JP3191600B2 - ステンレス塗装構成体、及びその製造方法 - Google Patents

ステンレス塗装構成体、及びその製造方法

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JP3191600B2
JP3191600B2 JP04100895A JP4100895A JP3191600B2 JP 3191600 B2 JP3191600 B2 JP 3191600B2 JP 04100895 A JP04100895 A JP 04100895A JP 4100895 A JP4100895 A JP 4100895A JP 3191600 B2 JP3191600 B2 JP 3191600B2
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昌宏 吹擧
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス基材の表面
に無機塗装を施してなるステンレス塗装構成体、及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、外壁や屋根材等に用いられる建築
材では、アルミやステンレス等の金属系部材が多く使用
されている。この金属系部材は一般に、環境条件によっ
て表面が腐食されやすくなるという欠点を有しており、
耐腐食性に優れたステンレス材においてもこの欠点が払
拭されるものではない。そのため従来では、ステンレス
材の表面に有機塗装やフッ素塗装を施して表面保護を行
っている。しかし、有機塗装は塗装の耐候性が悪く、ま
たフッ素塗装は傷つきやすい、汚れやすい等の欠点があ
った。
【0003】これらの欠点のない表面保護塗装として、
ケイ素化合物系の無機塗料が提案されているが、この無
機塗料による被膜は、耐候性に優れ、且つ硬度が高いも
のの、密着性が低いために剥離しやすいという問題点を
有していた。これに対し、特開平6−182295の公
報に、プライマー(エポキシ樹脂)を介してケイ素アル
コキシド系コーティング材からなる無機塗装を行うこと
で被膜の密着性を改良した例が開示されている。これに
よればステンレス基材の表面に、エポキシ系プライマー
を塗布し焼付けた後、この上に顔料入りの無機塗料を塗
布し焼付け、場合によってさらに無機塗料の上塗り焼付
けをしてステンレス塗装構成体を製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ス
テンレス塗装構成体は耐クラック性が十分とは言えず、
またステンレス基材への被膜の密着性もさらに向上させ
ることが望ましいものであった。
【0005】そこで本発明は、耐クラック性、密着性に
優れたステンレス塗装構成体、及びその製造方法を提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のステンレス塗装
構成体は、ステンレス基材の表面にプライマー層を介し
てケイ素アルコキシド系コーティング層を有するステン
レス塗装構成体であって、前記プライマー層が、 ビニル系共重合体の数平均分子量が5000〜300
00の範囲であり、且つ官能基として3級アミノ基を
0.5〜20重量%含んだ樹脂組成物と、0〜70重量
%の顔料とから構成される塗料組成物、 ビニル系共重合体の数平均分子量が200〜5000
の範囲であり、且つ官能基としてエポキシ基及び加水分
解性シリル基を有するシリコン化合物からなる塗装組成
物、前記を混合してなるプライマー組成物の硬化体
からなるものであり、前記ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング層が、 (A)一般式 (R1)n SiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
数、Xは加水分解性基を示す)で表される加水分解性オ
ルガノシランを、有機溶媒または水に分散されたコロイ
ダルシリカ中で、(I)式中のX1モルに対して水0.
001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解し
て得られた、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶
液 (B)平均組成式 (R2)a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a及びbはそれ
ぞれ0.2≦a≦2,0.0001≦b≦3,a+b<
4の関係を満たす数である)で表される分子中にシラノ
ール基を含有するポリオルガノシロキサン (C)硬化触媒 前記(A)(B)(C)とからなるケイ素アルコキシド
系コーティング材であって、(A)成分においてシリカ
を固形分として5〜95重量%含有し、且つ加水分解性
オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1のオル
ガノシランであり、(A)成分1〜99重量部に対して
(B)成分99〜1重量部を配合してなるケイ素アルコ
キシド系コーティング材の単独、または顔料、無機フィ
ラーの一方もしくは両方を1種または2種以上分散させ
たものの硬化体からなるものであることを特徴とするも
のである。
【0007】本発明のステンレス塗装構成体の製造方法
は、ステンレス基材の表面にプライマー層を形成し、こ
のプライマー層の表面にケイ素アルコキシド系コーティ
ング層を形成するステンレス塗装構成体の製造方法であ
って、前記プライマー層を、 ビニル系共重合体の数平均分子量が5000〜300
00の範囲であり、且つ官能基として3級アミノ基を
0.5〜20重量%含んだ樹脂組成物と、0〜70重量
%の顔料とから構成される塗料組成物、 ビニル系共重合体の数平均分子量が200〜5000
の範囲であり、且つ官能基としてエポキシ基及び加水分
解性シリル基を有するシリコン化合物からなる塗装組成
物、前記を混合してなるプライマー組成物を前記ス
テンレス基材の表面に塗装した後、硬化させることによ
り形成し、前記ケイ素アルコキシド系コーティング層
を、 (A)一般式 (R1)n SiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
数、Xは加水分解性基を示す)で表される加水分解性オ
ルガノシランを、有機溶媒または水に分散されたコロイ
ダルシリカ中で、(I)式中のX1モルに対して水0.
