JP3084748B2 - 希土類永久磁石の製造方法 - Google Patents
希土類永久磁石の製造方法Info
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Description
を熱間で塑性加工を施して磁気的に異方性化するR−Fe
−B系希土類永久磁石の製造方法に関するものである。
ルニコ系鋳造磁石、フェライト磁石及び希土類−遷移金
属系磁石である。特に、R−Fe−B系永久磁石は、極め
て高い保磁力とエネルギー積を持つ永久磁石として、従
来から多くの研究開発がなされている。
磁石の製造方法には、次のようなものがある。
mura,N.Togawa,H.Yamamoto and Y.Matsuura;J.Appl.Phy
s.Vol.55(6),15 March 1984,P2083、等には、原子百
分比で8〜30%のR(但しRはYを包含する希土類元素
の少なくとも1種)、2〜28%のB及び残部Feから成る
磁気異方性焼結体であることを特徴とする永久磁石及び
それが粉末冶金法に基づく焼結によって製造されること
が開示されている。この焼結法では、溶解・鋳造により
合金インゴットを作製し、粉砕して適当な粒度(数μ
m)の磁性粉を得る。磁性粉は成形助剤のバインダーと
混練され、磁場中でプレス成形されて成形体が出来上が
る。成形体はアルゴン中で1100℃前後の温度で1時間焼
結され、その後室温まで急冷される。焼結後、600℃前
後の温度で熱処理する事により保磁力が向上する。この
焼結磁石の熱処理に関しては特開昭61−217540号公報、
特開昭62−165305号公報等に、多段階処理の効果が開示
されている。
l.Phys.Lett.Vol.46(8),15 April 1985,P790に
は、アモルファス合金を製造するに用いる急冷薄帯製造
装置でメルトスピニング法を用い、厚さ30μm程度の急
冷薄片を作り、その薄片を樹脂結合法で成形することに
より、希土類−鉄系磁石が製造されることが開示されて
いる。
eの論文には、高温処理によって異方性の永久磁石を作
る方法において、永久磁石が鉄−希土類金属であり、方
法が、鉄,ネオジムおよび/あるいはプラセオジムおよ
びホウ素を含む無定形ないし微細な結晶性の固体材料を
高温処理し、次いで塑性的に変形された物体を作り、そ
の物体を冷却し、得られる物体が磁気的に異方性であ
り、永久磁石特性を示すようにすることからなることを
特徴とする永久磁石の製造方法が開示されている。
急冷薄帯あるいは薄帯の片を、真空中あるいは不活性雰
囲気中で約700℃でホットプレスを行なって高密度化
し、次いで最初の厚みの1/2になるまで据え込み加工
(ダイアップセット)を行なうことにより、磁化容易軸
がプレス方向と平行に配向し、異方性化するものであ
る。また、特開平2−308512号公報には、超急冷法で作
成したR−Fe−B系合金粉末を圧密化した後、温間で塑
性変形させて異方性化し、再度温間でアーク状に成形す
る方法が開示されている。
RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)8原子
%〜30原子%、B 2原子%〜28原子%、Co 50原子%
以下、Al 15原子%以下、及び残部が鉄及びその他の製
造上不可避な不純物からなる合金を溶解および鋳造後、
該鋳造合金を夫々500℃以上の温度で、押出し加工、圧
延加工、スタンプ加工等の熱間加工を行うことにより、
結晶粒を微細化しまたその結晶軸を特定の方向に配向せ
しめて、該鋳造合金を磁気的に異方性化することを特徴
とする希土類−鉄系永久磁石が開示されている。また、
特開平2−250918号公報には、R−Fe−Bの鋳塊を金属
カプセルに封入し熱間圧延を施すことにより、板厚方向
に高い配向性を有する永久磁石をつくることができるこ
とが示されている。
には、(4)の方法でつくられた板状の該磁石材料を熱
間で曲げ加工を行うことによって成形する方法が示され
ている。また、特開平2−297910号公報には、鋳造合金
を熱間圧延を行なって配向させた後、プレスにより円弧
状に成形し、ラジアル異方性磁石をつくる方法が開示さ
れている。
の製造方法は、次の如き欠点を有している。
とを必須とするものであるが、R−Fe−B系合金は大変
