JP3048334B2 - コーティングフィルムの連続製造方法 - Google Patents

コーティングフィルムの連続製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低粘度のコーティ
ング用組成物を、フィルム基材表面に均一な薄膜として
高速で連続塗工することのできるコーティングフィルム
の連続製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、フィルム基材上にコーティン
グ膜を連続的に形成させる方法は、走行するフィルム基
材にロールを介して塗工するロールコーティング法と、
スプレーノズル等による噴霧塗工法に大別できる。ロー
ルコーティング法においても様々な方法があり、例え
ば、ドクターブレードを用いて塗膜厚を制御するドクタ
ーブレードコーティング法、エアーナイフで塗膜厚を制
御するエアーナイフコーティング法、彫刻されたグラビ
アロールを用いるダイレクトグラビアコーティング法、
何本もの逆回転するロールを利用するリバースロールコ
ーティング法、フィルムをコーティング液浴に浸漬する
ディップコーティング法、キスコーティング、スクイズ
コーティング等が挙げられる。
【0003】これらのロールコーティング法では、比較
的粘度の高いコーティング材料はフィルム基材上に直接
供給されることが多い。一方、コーティング材料の粘度
が比較的低い場合には、図3に示す様に、コーティング
液をパンに入れ、アプリケーターロールを介してフィル
ムに塗工する方法が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらコーティ
ング液をパンに入れる方法の場合、パン中のコーティン
グ液全てが塗工される訳ではないので、転写率90%の
グラビアロールを用いたとしても、高価なコーティング
液の場合は無駄である。また、エマルションタイプ等の
コーティング液では、粘度が低過ぎて、コーティング液
をアプリケーターロールでフィルムとの接触点まで持っ
ていくことが難しいという問題もある。このため、粘度
調整剤(レベリング剤)をコーティング液に添加して液
の粘度を塗工可能になるまで高める方法がある。得られ
るコーティング膜の特性に、レベリング剤が悪影響を与
えなければ、レベリング剤の使用は効果的であるが、緻
密なガスバリア塗膜を形成しようとする場合に、レベリ
ング剤の使用によってガスバリア性の低下を招くことが
ある。さらに従来の塗布方法では、精度良く塗工するた
めの最大塗工速度はせいぜい200m/min程度であ
り、より高速のコーティング方法が求められていた。
【0005】また特に、大気中の湿分によって加水分解
縮重合が進行してしまう有機金属化合物系のコーティン
グ用組成物を用いてガスバリア塗膜を形成させるときに
は、前述のロールを用いて塗工する方法ではコーティン
グ液が常に大気にさらされるため、塗工中にコーティン
グ液の粘度が上がったり、固形分濃度が変化したり、ゲ
ル化したりするという不都合があって採用できない。ス
プレー塗工法は密封系であって接着剤の様に緻密な膜形
成を必要としない場合には有効であるが、ガスバリア性
コーティング膜を形成するには、得られる膜の均一性・
連続性が不足するという問題があった。この大気暴露に
よる不都合の問題は、酸化し易いコーティング用組成物
や、光硬化型コーティング用組成物においても同様に起
る。
【0006】そこで本発明では、水と同レベルの低粘度
コーティング材料を均一に薄膜化することができ、しか
も大気暴露による不都合が起きる様なコーティング材料
であっても高速で連続製造が行える方法を確立すること
を課題として掲げた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のコーティングフ
ィルムの連続製造方法は、20℃での粘度が0.1〜1
00cpsであるコーティング用組成物を広幅のスリッ
ト状吐出口から走行するフィルム基材面に向けて押出し
て、0.1〜20μmのガスバリア塗膜を形成させると
ころに要旨を有する。本発明の方法は、レベリング剤が
使用できないガスバリア塗膜を形成するときに、特に効
果的である。ガスバリア塗膜を形成するためのコーティ
ング用組成物としては、ポリ塩化ビニリデンを含有する
もの、あるいは有機金属化合物系組成物、すなわち下記
一般式で示される有機金属化合物(I)および/または
その加水分解縮合物と溶媒を含有するもの R1 mM(OR2)n ……(I) (式中Mは金属元素、R1は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
タ)アクリロイル基を表し、R2は同一または異なって
いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
を表し、これらのR1およびR2は任意の置換基で置換さ
れていてもよく、mは0または正の整数、nは1以上の
整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と一致する)が
好適に用いられる。有機金属化合物(I)の全部または
一部が、アミノ基で置換されているR1を有する有機シ
ラン化合物であってもよい。
【0008】また有機金属化合物系のコーティング用組
成物を用いるときには、該組成物中に、分子内に1級お
よび/または2級アミノ基を有する有機化合物(II)を
有することが好ましい。中でも有機化合物(II)が、ポ
リエチレンイミン類であると、得られるガスバリアコー
ティング膜の成膜性や、その他の特性に優れたものとな
