JP2000263707A - 被覆体 - Google Patents

被覆体

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JP2000263707A
JP2000263707A JP11065268A JP6526899A JP2000263707A JP 2000263707 A JP2000263707 A JP 2000263707A JP 11065268 A JP11065268 A JP 11065268A JP 6526899 A JP6526899 A JP 6526899A JP 2000263707 A JP2000263707 A JP 2000263707A
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Hiroko Tanaka
弘子 田中
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬さと共に、耐衝撃性等の特性に優れたハー
ドコート層が被覆された被覆体を提供すること。 【解決手段】 表面にハードコート層が被覆された被覆
体であって、このハードコート層の組成をX線光電子分
光法で測定したときに、ケイ素原子と炭素原子との比S
i/Cが0.1〜10.0であるハードコート性に優れ
た被覆体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面にハードコー
ト層が形成された被覆体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂フィルムやボトル等の成形体、FR
P製品、木製品、金属製品等の各種物体の表面の摩耗や
傷付きを防ぐため、ハードコート層を付与することが知
られている。ハードコート層は、硬さの他に、耐衝撃
性、密着性、耐湿性等の性能に優れていることが求めら
れるが、ハードコート層の形成に利用される有機シラン
系ポリマーは、硬くすれば脆くなるため、特に、硬度と
耐衝撃性の両立が難しいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、硬さ
と共に、耐衝撃性等の特性に優れたハードコート層が被
覆された被覆体の提供を課題として掲げた。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、表面にハードコート層が被覆された被覆体であっ
て、このハードコート層の組成をX線光電子分光法で測
定したときに、ケイ素原子と炭素原子との比Si/Cが
0.1〜10.0であるところに要旨を有する。Siと
Cの比を上記範囲に設定することで、硬さと耐衝撃性の
両立が可能となり、他の特性も優れたことが見出され
た。また、上記構成により、X線光電子分光法でSiと
Cの比率を分析するだけで、ハードコート層の他の特性
の評価を行わなくても、優れた特性のハードコート層が
形成されていることを確認することができるため、研究
開発、品質管理等の時間・コストの短縮に役立つことと
なった。なお、ハードコート層の鉛筆硬度は、H〜9H
に設定することが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の被覆体は、各種物体(被
塗物)の表面にハードコート性に優れたハードコート層
が被覆されているものである。このハードコート層中の
ケイ素原子と炭素原子との比Si/Cは、0.1〜1
0.0でなければならない。ハードコート層中のSiと
Cの比は、X線光電子分光法(XPSまたはESCA)
で決定することができる。
【0006】ケイ素原子と炭素原子との比Si/Cが
0.1より小さいと、ハードコート層中のSiが少ない
ことを意味する。従って、コート層を構成するポリマー
中に緻密なポリシロキサン部分が少なくなり、ハードコ
ート性が発現しない。また、ハードコート層の耐摩耗
性、耐衝撃性、耐久性等の性能が向上しない。一方、S
i/Cが10.0を超えると、Siが含まれているポリ
シロキサン部分が多すぎて、ハードコート層がもろくな
り、やはり、ハードコート性に劣るものとなる。鉛筆硬
度も低くなるため、好ましくない。より好ましいSi/
Cの下限は0.2、さらに好ましくは0.3である。ま
た、より好ましいSi/Cの上限は8.0、さらに好ま
しくは0.6である。
【0007】本発明の被覆体のハードコート層は、ハー
ドコート性に優れていることを示す目安として、鉛筆硬
度がH〜9Hであることが好ましい。鉛筆硬度は、JI
SK5400に準じて測定し、ハードコート層のすり傷
で評価するものとする。より好ましい鉛筆硬度は2H以
上であり、4H以上がさらに好ましい。
【0008】本発明の被覆体は、被塗物を特定するわけ
ではなく、ハードコート層が必要とされる対象物質であ
れば、プラスチック、FRP、木、金属、金属箔、編
物、織物、不織布、紙、合成紙等、あらゆるものにハー
ドコート層を形成して、本発明の被覆体とすることがで
きる。中でも、プラスチックフィルム、ボトル・容器、
あるいは種々の成形品等の樹脂成形体が好ましい被塗物
として挙げられる。
【0009】樹脂成形体を構成するプラスチックの種類
は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン
系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイ
ソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、
ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポ
リエステル、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸
およびそのエステル等のアクリル系樹脂、ポリオキシメ
チレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体、ポリエーテルケト
ン、ポリカーボネート、セロファン、ポリエーテルサル
ホン、ポリサルホン、ポリフェニレンサルホン、ポリイ
ミド、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂
や、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹
脂、ユリア樹脂、珪素樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく
使用できる。もちろんこれらの2種以上の積層体を用い
てもよい。
【0010】本発明の被覆体を製造する方法、すなわ
ち、ハードコート層形成用コーティング剤を被塗物にコ
ーティングする方法は特に限定されず、例えばロールコ
ーティング法、ディップコーティング法、バーコーティ
ング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、
スプレーコーティング法等やこれらを組み合わせた方法
を採用できる。キャリアのコア粒子にコーティングする
場合は、ディプコーティング法、スプレーコーティング
法、フローコーターを用いる流動スプレーコーティング
法等を採用するとよい。コーティング後は、ハードコー
ト層の硬化および乾燥を行う。加熱、あるいは加熱・加
湿を行えば、ハードコート性に優れた緻密なハードコー
ト層を速やかに形成することができるため、推奨され
る。なお、コーティング剤の塗工前に、被塗物にウレタ
ン樹脂等の公知のアンカーコート層を設けてもよく、被
塗物に予め他の層が積層されていてもよい。
【0011】ハードコート層の厚みは、特に限定されな
いが、ハードコート性に優れているため厚くする必要は
ない。通常、乾燥後で0.1〜5μmの範囲が好まし
い。好ましくは0.3〜3μmである。
【0012】本発明の被覆体は、ハードコート層のSi
/Cが0.1〜10.0であれば、ハードコート層を形
成するためのコーティング剤の組成は限定されないが、
Si/Cを上記範囲にするための好ましいコーティング
剤の組成について、以下説明する。そのコーティング剤
とは、官能基(ただし、アルコキシシリル基を除く)を
有する有機化合物(A)、該有機化合物(A)が有する
官能基と反応し得る官能基およびSi(OR1)基(R1
は炭素数1〜4のアルキル基)を有する有機シラン化合
物(B)および/またはその加水分解縮合物、下記一般
式(C)で示される有機シラン化合物(C)および/ま
たはその加水分解縮合物、 R2 mM(OR3n …(C) (式中、Mは金属元素、R2は同一または異なっていて
もよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリー
ル基、ビニル基または炭素鎖に直結した官能基を表し、
3は同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4の
アルキル基を表し、mは0または正の整数、nは1以上
の整数で、かつm+nは金属元素Mの原子価と一致す
る。)とを含有するものである。
【0013】有機化合物(A)は、アルコキシシリル基
以外の官能基を有する有機化合物である。アルコキシシ
リル基を持たないので、有機シラン化合物(B)や有機
シラン化合物(C)の加水分解縮合反応には関与しな
い。有機シラン化合物(B)と有機シラン化合物(C)
とからなるハードコート層は、硬いがもろい(耐衝撃性
に劣る)という欠点を有しているが、有機化合物(A)
をコーティング剤に加えることによって、ハードコート
層に柔軟性、可撓性を付与することができ、上記範囲に
Si/Cを設定することができる。また、有機化合物
(A)は、加水分解縮合反応には関与しないが、(A)
の有する官能基によって、有機シラン化合物(B)と反
応することによりハードコート層を構成する高分子鎖の
中に組み込まれて、膜を構成する高分子鎖の中のいわば
ソフトセグメント部分を形成する。このため、硬度や強
度、緻密さを低下させることなく、ハードコート層の耐
衝撃性を向上させることができる。
【0014】有機化合物(A)は、アルコキシシリル基
以外の官能基を有する化合物であることが必要である
が、官能基の種類は特に限定されず、有機シラン化合物
(B)が持つ官能基との組合わせによって、種々の官能
基を用いることができる。中でも、アミノ基とエポキシ
基の組合わせは反応速度が速く、ハードコート層が速や
かに硬化するため好ましい。有機化合物(A)として、
官能基を2個以上有する化合物であることも硬化を速や
かにするために効果的である。
【0015】コーティング剤の好適な実施態様として、
有機化合物(A)が、エポキシ基、イソシアネート基、
カルボキシル基もしくはその無水物、オキサゾリニル
基、ハロゲン化アルキル基およびヒドロキシル基からな
る群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化
合物である構成が挙げられる。中でもエポキシ基を有し
ていることが好ましい。この場合、有機シラン化合物
(B)は、アルコキシシリル基とアミノ基とを有してい
るものを用いることが推奨される。
【0016】コーティング剤の別の好適な実施態様とし
て、有機化合物(A)が、アミノ基を有する化合物であ
