JP3578136B2 - 掛け算器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体集積回路等において使用される掛け算器に係り、特にMOSトランジスタを用いて構成された掛け算器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、Gilbert Mixerとして知られている従来のMOSトランジスタを用いた掛け算器の例を示す回路図である。Gilbert Mixerは入力ダイナミックレンジおよび出力ダイナミックレンジが大きいという特性を有している。図7において、101は電圧源、102は接地部、103は第1の差動信号源、104は第2の差動信号源、105,106はそれぞれ差動信号源103にゲートが接続されるNMOSトランジスタ、107,108はそれぞれNMOSトランジスタ105のドレインにソースが接続され差動信号源104にゲートが接続されるNMOSトランジスタ、109,110はそれぞれNMOSトランジスタ106のドレインにソースが接続され差動信号源104にゲートが接続されるNMOSトランジスタ、111はNMOSトランジスタ107のドレインおよびNMOSトランジスタ109のドレインにドレインおよびゲートが接続されるPMOSトランジスタ、112はNMOSトランジスタ107のドレインおよびNMOSトランジスタ109のドレインにゲートが接続されるPMOSトランジスタ、113はNMOSトランジスタ108のドレインおよびNMOSトランジスタ110のドレインにドレインおよびゲートが接続されるPMOSトランジスタ、114はNMOSトランジスタ108のドレインおよびNMOSトランジスタ110のドレインにゲートが接続されるPMOSトランジスタ、115はPMOSトランジスタ112のドレインにドレインが接続されるNMOSトランジスタ、116はPMOSトランジスタ114のドレインにドレインおよびゲートが接続されるNMOSトランジスタ、117はPMOSトランジスタ112のドレインとNMOSトランジスタ115のドレインとの接続部位に接続される負荷抵抗、118はバイアス用電圧源である。
【0003】
NMOSトランジスタ105とNMOSトランジスタ106とから、第1の差動信号源103から出力される信号電圧を信号電流に変換するV−I変換部が構成される。NMOSトランジスタ107とNMOSトランジスタ108とから、第2の差動信号源104から出力される信号電圧に基づいてスイッチングを実施する第1のスイッチング部が構成される。NMOSトランジスタ109とNMOSトランジスタ110とから、第2の差動信号源104から出力される信号電圧に基づいてスイッチングを実施する第2のスイッチング部が構成される。PMOSトランジスタ111とPMOSトランジスタ112とから、NMOSトランジスタ107のドレイン電流とNMOSトランジスタ109のドレイン電流との和として得られる電流を折り返すカレントミラーが構成される。PMOSトランジスタ113とPMOSトランジスタ114とから、NMOSトランジスタ108のドレイン電流とNMOSトランジスタ110のドレイン電流との和として得られる電流を折り返すカレントミラーが構成される。NMOSトランジスタ115とNMOSトランジスタ116とから、PMOSトランジスタ114のドレイン電流を折り返すカレントミラーが構成される。
【0004】
次に動作について説明する。V−I変換部は、第1の差動信号源103から印加され第1の信号として与えられる電圧信号を電流信号に変換する。第1のスイッチング部および第2のスイッチング部は、第2の差動信号源104から印加され第2の信号として与えられる電圧信号に基づいてV−I変換部により変換された信号電流をスイッチングして、電流出力の形で得られる掛け算出力を得る。
【0005】
また、3つのカレントミラーは、それぞれ出力電流をMOSトランジスタのゲート−ソース間電圧に変換し、対となる同一チャネルのMOSトランジスタで当該ゲート−ソース間電圧を共有することで、同一の出力電流を折り返す。したがって、3つのカレントミラーを用いて、掛け算出力に係る信号電流と掛け算出力に係る反転信号電流との差電流を取り出し、負荷抵抗117により電圧変換することにより、電圧出力の形で掛け算出力を得ることができる。すなわち、Gilbert Mixerにおいて、3つのカレントミラーは、電流−電圧変換器として機能する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の掛け算器として与えられるGilbert Mixerは上記のように構成されるので、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの接続部が存在することになり、それぞれのMOSトランジスタ間の特性の不整合等に起因してバイアス電圧の変動等が生じて回路動作が不安定となる。このようなバイアス電圧の変動等を補償するためには、出力部等において複雑な補正用回路を付加する必要があって、回路規模が大きくなるとともに消費電力が増加するという課題があった。また、電流−電圧変換を実施するためにカレントミラーを用いることで、周波数特性が劣化するという課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて、消費電力を低減することができる掛け算器を得ることを目的とする。
【0008】
また、この発明は、良好な周波数特性を有する掛け算器を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る掛け算器は、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタと、第1,第2,第3のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3の電圧源とを有して構成され、第2のMOSトランジスタと第3のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第2の電圧源の電圧値と第3の電圧源の電圧値とがおおよそ同一とされ、第1のMOSトランジスタから第3のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたものである。また、上記構成において、第1のMOSトランジスタが第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第2の電圧源および第3の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされるようにしたものである。
【0010】
この発明に係る掛け算器は、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第7のMOSトランジスタと、第7のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第4のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第8のMOSトランジスタと、第1,第2,第3,第4,第5,第6のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3,第4,第5,第6の電圧源とを有して構成され、第2,第3,第5,第6の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第2,第3のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第5,第6のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第7,第8のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第1のMOSトランジスタから第8のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたものである。また、上記の構成において、第1のMOSトランジスタが第2,第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第4のMOSトランジスタが第5,第6のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第4の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされるようにしたものである。
【0011】