001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解し
て得られた、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶
液、 (B)平均組成式 (R2)a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a及びbはそれ
ぞれ0.2≦a≦2,0.0001≦b≦3,a+b<
4の関係を満たす数である)で表される分子中にシラノ
ール基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)硬化
触媒、前記(A)(B)(C)とからなるケイ素アルコ
キシド系コーティング材であって、(A)成分において
シリカを固形分として5〜95重量%含有し、且つ加水
分解性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1
のオルガノシランであり、(A)成分1〜99重量部に
対して(B)成分99〜1重量部を配合してなるケイ素
アルコキシド系コーティング材の単独物からなる無機塗
料、またはこのケイ素アルコキシド系コーティング材に
顔料、添加剤の一方もしくは両方を1種または2種以上
分散させて得られた無機塗料を前記プライマー層の表面
に塗布した後、前記ケイ素アルコキシド系コーティング
材を硬化させることにより形成することを特徴とするも
のである。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明に
用いられるステンレス基材としては、一般に市販されて
いるものを用いることができるものであり、特に限定さ
れない。また、その表面にロールエンボスによる模様付
けが施されていても構わない。さらに、溶接等により必
要な形状に加工されていても構わない。このステンレス
基材は表面に付着した不純物を取り除くために脱脂処理
が施されていることが望ましい。この脱脂処理は、特に
限定されず、例えばアルカリ脱脂や溶剤脱脂、または、
硝弗酸処理等でもよい。このステンレス基材へのプライ
マー組成物の塗布に先立ち、ステンレス基材にクロメー
ト処理を施しても構わない。
【0009】次に前記プライマー層について説明する。
このプライマー層は、前記の塗料組成物を混合して
なるプライマー組成物の硬化体からなるものである。前
記プライマー組成物における前記の混合比率は、
を100としたときを1〜100の割合で混合するの
が望ましいものである。
【0010】また、前記の樹脂組成として用いられ
ているビニル系共重合体は、ポリエステルやスチレン等
でも構わないが、耐候性を考慮すると、少なくとも、ア
クリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエス
テルを含んだビニル系共重合体であることが好ましいも
のである。
【0011】前記の塗料組成物においては、標準ポリ
スチレン換算による数平均分子量で分子量が5000〜
30000の範囲のビニル系共重合体に官能基としてア
ミノ基を0.5〜20重量%含んだ樹脂組成物が用いら
れており、この樹脂組成物に顔料を混合して調製するこ
とができるものである。このとき、顔料の含有量を70
重量%以下とすることが必要である。すなわち、顔料の
含有量を増加させるとプライマー層の強度が低下してく
るものであり、含有量が70重量%を越えると凝集剥離
に伴うプライマー層の剥離等の現象が起こるためであ
る。
【0012】前記の塗料組成物においては、標準ポリ
スチレン換算による数平均分子量で分子量が200〜5
000の範囲のビニル系共重合体に官能基としてエポキ
シ基及びシリル基を有するシリコン化合物が用いられて
おり、官能基のエポキシ基及びシリル基は、架橋剤とし
て働いてプライマー層の強度アップを図る同時に、ステ
ンレス基材への密着性を向上させる役目を果たすもので
ある。特に表面が科学的に安定なステンレス面に対して
は、シリル基がステンレス表面の水酸基と水素結合やオ
キサン結合をするだけでなく、エポキシ基もステンレス
基材と水素結合して、強固な密着状態となる。また、シ
リル基はプライマー層の上に形成されるケイ素アルコキ
シド系コーティング層との密着に関しても大きな働きを
するものである。
【0013】プライマー層の形成は、前記プライマー組
成物をステンレス基材表面に塗布し、5〜150℃の温
度で乾燥(焼付け)して硬化させればよいものである。
このとき、プライマー組成物の塗布方法は、特に限定さ
れず一般に行われている方法を採用することができ、例
えば刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロー、ロール、カー
テン、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することが
できる。プライマー組成物の塗布量は、層厚みで2〜1
00μm、望ましくは5〜40μmである。2μmに満
たない場合には耐腐食性や密着性に問題を生じ、一方、
100μmを越えると焼付け時に発砲等の問題を起こし
たり、耐クラック性が低下したりして好ましくない。
【0014】次に前記ケイ素アルコキシド系コーティン
グ層について説明する。ケイ素アルコキシド系コーティ
ング層は、前記プライマー層の上に形成されるものであ
り、前記(A)成分のシリカ分散オリゴマー溶液と、
(B)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分の
硬化触媒と、からなるケイ素アルコキシド系コーティン
グ材の単独、または顔料、添加剤の一方もしくは両方を
1種または2種以上分散させたものの硬化体からなるも
のである。
【0015】(A)成分のシリカ分散オリゴマー溶液に
ついて説明する。シリカ分散オリゴマーはケイ素アルコ
キシド系コーティング層の形成に際して、硬化反応に預
かる官能性基としての加水分解性基を有するベースポリ
マーの主成分である。これは、有機溶媒または水に分散
されたコロイダルシリカに、前記一般式(I)で表され
る加水分解性オルガノシランの一種または2種以上を加
え、コロイダルシリカ中の水または別途添加された水
で、この加水分解性オルガノシランを部分加水分解する
ことで得られる。
【0016】一般式(I)で表される加水分解性オルガ
ノシラン中のR1 は、炭素数1〜8の同一または異種の