る。このとき、有機金属化合物(I)はアミノ基を持っ
ていなくても良い。
【0009】コーティング用組成物が、さらに、アミノ
基と反応し得る官能基(特にエポキシ基)を分子内に有
する化合物(III) を含有すると、有機金属化合物系のコ
ーティング用組成物の成膜性や塗膜のガスバリア性が優
れたものとなり、好ましい実施態様である。また、化合
物(III) がアミノ基と反応し得る官能基に加え、加水分
解性基を有する化合物であると、さらに高性能なガスバ
リア層を得ることができる。
【0010】本発明には、本発明の連続製造方法で得ら
れたコーティングフィルムも含まれるものとする。特に
ガスバリア性フィルムとして用いるためには、コーティ
ングフィルムの酸素透過度が、20℃、80%RHで、
20cc/m2・24hrs・atm以下であることが望
ましい。
【0011】また本発明のコーティングフィルムは、そ
の塗膜の表面平滑精度が±25%以内であることも好ま
しい。表面平滑精度とは、基材上に形成された塗膜の厚
み(膜厚)のばらつきの度合いである。この表面平滑精
度が±25%以内であるということは、コーティングフ
ィルムの複数の任意のポイントで膜厚を測定し平均値を
算出した場合に、各ポイントでの膜厚の実測値がすべて
平均値の±25%の範囲に入るということであり、塗膜
厚の均一性の指標となる値である。通常の用途の場合
は、表面平滑精度が±25%であれば、塗膜の均一性は
充分である。本発明の連続製造方法で得られるコーティ
ングフィルムは、薄膜であっても優れた表面平滑精度を
示す。特にLCD表示材料用として使用する場合に、コ
ーティングフィルムの厚みの均一性が重要視されるの
で、表面平滑精度が±10%以内、好ましくは±3%以
内のコーティングフィルムの使用が推奨される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の連続製造方法は、低粘度
のコーティング用組成物を広幅のスリット状の吐出口か
ら、吐出口先端に接近して走行しているフィルム基材面
に向けて押出して、これを成膜させるところにポイント
を有する。押出す際には、ポンプや窒素ガスを導入する
等して加圧しながら押出すことが好ましい。図1および
2には、本発明の連続製造方法を説明する側面図を示し
た。図1においては、フィルムの走行方向が図下から上
であり、吐出口をフィルムの真横から接近させている。
図2においては、フィルムが接触しているロールの接線
と直交する方向からコーティング用組成物を吐出する様
に構成されているので、フィルムの走行方向と吐出口の
角度を適宜選択できる。
【0013】図1および2において、1は押出し装置、
2は吐出口、3はフィルム基材、4はコーティング膜で
ある。押出し装置1としては特に限定されないが、例え
ば加圧手段として、窒素ガス等の不活性気体や、水分を
含まない乾燥エアーを圧縮させてまたは圧縮せずに送り
込む方法、密封系または開放系で圧力ポンプを用いる方
法等が採用できる。大気中の水分と反応し易い加水分解
性基を有する有機金属化合物系のコーティング用組成物
の場合や、酸化し易いコーティング用組成物あるいは光
で硬化する様なコーティング用組成物は、密封系押出し
装置を用いることが推奨される。なお図1および2にお
いては、押出し装置として密封系の例を示した。5はタ
ンク、6はガス導入管である。吐出口は、フィルムの幅
に合わせて適宜その幅が選択される。
【0014】本発明で用いられるコーティング用組成物
は、20℃で0.1〜100cpsという低粘度のもの
である。この様な低粘度の組成物であっても、スリット
状の吐出口からフィルム基材上に押出すだけで、0.1
〜20μmの範囲の薄膜を均一に精度良く成膜させるこ
とができる。粘度を上記範囲に設定した理由は、0.1
cpsより低いと、本発明法を適用しても均一な薄膜の
形成が困難であり、また100cpsよりも高粘度であ
れば、他の塗工方法の適用が可能なためである。低粘度
の組成物を均一に薄く塗工できるという本発明の効果を
有効に活用するためには、組成物の粘度が1〜50cp
sであることが好ましい。より好ましい粘度の上限は2
0cpsである。本発明を採用すれば、塗工速度を最大
550m/minレベルまで向上させることが可能であ
る。通常は、10〜550m/min、好ましくは30
〜500m/min、より好ましくは50〜450m/
minの塗工速度とすることが推奨される。
【0015】また本発明法は、所望量のコーティング材
料をフィルムに直接載せる方法であり、ナイフやブレー
ドで塗布量の調整をする必要もないので、材料の無駄は
全くなくなった。さらに密封系の押出し装置を用いれ
ば、材料タンクと吐出口までの間は大気にさらされるこ
となく、塗工を行えるので、有機金属化合物系のコーテ
ィング用組成物、酸化し易いコーティング用組成物ある
いは光で硬化する様なコーティング用組成物であって
も、コーティング液の粘度が上がったり、固形分濃度が
変化したり、ゲル化したりするという不都合を起こすこ
となく連続塗工ができる。
【0016】本発明法では、乾燥後のコーティング膜の
厚さは、コーティング用組成物の固形分濃度と、フィル
ム基材の走行速度、吐出口間隙aと、フィルム基材と吐
出口先端との距離bによって適宜設定される。好ましい
コーティング膜の厚さは、乾燥状態で0.1〜20μm
である。0.1μmより薄く均一に塗布することは難し
く、ピンホールが発生し易い。一方20μmより厚くし
ても構わないが、コーティング膜にクラックが生じ易く
なる。より好ましい厚さの下限値は0.5μmであり、
上限値は10μmである。ガスバリア塗膜の場合は0.