酸素に対して活性を有するので、粉末化すると余計酸化
が激しくなり、焼結体中の酸素濃度はどうしても高くな
ってしまう。
ステアリン酸亜鉛のような成形助剤を使用しなければな
らず、これは焼結工程で前もって取り除かれるのである
が、成形助剤中の数割は、磁石体の中に炭素の形で残っ
ていまい、この炭素は著しくR−Fe−Bの磁気性能を低
下させ好ましくない。
ン体と言われ、これは大変脆く、ハンドリングが難し
い。従って焼結炉にきれいに並べて入れるのには、相当
の手間が掛かることも大きな欠点である。
系の焼結磁石の製造には、高価な設備が必要になるばか
りでなく、その製造方法は生産効率が悪く、結局磁石の
製造コストが高くなってしまう。従って、比較的原料費
の安いR−Fe−B系磁石の長所を活かすことが出来な
い。
を付与することも可能であるが、次の焼結工程で収縮が
おこるため、寸法精度が低い。また同じ理由で、割れが
起こりやすく歩留まりが非常に悪いという欠点があっ
た。
メルトスピニング装置を使用するが、この装置は、現在
では大変生産性が悪くしかも高価である。(2)の永久
磁石は、原理的に等方性であるので低エネルギー積であ
り、ヒステリシスループの角形性もよくないので、温度
特性に対しても、使用する面においても不利である。
二段階に使うというユニークな方法であるが、実際に量
産を考えると能率的でないことは否めないであろう。ま
た、特開平2−308512号公報には、超急冷法で作成した
R−Fe−B系合金粉末を圧密化した後、温間で塑性変形
させて異方性化し、再度温間でアーク状に成形する方法
が開示されているが、これは3段階のホットプレスを行
なうことになり非効率的である。更にこの方法では、高
温で結晶粒の粗大化が著しく、それによって保磁力iHc
が極端に低下し、実用的な永久磁石にはならない。ま
た、別の方法として、ホットプレスの後に後方押出しと
呼ばれる方法でラジアル異方性化することが可能であ
る。しかしながら、この方法は生産効率が悪い上に、つ
くられた磁石の機械的強度が低いという欠点を有する。
・コストの面で、特にラジアル異方性を有する高性能希
土類磁石の分野において、十分なレベルの磁石をつくる
ことができないという問題があった。
セルに密封して熱間加工するので大気中で加工できるた
め、加工時の雰囲気制御が不要で高価な設備を必要とし
ない。製造工程全体が簡略なため、製造コストが低い。
また、粉末工程を含まないため含有酸素濃度が低く耐食
性がよい。さらに、機械的強度が高く大型の磁石が製造
可能である等、多くの長所を有する。特に熱間加工の手
段として圧延を用いることにより、量産性が向上する。
しかしながら、このような製造方法は大型磁石の大量生
産には適しているが、複雑形状や円形・リング形状など
は、切削・研削時の加工コストがかかる上に歩留まりが
低く、全体の製造コストが高くなってしまうという問題
があった。
315397には板状の該磁石材料を熱間で曲げ加工を行うこ
とによって成形する方法が示されている。これは、該磁
石材料がきわめて脆いR2Fe14B金属間化合物を主相とし
てもちながら、低融点の粒界相を含み、高温において半
溶融状態にあるため、塑性変形しやすいという性質を利
用したものである。この曲げ加工は、寸法精度の高い成
形が可能であり、焼結法やダイアップセット法で困難だ
った高性能ラジアル異方性磁石の効率的生産が可能であ
る。この方法によってつくられた磁石は、高性能で機械
的強度が高いという鋳造及び熱間加工でつくられる磁石
の特徴をそのまま受け継いでいる。
上記曲げ加工は曲げ歪・歪速度・加工温度・板厚に依存
し、しばしば割れを生じやすいということがわかった。
また、高い磁気特性を得るためには、曲げ歪量・組成・
熱処理などの条件を規定する必要があることがわかっ
た。割れが発生しないように曲げ加工を行なうために
は、600〜1050℃の加工温度で、かつ歪速度を0.5/s以下
にしなければならないことが特願平2−315397に示され
ているが、特開平2−252222号公報には、曲げ加工条件
と割れや磁気特性との関連について詳細な記述がない。
特開平2−297910号公報には、鋳造合金に熱間圧延を施
して配向させた後、プレスにより円弧状に成形し、ラジ
アル異方性磁石をつくる方法が開示されているが、この
中で最適とされている条件について追試した結果、熱間