この発明に係る掛け算器は、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタと、第2のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第6のMOSトランジスタと、第6のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第7のMOSトランジスタおよび第8のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第9のMOSトランジスタと、第9のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第6のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第10のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第11のMOSトランジスタと、第11のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第2のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第12のMOSトランジスタと、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8の電圧源とを有して構成され、第3,第4,第7,第8の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第3,第4のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第7,第8のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第9,第10のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第11,第12のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第1のMOSトランジスタから第12のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたものである。また、上記の構成において、第1,第2のMOSトランジスタが第3,第4のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第5,第6のMOSトランジスタが第7,第8のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1,第5の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第2,第6の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第1,第5の電圧源の電圧値と第2,第6の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施の形態を説明する。なお、以下の説明においては、本願発明の実施の形態に記載された実施例を構成する各要素と、特許請求の範囲に記載された発明を構成する各要素との対応関係を明らかにするために、実施の形態に記載された各要素にそれぞれ対応する特許請求の範囲に記載された発明の各要素を適宜かっこ書きにより示すものとする。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による掛け算器の構成を示す回路図である。図1において、1は電圧源、2は接地部、3はドレインが電圧源1に接続されるNMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、4はドレインがNMOSトランジスタ3のソースに接続されソースが接地部2に接続されるNMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、5はドレインがNMOSトランジスタ3のソースに接続されソースが接地部2に接続されるNMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、6はNMOSトランジスタ3のゲートに接続される定電圧源(第1の電圧源)、7はNMOSトランジスタ4のゲートに接続される第1の入力端子、8は第1の入力端子7に差動信号を成す一方の入力信号vinを印加する第1の差動信号源、9は第1の入力端子7に所定の電圧を印加する定電圧源(第2の電圧源)、10はNMOSトランジスタ5のゲートに接続される第2の入力端子、11は第2の入力端子10に差動信号を成す他方の入力信号−vinを印加する第2の差動信号源、12は第2の入力端子10に所定の電圧を印加する定電圧源(第3の電圧源)、13はNMOSトランジスタ3のソースとNMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5のドレインとの接続部位に接続される出力端子である。なお、図1に示される掛け算器において使用されるNMOSトランジスタ3,4,5については、相互コンダクタンスを均一化するためにそれぞれのNMOSトランジスタのバックゲートは当該NMOSトランジスタのソースに接続するものとする。また、バイアス用の電圧源として与えられる電圧源6,9,12については、例えば電圧源1の電源電圧を抵抗分割する等の種々の方法を用いて実現することが可能である。
【0014】
次に、動作について説明する。図1において、NMOSトランジスタ3のドレイン電流係数をMとし、NMOSトランジスタ4とNMOSトランジスタ5とを同一に形成するものとしてこれらのドレイン電流係数をMとする。また、NMOSトランジスタ3のドレイン電流をI、NMOSトランジスタ4のドレイン電流をI、NMOSトランジスタ5のドレイン電流をIとする。また、電圧源1の電源電圧値をVdd、定電圧源6の電圧値をVg’、定電圧源9および定電圧源12の電圧値を等しくするものとしてこれらの電圧値をVg、出力端子13の電圧値をVoとする。また、定電圧源6の電圧値と定電圧源9の電圧値との差をVe、すなわちVg’=Vg+Veとする。
【0015】
出力端子13が開放されている、あるいは開放に近い状態にあるものとすると、ドレイン電流I,I,IについてI=I+Iが成り立つ。ドレイン電流Iは式(1)により与えられ、ドレイン電流Iは式(2)により与えられ、ドレイン電流Iは式(3)により与えられる。また、I=I+Iに式(1)、式(2)および式(3)を代入すると、式(4)が得られる。なお、上記の式において、VthはMOSトランジスタの閾値電圧を示すものである。
【数1】
Figure 0003578136
【0016】
ここで、NMOSトランジスタ3のドレイン電流係数MとNMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5のドレイン電流係数Mとの関係を式(5)に示すようにαを用いて表すものとすると、式(4)から式(6)を導くことができる。また、式(6)をa−b=(a+b)(a−b)に基づいて因数分解するとともに電圧値を考慮することで式(7)を導くことができる。そして、式(7)を出力電圧Voについて解くことで式(8)が得られる。式(8)において、√内の式は変数である入力信号vinについて何度でも微分可能であるから、Taylor展開を用いて式(8)を式(9)に示すように変形することができる。
【数2】
Figure 0003578136
【0017】
ここで、α=1、すなわちM=2MとなるようにNMOSトランジスタ3、NMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5が形成されるようにすれば、出力電圧Voは式(10)に示すように与えられる。式(10)から明らかなように、出力端子13におけるバイアス電圧は定電圧源6と定電圧源9,12との電圧差Veに等しくなる。したがって、電圧差Veを電源電圧値Vddの半分となるように設定すれば、掛け算器の出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、最も大きなダイナミックレンジを得ることができるようになる。
【数3】
Figure 0003578136
【0018】
式(10)に示されるように、図1に示される掛け算器については、出力部において入力信号vinの2乗に比例する電圧信号が得られることが分かる。ここで、入力信号が位相の異なる2信号の和として与えられvinが式(11)に示すように表されるものとすると、vinは式(12)に示すように与えられる。また、出力信号についてLPFを用いて高域成分を除去するものとすると、vinは式(13)に示すように与えられる。式(13)の第1項は入力信号vinを構成する2信号のレベルに応じて交流成分に起因して発生するDCオフセットを示し、第2項は入力信号vinを構成する2信号の位相検波を示すものである。
【数4】
Figure 0003578136
【0019】
また、入力信号が周波数の異なる2信号の和として与えられvinが式(14)に示すように表されるものとすると、vinは式(15)に示すように与えられる。そして、出力信号についてLPFを用いて高域成分を除去するものとすると、vinは式(16)に示すように与えられる。式(16)の第1項は入力信号vinを構成する2信号のレベルに応じて交流成分に起因して発生するDCオフセットを示し、第2項は入力信号vinを構成する2信号に係る周波数変換を示すものである。
【数5】