5〜10μmとすることが好ましく、より好ましくは1
〜5μm、さらに好ましくは2〜4μmである。
【0017】コーティング膜の乾燥は、塗工工程に引き
続いて、40℃以上で加熱される様に調節した加熱炉を
通すことによって行われる。好ましい加熱温度は、基材
フィルムの耐熱性に応じて適宜設定されるが、通常50
℃〜120℃である。コーティング用材料が有機金属化
合物系の場合は、コーティング膜の加水分解縮重合を促
進して緻密な膜を形成するために、5%RH以上の加湿
を、加熱と共に、もしくは加熱の前あるいは後に行うこ
とが好ましい。
【0018】フィルム基材の素材としては特に限定され
ないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合
体;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレ
ン-2,6- ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートや
これらの共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリオキシ
メチレン;ポリアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
酢酸ビニル、ポリカーボネート、セロファン、ポリイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルホン、ポ
リスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリレート、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂等
の熱可塑性樹脂;メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、珪素樹脂等の熱硬化性
樹脂等が挙げられ、これらは公知の添加剤を含んでいて
もよく、コロナ処理等の表面活性化処理や、ウレタン樹
脂やポリエチレンイミン等の公知のアンカー処理を行っ
たものでもよい。また紙を利用することもできる。
【0019】本発明法で用いられるコーティング用組成
物は、20℃で0.1〜100cpsの粘度を示すもの
であれば、水溶液系、エマルション系、有機溶剤系等、
特に限定されない。
【0020】特に本発明法は、コーティング用組成物が
無駄にならず、均一な薄膜を高速連続製造できる点か
ら、比較的高価なガスバリア用組成物を薄く均一にコー
ティングする方法として好ましく利用できる。
【0021】ガスバリア用組成物としては、ガスバリア
性に優れたポリ塩化ビニリデン系やエチレン−ビニルア
ルコール共重合体系や、有機金属化合物系が好ましく選
択される。ポリ塩化ビニリデン系の組成物としては、塩
化ビニリデンを主成分(60重量%以上)とし、アクリ
ロニトリル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸等のビニルモノマーを40重量%以下の範囲で乳化共
重合させたポリ塩化ビニリデンラテックスタイプや、有
機溶剤に溶解させた溶剤タイプ等が挙げられる。
【0022】次に、有機金属化合物系のガスバリア用組
成物について説明する。有機金属化合物系のガスバリア
用組成物は、下記一般式で示される有機金属化合物
(I)および/またはその加水分解縮合物、 R1 mM(OR2)n ……(I) (式中Mは金属元素、R1 は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
タ)アクリロイル基を表し、R2 は同一または異なって
いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
を表し、これらのR1 およびR2 は任意の置換基で置換
されていてもよく、mは0または正の整数、nは1以上
の整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と一致する)
と、溶媒を必須構成成分とするものである。
【0023】上記有機金属化合物は水分の存在で加水分
解縮重合を起こし、緻密な三次元骨格の塗膜を形成し得
るため、ポリ塩化ビニリデン系のガスバリア層と同等以
上のガスバリア性を発揮する。ただし空気中の湿分によ
っても加水分解縮重合を起こし得るため、従来のオープ
ンタイプのロール塗工方法では固形分濃度変化やゲル化
等の不都合が生じる。しかし、本発明の連続製造方法を
採用し、特に密封系の押出し装置を用いれば、材料タン
クと吐出口までの間は大気にさらされることなく塗工を
行えるので、上記不都合を起こすことなく均一な薄膜を
連続塗工できる。
【0024】上記有機金属化合物の具体例としては、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライ
ソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル
トリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジ
メチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、
ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシ
シラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソ
プロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;テトラア
セトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等のアシ
ロキシシラン類、トリメチルシラノール等のシラノール
類;チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライ
ソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のチタ
ニウムアルコキシド類;ジルコニウムテトラエトキシ