り、中でも分子量が200以上の高分子化合物である構
成が、被膜に可撓性を付与する観点から好ましい。さら
に好ましくは、ポリエチレンイミン類であり、この場
合、有機シラン化合物(B)は、アルコキシシリル基と
共に、アミノ基と反応し得る官能基を持つ有機シラン化
合物となるが、特にエポキシ基を有する化合物であるこ
とが好ましい。
【0017】アミノ基を有する有機化合物(A)の具体
例としては、アリルアミン、ジアリルアミン、イソプロ
ピルアミン、ジイソプロピルアミン、イミノビスプロピ
ルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2−エチル
ヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソ
ブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジ
−2−エチルヘキシルアミン、ジブチルアミノプロピル
アミン、プロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミ
ン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプ
ロピルアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブ
タン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプ
ロパン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、
ジエタノールアミン等のアミノ基を1個以上有する低分
子有機化合物;ポリエチレンイミン類、例えば日本触媒
社製エポミンシリーズ(エポミンSP−003、エポミ
ンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP
−018、エポミンSP−103、エポミンSP−11
0、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エ
ポミンSP−1000、エポミンSP−1020等)、
ポリアリルアミン類(例えば日東紡績社製PAA−L、
PAA−H等)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
のアミノ基含有(メタ)アクリレートのホモポリマー
や、これらのアミノ基含有(メタ)アクリレートと他の
(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリル酸とのコポ
リマー、ポリオキシエチレンアルキルアミン類等のアミ
ノ基含有高分子有機化合物が挙げられる。
【0018】エポキシ基を有する有機化合物(A)の具
体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレング
リコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセロールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジグ
リシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエー
テル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグ
リシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ
ート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等
のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジル
エステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル等の脂肪
族および芳香族ジグリシジルエステル類;ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジ
ルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビス
フェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールF
ジグリシジルエーテル、および次式で表される化合物類
【0019】
【化1】
【0020】等の芳香環またはその水素添加環(核置換
誘導体も含む)を有するグリシジル類;あるいはグリシ
ジル基を官能基として有するオリゴマー類(例えばビス
フェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーの場合は
下式の様に表せる);
【0021】
【化2】
【0022】等が挙げられる。
【0023】また、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネー
ト類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリア
クリル酸等の含カルボキシル基重合体;オキサゾリニル
基含有重合体等も有機化合物(A)として用いることが
できる。これらのうち1種または2種以上を用いてもよ
い。なお、上記例示した有機化合物(A)の中でも芳香
環またはその水素添加環(核置換誘導体も含む)を有す
る化合物は、ハードコート層の耐水性を向上させる作用
がある。
【0024】有機シラン化合物(B)は、前記した有機