Figure 0003578136
【0020】
上記のように、式(10)により入力信号vinに応じてvinに比例する出力信号が得られることが示され、式(13)により入力信号を構成する2信号の位相検波を成し得る特性が示され、式(16)により入力信号を構成する2信号の周波数変換を成し得る特性が示されることで、図1に示される回路がミキサーとしての機能を有することが分かる。
【0021】
ところで、トランジスタの素子特性に係るパラメータは、通常各製造プロセス毎に生じる微妙な製造環境の差異に起因して大きくばらつくことが知られている(以降では、このような製造プロセス毎に生じるトランジスタの素子特性のバラツキを製造バラツキと称するものとする)。然るに、同一チップ上に形成された複数のNMOSトランジスタあるいは複数のPMOSトランジスタについては、それぞれ特性のバラツキについて同一の傾向が見られる。この発明の実施の形態1による掛け算器では、使用されるMOSトランジスタのすべてがNMOSトランジスタとして与えられるシングルチャネル構成を有しているので、製造バラツキに起因する誤差が相殺されて、バイアス電圧や交流成分の変動を抑えて回路動作を安定化させることが可能となる。
【0022】
以上のように、この実施の形態1によれば、NMOSトランジスタ3、NMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5と、定電圧源6、定電圧源9および定電圧源12とを有して構成され、NMOSトランジスタ4とNMOSトランジスタ5とが同一に形成され、定電圧源9の電圧値と定電圧源12の電圧値とが同一とされ、使用するMOSトランジスタをすべてNMOSトランジスタとして与えるようにしたので、NMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5のゲートに差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。なお、この実施の形態1では、NMOSトランジスタ4とNMOSトランジスタ5とを同一に形成するものとしているが、式(4)等から明らかなように、ドレイン電流係数が等しくなるようにNMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5を形成することで、上記の効果を奏する掛け算器を得ることができる。さらに、α≠1の場合には、出力端子13におけるバイアス電圧を定電圧源6の電圧値と定電圧源9および定電圧源12の電圧値との電圧差として設定することは困難となるが、上記実施の形態1と同様に出力電圧をDC電圧とvinに比例する電圧との和として得ることができる。したがって、α≠1の場合においても、図1に示される回路をミキサーとして動作させることができ、同様の効果を奏することができる。
【0023】
また、NMOSトランジスタ3のドレイン電流係数MがNMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5のドレイン電流係数Mの2倍となるようにそれぞれのNMOSトランジスタが形成され、定電圧源6の電圧値と定電圧源9および定電圧源12の電圧値との電圧差が電源電圧値の半分の電圧値であるVdd/2となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【0024】
なお、この実施の形態1においては、NMOSトランジスタのみを用いて掛け算器を構成しているが、PMOSトランジスタのみを用いても同様の掛け算器を構成することが可能である。図2は、この発明の実施の形態1による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。図2において、図1に示された掛け算器の構成要素と同等の作用を奏する構成要素にはダッシュを付記した同一の符号を付することで対応関係を明示するものとする。例えば、PMOSトランジスタ3’、PMOSトランジスタ4’およびPMOSトランジスタ5’は、それぞれNMOSトランジスタ3、NMOSトランジスタ4およびNMOSトランジスタ5と同等の作用を奏する構成要素として与えられるものである。また、図1に示される掛け算器と同様に、PMOSトランジスタ4’とPMOSトランジスタ5’とは同一に形成され、定電圧源9’と定電圧源12’とは同一の電圧値を有し、PMOSトランジスタ3’はPMOSトランジスタ4’およびPMOSトランジスタ5’のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成されている。また、それぞれの定電圧源に付記された電圧値は、出力端子13’におけるバイアス電圧をVdd/2とするように設定する際の電圧値を示すものである。
【0025】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2による掛け算器の構成を示す回路図である。図3において、21は電圧源、22は接地部、23はドレインが電圧源21に接続されるNMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、24はドレインがNMOSトランジスタ23のソースに接続されソースが接地部22に接続されるNMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、25はドレインがNMOSトランジスタ23のソースに接続されソースが接地部22に接続されるNMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、26はNMOSトランジスタ23のゲートに接続される定電圧源(第1の電圧源)、27はNMOSトランジスタ24のゲートに接続される第1の入力端子、28は第1の入力端子27に第1の差動信号を成す一方の入力信号vaを印加する第1の差動信号源、29は第1の入力端子27に所定の電圧を印加する定電圧源(第2の電圧源)、30はNMOSトランジスタ25のゲートに接続される第2の入力端子、31は第2の入力端子30に第1の差動信号を成す他方の入力信号−vaを印加する第2の差動信号源、32は第2の入力端子30に所定の電圧を印加する定電圧源(第3の電圧源)である。
【0026】
また、33はドレインが電圧源21に接続されるNMOSトランジスタ(第4のMOSトランジスタ)、34はドレインがNMOSトランジスタ33のソースに接続されソースが接地部22に接続されるNMOSトランジスタ(第5のMOSトランジスタ)、35はドレインがNMOSトランジスタ33のソースに接続されソースが接地部22に接続されるNMOSトランジスタ(第6のMOSトランジスタ)、36はNMOSトランジスタ33のゲートに接続される定電圧源(第4の電圧源)、37はNMOSトランジスタ34のゲートに接続される第3の入力端子、38は第3の入力端子37に第2の差動信号を成す一方の入力信号vbを印加する第3の差動信号源、39は第3の入力端子37に所定の電圧を印加する定電圧源(第5の電圧源)、40はNMOSトランジスタ35のゲートに接続される第4の入力端子、41は第4の入力端子40に第2の差動信号を成す他方の入力信号−vbを印加する第4の差動信号源、42は第4の入力端子40に所定の電圧を印加する定電圧源(第6の電圧源)、43はドレインが電圧源21に接続されゲートがNMOSトランジスタ23のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第7のMOSトランジスタ)、44はドレインがNMOSトランジスタ43のソースに接続されゲートがNMOSトランジスタ33のソースに接続されソースが接地部22に接続されるNMOSトランジスタ(第8のMOSトランジスタ)、45はNMOSトランジスタ43のソースとNMOSトランジスタ44のドレインとの接続部位に接続される出力端子である。なお、図3に示される掛け算器において使用されるNMOSトランジスタ23,24,25,33,34,35,43,44については、相互コンダクタンスを均一化するためにそれぞれのNMOSトランジスタのバックゲートは当該NMOSトランジスタのソースに接続するものとする。また、バイアス用の電圧源として与えられる定電圧源26,29,32,36,39,42については、例えば電圧源1の電源電圧を抵抗分割する等の種々の方法を用いて実現することが可能である。
【0027】
また、図3に示される掛け算器においては、NMOSトランジスタ24とNMOSトランジスタ25とを同一に形成するものとし、NMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ35とを同一に形成するものとし、NMOSトランジスタ43とNMOSトランジスタ44とを同一に形成するものとする。また、定電圧源29、定電圧源32、定電圧源39および定電圧源42の電圧値を同一にするものとする。
【0028】