ド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウ
ムテトラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド類;
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプ
ロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニ
ウムアルコキシド類;の1種または2種以上を用いるこ
とができる。
【0025】また有機金属化合物(I)の中に含まれ、
任意の置換基としてアミノ基を有する有機シラン化合物
は、成膜性に優れており、ガスバリア性に優れたコーテ
ィング膜を形成するため好ましく使用される。アミノ基
を有する有機シラン化合物の例としては、N−β−(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリブトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジイソプ
ロポキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルメチルジブトキシシラン、N−β−(アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルエ
チルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルエチルジイソプロポキシシラン、N−
β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルエチルジブ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、γ
−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピル
エチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルエ
チルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリアセト
キシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジル
アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0026】有機金属化合物(I)は、塗工後の乾燥の
際の蒸発を防ぐため、予め加水分解縮合を行っておいて
もよい。またアミノ基含有有機シラン化合物を有機金属
化合物(I)の一部として使用する場合、アミノ基含有
シラン化合物を予め加水分解縮合させた後、他の有機金
属化合物と混合することが好ましい。コーティング用組
成物の安定性が向上するためである。また、有機金属化
合物(I)と、後述の化合物(III) のうち加水分解性基
を持つ化合物との間で共加水分解縮合を行ってもよい。
これらの(共)加水分解縮合反応は、公知の触媒を用い
て行うことができ、また後述の溶媒中で反応させるのが
有利である。
【0027】有機金属化合物系のコーティング用組成物
中には、分子内に1級および/または2級アミノ基を有
する有機化合物(II)が含まれていてもよい。有機化合物
(II)は、高価な有機金属化合物(特にアミノ基含有シラ
ン化合物)の使用量をガスバリア性を悪化させることな
く減らすことができ、しかも成膜性や塗膜の可撓性、あ
るいはその他の塗膜物性を良好にする働きを有する。具
体的には、アリルアミン、ジアリルアミン、イソプロピ
ルアミン、ジイソプロピルアミン、イミノビスプロピル
アミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2−エチルヘ
キシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブ
チルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−
2−エチルヘキシルアミン、ジブチルアミノプロピルア
ミン、プロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミ
ン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプ
ロピルアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブ
タン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプ
ロパン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、
ジエタノールアミン等の低分子有機化合物;ポリエチレ
ンイミン類、例えば日本触媒社製エポミンシリーズ(エ
ポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミン
SP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−
103、エポミンSP−110、エポミンSP−20
0、エポミンSP−300、エポミンSP−1000、
エポミンSP−1020等);ポリアリルアミン類(例
えば日東紡績社製PAA−L、PAA−H等)、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)
アクリレートのホモポリマー;あるいはこれらのアミノ
基含有(メタ)アクリレートと他の(メタ)アクリレー
ト類や(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポリオキシ
エチレンアルキルアミン類等の高分子有機化合物が挙げ
られる。
【0028】特にガスバリア性に優れているのは、エタ
ノールアミンや高分子有機化合物であるが、成膜性を良
好にするためには高分子有機化合物を用いる方が有利で
ある。高分子有機化合物の中では、得られる塗膜のガス
バリア性やその他の特性が良好であるポリエチレンイミ