圧延時と曲げ加工時に割れが多く発生した。原因は圧延
時にシースを用いていないこと、圧下率が大きすぎるこ
と(80%)、加工温度が低いこと(800℃)である。
加工の欠点、特に曲げ加工条件や磁石合金の組織・組成
を詳細に規定することによって、磁気特性の劣化や割れ
の問題を解決するものであり、その目的とするところ
は、高性能かつ低コストの永久磁石を提供することにあ
る。
とも1種)、Fe(鉄)、B(ボロン)を基本構成成分と
する合金を、溶解・鋳造し、次いで熱間加工を行なって
異方性化した後、板状の該永久磁石材料を熱間で曲げ加
工を行う際、 (1)内周の曲率半径r、板厚tに対し、εmax=t/(2
r+t)で表わされる最大曲げ歪εmaxが0.2以下となる
ように成形すること。
s以下となるような加工速度で、最大歪量εmaxが0.05〜
0.2となるように成形すること。
り、ラジアル異方性を付与すること。
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) で表わされるとき、その組成が、 x−2z>0 y−14z>0 5≦100−17z≦35 で規定されること。
m以下であること。
と。
〜24時間、200〜700℃で2〜24時間熱処理を行い、その
ときの冷却速度が20℃/分以下であること。
塗布すること。
石を作製するにあたり、割れのない高性能磁石を作製す
るための詳細な条件について説明する。
要がある。曲げ加工では、板圧の中央に中立面があり、
その内側で圧縮変形、外側で引っ張り変形が起こってい
る。板幅方向の歪は無視できるほど小さいとすれば、中
立面に対する圧縮歪・伸び歪が曲げ歪に相当すると考え
られる。曲げ歪は板材の内側と外側の表面で最大とな
り、内周の曲率半径r、板厚tに対し、最大曲げ歪ε
maxは、 εmax=t/(2r+t) で表わされる。割れが発生する最大曲げ歪の限界値は、
加工温度と速度に依存する。温度は1050℃を上限とし高
いほど、また歪速度は小さいほど、最大曲げ歪の限界値
は大きくなる。多くの実験を行なった結果、最大曲げ歪
は0.2が限界であることがわかった。これよりも大きな
歪に達すると割れが発生しやすくなるばかりか、曲げ歪
により、圧延やプレスで得られた高い配向性が乱されて
しまう。
の場合には、加工温度、歪速度が限定される。本発明の
R−Fe−B系永久磁石は、主に主相であるR2Fe14B金属
間化合物とRリッチ相から成り立っている。熱間で塑性
変形を起こす際には通常の金属や合金と異なり、ほとん
ど粒界すべりによるものと考えられている。均一な変形
のためには歪速度が十分に小さいこと、なるべく高温で
変形抵抗を小さくすることが必要である。すなわち、最
大曲げ歪が0.05以上である場合には、加工温度が少なく
とも900℃以上必要である。上限は1050℃で、それを越
えると粒成長が起こり、磁気特性が著しく低下する。
場合には、加工初期において歪速度は最大になる。この
段階においては、3点曲げと同じ状況にあるので簡単に
歪速度を計算することができる。その歪速度は、板厚を
t、加工速度(パンチの下降速度)をv、3点曲げのス
パンをLとすると、 6tv/L2 で表わされる。この歪速度が1×10-3/s以下であればク
ラックはほとんど生じない。ただし、このような条件下
であっても、歪が0.2を越えるとクラックが生じるよう
になり、歩留まりが著しく低下する。
加工によってできる円弧形状の径方向に一致させること
によってラジアル異方性磁石ができる。熱間加工方法と
して、圧延を採用することにより大型の板状磁石が大量
に製造できるため、その後の曲げ加工によりラジアル異
方性磁石の大量生産が可能で製造コストが低くなる。ま
た、圧延により板厚方向に一旦配向させ、その後、曲げ
加工によって円弧等の形状に成形するため、配向性がよ
い。そのため、磁気特性が高く、25MGOeを越える(BH)
maxが得られる。
石の組成を規定する。希土類としては、Y,La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luが候補として挙げら
れ、これらのうちの1種あるいは2種以上を組み合わせ
て用いる。最も高い磁気性能はPで得られるので、実用
的には Pr,Pr−Nd合金,Ce−Pr−Nd合金等が用いられ
