JP3146967B2 - 非還元性誘電体セラミック及びそれを用いた積層セラミック電子部品 - Google Patents

非還元性誘電体セラミック及びそれを用いた積層セラミック電子部品

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JP3146967B2 JP05180196A JP5180196A JP3146967B2 JP 3146967 B2 JP3146967 B2 JP 3146967B2 JP 05180196 A JP05180196 A JP 05180196A JP 5180196 A JP5180196 A JP 5180196A JP 3146967 B2 JP3146967 B2 JP 3146967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非還元性誘電体セラ
ミック、及びそれを用いた積層セラミックコンデンサや
多層セラミック基板などの積層セラミック電子部品に関
する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミック電子部品の小型化及び低
コスト化が進んでおり、これまでもセラミック層の薄層
化及び内部電極の卑金属化が進められている。例えば、
積層セラミック電子部品の1つである積層セラミックコ
ンデンサにおいては、セラミック層の厚みは5μm近く
まで薄層化が進行し、内部電極もCu、Niなどが使用
されているのが現状である。
【0003】ところが、このようにセラミック層が薄層
化してくるとセラミック層にかかる電界が高くなり、電
界による誘電率の変化が大きい誘電体では使用上問題が
生じる。これを解決する誘電体として、コアシェル構造
を有するセラミックが提案され使用されてきている。こ
のコアシェル構造は、一つの焼結体粒子内において、中
心部のコアと周辺部のシェルで結晶構造、組成が異なっ
た材料であり、誘電率の電界特性、温度特性に優れた材
料である。そして、このコアシェル構造は、セラミック
の焼結の過程で粒子表面から必要成分を粒子内に拡散さ
せて得ている。
【0004】又、内部電極にCuやNiを用いた場合、
電極金属が酸化しない条件で焼成すると、一般にセラミ
ック自体も還元され、絶縁性を保てなくなる。このた
め、還元されない誘電体材料として、たとえばチタン酸
バリウムの場合では組成を化学量論比から一般式ABO
3 におけるAサイト側にずらしたり、又はアクセプター
元素を添加するなどした非還元性材料が使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、従来のコ
アシェル構造を有する誘電体は、焼結過程で粒子表面か
らある種の成分を拡散させて焼結させたものである。し
たがって、原料の粒子径を細かくすると、シェルを形成
する成分が粒子の中心まで拡散してしまってコアシェル
構造を示さなくなり、コアシェル構造の特徴が失われ
る。現状ではコアシェル構造が得られる焼結体の粒子径
は最小で1μm程度である。
【0006】したがって、このようなコアシェル構造を
有する誘電体を積層セラミック電子部品のセラミック層
とした場合には、セラミック層の厚さが5μm以下の薄
層になると、層内の厚さ方向に存在する粒子の数が少な
くなり、積層セラミック電子部品の信頼性が低下すると
いう問題点を有していた。このため、積層セラミック電
子部品のセラミック層の薄層化に限界があった。
【0007】そこで、本発明の目的は、焼結体の粒子径
の小さい、コアシェル構造でない構造を持った、誘電率
の温度特性及び電界特性に優れた非還元性誘電体セラミ
ックを提供し、さらに厚さ3μm以下のような薄いセラ
ミック層からなる積層セラミック電子部品を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の非還元性誘電体セラミックは、最大粒子径
が0.5μm以下、平均粒子径が0.1〜0.3μmで
表される複数の粒子からなる焼結体であって、前記複数
