JPH06240207A - コーティング用組成物 - Google Patents

コーティング用組成物

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JPH06240207A
JPH06240207A JP3216693A JP3216693A JPH06240207A JP H06240207 A JPH06240207 A JP H06240207A JP 3216693 A JP3216693 A JP 3216693A JP 3216693 A JP3216693 A JP 3216693A JP H06240207 A JPH06240207 A JP H06240207A
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JP
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water
coating
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JP3216693A
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English (en)
Inventor
Motomasa Haruna
基全 春名
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
Minoru Inoue
井上  稔
Hiroshi Kimura
博 木村
Yasuyo Iwabuchi
靖世 岩渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Silicone Co Ltd
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 常温で硬化乾燥するとともに比較的低温にお
ける加熱促進による硬化も可能で、その硬化被膜が、耐
熱性、耐候性、透明性等に優れ、特に、常温硬化したと
きに、被膜厚が厚くても、硬度が高く、耐クラック性と
耐沸騰水性に優れたコーティング用組成物を提供するこ
と。 【構成】 溶媒に分散した粒子径0.03〜0.2μm
のコロイダルシリカ中で加水分解性オルガノシランを部
分加水分解してなるシリカ分散オリゴマー溶液A、シラ
ノール基含有ポリオルガノシロキサンBおよび硬化触媒
Cを必須成分とし、A成分において、シリカを固形分と
して5〜50重量%含有し、加水分解性オルガノシラン
の少なくとも50モル%がn=1のオルガノシランであ
り、A成分30〜70重量部に対してB成分70〜30
重量部が配合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コーティング用組成
物に関し、さらに詳しくは、ステンレスなどの鋼板;ア
ルミニウムなどの非鉄金属;コンクリート、スレートな
どの無機建材;プラスチック基材;等の表面保護のため
にコートされ、常温放置もしくは低温加熱処理すること
により硬化可能で、耐熱性、耐候性、透明性等に優れ、
特に、常温で硬化したときに、被膜厚が厚くても、硬度
が高く、耐クラック性と耐沸騰水性に優れた被膜を形成
しうるコーティング用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレスなどの鋼板;アルミニ
ウムなどの非鉄金属;コンクリート、スレートなどの無
機建材;プラスチック基材;等の表面保護を目的とした
耐久性被膜を形成しうるコーティング剤として、加水分
解性オルガノシランを加水分解もしくは部分加水分解し
て得られるコーティング剤、あるいは、該コーティング
用組成物にコロイダルシリカを混合したコーティング剤
が知られている。
【0003】たとえば、特開昭51−2736号公報、
特開昭51−2737号公報、特開昭53−13073
2号公報、特開昭63−168470号公報には、オル
ガノアルコキシシラン、該オルガノアルコキシシランの
加水分解および/またはその部分縮合物およびコロイダ
ルシリカとからなり、過剰の水でアルコキシ基をシラノ
ール基に変換してなるコーティング剤が提案されてい
る。これらのコーティング剤により得られる被膜は硬度
が高く、耐候性も良く、基材保護用として優れている。
【0004】しかしながら、上記公報で提案されている
コーティング剤は、所要の被膜特性を得るためには約1
00℃以上の高温もしくは長時間の加熱処理による焼付
けが必要であり、基材の成形方法や寸法、耐熱性または
屋外などの場所によっては適用できない場合があるなど
の不都合があった。また、これらのコーティング用組成
物はアルコキシシランの加水分解により得られるシラノ
ールの活性が高く、常温でも徐々にそれらの縮合反応が
起こりゲル化し易いために安定性が悪いという問題があ
った。特に、これらのコーティング用組成物をビヒクル
として顔料を加えて塗料化しようとするとさらに安定性
が悪くなり、塗料化できないなどの欠点があった。
【0005】特開昭64−168号公報では、塗装直前
に、アルコキシシランの部分加水分解、部分縮合物に硬
化剤と称して水と触媒とを加え、アルコキシ基をシラノ
ール基に変換するコーティング剤が提案されている。こ
の様にして得られるコーティング剤は、貯蔵安定性が良
く、顔料を加えて塗料化しても比較的安定であるが、所
要の被膜特性を得るためには、前述のコーティング剤と
同様に、約100℃以上の高温もしくは長時間の加熱処
理による焼付けが必要であり、基材の成形方法や寸法、
耐熱性または屋外などの場所によっては適用できない。
【0006】一方、耐熱塗料あるいは耐候性塗料用のビ
ヒクルとしてシリコーンレジンが知られている。これら
の多くはシラノール基含有ポリシロキサンからなってお
り、一般にこのようなシラノール基含有オルガノポリシ
ロキサンはオルガノクロロシラン類を加水分解してトル
エンあるいはキシレン溶液にしている場合が多く、また
オルガノアルコキシシランを用いてもその加水分解物が
トルエンあるいはキシレンに溶解するまで、シラノール
基を縮合反応させている。このようにして得られたシリ
コーンレジン溶液は顔料を練り込んで塗料にしても、そ
の塗料の安定性が良い。しかし、このシリコーンレジン
溶液を用いた塗料は、前述のコーティング剤と同様に、
加熱硬化被膜を形成するのに高温で長時間処理しなけれ
ばならないという欠点がある。さらには長時間加熱処理
してもその被膜硬度を高めるには限界があり、耐久性被
膜としては不十分な特性である。
【0007】上述したような欠点を解消する目的で、特
開昭63−268772号公報には、ケイ素アルコキシ
ドを主体としたプレポリマーと硬化触媒および水からな
り常温近傍で硬化するコーティング剤が提案されてい
る。しかし、このコーティング剤は、塗装性および硬化
性が悪く、しかもその硬化性が湿度に影響されやすいな
どの欠点がある。
【0008】このコーティング剤の上記欠点を解消する
目的で、特開平4−175388号公報には、コロイダ
ルシリカを分散したケイ素アルコキシドのプレポリマー
とシラノール基含有ポリオルガノシロキサンおよび触媒
からなり常温近傍で硬化するコーティング用組成物が提
案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の特開
平4−175388号公報に記載のコーティング用組成
物は、湿度に影響されずに硬化被膜が形成されたとして
も、その被塗布物が表面に凹凸のある模様基材である場
合は、凸部と凹部の部分の被膜厚に差が生じるため、凸
部の被膜厚が充分になるように被膜を形成すると、凹部
の被膜厚が大きくなり、この凹部上の被膜部分にクラッ
クが生じやすくなるという欠点があった。また、このコ
ーティング用組成物は、浴槽周り等に適用する場合に必
要な被膜の耐久性を評価する方法の一つである耐沸騰水
試験においても、一定以上の被膜厚になるとクラックが
発生しやすくなり、被膜特性としては不充分であった。
【0010】そこで、この発明は、常温で硬化乾燥する
とともに比較的低温における加熱促進による硬化も可能
であり、耐熱性、耐候性、透明性等に優れた被膜を形成
することができるとともに、該被膜において、特に、常
温で硬化したときに、被膜厚が厚くても、硬度が高く、
耐クラック性と耐沸騰水性に優れたコーティング用組成
物を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、前記課題を
解決するため、鋭意検討した。その結果、有機溶媒ある
いは水に分散されたコロイダルシリカ中でアルコキシシ
ラン等の加水分解性オルガノシランを部分加水分解して
なるシリカ分散オリゴマーと、シラノール基含有ポリオ
ルガノシロキサンと、触媒とを必須成分とするコーティ
ング用組成物において、前記コロイダルシリカとして特
定の粒子径を有するものを用いたものが、前記従来のコ
ーティング剤およびコーティング用組成物の欠点を解消
する優れた性能を示すことを見いだし、本発明を完成す
るに至った。
【0012】したがって、この発明にかかるコーティン
グ用組成物は、(A)一般式: R1 nSiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
数、Xは加水分解性基を示す。)で表わされる加水分解
性オルガノシランを、有機溶媒および/または水に分散
した粒子径0.03〜0.2μmのコロイダルシリカ中
で、X1モルに対し水0.001〜0.5モルを使用す
る条件下で、部分加水分解してなる、オルガノシランの
シリカ分散オリゴマー溶液、(B)平均組成式: R2 aSi(OH)b(4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそ
れぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b
<4の関係を満たす数である。)で表わされる、シラノ
ール基含有ポリオルガノシロキサン、および、(C)硬
化触媒を必須成分とし、(A)成分において、シリカを
固形分として5〜50重量%含有し、加水分解性オルガ
ノシランの少なくとも50モル%がn=1のオルガノシ
ランであり、(A)成分30〜70重量部に対して
(B)成分70〜30重量部が配合されている(ただ
し、(A)成分と(B)成分の合計は100重量部であ
る)ものである。
【0013】この明細書中、「〜」は以上以下を表す。
この発明で用いられる(A)成分のシリカ分散オリゴマ
ーは、被膜形成に際して、硬化反応に預かる官能性基と
しての加水分解性基Xを有するベースポリマーの主成分
である。これは、有機溶媒、水またはこれらの混合溶媒
に分散したコロイダルシリカに、前記一般式(I)で表
される加水分解性オルガノシランの1種または2種以上
を加え、コロイダルシリカ中の水あるいは別途添加され
た水により該加水分解性オルガノシランを部分加水分解
することで得られる。
【0014】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中の基R1 は炭素数1〜8の置換または非
置換の1価の炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基な
どのアラルキル基;フェニル基、トリル基などのアリー
ル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;クロロ
メチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロ
プロピル基などのハロゲン置換炭化水素基;およびγ−
メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル
基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メ
ルカプトプロピル基などの置換炭化水素基;などを例示
することができる。これらの中でも、合成の容易さ、あ
るいは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基およ
びフェニル基が好ましい。
【0015】加水分解性基Xとしては、アルコキシ基、
アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、ア
ミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これらの中で
も、入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー溶液を調
製しやすいことからアルコキシ基が好ましい。このよう
な加水分解性オルガノシランとしては、前記一般式
(I)中のnが0〜3の整数であるモノ−、ジ−、トリ
−、テトラ−の各官能性の、アルコキシシラン類、アセ
トキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン
類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラ
ン類などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易さ
およびシリカ分散オルガノシランオリゴマー溶液を調製
しやすいことからアルコキシシラン類が好ましい。
【0016】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
などが例示でき、n=1のオルガノトリアルコキシシラ
ンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシランな
どが例示できる。また、n=2のジオルガノジアルコキ
シシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシ
シランなどが例示でき、n=3のトリオルガノアルコキ
シシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメ
チルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラ
ン、ジメチルイソブチルメトキシシランなどが例示でき
る。さらに、一般にシランカップリング剤と呼ばれるオ
ルガノシラン化合物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0017】一般式(I)で表される、これらの加水分
解性オルガノシランのうち、50モル%以上がn=1の
3官能性のものであることが必要である。この3官能性
のオルガノシランの割合は、好ましくは60モル%以上
であり、より好ましくは70モル%以上である。これが
50モル%未満では十分な塗膜硬度が得られないと共
に、乾燥硬化性が劣り易いことがある。
【0018】(A)成分中のコロイダルシリカは、この
発明のコーティング用組成物の硬化被膜の硬度を高くす
るとともに、優れた耐クラック性と耐沸騰水性を得るた
めに必須のものであり、特に、0.03〜0.2μmの
粒子径を持つものを用いることが重要となる。このよう
なコロイダルシリカとしては、水、有機溶媒またはこれ
らの混合溶媒に分散したコロイダルシリカが使用でき
る。一般にこの様なコロイダルシリカは、固形分として
のシリカを20〜50重量%含有しており、この値から
シリカ配合量を決定できる。
【0019】水に分散したコロイダルシリカ(以下、
「水分散コロイダルシリカ」と称する)を使用する場
合、固形分以外の成分として存在する水は、(A)成分
の有機ケイ素化合物の加水分解に用いることができる。
これらは通常水ガラスから作られるが、このようなコロ
イダルシリカは市販品を容易に入手することができる。
有機溶媒に分散したコロイダルシリカ(以下、「有機溶
媒分散コロイダルシリカ」と称する)は、前記水分散コ
ロイダルシリカの水を有機溶媒と置換することで容易に
調製することができる。このような有機溶媒分散コロイ
ダルシリカも水分散コロイダルシリカと同様に市販品と
して容易に入手する事ができる。コロイダルシリカが分
散している有機溶媒の種類は、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコ
ール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エ
チレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリ
コール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールの
誘導体;ジアセトンアルコール等を挙げることができ、
これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の
ものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒
と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトオキシムなども用いることができる。
【0020】有機溶媒および/または水に分散したコロ
イダルシリカの粒子径は、前述したように0.03〜
0.2μmであり、好ましくは0.05〜0.15μm
の範囲である。この粒子径が、0.03μm未満である
と、一定膜厚以上で充分な耐クラック性と耐沸騰水性が
得られず、0.2μmより大きいと、被膜の透明性が損
なわれることがある。
【0021】(A)成分中においてコロイダルシリカ
は、シリカ固形分として5〜50重量%の範囲で含有さ
れる。好ましくは10〜40重量%の範囲である。含有
量が5重量%未満であると、所望の被膜硬度と耐クラッ
ク性および耐沸騰水性が得られず、また、50重量%を
超えると、被膜の透明性が損なわれるなどの不都合を招
来することがある。
【0022】(A)成分のシリカ分散オリゴマーは、通
常、加水分解性基含有オルガノシランを、水および/ま
たは有機溶媒に分散した前述のコロイダルシリカ中で部
分加水分解して得ることができる。加水分解性オルガノ
シランに対する水の使用量は、加水分解性基(X)1モ
ルに対して水0.001〜0.5モルである。その割合
が0.001モル未満だと十分な部分加水分解物が得ら
れず、0.5モルを越えると部分加水分解物の安定性が
悪くなることがある。部分加水分解する方法は、特に限
定されず、加水分解性オルガノシランとコロイダルシリ
カとを混合して、必要量の水を添加配合すればよく、こ
のとき、部分加水分解反応は常温で進行する。部分加水
分解反応を促進させるため60〜100℃に加温しても
よい。また、部分加水分解反応を促進させる目的で、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トル
エンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸または無機酸を
触媒に用いてもよい。
【0023】(A)成分は、長期的に安定して性能を得
るためには、液のpHを2.0〜7.0、好ましくは
2.5〜6.5、より好ましくは3.0〜6.0にする
とよい。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が
加水分解性基(X)1モルに対し0.3モル以上で
(A)成分の長期的な性能低下が著しくなることがあ
る。(A)成分のpHがこの範囲外にあるときは、この
範囲より酸性側であれば、アンモニア、エチレンジアミ
ン等の塩基性試薬を添加して調整すれば良く、塩基性側
のときも塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いて調整す
れば良い。しかし、その調整方法は特に限定されるもの
ではない。
【0024】(B)成分のシラノール基含有ポリオルガ
ノシロキサンは、本発明の特徴をなす重要な成分であ
る。この(B)成分は、平均組成式: R2 aSi(OH)b(4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそ
れぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b
<4の関係を満たす数である。)で表すことが出来る。
式中、R2 としては、前記一般式(I)中のR1 と同じ
ものが例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアル
キル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロ
ピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、3,3,3−
トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基、より好
ましくはメチル基およびフェニル基である。また、式
中、aおよびbは、それぞれ上記の関係を満たす数であ
り、aが0.2未満またはbが3を超えると硬化被膜に
クラックを生じるなどの不都合があり、また、aが2を
超え4以下の場合またはbが0.0001未満では硬化
がうまく進行しない。
【0025】このようなシラノール基含有ポリオルガノ
シロキサンは、たとえば、メチルトリクロロシラン、ジ
メチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジ
フェニルジクロロシラン、もしくはこれらに対応するア
ルコキシシランの1種もしくは2種以上の混合物を公知
の方法により大量の水で加水分解することで得ることが
できる。シラノール基含有ポリオルガノシロキサンを得
るために、アルコキシシランを用いて公知の方法で加水
分解した場合、加水分解されないアルコキシ基が微量に
残る場合がある。つまり、シラノール基と極微量のアル
コキシ基が共存するようなポリオルガノシロキサンが得
られる事もあるが、この発明では、この様なポリオルガ
ノシロキサンを用いても差支えない。
【0026】(C)成分である硬化触媒は、前述の
(A)成分と(B)成分との縮合反応を促進し、被膜を
硬化させるものである。このような触媒としては、アル
キルチタン酸塩、オクチル酸錫およびジブチル錫ジラウ
レート、ジオクチル錫ジマレート等のカルボン酸の金属
塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミ
ンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン
塩;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4
級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミンのようなア
ミン類;N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカ
ップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩
酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウム
キレート等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなど
のアルカリ触媒;テトライソプロピルチタネート、テト
ラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセト
ネート等のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシ
ラン等のハロゲン化シラン等があるが、(A)成分と
(B)成分との縮合反応の促進に有効なものであれば、
特に制限はない。
【0027】(A)成分および(B)成分の配合割合
は、(A)成分30〜70重量部に対して(B)成分7
0〜30重量部であり、好ましくは(A)成分40〜6
0重量部に対して(B)成分60〜40重量部である
(ただし、(A)成分と(B)成分の合計は100重量
部である)。(A)成分が30重量部未満であると充分
な耐クラック性と耐沸騰水性が得られないし、一方、
(A)成分が70重量部を超えると被膜の透明性が得ら
れないことがある。
【0028】また、(C)成分の添加量は、(A)成分
と(B)成分との合計100重量部に対して0.000
1〜10重量部であることが好ましい。より好ましくは
0.0005〜8重量部であり、最も好ましくは0.0
007〜5重量部である。(C)成分の添加量が0.0
001重量部未満だと常温で硬化しないことがあり、ま
た、10重量部を越えると耐熱性、耐候性が悪くなるこ
とがある。
【0029】この発明のコーティング用組成物は、取り
扱いの容易さから各種有機溶媒で希釈されて使用でき
る。有機溶媒の種類は、(A)成分あるいは(B)成分
の一価炭化水素基の種類もしくは分子量の大きさによっ
て選定することができる。このような有機溶媒として
は、コロイダルシリカの分散溶媒として前述したもの等
を挙げることができ、それらの中から選ばれた1種もし
くは2種以上のものを使用することができる。
【0030】本発明のコーティング用組成物の保存方法
としては、(A)、(B)および(C)成分をそれぞれ
保存する3包装形をとるのが一般的であるが、(A)成
分と(C)成分の混合成分と(B)成分とを分けて2包
装形としておき、使用時に両者を混合するか、すべての
成分を混合して一容器内に保存する1包装形とすること
も可能である。但し、(A)成分と(C)成分を混合し
て保存する場合は、(A)成分のpHを2〜7に調整し
た後、(C)成分を加えることが好ましく、さらには、
(A)成分のオルガノシランの加水分解性基(X)1モ
ルに対する水の使用量は0.3モル以下が好ましい。
【0031】この発明のコーティング用組成物は、ポリ
カーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などのプ
ラスチック;アルミニウム、ステンレス、銅、鉄、ジュ
ラルミンなどの金属:紙;木材;ガラス;セメント・石
膏などで作られた壁材;などの表面保護用に適用できる
他、アクリル系、アルキッド系、ポリエステル系、エポ
キシ系、ウレタン系等の塗料による塗膜の表面保護用に
も適用できる。
【0032】被膜の厚みは、たとえば、長時間高温で耐
久性が必要な用途に適用する場合、0.1〜35μmで
あれば良い。塗膜の平滑性を考えると、好ましくは1〜
30μmである。35μmを超える厚みになると、沸騰
水によりクラックが生じることがある。本発明のコーテ
ィング用組成物は、通常の塗布方法でコーティングする
ことができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロ
ー、ロール、カーテン、ナイフコート等の各種塗布方法
を選択することができる。また、有機溶媒での希釈割合
は特に制限はなく必要に応じて希釈割合を決定すれば良
い。
【0033】この発明のコーティング用組成物には、必
要に応じて、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料、アル
ミペースト、ガラスフリット、金属粉、抗酸化剤、紫外
線吸収剤等を、発明の目的の達成に悪影響を与えない範
囲内で添加することができる。
【0034】
【作用】前記特定の(A)、(B)および(C)成分を
必須成分として含ませると、コーティング用組成物が、
湿度の影響をほとんど受けずに、常温で硬化乾燥するこ
とが可能になるとともに、比較的低温における加熱促進
により硬化することも可能になる。しかも、耐熱性、耐
候性、透明性等に優れた被膜を形成する。また、(A)
成分中、コロイダルシリカとして前記特定範囲の粒子径
を有するものを用いると、コーティング用組成物が常温
で硬化したときに、その被膜厚が厚くても、被膜硬度が
高くなり、耐クラック性が極めて向上し、被膜が沸騰水
と接した際のクラックの発生が著しく抑えられ、耐沸騰
水性が極めて向上する。
【0035】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を挙げてさらに詳述するが、この発明は下記実施例
に限定されない。実施例中、特に断らない限り、「部」
はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重量%」を表
す。まず、(A)成分の調製方法の例を説明する。
【0036】−調製例A−1− 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を
取付けたフラスコ中に、メタノール分散コロイダルシリ
カ〔商品名OSCAL−1135、粒子径0.04〜
0.05μm、固形分30%、触媒化成工業社製)10
0部、メチルトリメトキシシラン68部、水9部および
1%塩酸水溶液1.8部を投入し、攪拌しながら65℃
の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い、冷却
後、トルエン20部を加えることにより、平均分子量約
700のオルガノシランオリゴマーを含むシリカ分散溶
液を得た。以下、これをA−1と称する。
【0037】なお、分子量は、GPC(ゲル浸透クロマ
トグラフィー)により、測定機種名HLC−8020
(東ソー株式会社製)を用いて、標準ポリスチレンで検
量線を作成し、測定したものである。以後の分子量も同
様の方法で測定した。 −調製例A−2〜A−5− 調製例A−1において、原料の配合を表1に示す通りと
したこと以外は調製例A−1と同様にして、オルガノシ
ランオリゴマーを含むシリカ分散溶液を得た。以下、こ
れらの溶液をA−2〜A−5と称する。
【0038】
【表1】
【0039】上記表1中、メタノール分散コロイダルシ
リカは前記調製例A−1で用いたものであり、IPA分
散コロイダルシリカ(IPAはイソプロピルアルコール
の略記)は、固形分30%、日産化学工業社製のもので
あり、n−ブタノール分散コロイダルシリカは、固形分
30%、日産化学工業社製のものである。次に(B)成
分の調製方法の例を説明する。
【0040】−調製例B−1− 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートお
よび温度計を取付けたフラスコにメチルトリイソプロポ
キシシラン220部(1モル)とトルエン150部との
混合液を計り取り、この混合液に1%塩酸水溶液108
部を20分かけて攪拌下で滴下して、メチルトリイソプ
ロポキシシランを加水分解した。滴下終了から40分後
に攪拌を止め、反応液を分液ロートに入れて静置した。
すると、二層に分離した。これらの層のうちの、少量の
塩酸を含んだ下層の水・イソプロピルアルコールの混合
液を分液除去し、後に残ったトルエンの樹脂溶液から塩
酸を水洗除去し、さらにトルエンを減圧除去した後、残
留物をイソプロピルアルコールで希釈することにより、
平均分子量約2000のシラノール基含有ポリオルガノ
シロキサンのイソプロピルアルコール40%溶液を得
た。以下、これをB−1と称する。
【0041】−調製例B−2− 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートお
よび温度計を取付けたフラスコに水1000部、アセト
ン50部を計り取り、その混合溶液中に、メチルトリク
ロロシラン44.8部(0.3モル)、ジメチルジクロ
ロシラン38.7部(0.3モル)、フェニルトリクロ
ロシラン84.6部(0.4モル)をトルエン200部
に溶解したものを攪拌下で滴下しながら加水分解した。
滴下終了から40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロー
トに入れて静置した。すると、二層に分離した。これら
の層のうちの、下層の塩酸水を分液除去し、後に残った
上層のポリオルガノシロキサンのトルエン溶液を減圧ス
トリッピングにかけ、この溶液中に残存している水と塩
酸を過剰のトルエンとともに留去して除去することによ
り、平均分子量約3000のシラノール基含有ポリオル
ガノシロキサンのトルエン60%溶液を得た。以下、こ
れをB−2と称する。
【0042】−実施例1〜5および比較例1〜2− 表2〜3に示す成分を同表に示す配合で混合して、各コ
ーティング用組成物を得た。これを、アルミニウム熔射
したテストピース(商品名アルスター、日本テストパネ
ル社製)にスプレー塗装で表2〜3に示す硬化被膜厚に
なるように塗布し、常温で硬化させ、一週間後に被膜特
性を試験した。
【0043】被膜特性の試験は以下の評価方法に拠っ
た。透明性 :目視により評価した。密着性(碁盤目剥離試験) :基材への密着性を碁盤目セ
ロハン粘着テープ(セロテープ)剥離試験により調べ、
100個の碁盤目のうち基材に残存している碁盤目数で
示した。
【0044】被膜硬度:鉛筆硬度試験法(JIS K5
400に準ずる。)。耐溶剤性 :トルエンを含ませたガーゼで被膜を軽く押さ
えて往復で100回擦り、そのときの被膜の状態を観察
して変化のないものを硬化性良好とした。
【0045】耐沸騰水性:試験片を水道水で16時間煮
沸した後、試験片を1時間放置して被膜の状態を観察し
て変化のないものを良好とした。耐候性 :サンシャインウエザオメーター(JIS K5
400に準ずる。)で2500時間照射後、被膜状態を
観察して変化のないものを良好とした。
【0046】光沢性:鏡面光沢度測定法(JIS K5
400に準ずる。)により、色差計(日本電色工業株式
会社製、Z−Σ80)を用い、60度鏡面光沢を測定し
た。 以上の試験の結果を表2〜3に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】表2〜3にみるように、実施例のコーティ
ング用組成物は、比較例のものに比べて、透明性、密着
性、被膜硬度、耐溶剤性(硬化性)、耐沸騰水性、耐候
性および光沢性のいずれも不足なく優れている。
【0050】
【発明の効果】この発明にかかるコーティング用組成物
は、前記特定の(A)、(B)および(C)を必須成分
とするものであるため、乾燥性が速く、湿度の影響をほ
とんど受けずに、常温硬化するとともに加熱硬化も可能
である。その硬化被膜は、密着性、耐溶剤性(硬化
性)、光沢性、透明性、耐熱性および耐候性等に優れ、
特に、常温で硬化したときに、被膜厚が厚くても、硬度
が高く、耐クラック性と耐沸騰水性に優れる。
【0051】このコーティング用組成物は、前述のよう
に常温硬化も加熱硬化も可能であるため、幅広い乾燥条
件範囲(環境)または温度範囲で使用できる。従って、
耐熱性のない基体に対しても塗装でき、熱のかけられな
い作業現場でも塗装できることから、その工業的、産業
的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 稔 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 木村 博 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 岩渕 靖世 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式: R1 nSiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
    数、Xは加水分解性基を示す。)で表わされる加水分解
    性オルガノシランを、有機溶媒および/または水に分散
    した粒子径0.03〜0.2μmのコロイダルシリカ中
    で、X1モルに対し水0.001〜0.5モルを使用す
    る条件下で、部分加水分解してなる、オルガノシランの
    シリカ分散オリゴマー溶液、(B)平均組成式: R2 aSi(OH)b(4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそ
    れぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b
    <4の関係を満たす数である。)で表わされる、シラノ
    ール基含有ポリオルガノシロキサン、および、(C)硬
    化触媒を必須成分とし、(A)成分において、シリカを
    固形分として5〜50重量%含有し、加水分解性オルガ
    ノシランの少なくとも50モル%がn=1のオルガノシ
    ランであり、(A)成分30〜70重量部に対して
    (B)成分70〜30重量部が配合されている(ただ
    し、(A)成分と(B)成分の合計は100重量部であ
    る)コーティング用組成物。
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