JP3106584B2 - 掛算回路 - Google Patents

掛算回路

Info

Publication number
JP3106584B2
JP3106584B2 JP22883891A JP22883891A JP3106584B2 JP 3106584 B2 JP3106584 B2 JP 3106584B2 JP 22883891 A JP22883891 A JP 22883891A JP 22883891 A JP22883891 A JP 22883891A JP 3106584 B2 JP3106584 B2 JP 3106584B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transistor
collector
signal
transistors
emitter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22883891A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0546792A (ja
Inventor
浩 猪瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP22883891A priority Critical patent/JP3106584B2/ja
Publication of JPH0546792A publication Critical patent/JPH0546792A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3106584B2 publication Critical patent/JP3106584B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アナログ信号を掛算し
て、その結果を出力する掛算回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来の掛算回路を示す回路図で
ある。
【0003】従来の掛算回路は、一般的に、この図3に
示すようにダブルバランスミキサー回路が使用されてい
る。即ち、トランジスタQ31,Q32は相互に同一の特性
を有するペアトランジスタであり、この2つのトランジ
スタで差動増幅回路を構成している。このトランジスタ
31,Q32の各エミッタは相互に接続されており、この
相互接続点と電源VCCの負極との間には定電流源I31
介装されている。また、トランジスタQ33,Q34も相互
に同一の特性を有するペアトランジスタであり、この2
つのトランジスタで差動増幅回路を構成している。更
に、トランジスタQ35,Q36も相互に同一の特性を有す
るペアトランジスタであり、この2つのトランジスタで
差動増幅回路を構成している。そして、トランジスタQ
31のコレクタはトランジスタQ33,Q34のエミッタに接
続されており、トランジスタQ32のコレクタはトランジ
スタQ35,Q36のエミッタに接続されている。
【0004】トランジスタQ33,Q35の各コレクタは相
互に接続されており、この相互接続点は電源VCCの正極
に接続されている。また、トランジスタQ34,Q36のコ
レクタは相互に接続されており、この相互接続点は出力
端子11に接続されている。この出力端子11と電源V
CCの正極との間には、抵抗RL31(抵抗値RL)が介装
されている。
【0005】また、トランジスタQ33,Q36の各ベース
は相互に接続されており、トランジスタQ34,Q35の各
ベースは相互に接続されている。
【0006】信号源5,6は電源V2 に重畳されており
(即ち、バイアスされており)、信号v1 及びこの信号
1 の逆相信号−v1 を夫々トランジスタQ31及びトラ
ンジスタQ32のベースに与えるようになっている。ま
た、信号源3,4は電源V1 に重畳されており、信号v
2 及びこの信号v2 の逆相信号−v2 を夫々トランジス
タQ33,Q36のベース及びトランジスタQ34,Q35のベ
ースに与えるようになっている。
【0007】この掛算回路は、信号v1 と信号v2 とを
掛算して、その結果を出力端子11から出力する。
【0008】以下に、上述の掛算回路の動作を数式を用
いて説明する。
【0009】トランジスタQ31のコレクタ電流をi1
トランジスタQ32のコレクタ電流をi2 、トランジスタ
31,Q32で構成された差動増幅回路の相互コンダクタ
ンスをgm1とすると電流i1 ,i2 は夫々下記数式1,
2で表される。
【0010】
【数1】i1 =(I1 /2)+2gm11
【0011】
【数2】i2 =(I1 /2)−2gm11
【0012】トランジスタQ33のコレクタ電流をi3