置換もしくは非置換の炭化水素基を示し、例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
ヘプチル、オクチル等のアルキル基;シクロペンチル、
シクロヘキシル等のシクロアルキル基;2−フェニルエ
チル、3−フェニルプロピル等のアラルキル基;フェニ
ル、トリル等のアリール基、ビニル、アリル等のアルケ
ニル基;クロロメチル、γ−クロロプロピル、3,3,3-ト
リフルオロプロピル等のハロゲン置換炭化水素基;γ−
メタクリロキシプロピル、γ−グリシドキシプロピル、
3,4-エポキシシクロヘキシルエチル、γ−メルカプトプ
ロピル等の置換炭化水素基を例示することができる。こ
れらの中でも、合成の容易さ、入手の容易さから炭素数
1〜4のアルキル基またはフェニル基が好ましい。
【0017】加水分解性基Xの例としては、アルコキシ
基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ
基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。入手の
容易さやシリカ分散オリゴマー溶液の調製のしやすさか
ら、アルコキシ基が好ましい。
【0018】このような加水分解性オルガノシランとし
ては、前記一般式(I)中のnが0〜3の整数であるモ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシ
シラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エ
ノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。入手の容易さや
シリカ分散オリゴマー溶液の調製のしやすさから、アル
コキシシラン類が好ましい。
【0019】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
等が例示でき、n=1のオルガノトリアルコキシシラン
としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が例
示できる。また、n=2のジオルガノジアルコキシシラ
ンとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン
等が例示でき,n=3のトリオルガノアルコキシシラン
としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエト
キシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチ
ルイソブチルメトキシシラン等が例示できる。さらに、
一般にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン
化合物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0020】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシランのうち、50モル%以上がn=1で表され
る三官能性のものであることが必要であり、好ましくは
60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上
である。n=1で表される三官能性のものが50モル%
未満では、十分な被膜硬度が得られず、また乾燥硬化性
が劣ることがある。
【0021】(A)成分のシリカ分散オリゴマー溶液に
用いられるコロイダルシリカとしては、水分散性あるい
はアルコール等の非水系の有機溶媒分散性のコロイダル
シリカが使用できる。一般にこのようなコロイダルシリ
カは、固形分としてのシリカを20〜50重量%含有し
ており、この値から(A)成分中のシリカ配合量を決定
することができる。
【0022】水分散コロイダルシリカは通常、水ガラス
から作られるものであり、このようなコロイダルシリカ
は市販品として容易に入手することができる。この水分
散性コロイダルシリカを使用する場合、固形分以外の成
分として存在する水は、(A)成分中の加水分解性オル
ガノシランの加水分解に用いることができる。
【0023】一方、有機溶媒分散コロイダルシリカは前
記水分散コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換するこ
とで容易に調製することができる。このような有機溶媒
分散コロイダルシリカも市販品として容易に入手するこ
とができる。この有機溶媒分散コロイダルシリカに用い
られる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノ
ール等の低級脂肪酸アルコール類;エチレングリコー
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレ
ングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコ
ール誘導体;ジアセトンアルコール等を挙げることがで
きる。これらは、単独または2種以上のものを併用する
ことができる。さらにこれらの親水性有機溶媒と併用し
て、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエ
チルケトオキシム等を用いることもできる。
【0024】(A)成分中において、前記コロイダルシ
リカはシリカ固形分として5〜95重量%の範囲で含有
されるように配合されるのが好ましく、より好ましくは
10〜90重量%であり、最も好ましくは20〜85重
量%である。(A)成分中におけるシリカ固形分の含有
量が5重量%未満であると所望の被膜硬度が得られず、
また95重量%を越えると、シリカの均一分散が困難と
なり、(A)成分がゲル化する等の不都合を招来するこ
とがある。
【0025】(A)成分のシリカ分散オリゴマーは、通
常、加水分解性オルガノシランを水分散コロイダルシリ
カまたは有機溶媒分散コロイダルシリカ中で部分加水分
解することで得ることができる。加水分解性オルガノシ
ランに対する水の使用量は、加水分解性基Xの1モルに
対して0.001〜0.5モルが好ましい。0.001
モル未満では、十分な部分加水分解物が得られず、一
方、0.5モルを越えると部分加水分解物の安定性が悪