化合物(A)が有する官能基と反応し得る官能基とSi
(OR1)基(R1は炭素数1〜3のアルキル基)を有す
る化合物であり、後述する有機シラン化合物(C)と共
に、ハードコート層中のSi源となる化合物である。有
機化合物(A)の官能基にあわせて、有機シラン化合物
(B)のもつ官能基を決定する。
【0025】具体的には、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N
−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジイソ
プロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルメチルジブトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
エチルジイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプ
ロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロ
ピルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルエチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−アミノプロピルエチルジイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリアセトキシシラン、γ−
(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシ
ラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含
有化合物;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有化合
物;あるいはγ−イソシアノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−
イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソ
シアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネ
ート基含有化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン
等のメルカプト基含有化合物;等が挙げられ、1種また
は2種以上を用いることができる。
【0026】有機シラン化合物(B)は、有機化合物
(A)と反応する他、加水分解性基であるSi(O
1)基(R1は前記と同じ意味)を有しているので、有
機化合物(A)と反応する前もしくは反応後に加水分解
縮合が進行し、また後述の有機シラン化合物(C)の加
水分解性縮合基と共加水分解縮合を起こして縮重合が進
行していくため、速やかにハードコート性に優れた緻密
なハードコート層を形成することができる。ハードコー
ト層と被塗物との密着性を高める効果も有する。有機シ
ラン化合物(B)を予め単独で、あるいは有機シラン化
合物(C)と(共)加水分解縮重合を行っておいてもよ
い。コーティング時の有機シラン化合物(B)や有機シ
ラン化合物(C)の揮散を防ぐことができ、より速やか
にハードコート層を形成することができるためである。
また有機化合物(A)として低分子化合物を使用すると
きには、前もって加水分解縮合をしておくことが好まし
い。
【0027】本発明に用いられる有機シラン化合物
(C)としては、下記一般式(C)で表されるものであ
れば特に限定されない。この有機シラン化合物(C)
は、有機化合物(A)のもつ官能基と反応し得る官能基
を持たない点で有機シラン化合物(B)と区別できる。 R2 mSi(OR3n …(I) (式中、R2は同一または異なっていてもよく、水素原
子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ビニル基
または炭素鎖に直結した官能基を表し、R3は同一また
は異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基を表
し、mは0または正の整数、nは1以上の整数で、かつ
m+nは4である。)。
【0028】有機シラン化合物(C)は、被塗物への密
着性を高め、かつ有機シラン化合物(B)と共にポリシ
ロキサン骨格の緻密なハードコート層を形成するので、
ハードコート性や耐熱性に優れた被覆体を形成すること
ができる。
【0029】具体例としては、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプ
ロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチ
ルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン等が挙げられる。中でも、反応性およびハ
ードコート層の耐水性向上の点から、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランが好ましい。
【0030】また、有機シラン化合物(C)と同様の効
果を発揮する有機金属化合物をコーティング剤の配合成
分の1つとして用いることができる。具体的には、チタ
ニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポ
キシド、チタニウムテトラブトキシド等のチタニウムア