トランジスタQ34のコレクタ電流をi4 、トランジスタ
35のコレクタ電流をi5 、トランジスタQ36のコレク
タ電流をi6 とし、トランジスタQ33,Q34及びトラン
ジスタQ35,Q36で構成される各差動増幅回路の相互コ
ンダクタンスを夫々gm2,gm3とすると、電流i3 ,i
4 ,i5 ,i6 は下記数式3乃至6に示すように表すこ
とができる。
【0013】
【数3】i3 =(1/2)i1 +2gm22
【0014】
【数4】i4 =(1/2)i1 −2gm22
【0015】
【数5】i5 =(1/2)i2 −2gm32
【0016】
【数6】i6 =(1/2)i2 +2gm32
【0017】負荷抵抗RL31に流れる電流をiRLとする
と、この電流iRLは下記数式7に示すように表される。
【0018】
【数7】 iRL=i4 +i6 ={(1/2)i1 −2gm22 } +{(1/2)i2 +2gm32 } =(1/2)I1 +2v2 ×(gm3−gm2
【0019】負荷抵抗RL31に流れる電流の変化分をΔ
RLとすると、この変化分ΔiRLは下記数式8に示すよ
うに表される。
【0020】
【数8】 ΔiRL=iRL−(1/2)I1 =2v2 ×(gm3−gm2
【0021】この数式8において、gm2,gm3は夫々g
m2=(q/4kT)i1 ,gm3=(q/4kT)i2
表される。但し、kはボルツマン定数(1.38×10-23
/K)、qは電子の電荷( 1.6×10-19 C)、Tは接合
温度である。従って、数式8は下記数式9に示すように
表される。
【0022】
【数9】 ΔiRL=2v2 ×(q/4kT)×(i1 −i2 ) =(1/2)v2 ×(q/4kT)×(−4gm11
【0023】この数式9において、gm1=(q/4k
T)I1であるから、電流の変化分ΔiRLは下記数式1
0に示すように表すことができる。
【0024】
【数10】 ΔiRL=(1/2)×(q/kT)2 ×I1 ×v1 ×v2
【0025】負荷抵抗RL31の両端から出力信号Δv0
を取り出すとすると、この出力信号Δv0 は下記数式1
1に示すようになる。
【0026】
【数11】 Δv0 =RL×ΔiRL =(1/2)×(q/kT)2 ×I1 ×RL×v1 ×v2
【0027】この数式11に示すように、図3に示す回
路により入力信号v1 ,v2 の掛算出力を得ることがで
きる。また、出力信号の直流電圧v0 は、電源電圧をV
CCとすると、下記数式12に示すようになる。
【0028】
【数12】V0 =VCC−RL×(1/2)I1
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の掛算回路には以下に示す問題点がある。即ち、
従来の掛算回路で取り出すことができる出力信号の最大
振幅Δv0maxを見積もると、例えば定電流源I31を一般
的なカレントミラー回路で構成したとすると、Δv0max
≦VCC−3VCEとする必要がある。ここで、VCCは電源
電圧、VCEはトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧
である。このコレクタ−エミッタ間電圧VCEは、一般的
に、トランジスタが飽和しないために、0.5 V程度必要
であり、安定に動作させるためには1V程度必要であ
る。例えば、VCC=5V、VCE=1Vとすると、出力信
号の最大振幅Δv0maxは下記数式13に示すようにな
る。
【0030】
【数13】Δv0max≦5−3×1=2(V)
【0031】また、入力信号v2 に対する電圧利得をG
V とすると、この電圧利得GV は下記数式14に示すよ
うになる。
【0032】
【数14】GV =RL×(qI1 /4kT)
【0033】この数式14において、RL×I1 は出力
振幅を表すから、電圧利得GV はΔv0maxにより決定さ
れ、下記数式15に示すように、25.7dBになる。
【0034】
【数15】 GV =(q/4kT)×2≒19.2(倍)=25.7(dB)
【0035】この数式15から明らかなように、従来の
掛算回路においては、電圧利得を大きく取りたい場合、
即ち出力信号の振幅を大きく取りたい場合には、電源電
圧を高くする必要があるという欠点がある。換言する
と、従来の掛算回路においては、低電源電圧で使用する
場合(例えば、5V以下の電源電圧で使用する場合)に
は電圧利得が低く、また、出力信号の振幅が小さいた
め、ダブルバランスミキサー回路を構成する各トランジ
スタのベースバイアス電圧を高精度で設定しなければな
らないという問題点がある。特に、半導体集積回路にお
いては、近年、低電源電圧化の要求が高く、前述の問題
点は低電源電圧化の際に大きな障害となる。
【0036】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、低電源電圧動作時においても出力振幅が大