ン類の使用が特に好ましい。有機化合物(II)として高分
子有機化合物を用いる場合の好ましい分子量は250〜
20万である。より好ましくは250〜10万の範囲で
ある。分子量が250より小さいと形成された塗膜の可
撓性に劣り、逆に20万より大きいと透明性が劣ること
がある。
【0029】アミノ基含有有機化合物(II)の使用量は、
特に限定されないが、有機金属化合物(I)に対し2倍
(重量)以下とすることが好ましい。有機化合物(II)の
使用量が2倍を超えると、ガスバリア層の耐湿性が劣っ
たものとなりやすいからである。より好ましい有機化合
物(II)の使用量は有機金属化合物(I)に対して1.5
倍以下である。
【0030】有機金属化合物系のコーティング用組成物
中には、さらに有機化合物(II)のアミノ基と反応し得る
官能基を有する有機化合物(III) が含まれていてもよ
い。有機化合物(III) がアルコキシシリル基等の加水分
解性基を有するものであれば、より好ましい。化合物(I
II) は架橋剤として働き、より緻密でガスバリア性に優
れた塗膜を得ることができる。化合物(III) は、官能基
としてエポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート
基、オキサゾリニル基、ヒドロキシル基等を有する化合
物から選択され、この官能基は化合物(III) 中複数であ
る方が好ましい。なお、この場合の官能基は同一であっ
ても異なっていてもよい。上記官能基中、アミノ基と最
も反応性の良いのはエポキシ基である。
【0031】またアミノ基と反応し得る官能基(エポキ
シ基、カルボキシル基、イソシアネート基、オキサゾリ
ニル基、ヒドロキシル基)と共に、加水分解性のアルコ
キシシリル基等を合わせ持つ化合物(III) であってもよ
い。この場合の化合物(III)は、有機化合物(II)中のア
ミノ基と反応すると共に、単独であるいは有機金属化合
物(I)との(共)加水分解縮重合反応も起こすため、
(I)と(II)と(III)が結合した緻密でかつ可撓性等に
優れたガスバリア層を形成し得る。なお塗膜の耐水性を
より向上させるためには、化合物(III) が芳香環または
その水素添加環を有していることが好ましい。
【0032】本発明で利用できる化合物(III) の具体例
としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グ
リセロールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジグリシジ
ルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、
ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジ
ルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポリグ
リシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、o−フタル酸ジグリシジルエステル等の脂肪族また
は芳香族ジグリシジルエステル類;ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエー
テル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノ
ールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリ
シジルエーテル、および次式で表される化合物類
【0033】
【化1】
【0034】等の芳香環またはその水素添加環(核置換
誘導体も含む)を有するグリシジル類;あるいはグリシ
ジル基を官能基として有するオリゴマー類(例えばビス
フェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーの場合は
下式の様に表せる);
【0035】
【化2】
【0036】ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ト
リフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類;
酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアクリル
酸等の含カルボキシル基重合体;オキサゾリニル基含有
重合体等が、アミノ基と反応性を有する化合物(III) の
例として挙げられ、これらのうち1種または2種以上を
用いることができる。なお、上記例示した化合物(III)
の中でも芳香環またはその水素添加環(核置換誘導体も
含む)を有する化合物は、ガスバリア層の耐水性を一層
向上させる作用がある。
【0037】また、アミノ基含有有機化合物(II)と有機
金属化合物(I)中の−M(OR2)との両方と反応性
を有する、すなわちアミノ基と反応し得る官能基と加水
分解性基を有する化合物(III) の具体例としては、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
イソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン等(以下エポキシ基含有シランカッ
プリング剤と省略することがある);γ−イソシアノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルト
リエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキ
シシラン等(以下イソシアネート基含有シランカップリ
ング剤と省略することがある)が挙げられ、これらの1
種または2種以上を用いることができる。
【0038】化合物(III) を用いる場合には、有機化合
物(II)中のアミノ基の官能基当量(X)に対して、化合
物(III) 中の官能基当量(Y)が、Y/Xとして0.0
1〜1.0となる様に使用することが推奨される。好ま
しくはY/Xが0.05〜0.7の範囲、より好ましく
は0.05〜0.3である。Y/Xが0.01より小さ
いと塗膜の可撓性が不充分となりやすく、Y/Xが1.