の粒子は、個々の粒子内で一様な組成及び結晶系を示
し、かつ組成の異なる2種類以上の粒子からなることを
特徴とする。
【0009】又、本発明の非還元性誘電体セラミック
は、前記粒子の粒界に前記粒子とは構成成分が異なる厚
さ5nm以下の粒界相が存在することを特徴とする。
【0010】又、本発明の積層セラミック電子部品は、
前記非還元性誘電体セラミックをセラミック層の積層体
とし、該積層体のセラミック層の間に卑金属からなる導
体が形成されていることを特徴とする。
【0011】又、本発明の積層セラミック電子部品は、
前記非還元性誘電体セラミックをセラミック層の積層体
とし、該積層体のセラミック層の間に卑金属からなる内
部導体が形成されており、前記積層体の表面に、前記内
部導体と電気接続する卑金属からなる外部導体が形成さ
れていることを特徴とする。
【0012】上述の通り、本発明の非還元性誘電体セラ
ミックは、焼結体の平均粒子径が0.1〜0.3μmと
小さいため、セラミック層の厚さが5μm以下のような
薄層になっても、層内の厚さ方向に多くの粒子が積み重
なることになり、セラミック層の信頼性が高まる。
【0013】又、従来のコアシェル構造では、焼結によ
ってシェル成分を拡散させ、コアとシェルの誘電率温度
特性の違いを利用しているが、この温度特性の調整はシ
ェル拡散層の厚み調整によってなされ、制御が難しい。
一方本願発明のように、組成が異なり誘電率の異なる、
又粒子径の小さい粒子を2種以上複合させた場合、誘電
率の温度特性の調整はその容積比の調整によってなさ
れ、焼結体の品質及び再現性が高くなる。
【0014】なお、ここで言う組成の異なるものとは、
構成成分が同じでもその構成比が異なるもの、又は構成
成分自体が異なるものを意味する。組成の異なる粒子を
用い相互拡散及び粒子成長を抑制することで、これまで
のコアシェル構造のセラミック同様の優れた電界特性及
び温度特性を示す。
【0015】さらに、焼結体の粒子の粒界に、粒子とは
構成成分が異なる厚さ5.0nm以下の粒界相が存在す
る場合には、この粒界相に電界が集中し、粒子自体にか
かる電界が抑制されるため、粒子の信頼性が向上する。
粒界では酸素の拡散速度が早いため、信頼性不良の要因
である酸素欠陥への酸素拡散も十分に起こり、粒界に電
界集中が起こっても信頼性が低下することはない。しか
しながら、粒界相が5nm以上になると、粒子と比較し
て誘電率の低い粒界相の影響が大となり、セラミックと
しての誘電率の低下が大きくなり好ましくない。
【0016】又、3個以上の粒子間に存在する、いわゆ
る3重点に粒界相とは構成成分が異なる相が存在して
も、電界方向に対して粒子に直列に存在する確率が少な
いため、誘電特性に与える影響はなく、問題ない。
【0017】そして、上記非還元性誘電体セラミックを
セラミック層とし、内部導体及び外部導体に卑金属を用
いることにより、導体コストの低い安価な積層セラミッ
ク電子部品が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の非還元性誘電体セラミッ
ク及びそれを用いた積層セラミック電子部品について、
積層セラミックコンデンサを例に説明する。
【0019】積層セラミックコンデンサは、図1に示す
ように、内部導体としての内部電極3を介在して複数枚
のセラミック層としての誘電体セラミック2を積層して
得られた積層体1の両端面に外部導体としての外部電極
5及びニッケル、銅などのめっき被膜6、はんだ, 錫な
どのめっき被膜7が形成され、直方体形状のチップタイ
プとされる。
【0020】次に、この積層セラミックコンデンサの製
造方法を以下に説明する。まず、チタン酸バリウムなど
の主成分と特性改質などを目的とした添加剤を出発原料
とし、これらを所定量秤量し湿式混合して混合粉末を得
る。その後、この粉末に有機バインダと溶媒を添加して
スラリー化した後、このスラリーを用いてセラミックグ
リーンシートを作製する。その後、このセラミックグリ
ーンシート上に、ニッケル、銅などの卑金属からなる内
部電極層を形成する。なお、内部電極層を形成する方法
としては、スクリーン印刷法、蒸着法、めっき法などが
ある。
【0021】次に、内部電極層を形成したセラミックグ
リーンシートを必要枚数積層し、内部電極層を有しない
セラミックグリーンシートで挟んで圧着し、積層体とす
る。その後、還元性雰囲気中、所定の温度で焼成し、積
層体1を形成する。
【0022】次に、積層体1の両端面に、内部電極3と
接続するように、外部電極5を形成する。この外部電極
5の材料としては、内部電極3と同じ材料を使用するこ
とができる。又、銀、パラジウム、銀−パラジウム合
金、銅、銅合金などが使用可能であり、又、これらの金
属粉末にB2 3 −SiO2 −BaO系ガラス、Li2
O−SiO2 −BaO系ガラスなどのガラスフリットを
添加したものも使用されるが、積層セラミックコンデン
サの使用用途、使用場所などを考慮に入れて、適当な材
料が選択される。
【0023】なお、外部電極5は、通常、材料となる金
属粉末ペーストを焼成後の積層体1に塗布して焼き付け
ることで得るが、焼成前の積層体に塗布して積層体の焼
成と同時に形成してもよい。
【0024】その後、外部電極5上にニッケル、銅など
のめっきを施し、めっき被膜6を形成する。最後に、こ
のめっき被膜6の上にはんだ、錫などのめっき被膜7を
形成し、チップ型の積層セラミックコンデンサを得る。
【0025】(実施例)まず、表1に示す種類と割合
(モル部)の出発原料に、適当量の有機溶媒を加え、2
mmφのジルコニアの粉砕メディアを有する樹脂製ポッ
ト内で混合粉砕した。なお、試料番号毎の出発原料の詳
細は次の通りである。
【0026】
【表1】
【0027】即ち、試料番号1では、加水分解法で作製
した平均粒径0.2μmのチタン酸バリウム(BaTi
3 )と、同じく加水分解法で作製したチタン酸バリウ
ム(BaTiO3 )とジルコン酸バリウム(BaZrO
3 )をモル比7/3で混合した後仮焼して得た平均粒径
0.2μmのチタン酸ジルコン酸バリウム{Ba(Z
r,Ti)O3 }と、混合粉砕時の有機溶媒に可溶のM
n化合物を出発原料とした。
【0028】又、試料番号2では、加水分解法で作製し
た平均粒径0.2μmのチタン酸バリウム(BaTiO
3 )と、同じく加水分解法で作製した平均粒径0.2μ
mチタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )と、混合粉
砕時の有機溶媒に可溶のMn化合物及びMg化合物を出
発原料とした。
【0029】又、試料番号3では、水熱合成法で作製し
た平均粒径0.3μmのチタン酸ストロンチウム(Sr
TiO3 )と、同じく水熱合成法で作製した平均粒径
0.2μmのチタン酸カルシウム(CaTiO3 )と、
微粉砕した炭酸マンガンを出発原料とした。
【0030】又、試料番号4では、加水分解法で作製し
た平均粒径0.1μmのチタン酸バリウム(BaTiO
3 )と、同じく加水分解法で作製したチタン酸バリウム
(BaTiO3 )とジルコン酸バリウム(BaZr
3 )をモル比7/3で混合した後仮焼して得た平均粒
径0.2μmのチタン酸ジルコン酸バリウム{Ba(Z
r,Ti)O3 }と、混合粉砕時の有機溶媒に可溶のM
n化合物及びLi−Ba−Si化合物を出発原料とし
た。
【0031】又、試料番号5では、炭酸バリウム、酸化
チタン、酸化ジルコニウムをBa/(Ti+Zr)のモ
ル比が1であってTi/Zrが7/3のモル比になるよ
うに混合し仮焼した後粉砕して作製した、固相法による
平均粒径0.2μmのチタン酸ジルコン酸バリウム{B
a(Zr,Ti)O3 }と、水熱合成法で作製した平均
粒径0.2μmのチタン酸カルシウム(CaTiO3
と、混合粉砕時の有機溶媒に可溶のMg化合物及びMn
化合物と、微粉砕したLi−Ba−Siガラス粉末を出
発原料とした。
【0032】又、試料番号6では、炭酸バリウムと酸化
チタンをBa/Tiのモル比が1となるように混合し仮
焼した後粉砕して作製した、固相法による平均粒径0.