きく、電圧利得が高い掛算回路を提供することを目的と
する。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明に係る掛算回路
は、直流電圧源と、相互に等しい電流を供給する第1、
第2及び第3の定電流源と、同極性の第1及び第2のト
ランジスタのエミッタを共通接続して構成された第1の
差動増幅回路と、前記第1及び第2のトランジスタと同
極性の第3及び第4のトランジスタのエミッタを共通接
続して構成された第2の差動増幅回路と、前記第1及び
第2のトランジスタと逆極性の第5及び第6のトランジ
スタのエミッタを共通接続して構成された第3の差動増
幅回路と、前記第1のトランジスタのコレクタと前記第
3のトランジスタのコレクタとの相互接続点と前記第直
流電圧源との間に介装された第1の抵抗と、前記第2の
トランジスタのコレクタと前記第4のトランジスタのコ
レクタとの相互接続点と前記直流電圧源との間に介装さ
れた第2の抵抗とを有し、前記第1のトランジスタのエ
ミッタと前記第2のトランジスタのエミッタとの相互接
続点は前記第1の定電流源及び前記第5のトランジスタ
のコレクタに接続され、前記第3のトランジスタのエミ
ッタと前記第4のトランジスタのエミッタとの相互接続
点は前記第2の定電流源及び前記第6のトランジスタの
コレクタに接続され、前記第5のトランジスタのエミッ
タと前記第6のトランジスタのエミッタとの相互接続点
は前記第3の定電流源に接続され、前記第5及び第6の
トランジスタの各ベースには夫々第1の信号及びこの第
1の信号の逆相信号である第2の信号が与えられ、前記
第1のトランジスタのベースと前記第4のトランジスタ
のベースとの相互接続点及び前記第2のトランジスタの
ベースと前記第3のトランジスタのベースとの相互接続
点には夫々第3の信号及びこの第3の信号の逆相信号で
ある第4の信号が与えられ、前記第2のトランジスタの
コレクタと前記第4のトランジスタのコレクタとの相互
接続点及び前記第1のトランジスタのコレクタと前記第
3のトランジスタのコレクタとの相互接続点を信号出力
端とすることを特徴とする。
【0038】
【作用】本発明においては、信号出力端である第1のト
ランジスタのコレクタと第3のトランジスタのコレクタ
との相互接続点及び第2のトランジスタのコレクタと第
3のトランジスタのコレクタとの相互接続点と第1及び
第2の定電流源との間に介在するトランジスタは、夫々
1つだけである。従って、本発明に係る掛算回路は、従
来に比して低電圧で動作することができると共に、出力
信号の振幅を大きく設定することができる。
【0039】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。
【0040】図1は本発明の第1の実施例に係る掛算回
路を示す回路図である。
【0041】トランジスタQ11,Q12は相互に同一の特
性を有するNPN型のペアトランジスタであり、差動増
幅回路を構成している。このトランジスタQ11,Q12
エミッタはいずれも定電流源I11(電流値I1 )に接続
されている。また、トランジスタQ13,Q14も相互に同
一特性を有するNPN型のペアトランジスタであり、差
動増幅回路を構成している。このトランジスタQ13,Q
14のエミッタはいずれも定電流源I12(電流値I2 )に
接続されている。更に、トランジスタQ15,Q16は相互
に同一の特性を有するPNP型のペアトランジスタであ
り、差動増幅回路を構成している。そして、このトラン
ジスタQ15,Q16のエミッタは定電流源I13(電流値I
3 )に接続されている。また、トランジスタQ15のコレ
クタはトランジスタQ11,Q12の共通エミッタに接続さ
れており、トランジスタQ16のコレクタはトランジスタ
13,Q14の共通エミッタに接続されている。更に、ト
ランジスタQ11,Q14の各ベースは相互に接続されてお
り、トランジスタQ12,Q13の各ベースは相互に接続さ
れている。
【0042】なお、定電流源I11,I12,I13は、相互
に同一の電流を供給するように設定されている。即ち、
1 =I2 =I3 である。
【0043】トランジスタQ11,Q13のコレクタはいず
れも出力端子1に接続されている。この出力端子1と電
源VCCの正極との間には負荷抵抗RL12(抵抗値RL
2 )が介装されている。これと同様に、トランジスタQ
12,Q14のコレクタはいずれも出力端子2に接続されて
おり、この出力端子2と電源VCCの正極との間には負荷
抵抗RL11(抵抗値RL1 )が介装されている。
【0044】信号源3,4は電源V1 に重畳されてお
り、信号v1 及びこの信号v1 の逆相信号−v1 を夫々
トランジスタQ15のベース及びトランジスタQ16のベー
スに与えるようになっている。また、信号源5,6は電
