JP2012041497A - 硬化性樹脂組成物およびハードコートフィルムまたはシート - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびハードコートフィルムまたはシート Download PDF

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Abstract

【課題】基材表面に、外観に優れ、表面硬度、耐スクラッチ性、密着性、曲げ加工性および耐汚染性が良好な硬度の高いハードコート層を形成でき、しかも広い範囲で、透明性を制御することも可能な硬化性樹脂組成物、上記優れたハードコート層が形成されたハードコートフィルムの提供。
【解決手段】ケイ素原子に直結したアルコキシ基を少なくとも2個有する、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物を少なくとも含む(A)成分に、必要に応じてアルコール/水可溶性エポキシ樹脂が(B)成分として併用されており、かつ、硬化助剤としてアジリジン基を有する化合物である(C)成分が、上記(A)成分と(B)成分との和(A+B)/上記成分(C)の質量比が1〜200となる範囲で含有されてなる硬化性樹脂組成物、該組成物を用いて形成したハードコート層を有するハードコートフィルムまたはシート。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、並びに、基材の最表面に、該硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を設けてなるハードコートフィルムまたはシート(以下「フィルムまたはシート」を単に「フィルム」と略称することがある)に関する。さらに詳細には、ポリエステル基材フィルムなどの表面に熱硬化性の樹脂組成物がコートされた、外観の意匠性に優れ、しかも、表面硬度、耐スクラッチ性、密着性、曲げ加工性および耐汚染性などの表面特性が良好で、広い範囲で透明性の制御が可能なハードコートフィルムの提供を可能にできる技術に関する。本発明によって提供されるハードコートフィルムは、耐摩耗フィルム、滑り防止コートフィルム、研磨フィルム、グレア防止コートフィルムなどの機能性フィルムとして、建築内装用壁紙や化粧紙などに好適である。
近年、耐熱性、耐水性、耐汚染性、耐有機薬品性、耐酸性、耐アルカリ性、耐蝕性、耐摩耗性、耐候性、耐湿性および密着性など、種々の機能性に優れ、しかも、硬度の高い塗膜を形成させることのできるコーティング用組成物が求められている。従来、有機樹脂にシリル基としてケイ素原子を導入することにより、有機樹脂に、硬度や耐擦傷性などの特性を付与することが行われてきた。例えば、オルガノシランの部分的縮合物と、コロイダルシリカの分散液およびシリコーン変性アクリル樹脂からなる組成物(特許文献1)、あるいは、オルガノシランの縮合物とジルコニウムアルコキシドのキレート化合物および加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂とからなる組成物(特許文献2)、あるいはオルガノシランの縮合物とコロイド状アルミナおよび加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂とからなる組成物(特許文献3)などが提案されている。
一方、近年、アルキルシリケート、あるいはその低縮合物を有機樹脂に添加して、樹脂との混合物として塗膜の耐汚染性などの表面特性を改善することを試みた組成物が、各種基材へのコーティング液などとして提案されている。しかし、これらのコーティング液は、加工時の焼き付け温度が150℃以上必要であり、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムにコーティング加工すると、基材フィルムが軟化変形し、安定した加工は不可能である。また、焼き付け時間も数分から数十分と長いため、フィルムにコーティング加工する場合の数十秒程度の加工時間では、コーティング加工後に巻き取る場合は十分な表面乾燥が得られず、ブロッキングしたり、フィルム裏面に裏移りするなどの問題があり、充分な塗膜特性を発揮し得なかった。また、特許文献2に記載されている組成物は、保存安定性が充分ではなく、固形分濃度を高くすると短期間でゲル化し易いという問題を有している。
また、特許文献4には、耐熱性に優れた硬化物になり得るシラン変性エポキシ樹脂を使用したコーティング剤組成物を、プラスチック用ハードコート剤として使用することについての提案がある。そして、当該コーティング剤組成物をプラスチック基材上に塗布する場合、硬化温度はプラスチック基材の熱変形温度以下に設定する必要があるため、硬化剤としてポリアミン系エポキシ樹脂用硬化剤を用い、低温硬化させるのが好ましいとしている。しかし、本発明者らの検討によれば、上記組成物は、ポットライフが極めて短く、また、直ちには表面乾燥しないため、塗布後の巻き取り作業時にフィルム同士がブロッキングしてしまい、従ってコーターでの加工は困難である。
さらに、特許文献5には、ケイ素含有基を有する有機重合体とポリイミン化合物を併用し、シロキサン結合を形成することにより架橋する硬化性組成物に関する提案がある。しかし、これはポリオキシエチレンなどの有機樹脂を主剤として、密着性を向上させるために少量のシロキサン成分とポリイミンを含有しているものであり、ハードコート性能は期待すべくもない。
特開昭60−135465号公報 特開昭64−1769号公報 米国特許第4,904,721号明細書 特許第3632601号公報 特開2007−217550号公報