る。少量の重希土元素、例えばDy,Tb等は保磁力の向上
に有効である。
が8原子%未満では、もはや上記化合物を形成せず高磁
気特性は得られない。一方Rが30原子%を越えると非磁
性のRリッチ相が多くなり磁気特性は著しく低下する。
よってRの範囲は8〜30原子%が適当である。しかし高
い残留磁束密度のためには、好ましくはR8〜25原子%が
適当である。
2原子%未満では菱面体のR−Fe系になるために高保磁
力は望めない。また28原子%を越えるとBに富む非磁性
相が多くなり、残留磁束密度は著しく低下してくる。し
かし高保磁力を得るためには、好ましくはBは8原子%
以下がよく、それ以上では微細なR2Fe14B相を得ること
が困難で、保磁力は小さい。
系磁石のキュリー点を増加させるのに有効な元素である
が、保磁力を小さくするので50原子%以下がよい。Cu,A
g,Au,Pd,Ga等のRリッチ相とともに存在し、その相の融
点を低下させる元素は、保磁力の増大効果を有する。し
かし、これらの元素は非磁性元素であるため、その量を
増すと残留磁束密度が減少するので、6原子%以下が好
ましい。
の組成が RxFeyBzM100-x-y-z (但し、MはFe以外の遷移金属元素及びAl、Ga、In、S
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) で表わされるとき、 x−2z>0 y−14z>0 5≦100−17z≦35 で規定される組成域であることが望ましい。x−2z≦
0、y−14z≦0となる組成域では、Bリッチ相が出現
し、これが熱間加工中の変形を阻害し、熱間加工中およ
び曲げ加工中の割れを引き起こす。また、磁気特性低下
の原因にもなる。磁性相であるR2Fe14B相は硬くてもろ
いため塑性変形が困難であり、熱間で曲げ加工を行なう
ためには低融点の粒界相の存在が必要である。しかし、
100−17z>35である場合には、粒界相の比率が高過ぎる
状態であり、R2Fe14B相の比率が少なく、高い残留磁束
密度を得ることができなくなり、磁気性能が低下する。
また、100−17z<5の場合には、粒界相量が塑性変形を
行なうのに十分ではなく、変形が阻害されるため、曲げ
加工時に割れを起こす原因となる。従って、板状の磁石
合金を対し割れを起こすことなく熱間での曲げ加工を行
なうためには、5≦100−17z≦35となる組成域であるこ
とが更に望ましい。
規定する。すなわち、曲げ加工前の磁石合金の平均結晶
粒径が40μm以下であれば容易に、いかも割れが生じる
ことなく加工を行なうことができる。また、熱間加工後
に粒成長を起こすような工程、例えば圧延後に1100℃以
上で長時間熱処理するような工程を含まないようにする
ことで、結晶粒の成長による加工性の低下を防ぎ、曲げ
加工を容易にし、割れの発生を抑えることができる。
が得られる。曲げ加工後の熱処理温度は、残留歪の緩和
や、粒界の清浄化及び初晶のFeを拡散させることにより
高い保磁力を得るために、250℃以上が好ましい。ま
た、1100℃を超える温度では、R2Fe14B相が急激に粒成
長して保磁力を失うのでそれ以下の温度が好ましい。熱
処理後、合金の酸化を防ぐため、雰囲気はアルゴン等の
不活性ガスであることが望ましい。
より、さらに高い保磁力とエネルギー積が得られる。ま
た、その時の冷却速度を20℃/分以下にすることにより
熱収縮による割れの発生が抑えられる。まず、1段目の
熱処理は500〜1100℃で2〜24時間必要である。この段
階で、粒界の清浄化や初晶のFeの拡散が起こる。500℃
未満では十分な拡散が起こらず、1100℃を超えると粒成
長が起こって、保磁力が低下する。2段目は200〜700℃
で2〜24時間必要である。この段階で粒界に非磁性相が
析出し、高い保磁力が得られるようになる。最適な熱処
理温度は添加元素の有無またはその種類により異なる
が、Cuを添加をした場合、450〜550℃で最も効果があ
る。曲げ加工後の冷却速度は20℃/分以下であることが
望ましい。これよりも速いと、熱収縮により割れが発生
しやすくなる。
により、高温・大気中においても材料の酸化を抑える効
果があり、該磁石材料の大気中での曲げ加工を可能に
し、その結果曲げ加工コストを低く抑えることができ
る。耐酸化性コーティング用潤滑剤はグラファイト系と