25μmのチタン酸バリウム(BaTiO3 )と、水熱
合成法で作製した平均粒径0.3μmのチタン酸ストロ
ンチウムと、水熱合成法で作製した平均粒径0.2μm
のチタン酸カルシウム(CaTiO3 )と、混合粉砕時
の有機溶媒に可溶のNi化合物、Mn化合物及びB−B
a−Si化合物を出発原料とした。
【0033】なお、上記有機溶剤に可溶の化合物とは、
それぞれ金属のアルコキシド、アセチルアセトネート又
は金属石鹸のことである。
【0034】次に、この混合粉砕物に有機バインダを所
定量添加しスラリーを作製し、ドクターブレードにより
有機フィルム上に焼成後2μmになるような薄層のセラ
ミックグリーンシートを得た。
【0035】次に、得られたセラミックグリーンシート
上にNiを主体とした導電層を印刷法で形成した。その
後、導電層が形成されたセラミックグリーンシートを導
電層が引き出される側が互い違いとなるように6枚積層
し、内部電極を有しないセラミックグリーンシートに挟
んで、積層体とした。
【0036】その後、この積層体をN2 雰囲気中で加熱
してバインダを飛ばした後、還元雰囲気中で表1に示す
焼成温度で焼成してセラミック焼結体を得た。
【0037】そして、最後にガラスフリットを添加した
Agペーストを塗布して焼き付けて、内部電極と電気的
に接続された外部電極を形成して、非還元性誘電体セラ
ミックをセラミック層とした積層セラミックコンデンサ
を完成させた。
【0038】(比較例)まず、表2に示す種類と割合
(モル部)の出発原料に、適当量の有機溶媒を加え、2
mmφのジルコニアの粉砕メディアを含む樹脂ポット内
で混合粉砕した。なお、試料番号毎の出発原料の詳細は
次の通りである。
【0039】
【表2】
【0040】即ち、試料番号7では、水熱合成法で作製
した平均粒径0.5μmのチタン酸バリウム(BaTi
3 )と、加水分解法で作製したチタン酸バリウム(B
aTiO3 )とジルコン酸バリウム(BaZrO3 )を
モル比7/3で混合した後仮焼して得た平均粒径0.2
μmのチタン酸ジルコン酸バリウム{Ba(Zr,T
i)O3 }と、混合粉砕時の有機溶媒に可溶のMn化合
物及びB−Ba−Si化合物を出発原料とした。
【0041】又、試料番号8では、水熱合成法で作製し
た平均粒径0.1μmのチタン酸バリウムと、水熱合成
法で作製したチタン酸バリウム(BaTiO3 )とジル
コン酸バリウム(BaZrO3 )をモル比7/3で混合
した後仮焼して得た平均粒径0.1μmのチタン酸ジル
コン酸バリウム{Ba(Zr,Ti)O3 }と、混合粉
砕時の有機溶媒に可溶のMn化合物を出発原料とした。
【0042】又、試料番号9では、炭酸バリウムと酸化
チタンをBa/Tiのモル比が1になるように混合し仮
焼した後粉砕して作製した、固相法による平均粒径0.