ルコキシド類、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコ
ニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブ
トキシド等のジルコニウムアルコキシド類、アルミニウ
ムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシ
ド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアル
コキシド類等である。
【0031】有機シラン化合物(B)および有機シラン
化合物(C)は、ハードコート層形成時の乾燥を防ぐた
めに予め加水分解縮合を行っておくことが好ましい。こ
れらの(共)加水分解縮合反応は、空気中の水分で進行
するが、酸または塩基等の公知の触媒を用いると効率よ
く行うことができる。また、加水分解反応は溶媒中で行
うことが好ましく、溶媒を含むコーティング剤であれば
コーティング作業も容易となる。
【0032】溶媒としては、メタノール、エタノール、
2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、ベンゼ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル類、その他、テトラヒドロフラン、プロピ
ルエーテル、水等が挙げられ、これらの1種または2種
以上を混合して用いることができる。中でも、加水分解
反応時の安定性や保存安定性に優れている点で、メタノ
ール、エタノール等のアルコール類が好ましい。
【0033】コーティング剤中の溶媒の使用量は特に限
定されないが、全重量のうち20〜85重量%とするこ
とが好ましい。20重量%より少ないと、塗工中に、コ
ーティング剤の粘度が上昇して均一塗工ができなくなる
可能性があり、85重量%を超えると、有効成分が低濃
度となり過ぎるため、必要なハードコート層厚を確保で
きない場合がある。
【0034】次に、Si/Cを0.1〜10.0の範囲
にするための各化合物の好ましい使用量を説明する。コ
ーティング剤中の溶媒以外の各化合物の合計量を100
重量%としたときの有機化合物(A)は、1〜40重量
%が好ましい。最大の炭素源である有機化合物(A)が
1重量%より少ないと、Si/Cが10.0を超えるこ
とがある。また、ハードコート層の可撓性が不充分であ
り、耐衝撃性を向上させる効果が発現しない。40重量
%より多いと、Si/Cが0.1より小さくなり、高硬
度のハードコート層が得られない。より好ましい(A)
の使用量は5〜30重量%の範囲であり、さらに好まし
くは5〜20重量%である。
【0035】有機シラン化合物(B)は0.5〜80重
量%が好ましい。有機シラン化合物(B)が0.5重量
%より少ないと、Si/Cが0.1より小さくなること
がある。また、被塗物に対するハードコート層の密着性
がよくない。しかし、80重量%より多いと、Si/C
が10.0を超えると共に、ハードコート層の耐湿性が
劣る傾向にある。より好ましい有機シラン化合物(B)
の使用量は1〜70重量%の範囲であり、さらに好まし
くは1〜60重量%である。
【0036】有機シラン化合物(C)は5〜90重量%
が好ましい。有機シラン化合物(C)が5重量%より少
ないと、Si/Cが0.1より小さくなることがある。
また、ハードコート層の耐湿性が不足する。しかし90
重量%を超えて使用すると、有機化合物(A)の使用量
が少なくなって、Si/Cが10.0を超えてしまう。
その結果、ハードコート層の可撓性が低下して、耐衝撃
性が悪くなる。より好ましい有機シラン化合物(C)の
使用量は10〜90重量%の範囲であり、さらに好まし
くは30〜80重量%である。
【0037】コーティング剤の調製方法は特に限定され
ないが、有機化合物(A)、有機シラン化合物(B)お
よび/またはその加水分解縮合物、有機シラン化合物
(C)および/またはその加水分解縮合物とを単に混合
する方法、予め有機化合物(A)と有機シラン化合物
(B)との官能基反応を行ってから有機シラン化合物
(C)および/またはその加水分解縮合物を加える方法
や、有機化合物(A)の存在下で有機シラン化合物
(B)と有機シラン化合物(C)を(共)加水分解縮合
する方法、有機シラン化合物(B)と有機シラン化合物
(C)を共加水分解縮合してから有機化合物(A)と反
応させる方法等が挙げられる。
【0038】上記コーティング剤には、必要に応じて、
硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の
無機・有機系各種添加剤を必要に応じて添加してもよ
い。
【0039】本発明のコーティング剤によるハードコー
ト層は、充分な強度・硬度を有し、耐摩耗性、耐衝撃
性、耐熱性、可撓性、透明性、耐湿性、耐溶剤性等に優
れているので、ハードコート層としてだけでなく、その
他、種々の目的で種々の用途に適用することができる。
【0040】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0041】実施例1 撹拌機、温度計、および冷却器を備えたフラスコに、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン100gとメタノ
ール100gを仕込み、60℃に昇温した後、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル30gを30分かけて滴
下した。60℃で4時間熟成してから室温まで冷却し、
水5.0gとメタノール20gの混合液を加えて1時間
