JP3018927B2 - コーティングフィルムの製造方法 - Google Patents

コーティングフィルムの製造方法

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JP3018927B2 JP6278138A JP27813894A JP3018927B2 JP 3018927 B2 JP3018927 B2 JP 3018927B2 JP 6278138 A JP6278138 A JP 6278138A JP 27813894 A JP27813894 A JP 27813894A JP 3018927 B2 JP3018927 B2 JP 3018927B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大気中の湿分と反応し
易い加水分解性基を有する有機金属化合物系コーティン
グ組成物を、フィルム基材に安定性良好に成膜させるコ
ーティングフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の気体
の透過度が極めて小さいガスバリア材は包装用材料等の
分野において需要が増大している。本発明者等は、有機
金属化合物系のコーティング用組成物が、成膜性が良好
で、しかも緻密な架橋構造を形成して塗膜強度等に優れ
ることを見出し、該組成物を用いてガスバリア材として
有用なコーティングフィルムを製造する検討を行ってき
た(例えば、特願平6−231546号)。
【0003】一般的に、フィルム基材上にコーティング
膜を形成させるためには、比較的低粘度のコーティング
液をパンに入れ、アプリケーターロールを用いて塗工す
る方法(図2)や、比較的高い粘度のコーティング液を
隣接するロール間から塗工する方法、あるいはスプレー
ノズル等を用いて塗工する方法がある。
【0004】本発明で使用されるコーティング用組成物
は、大気中の湿分によって加水分解縮重合が進行すると
いう特徴を有している。このため前述のロールを用いて
塗工する方法は、コーティング液が常に大気にさらされ
ていることから、本発明の組成物の場合は、塗工中にコ
ーティング液の粘度が上がったり、固形分濃度が変化し
たり、ゲル化したりするという不都合があって採用でき
ない。またスプレー塗工法は密封系ではあるけれども、
接着剤の様に緻密な膜形成を必要としない場合には有効
であるが、本発明で意図するようなガスバリア性コーテ
ィング膜を形成するには、得られる膜の均一性・連続性
が不足するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、大
気中の水分と反応し易いコーティング用組成物を、均一
にフィルム基材上に成膜させるためのコーティングフィ
ルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のコーティングフ
ィルムの製造方法は、溶媒と下記一般式で示される有機
金属化合物(I)とを含むコーティング用組成物を、 R1 mM(OR2n ……(I) (式中Mは金属元素を表わし、R1は同一または異なっ
ていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基
または不飽和脂肪族残基を表わし、R2は同一または異
なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基またはア
シル基を表わし、これらのR1、R2はいずれも任意の官
能基で置換されていてもよい。mは0または正の整数、
nは1以上の整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と
一致する)密封系押出装置内で加圧し、広幅の吐出口か
ら走行するフィルム基材面に向けて押出し、成膜すると
ころに要旨を有する。上記有機金属化合物(I)が、官能
基としてアミノ基を有するシラン化合物であること、コ
ーティング用組成物中に、さらにアミノ基および/また
は−M(OR2)基(MおよびR2の意味は前記の通り)
との反応性を有する化合物(II)を含むこと、該化合物(I
I)が、芳香環もしくはその水素添加環を有する化合物で
あることは、本発明で製造されるコーティングフィルム
のガスバリア性、成膜性、耐水性等の塗膜特性を優れた
ものにするための好ましい実施態様である。
【0007】
【作用】本発明の製造方法では、コーティング用組成物
を、密封系押出装置で加圧し広幅の吐出口から、吐出口
先端に接近して走行しているフィルム基材面に向けて押
出して、これを成膜させるところにポイントを有する。
図1には、塗工状態を説明する側面図を示した。1は密
封系押出し装置、2は吐出口、3はフィルム基材、4は
コーティング膜である。
【0008】密封系押出し装置としては、コーティング
用組成物が大気と触れることのない様に密封されていれ
ば問題ない。図例では、密封系押出し装置はタンク5
と、加圧のための窒素ガス導入管6から構成されてい
る。加圧手段としては、本発明で用いられるコーティン
グ用組成物が低粘度なため、窒素ガス等の不活性気体
や、水分を含まない乾燥エアーを圧縮させてまたは圧縮
せずに送り込む方法、圧力ポンプを用いる方法等が採用
できる。吐出口は、通常フィルム成形用として用いられ
るようなフラットダイである。
【0009】本発明法では、乾燥後のコーティング膜の
厚さは、コーティング用組成物の固形分濃度と、フィル
ム基材の走行速度、吐出口径aと、フィルム基材と吐出
口先端との距離bによって適宜設定される。走行速度
は、一般的には10〜300m/sである。本発明では
コーティング用組成物はそのままフィルム基材面上に転
写され、さらにナイフやブレード等で厚みを調節しなく
てもよい。
【0010】好ましいコーティング膜の厚さは、乾燥状
態で0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μ
mである。0.1μmより薄く均一に塗布することは難
しくピンホールが発生し易いと共に、ガスバリア性等の
物性が発現しにくい。一方20μmより厚くすると、コ
ーティング膜にクラックが生じ易くなるので好ましくな
い。
【0011】コーティング膜の乾燥は、塗工工程に引き
続いて行い、40℃以上で加熱される様に調節した加熱
炉を通すことによって行われる。好ましい加熱温度は5
0℃〜120℃である。コーティング膜の加水分解縮重
合を促進させ、緻密な膜を形成するために、5%RH以
上の加湿を、加熱と共に、もしくは加熱の前あるいは後
に行うことが好ましい。
【0012】フィルム基材の素材としては特に限定され
ないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合
体;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレ
ン-2,6- ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートや
これらの共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリオキシ
メチレン;ポリアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
酢酸ビニル、ポリカーボネート、セロファン、ポリイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルホン、ポ
リスルホン、ポリエーテルケトン、アイオノマー樹脂、
フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂;メラミン樹脂、ポリウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、珪素樹脂等
の熱硬化性樹脂等が挙げられ、これらは公知の添加剤を
含んでいてもよく、コロナ処理等の表面活性化処理や、
ウレタン樹脂等の公知のアンカー処理を行ったものでも
よい。また紙を利用することもできる。
【0013】本発明法で用いられるコーティング用組成
物は、必須成分として、下記一般式で表される有機金属
化合物(I) を含むものである。 R1 mM(OR2)n ……(I) (式中Mは金属元素を表わし、R1 は同一または異なっ
ていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基
または不飽和脂肪族残基を表し、R2 は同一または異な
っていてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシ
ル基を表し、これらのR1 、R2 はいずれも任意の官能
基で置換されていてもよい。mは0または正の整数、n
は1以上の整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と一
致する) 有機金属化合物(I) は、水分の存在で加水分解縮重合を
起こし、緻密な3次元骨核を構成する。従って得られる
塗膜は、ガスバリア性、耐擦傷性、耐汚染性、耐溶剤
性、耐熱性等に優れたものとなる。
【0014】具体例としては、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプ
ロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチ
ルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン
類;チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライ
ソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のチタ
ニウムアルコキシド類;ジルコニウムテトラエトキシ
ド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウ
ムテトラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド類;
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプ
ロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニ
ウムアルコキシド類;テトラアセトキシシラン、メチル
トリアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;トリメ
チルシラノール等のシラノール類が利用できる。
【0015】また、官能基としてアミノ基を有する有機
シラン化合物は、成膜性に優れており、ガスバリア性に
優れたコーティング膜を形成するため、有機金属化合物
(I)の中でも好ましく使用される。アミノ基を有する有
機シラン化合物の例としては、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリイソプロ
ポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルメチルジブトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチル
ジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルエチルジイソプロポキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−ア
ミノプロピルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチ
ルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジイソ
プロポキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジブトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリアセトキシシラン、
γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキ
シシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げ
られ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
【0016】アミノ基含有有機シラン化合物を有機金属
化合物(I) の一部として使用する場合、アミノ基含有シ
ラン化合物を予め加水分解縮合させた後、他の有機金属
化合物(I) と混合することが好ましい。コーティング用
組成物の安定性が向上するためである。
【0017】本発明のコーティング用組成物には、さら
にアミノ基および/または−M(OR2 )(MおよびR
2 は前記の通り)との反応性を有する化合物(II)を含有
させてもよい。具体的には、有機シラン化合物中のアミ
ノ基との反応性を有する官能基、あるいは−M(OR
2 )との反応性を有する官能基を分子内に持つ化合物が
好ましい。該官能基とは、グリシジル基、イソシアネー
ト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキサゾリニ
ル基等が挙げられる。これらの官能基は、コーティング
膜形成時に有機金属化合物(I) やアミノ基含有シラン化
合物と架橋反応する働きを有しており、得られるコーテ
ィング膜の可撓性、耐水性、成膜性が向上する。架橋効
果を上げるためには官能基が2個以上存在していること
が好ましい。これらの官能基は化合物(II)中において同
一であっても異なっていてもよい。反応性の点からはグ
リシジル基またはイソシアネート基が好ましい。また塗
膜の耐水性および耐湿性をさらに向上させるためには、
化合物(II)が芳香環またはその水素添加環を有している
ことが好ましい。
【0018】本発明で利用できる化合物(II)の具体例と
しては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレング
リコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グ
リセロールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジグリシジ
ルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、
ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジ
ルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポリグ
リシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、o−フタル酸ジグリシジルエステル等の脂肪族およ
び芳香族ジグリシジルエステル類;ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテ
ル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシ
ジルエーテル、および次式で表される化合物類
【0019】
【化1】
【0020】等の芳香環またはその水素添加環(核置換
誘導体も含む)を有するグリシジル類;あるいはグリシ
ジル基を官能基として有するオリゴマー類(例えばビス
フェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーの場合は
下式の様に表わせる);
【0021】
【化2】
【0022】ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ト
リフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類;
酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアクリル
酸等の含カルボキシル基重合体;オキサゾリニル基含有
重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上
を用いることができる。
【0023】有機金属化合物(I) [以下、アミノ基を含
有する有機シラン化合物も含めて有機金属化合物(I) と
いう]は単独で加水分解縮合反応を起こすが、化合物(I
I)はこれらの金属化合物に対して架橋剤的役割を果た
し、塗膜の3次元網目構造に可撓性を付与する効果を有
する。すなわち架橋点間の分子量をバランス良くとる働
きを有するので、有機金属化合物(I) 量に対して0.1
重量%以上用いることが推奨される。0.1重量%より
少ないと、コーティング膜の可撓性が不充分となる。よ
り好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは10重量
%以上用いる。一方、化合物(II)が多くなり過ぎると、
有機金属化合物(I) に由来する性能であるガスバリア性
や、その他耐水性、耐薬品性、耐候性、耐熱性等が悪化
してしまうため、化合物(II)の上限は有機金属化合物
(I) に対して300重量%とすることが望まれる。好ま
しくは200重量%以下、より好ましくは80重量%以
下とする。
【0024】本発明で用いられるコーティング用組成物
は、必須成分である有機金属化合物(I)と必要に応じて
用いられる化合物(II)だけで構成されていても液体状態
であるためこのまま塗工できるが、後述の溶媒による溶
液状態で塗工するとよい。溶液状態の組成物の固形分濃
度は5〜50重量%とすることが好ましい。5重量%よ
り少ないと厚ぬりが難しく、50重量%を超えると保存
安定性は悪化する。組成物の粘度はせいぜい20cps
程度であり、溶液状態では10cps以下である。
【0025】溶媒としては特に限定されないが、具体的
には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
メチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳
香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭
化水素類;メチルアセテート、エチルアセテート、プロ
ピルアセテート、ブチルアセテート等のアセテート類;
その他エチルフェノールエーテル、プロピルエーテル、
テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらの1種以上を
混合して用いることができる。
【0026】有機金属化合物(I) は、予め加水分解縮合
反応を行ったものであってもよい。コーティング用組成
物中のこれらの化合物がある程度重縮合している方が塗
工時に均一な膜を形成でき、硬化・乾燥も速いためであ
る。
【0027】有機金属化合物(I) の加水分解縮合反応は
水の存在下で進行し、例えばγ−アミノプロピルトリメ
トキシシランを用いた場合は次式で示される。 H2N-C3H6-Si(OCH3)3+3H2O → H2N-C3H6-Si(OH)3+3CH3OH H2N-C3H6-Si(OH)3 → H2N-C3H6-SiO3/2 +3/2 H2O
【0028】加水分解縮重合反応は水分の存在下で進行
していくが、塗工前に予め反応させておく場合は、塗工
時に用いる溶媒中、中でもアルコール類を用いて行うこ
とが好ましい。加水分解反応を行う時に、塩酸、硝酸等
の無機酸や、蓚酸等の有機酸を触媒として加えてもよ
い。
【0029】加水分解反応を予め行う時の有機金属化合
物(I) と水(W)のモル比W/(I)は、0.01〜3.
0が好ましい。0.01より小さいと、コーティング膜
形成時にクラックを生じ易く、さらに膜の乾燥に時間が
かかり生産性に劣るものとなる。W/(I) は0.1以上
とすることがより好ましい。また水が多過ぎると、加水
分解反応が進行してコーティング液の保存安定性が悪く
なっていくので、W/(I) は3.0以下、好ましくは
2.0以下、より好ましくは0.8以下とする。
【0030】本発明で用いられるコーティング用組成物
中には、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化触媒、
濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機、有機
系各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 10gのチタニウムテトライソプロポキシドを90gの
トルエンに溶解させ、コーティング用組成物1を得た。
得られたコーティング用組成物1を図1に示した密封系
押出し装置のタンク5に入れた。図1中のaを2mm、
bを1mmに調節し、導入管6から窒素ガスをタンク内
にいれてコーティング用組成物1を押出し、20m/s
で走行する25μmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(以下PETフィルムと省略する)に塗布した。塗
布後、引き続き100℃の乾燥炉を通し、トルエンを乾
燥させてコーティングフィルム1を得た。得られたコー
ティングフィルム1の物性を表1に示した。
【0032】実施例2 10gのテトラエトキシシランにエタノール50g、水
0.5gと0.1Nの塩酸0.3gを加え、室温で48
時間撹拌してコーティング組成物2を得た。実施例1と
同様にして塗工・乾燥し、コーティングフィルム2を製
造した。得られたフィルム2の物性を表1に示した。
【0033】実施例3 テトラエトキシシランの代わりに、γ−アミノプロピル
トリエトキシシランを用いた以外は実施例2と同様にし
てコーティングフィルム3を製造し、得られたフィルム
3の物性を表1に示した。
【0034】実施例4 10gのγ−アミノプロピルトリメトキシシランにエチ
レングリコールジグリシジルエーテル5gとトルエン5
0gを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃で3時
間反応させてコーティング用組成物4を得た。得られた
コーティング用組成物4を用いて実施例1と同様にして
コーティングフィルム4を製造し、物性評価結果を表1
に示した。
【0035】実施例5 10gのγ−アミノプロピルトリメトキシシランにビス
フェノールAジグリシジルエーテル7gおよびメタノー
ル50gを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃で
3時間反応させた。室温に冷却した後、水0.2gを加
え、室温で2時間撹拌し、さらにテトラメトキシシラン
5gを加え、24時間撹拌してコーティング用組成物5
を得た。得られたコーティング用組成物5を用いて実施
例1と同様にしてコーティングフィルム5を製造し、物
性評価結果を表1に示した。
【0036】実施例6 10gのγ−アミノプロピルトリメトキシシランにメタ
ノール50gと水0.2gを加え室温で2時間撹拌した
後、テトラメトキシシラン5gを加え、24時間撹拌し
てコーティング用組成物6を得た。得られたコーティン
グ用組成物6を用いて実施例1と同様にしてコーティン
グフィルム6を製造し、物性評価結果を表1に示した。
【0037】比較例1 実施例1で得られたコーティング用組成物を図2に示し
たダイレクトグラビアコーター方式で25μmPETフ
ィルムに塗布した。得られたフィルムの物性を表1に示
した。コーティング用組成物は2時間後にゲル化してし
まい、塗工の続行が不可能となった。 比較例2〜6 実施例2〜6で得られたコーティング用組成物を比較例
1と同様にして塗工し、その物性を評価した。結果を表
1に示した。
【0038】なお、物性評価方法は以下の通りである。 〈粘度〉B型粘度計で測定した20℃での測定値であ
る。 〈塗工安定性〉4時間の塗工中に、コーティング用組
成物がゲル化する、固形分濃度が10%以上変化す
る、粘度が5倍以上変化する、のいずれかの現象が起
こった場合を×とし、安定して塗工が行えた場合を○と
した。
【0039】〈液ダレ〉図1における吐出口から、コー
ティング用組成物が落下して(たれて)、押出されたコ
ーティング用組成物の全てがフィルムに転写されない場
合を×とし、液ダレがなく、100%転写できた場合を
○とした。
【0040】〈膜厚〉乾燥後のコーティングフィルムの
コーティング膜の厚みの平均値。 〈塗工均一性〉コーティングフィルムの500m毎のコ
ーティング膜の厚みを測定し、全ての膜厚が平均値の±
25%以内である場合を○とし、はずれるものがある場