くなる。部分加水分解する方法は特に限定されないが、
加水分解性オルガノシランとコロイダルシリカとを混合
して、必要量の水を添加配合すればよく、部分加水分解
反応は常温で進行する。このとき部分加水分解反応を促
進させるために、60〜100℃に加熱してもよい。さ
らに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩酸、酢
酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香
酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン
酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、トルエン
スルホン酸、シュウ酸などの有機酸または無機酸を触媒
として用いても構わない。
【0026】(A)成分の性能の長期的な安定化をはか
るには、液のpHを2.0〜7.0、好ましくは2.5
〜6.5、より好ましくは3.0〜6.0の範囲にする
とよい。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が
加水分解性基Xの1モルに対して0.3モル以上で
(A)成分の長期的な性能低下が著しい。(A)成分の
pHがこの範囲外である場合には、pHが前記範囲内と
なるように調整すればよいものであり、その調整方法は
特に限定されず、例えば、pHが前記範囲より酸性側で
あればアンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を
添加して調整すればよく、塩基性側であれば塩酸、硝
酸、酢酸等の酸性試薬を添加して調整すればよい。
【0027】(B)成分のシラノール基を含有するポリ
オルガノシロキサンについて説明する。このシラノール
基を含有するポリオルガノシロキサンは、 平均組成式 (R2)a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) で表されるものである。この平均組成式(II)中のR2
は、同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜
8の1価炭化水素基を示すものであり、前記一般式
(I)中のR1 と同じものが例示されるが、好ましく
は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、γ−メタ
クリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、
γ−アミノプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基
等の置換炭化水素基であって、より好ましくはメチル基
またはフェニル基である。また、式中のaおよびbはそ
れぞれ0.2≦a≦2,0.0001≦b≦3,a+b
<4の関係を満たす数であり、aが0.2未満またはb
が3を越えると、硬化被膜にクラックを生じる等の不都
合があり、aが2を越え4以下の場合またはbが0.0
001未満では硬化がうまく進行しない。
【0028】このようなシラノール基を含有するポリオ
ルガノシロキサンは、例えば、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、ジフェニルジクロロシラン、またはこれらに対応す
るアルコキシシランの1種もしくは2種以上の混合物を
公知の方法により大量の水で加水分解することで得るこ
とができる。シラノール基を含有するポリオルガノシロ
キサンを得るためにアルコキシシランを用いて公知の方
法で加水分解した場合、加水分解されないアルコキシ基
が微量に残る場合がある。つまり、シラノール基と極微
量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノシロキ
サンが得られることもあるが、このようなポリオルガノ
シロキサンを用いても差し支えない。
【0029】(C)成分である硬化触媒は、前記(A)
成分と(B)成分との縮合反応を促進し、被膜を硬化さ
せるものである。このような硬化触媒としては、例え
ば、アルキルチタン酸塩、オクチル酸すず、ジブチルす
ずジウラレート、ジオクチルすずジマレート等のカルボ
ン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジ
メチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート
等のアミン塩、酢酸テトラメチルアンモニウム等のカル
ボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチレンペンタミ
ン等のアミン類;N−β−アミノエチル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン等のアミン系シランカップリ
ング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の
酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレー
ト等のアルミニウム化合物;水酸化カリウム等のアルカ
リ金属水和物;テトライソプロピルチタネート、テトラ
ブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネ
ート等のチタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等の
ハロゲン化シラン等が例示されるが、前記(A)成分と
(B)成分との縮合反応を促進するのに有効なものであ
れば特に制限はないものである。
【0030】前記(A)成分と(B)成分と(C)成分
とからなるケイ素アルコキシド系コーティング材におい
て、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分
と(B)成分の合計を100重量部として、(A)成分
1〜99重量部に対して(B)成分99〜1重量部であ
り、好ましくは(A)成分5〜95重量部に対して
(B)成分95〜5重量部であり、より好ましくは
(A)成分10〜90重量部に対して(B)成分90〜
10重量部である。(A)成分が1重量部未満であると
常温硬化性に劣り、また十分な被膜硬度が得られない。