従って、本発明の目的は、基材表面に、外観に優れ、表面硬度、耐スクラッチ性、密着性、曲げ加工性および耐汚染性が良好な硬度の高いハードコート層の形成ができ、しかも広い範囲で、透明性を制御することも可能な硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、ポリエステルフィルムなどの基材表面に、上記優れた機能性及び外観を有するハードコート層が形成されたハードコートフィルムを提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、ケイ素原子に直結したアルコキシ基を少なくとも2個有する、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物を少なくとも含む(A)成分に、必要に応じて硬化剤としてアルコール/水可溶性エポキシ樹脂が(B)成分として併用されており、かつ、硬化助剤としてアジリジン基を有する化合物である(C)成分が、上記(A)成分と(B)成分との和(A+B)/上記成分(C)の質量比が1〜200となる範囲で含有されてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[1]前記アジリジン基を有する化合物が、エチレンイミン基を有する2〜3官能性の化合物、または、エチレンイミン化合物の重合物であり、その重量平均分子量が300〜10,000のポリエチレンイミンであること。
[2]上記[1]の上記エチレンイミン基を有する2〜3官能性の化合物が、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンのいずれかであること。
[3]前記(A)成分に含まれる加水分解物が、(a)下記一般式(1)で表される、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物、または加水分解に続き起こる縮合反応によって加水分解物が部分的に縮合した部分縮合加水分解物であり、かつ、(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有すること。
H−(R1n−Si(OR24-n・・・一般式(1)
(式中nは0〜2の整数であり、R1は、炭素数1〜8の有機基を示し、R2は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。)
[4]前記(B)成分であるアルコール/水可溶性エポキシ樹脂を含み、かつ、該(B)成分の前記(A)成分との含有比率が、質量比で、成分(A)/成分(B)=0.5〜5.0であること。
[5]前記アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基から選ばれる基を含有していること。
[6]前記(A)成分が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシランから選ばれるいずれかのアルコキシシラン化合物の部分縮合物を含み、かつ、(A)成分中における、加水分解物または部分縮合物が占める割合が50〜100質量%の範囲であること。
[7]前記部分縮合物の平均分子量が、500〜50,000であること。
[8]前記(B)成分であるアルコール/水可溶性エポキシ樹脂が、そのエポキシ当量が100〜2,000であり、かつ、分子中にエポキシ基残基を2〜6個含むこと。
また、本発明は、基材の最表面に、上記本発明の硬化性樹脂組成物で形成したハードコート層が設けられてなることを特徴とするハードコートフィルムまたはシートを提供する。
本発明のハードコートフィルムまたはシートの好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[9]前記基材が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂から選ばれる樹脂の単層またはこれらの樹脂の積層物であること。
[10]前記基材と前記ハードコート層との間に、密着性を向上させるための下塗り剤が施されていること。
[11]上記[10]の下塗り剤が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、ポリイソシアネート化合物とを含んでなる硬化性樹脂組成物であること。
本発明によれば、基材表面に、外観に優れ、表面硬度、耐スクラッチ性、密着性、曲げ加工性および耐汚染性が良好な硬度の高いハードコート層の形成をすることができ、しかも、広い範囲で透明性を制御することもできる硬化性樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば、ポリエステルフィルムなどの基材表面に、上記優れた機能性及び外観を有するハードコート層が形成されたハードコートフィルムが容易に提供できる。
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のアルコキシシラン化合物或いはアルキルアルコキシシラン化合物の、加水分解物、特に加水分解に続き起こる縮合反応によって加水分解物が部分的に縮合した部分縮合加水分解物(以下、加水分解縮合物とも呼ぶ)である(A)成分に、アジリジン基を有する化合物である(C)成分を、硬化助剤(触媒)として特定の比率で併有した硬化性樹脂組成物は、基材フィルムの表面コート層の形成用材料としての良好なポットライフと低温架橋性を有し、しかも、形成されるハードコート層は、導電性、耐摩耗性、耐汚染性および耐熱性に優れる機能性を有するものとなり、各種用途に有用なハードコートフィルムとできることを見出して本発明に至った。上記硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂を(B)成分として含有させることが好ましい。