かけて熟成した。0.8gとメタノール17.0gの混
合溶液を15分かけて滴下し、1時間熟成した後、さら
に、テトラメトキシシランオリゴマー「Mシリケート5
1」(多摩化学社製)50gとメタノール470gを加
え、室温で1時間熟成してコーティング剤1を得た。
【0042】このコーティング剤1を、乾燥後の厚みが
2μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィル
ム(厚さ20μm)にコーティングし、100℃で1分
乾燥してハードコート層1を形成した。このハードコー
ト層1のXPS法によるSi/Cの値と鉛筆硬度の測定
結果を表1に示した。
【0043】実施例2 撹拌機、温度計および冷却器を備えたフラスコに、ポリ
エチレンイミン「エポミンSP−006」(日本触媒社
製)10g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン3g、メタノール50gを仕込み、60℃に昇温し
た後、2時間熟成してから室温まで冷却し、水0.5g
とメタノール5gの混合液を加えて室温で1時間熟成し
た。この反応液に、さらに、前記「Mシリケート51」
15gとメタノール40gを加え、室温で1時間熟成し
てコーティング剤2を得た。
【0044】このコーティング剤2を、乾燥後の厚みが
2μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィル
ム(厚さ20μm)にコーティングし、100℃で1分
乾燥してハードコート層2を形成した。このハードコー
ト層2のXPS法によるSi/Cの値と鉛筆硬度の測定
結果を表1に示した。
【0045】実施例3 撹拌機、温度計および冷却器を備えたフラスコに、γ−
グリシドキシプロピルトリエトキシシラン100g、メ
タノール100gを仕込み、60℃に昇温した後、ヘキ
サメチレンジアミン15gを30分かけて滴下し、2時
間熟成した。次いで、この反応液を室温まで冷却し、水
4.0gとメタノール36gの混合液を加えて室温で1
時間熟成した。さらに、前記「Mシリケート51」30
gとメタノール350gを加え、室温で1時間熟成して
コーティング剤3を得た。
【0046】このコーティング剤3を、乾燥後の厚みが
2μmになるように二軸延伸ポリプロピレンフィルム
(厚さ20μm)にコーティングし、80℃で1分乾燥
してハードコート層3を形成した。このハードコート層
3のXPS法によるSi/Cの値と鉛筆硬度の測定結果
を表1に示した。
【0047】比較例1 実施例1で、ビスフェノールAグリシジルエーテルを1
00gとし、「Mシリケート51」を用いなかった以外
は、実施例1と同様にして、ハードコート層を形成し、
特性を評価した。結果を表1に併記した。
【0048】比較例2 撹拌機、温度計および冷却器を備えたフラスコに、テト
ラメトキシラン20gと、水4.0g、0.1N塩酸
0.8gとメタノール80gを仕込み、室温で24時間
撹拌して比較用コーティング剤を得て、ハードコート層
を形成し、特性を評価した。結果を表1に併記した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明の被覆体は、Si/Cの比が特定
範囲であるハードコート層が被覆されたものである。S
iとCの比を上記範囲に設定することで、硬さと耐衝撃
性の両立が可能となり、他の特性も優れたことが見出さ
れた。また、上記構成により、X線光電子分光法でSi
とCの比率を分析するだけで、ハードコート層の他の特
性の評価を行わなくても、優れた特性のハードコート層
が形成されていることを確認することができるため、研
究開発、品質管理等の時間・コストの短縮に役立つこと
となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB39 BA02 CA07 CA08 DA04 4F100 AK42B AK52A BA02 EH46 GB15 GB16 JK09 JK12 JK12A JK14 YY00A 4J038 CG141 CG142 CH201 CH202 DB001 DB002 DF021 DF022 DJ011 DJ012 DL021 DL022 DL031 DL032 JB01 JC32 JC34 JC35 JC36 NA11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にハードコート層が被覆された被覆
    体であって、このハードコート層の組成をX線光電子分
    光法で測定したときに、ケイ素原子と炭素原子との比S
    i/Cが0.1〜10.0であることを特徴とするハー
    ドコート性に優れた被覆体。
  2. 【請求項2】 ハードコート層の鉛筆硬度がH〜9Hで
    ある請求項1に記載のハードコート性に優れた被覆体。
JP11065268A 1999-03-11 1999-03-11 被覆体 Withdrawn JP2000263707A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011230372A (ja) * 2010-04-27 2011-11-17 Nippon Shokubai Co Ltd フレキシブルフィルムとそれを有する金属箔及びそれを用いたプリント配線基板
JP2012041497A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 硬化性樹脂組成物およびハードコートフィルムまたはシート

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