0を超えると、ガスバリア性や耐熱性が低下することが
ある。
【0039】有機金属化合物系のコーティング用組成物
に必須的に用いられる溶媒としては、特に限定されない
が、ガスバリア用組成物の構成成分を溶解する、もしく
は分散させ得る溶媒が好ましく選択される。例えば、メ
タノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノー
ル、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水
素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、その他、テト
ラヒドロフラン、プロピルエーテル、水等があげられ、
これらの1種または2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0040】本発明で用いられる有機金属化合物系のコ
ーティング用組成物は、以上説明した様に、有機金属化
合物(I)と溶媒を必須成分とし、アミノ基含有有機化
合物(II)、有機化合物(III) を必要に応じて含むもので
ある。有機化合物(III) がアミノ基と反応し得る官能基
と共に加水分解性基を有しているときは、有機金属化合
物(I)と共に、あるいはそれぞれ単独で、予め(共)
加水分解縮合反応を進行させておくことが推奨される。
これらの化合物を加水分解縮合によって高分子量化して
おけば、ガスバリア層の成膜性が良好になり、得られる
塗膜の均一性、平滑性がより一層向上するためである。
【0041】(共)加水分解縮合反応は、空気中の水分
でも進行するが、前記溶媒中で行うことが、これをその
ままガスバリア用組成物として塗工工程に利用できるた
め好ましい。また反応触媒として公知の酸や塩基を添加
して行っても良い。(共)加水分解反応を予め行う時
は、有機金属化合物(I)(あるいは化合物(III) も含
めて)に対する水のモル比を0.01〜3.0(対加水
分解性化合物)とすることが好ましい。0.01モルよ
り小さいと、コーティング膜形成時にクラックを生じ易
く、さらに膜の乾燥に時間がかかり、高速塗工を行う意
味がなくなる。より好ましい水の量の下限は0.1モル
以上である。また水が多過ぎると、加水分解反応が進行
してコーティング用組成物の保存安定性が悪くなる傾向
があるので、水を3.0モル以下、好ましくは2.0モ
ル以下、より好ましくは0.8モル以下とする。
【0042】ガスバリア用組成物の調製方法は特に限定
されないが、化合物(III) を用いる場合には、有機化合
物(II)のアミノ基と化合物(III) 中の官能基を反応させ
てから、有機金属化合物(I)またはその加水分解縮合
物を添加すると、組成物の安定性が良好となる。化合物
(III) が加水分解性基を有するときは、アミノ基との架
橋反応の後、有機金属化合物(I)を加える前か、加え
てから(共)加水分解縮合反応を行うとよい。
【0043】本発明の連続製造方法で得られるコーティ
ングフィルムが、塩化ビニリデン樹脂や有機金属化合物
系のガスバリア用組成物をコーティングしたものである
とき、そのガスバリア性の目安としては、コーティング
フィルムの酸素透過度が、20℃、80%RHで、20
cc/m2・24hrs・atm以下であることが好まし
い。より好ましい酸素透過度の目安は、20℃、80%
RHで、5cc/m2・24hrs・atm以下である。
【0044】本発明の連続製造方法で得られるコーティ
ングフィルムの表面平滑精度は、±25%以内が好まし
い。より好ましい表面平滑精度は±10%以内であり、
±3%以内だとさらに好ましい。表面平滑精度とは、基
材上に形成された塗膜の厚み(膜厚)のばらつきの度合
いである。この表面平滑精度が±25%以内であるとい
うことは、コーティングフィルムの複数の任意のポイン
トで膜厚を測定し平均値を算出した場合に、各ポイント
での膜厚の実測値がすべて平均値の±25%の範囲に入
るということであり、塗膜厚の均一性の指標となる値で
ある。通常の用途の場合は、表面平滑精度が±25%以
内であれば、塗膜の均一性は充分である。特に高い画像
品質が求められるLCD表示材料用の基材フィルムとし
て使用する場合にはコーティングフィルムの厚みの均一
性が重要視されるので、表面平滑精度が±10%以内、
好ましくは±3%以内のコーティングフィルムの使用が
推奨される。
【0045】上記ガスバリア用組成物には、本発明法の
効果を損なわない範囲で、硬化触媒、濡れ性改良剤、可
塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機・有機系各種添加剤を必
要に応じて添加してもよい。これらの層をコーティング
した後に、さらに種々の働きを有する層(後述)を本発
明の方法を用いてコーティングすることもできる。ま
た、他の積層手段、例えば、エクストルージョン法、ド
ライラミネート、ウエットラミネート、ホットメルトラ
ミネート等のラミネート法等で他の層を積層したり、コ
ーティング後に蒸着を施してもよい。また、特に有機金
属化合物系のコーティング用組成物に、ポリビニルアル
コールやエチレン−ポリビニルアルコール共重合体の様
な水溶性ポリマーを添加すると、成膜性が良好になり、
塗膜の均一性・平滑性が向上するため好ましい。
【0046】本発明のコーティングフィルムの連続製造
方法は、コーティング用組成物が無駄になることなく均
一な薄膜を高速連続製造でき、また密封系で連続塗工が
可能なため、塩化ビニリデン樹脂に限定されず、大気暴
露や光による悪影響を受ける様なコーティング用組成物
(有機金属化合物系組成物、易酸化性基含有組成物ある
いは光硬化性組成物等)や、その他種々のコーティング
用組成物を薄く均一に連続コーティングする方法として
好ましく利用できる。その他のコーティング用組成物と
しては、特に限定されず、粘着性、磁性、光沢、ヒート
シール性、耐水性、耐薬品性、帯電防止性、易滑性、剥
離性(離型性)等の各種性能を付与するための各種組成
物や、アンダーコート剤等、種々の組成物が適用でき
る。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0048】実施例1 20℃における粘度が10cpsであるポリ塩化ビニリ