次に、動作について説明する。図3において、NMOSトランジスタ43およびNMOSトランジスタ44のドレイン電流係数をM、相互コンダクタンスをgmとする。また、NMOSトランジスタ43のドレイン電流をIa、NMOSトランジスタ44のドレイン電流をIbとする。また、電圧源21の電源電圧値をVdd、定電圧源26の電圧値をVg1、定電圧源36の電圧値をVg2、定電圧源29、定電圧源32、定電圧源39および定電圧源42の電圧値をVg、NMOSトランジスタ23のソース電位をVa、NMOSトランジスタ33のソース電位をVb、出力端子45の電位をVoとする。また、定電圧源26の電圧値と定電圧源36の電圧値との差をVe、すなわちVg1=Vg2+Veとする。さらに、回路構成を考慮して、定電圧源36の電圧値Vg2を式(17)に示されるように設定する。式(17)において、βは1以上の数として与えられるものである。また、式(17)および定電圧源36と定電圧源26との電圧差に係る設定に基づいて、定電圧源26の電圧値Vg1は式(18)に示すように表される。
【0029】
定電圧源26の電圧値と定電圧源29および定電圧源32の電圧値との差がVe+β・Vgであることから、式(1)〜式(10)と同様の計算手順を経ることにより、NMOSトランジスタ23のソース電位Vaは式(19)に示すように与えられる。また、定電圧源36の電圧値と定電圧源39および定電圧源42の電圧値との差がβ・Vgであることから、式(1)〜式(10)と同様の計算手順を経ることにより、NMOSトランジスタ33のソース電位Vbは式(20)に示すように与えられる。なお、式(19)および式(20)を得るためには、式(5)の条件を満たすこと、すなわちNMOSトランジスタ23のドレイン電流係数がNMOSトランジスタ24およびNMOSトランジスタ25のドレイン電流係数の2倍であるとともに、NMOSトランジスタ33のドレイン電流係数がNMOSトランジスタ34およびNMOSトランジスタ35のドレイン電流係数の2倍であることを前提とするものである。
【数6】
Figure 0003578136
【0030】
出力端子45が開放されている、あるいは開放に近い状態にあるものとすると、ドレイン電流Ia,IbについてIa=Ibが成り立つ。ドレイン電流Iaは式(21)により与えられ、ドレイン電流Ibは式(22)により与えられる。したがって、Ia=Ibに式(21)および式(22)を代入することで、Vo=Va−Vbとなり、出力端子45の電位Voは式(23)に示すように与えられる。式(23)から明らかなように、出力端子45におけるバイアス電圧は定電圧源26の電圧値と定電圧源36の電圧値との電圧差Veに等しくなる。したがって、電圧差Veを電源電圧値Vddの半分となるように設定すれば、掛け算器の出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、最も大きなダイナミックレンジを得ることができるようになる。
【数7】
Figure 0003578136
【0031】
式(23)に示されるように、出力部において、第1の入力信号vaの2乗と第2の入力信号vbの2乗との差に比例する電圧信号が出力されることが分かる。ここで、第1の入力信号vaが周波数の異なる2信号の和として式(24)に示されるように与えられ、第2の入力信号vbが周波数の異なる2信号の差として式(25)に示されるように与えられるものとすると、第1の入力信号vaの2乗と第2の入力信号vbの2乗との差は、式(26)に示すように導かれる。そして、出力信号についてLPFを用いて高域成分を除去するものとすると、出力端子45の電位Voは式(27)に示すように与えられる。式(27)の右辺第2項は第1の入力信号vaおよび第2の入力信号vbを構成する周波数の異なる2信号に係る周波数変換を示すものである。
【数8】
Figure 0003578136
【0032】
また、第1の入力信号vaが同一周波数で位相のみが異なる2信号の和として与えられ、第2の入力信号vbが同一周波数で位相のみが異なる2信号の差として与えられるものとすると、上記と同様の計算手順を経ることで、出力端子45の電位Voは式(28)に示すように与えられる。式(28)の右辺第2項は第1の入力信号vaおよび第2の入力信号vbを構成する同一周波数で位相のみが異なる2信号に係る位相検波を示すものであるである
【数9】
Figure 0003578136
【0033】
上記のように、式(23)により第1の入力信号vaおよび第2の入力信号vbに応じてva−vbに比例する出力信号が得られることが示され、式(27)により入力信号va,vbを構成する2信号の周波数変換を成し得る特性が示され、式(28)により入力信号va,vbを構成する2信号の位相検波を成し得る特性が示されることで、図3に示される回路がミキサーとしての機能を有することが分かる。さらに、式(27)および式(28)から明らかなように、図3に示される掛け算器では、出力部において、交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することが可能となる。さらに、図3に示される掛け算器では、使用されるMOSトランジスタのすべてがNMOSトランジスタとして与えられるシングルチャネル構成を有しているので、製造バラツキに起因する誤差が相殺されて、バイアス電圧や交流成分の変動を抑えて回路動作を安定化させることが可能となる。
【0034】
以上のように、この実施の形態2によれば、NMOSトランジスタ23,24,25,33,34,35,43,44と、NMOSトランジスタ23,24,25,33,34,35のゲートにそれぞれ接続される定電圧源26,29,32,36,39,42とを備え、定電圧源29,32,39,42の電圧値が同一とされ、NMOSトランジスタ24とNMOSトランジスタ25とが同一に形成され、NMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ35とが同一に形成され、NMOSトランジスタ43とNMOSトランジスタ44とが同一に形成されるように構成したので、NMOSトランジスタ24およびNMOSトランジスタ25のゲートに第1の差動信号を入力するとともにNMOSトランジスタ34およびNMOSトランジスタ35のゲートに第2の差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、掛け算器の出力部において交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することができるという効果を奏する。さらに、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。なお、この実施の形態2においては、NMOSトランジスタ24とNMOSトランジスタ25、NMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ35、NMOSトランジスタ43とNMOSトランジスタ44とをそれぞれ同一に形成するものとしているが、実施の形態1と同様にそれぞれドレイン電流係数が互いに等しくなるように形成することで、上記の効果を奏する掛け算器を得ることができる。
【0035】
また、NMOSトランジスタ23がNMOSトランジスタ24およびNMOSトランジスタ25のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、NMOSトランジスタ33がNMOSトランジスタ34およびNMOSトランジスタ35のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、定電圧源26の電圧値と定電圧源36の電圧値との電圧差を電源電圧値の半分の電圧値であるVdd/2となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【0036】
なお、この実施の形態2においては、NMOSトランジスタのみを用いて掛け算器を構成しているが、PMOSトランジスタのみを用いても同様の掛け算器を構成することが可能である。図4は、この発明の実施の形態2による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。図4において、図3に示された掛け算器の構成要素と同等の作用を奏する構成要素にはダッシュを付記した同一の符号を付することで対応関係を明示するものとする。例えば、PMOSトランジスタ23’、PMOSトランジスタ24’およびPMOSトランジスタ25’は、それぞれNMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24およびNMOSトランジスタ25と同等の作用を奏する構成要素として与えられるものである。また、図3に示される掛け算器と同様に、定電圧源29’、定電圧源32’、定電圧源39’および定電圧源42’は同一の電圧値を有する。また、PMOSトランジスタ24’とPMOSトランジスタ25’とは同一に形成されるとともに、PMOSトランジスタ23’はドレイン電流係数がPMOSトランジスタ24’およびPMOSトランジスタ25’のドレイン電流係数の2倍となるように形成される。また、PMOSトランジスタ34’とPMOSトランジスタ35’とは同一に形成されるとともに、PMOSトランジスタ33’はドレイン電流係数がPMOSトランジスタ34’およびPMOSトランジスタ35’のドレイン電流係数の2倍となるように形成される。さらに、PMOSトランジスタ43’とPMOSトランジスタ44’とは同一に形成される。なお、それぞれの定電圧源に付記された電圧値は、出力端子45’におけるバイアス電圧をVdd/2とするように設定する際の電圧値を示すものである。