源V2 に重畳されており、信号v2 及びこの信号v2
逆相信号−v2 を夫々トランジスタQ11,Q14のベース
及びトランジスタQ12,Q13のベースに与えるようにな
っている。
【0045】次に、本実施例に係る掛算回路の動作につ
いて、数式を用いて説明する。
【0046】トランジスタQ11のコレクタ電流をi1
トランジスタQ12のコレクタ電流をi2 、トランジスタ
13のコレクタ電流をi3 、トランジスタQ14のコレク
タ電流をi4 、トランジスタQ15のコレクタ電流をi
5 、トランジスタQ16のコレクタ電流をi6 とすると、
これらの電流間には下記数式16,17で示す関係があ
る。
【0047】
【数16】i1 +i2 +i5 =I1
【0048】
【数17】i3 +i4 +i6 =I2
【0049】また、トランジスタQ11,Q12、トランジ
スタQ13,Q14及びトランジスタQ15,Q16で構成され
る各差動増幅回路の相互コンダクタンスを夫々gm1,g
m2,gm3とすれば、電流i5 ,i6は夫々下記数式1
8,19で示すようになる。
【0050】
【数18】i5 =(1/2)i3 −2gm31
【0051】
【数19】i6 =(1/2)i3 +2gm31
【0052】また、コレクタ電流i1 ,i2 ,i3,i4
は、夫々下記数式20乃至23により表される。
【0053】
【数20】 i1 =(1/2)×(I1 −i5 )+2gm12
【0054】
【数21】 i2 =(1/2)×(I1 −i5 )−2gm12
【0055】
【数22】 i3 =(1/2)×(I2 −i6 )−2gm22
【0056】
【数23】 i4 =(1/2)×(I2 −i6 )+2gm22
【0057】ここで、負荷抵抗RL11に流れる電流をi
RLとすると、この電流iRLは下記数式24により表され
る。
【0058】
【数24】 iRL=i2 +i4 ={(1/2)×(I1 −i5 )−2gm12 } +{(1/2)×(I2 −i6 )+2gm22 } =(1/2)×(I1 +I2 −I3 )+2v2 ×(gm2−gm1
【0059】この数式24において、信号v1 ,v2
よる負荷抵抗RL11に流れる電流の変化分をΔiRL1
すると、このΔiRL1 は下記数式25により表すことが
できる。
【0060】
【数25】 ΔiRL1 =iRL−(1/2)×(I1 +I2 −I3 ) =2v2 ×(gm2−gm1
【0061】相互コンダクタンスgm1,gm2は夫々下記
数式26,27で表される。
【0062】
【数26】gm1=(q/4kT)×(I1 −i5
【0063】
【数27】gm2=(q/4kT)×(I2 −i6
【0064】従って、数式25は下記数式28に示すよ
うに表すことができる。
【0065】
【数28】 ΔiRL1 =2v2 {(q/4kT)×(I1 −i5 ) −(q/4kT)×(I2 −i6 )} =(qv2 /2kT)×(I1 −I2 +4gm31
【0066】ところで、gm3=(q/4kT)×I3
あるから、数式28は下記数式29のように表すことが
できる。
【0067】
【数29】 ΔiRL1 =(qv2 /2kT) ×{I1 −I2 +4(q/4kT)×I3 ×v1 } =(1/2)×(q/kT)×v2 ×(I1 −I2) +(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×v1 ×v2
【0068】この数式29において、I1 とI2 とは同
一に設定されているから、下記数式30が成立する。
【0069】
【数30】 ΔiRL1 =(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×v1 ×v2
【0070】負荷抵抗RL11の両端から出力信号Δv01
を取り出すとすると、このΔv01は下記数式31に示す
値になる。
【0071】
【数31】 Δv01=RL1 ×ΔiRL1 =(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×RL1 ×v1 ×v2
【0072】この数式31から明らかなように、本実施
例回路により、入力信号v1 ,v2の掛算出力を得るこ
とができる。また、これと同様に、負荷出力RL12の両
端の出力電圧をΔv02とすると、負荷抵抗RL12の両端
には抵抗RL11の両端の電圧と逆相の掛算出力、即ち下
記数式32に示す出力を得ることができる。
【0073】
【数32】 ΔV02=−(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×RL2 ×v1 ×v2
【0074】この数式32は、従来の掛け算回路と同一
になる。また、抵抗RL11の両端の出力信号の直流電圧
01は電源電圧をVCCとすれば、下記数式33に示すよ
うになる。