ガラス系の2種類がある。いずれも高温で安定した潤滑
の効果を持ち、歪と集中を防止しクラックの発生を抑え
るとともに、離型剤としての効果もある。グラファイト
は高温で用いる場合はガラスを混ぜて使用する。グラフ
ァイトはその表面に酸素を吸着することにより、材料へ
の酸素の供給を抑える。ガラス系潤滑剤は高温で溶融し
材料を覆うことによって外気と遮断することで酸化を抑
える。
あり、図2は、本発明の実施例における曲げ加工により
ラジアル異方性が付与される場合の概略図。図2(a)
は曲げ加工前、図2(b)は曲げ加工後の状態を表わす
図である。
例にについて述べる。
76.5B5Cu1.5なる組成の合金を溶解し、次いで鋳造し、
柱状晶組織から成る平均粒径15μmの、長さ150mm×高
さ140mm×厚さ20mmの鋳造インゴットを得た。この時、
希土類、鉄及び銅の原料としては99.9%の純度のものを
用い、ボロンはフェロボロンを用いた。
m×厚さ18mmのビレットを切断・研削加工により切り出
し、図1に示すように、このビレット3をSS41製のシー
ス2に入れて脱気し溶接により密閉し、これを950℃の
炉で1時間加熱し、直径300mmのロール1が取り付けら
れた圧延機で、1パスの圧下率が30%の圧延を4回行な
った。ロール周速度は10m/min、圧延による総加工度は7
6%であった。この圧延加工により、板厚方向と平行に
磁化容易軸が配向した。冷却後シース2をとり除き、機
械加工により幅10mm×長さ40mm×厚さt(t=2,3,4,5,
6mm)の板状サンプル5を作製した。
に加熱した後、同温度に加熱した曲げ加工金型を用いて
プレス曲げ加工を行い、内周の曲げ半径10mmの円弧状磁
石を得た。歪速度は1×10-4/sとした。
時間、それぞれアルゴン雰囲気中で熱処理を行った後、
所望の形状に切り出し4テスラのパルス磁界で着磁を行
い、VSM及びBHトレーサにより磁気特性を測定した。
れが生じることがわかる。また、配向性の乱れにより磁
気特性も低くなっている。
械加工により、幅10mm×長さ30mm×厚さ2mmの板状サン
プルを作製した。
雰囲気中で、プレス曲げ加工を行い、歪量2,5,15,25%
の円弧状磁石に成形した。その結果を表2に示す。ここ
で、成功数とは全試験数のうち割れが生じることなく加
工が完了したサンプルの数である。
500℃で2時間熱処理をした後、切断機にて2mm角の立方
体状に切り出し、4テスラのパルス磁界で着磁し、VSM
にて板厚方向の磁気特性を測定した。その結果を同表に
示す。
くは1000℃以上必要であることがわかる。ただし、歪量
が0.2を越える場合は、加工温度とは無関係に割れが発
生している。また、磁気特性に関しては加工温度の影響
はほとんど見られないが、歪量が0.2を越えると配向性
の乱れにより磁気特性は著しく劣化することがわかる。
加工により幅10mm×長さ30mm×厚さ4mmの板状サンプル
を作製した。この板状サンプルをアルゴン雰囲気中で10
00℃に加熱し、歪速度を変えてプレス曲げ加工を行い、
歪量が2%、5%、15%、25%の円弧状磁石に成形し
た。その結果を表3に示す。ここで、成功数とは全試験
数のうち割れが生じることなく加工が完了したサンプル
の数である。
間、500℃で2時間熱処理をした後、切断機にて2mm角の
立方体状に切り出し、4テスラのパルス磁界で板厚(ラ
ジアル)方向に着磁し、VSMにて磁気特性を測定した。
その結果を同表に示す。
ば、割れを起こすことなく曲げ加工が可能である。ただ
し、歪量が0.2を越える場合は、歪速度を遅くした効果
がほとんど見られず、磁気特性の劣化も大きくなってい
る。
加工により幅10mm×長さ30mm×厚さ4mmの板状サンプル
を作製した。図2に示すように、この板状サンプル5を
アルゴン雰囲気中で1000℃に加熱し、同温度に加熱した
円弧状の金型4の径方向と板厚方向が一致するように曲
げ加工を行い、内径38、25、18mmの円弧状磁石6に成形
した。この時の歪速度は3×10-4/sとした。その結果、
割れのない良好な円弧状磁石が成形できた。これをアル
ゴン雰囲気中において、1000℃で2時間、500℃で2時
間熱処理をした後、切断機にて2mm角の立方体状に切り
出し、4テスラのパルス磁界で着磁し、VSMにて3方向
の磁気特性を測定した。その結果を以下に示す。ここ