【0037】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による掛け算器の構成を示す回路図である。図5において、51は電圧源、52は接地部、53はドレインが電圧源51に接続されるNMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、54はドレインがNMOSトランジスタ53のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、55はドレインがNMOSトランジスタ54のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、56はドレインがNMOSトランジスタ54のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第4のMOSトランジスタ)、57はNMOSトランジスタ53のゲートに接続される定電圧源(第1の電圧源)、58はNMOSトランジスタ54のゲートに接続される定電圧源(第2の電圧源)、59はNMOSトランジスタ55のゲートに接続される第1の入力端子、60は第1の入力端子59に第1の差動信号を成す一方の入力信号vaを印加する第1の差動信号源、61は第1の入力端子59に所定の電圧を印加する定電圧源(第3の電圧源)、62はNMOSトランジスタ56のゲートに接続される第2の入力端子、63は第2の入力端子62に第1の差動信号を成す他方の入力信号−vaを印加する第2の差動信号源、64は第2の入力端子62に所定の電圧を印加する定電圧源(第4の電圧源)である。
【0038】
また、65はドレインが電圧源51に接続されるNMOSトランジスタ(第5のMOSトランジスタ)、66はドレインがNMOSトランジスタ65のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第6のMOSトランジスタ)、67はドレインがNMOSトランジスタ66のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第7のMOSトランジスタ)、68はドレインがNMOSトランジスタ66のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第8のMOSトランジスタ)、69はNMOSトランジスタ65のゲートに接続される定電圧源(第5の電圧源)、70はNMOSトランジスタ66のゲートに接続される定電圧源(第6の電圧源)、71はNMOSトランジスタ67のゲートに接続される第3の入力端子、72は第3の入力端子71に第2の差動信号を成す一方の入力信号vbを印加する第3の差動信号源、73は第3の入力端子71に所定の電圧を印加する定電圧源(第7の電圧源)、74はNMOSトランジスタ68のゲートに接続される第4の入力端子、75は第4の入力端子74に第2の差動信号を成す他方の入力信号−vbを印加する第4の差動信号源、76は第4の入力端子74に所定の電圧を印加する定電圧源(第8の電圧源)である。
【0039】
また、77はドレインが電圧源51に接続されゲートがNMOSトランジスタ53のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第9のMOSトランジスタ)、78はドレインがNMOSトランジスタ77のソースに接続されゲートがNMOSトランジスタ66のソースに接続されソースが接地部52に接続されるNMOSトランジスタ(第10のMOSトランジスタ)、79はドレインが電圧源51に接続されゲートがNMOSトランジスタ65のソースに接続されるNMOSトランジスタ(第11のMOSトランジスタ)、80はドレインがNMOSトランジスタ79のソースに接続されゲートがNMOSトランジスタ54のソースに接続されソースが接地部52に接続されるNMOSトランジスタ(第12のMOSトランジスタ)、81はNMOSトランジスタ77のソースとNMOSトランジスタ78のドレインとの接続部位に接続される第1の出力端子、82はNMOSトランジスタ79のソースとNMOSトランジスタ80のドレインとの接続部位に接続される第2の出力端子である。なお、図5に示される掛け算器において使用されるNMOSトランジスタ53,54,55,56,65,66,67,68,77,78,79,80については、相互コンダクタンスを均一化するためにそれぞれのバックゲートは当該トランジスタのソースに接続するものとする。また、バイアス用の電圧源として与えられる定電圧源57,58,61,64,69,70,73,76については、例えば電圧源51の電源電圧を抵抗分割する等の種々の方法を用いて実現することが可能である。
【0040】
また、図5に示される掛け算器においては、NMOSトランジスタ55とNMOSトランジスタ56とを同一に形成するものとし、NMOSトランジスタ67とNMOSトランジスタ68とを同一に形成するものとし、NMOSトランジスタ77とNMOSトランジスタ78とを同一に形成するものとし、NMOSトランジスタ79とNMOSトランジスタ80とを同一に形成するものとする。また、定電圧源57と定電圧源69との電圧値を同一にし、定電圧源58と定電圧源70との電圧値を同一にし、定電圧源61、定電圧源64、定電圧源73および定電圧源76の電圧値を同一にするものとする。
【0041】
次に、動作について説明する。図5において、定電圧源57および定電圧源69の電圧値をVg1、定電圧源58および定電圧源70の電圧値をVg2、定電圧源61、定電圧源64、定電圧源73および定電圧源76の電圧値をVg、NMOSトランジスタ54のソース電位をVa、NMOSトランジスタ53のソース電位をVa’、NMOSトランジスタ66のソース電位をVb、NMOSトランジスタ65のソース電位をVb’、出力端子81の電位をVo、出力端子82の電位をVo’とする。また、定電圧源57および定電圧源69の電圧値と定電圧源58および定電圧源70の電圧値との差をVe、すなわちVg1=Vg2+Veとする。さらに、回路構成を考慮して、定電圧源58および定電圧源70の電圧値Vg2を式(29)に示されるように設定する。式(29)において、βは1以上の数として与えられるものである。また、式(29)および定電圧源58および定電圧源70と定電圧源57および定電圧源69との電圧差に係る設定に基づいて、定電圧源57および定電圧源69の電圧値Vg1は式(30)に示すように与えられる。
【数10】
Figure 0003578136
【0042】
定電圧源58の電圧値と定電圧源61および定電圧源64の電圧値との差がβ・Vgであることから、式(1)〜式(10)と同様の計算手順を経ることにより、NMOSトランジスタ54のソース電位Vaは式(31)に示すように与えられる。同様に、定電圧源70の電圧値と定電圧源73および定電圧源76の電圧値との差がβ・Vgであることから、NMOSトランジスタ66のソース電位Vbは式(32)に示すように与えられる。また、定電圧源57の電圧値と定電圧源61および定電圧源64の電圧値との差がVe+β・Vgであることから、式(1)〜式(10)と同様の計算手順を経ることにより、NMOSトランジスタ53のソース電位Va’は式(33)に示すように与えられる。同様に、定電圧源69の電圧値と定電圧源73および定電圧源76の電圧値との差がVe+β・Vgであることから、NMOSトランジスタ65のソース電位Vb’は式(34)に示すように与えられる。ここで、式(31)、式(32)、式(33)および式(34)を得るためには、式(5)の条件を満たすこと、すなわちNMOSトランジスタ53およびNMOSトランジスタ54のドレイン電流係数がNMOSトランジスタ55およびNMOSトランジスタ56のドレイン電流係数の2倍であるとともに、NMOSトランジスタ65およびNMOSトランジスタ66のドレイン電流係数がNMOSトランジスタ67およびNMOSトランジスタ68のドレイン電流係数の2倍であることを前提とするものである。
【数11】
Figure 0003578136
【0043】
次に、出力端子81が開放されている、あるいは開放に近い状態にあるものとすると、式(21)および式(22)と同様の計算手順を経ることにより、Vo=Va’−Vbとなり、出力端子81の電位Voは式(35)に示すように与えられる。また、出力端子82が開放されている、あるいは開放に近い状態にあるものとすると、式(21)および式(22)と同様の計算手順を経ることにより、Vo’=Vb’−Vaとなり、出力端子82の電位Vo’は式(36)に示すように与えられる。式(35)および式(36)から明らかなように、出力端子81および出力端子82におけるバイアス電圧は、定電圧源57および定電圧源69の電圧値と定電圧源58および定電圧源70の電圧値との電圧差Veに等しくなる。したがって、電圧差Veを電源電圧値Vddの半分となるように設定すれば、掛け算器の出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、最も大きなダイナミックレンジを得ることができるようになる。