より具体的には、上記本発明の硬化性樹脂組成物を、プラスチックフィルムに塗布し、50℃〜130℃にて数十秒間乾燥すれば、表面タックもなく、該乾燥後にフィルムの巻き取り操作をすることが可能であり、その後、40℃〜100℃にて0〜7日、好ましくは1〜3日熟成することで、良好な耐摩耗性、耐熱性及び耐汚染性を示す機能性表面をもつハードコートフィルムまたはシートが容易に得られる。
以下に発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<(A)成分>
まず、本発明で用いるアルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物は、ケイ素原子に直結するアルコキシ基を少なくとも2個有する。このような化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジ(n−プロピル)ジメトキシシラン、ジ(n−プロピル)ジエトキシシラン、ジ(i−プロピルジメトキシ)シラン、ジ(i−プロピル)ジエトキシシラン、ジ(γ−クロロプロピル)ジメトキシシラン、ジ(γ−クロロプロピル)ジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジ(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ジ(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジエトキシシラン、ジ(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ジ(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシランなどが挙げられる。
また、ジ(γ−メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、ジ(γ−メタクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、ジ(γ−メルカプトプロピル)ジメトキシシラン、ジ(γ−メルカプトプロピル)ジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)ジメトキシシラン、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)ジエトキシシランなどを挙げることができる。上記した中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。本発明では、上記に挙げた化合物を加水分解した加水分解物、特には、加水分解物が部分的に縮合した加水分解縮合物を用いる。
本発明でいうアルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物とは、これらの化合物に水を添加して、アルコキシ基の一部または全部をヒドロキシ基としたものである。また、アルコキシ基の加水分解に引き続き、これらが部分的に縮合反応していてもよく、本発明では、この状態の部分的に縮合した加水分解物を部分縮合物と呼ぶ。より詳細には、下記のようにして加水分解物または部分縮合物を得る。アルキルアルコキシシラン化合物を例にとって説明する。まず、アルキルアルコキシシランの有する全てのアルコキシ基のモル数の0.1モル倍量以上の水を添加し、室温下で1日間以上または加熱して還流下で数時間以上の条件で充分加水分解反応を進行させる。この過程でアルキルアルコキシシランは加水分解し、さらに縮合反応が進行する。この際の水の量は、アルコキシ基の0.1〜1.0モル倍とすることが望ましく、さらに好ましくは0.2〜0.8モル倍とするのが望ましい。
上記の加水分解には、触媒として、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、マレイン酸、酢酸などの有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸やその塩を適宜併用することができる。こうして得られたアルキルアルコキシシランの加水分解物は、多量のOH基を有し反応性に富むことから、高硬度の塗膜などの硬化物を得ることができる。上記の加水分解工程において、添加水量がアルコキシ基の1.0モル倍を超えると、残存水濃度が高くなることから、加水分解液がゲル化しやすく保存安定性が低下するので好ましくない。また、添加水量がアルコキシ基の0.1モル倍未満では、得られるアルキルアルコキシシランの加水分解物の微小粒子が形成されにくく、反応性官能基であるOH基の生成量も低下する。
さらに、アルキルアルコキシシランの加水分解に際しては、溶媒および触媒の存在下で行うのが好ましい。この際に使用する溶媒としては、反応の制御のし易さなどから、使用するアルキルアルコキシシランのアルコキシ基と炭素数の同じアルコールを用いることが好ましい。通常C1〜C5、好ましくはC1〜C3のアルコールを用いて行うと、得られる加水分解物の微小粒子が形成され易く、これから得られる硬化塗膜の特性が優れたものとなる。
上記のようにして得られる本発明で用いるアルキルアルコキシシランの加水分解物は、下記一般式(1)で表される、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物、または加水分解に続き起こる縮合反応によって加水分解物が部分的に縮合した部分縮合物であり、かつ、(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するものであることが好ましい。
H−(R1n−Si(OR24-n・・・一般式(1)
(式中nは0〜2の整数であり、R1は、炭素数1〜8の有機基を示し、R2は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。)
本発明に用いるアルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基から選ばれる基を含有することが好ましい。具体的には、(A)成分として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシランから選ばれるいずれかのアルコキシシラン化合物の加水分解物、および部分縮合物を含み、かつ、(A)成分中における、加水分解物または部分縮合物が占める割合が50〜100質量%の範囲であるものを用いるとよい。また、前記アルキルアルコキシシランの部分縮合物は、その平均分子量が500〜50,000であることが好ましい。
<(C)成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記に加えて、硬化助剤としてアジリジン基を有する化合物を含有してなることを特徴とする。本発明で用いるアジリジン基を有する化合物としては、エチレンイミン基を有する2〜3官能の化合物、またはエチレンイミンの重合物であり、その重量平均分子量が300〜10,000のポリエチレンイミンであることが好ましい。例えば、多官能のエチレンイミンである、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕[商品名:ケミタイトPZ−33、日本触媒製]や、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン[商品名:ケミタイトDZ−22E、日本触媒製]などが挙げられる。また、これらエチレンイミンの重合物であるポリエチレンイミン[商品名:エポミンSP−018、日本触媒製]も有用である。
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する上記に挙げたようなアジリジン基を有する化合物の使用割合は、主たる原料であるアルコキシシラン化合物などの加水分解物(部分的に縮合しているものを含む)100質量部に対して、1〜50質量部、好ましくは5〜20質量部である。アジリジン基を有する化合物の使用量が1質量部未満では、アルコキシシラン加水分解物などの成分との共重合体の生成が不十分であり、ハードコート層を形成した場合に、該層の硬度が低下する場合があるので好ましくない。一方、使用量が、アルコキシシラン加水分解物などに対して50質量部を超えると、ハードコート層を形成した場合に、表面硬度が充分ではなく、また、耐汚染性や耐ブロッキング性が十分でなくて劣る場合があるので好ましくない。
<(B)成分>
本発明においては、上記した(A)成分であるアルコキシシラン加水分解物や部分縮合物と、(C)成分であるアジリジン基を有する化合物と共に、必要に応じて、(B)成分として、下記に説明するような、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂を用いることができる。該(B)成分は、硬化剤として機能する。アルコール/水可溶性エポキシ樹脂は、樹脂構造中にエーテル結合を有することから、アルコール/水と水素結合を形成し、容易に溶解分散するという特徴を有する。また、該(B)成分であるアルコール/水可溶性エポキシ樹脂は、そのエポキシ当量が100〜2,000であり、かつ、分子中にエポキシ基残基を2〜6個含むことが好ましい。例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記した(A)成分と共に、(B)成分としてアルコール/水可溶性エポキシ樹脂を用いる場合、該(B)成分の前記(A)成分との含有比率が、質量比で、成分(A)/成分(B)=0.5〜5.0であることが好ましい。また、その混合割合を、アルコキシシラン加水分解物などの(A)成分100質量部に対し、該(B)成分のエポキシ樹脂を300質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは200質量部以下である。(B)成分のエポキシ樹脂の使用量が300質量部を超えると、数十秒程度の乾燥時間では表面乾燥が不十分であり、コーターによるフィルム加工においてブロッキングなどが発生するので好ましくない。
また、上記(B)成分を用いない場合には、市販されている公知の硬化剤を使用することができる。例えば、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート[商品名:アルミキレートM、川研ファインケミカル(株)製]が挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の構成成分に、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂を併用する場合は、(C)成分であるアジリジン基を有する化合物の使用量は、前記要件に加えて、アルコキシシラン加水分解物などの(A)成分100質量部に対し、1〜100質量部、好ましくは20〜50質量部である。アジリジン基を有する化合物の使用量が1質量部未満では、アルコキシシラン加水分解物などの(A)成分と、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂である(B)成分との共重合体の生成が不十分になって、ハードコートフィルムの硬度が低下する場合があるので好ましくない。一方、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂の添加量が100質量部を超えると、ハードコートフィルムの表面硬度が充分ではなく、ハードコート層を形成した場合に、耐汚染性や耐ブロッキング性に劣るものとなるので好ましくない。本発明においては、上記(A)成分と(B)成分との和(A+B)/上記成分(C)の質量比が1〜200となる範囲で含有されてなることを要する。
<基材>
次に、本発明のハードコートフィルムに適用される基材としては、金属、セラミックス、紙、プラスチックなどが挙げられるが、好ましくはプラスチックであり、さらに好ましくは、プラスチック製のフィルム、シート状の基材を挙げることができる。プラスチックの例を挙げると、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン4,6、ナイロン6などのポリアミドなどである。また、これら各種基材には、直接、本発明の組成物を塗装印刷できる。しかし、例えば、アクリルウレタン、エポキシ、アクリルシリコンなどを主成分とする各種プライマーを予め塗装した基材やコロナ放電処理を施した基材(以下、単に「コロナ処理」と記載する場合がある)を用いてもよい。
<ハードコートフィルムまたはシート>
本発明のハードコートフィルムの作製は、本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで、以下のようにして容易にできる。例えば、先に説明したアルコキシシラン加水分解物などを含む(A)成分と、アルコール/水可溶性エポキシ樹脂の(B)成分と、(C)成分であるアジリジン基を有する化合物とを主成分とし、これに、必要に応じて、有機溶媒、硬化促進剤、増粘剤、その他の添加剤などを配合して本発明の硬化性樹脂組成物を調製する。調製後に得られた樹脂組成物を、前記したような基材表面に、グラビアコート、スプレー、ディッピング、バーコーター、ロールコーター、フローコーターなどの各種塗工方法により塗工することによってハードコート層の形成を行う。基材としては、より好ましくはプラスチック基材、さらに好ましくはプラスチック製のフィルムやシート、特に好ましくはコロナ処理ポリプロピレン(以下、PPと略記)フィルムやシートを用いるとよい。
上記において、塗装膜厚は、乾燥膜厚で、通常、1回塗りで厚さ0.5〜50μm程度、好ましくは1〜30μmである。塗装膜厚が0.5μm未満では均一塗膜が得られない場合があるので好ましくない。一方、塗装膜厚が50μmを超えると、塗工中に十分な乾燥塗膜が得られず、ブロッキングするため、乾燥後にフィルムの巻き取りができない場合があるので好ましくない。さらに、この場合には、フィルムの曲げ加工性が低下するといったことが生じる場合がある。塗膜の硬化温度は、基材の耐熱性に応じて適宜設定される。通常は、25℃〜250℃程度である。表面をコロナ処理したPPの場合は、50℃〜100℃程度とすることが好ましい。塗装後の乾燥時間は、通常、5秒〜5分、好ましくは、15秒〜1分程度であり、この程度の時間、加熱、乾燥することにより、乾燥塗膜を形成することができる。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を用いた場合は、ただちにフィルムを巻き取り操作することが可能である。さらには、巻き取った原反を、40〜100℃、好ましくは50〜80℃の雰囲気下で、1日〜7日間、好ましくは2日〜4日間、養生させることで、表面硬度が高く、該表面が、耐摩耗性、耐汚染性及び耐熱性などの機能性に優れるハードコート層を有するフィルムやシートが容易に得られる。
本発明のハードコートフィルムは、鉛筆硬度として、通常、H〜5Hの硬度を持つものである。硬度が、H未満ではハードコートフィルムとしての耐摩耗性が劣り、一方、5Hを超えると曲げ加工時のフィルム基材との密着性に劣る。また、本発明のハードコートフィルムの透明性は、本発明の硬化性樹脂組成物中に、さらに微粒子を配合し、その量を適宜なものにすることにより、透明、半透明、不透明の範囲で制御することができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<実施例1>
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、メチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製、Z−6366)10kg、およびポリテトラエトキシシラン(エチルシリケート40、コルコート(株)製)50kg、およびイソプロピルアルコール30kgを室温下で混合した。その後、下記のようにして、加水分解した。まず、上記混合液に、濃塩酸1kgを水9kgで希釈した塩酸水溶液を少しずつ投入し、攪拌した。その結果、温度が徐々に上昇し、30分後に40℃に達した。そのまま攪拌を続けると次第に温度が低下するが、さらに5時間攪拌を続けた。このようにして部分的に縮合したエトキシシラン加水分解物(1)を得た。
また、アルコール可溶性エポキシ樹脂(デナコール EX421、ナガセファインケミカル(株)製)10kgを、イソプロピルアルコール40kgに溶解させた溶液を調製した。これを硬化剤(1)とした。
さらに、硬化助剤として用いるための助剤コーティング液を下記のようにして調製した。下記の構造式からなる3官能アジリジン化合物(ケミタイト PZ−33、日本触媒(株)製)の固形分が10%になるようにメチルアルコール溶液5kgで調整し、硬化助剤コーティング液(1)とした。
Figure 2012041497
上記で得たエトキシシラン加水分解物(1)を20kg、上記硬化剤(1)を10kg、および上記硬化助剤コーティング液(1)を5kg、をコーティング直前に混合攪拌して混合物を得、これをグラビアコーティング機にてコートした。
コーティングは、コロナ処理PP(50μm)を用い、印刷速度10m/分のスピードで行い、80℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを50℃の熟成室に3日間放置し、エージングを行った。
<実施例2>
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、ポリテトラメトキシシラン(Mシリケート56、多摩化学工業(株)製)30kgおよびメチルアルコール40kgを室温下で混合した。その後、これに、酢酸1kgを水4kgで希釈した酢酸水溶液を少しずつ投入し、攪拌した。温度が徐々に上昇し、20分後に50℃に達し、その後5時間攪拌を続けた。このようにして部分的に縮合した、メトキシシラン加水分解物(2)を得た。
また、アルコール可溶性エポキシ樹脂(デナコール EX421、ナガセファインケミカル(株)製)10kgをメチルアルコール40kgに溶解させた溶液を調製し、硬化剤(1)’を得た。
さらに、硬化助剤として用いるためのコーティング液を下記のようにして調製した。下記の骨格を有するポリエチレンイミン(エポミン SP−012、分子量1,200、日本触媒(株)製)1kgとメタノール4kgを徐々に混合攪拌して、ポリエチレンイミンコーティング液を得た。
Figure 2012041497
上記で得たメトキシシラン加水分解物(2)を20kg、上記硬化剤(1)’を10kg、および上記硬化助剤のポリエチレンイミンコーティング液を2kg、をコーティング直前に混合攪拌して混合物を得、これをグラビアコーティング機にてコートした。
コーティングは、コロナ処理PP(50μm)を用い、印刷速度20m/分のスピードで行い、80℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを40℃の熟成室に3日間放置し、エージングを行った。
<実施例3>
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、ポリテトラエトキシシラン(エチルシリケート48、コルコート(株)製)30kgおよびエチルアルコール40kgを室温下で混合した。その後、塩酸0.5kgを水9.5kgで希釈した塩酸水溶液を少しずつ投入し、攪拌した。温度が徐々に上昇して30分後に45℃に達し、その後5時間攪拌を続けた。このようにして部分的に縮合したエトキシシラン加水分解物(3)を得た。
また、アルコール可溶性エポキシ樹脂(リカレジンDME100、新日本理化(株)製)10kgをエチルアルコール40kgに溶解させた溶液を調製し、硬化剤(2)を得た。
さらに、硬化助剤として用いるための助剤コーティング液を下記のようにして調製した。下記の構造式からなる2官能アジリジン化合物(ケミタイトDZ−22E、日本触媒(株)製)の水溶液(NV30%)1kgとメタノール1kgを徐々に混合攪拌して、助剤コーティング液(2)を得た。
Figure 2012041497
上記で得たエトキシシラン加水分解物(3)を20kg、硬化剤(2)を20kg、および上記助剤コーティング液(2)を5kg、をコーティング直前に混合攪拌して混合物を得、これをグラビアコーティング機にてコートした。
コーティングは、コロナ処理PET(100μm)を用い、印刷速度20m/分のスピードで行い、150℃の乾燥炉中で20秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを70℃の熟成室に3日間放置し、エージングを行った。
<実施例4>
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、メチルトリメトキシシラン(商品名:Mシリケート51、多摩化学工業(株)製)50kg、およびポリテトラエトキシシラン(商品名:エチルシリケート40、コルコート(株)製)10kg、およびイソプロピルアルコール30kgを室温下で混合した。その後、下記のようにして、加水分解した。
まず、上記混合液に、濃塩酸2kgを水8kgで希釈した塩酸水溶液を、少しずつ投入し、攪拌した。その結果、温度が徐々に上昇し、30分後に40℃に達した。そのまま攪拌を続けると次第に温度が低下するが、さらに5時間攪拌を続けた。このようにしてアルキルアルコキシシラン化合物の部分縮合加水分解物を得た。その後、テトライソプロピルチタネート(商品名:オルガチックスTA−22、マツモト交商(株)製)5kgと、硬化剤として、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート(商品名:アルミキレートM、川研ファインケミカル(株)製、)5kgとを混合し、1時間撹拌して、アルキルアルコキシシラン化合物の部分縮合加水分解混合物(1)を得た。
さらに、硬化助剤として用いるためのコーティング液を、下記のようにして調製した。下記の骨格を有する実施例2で用いたものとは分子量の異なるポリエチレンイミン(商品名:エポミン SP−018、分子量1,800、日本触媒(株)製)1kgと、メタノール4kgを徐々に混合攪拌して、ポリエチレンイミンコーティング液を得た。
Figure 2012041497
上記で得たアルキルアルコキシシラン化合物の部分縮合加水分解混合物(1)を50kg、およびポリエチレンイミンコーティング液を5kg、をコーティング直前に混合攪拌して混合物を得、これをグラビアコーティング機にてコートした。
コーティングは、コロナ処理PET(50μm)を用い、印刷速度10m/分のスピードで行い、100℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを50℃の熟成室に3日間放置し、エージングを行った。
<実施例5>
ポリエステル系無黄変ウレタン樹脂(商品名:サンプレンIB−1700D、三洋化成(株)製)10kgに、XDI系イソシアネート(商品名:タケネート D−110N、三井化学(株)製)2kgを混合し、希釈溶剤(酢酸エチル/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=3/4/3)で印刷粘度になるように調製した。この調製したコーティング液を、コロナ処理OPP(50μ)にグラビア印刷機を用い、印刷速度50m/分のスピードで印刷を行い、80℃の乾燥炉で10秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを40℃の熟成室に2日間放置し、エージングを行った。
その後、実施例4で調製したアルキルアルコキシシラン化合物の部分縮合加水分解混合物(1)を50kg、およびポリエチレンイミンコーティング液(2)を5kg、をコーティング直前に混合攪拌して混合物を得た。これを、エージング処理したポリウレタン樹脂をコーティングした処理OPPフィルム(50μ)上にグラビアコーティング機にてコートした。コーティングは、印刷速度10m/分のスピードで行い、100℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを50℃の熟成室に3日間放置し、エージングを行った。
<比較例1>
市販のエトキシシラン加水分解物であるHAS−1(コルコート社製)を10kgと、エポキシ樹脂であるコンポセランE−102(荒川化学工業(株)製)を20kgと、メタノール20kgとを混合攪拌した。そして、調製した混合液をグラビアコーティング機にてコートした。なお、HAS−1は、エチルシリケート40をさらに加水分解縮合反応を進めた市販の液であり、上記エチルシリケート40は、SiO2分を製品中に40質量%含むものである。
コーティングは、コロナ処理PET(100μm)を用い、印刷速度10m/分のスピードで行い、150℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り、これを70℃の熟成室に3日間放置しエージングを行った。
<比較例2>
市販のエトキシシラン加水分解物であるHAS−1(コルコート社製)を10kgと、JERエポキシレジン1001−B80(ジャパンエポキシレジン(株)製)を10kgと、メチルエチルケトン20kgを混合攪拌した。さらに、ポリアミドアミン系触媒のトーマイドTXA−529(富士化成工業(株)製)1kgを添加し、混合攪拌した。そして、調製した混合液をグラビアコーティング機にてコートした。
コーティングはコロナ処理PET(100μm)を用い、印刷速度10m/分のスピードで行い、150℃の乾燥炉中で30秒程度乾燥した。乾燥後、ただちに巻き取り70℃の熟成室に3日間放置しエージングを行った。
以上で得られた表面に熱硬化膜を有する実施例および比較例のフィルムについて、下記の評価を行った。
(耐ブロッキング性の評価)
○:70℃にて3日間エージングしても巻き取りフィルムが全く付着していない。
△:70℃にて3日間エージングすると巻き取りフィルムにタック感があるが表面状態は全く問題ない。
×:70℃にて3日間エージング後に巻き取りフィルムが付着し表面の劣化やフィルムの破断が起こる。
××:コーティング時にコート剤表面が乾燥していないためにフィルムが付着し巻き取ることができない。
(耐傷性の評価)
フィルムのコート剤表面をスチールウールにて200gの荷重をかけ10往復ラビングする。ラビングした表面について、目視によって観察し、下記の基準で耐傷性を評価した。
○:表面に全く傷がつかない。
△:表面にわずかな(5本〜10本程度)傷がつく。
×:表面に多数の傷がつき白い条痕が残る。
(耐熱性の評価)
フィルムのコート剤表面にアルミ箔を載せ、ヒートバーで5秒間、1kg/cm2の荷重で圧着した。なお、ヒートバーの温度は、原反がPPの場合は120℃、PETの場合は200℃とした。その後、アルミ箔を剥がして、剥がした面について目視で観察し、下記の基準で耐熱性を評価した。
○:圧着後、アルミ箔を剥がしても全く付着しない。
△:圧着後、アルミ箔を剥がすとわずかにタックがあるが、表面状態に変化はない。
×:圧着後、アルミ箔を剥がしても強く付着し、表面状態が劣化している。
(鉛筆硬度試験)
塗膜の一般的な鉛筆硬度試験方法であるJIS K−5400に準じて、各基材フィルム表面に形成したコーティング面の鉛筆硬度を評価した。
Figure 2012041497
表1に示したように、実施例1〜5の樹脂組成物は、いずれも短時間のエージングでコーティングができる性能を有することを確認した。また、エージング後の形成塗膜は、耐傷性、耐熱性を十分有しており、PPフィルム面上でも鉛筆硬度は良好な結果を有していた。これに対し、比較例1、2は、短時間のコーティングでは十分な乾燥性を有しておらず、巻き取り後の表面タックが残っているためにブロッキングを起こしていた。このことから、比較例の組成の樹脂組成物は、コーティング方式ではハードコート剤の性能が発揮できないことがわかった。
本発明によれば、外観、表面硬度、耐スクラッチ性、密着性、曲げ加工性および耐汚染性が良好で、広い範囲で透明性の制御が可能な硬化性樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなるハードコート層を有するポリプロピレンフィルムなどのハードコートフィルムを提供することができる。

Claims (13)

  1. ケイ素原子に直結したアルコキシ基を少なくとも2個有する、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物を少なくとも含む(A)成分に、必要に応じて硬化剤としてアルコール/水可溶性エポキシ樹脂が(B)成分として併用されており、かつ、硬化助剤としてアジリジン基を有する化合物である(C)成分が、上記(A)成分と(B)成分との和(A+B)/上記成分(C)の質量比が1〜200となる範囲で含有されてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記アジリジン基を有する化合物が、エチレンイミン基を有する2〜3官能性の化合物、または、エチレンイミン化合物の重合物であり、その重量平均分子量が300〜10,000のポリエチレンイミンである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記エチレンイミン基を有する2〜3官能性の化合物が、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンのいずれかである請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分に含まれる加水分解物が、(a)下記一般式(1)で表される、アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物の加水分解物、または加水分解に続き起こる縮合反応によって加水分解物が部分的に縮合した部分縮合物であり、かつ、(b)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
    H−(R1n−Si(OR24-n・・・一般式(1)
    (式中nは0〜2の整数であり、R1は、炭素数1〜8の有機基を示し、R2は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。)
  5. 前記(B)成分であるアルコール/水可溶性エポキシ樹脂を含み、かつ、該(B)成分の前記(A)成分との含有比率が、質量比で、成分(A)/成分(B)=0.5〜5.0である請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記アルコキシシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基から選ばれる基を含有している請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(A)成分が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシランから選ばれるいずれかのアルコキシシラン化合物の加水分解物、および部分縮合物を含み、かつ、(A)成分中における、加水分解物または部分縮合物が占める割合が50〜100質量%の範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記部分縮合物の平均分子量が、500〜50,000である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記(B)成分であるアルコール/水可溶性エポキシ樹脂が、そのエポキシ当量が100〜2,000であり、かつ、分子中にエポキシ基残基を2〜6個含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 基材の最表面に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物で形成したハードコート層が設けられてなることを特徴とするハードコートフィルムまたはシート。
  11. 前記基材が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂から選ばれる樹脂の単層またはこれらの樹脂の積層物である請求項10に記載のハードコートフィルムまたはシート。
  12. 前記基材と前記ハードコート層との間に、密着性を向上させるための下塗り剤が施されている請求項10または11に記載のハードコートフィルムまたはシート。
  13. 前記下塗り剤が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、ポリイソシアネート化合物とを含んでなる硬化性樹脂組成物である請求項10〜12のいずれか1項に記載のハードコートフィルムまたはシート。
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