一方、99重量部を越えると硬化性が不安定で且つ良好
な被膜が得られないことがある。
【0031】ケイ素アルコキシド系コーティング材にお
ける(C)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分の
合計を100重量部として、0.0001〜10重量部
であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜
8重量部であり、最も好ましくは0.0007〜5重量
部である。0.0001重量部未満だと常温で硬化しな
い。一方、10重量部を越えると耐熱性、耐候性が悪く
なる。
【0032】(A)成分のシリカ分散オリゴマー溶液に
含有される加水分解性基と(B)成分のポリオルガノシ
ロキサンに含有されるシラノール基とは、(C)成分の
硬化触媒の存在下で常温でまたは低温加熱(例えば10
0℃以下)することにより縮合反応して硬化被膜を形成
する。したがって、湿気硬化タイプのコーティング組成
物とは異なり、本発明で用いられるケイ素アルコキシド
系コーティング材は常温で硬化するときにも湿度の影響
をほとんど受けない。また、加熱処理することにより縮
合反応を促進して硬化被膜を形成することができる。
【0033】(B)成分のポリオルガノシロキサンの分
子量は700〜20000がよい。なお、ここでいう分
子量はGPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平
均分子量である。分子量が700未満であると、できあ
がった被膜の硬化性が遅く、またクラックが発生しやす
い。一方、分子量が20000を越えると、顔料を添加
したケイ素アルコキシド系コーティング材から形成され
た被膜に光沢がなく、また平滑性もよくない。
【0034】前記ケイ素アルコキシド系コーティング材
の保存方法としては、(A)成分、(B)成分、(C)
成分をそれぞれ別々に保存する3梱包形態とし、使用時
に混合するようにするのが一般的であるが、(A)成分
と(C)成分の混合成分と(B)成分とに分けて2梱包
形態とし、使用時に混合することも可能である。
【0035】前記ケイ素アルコキシド系コーティング層
は、前記プライマー層の上に前記ケイ素アルコキシド系
コーティング材からなる無機塗料を塗装して形成された
塗膜を硬化させることにより形成されるものである。前
記ケイ素アルコキシド系コーティング材は単独で無機塗
料として用いても構わないが、下地の隠蔽が必要な場合
は、前記ケイ素アルコキシド系コーティング材に顔料を
添加して得た無機塗料を用いる。この顔料としては、例
えば、カーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレ
ッド、シアニンブルー、シアニングリーン、ハンザエロ
ー等の有機顔料;酸化チタン、硫酸バリウム、弁柄、炭
酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄赤、複合金属酸化物等
の無機顔料を用いることができるものであり、耐候性を
向上させるには無機顔料を用いるのが好ましい。また、
これらの群から選ばれる2種以上を組み合わせて用いて
も構わないものである。顔料のケイ素アルコキシド系コ
ーティング材への分散方法は、通常に行われている方法
でよく、またその際、光沢を低下させない範囲で、分散
剤、分散助剤、増粘剤、カップリング剤等の添加剤の使
用も可能である。さらには、レベリング剤、染料、金属
粉、ガラス粉、抗酸化剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添
加することもできる。
【0036】顔料の粒径は特に限定されないが、0.0
1〜2μmが望ましい。また、顔料の添加量は、顔料の
種類により異なるので特に限定はないが、無機顔料を用
いた場合、(A)成分と(B)成分の混合物の固形分1
00重量部に対して、15〜80重量部配合するのが好
ましい。15重量部未満であると、隠蔽性が不十分であ
り、80重量部を越えると被膜の平滑性が悪くなる。隠
蔽が必要ではなく素地の質感を残したまま着色したい場
合には、前述の添加量未満で顔料の配合を行うことによ
り、透光性のある着色も可能である。
【0037】前記ケイ素アルコキシド系コーティング材
からなる無機塗料は、通常行われている方法で塗布する
ことができるものであり、例えば、刷毛塗り、浸漬、フ
ロー、ロール、カーテン、ナイフコート等の各種塗布方
法を選択することができる。このとき、前記無機塗料は
必要に応じて有機溶剤にて希釈して用いることができ
る。この有機溶剤による希釈の割合も必要に応じて決定
すればよい。希釈に用いる有機溶剤としては、特に限定
されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノ
メチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられ
る。これらは1種または2種以上を併せて用いてもよ
く、さらにこれらの親水性有機溶媒と併用して、例えば
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチル
ケトオキシム等を用いてもよい。
【0038】本発明は、前記無機塗料を前記プライマー
層の上に塗布して形成した塗膜を硬化させることによ
り、硬化被膜(=ケイ素アルコキシド系コーティング
層)を形成してステンレス塗装構成体が得られるもので
ある。このとき被膜の厚みは特に限定されず0.1〜1
00μmであればよく、被膜が長期的に安定して密着
し、またクラックや剥がれが発生しないようにするため
には、1〜80μmとすることが好ましい。
【0039】
【作用】本発明のステンレス塗装構成体によると、ステ
ンレス基材の表面に、前記プライマー組成物の硬化体か
らなるプライマー層と、前記ケイ素アルコキシド系コー
ティング材の硬化体からなるケイ素アルコキシド系コー
ティング層とが順次形成されることにより、ステンレス
基材に優れた耐腐食性と耐候性を付与するとともに、前
記プライマー層とケイ素アルコキシド系コーティング層
とからなる被膜の耐クラック性、及び密着性が向上した
ものとなる。
【0040】本発明のステンレス塗装構成体の製造方法
によると、ステンレス基材の表面に前記プライマー層を
形成し、このプライマー層の表面に前記ケイ素アルコキ