25μmのチタン酸バリウム(BaTiO3 )と、水熱
合成法で作製した平均粒径0.3μmのチタン酸ストロ
ンチウムと、水熱合成法で作製した平均粒径0.2μm
のチタン酸カルシウム(CaTiO3 )と、混合粉砕時
の有機溶媒に可溶のMn化合物及びB−Ba−Si化合
物を出発原料とした。
【0043】又、試料番号10では、炭酸バリウム、酸
化チタン、酸化ジルコニウムをBa/(Ti+Zr)の
モル比が1であってTi/Zrが7/3のモル比になる
ように混合し仮焼した後粉砕して作製した、固相法によ
る平均粒径0.2μmのチタン酸ジルコン酸バリウム
{Ba(Zr,Ti)O3 }と、水熱合成法で作製した
平均粒径0.2μmのチタン酸カルシウム(CaTiO
3 )と、混合粉砕時の有機溶媒に可溶のMn化合物と、
微粉砕したLi−Ba−Siガラス粉末を出発原料とし
た。
【0044】その後、表2に示す焼成温度で、その他は
実施例と同様にして、非還元性誘電体セラミックをセラ
ミック層とした積層セラミックコンデンサを完成させ
た。
【0045】次に、得られた実施例及び比較例の各積層
セラミックコンデンサについて、セラミック層の粒子及
び粒界を観察した。即ち、積層セラミックコンデンサを
破断して熱エッチングした面を走査型電子顕微鏡で観察
し、写真から粒子径を求めた。又、粒界を透過型電子顕
微鏡で観察し、粒界相の有無とその厚みを求めた。以上
の結果を表1、2に示す。
【0046】又、セラミック層の粒子及び粒界の組成を
透過型分析電子顕微鏡で分析したところ、個々の粒子内
では一様な組成を有し、かつ組成の異なる2種類以上の
粒子が確認された。又、粒子と粒界相でも構成成分が異
なることが確認された。又、セラミックの粒子の構造を
透過型電子顕微鏡で観察したところ、個々の粒子内では
コアシェルなどの構造を示さず一様な結晶構造を有して
いることが確認された。
【0047】次に、得られた積層セラミックコンデンサ
の電気的特性を求めた。即ち、静電容量及び誘電損失を
周波数1kHz、電圧1Vrms、温度25℃で測定
し、静電容量から誘電率を算出した。又、25℃で10
Vの直流電圧を印加して絶縁抵抗を測定し、比抵抗を求
めた。又、温度変化に対する静電容量(即ち、誘電率)
の変化率を、25℃を基準とした85℃及び125℃で
の変化率として求めた。さらに、3kV/mmの直流バ
イアスを印加したときの静電容量(即ち、誘電率)の変
化率を、バイアス印加なしを基準として求めた。これら
の結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】以上の観察及び分析結果から明らかなよう
に、本発明の実施例のセラミック誘電体は、最大粒子径
が0.5μm以下、平均粒子径が0.1〜0.3μmで
あって、個々の粒子内で一様な組成及び結晶系を示し、
かつ組成の異なる2種類以上の粒子からなっている。
又、試料番号4〜6においては、粒子とは構成成分が異
なる厚さ0.5〜5.0nmの粒界相を有している。
【0050】そして、このような構造を有する本発明の
非還元性誘電体セラミックは、積層セラミックコンデン
サとしたときに、125℃での誘電率の変化率が15%
未満と、X7R特性を満足する誘電率温度特性を示す。
又、直流バイアスを印加したときの誘電率変化は20%
未満と小さく良好である。
【0051】これに対して、試料番号7、8、10に示
すように、平均粒子径が0.3μmを超え最大粒子径が
0.5μmを超えると、直流バイアスを印加したときの
誘電率の変化率が20%を超えて大きくなり、好ましく
ない。さらに、試料番号7、8の場合は、誘電損失が5
%を超えて大きくなり、温度による誘電率の変化率が1
5%を超えて大きくなっている。
【0052】又、試料番号9に示すように、粒界相の厚
さが5.0nmを超える場合は、温度による誘電率の変
化率、直流バイアスを印加したときの誘電率の変化率に
は問題ないが、誘電率が低下するため好ましくない。
【0053】又、上記各試料について、温度150℃で
直流電圧18Vを1000時間連続印加する信頼性試験
を行なったところ、本発明の実施例品は絶縁抵抗などの
特性の劣化は見られなかった。これに対して、比較例の
試料番号7、8のものは、粒子径が大きいために、絶縁
抵抗が劣化するものが見られ信頼性に問題があった。な
お、上記実施例では、混合粉砕時に有機溶剤を使用して