【数12】
Figure 0003578136
【0044】
式(35)および式(36)に示されるように、出力端子81および出力端子82において、第1の入力信号vaの2乗と第2の入力信号vbの2乗との差に比例する電圧信号が差動出力として得られることが分かる。また、式(23)について、式(25)〜式(28)を用いて解析したのと同様に、式(35)および式(36)を解析することで、図5に示される掛け算器が、入力信号va,vbを構成する2信号の周波数変換および位相検波を成し得る特性を備えて、ミキサーとしての機能を有することが分かる。さらに、この実施の形態3においても、出力信号における交流成分について、式(27)および式(28)と同様の式を得ることができるので、出力部において交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することができる。さらに、図5に示される掛け算器では、使用されるMOSトランジスタのすべてがNMOSトランジスタとして与えられるシングルチャネル構成を有しているので、製造バラツキに起因する誤差が相殺されて、バイアス電圧や交流成分の変動を抑えて回路動作を安定化させることが可能となる。
【0045】
以上のように、この実施の形態3によれば、NMOSトランジスタ53,54,55,56,65,66,67,68,77,78,79,80と、NMOSトランジスタ53,54,55,56,65,66,67,68のゲートにそれぞれ接続される定電圧源57,58,61,64,69,70,73,76とを備え、定電圧源61,64,73,76の電圧値が同一とされ、NMOSトランジスタ55とNMOSトランジスタ56とが同一に形成され、NMOSトランジスタ67とNMOSトランジスタ68とが同一に形成され、NMOSトランジスタ77とNMOSトランジスタ78とが同一に形成され、NMOSトランジスタ79とNMOSトランジスタ80とが同一に形成されるように構成したので、NMOSトランジスタ55およびNMOSトランジスタ56のゲートに第1の差動信号を入力するとともにNMOSトランジスタ67およびNMOSトランジスタ68のゲートに第2の差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、掛け算器の出力を差動信号として得ることができるとともに、掛け算器の出力部において交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することができるという効果を奏する。さらに、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。なお、この実施の形態3においては、NMOSトランジスタ55とNMOSトランジスタ56、NMOSトランジスタ67とNMOSトランジスタ68、NMOSトランジスタ77とNMOSトランジスタ78、NMOSトランジスタ79とNMOSトランジスタ80とをそれぞれ同一に形成するものとしているが、実施の形態1と同様にそれぞれドレイン電流係数が互いに等しくなるように形成することで、上記の効果を奏する掛け算器を得ることができる。
【0046】
また、NMOSトランジスタ53およびNMOSトランジスタ54がNMOSトランジスタ55およびNMOSトランジスタ56のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、NMOSトランジスタ65およびNMOSトランジスタ66がNMOSトランジスタ67およびNMOSトランジスタ68のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、定電圧源57と定電圧源69とが同一の電圧値を有し、定電圧源58と定電圧源70とが同一の電圧値を有し、定電圧源57および定電圧源69の電圧値と定電圧源58および定電圧源70の電圧値との電圧差が電圧源51の電源電圧値の半分のVdd/2となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をVdd/2とすることができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【0047】
なお、この実施の形態3においては、NMOSトランジスタのみを用いて掛け算器を構成しているが、PMOSトランジスタのみを用いても同様の掛け算器を構成することが可能である。図6は、この発明の実施の形態3による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。図6において、図5に示された掛け算器の構成要素と同等の作用を奏する構成要素にはダッシュを付記した同一の符号を付することで対応関係を明示するものとする。例えば、PMOSトランジスタ53’、PMOSトランジスタ54’、PMOSトランジスタ55’およびPMOSトランジスタ56’は、それぞれNMOSトランジスタ53、NMOSトランジスタ54、NMOSトランジスタ55およびNMOSトランジスタ56と同等の作用を奏する構成要素として与えられるものである。また、図5に示される掛け算器と同様に、定電圧源61’および定電圧源73’は同一の電圧値を有し、定電圧源57’および定電圧源69’は同一の電圧値を有し、定電圧源58’および定電圧源70’は同一の電圧値を有する。また、PMOSトランジスタ55’とPMOSトランジスタ56’とは同一に形成されるとともに、PMOSトランジスタ53’およびPMOSトランジスタ54’はPMOSトランジスタ55’,56’のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成される。また、PMOSトランジスタ67’とPMOSトランジスタ68’とは同一に形成されるとともに、PMOSトランジスタ65’およびPMOSトランジスタ66’はPMOSトランジスタ67’,68’のドレイン電流係数の2倍のドレイン電流係数を有するように形成される。さらに、PMOSトランジスタ77’とPMOSトランジスタ78’とは同一に形成されるとともに、PMOSトランジスタ79’とPMOSトランジスタ80’とは同一に形成される。なお、それぞれの定電圧源に付記された電圧値は出力端子81’および出力端子82’におけるバイアス電圧をVdd/2とするように設置する際の電圧値を示すものである。
【0048】
なお、上記の実施の形態1から実施の形態3により説明される掛け算器は、本願発明を限定するものではなく、例示することを意図して開示されているものである。本願発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載により定められるものであり、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の設計的変更が可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタと、第1,第2,第3のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3の電圧源とを有して構成され、第2のMOSトランジスタと第3のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第2の電圧源の電圧値と第3の電圧源の電圧値とがおおよそ同一とされ、第1のMOSトランジスタから第3のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたので、第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのゲートに差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。
【0050】
この発明によれば、上記構成において、第1のMOSトランジスタが第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第2の電圧源および第3の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をおおよそ電源電圧の半分の電圧値に設定することができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【0051】