【0075】
【数33】 V01=VCC−RL1 ×(1/2)×(I1 +I2 −I3
【0076】ここで、I1 =I2 =I3 であるから、出
力信号の直流電圧V01は下記数式34に示すようにな
る。
【0077】
【数34】V01=VCC−(1/2)×I3 ×RL1
【0078】これと同様に、抵抗RL12の両端の出力信
号の直流電圧V02は、下記数式35に示すようになる。
【0079】
【数35】V02=VCC−(1/2)×I3 ×RL2
【0080】この数式35は、従来の掛算回路と同様の
式(数式12参照)である。
【0081】次に、本実施例回路における出力信号の最
大振幅Δv0maxを見積もる。例えば、定電流源I1 ,I
2 を一般的に使用されるカレントミラー回路で構成した
とすると、下記数式36が成り立つ必要がある。
【0082】
【数36】Δv0max≦VCC−2VCE
【0083】但し、VCCは電源電圧、VCEはトランジス
タのコレクタ−エミッタ間電圧である。一般的には、V
CEはトランジスタが飽和しないために約 0.5V必要であ
り、安定に動作させるためには約 1Vであることが必要
である。例えば、VCC= 5Vであり、VCE= 1Vとする
と、下記数式37に示すように、Δv0maxは 3V以上と
なる。
【0084】
【数37】Δv0max≦5−2×1=3(V)
【0085】負荷抵抗RL11の両端から取り出すことが
できる出力信号の入力電圧v1 に対する電圧利得をGV1
とすると、このGV1は下記数式38で表すことができ
る。
【0086】
【数38】GV1=RL1 ×(qI3 /4kT)
【0087】この数式38において、RL1 ×I3 は出
力振幅を表すから、電圧利得GV はΔv0maxにより決ま
る。この場合は、下記数式39に示すように、電圧利得
は29.2dBになる。
【0088】
【数39】 GV1=(q/4kT)×3≒28.8(倍)=29.2(dB)
【0089】負荷抵抗RL12の両端から取り出すことが
できる出力信号の入力電圧v1 に対する電圧利得をGV2
とすれば、このGV2は、上述と同様にして、下記数式4
0で表すことができる。
【0090】
【数40】GV2=RL2 ×(qI3 /4kT)
【0091】本実施例においては、出力端子1,2と定
電流源I11,I12との間にはいずれもトランジスタが1
つしか介在していないため、従来に比して電源電圧が低
くても正常に動作する。また、電源電圧が従来と同一で
あるとすると、出力信号の振幅を大きくすることができ
る。
【0092】例えば、電源電圧VCC= 5Vととし、VCE
= 1Vとすると、従来の掛算回路では最大出力振幅は 2
V、電圧利得は25.7dBであるのに対し、本実施例にお
いては、最大出力振幅は 3V、電圧利得は29.2dBとな
り、最大出力振幅で50%増、電圧利得で+3.5 dB増と
なる。また、最大出力振幅を大きくとれるため、従来の
掛算回路に比してベースバイアス電圧の設定が容易であ
るという効果もある。
【0093】図2は本発明の第2の実施例に係る掛算回
路を示す回路図である。
【0094】トランジスタQ21,Q22は同一の特性を有
するPNP型のペアトランジスタであり、この2つのト
ランジスタで差動増幅回路を構成している。このトラン
ジスタQ21,Q22の共通エミッタと電源VCCの正極との
間には定電流源I21(電流値I1 )が介装されている。
また、トランジスタQ23,Q24も同一の特性を有するP
NP型のペアトランジスタであり、この2つのトランジ
スタ差動増幅回路を構成している。このトランジスタQ
23,Q24の共通エミッタと電源VCCの正極との間には定
電流源I22(電流値I2 )が介装されている。更に、ト
ランジスタQ25,Q26も相互に同一の特性を有するNP
N型のペアトランジスタであり、この2つのトランジス
タで差動増幅回路を構成している。そして、このトラン
ジスタQ25,Q26の共通エミッタと電源VCCの負極との
間には定電流源I23(電流値I3)が介装されている。
また、トランジスタQ25のコレクタはトランジスタ
21,Q22の共通エミッタに接続されており、トランジ
スタQ26のコレクタはトランジスタQ23,Q24の共通エ
ミッタに接続されている。
【0095】トランジスタQ21,Q23の各コレクタはい
ずれも出力端子1に接続されており、この出力端子1と
電源VCCの負極との間には負荷抵抗RL22(抵抗値RL
2 )が介装されている。また、トランジスタQ22,Q24
の各コレクタはいずれも出力端子2に接続されており、
この出力端子2と電源VCCの負極との間には負荷抵抗R
21(抵抗値RL1 )が介装されている。更に、トラン
ジスタQ21,Q24の各ベースは相互に接続されており、
トランジスタQ22,Q23の各ベースは相互に接続されて
いる。