デンラテックス(サランラテックスL−502;旭化成
社製)10kgを、図1に示した密封系押出し装置1の
タンク5に入れ、図1中のaを2mm、bを1mmに調
節し、導入管から窒素ガスをタンク内にいれてポリ塩化
ビニリデンラテックスを押出しながら、300m/mi
nで走行する12μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(以下PETフィルムと省略する)に連続塗工し
た。引き続き100℃の乾燥炉を通し乾燥させて、コー
ティングフィルムを得た。得られたコーティングフィル
ムの物性を表1に示した。
【0049】実施例2 図1の装置に代えて図2の装置を用いた以外は実施例1
と同様にしてコーティングフィルムを製造した。物性を
評価し、結果を表1に示した。
【0050】比較例1 実施例1で用いたものと同じポリ塩化ビニリデンラテッ
クスを図3に示したダイレクトグラビアコーター方式で
12μmPETフィルムに塗布した。均一に連続塗工で
きる速度は最高170m/minであった。得られたフ
ィルムの物性を表1に示した。
【0051】実施例3 10kgのγ−アミノプロピルトリメトキシシランにビ
スフェノールAジグリシジルエーテル7kgおよびメタ
ノール50kgを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら7
0℃で3時間反応させた。室温に冷却した後、水0.2
kgを加え、室温で2時間撹拌し、さらにテトラメトキ
シシラン10kgを加え、24時間撹拌してコーティン
グ用組成物を得た。得られたコーティング用組成物の2
0℃における粘度は、5cpsであった。この組成物を
用いて実施例1と同様にして塗工・乾燥し、コーティン
グフィルムを製造した。得られたフィルムの物性を表2
に示した。
【0052】実施例4 撹拌機、温度計および冷却器を備えたフラスコに、エポ
ミンSP−018(日本触媒製ポリエチレンイミン)
7.18kg、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン3.25kg、メタノール21.1kgを仕込
み、窒素雰囲気下、65℃で3時間撹拌した後、室温ま
で冷却し、水0.1kgとメタノール5kgの混合液を
15分かけて滴下し、1時間室温で撹拌した。次いで、
この反応液にテトラメトキシシラン52.0kgとメタ
ノール15.4kgの混合液を加え、室温で3時間撹拌
しコーティング用組成物を得た。この組成物の20℃で
の粘度は、7cpsであった。この組成物を用いて実施
例2と同様にして塗工・乾燥し、コーティングフィルム
を製造した。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0053】実施例5 3kgのテトラエトキシシランと5kgのメチルトリエ
トキシシランにエタノール50kg、水0.5kg、
0.1Nの塩酸0.3kgを加え、室温で48時間撹拌
し、コーティング用組成物を得た。得られたコーティン
グ用組成物の20℃における粘度は5cps以下(粘度
が5cps以下の場合、粘度が低過ぎるため正確な粘度
測定が不可能になる。)であった。この組成物を用いて
実施例1と同様にして塗工・乾燥し、コーティングフィ
ルムを製造した。塗工・乾燥速度は300m/分で乾燥
後の膜厚は2.0μm、塗工均一性は○であった。ま
た、塗工中に液ダレは認められなかった。
【0054】比較例2〜3 実施例3〜4で得られたコーティング用組成物を比較例
1と同様にして塗工した。1〜2時間後にコーティング
用組成物がゲル化してしまったので塗工の続行は不可能
となった。ゲル化する前までに製造できたフィルムの物
性を表2に示した。
【0055】なお、物性評価方法は以下の通りである。 〈粘度〉B型粘度計で測定した20℃での測定値であ
る。 〈膜厚〉乾燥後のコーティングフィルムのコーティング
膜の厚みの平均値である。 〈液ダレ〉装置の吐出口から、コーティング用組成物が
落下して(たれて)、押出されたコーティング用組成物
の全てがフィルムに転写されない場合を×とし、液ダレ
がなく、100%転写できた場合を○とした。
【0056】〈塗工均一性〉コーティングフィルムの5
00m毎のコーティング膜の厚みを測定し、全ての膜厚
が平均値の±3%以内である場合を◎、±25%以内で
ある場合を○、±25%からはずれるものがある場合を
×とした。 〈酸素透過度〉モコン法によって、20℃、80%RH
の条件で測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】実施例6 4kgのテトラエトキシシランに、0.1Nの塩酸1.
8kgと水13kgを加え、室温で1時間撹拌した後、
ポリビニルアルコールの水溶液を加え、さらに30分撹
拌した。ポリビニルアルコール水溶液は、テトラエトキ
シシランをSiO2 換算にした値に対して、ポリビニル
アルコール(固形分)が1:1(重量比)となるように
加えた。得られたコーティング用組成物の20℃におけ
る粘度は10cpsであった。この組成物を用いて実施
例1と同様にして塗工・乾燥し、コーティングフィルム
を製造した。塗工・乾燥速度は200m/分で乾燥後の
膜厚は1.0μm、塗工均一性は○であった。また、塗
工中に液ダレは認められなかった。酸素透過度は、20
℃、80%RHで、1.5cc/m2 ・24hrs・a
tmであった。
【0060】実施例7 20℃での粘度が90cpsであるソアノール30Lの
15%水溶液(日本合成化学工業製エチレン−ビニルア
ルコール共重合体)を用いて実施例1と同様に塗工・乾
燥し、コーティングフィルムを製造した。塗工・乾燥速
度は120m/分で乾燥後の膜厚は1.5μm、塗工均
一性は○であった。また、塗工中に液ダレは認められな
かった。酸素透過度は、20℃、80%RHで、10c
c/m2・24hrs・atmであった。
【0061】実施例8 45.4kgのγ−アミノプロピルトリメトキシシラン
にレゾルシノールジグリシジルエーテル10.4kgと
メタノール50.0kgを加え、窒素雰囲気下で撹拌し
ながら、70℃で3時間反応させた。室温に冷却した
後、メタノール35.9kgを加えた後、さらに水3.
