JP2004292186A - 誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】静電容量の温度特性が良好で、内部電極材料としてニッケル等の卑金属を用いることができ、還元性雰囲気中で焼成可能な、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を構成するのに適した誘電体セラミックを提供する。
【解決手段】一般式(Ba1−xCaTiO+αBaO+βCaO+γMnO+δMgO+εSiO+ζReで表わされる誘電体セラミック。但し、Reは希土類元素であり、0.04≦x≦0.20、0.990≦m≦1.035、0.001≦α≦0.038、0.001≦α+β≦0.076、0.0001≦γ≦0.05、0.001≦δ≦0.025、0.002≦ε≦0.08、0.001≦ζ≦0.05の範囲内にある。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばニッケルまたはニッケル合金のような卑金属からなる内部電極を有する積層セラミックコンデンサにおいて有利に用いられる誘電体セラミック、および、この誘電体セラミックを用いて構成された積層セラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体セラミック層と内部電極金属とが積層された状態となっている積層体を備えている。このような積層セラミックコンデンサにおいて、最近では、コスト低減のため、内部電極となる金属として、高価な貴金属であるAgやPdに代わって、安価な卑金属であるNiなどが用いられることが多い。
【0003】
Ni等を内部電極に用いる場合には、Ni等が酸化されない還元性雰囲気で焼成する必要がある。しかしながら、還元性雰囲気下での焼成では、チタン酸バリウムからなるセラミックは、通常、還元されて半導体化するので好ましくない。
【0004】
この問題を解決するため、たとえば、特許文献1に示されるように、チタン酸バリウム固溶体における、バリウムサイト/チタンサイトの比を化学量論比より過剰にした誘電体材料の非還元化技術が開発されている。これ以来、Ni等を内部電極とした積層セラミックコンデンサの実用化が可能となり、その生産量も拡大している。
【0005】
【特許文献1】
特公昭57−42588号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、電子部品の小型化が急速に進行し、積層セラミックコンデンサにおいても、小型化、大容量化の傾向が顕著である。また、このような積層セラミックコンデンサに対しては、上述の静電容量の増大ばかりでなく、静電容量の温度安定性も求められており、温度特性のよい高誘電率材料として多くの材料が提案され、実用化されている。
【0007】
これらの材料は、いずれもBaTiOを主成分とするもので、これに希土類元素を添加し、焼結する過程で添加成分をBaTiO粒子に拡散させている。得られた焼結体の個々の粒子は、添加成分が拡散していないコア部と添加成分が拡散したシェル部とからなるコアシェル構造をとることが知られており、平坦な誘電率温度特性は、誘電率の温度特性の異なるコア部とシェル部との重ね合わせによって与えられる。
【0008】
このような材料が提供されたことによって、静電容量の温度変化の少ない、また高容量の積層セラミックコンデンサが実現され、市場拡大に貢献している。
【0009】
しかしながら、このコアシェル構造は、セラミックの焼結過程における添加成分の拡散の制御によって達成されるものであり、添加成分が過剰になると、平坦な温度特性が得られない。他方、添加成分の拡散が不十分であれば、信頼性に劣る。すなわち、上述した材料では、工業的に焼結と添加成分の拡散の安定した制御は比較的難しく、得られる誘電率の温度特性も不安定である。
【0010】
さらに、前述したような積層セラミックコンデンサの小型大容量化の要求を満たすため、積層体に備える誘電体セラミック層をさらに薄層化し、かつ多層化する必要が生じてきている。しかしながら、薄層化した場合、内部電極間のセラミック粒子の個数が少なくなり、信頼性の低下が著しいため、薄層化には限界がある。そこで、セラミック粒子の粒径を小さくし、信頼性が高い材料の開発が望まれている。
【0011】
しかしながら、従来のコアシェル構造を持った材料では、セラミック粒子の粒径を小さくすると、添加成分の拡散が増大し、平坦な温度特性の確保が比較的困難になる。
【0012】
以上のことから、コアシェル構造を持った材料を用いて、積層セラミックコンデンサの十分な薄層化や高い温度までの誘電率の十分な安定化を図ることは、実質的に困難あるいは不可能であるのが現状である。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる誘電体セラミックは、添加成分の拡散によるコアシェル構造を持たない材料であり、そのため、誘電率の温度特性や信頼性が、焼成条件の影響を受けにくい材料である。また、この発明に係わる誘電体セラミックを用いて積層セラミックコンデンサを製造すると、薄層化した場合においても、静電容量の温度特性に関して、JIS規格で規定するB特性を満足させることができ、高い信頼性を実現することができる。
【0015】
より具体的に、この発明の誘電体セラミックは、一般式:(Ba1−xCaTiO+αBaO+βCaO+γMnO+δMgO+εSiO+ζRe(但し、Reは、Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる少なくとも1種以上)で表わされ、x、m、α、β、γ、δ、ε、ζが0.04≦x≦0.20、0.990≦m≦1.035、0.001≦α≦0.038、0.001≦α+β≦0.076、0.0001≦γ≦0.05、0.001≦δ≦0.025、0.002≦ε≦0.08、0.001≦ζ≦0.05の範囲内(ただし、α、β、γ、δ、ε、ζはモル比)にあることを特徴とする。
【0016】
また、この発明の積層セラミックコンデンサは、複数の積層された誘電体セラミック層を有する積層体と、該積層体の端面上の互いに異なる位置に設けられた複数の外部電極とを備え、前記積層体の内部には、複数の内部電極が、いずれかの前記外部電極に電気的に接続されるように、前記誘電体セラミック層間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成されている、積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミック層が上述の誘電体セラミックからなることを特徴とする。
【0017】
そして、上述の内部電極は、好ましくは、ニッケルまたはニッケル合金を含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記外部電極は、好ましくは、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層からなることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記外部電極は、好ましくは、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導電性金属粉末焼結層からなる層と、該層上に形成された少なくとも1層以上のめっき層からなることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明に係わる誘電体セラミックは、前述したように、一般式(Ba1−xCaTiO+αBaO+βCaO+γMnO+δMgO+εSiO+ζRe(但し、Reは、Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる少なくとも1種以上)で表わされるものである。ただし、x、m、α、β、γ、δ、ε、ζは、0.04≦x≦0.20、0.990≦m≦1.035、0.001≦α≦0.038、0.001≦α+β≦0.076、0.0001≦γ≦0.05、0.001≦δ≦0.025、0.002≦ε≦0.08、0.001≦ζ≦0.05(ただし、α、β、γ、δ、ε、ζはモル比)である。
【0021】
このような誘電体セラミックは、還元性雰囲気中で焼成しても半導体化することなく焼結することができる。また、この誘電体セラミックを用いることにより、静電容量の温度特性がJIS規格で規定するB特性を満足し、絶縁抵抗が高く、信頼性の高い積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0022】
このような誘電体セラミックの原料粉末の製造方法としては、上述したような(Ba1−xCaTiOで表わされる化合物を実現するものであれば、どのような製造方法であってもよい。
【0023】
例えば、BaCOとTiOとCaCOとを混合する工程と、この混合物を熱処理することによりBaCOとTiOとCaCOとを反応させる工程によって、(Ba1−xCaTiOで表わされる化合物を製造することができる。
【0024】
また、(Ba1−xCaTiOで表わされる化合物と、添加成分であるBa、Ca、Mg、Mn、Si、Re(Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる一種以上)の各酸化物とを混合する工程により、誘電体セラミックの原料粉末を製造することができる。
【0025】
また、(Ba1−xCaTiOで表わされる化合物の製造は、水熱合成法、加水分解法、あるいはゾルゲル法などの湿式合成を用いることもできる。
【0026】
また、添加成分であるBa、Ca、Mg、Mn、Si、Re(Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる1種以上)の各酸化物は、本発明に係わる誘電体セラミックを構成できるものであれば、酸化物粉末に限らず、アルコキシドや有機金属などの溶液や、炭酸化物を用いてもよく、これらによって得られる特性は何ら損なわれるものではない。
【0027】
このような原料粉末を焼成することによって、誘電体セラミックが得られる。上述した誘電体セラミックは、たとえば、図1に示すような積層セラミックコンデンサ1を製造するために用いられる。
【0028】
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。積層セラミックコンデンサ1は、複数の積層された誘電体セラミック層3を有する積層体2と、この積層体2の第一および第二の端面6および7上にそれぞれ設けられる第1および第2の外部電極8および9とを備える。積層セラミックコンデンサ1は、全体として直方体形状のチップタイプの電子部品を構成する。
【0029】
積層体2の内部には、第1の内部電極4と第2の内部電極5とが交互に配置される。第1の内部電極4は、第1の外部電極8に電気的に接続されるように、各端縁を第1の端面6に露出させた状態で誘電体セラミック層3間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成され、第2の内部電極5は、第2の外部電極9に電気的に接続されるように、各端縁を第2の端面7に露出させた状態で誘電体セラミック層3間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される。
【0030】
このような積層セラミックコンデンサ1において、その積層体2に備える誘電体セラミック層3が、前述したような誘電体セラミックから構成される。
外部電極8および9の各上には、ニッケル、銅などからなる第1のめっき層10および11が形成され、さらにその上には、半田、錫などからなる第2のめっき層12および13が形成されてもよい。
【0031】
次に、この積層セラミックコンデンサ1の製造方法について製造工程順に説明する。
【0032】
まず、前述したような誘電体セラミック原料粉末を用意し、これをスラリー化し、このスラリーをシート状に成形して、誘電体セラミック層3のためのセラミックグリーンシートを得る。
【0033】
次いで、中間部に位置する誘電体セラミック層3となるセラミックグリーンシートの各一方主面上に、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等を導電性成分として含む内部電極4および5を形成する。これら内部電極4および5は、スクリーン印刷法などの印刷法や、転写法等により、内部電極が形成できれば、どのような製造方法によって形成されてもよい。
【0034】
次いで、上述のように内部電極膜を形成したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して、内部電極4および5の各端縁を端面6または7に露出させた、生の状態の積層体2を作製する。
次いで、この生の積層体を、所定の還元性雰囲気中で所定の温度にて焼成し積層体2を得る。
【0035】
次に、積層体2の両端面上に、内部電極4および5の特定のものと電気的に接続されるように、外部電極8および9を形成する。この外部電極8および9の材料としては、内部電極4および5と同じ材料、たとえば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金を使用することができるが、それら以外に、銀、パラジウム、銀―パラジウム合金なども使用可能である。またこれらの金属粉末に、B−SiO−BaO系ガラス、LiO−SiO−BaO系ガラスなどのガラスフリットを添加したものも使用されるが、積層セラミックコンデンサ1の用途を考慮に入れて適当な材料が選択される。
【0036】
また、外部電極8および9は、典型的には、材料となる金属粉末ペーストを、焼成により得た積層体2に塗布して、焼き付けることによって形成されるが、焼成前に塗布して、積層体2を得るための焼成と同時に焼き付けることによって形成されてもよい。
【0037】
その後、外部電極8および9の各々上に、ニッケル、銅などのめっきを施し、第1のめっき層10および11を形成する。最後に、この第1のめっき層10および11の上に、半田、錫などの第2のめっき層12および13を形成し、積層セラミックコンデンサ1を完成させる。
【0038】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層2が、前述した誘電体セラミックから構成される。
【0039】
また、積層コンデンサの内部電極に含まれるニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等が、焼成工程において積層体を構成する誘電体セラミック中に拡散する場合もあるが、この発明に係わる誘電体セラミック組成によれば、これら導電性成分が拡散しても、その電気的特性に影響がないことも確認している。
【0040】
次に、この発明をより具体的な実施例に基づき説明する。なお、言うまでもないが、この発明の範囲内における実施可能な形態は、次のような実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
この実施例において作製しようとする積層セラミックコンデンサは、図1に示すような構造の積層セラミックコンデンサ1である。
【0042】
まず、出発原料として、高純度のTiO、BaCO、およびCaCOを準備して、表1に示すようなCaの含有量となるように秤量した後、混合粉砕した。乾燥後、粉末を1000℃以上の温度で加熱し、表1に示す平均粒径0.20μmの(Ba,Ca)TiO粉末を合成した。
【0043】
【表1】
Figure 2004292186
【0044】
また、BaCO粉末、CaCO粉末、MgCO粉末、MnCO粉末、SiO粉末、およびRe粉末(但し、Reは、Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる少なくとも1種以上)を準備する。
【0045】
次に、これらの原料粉末を、表2〜表5に示す組成になるように配合し、配合物を得た。さらに、前記配合物を、1000〜1050℃で2時間熱処理を行い、仮焼物を得た。この仮焼物にポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを調製した。このセラミックススラリーをドクターブレード法によりシート成形し、厚み2.8μmの短形のグリーンシートを得た。次に、このセラミックグリーンシート上に、Niを主体とする導電性ペーストを印刷し、内部電極を構成するための導電性ペースト膜を形成した。
【0046】
【表2】
Figure 2004292186
【0047】
【表3】
Figure 2004292186
【0048】
【表4】
Figure 2004292186
【0049】
【表5】
Figure 2004292186
【0050】
次いで、セラミックグリーンシートを、上述の導電性ペースト膜の引き出されている側が互い違いとなるように複数枚積層し、積層体を得た。この積層体を、N2雰囲気にて350℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10−9〜10−12MPaのH−N―HOガスからなる還元雰囲気中において表6〜表8に示す温度で2時間焼成した。
【0051】
焼成後の積層体の両端面にB−SiO―BaO系のガラスフリットを含有する銀ペーストを塗布し、N雰囲気中において600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
【0052】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅が5.0mm、長さが5.7mm厚さが2.4mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みが2.0μmであった。また、有効誘電体セラミック層の層数は5であり、1層あたりの対抗電極の面積は16.3×10−6であった。
【0053】
これら得られた試料について電気的特性を測定した。
【0054】
静電容量(C)および誘電損失(tanδ)は自動ブリッジ式測定器を用い、JIS規格5102に従って測定し、得られた静電容量から誘電率(ε)を算出した。
【0055】
また、絶縁抵抗(R)を測定するために、絶縁抵抗計を用い、10Vの直流電圧を2分間印加して25℃で絶縁抵抗(R)を求め、比抵抗を算出した。
【0056】
温度変化に対する静電容量の変化率については、25℃での静電容量を基準とした−25℃〜+85℃の範囲での変化率(ΔC/C25℃)を求めた。
【0057】
また、高温負荷試験として、温度150℃にて直流電圧を20V印加して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。なお高温負荷試験は、各試料の絶縁抵抗値(R)が10Ω以下になったときを故障とし、平均故障時間を評価した。
【0058】
また、セラミック粒子の構造について、焼成後の誘電体セラミック部を、Arイオンミリングを施して薄片化した後、高分解能電子顕微鏡を用い、倍率40万倍にて、観察した。
【0059】
以下の各結果が表6〜表8に示されている。
【0060】
【表6】
Figure 2004292186
【0061】
【表7】
Figure 2004292186
【0062】
【表8】
Figure 2004292186
【0063】
前述した各特性の好ましい範囲は、誘電率については、2500以上であり、誘電損失については、5.0%以下であり、容量温度変化率における20℃での静電容量を基準とした−25℃〜+85℃の範囲での変化率については、±10%以内である。比抵抗については、13.0Ω・cm以上であり、高温負荷での故障に至るまでの時間は、100時間以上である。
【0064】
表1〜表8において、試料番号に*を付したものは、本発明の組成範囲から外れた試料である。
【0065】
以下に、本発明の組成範囲を限定した理由について説明する。
【0066】
試料1のように、Caの添加量xが0.04未満の場合には、高温負荷での故障に至るまでの時間が短くなることがある。一方、試料2のようにCaの添加量xが0.20を超える場合には、誘電率が小さく、静電容量の温度変化が大きくなることがある。
【0067】
また、試料3のように(Ba+Ca)/Ti比mが、0.990未満の場合には、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。一方、試料4のように、(Ba+Ca)/Ti比mが1.035を超える場合には、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。
【0068】
また、試料5〜6のように、BaOの添加量αが0.001未満の場合、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。一方、試料7のように、BaOの添加量αが0.038を超える場合には、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。
【0069】
また、試料8のように、BaOの添加量αとCaOの添加量βとの合計α+βが0.076を超える場合には、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。
【0070】
また、試料9のように、MnOの添加量γが0.0001未満の場合、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。また、試料10のように、MnOの添加量βが0.05を超える場合、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低くなる。
【0071】
また、試料11のように、MgOの添加量δが0.001未満の場合、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。また、試料12のように、MgOの添加量δが0.025を超える場合、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。
【0072】
また、試料13のように、SiOの添加量εが0.002未満の場合、焼結が不十分であり、誘電率が低く、tanδが大きく、静電容量の温度変化が大きく、比抵抗が低く、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。また、試料14のように、SiOの添加量εが0.08を超える場合、静電容量の温度変化が大きく、高温負荷での故障に至るまでの時間が短い。
【0073】
また、試料15〜22のように、Reの添加量ζが0.001未満の場合、高温負荷での故障に至るまでの時間が著しく短くなることがあり、高温で電圧を印加した瞬間に故障するものがある。また、試料23〜29のように、Reの添加量ζが0.05を超える場合、静電容量の温度変化が大きくなる。
【0074】
一方、試料30〜84のように、本発明の組成範囲内にあれば、誘電率は2500以上であり、誘電損失は5.0%以下であり、温度に対する静電容量の変化率が±10%以内とJIS規格に規定するB特性を満足し、比抵抗は13.0Ω・cm以上であり、高温負荷試験での平均寿命時間は100時間を超え、信頼性に優れ、焼成温度も1200℃以下の温度で焼成可能である。また、試料30〜84のように、本発明の組成範囲内にあれば、焼成後の誘電体セラミック部を、高分解能電子顕微鏡で観察したところ、コアシェル構造を有する粒子はみられず、ドメイン構造が端まで形成されていた。
【0075】
【発明の効果】
この発明に係わる誘電体セラミックによれば、誘電率の温度特性がよく、信頼性の高い誘電体材料とすることができる。また、この誘電体セラミックは、これを得るため、還元性雰囲気で焼成しても、半導体化せず高い比抵抗が得られるので、この誘電体セラミックを用いて、この発明に係わる積層セラミックコンデンサを構成すると、内部電極として卑金属であるニッケルおよびニッケル合金を用いることができ、積層セラミックコンデンサのコストダウンを図ることができる。
【0076】
この発明に係わる誘電体セラミックによれば、コアシェル構造に基づき誘電率の温度特性を平坦化するのではなく、組成物本来の温度特性に基づき誘電率の温度特性の平坦化を図るので、焼成温度による誘電率の温度特性の変動を少なくすることができる。そのため、この誘電体セラミックを用いて得られた、この発明に係わる積層セラミックコンデンサは、特性のバラツキが小さく、誘電率の温度特性が安定でかつ優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 誘電体セラミック層
4、5 内部電極
8、9 外部電極

Claims (5)

  1. 一般式:(Ba1−xCaTiO+αBaO+βCaO+γMnO+δMgO+εSiO+ζRe(但し、Reは、Sc、La、Ce、Nd、Sm、TmおよびLuの中から選ばれる少なくとも1種以上)で表わされ、x、m、α、β、γ、δ、ε、ζが0.04≦x≦0.20、0.990≦m≦1.035、0.001≦α≦0.038、0.001≦α+β≦0.076、0.0001≦γ≦0.05、0.001≦δ≦0.025、0.002≦ε≦0.08、0.001≦ζ≦0.05の範囲内(ただし、α、β、γ、δ、ε、ζはモル比)にあることを特徴とする、誘電体セラミック。
  2. 複数の積層された誘電体セラミック層を有する積層体と、該積層体の端面上の互いに異なる位置に設けられた複数の外部電極とを備え、前記積層体の内部には、複数の内部電極が、いずれかの前記外部電極に電気的に接続されるように、前記誘電体セラミック層間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成されている、積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミック層が請求項1に記載の誘電体セラミックからなることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記内部電極は、ニッケルまたはニッケル合金を含むことを特徴とする、請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記外部電極は、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層からなることを特徴とする、請求項2または3に記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記外部電極は、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層からなる層と、該層上に形成された少なくとも1層以上のめっき層からなることを特徴とする、請求項2〜4のうちのいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
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