【0096】定電流源I21,I22,I23は、いずれも同
一の電流値に設定されている。即ち、I1 =I2 =I3
である。
【0097】信号源3,4は電源V2 に重畳されてお
り、信号v1 ,−v1 を夫々トランジスタQ21,Q24
ベース及びトランジスタQ22,Q23のベースに与えるよ
うになっている。また、信号源5,6は電源V1 に重畳
されており、信号v2 ,−v2を夫々トランジスタQ25
のベース及びトランジスタQ26のベースに与えるように
なっている。
【0098】本実施例においては、第1の実施例と同様
の計算により、負荷抵抗RL21の両端からの出力信号Δ
01及び負荷抵抗RL22の両端からの出力信号Δv
02は、夫々下記数式41,42に示すように表すことが
できる。
【0099】
【数41】 Δv01=−(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×RL1 ×v1 ×v2
【0100】
【数42】 Δv02=−(1/2)×(q/kT)2 ×I3 ×RL2 ×v1 ×v2
【0101】この数式41,42に示すように、本実施
例においても入力信号v1 ,v2 の掛算出力を得ること
ができる。また、負荷抵抗RL21,RL22からの出力信
号の直流電圧を夫々V01,V02とすると、このV01,V
02は下記数式43,44で表すことができる。
【0102】
【数43】V01=RL1 ×(1/2)×I3
【0103】
【数44】V02=RL2 ×(1/2)×I3
【0104】また、この掛算回路から出力される最大振
幅Δv0maxは、下記数式45に示す値になる。
【0105】
【数45】Δv01max ≦VCC−2VCE
【0106】即ち、本実施例回路から出力される信号の
最大振幅Δv0maxは第1の実施例と同様である。
【0107】本実施例においても、第1の実施例と同様
の効果を得ることができる。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
第1及び第2の差動増幅回路の各共通エミッタが夫々第
1及び第2の定電流源に接続されているため、従来に比
して低電源電圧で動作可能であると共に、最大出力振幅
及び電圧利得が大きい。また、最大出力振幅が大きいた
め、従来に比してベースバイアス電圧の設定が容易であ
るという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る掛算回路を示す回
路図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る掛算回路を示す回
路図である。
【図3】従来の掛算回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1,2;出力端子 3〜6;信号源 V1 ,V2 ,VCC;直流電圧源 I11,I12,I13,I21,I22,I23,I31;定電流源 RL11,RL12,RL21,RL22,RL31;負荷抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06G 7/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電圧源と、相互に等しい電流を供給
    する第1、第2及び第3の定電流源と、同極性の第1及
    び第2のトランジスタのエミッタを共通接続して構成さ
    れた第1の差動増幅回路と、前記第1及び第2のトラン
    ジスタと同極性の第3及び第4のトランジスタのエミッ
    タを共通接続して構成された第2の差動増幅回路と、前
    記第1及び第2のトランジスタと逆極性の第5及び第6
    のトランジスタのエミッタを共通接続して構成された第
    3の差動増幅回路と、前記第1のトランジスタのコレク
    タと前記第3のトランジスタのコレクタとの相互接続点
    と前記第直流電圧源との間に介装された第1の抵抗と、
    前記第2のトランジスタのコレクタと前記第4のトラン
    ジスタのコレクタとの相互接続点と前記直流電圧源との
    間に介装された第2の抵抗とを有し、前記第1のトラン
    ジスタのエミッタと前記第2のトランジスタのエミッタ
    との相互接続点は前記第1の定電流源及び前記第5のト
    ランジスタのコレクタに接続され、前記第3のトランジ
    スタのエミッタと前記第4のトランジスタのエミッタと
    の相互接続点は前記第2の定電流源及び前記第6のトラ
    ンジスタのコレクタに接続され、前記第5のトランジス
    タのエミッタと前記第6のトランジスタのエミッタとの
    相互接続点は前記第3の定電流源に接続され、前記第5
    及び第6のトランジスタの各ベースには夫々第1の信号
    及びこの第1の信号の逆相信号である第2の信号が与え