6kgとメタノール47.2kgの混合液を30分かけ
て滴下して加えた。室温で1時間撹拌した後、M−シリ
ケート51(多摩化学製テトラメトキシシランオリゴマ
ー)29.9kgとメタノール20.0kgの混合液を
30分かけて滴下して加え、さらに水5.5kgとメタ
ノール74.6kgの混合液を加え、24時間撹拌して
コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用
組成物の20℃における粘度は10cpsであった。こ
の組成物を用いて実施例1と同様にして塗工・乾燥し、
コーティングフィルムを製造した。塗工・乾燥速度は1
50m/分で乾燥後の膜厚は1.5μm、塗工均一性は
○であった。また、塗工中に液ダレは認められなかっ
た。酸素透過度は、20℃、80%RHで、1.0cc
/m2 ・24hrs・atmであった。
【0062】実施例9 実施例1で用いたものと同じポリ塩化ビニリデンラテッ
クスを用い、塗工速度を450m/minに代えた以外
は実施例1と同様にして塗工・乾燥し、コーティングフ
ィルムを製造した。乾燥後の膜厚は2.3μm、塗工均
一性は○であった。また、塗工中に液ダレは認められな
かった。酸素透過度は、20℃、80%RHで、15c
c/m2 ・24hrs・atmであった。
【0063】実施例10 実施例8で得られたコーティング用組成物を用い、塗工
速度を50m/minとし、図2に示した装置を用いた
以外は実施例1と同様にして、100μmのポリカーボ
ネートフィルムの両面にこれを塗工・乾燥し、コーティ
ングフィルムを製造した。乾燥後の膜厚は各面とも1.
0μm、塗工均一性は◎であった。また、塗工中に液ダ
レは認められなかった。酸素透過度は、20℃、80%
RHで、0.2cc/m2 ・24hrs・atmであっ
た。
【0064】
【発明の効果】本発明のコーティングフィルム連続製造
法を採用することにより、低粘度のコーティング用組成
物を300m/min以上の高速で連続塗工することも
可能である。また、塗工前にコーティング用組成物が大
気や光による悪影響を受けることがないので、加水分解
性組成物、易酸化性基含有組成物や光硬化性組成物等の
連続塗工に適している。さらに、従来のロールコーティ
ング方法の様にコーティング用組成物が無駄になること
なく、基材フィルムに100%転写することができるた
め、比較的高価なガスバリア用組成物を均一に連続塗工
する方法としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコーティングフィルムの製造方法の説
明図である。
【図2】本発明のコーティングフィルムの他の製造方法
の説明図である。
【図3】従来のダイレクトグラビアコーターによる塗工
方法の説明図である。
【符号の説明】
1 密封系押出装置 2 吐出口 3 フィルム基材 4 コーティング膜 5 タンク 6 ガス導入管 7 ダイ 8 コーティング用組成物
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 127/08 C09D 127/08 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 B05D 1/00 - 7/24 C09D 127/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20℃での粘度が0.1〜100cps
    であるコーティング用組成物を広幅のスリット状吐出口
    から走行するフィルム基材面に向けて押出して、0.1
    〜20μmのガスバリア塗膜を形成させることを特徴と
    するコーティングフィルムの連続製造方法。
  2. 【請求項2】 コーティング用組成物が、塩化ビニリデ
    ン樹脂を含有するものである請求項1に記載のコーティ
    ングフィルムの連続製造方法。
  3. 【請求項3】 コーティング用組成物が、下記一般式で
    示される有機金属化合物(I)および/またはその加水
    分解縮合物、 R1 mM(OR2)n ……(I) (式中Mは金属元素、R1は同一または異なっていても
    よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
    基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
    タ)アクリロイル基を表し、R2は同一または異なって
    いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
    を表し、これらのR1およびR2は任意の置換基で置換さ
    れていてもよく、mは0または正の整数、nは1以上の
    整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と一致する)お
    よび溶媒を含有するものである請求項1に記載のコーテ
    ィングフィルムの連続製造方法。
  4. 【請求項4】 有機金属化合物(I)の全部または一部
    が、アミノ基で置換されたR1を有する有機シラン化合
    物である請求項に記載のコーティングフィルムの連続
    製造方法。
  5. 【請求項5】 コーティング用組成物が、有機金属化合
    物(I)と共に、分子内に1級および/または2級アミ
    ノ基を有する有機化合物(II)を有するものである請求
    に記載のコーティングフィルムの連続製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング用組成物が、さらに、アミ
    ノ基と反応し得る官能基を分子内に有する有機化合物(I
    II) を含有するものである請求項4または5に記載のコ
    ーティングフィルムの連続製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜のいずれかに記載の連続製
    造方法によって得られ、かつ酸素透過度が、20℃、8
    0%RHで、20cc/m2・24hrs・atm以下で
    あることを特徴とするコーティングフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜のいずれかに記載の連続製
    造方法によって得られ、かつ塗膜の表面平滑精度が±2
    5%以内であることを特徴とするコーティングフィル
    ム。
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