で、板厚(ラジアル)方向をr方向、長さ(円周)方向
をθ方向、板幅方向をz方向、とした。
方性を有していることがわかる。また、その配向性はき
わめて良好なものである。
組成の合金を溶解・鋳造し、長さ150mm×高さ140mm×厚
さ20mmの鋳造インゴットを得た。以後実施例1と同様に
熱間圧延を行うことによって、板厚方向に異方性化させ
た幅10×長さ40×厚さ5mmの板状の磁石を得た。図2に
示すように、この板状サンプル5をアルゴン雰囲気中で
1000℃に加熱し、同温度に加熱した円弧状の金型4の径
方向と板厚方向が一致するように曲げ加工を行い、内径
40mmの円弧状磁石6に成形した。この時の歪速度は3×
10-4/sとした。その結果、割れのない良好な円弧状磁石
が成形できた。これをアルゴン雰囲気中において、1000
℃で2時間、500℃で2時間熱処理をした後、切断機に
て2mm角の立方体状に切り出し、4テスラのパルス磁界
で着磁し、BHトレーサにて径方向の磁気特性を測定し
た。その結果を以下に示す。
磁気特性を有していることがわかる。
組成の合金を溶解し、鋳造した。
するための式、 RxFeyBzM100-x-y-z (但し、MはFe以外の遷移金属元素及びAl、Ga、In、S
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) に準ずるものである。
られた圧延磁石から、幅10mm×長さ40mm×厚さ4mmのサ
ンプルを切り出した。この板状サンプルをアルゴン雰囲
気中で1000℃に加熱した後、加工速度0.4mm/min(歪速
度1×10-4/s)でプレス曲げ加工を行ない、外径28mm、
内径24mmの円弧状磁石に成形した。その結果を表7に示
す。ここで成功数とは、曲げ加工完了後、割れが観察さ
れなかったものの数である。さらに、これをアルゴン雰
囲気中において、1000℃で2時間、500℃で2時間熱処
理をした後、切断機にて2mm角の立方体状に切り出し、
4テスラのパルス磁界で着磁しVSMにて径方向の磁気特
性を測定した。その結果を同表に示す。
おいて、その組成が、 x−2z≧0 y−14z≧0 で規定された範囲内にあるNo.3〜8は、曲げ加工時に割
れが発生しないのに対し、この範囲を外れているNo.1〜
2は、曲げ加工時に割れが発生し、また磁気性能も低
い。
組成の合金を溶解し、鋳造した。
の式、 RxFeyBzM100-x-y-z (但し、MはFe以外の遷移金属元素及びAl、Ga、In、S
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) に準ずるものである。これらの組成は、実施例6におい
て曲げ加工中の割れの発生を抑える効果が確認された、 x−2z≧0 y−14z≧0 の範囲を満たしている。
られた圧延磁石から、幅10mm×長さ40mm×厚さ2mm及び4
mmの板状サンプルを切り出した。この板状サンプルをア
ルゴン雰囲気中で1000℃に加熱した後、加工時の歪速度
が1×10-4/sでプレス曲げ加工を行ない、曲げ歪8%の
円弧状磁石に成形した。曲げ加工においては、同一条件
で6サンプルの加工を行なった。その結果を表9に示
す。ここで成功数とは、同一条件で曲げ加工を行なった
6サンプルの内、割れが生じることなく加工が完了した
サンプルの数である。
2時間、500℃で2時間熱処理をした後、切断機にて2mm
角の立方体状に切り出し、4テスラのパルス磁界で着磁
し、VSMにて径方向の磁気特性を測定した。その結果を
同表に示す。
おいて、その組成が、 5≦100−17z≦35 で規定された範囲内にあるNo.2〜7は、曲げ加工時にお
ける割れの発生を防ぐことができ、かつ高い磁気特性が
得られている。
組成の合金を溶解し、鋳造した。
するための式、 RxFeyBzM100-x-y-z (但し、MはFe以外の遷移金属元素及びAl、Ga、In、S
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) に準ずるものである。
られた圧延磁石から、幅10mm×長さ40mm×厚さ4mmのサ
ンプルを切り出した。この板状サンプルをアルゴン雰囲
気中で1000℃に加熱した後、加工速度0.4mm/min(歪速
度1×10-4/s)でプレス曲げ加工を行い、外径28mm、内