    られ、前記第1のトランジスタのベースと前記第4のト
    ランジスタのベースとの相互接続点及び前記第2のトラ
    ンジスタのベースと前記第3のトランジスタのベースと
    の相互接続点には夫々第3の信号及びこの第3の信号の
    逆相信号である第4の信号が与えられ、前記第2のトラ
    ンジスタのコレクタと前記第4のトランジスタのコレク
    タとの相互接続点及び前記第1のトランジスタのコレク
    タと前記第3のトランジスタのコレクタとの相互接続点
    を信号出力端とすることを特徴とする掛算回路。
JP22883891A 1991-08-14 1991-08-14 掛算回路 Expired - Fee Related JP3106584B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22883891A JP3106584B2 (ja) 1991-08-14 1991-08-14 掛算回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22883891A JP3106584B2 (ja) 1991-08-14 1991-08-14 掛算回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0546792A JPH0546792A (ja) 1993-02-26
JP3106584B2 true JP3106584B2 (ja) 2000-11-06

Family

ID=16882656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22883891A Expired - Fee Related JP3106584B2 (ja) 1991-08-14 1991-08-14 掛算回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3106584B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101765680B1 (ko) * 2016-01-18 2017-08-08 주식회사 비에스이 이어폰용 와이어 자동 감김 장치

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3578136B2 (ja) * 2001-12-25 2004-10-20 ソニー株式会社 掛け算器
KR100783492B1 (ko) 2004-07-31 2007-12-11 인티그런트 테크놀로지즈(주) 차동증폭회로 및 이를 포함한 믹서회로

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101765680B1 (ko) * 2016-01-18 2017-08-08 주식회사 비에스이 이어폰용 와이어 자동 감김 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0546792A (ja) 1993-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0452645B2 (ja)
JPH09219630A (ja) 差動回路
JPH0354387B2 (ja)
JPH0152783B2 (ja)
JP3106584B2 (ja) 掛算回路
JPH0770935B2 (ja) 差動電流増幅回路
JPH0547868B2 (ja)
US4335359A (en) Monolithically integrable lowpass filter circuit
JPS5827411A (ja) 差動増幅器回路
JP3178716B2 (ja) 最大値出力回路及び最小値出力回路並びに最大値最小値出力回路
JPH0346581Y2 (ja)
JPH0527282B2 (ja)
JPH0478044B2 (ja)
JP2674096B2 (ja) 乗算回路
EP3713082B1 (en) Amplification circuit
JP3507530B2 (ja) 対数変換回路
JPS62102612A (ja) 利得制御回路
JPH0317455Y2 (ja)
JPS6347113Y2 (ja)
JPH0513051Y2 (ja)
JP2621573B2 (ja) 信号抑圧回路
JP3022339B2 (ja) マルチプライヤ
JPH0328581Y2 (ja)
JP2573279B2 (ja) 電流変換回路
JPH067379Y2 (ja) 基準電圧源回路

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees