JPH09249822A - 無機コーティング剤及び塗装品 - Google Patents

無機コーティング剤及び塗装品

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JPH09249822A
JPH09249822A JP8185181A JP18518196A JPH09249822A JP H09249822 A JPH09249822 A JP H09249822A JP 8185181 A JP8185181 A JP 8185181A JP 18518196 A JP18518196 A JP 18518196A JP H09249822 A JPH09249822 A JP H09249822A
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JP
Japan
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inorganic coating
coating agent
coating film
inorganic
group
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JP8185181A
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English (en)
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Masahiro Fukiage
昌宏 吹擧
Yukio Shimada
幸雄 嶋田
Kazuyuki Hirano
和志 平野
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗装品の耐候性を高めることができる無機コ
ーティング剤を提供する。 【解決手段】 一般式 (R1 m Si(OR2 4-m
(式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
mは0,1又は2である。)で表されるケイ素化合物及
び/又はその部分加水分解物を主成分とするケイ素アル
コキシド系コーティング剤に、紫外線吸収剤を配合して
無機コーティング剤を調製する。無機コーティング剤に
配合された紫外線吸収剤で紫外線をカットして、無機塗
膜の下の有機質の層に紫外線が作用することを防ぐこと
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素アルコキシ
ド系の無機コーティング剤及びこの無機コーティング剤
を塗装した塗装品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基材の表面に塗料を塗布して塗装品を作
製するにあたって、塗料としては有機系塗料を用いるの
が一般的であるが、有機系塗料では耐候性や耐腐食性等
の面で十分な性能が得られないために、無機コーティン
グ剤を用いて塗装することも行なわれている。
【0003】図1(a)は窯業系など無機質の基材1の
表面に印刷層など有機塗膜2を介して無機コーティング
剤による無機塗膜3を塗装した塗装品を、図1(b)は
ポリカーボネートなど合成樹脂の有機質の基材1の表面
に無機コーティング剤による無機塗膜3を塗装した塗装
品を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】無機コーティング剤に
よる無機塗膜3自体は耐候性や耐腐食性等が優れている
ものの、その下地の塗膜が図1(a)のように有機塗膜
2である場合や、基材1が図1(b)のように有機質で
ある場合には、無機コーティング剤の無機塗膜3を通し
て有機塗膜2や有機質基材1に紫外線が作用し、有機塗
膜2や有機質基材1に変質が生じることになる。従っ
て、無機コーティング剤の耐候性が高くても、有機塗膜
2や有機質基材1の耐候性が塗装品の全体の品質として
の耐候性となり、塗装品の寿命が短くなるものである。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、塗装品の耐候性を高めることができる無機コーテ
ィング剤を提供することを目的とし、耐候性に優れた塗
装品を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1の
無機コーティング剤は、 一般式 (R1 m Si(OR2 4-m (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
mは0,1又は2である。)で表されるケイ素化合物及
び/又はその部分加水分解物を主成分とするケイ素アル
コキシド系コーティング剤に、紫外線吸収剤を配合して
成ることを特徴とするものである。
【0007】本発明に係る請求項2の無機コーティング
剤は、 (a)一般式 (R3 n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロ
イド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシラ
ンのシリカ分散オリゴマー溶液と、 (b)平均組成式 (R4 d Si(OH)e
(4-d-e)/2 (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、dおよびeはそれぞれ0.
2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d+e<4の
関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノ
ール基を含有するポリオルガノシロキサンと、 (c)硬化触媒の、(a),(b),(c)の3成分を
必須成分として含有するケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤に、紫外線吸収剤を配合して成ることを特徴とす
るものである。
【0008】また請求項3に係る発明は、紫外線吸収剤
として、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン
系化合物、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタンから選ば
れるものを用いることを特徴とするものである。また請
求項4に係る発明は、上記(a)の一般式(R3 n
iX4-n で表される加水分解性オルガノシランに微粒子
酸化亜鉛及び/又は微粒子酸化チタンを分散した状態
で、ケイ素アルコキシド系コーティング剤に微粒子酸化
亜鉛及び/又は微粒子酸化チタンを配合して成ることを
特徴とするものである。
【0009】本発明に係る請求項5の塗装品は、有機質
の層の上に請求項1乃至4のいずれかに記載の無機コー
ティング剤による無機塗膜を形成して成ることを特徴と
するものである。また請求項6に係る発明は、無機コー
ティング剤による無機塗膜はクリヤー塗膜であることを
特徴とするものである。
【0010】本発明に係る請求項7の塗装品は、基材の
上に請求項1乃至4のいずれかに記載の無機コーティン
グ剤によるクリヤーな無機塗膜を形成して成ることを特
徴とするものである。本発明に係る請求項8の塗装品
は、窯業系基材の外装材、金属系基材の外装材、樹脂系
基材の外装材から選ばれる外装材の上に、最外層の塗膜
として請求項1乃至4のいずれかに記載の無機コーティ
ング剤によるクリヤーな無機塗膜を形成して成ることを
特徴とするものである。
【0011】本発明に係る請求項9の塗装品は、窯業系
基材の外装材の上に有機層を施し、この有機層の上に請
求項1乃至4のいずれかに記載の無機コーティング剤に
よる無機塗膜を形成して成ることを特徴とするものであ
る。本発明に係る請求項10の塗装品は、ステンレス基
材の雨樋の上にプライマーを施し、この上に請求項1乃
至4のいずれかに記載の無機コーティング剤による無機
塗膜を形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】本発明に係る請求項11の塗装品は、樹脂
基材の雨樋の上に請求項1乃至4のいずれかに記載の無
機コーティング剤による無機塗膜を形成して成ることを
特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明においては、請求項1に係るケイ素アルコ
キシド系コーティング剤(以下(A)とする)と、請求
項2に係るケイ素アルコキシド系コーティング剤(以下
(B)とする)の二種類の無機コーティング剤を使用す
るものであり、まず請求項1のケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤(A)について説明する。
【0014】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)は、 一般式 (R1 m Si(OR2 4-m …(I) (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
mは0,1又は2である。)で表されるケイ素化合物と
その部分加水分解物のうち少なくとも一方を主成分すす
るものであり、次の(i)、(ii)、(iii)の化合物を
主成分とする混合物を適当な溶剤で希釈し、硬化剤及び
触媒を必要量添加して加水分解及び縮重合させて得るこ
とができ、重量平均分子量Mwがポリスチレン換算で5
00〜3000で、且つ分子量分布Mw/Mn(Mnは
数平均分子量)が1.1〜3.0であるものが望まし
い。より好ましくはMw=600〜3000で且つMw
/Mn=1.2〜1.8である。重量平均分子量及び分
子量分布がこの範囲より小さいときには、縮重合の際の
硬化収縮が大きくなり、焼き付け後に塗膜にクラックが
発生し易くなる傾向がある。また重量平均分子量及び分
子量分布がこの範囲より大きいときには、反応が遅過ぎ
て硬化し難いか、硬化しても柔らかい塗膜になったり、
塗膜のレベリング性が非常に悪いものになったりする傾
向がある。 (i):一般式(I)においてm=0で示されるケイ素
化合物及びコロイド状シリカ20〜200重量部 (ii):一般式(I)においてm=1で示されるケイ素
化合物100重量部 (iii):一般式(I)においてm=2で示されるケイ素
化合物0〜80重量部 これらのケイ素化合物としては後述の(II)式における
アルコキシシラン類を用いることができる。また成分
(i)のコロイド状シリカ(コロイダルシリカ)は微粒
子シリカ成分を水、メタノール等の有機溶剤またはこれ
らの混合溶剤中に分散して使用するが、それらがコロイ
ド状である限り、その粒径や溶剤種等は特に制限される
ものではない。尚、成分(i)のコロイド状シリカの配
合量は分散媒も含む重量部である。
【0015】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)に必要に応じて用いられる前記の硬化剤として
は、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、リ