シド系コーティング層を形成することにより、前記ステ
ンレス塗装構成体を製造することができる。
【0041】
【実施例】下記に実施例1〜実施例5、及び比較例1〜
比較例4に用いられるプライマー組成物(P−1〜P−
4)とケイ素アルコキシド系コーティング材(M−1〜
M−6)を示した。なお、プライマー組成物(P−1,
P−2)及びケイ素アルコキシド系コーティング材(M
−1〜M−4)は、本発明に係るステンレス塗装構成体
に用いられるプライマー組成物及びケイ素アルコキシド
系コーティング材の一例である。
【0042】プライマー組成物(P−1〜P−4)の調
P−1 本発明に用いられるプライマー組成物の一例として、イ
サム塗料(株)社製:ネオシリカ#5000GSクリヤーを
用いた。
【0043】P−2 本発明に用いられるプライマー組成物の他の例として、
イサム塗料(株)社製:ネオシリカ#5000GSプライマ
ーを用いた。
【0044】P−3 エポキシ樹脂をキレート配位性官能基で交互構造とした
シリコーン変成エポキシ樹脂(分子量5000〜100
00のものと20000〜40000のものが半々)5
0重量部およびメラミン樹脂4重量部に対し、溶剤とし
てブタノール、ブチルセロソルブ、およびキシレンの
8:9:6の重量比の混合溶媒23重量部を添加し、デ
ィスパーにより1000rpmで15分攪拌して得たプ
ライマー組成物をP−3とした。
【0045】P−4 前記プライマー組成物P−3に、無機系着色顔料として
酸化チタン10重量部と体質顔料としてタルク及びリン
モリブデン酸アルミニウムの合計7重量部を、ディスパ
ーで攪拌しながら加えて10分間攪拌する。その後サイ
ドグラインドミルにかけて分散を行い、分散終了後にキ
シレン5重量部を添加して得たプライマー組成物をP−
4とした。
【0046】ケイ素アルコキシド系コーティング材(M
−1〜M−6)の調製 M−1〜M−4の調製 下記にM−1〜M−4の調製の調製に用いる(A)成
分、(B)成分、(C)成分を示す。
【0047】(A)成分(A−1,A−2)の調製 A−1 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、および温度計
を取り付けたフラスコ中にメタノール分散コロイダルシ
リカゾルMT−ST(日産化学工業(株)社製:粒子径
10〜20μm、固形分30重量%、水0.5%)10
0重量部、メチルトリメトキシシラン68重量部、水1
0.8重量部を投入して攪拌しながら温度65℃で約5
時間かけて部分加水分解反応を行い冷却して、(A)成
分であるシリカ分散オリゴマー溶液を得た。この(A)
成分は、室温で48時間放置したときの固形分が36重
量%であった。この(A)成分をA−1とする。このA
−1における調製条件は次の如くである。 ・加水分解性基Xの1モルに対する水のモル数 ………0.4モル ・(A)成分のシリカ含有量 ……………………………47.3% ・n=1の加水分解性オルガノシランのモル% ………100モル% A−2 前記A−1の100重量部に対して酸化チタンTR−9
2(タイオキサイド社製:平均粒径約0.3μm)を4
5重量部加え、ホモディスパーで10分間攪拌して分散
させた。得られた分散液をA−2とする。
【0048】(B)成分(B−1,B−2)の調製 B−1 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートお
よび温度計を取り付けたフラスコ中に水1000重量
部、アセトン50重量部を計り取り、その混合溶液中
に、メチルトリクロロシラン59.7重量部(0.4モ
ル)、ジメチルジクロロシラン51.6重量部(0.4
モル)、フェニルトリクロロシラン42.3重量部
(0.2モル)をトルエン200重量部に溶解した溶液
を、攪拌下で滴下して加水分解した。滴下40分後に攪
拌を止め、反応液を分液ロートに移し入れて静置し、2
層に分離したうちの下層(塩酸水)を分液除去し、平均
分子量約3000のシラノール基を含有したオルガノポ
リシロキサンのトルエン60重量%溶液を得た。これを
B−1とする。
【0049】B−1 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートお
よび温度計を取り付けたフラスコ中にメチルトリイソプ
ロポキシシラン220重量部(1モル)とトルエン16
0重量部との混合溶液を計り取り、1%塩酸水溶液10
5重量部を上記混合溶液に30分で滴下してメチルトリ
イソプロポキシシランを加水分解した。滴下40分後に
攪拌を止め、2層に分離した下層の液(少量の塩酸を含
んだ水−イソプロパノールの混合液)を分液し、残った
トルエンの樹脂溶液に含まれる塩酸を水洗で除去し、さ
らにトルエンを減圧除去した後、イソプロパノールで希
釈して平均分子量約2000のシラノール基を含有した
オルガノポリシロキサンのイソプロパノール40重量%
溶液を得た。これをB−2とする。
【0050】(C)成分 (C)成分として、N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシランを用いた。
【0051】(A)+(B)+(C)成分の混合 M−1〜M−4のそれぞれについて、(表1)に示す如
く、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを配合しケ
イ素アルコキシド系コーティング材を得た。
【0052】
【表1】
【0053】M−5,M−6の調製 M−5 メチルトリメトキシシラン100重量部、テトラエトキ
シシラン20重量部、IPAオルガノシリカゾル(触媒
化成工業(株)社製、商品名:OSCAL1432、S
iO2 含有量30%)150重量部、ジメチルジメトキ
シシラン40重量部、及びイソプロパノール(IPA)
100重量部を混合し、さらに水200重量部を添加し
て攪拌した。これを60℃の恒温槽中で分子量Mwを1
200に調整することにより得られたケイ素アルコキシ
ド系コーティング材を得た。これをM−5とする。
【0054】M−6 上記M−5の100重量部に対して酸化チタンTR−9
2(タイオキサイド社製:平均粒径約0.3μm)を4
5重量部加え、ホモディスパーで10分間攪拌して分散
させた。得られた分散液をM−6とする。
【0055】ステンレス基材 ステンレス基材として、日新製鋼社製スターライト仕上
げ(ロールエンボス加工品)のSUS304(厚み1.
