裏側から同様の露光装置で2秒間露光したところ、カラーフィルター層の無い領域だけカーボンの薄膜が覆いブラックマトリックスを形成できた。
なお基板と電解液、および基板と洗浄水の接触を感知するセンサーとしては、図1に示したようなポテンショスタットとは独立した電気回路をもつものでもよいし、液面の高さを上から測定する三角測量式の光センサーなどを用いてもよい。
【0078】
【発明の効果】
本発明のカラーフィルターの製造方法および製造装置によれば、カラーフィルター層のみならず、ブラックマトリックスを含めて、フォトリソグラフィー工程を含まない簡易な方法で、高解像度で、かつ平滑性が高いカラーフィルターを低コストで形成することができる。従来の電着法では利用範囲が限られていた、複雑で微細なパターンを有するカラーフィルターを容易に作製することができる。また、特に、少なくとも電解液や洗浄液に基板が接触している間は電圧を印加することにより各画素のエッジ部がシャープなカラーフィルターを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカラーフィルターの製造装置の一態様を概略的に示した図である。
【図2】 本発明のカラーフィルターの製造工程の一態様を概略的に示した図である。
【図3】 水系電解液の導電率と電着量との関係を示すグラフである。
【図4】 本発明の実施例に使用される酸化チタン膜の製法を示す図である。
【図5】 (A)はショトキー接合の場合の、(B)はpin接合の場合の半導体のエネルギーバンドを示す概略図である。
【図6】 実施例に用いた工程のフローチャートである。
【図7】 実施例に用いた工程の別のフローチャートである。
【図8】 実施例に用いた工程のさらに別のフローチャートである。
【図9】 実施例に用いた工程の別のフローチャートである。
【図10】 印加電圧と付着量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 基板 11 光透過性支持体 12 光透過性導電膜
13 光半導体薄膜
20 水系電解液 21 着色電着膜 22 黒色電着膜
Claims (13)
- 光透過性支持体上に光透過性の導電膜、および光起電力機能を有する光半導体薄膜を順次積層した基板を、水素イオン濃度の変化により析出する色材を含有する電着材料を含む電解液に、少なくとも光半導体薄膜が接触するように配置し、選択的に光を照射し、前記光半導体薄膜の光照射部に光起電力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出させて着色電着膜からなるカラーフィルター層を形成する工程を含むカラーフィルターの製造方法であって、少なくとも前記基板と前記電解液が接触している間は前記基板にバイアス電圧を常時印加することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 前記電解液と前記基板の接触を検知するセンサによって該接触を検知し、該センサからの信号に同期して、透明基板に一定のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
- 前記電着膜を形成した後、流水に接触させることにより前記基板を洗浄する工程を有し、前記電解液と前記流水の接触を検知するセンサによって該接触を検知し、該センサからの信号に同期して、前記基板に一定のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルター製造方法。
- 前記バイアス電圧を、前記光半導体薄膜と前記電解液の間のショトキーバリアが維持される限界電圧より低くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカラーフィルター製造方法。
- 光を支持体側から照射し、照射された光を結像光学系により前記光半導体薄膜の表面に結像させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記光半導体薄膜として酸化チタンを使用したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカラーフィルター製造方法。
- 前記光半導体薄膜として水素雰囲気下で加熱して還元処理した酸化チタンを使用することを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルター製造方法。
- 電位差が5V以内の範囲で、電着材料を析出させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 電解液に塩を加えて、電解液中の体積固有抵抗率を10Ω・cm以上10 6 Ω・cm以下の範囲にすることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 電解液の温度を一定に保ち、電着速度を一定にすることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 電解液を貯蔵し得る液槽と、光透過性支持体上に、光透過性導電膜と、光起電力機能を有する光半導体薄膜を順次積層した基板を、少なくとも光半導体薄膜が電解液に接触するように固定する手段と、前記基板に選択的に光を照射する光照射手段と、前記液槽内の電解液と前記基板の接触を感知するセンサーと、前記センサーからの信号に同期して前記基板にバイアス電圧を印加する手段とを有するカラーフィルターの製造装置。
- 前記センサーが前記電解液と前記導電膜の間の電気抵抗を測定するセンサーであることを特徴とする請求項11に記載のカラーフィルター製造装置。
- 前記センサーが前記電解液の液面の高さを測定するセンサーであることを特徴とする請求項11に記載のカラーフィルター製造装置。
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