合を×とした。 〈透明性〉塗工後のコーティングフィルムの透明性がP
ETフィルムと変わらないものを○とした。
【0041】なお、以下の表で用いた化合物の略号は次
の通りである。 TTP :チタニウムテトライソプロポキシド ES :テトラエトキシシラン APTES :γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン EGDGE :エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル APTMS :γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン BisADGE :ビスフェノールAジグリシジルエー
テル MS :テトラメトキシシラン
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明のコーティングフィルム製造法の
採用によって、大気中の湿分と反応し易い有機金属化合
物系のコーティング用組成物をゲル化させたり固形分濃
度を変化させることなく、安定に連続塗工することが可
能になった。従って、耐水性、耐薬品性、耐候性、耐熱
性に優れ、かつ可撓性にも優れたコーティングフィル
ム、特にガスバリア性フィルムを、塗工安定性よく製造
することができる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコーティングフィルムの製造方法の説
明図である。
【図2】従来のダイレクトグラビアコーターによる塗工
方法の説明図である。
【符号の説明】
1 密封系押出装置 2 吐出口 3 フィルム基材 4 コーティング膜 5 タンク 6 ガス導入管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−49368(JP,A) 特開 平5−331417(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 B05D 1/00 - 7/24 C09D 201/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒と下記一般式で示される有機金属化
    合物(I)を含むコーティング用組成物を、 R1 mM(OR2n ……(I) (式中Mは金属元素を表わし、R1は同一または異なっ
    ていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基
    または不飽和脂肪族残基を表わし、R2は同一または異
    なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基またはア
    シル基を表わし、これらのR1、R2はいずれも任意の官
    能基で置換されていてもよい。mは0または正の整数、
    nは1以上の整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と
    一致する)密封系押出装置内で加圧し、広幅の吐出口か
    ら走行するフィルム基材面に向けて押出し、成膜するこ
    とを特徴とするコーティングフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記有機金属化合物(I)が、官能基とし
    てアミノ基を有するシラン化合物である請求項1に記載
    のコーティングフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 コーティング用組成物中に、さらにアミ
    ノ基および/または−M(OR2)基(MおよびR2の意
    味は前記の通り)との反応性を有する化合物(II)を含む
    ものである請求項1または2に記載のコーティングフィ
    ルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の化合物(II)が、芳香環
    もしくはその水素添加環を有する化合物である請求項3
    に記載のコーティングフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 コーティング用組成物の固形分濃度が5
    〜50重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のコ
    ーティングフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング用組成物をフィルム基材面
    に塗工した後、引き続いて、40℃以上に加熱した加熱
    炉を通すものである請求項1〜5のいずれかに記載のコ
    ーティングフィルムの製造方法。
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