径24mmの円弧状磁石に成形した。曲げ加工後のサンプル
は、クラックの有無にかかわらず、 a)1025℃×6時間+500℃×2時間の熱処理を行なっ
て、 b)そのまま熱処理はせず、 切断機にて2mm角の立方体状に切り出し、4テスラのパ
ルス着磁で着磁し、VSMにて径方向の磁気特性を測定し
た。その結果を表11に示す。
いて、その組成が、 x−2z≧0 y−14z≧0 5≦100−17z≦35 で規定された範囲内にあるNo.4〜9は、曲げ加工後でも
高い磁気特性をもつ。さらに、曲げ加工後250℃〜1100
℃の温度範囲内の温度で熱処理することにより、保磁
力、最大エネルギー積は向上していることがわかる。
組成の合金を溶解し、鋳造した。
られた圧延磁石に対し、a)熱処理を施さずに、b)10
80℃×24時間の熱処理を施した後、幅10mm×長さ40mm×
厚さ4mmのサンプルを切り出した。この板状サンプルを
アルゴン雰囲気中で1000℃に加熱した後、加工速度1.20
mm/min(歪速度3×10-4/s)でプレス曲げ加工を行な
い、外径25mm、内径21mmの円弧状磁石に成形した。その
結果を表13に示す。ここで、成功数とは加工によりクラ
ックが発生することなく曲げ加工が完了したサンプルの
数である。
ものは、加工性が悪く、曲げ加工で割れが生じているこ
とがわかる。また、熱処理を行なうことにより結晶粒が
成長し、加工性の劣化を招いていることがわかる。
78.2B5.1Cu1.2なる組成の合金を溶解し、鋳造した。以
後実施例1と同様に熱間圧延を行うことによって得られ
た圧延磁石から、幅10mm×長さ40mm×厚さ2mm〜6mmの板
状サンプルを切り出した。この板状サンプルをアルゴン
雰囲気中で1000℃に加熱した後、加工時の歪速度を変化
させてプレス曲げ加工を行ない、曲げ歪7.5%の円弧状
磁石に成形した。この時、1条件につき6サンプルの加
工を行ない、次の2種類の工程をとった。
し、曲げ加工を行なった。さらに、1050℃×12時間+50
0℃×6時間の熱処理を行なった。このときの曲げ加工
前の平均粒径は10.2μmであった。
後、サンプルを切り出し、曲げ加工を行なった。さら
に、500℃×6時間の熱処理を行なった。このときの曲
げ加工前の平均粒径は45.0μmであった。
件で加工を行なった6サンプルのうち、割れが生じるこ
となく曲げ加工が完了したサンプルの数である。
テスラのパルス磁界で着磁し、VSMにて径方向の磁気特
性を測定した。その結果を同表に示す。
程を含まないようにして熱間で曲げ加工することによ
り、結晶粒の成長による加工性の劣化が起こらず、曲げ
加工時における割れの発生を防ぐことができ、また、高
い磁気特性が得られることは明らかである。
B5.1Cu1.2なる組成の合金を溶解し・鋳造し、以後実施
例1と同様に熱間圧延を行った。さらに、 1)熱処理を施さずに、 2)1050℃×12時間の熱処理を施し、 得られた圧延磁石から、幅10mm×長さ40mm×厚さ4mmの
板状サンプルを切り出した。この板状サンプルをアルゴ
ン雰囲気中で1000℃に加熱した後、歪速度1.0×10-4/s
でプレス曲げ加工を行い、曲げ歪7.5%の円弧状磁石に
成形した。曲げ加工後のサンプルは、クラックの有無に
かかわらず、 a)1025℃×6時間+500℃×2時間の熱処理を行なっ
て、 b)そのまま熱処理はせず、 切断機にて2mm角の立方体状に切り出し、4テスラのパ
ルス着磁で着磁し、VSMにて径方向の磁気特性を測定し
た。その結果を表15に示す。
程を含まないようにして熱間で曲げ加工したものについ
ては、高い磁気特性が得られている。さらに、曲げ加工
後に250℃〜1100℃の温度範囲内の温度で熱処理するこ
とにより、保磁力、最大エネルギー積は向上しているこ
とがわかる。
組成の合金を溶解し、鋳造した。以後実施例1と同様に
熱間圧延を行うことによって得られた圧延磁石を用いて
機械加工により幅10mm×長さ40mm×厚さ2mmの板状サン
プルを作製した。この板状サンプルをアルゴン雰囲気中
において1000℃に加熱した後、プレス曲げ加工を行い、
内周の曲げ半径30mmの円弧状磁石に成形した。
表2に示す冷却速度で500℃まで冷却し、500℃で2時間
熱処理した後、同じ冷却速度で室温まで下げた。それ