ン酸、硫酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、クロロ酢酸等の
有機酸の希薄溶液等の酸性触媒、あるいは後述する塩基
性触媒を単独で又は2種以上を併用して使用することが
できる。また前記成分(i)としてコロイド状シリカを
用いる場合は、コロイド状シリカが酸性を示すのでこれ
が触媒となり、酸性触媒として何も入れなくともよい。
【0016】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)に必要に応じて用いられる前記の触媒としては塩
基性触媒が使用される。この塩基性触媒としては、特に
限定されるものではないが、例えばトリエタノールアミ
ン等のアミン類;γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン等のアミノシラン類;無機酸(例
えば塩酸、硝酸、リン酸等)又は有機酸(例えば蟻酸、
酢酸、プロピオン酸等)のアンモニア、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の塩、ある
いは無機酸又は有機酸の塩と第4級アンモニウム塩との
複分解塩等を例示することができる。これらの種類や添
加量については何等限定されない。
【0017】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)には前記の成分の他に、必要に応じて、コロイド
状シリカ以外の充填剤(例えばアルミナゾル、ヒューム
ドシリカ等の無機充填剤)、着色剤、希釈溶剤、増粘
剤、界面活性剤等の種々の添加剤を1種以上配合するこ
とができる。この希釈溶剤としては特に限定されない
が、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール
(IPA)等のアルコール類;エチレングリコール、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ
等のセロソルブ類などを挙げることができ、これらを1
種あるいは2種以上を併せて使用することができる。
【0018】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)は、そのpH値を3.8〜6.0に調整すること
によって前記の分子量の範囲内で安定して使用すること
ができる。pH値がこの範囲外にあると、ケイ素アルコ
キシド系コーティング剤(A)は安定性が悪くなり、コ
ーティング剤を調製した後の使用できる期間が限られる
ことがある。ここで、pH値調整方法は特に制限されな
いが、例えばケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)の原料混合時にpH値が3.8未満となった場合
は、アンモニア等の塩基性試薬を用いて前記所定範囲内
のpH値に調整すればよく、pH値が6.0を超えた場
合は、塩酸等の酸性試薬を用いて前記所定範囲内に調整
すればよい。またpH値によっては、分子量が小さいま
ま逆に反応が進まず、前記の分子量範囲に到達させるの
に時間がかかる場合は、ケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤(A)を加熱して反応を促進させるようにしても
よく、酸性試薬でpH値を下げて反応を進めた後、塩基
性試薬で所定のpH値に戻すようにしてもよい。
【0019】上記のようにpH値を調整した場合、また
は調整しない場合でも、使用に至るまでの間、または少
なくとも使用時に、ケイ素アルコキシド系コーティング
剤(A)に塩基性触媒を添加すれば縮合反応を促進し、
塗膜中の架橋点を増やすことができるので、安定して耐
クラック性の良い塗膜を得ることができるものである。
また、架橋反応を促進することによって、硬化時間を短
縮し、あるいは硬化温度を下げることができるために、
経済的である。
【0020】次に、請求項2のケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤(B)について説明する。ケイ素アルコキ
シド系コーティング剤(B)は、 (a)一般式 (R3 n SiX4-n …(II) (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを、有機溶媒と水のうち少なくとも一方に分
散されたコロイド状シリカ中で、X1モルに対し0.0
01〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解して
得られるオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液
と、 (b)平均組成式 R4 d Si(OH)e (4-d-e)/2 …(III) (式中、R4 は各々同一又は異種の置換もしくは非置換
の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し(R4 中の5
〜50重量%がフェニル基であることが好ましい)、d
およびeはそれぞれ0.2≦d≦2.0、0.0001
≦e≦3、d+e<4の関係を満たす数である。)で表
される、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノ
シロキサンと、 (c)触媒の(a),(b),(c)の3成分を必須成
分として含有するものであり、(a)成分においてシリ
カを固形分として5〜95重量%含有し、かつ加水分解
性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1のオ