この発明によれば、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第7のMOSトランジスタと、第7のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第4のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第8のMOSトランジスタと、第1,第2,第3,第4,第5,第6のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3,第4,第5,第6の電圧源とを有して構成され、第2,第3,第5,第6の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第2,第3のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第5,第6のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第7,第8のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第1のMOSトランジスタから第8のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたので、第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのゲートに第1の差動信号を入力するとともに第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタのゲートに第2の差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、掛け算器の出力部において交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することができるという効果を奏する。さらに、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。
【0052】
この発明によれば、上記の構成において、第1のMOSトランジスタが第2,第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第4のMOSトランジスタが第5,第6のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第4の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をおおよそ電源電圧の半分の電圧値に設定することができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【0053】
この発明によれば、第1のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタと、第2のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第6のMOSトランジスタと、第6のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第7のMOSトランジスタおよび第8のMOSトランジスタと、第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第9のMOSトランジスタと、第9のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第6のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第10のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第11のMOSトランジスタと、第11のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され第2のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第12のMOSトランジスタと、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8の電圧源とを有して構成され、第3,第4,第7,第8の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第3,第4のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第7,第8のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第9,第10のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第11,第12のMOSトランジスタがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、第1のMOSトランジスタから第12のMOSトランジスタのすべてが同種のMOSトランジスタとして与えられるようにしたので、第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタのゲートに第1の差動信号を入力するとともに第7のMOSトランジスタおよび第8のMOSトランジスタのゲートに第2の差動信号を入力することで掛け算器として動作し、簡単な構成によっても回路動作を安定化させて消費電力を低減することができるという効果を奏する。また、掛け算器の出力を差動信号として得ることができるとともに、掛け算器の出力部において交流成分に起因して発生するDCオフセットを除去することができるという効果を奏する。さらに、電圧出力を得るためにカレントミラー等を付加する必要がないので、良好な周波数特性を得ることができるという効果を奏する。
【0054】
この発明によれば、上記の構成において、第1,第2のMOSトランジスタが第3,第4のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第5,第6のMOSトランジスタが第7,第8のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1,第5の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第2,第6の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、第1,第5の電圧源の電圧値と第2,第6の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値となるように構成したので、出力部におけるバイアス電圧をおおよそ電源電圧の半分の電圧値に設定することができて、大きなダイナミックレンジを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による掛け算器の構成を示す回路図である。
【図2】この発明の実施の形態1による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態2による掛け算器の構成を示す回路図である。
【図4】この発明の実施の形態2による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。
【図5】この発明の実施の形態3による掛け算器の構成を示す回路図である。
【図6】この発明の実施の形態3による掛け算器の変形例の構成を示す回路図である。
【図7】従来のMOSトランジスタを用いた掛け算器の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1,21,51 電圧源、2,22,52 接地部、3 NMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、4 NMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、5 NMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、6 定電圧源(第1の電圧源)、7,10 入力端子、8,11 差動信号源、9 定電圧源(第2の電圧源)、12 定電圧源(第3の電圧源)、13 出力端子、23 NMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、24 NMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、25 NMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、26 定電圧源(第1の電圧源)、27,30,37,40 入力端子、28,31 第1の差動信号源、29 定電圧源(第2の電圧源)、32 定電圧源(第3の電圧源)、33 NMOSトランジスタ(第4のMOSトランジスタ)、34 NMOSトランジスタ(第5のMOSトランジスタ)、35 NMOSトランジスタ(第6のMOSトランジスタ)、36 定電圧源(第4の電圧源)、38,41 第2の差動信号源、39 定電圧源(第5の電圧源)、42 定電圧源(第6の電圧源)、43 NMOSトランジスタ(第7のMOSトランジスタ)、44 NMOSトランジスタ(第8のMOSトランジスタ)、45 出力端子、53 NMOSトランジスタ(第1のMOSトランジスタ)、54 NMOSトランジスタ(第2のMOSトランジスタ)、55 NMOSトランジスタ(第3のMOSトランジスタ)、56 NMOSトランジスタ(第4のMOSトランジスタ)、57 定電圧源(第1の電圧源)、58 定電圧源(第2の電圧源)、59,62,71,74 入力端子、60,63 第1の差動信号源、61 定電圧源(第3の電圧源)、64 定電圧源(第4の電圧源)、65 NMOSトランジスタ(第5のMOSトランジスタ)、66 NMOSトランジスタ(第6のMOSトランジスタ)、67 NMOSトランジスタ(第7のMOSトランジスタ)、68 NMOSトランジスタ(第8のMOSトランジスタ)、69 定電圧源(第5の電圧源)、70 定電圧源(第6の電圧源)、72,75 第2の差動信号源、73 定電圧源(第7の電圧源)、76 定電圧源(第8の電圧源)、77 NMOSトランジスタ(第9のMOSトランジスタ)、78 NMOSトランジスタ(第10のMOSトランジスタ)、79 NMOSトランジスタ(第11のMOSトランジスタ)、80 NMOSトランジスタ(第12のMOSトランジスタ)、81,82 出力端子