を、切断機にて2mm角の立方体状に切り出し、4テスラ
のパルス磁界で着磁し、VSMにて径方向の磁気特性を測
定した。サンプルの割れの有無と磁気特性を表16に示
す。
以下の速度であれば、クラックは発生しないことがわか
る。
機械加工により幅10mm×長さ40mm×厚さ2mmの板状サン
プルを作製し、そのいくつかにグラファイト系及びガラ
ス系の耐酸化コーティング用潤滑剤をスプレーによって
塗布した。次に、大気中において1000℃に加熱し、プレ
ス曲げ加工行なって、内周の曲げ半径が30mmの円弧状磁
石を作製した。
化を測定した。また、1000℃にて2時間、500℃にて2
時間、アルゴン雰囲気中で熱処理を行った後、切断機に
て2mm角の立方体状に切り出し、4テスラのパルス磁界
で着磁し、VSMにて径方向の磁気特性を測定した。その
結果を表17に示す。
抑えられ、また磁気特性の劣化も防止する効果が見られ
る。また、潤滑及び離型の効果も良好で、金型の損傷も
ほとんどなかった。
方法は、次の如き効果を奏するものである。
セット法と比較して、製造プロセスが簡単であり、加工
工数及び生産投資額を著しく低減させることが出来るた
め、低コストの磁石をつくることができる。
セット法でつくられる円弧状磁石と比較して、寸法精
度、機械的強度、ラジアル異方性の高い高性能磁石がで
きる。また、粉末工程を含まないため、酸素含有量が少
なく耐食性にすぐれている。
曲げ加工条件や、磁石合金の組成・粒径を詳細に規定す
ることによって、割れのない成形が可能である。
方性磁石をつくることができる。
い保磁力とエネルギー積が得られる。
気中での曲げ加工が可能になるため、炉や加工機の雰囲
気管理が不要となり、加工コストを下げることができ
る。
Claims (8)
- 【請求項1】R(RはYを含む希土類元素のうち少なく
とも1種)、Fe(鉄)、B(ボロン)を基本構成成分と
する合金を、溶解・鋳造し、次いで熱間加工を行なって
異方性化した後、板状の該永久磁石材料を熱間で曲げ加
工を行うことにより、内周の曲率半径r、板厚tに対
し、 εmax=t/(2r+t) で表わされる最大曲げ歪εmaxが0.2以下となるように成
形することを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。 - 【請求項2】上記の曲げ加工工程で、900〜1050℃の温
度において、歪速度が1×10-3/s以下となるような加工
速度で曲げ加工を行なうことにより、内周の曲率半径
r、板厚tに対し、 εmax=t/(2r+t) で表わされる最大歪量εmaxが、0.05〜0.2となるように
成形することを特徴とする請求項1記載の希土類永久磁
石の製造方法。 - 【請求項3】上記永久磁石合金を、溶解・鋳造し、熱間
圧延によって板厚方向に異方性化し、次いで熱間で曲げ
加工により成形する際、曲面の径方向と板厚方向を一致
させることにより、ラジアル異方性を付与することを特
徴とする請求項1記載の希土類永久磁石の製造方法。 - 【請求項4】上記曲げ加工に用いる永久磁石合金の組成
が原子%で、 RxFeyBzM100-x-y-z (但し、MはFe以外の遷移金属元素及びAl、Ga、In、S
i、Snの内少なくとも1種で、100−x−y−z=0であ
る場合を含む) で表わされるとき、 x−2z>0 y−14z>0 5≦100−17z≦35 で規定されることを特徴とする請求項1記載の希土類永
久磁石の製造方法。 - 【請求項5】上記永久磁石合金の曲げ加工前の平均結晶
粒径が40μm以下であることを特徴とする請求項1記載
の希土類永久磁石の製造方法。 - 【請求項6】上記曲げ加工後、250〜1100℃において熱
処理する事を特徴とする請求項4及び5記載の希土類永
久磁石の製造方法。 - 【請求項7】上記曲げ加工後、冷却することなく500〜1
100℃で2〜24時間、200〜700℃で2〜24時間熱処理を
行い、そのときの冷却速度が20℃/分以下であることを
特徴とする請求項1記載の希土類永久磁石の製造方法。 - 【請求項8】上記曲げ加工を行なう際、板状の該永久磁
石材料に耐酸化性コーティング用潤滑剤を塗布すること
を特徴とする請求項1記載の希土類永久磁石の製造方
法。
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