2mm)を用いた。以下、実施例1〜実施例5および比
較例1〜比較例4について、このステンレス基材SUS
304を7×15cmの大きさに切断したものを用いる
ものであり、使用に際しては、予めアセトンで溶剤脱脂
処理を施し、乾燥したものを用いた。
【0056】−実施例1〜実施例5− 実施例1〜実施例5のそれぞれについて、(表2)に示
す如く、プライマー組成物として(P−1,P−2)の
中から、ケイ素アルコキシド系コーティング材(無機塗
料)として(M−1 〜M−4)の中から選択して用い
た。実施例1〜実施例5において、上記ステンレス基材
(SUS304)の上にプライマー組成物を硬化後の厚
みが10μmとなるようにスプレーで塗布し、塗布後の
セッティングを10分間とった後、80℃−20分間焼
付けしてプライマー層を形成し、さらに、この上にケイ
素アルコキシド系コーティング材(無機塗料)を硬化後
の厚みが10μmとなるようにスプレーで塗布し、塗布
後のセッティングを10分間とった後、150℃−20
分間焼付けしてケイ素アルコキシド系コーティング層を
形成して、ステンレス塗装構成体を得た。
【0057】−比較例1〜比較例4− 比較例1〜比較例4においては、(表3)に示す如く、
プライマー組成物とケイ素アルコキシド系コーティング
材(無機塗料)を選択して用いた。比較例1および比較
例2は、プライマー組成物として、本発明に用いられる
プライマー組成物とは異なる(P−3,P−4)を用い
た例であり、比較例3は、ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング材にも本発明とは異なる(M−5とM−6)を用
いた例であり、比較例4は、ケイ素アルコキシド系コー
ティング材だけに本発明とは異なる(M−5とM−6)
を用いた例である。
【0058】比較例1 プライマー組成物として(P−3)を用い、ケイ素アル
コキシド系コーティング材(無機塗料)として(M−1
)を用いて、上記実施例と同様にして、ステンレス塗
装構成体を得た。
【0059】比較例2 プライマー組成物として(P−4)を用い、ケイ素アル
コキシド系コーティング材(無機塗料)として(M−
2)を用いて、上記実施例と同様にして、ステンレス塗
装構成体を得た。
【0060】比較例3 上記ステンレス基材(SUS304)の上にプライマー
組成物(P−4)を硬化後の厚みが10μmとなるよう
にスプレーで塗布し、塗布後のセッティングを10分間
とった後、80℃−20分間焼付けしてプライマー層を
形成した。この上に中塗りとして、ケイ素アルコキシド
系コーティング材(M−6)を硬化後の厚みが10μm
となるようにスプレーで塗布し、塗布後のセッティング
を10分間とった後、150℃−20分間焼付けして中
塗り層を形成した。さらに、この上に上塗りとして、ケ
イ素アルコキシド系コーティング材(M−5)を硬化後
の厚みが5μmとなるようにスプレーで塗布し、塗布後
のセッティングを10分間とった後、150℃−20分
間焼付けして上塗り層を形成することにより、中塗り層
と上塗り層とからなるケイ素アルコキシド系コーティン
グ層を形成して、ステンレス塗装構成体を得た。
【0061】比較例4 プライマー組成物として(P−2)を用いた以外は、上
記比較例3と同様にしてステンレス塗装構成体を得た。
【0062】性能の評価 実施例1〜実施例5、および比較例1〜比較例4のそれ
ぞれについて、耐候性、耐腐食性、密着性、耐クラック
性の評価を行った。各評価は次のように行った。実施例
1〜実施例5における結果を(表2)に示し、比較例1
〜比較例4における結果を(表3)に示した。 ○耐候性 アイスーパーUVテスターで下記の試験条件を1サイク
ル(8時間+4時間=12時間を1サイクル)とする試
験をUV照射時間1000時間まで行った後の状況を評
価した。評価は以下の通りである。 ・焼付け初期と比べて塗膜に異常あり → × ・焼付け初期と比べて塗膜に異常なし → ○試験条件 時間: 8時間 4時間 UV照射: 有り(100mW/cm2) 無し 温度: 63℃ 35℃ 湿度: 50% 90%以上(結露有り) ○耐腐食性 ソルトスプレー試験2000時間後の状況を目視で評価
した。評価は以下の通りである。 ・焼付け初期と比べて塗膜に異常あり → × ・焼付け初期と比べて塗膜に異常なし → ○ ○密着性 沸騰水による煮沸試験後、カッターナイフでクロスカッ
トを行い、粘着テープ(セロハンテープ)による密着試
験を行った。評価は以下の通りである。 ・焼付け初期よりハガレ発生 → ×× ・煮沸5Hr後ハガレ発生 → × ・煮沸10Hr後ハガレ発生 → △ ・煮沸10Hr後ハガレなし → ○ ○耐クラック性 沸騰水による煮沸試験後、表面をルーペで観察し、クラ
ックの発生を調べた。評価は以下の通りである。 ・焼付け初期よりクラック発生 → ×× ・煮沸5Hr後クラック発生 → × ・煮沸10Hr後クラック発生 → △ ・煮沸10Hr後クラックなし → ○
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】(表2)(表3)より、実施例1〜実施例
5のステンレス塗装構成体は、耐候性、耐腐食性、密着
性、耐クラック性のいずれも良好であった。これに対
し、比較例1〜比較例4のステンレス塗装構成体はいず
れも耐クラック性において劣っており、また比較例1〜
比較例3のものは密着性も劣っており、さらに比較例1
のものは耐候性も劣っている。したがって、実施例1〜
実施例5のステンレス塗装構成体は、耐候性、耐腐食性
が良好であり、さらに密着性、耐クラック性が向上した
ことが確認された。
【0066】
【発明の効果】本発明のステンレス塗装構成体は、耐候
性、耐腐食性に優れ、さらに密着性、耐クラック性にも
優れている。
【0067】本発明のステンレス塗装構成体の製造方法
は、耐候性、耐腐食性に優れ、さらに密着性、耐クラッ
ク性にも優れたステンレス塗装構成体を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 133/06 C09D 133/06 183/04 183/04 (56)参考文献 特開 平5−76835(JP,A) 特開 平6−166847(JP,A) 特開 平7−171493(JP,A) 特公 平4−22875(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 15/08 C09D 5/00 C09D 133/06 C09D 183/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス基材の表面にプライマー層を
    介してケイ素アルコキシド系コーティング層を有するス
    テンレス塗装構成体であって、前記プライマー層が、 ビニル系共重合体の数平均分子量が5000〜300
    00の範囲であり、且つ官能基として3級アミノ基を
    0.5〜20重量%含んだ樹脂組成物と、0〜70重量
    %の顔料とから構成される塗料組成物、 ビニル系共重合体の数平均分子量が200〜5000
    の範囲であり、且つ官能基としてエポキシ基及び加水分
    解性シリル基を有するシリコン化合物からなる塗装組成
    物、前記を混合してなるプライマー組成物の硬化体
    からなるものであり、前記ケイ素アルコキシド系コーテ
    ィング層が、 (A)一般式 (R1)n SiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
    数、Xは加水分解性基を示す)で表される加水分解性オ
    ルガノシランを、有機溶媒または水に分散されたコロイ
    ダルシリカ中で、(I)式中のX1モルに対して水0.
    001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解し
    て得られた、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶
    液、 (B)平均組成式 (R2)a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a及びbはそれ
    ぞれ0.2≦a≦2,0.0001≦b≦3,a+b<
    4の関係を満たす数である)で表される分子中にシラノ
    ール基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)硬化
    触媒、前記(A)(B)(C)とからなるケイ素アルコ
    キシド系コーティング材であって、(A)成分において
    シリカを固形分として5〜95重量%含有し、且つ加水
    分解性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1
    のオルガノシランであり、(A)成分1〜99重量部に
    対して(B)成分99〜1重量部を配合してなるケイ素
    アルコキシド系コーティング材の単独、または顔料、添
    加剤の一方もしくは両方を1種または2種以上分散させ
    たものの硬化体からなるものであることを特徴とするス
    テンレス塗装構成体。
  2. 【請求項2】 ステンレス基材の表面にプライマー層を
    形成し、このプライマー層の表面にケイ素アルコキシド
    系コーティング層を形成するステンレス塗装構成体の製
    造方法であって、前記プライマー層を、 ビニル系共重合体の数平均分子量が5000〜300
    00の範囲であり、且つ官能基として3級アミノ基を
    0.5〜20重量%含んだ樹脂組成物と、0〜70重量
    %の顔料とから構成される塗料組成物、 ビニル系共重合体の数平均分子量が200〜5000
    の範囲であり、且つ官能基としてエポキシ基及び加水分
    解性シリル基を有するシリコン化合物からなる塗装組成
    物、前記を混合してなるプライマー組成物を前記ス
    テンレス基材の表面に塗装した後、硬化させることによ
    り形成し、前記ケイ素アルコキシド系コーティング層
    を、 (A)一般式 (R1)n SiX4-n …(I) (式中、R1 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整
    数、Xは加水分解性基を示す)で表される加水分解性オ
    ルガノシランを、有機溶媒または水に分散されたコロイ
    ダルシリカ中で、(I)式中のX1モルに対して水0.
    001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解し
    て得られた、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶
    液、 (B)平均組成式 (R2)a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(II) (式中、R2 は同一または異種の置換もしくは非置換の
    炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a及びbはそれ
    ぞれ0.2≦a≦2,0.0001≦b≦3,a+b<
    4の関係を満たす数である)で表される分子中にシラノ
    ール基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)硬化
    触媒、前記(A)(B)(C)とからなるケイ素アルコ
    キシド系コーティング材であって、(A)成分において
    シリカを固形分として5〜95重量%含有し、且つ加水
    分解性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1
    のオルガノシランであり、(A)成分1〜99重量部に
    対して(B)成分99〜1重量部を配合してなるケイ素
    アルコキシド系コーティング材の単独物からなる無機塗
    料、またはこのケイ素アルコキシド系コーティング材に
    顔料、添加剤の一方もしくは両方を1種または2種以上
    分散させて得られた無機塗料を前記プライマー層の表面
    に塗布した後、前記ケイ素アルコキシド系コーティング
    材を硬化させることにより形成することを特徴とするス
    テンレス塗装構成体の製造方法。
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