ルガノシランであり、(a)成分1〜99重量部に対し
て(b)を99〜1重量部(両者の合計量を100重量
部とする)配合するのが好ましい。
【0021】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(B)に用いられる(a)成分のシリカ分散オリゴマー
は、被膜形成に際して硬化反応に預かる官能性基として
の加水分解性基Xを有するベースポリマーの主成分であ
る。これは、有機溶媒あるいは水、もしくはこれらの混
合溶媒に分散したコロイド状シリカに、前記一般式(I
I)式で表される加水分解性オルガノシランの1種又は
2種以上を加え、コロイド状シリカ中の水あるいは別途
添加された水により加水分解性オルガノシランを部分加
水分解することで得られる。
【0022】前記一般式(II)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中のR3 としては、炭素数1〜8の置換又
は非置換の1価の炭化水素基、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロペン
チル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;2
−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などのア
ラルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;クロロメチル
基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロ
プロピル基などのハロゲン置換炭化水素基;γ−メタク
リロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカ
プトプロピル基などの置換炭化水素基等を例示すること
ができる。これらの中でも合成の容易さ、あるいは入手
の容易さから炭素数1〜4のアルキル基及び、フェニル
基が好ましい。
【0023】前記一般式(II)中の加水分解性基Xとし
ては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノ
キシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基などが挙げ
られる。これらの中でも入手の容易さ及びシリカ分散オ
リゴマー溶液(a)を調製し易いことからアルコキシ基
が好ましい。このような加水分解性オルガノシランとし
ては、上記一般式(II)中のnが0〜3の整数である、
モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中でも
入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液(a)を調
製し易いことからアルコキシシラン類が好ましい。
【0024】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
などを例示することができ、n=1のオルガノトリアル
コキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメ
トキシシランなどを例示することができる。またn=2
のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メ
チルフェニルジメトキシシランなどを例示することがで
きる。さらにn=3のトリオルガノアルコキシシランと
しては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチル
イソブチルメトキシシランなどを例示することができ
る。また一般にシランカップリング剤とよばれるオルガ
ノシラン化合物もアルコキシシラン類として用いること
ができる。
【0025】これらの一般式(II)の加水分解性オルガ
ノシランのうち、50モル%以上がn=1で表される3
官能性のものであることが好ましい。より好ましくは6
0モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以上で
ある。n=1の3官能性のものが50モル%未満では、
十分な塗膜硬度を得ることが難しいと共に、乾燥硬化性
が劣り易くなるものである。
【0026】(a)成分で使用するコロイド状シリカと
しては、水分散性あるいはアルコールなどの非水系の有
機溶媒分散性コロイド状シリカを使用することができ、
前述のケイ素アルコキシド系コーティング剤(A)に用
いられるコロイド状シリカと同様のものを使用すること
ができる。一般にこのようなコロイド状シリカは固形分
としてのシリカを20〜50重量%含有しており、この
値からシリカ配合量を決定できる。
【0027】水分散性コロイド状シリカを使用する場
合、固形分以外の成分として存在する水は(a)成分の
加水分解に用いることができる。水分散性コロイド状シ
リカは通常水ガラスから作られるが、このようなコロイ
ド状シリカは市販品を容易に入手することができる。ま
た有機溶媒分散性のコロイド状シリカは、前記水分散性
コロイド状シリカの水を有機溶媒と置換することで容易
に調製することができる。このような有機溶媒分散性コ
ロイド状シリカも水分散性コロイド状シリカと同様に市
販品を容易に入手することができる。コロイド状シリカ
を分散する有機溶媒の種類は、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノールなどの低級脂肪族アルコール類;エチレングリ
コール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸
エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレン
グリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコ
ール誘導体、ジアセトンアルコール等を挙げることがで
きる。これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種
以上のものを使用することができるが、これらの親水性
有機溶剤と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、メチルエチルケトオキシムなども用いることがで
きる。
【0028】(a)成分中のコロイド状シリカは、ケイ
素アルコキシド系コーティング剤(B)の硬化被膜の硬
度を高くするために必須のものである。(a)成分中に
おいてコロイド状シリカは、シリカ固形分として5〜9
5重量%の範囲で含有されるのが好ましい。より好まし
くは10〜90重量%、最も好ましくは20〜85重量
%の範囲である。含有量が5重量%未満であると所望の
被膜硬度が得られず、また95重量%を超えるとシリカ
の均一分散が困難となり、(a)成分にゲル化等の不都
合を招来するおそれがある。
【0029】(a)成分のオルガノシランのシリカ分散
オリゴマーは、通常、一般式(II)の加水分解性オルガ
ノシランを水分散性コロイド状シリカまたは有機溶媒分
散性コロイド状シリカの少なくとも一方の中で部分加水
分解して得ることができる。加水分解性オルガノシラン
に対する水の使用量は、加水分解性基X1モルに対して
水0.001〜0.5モルが好ましい。水の使用量が
0.001モル未満であると充分な部分加水分解物を得
ることができず、また水の使用量が0.5モルを超える
と部分加水分解物の安定性が悪くなるおそれがある。部
分加水分解する方法は特に限定されないものであり、加
水分解性オルガノシランとコロイド状シリカとを混合し
て必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加水
分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促進
させるために60〜100℃に加温するようにしてもよ
い。さらに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トル
エンスルホン酸、シュウ酸などの無機酸や有機酸を触媒
として用いてもよい。
【0030】(a)成分のオルガノシランのシリカ分散
オリゴマーは、長期的に安定した性能を得るために、液
のpH値を2.0〜7.0の範囲に、より好ましくはp
H2.5〜6.5の範囲に、さらにより好ましくはpH
3.0〜6.0の範囲に調整するのがよい。pH値がこ
の範囲外であると、特に水の使用量がX1モルに対し
0.3モル以上のときに(a)成分の長期的な性能低下
が著しくなることがある。(a)成分のpH値がこの範
囲外にあれば、この範囲より酸性側のときにはアンモニ
ア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加してpH値
を調整すればよく、この範囲より塩基性側のときには塩
酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpH値を調整すれ
ばよい。この調整の方法は特に限定されるものではな
い。
【0031】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(B)で用いる(b)成分のシラノール基含有ポリオル
ガノシロキサンは、平均組成式が上記(III)式で表され
るものであり、(III)式中のR4 としては、上記(II)
式中のR3 と同じものを例示することができるが、R4
中の5〜50重量%はフェニル基である。フェニル基が
5重量%未満では塗膜の伸びが低下しクラックが発生し
易くなり、50重量%を超えると硬化が遅くなり過ぎて
しまうおそれがある。この他のR4 は好ましくは炭素数
1〜4のアルキル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロ
ピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプ
ロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの
置換炭化水素基、より好ましくはメチル基およびエチル
基のアルキル基である。また(III)式中、d及びeはそ
れぞれ0.2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d
+e<4の関係を満たす数であり、dが0.2未満又は
eが3を超えると、硬化被膜にクラックを生じるなどの
不都合があり、またdが2を超え4以下の場合又はeが
0.0001未満であると、硬化がうまく進行しないも
のである。
【0032】このような(III)式のシラノール基含有ポ
リオルガノシロキサンは、例えば、メチルトリクロロシ
ラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシ
ラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれらに対
応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上の混合
物を公知の方法により大量の水で加水分解することによ
って得ることができる。シラノール基含有ポリオルガノ
シロキサンを得るために、アルコキシシランを用いて公