Claims (6)

  1. 第1のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第3のMOSトランジスタと、
    前記第1のMOSトランジスタのゲートに接続される第1の電圧源と、前記第2のMOSトランジスタのゲートに接続される第2の電圧源と、前記第3のMOSトランジスタのゲートに接続される第3の電圧源とを有して構成され、
    前記第2のMOSトランジスタと前記第3のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第2の電圧源の電圧値と前記第3の電圧源の電圧値とがおおよそ同一とされ、前記第1のMOSトランジスタから前記第3のMOSトランジスタのすべてが、NMOSトランジスタあるいはPMOSトランジスタのいずれか一方のMOSトランジスタとして与えられることを特徴とする掛け算器。
  2. 第1のMOSトランジスタが第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第2の電圧源および第3の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされることを特徴とする請求項1記載の掛け算器。
  3. 第1のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタと、前記第4のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第7のMOSトランジスタと、前記第7のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され前記第4のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第8のMOSトランジスタと、
    前記第1のMOSトランジスタのゲートに接続される第1の電圧源と、前記第2のMOSトランジスタのゲートに接続される第2の電圧源と、前記第3のMOSトランジスタのゲートに接続される第3の電圧源と、前記第4のMOSトランジスタのゲートに接続される第4の電圧源と、前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続される第5の電圧源と、前記第6のMOSトランジスタのゲートに接続される第6の電圧源とを有して構成され、
    前記第2の電圧源の電圧値、前記第3の電圧源の電圧値、前記第5の電圧源の電圧値および前記第6の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、
    前記第2のMOSトランジスタと前記第3のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第5のMOSトランジスタと前記第6のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第7のMOSトランジスタと前記第8のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、
    前記第1のMOSトランジスタから前記第8のMOSトランジスタのすべてが、NMOSトランジスタあるいはPMOSトランジスタのいずれか一方のMOSトランジスタとして与えられることを特徴とする掛け算器。
  4. 第1のMOSトランジスタが第2のMOSトランジスタおよび第3のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第4のMOSトランジスタが第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第1の電圧源の電圧値と第4の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされることを特徴とする請求項3記載の掛け算器。
  5. 第1のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第2のMOSトランジスタと、前記第2のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタと、第5のMOSトランジスタと、前記第5のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第6のMOSトランジスタと、前記第6のMOSトランジスタのソースにドレインが接続される第7のMOSトランジスタおよび第8のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第9のMOSトランジスタと、前記第9のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され前記第6のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第10のMOSトランジスタと、前記第5のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第11のMOSトランジスタと、前記第11のMOSトランジスタのソースにドレインが接続され前記第2のMOSトランジスタのソースにゲートが接続される第12のMOSトランジスタと、
    前記第1のMOSトランジスタのゲートに接続される第1の電圧源と、前記第2のMOSトランジスタのゲートに接続される第2の電圧源と、前記第3のMOSトランジスタのゲートに接続される第3の電圧源と、前記第4のMOSトランジスタのゲートに接続される第4の電圧源と、前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続される第5の電圧源と、前記第6のMOSトランジスタのゲートに接続される第6の電圧源と、前記第7のMOSトランジスタのゲートに接続される第7の電圧源と、前記第8のMOSトランジスタのゲートに接続される第8の電圧源とを有して構成され、
    前記第3の電圧源の電圧値、前記第4の電圧源の電圧値、前記第7の電圧源の電圧値および前記第8の電圧源の電圧値がおおよそ同一とされ、
    前記第3のMOSトランジスタと前記第4のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第7のMOSトランジスタと前記第8のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第9のMOSトランジスタと前記第10のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、前記第11のMOSトランジスタと前記第12のMOSトランジスタとがおおよそ同一のドレイン電流係数を有するように形成され、
    前記第1のMOSトランジスタから前記第12のMOSトランジスタのすべてが、NMOSトランジスタあるいはPMOSトランジスタのいずれか一方のMOSトランジスタとして与えられることを特徴とする掛け算器。
  6. 第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタが第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、第5のMOSトランジスタおよび第6のMOSトランジスタが第7のMOSトランジスタおよび第8のMOSトランジスタのドレイン電流係数のおおよそ2倍のドレイン電流係数を有するように形成され、
    第1の電圧源の電圧値と第5の電圧源の電圧値とがおおよそ同一とされ、第2の電圧源の電圧値と第6の電圧源の電圧値とがおおよそ同一とされ、前記第1の電圧源および前記第5の電圧源の電圧値と前記第2の電圧源および前記第6の電圧源の電圧値との電圧差が電源電圧値のおおよそ半分の電圧値とされることを特徴とする請求項5記載の掛け算器。
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