いるため、有機溶剤に可溶性の化合物として、各金属の
アルコキシド、アセチルアセトネート又は金属石鹸を用
いているが、混合粉砕時に溶媒として水を用いた場合に
は、硝酸塩、酢酸塩、硼酸塩、塩化物などの水溶性化合
物を適宜用いることができる。
【0054】又、上記実施例では還元雰囲気中で焼成し
ているが、空気中雰囲気で焼成すると、セラミックの粒
子成長が進行し、特に、温度による誘電率の変化率及び
直流バイアス印加時の誘電率の変化率が大きくなり、好
ましくない。
【0055】又、上記実施例では、外部電極としてAg
を用いているが、外部電極に卑金属を用いる方が、卑金
属である内部電極との電気的接合性に優れたものとな
り、より好ましい。
【0056】又、上記実施例において、試料番号1、2
についてはBaTiO3 のBaとTiのモル比を化学量
論比からずらした組成のものについても確認し、又、試
料番号3についてはSrTiO3 のSrとTiのモル比
を化学量論比からずらした組成のものについても確認し
たが、共に焼結性及び焼結体特性に特に大きな差は認め
られなかった。
【0057】さらに、上記実施例では、積層セラミック
部品が積層セラミックコンデンサの場合について示した
が、多層セラミック基板などの他の積層セラミック部品
の場合においても、良好な特性を示すことが確認されて
いる。
【0058】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
示す構造を有する非還元性誘電体セラミックは、誘電率
の温度特性及び電界特性が優れる。
【0059】したがって、この非還元性誘電体セラミッ
クを誘電体とし、この誘電体セラミックの間及び表面に
に卑金属からなる導体を形成することにより、積層セラ
ミックコンデンサ、多層基板などの積層セラミック電子
部品の小型化、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である積層セラミックコンデ
ンサの断面図である。
【符号の説明】
1 積層体 2、4 誘電体セラミック 3 内部電極 5 外部電極 6、7 めっき被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 3/46 H05K 3/46 H T (56)参考文献 特開 平7−69634(JP,A) 特開 平7−37749(JP,A) 特開 昭63−257110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35 H01B 3/00 H01G 4/12,4/30 H05K 3/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大粒子径が0.5μm以下、平均粒子
    径が0.1〜0.3μmで表される複数の粒子からなる
    焼結体であって、前記複数の粒子は、個々の粒子内で一
    様な組成及び結晶系を示し、かつ組成の異なる2種類以
    上の粒子からなることを特徴とする、非還元性誘電体セ
    ラミック。
  2. 【請求項2】 前記粒子の粒界に前記粒子とは構成成分
    が異なる厚さ5nm以下の粒界相が存在することを特徴
    とする、請求項1記載の非還元性誘電体セラミック。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2記載の非還元
    性誘電体セラミックをセラミック層の積層体とし、該積
    層体のセラミック層の間に卑金属からなる導体が形成さ
    れていることを特徴とする、積層セラミック電子部品。
  4. 【請求項4】 前記請求項1又は請求項2記載の非還元
    性誘電体セラミックをセラミック層の積層体とし、該積
    層体のセラミック層の間に卑金属からなる内部導体が形
    成されており、前記積層体の表面に、前記内部導体と電
    気接続する卑金属からなる外部導体が形成されているこ
    とを特徴とする、積層セラミック電子部品。
JP05180196A 1996-03-08 1996-03-08 非還元性誘電体セラミック及びそれを用いた積層セラミック電子部品 Expired - Lifetime JP3146967B2 (ja)

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