知の方法で加水分解した場合、加水分解されないアルコ
キシ基が微量に残ることがある。つまりシラノール基と
極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノシ
ロキサンが得られることがあるが、このようなポリオル
ガノシロキサンを用いても差支えない。
【0033】またこのような(b)成分のシラノール基
含有ポリオルガノシロキサンの分子量は700〜200
00が好ましい。ここでいう分子量は、GPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)測定による標準ポ
リスチレン換算による重量平均分子量であり、700未
満の場合、形成された塗膜の硬化性が遅く、またクラッ
クが発生し易くなり、20000を超える場合、顔料を
添加されたケイ素アルコキシド系コーティング剤(B)
から形成された塗膜に光沢がなく、また平滑性も悪くな
るおそれがある。
【0034】ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(B)で用いる(c)成分の硬化触媒は、上記の(a)
成分と(b)成分との縮合反応を促進し、被膜を硬化さ
せるものである。このような触媒としては、アルキルチ
タン酸塩、オクチル酸錫およびジブチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジマレート等のカルボン酸の金属塩;
ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンア
セテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩;
酢酸テトラメチルアンモニム等のカルボン酸第4級アン
モニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類;N
−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング
剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸
類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート
等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなどのアルカ
リ触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチル
チタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等
のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラン、ジメチ
ルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハ
ロゲン化シラン等があるが、これらの他にも(a)成分
と(b)成分との縮合反応に有効なものであれば特に制
限されない。
【0035】(a)成分と(b)成分の配合割合は、
(a)成分1〜99重量部に対して(b)成分99〜1
重量部であり、好ましくは(a)成分5〜95重量部に
対して(b)成分95〜5重量部、より好ましくは
(a)成分10〜90重量部に対して(b)成分90〜
10重量部である(但し、(a)成分と(b)成分の合
計量100重量部)。(a)成分が1重量部未満である
と常温硬化性に劣ると共に十分な被膜硬度が得られな
い。逆に(a)成分が99重量部を超えると硬化性が不
安定で且つ良好な被膜が得られないおそれがある。
【0036】また(c)成分の硬化触媒の添加量は、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して
0.0001〜10重量部であることが好ましい。より
好ましくは0.0005〜8重量部であり、最も好まし
くは0.0007〜5重量部である。硬化触媒(c)の
添加量が0.0001重量部未満であると常温で硬化し
ない場合があり、また硬化触媒(c)の添加量が10重
量部を超えると被膜の耐熱性や耐候性が悪くなる場合が
ある。
【0037】上記のように調製されるケイ素アルコキシ
ド系コーティング剤(A)あるいは(B)には顔料やフ
ィラーを添加しても良い。添加する顔料種としては、カ
ーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シ
アニンブルー、シアニングリーン、ハンザイエロー等の
有機顔料や、酸化チタン、硫酸バリウム、弁柄、炭酸カ
ルシウム、アルミナ、酸化鉄赤、複合金属酸化物等の無
機顔料がよく、これらの群から選ばれる1種もしくは2
種以上を組み合わせて使用することができる。なかで
も、耐候性を向上させるには無機顔料が好ましい。また
フィラーとしてはシリカ粉や硫酸バリウム等を用いるこ
とができるものであり、上記に列挙する群から選ばれる
1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。顔料やフィラーの粒径は特に限定されないが、平
均粒径で0.01〜4μm程度が好ましい。
【0038】顔料の添加量は顔料の種類により隠蔽性が
異なるので特に限定されないが、無機顔料の場合、樹脂
固形分100重量部に対して15〜80重量部の範囲が
好ましい。15重量部未満の場合は隠蔽性を十分に得る
ことができず、また80重量部を超えると塗膜の平滑性
が悪くなるおそれがある。顔料の分散は通常の方法でお
こなうことができ、またその際に分散剤、分散助剤、増
粘剤、カップリング剤等を使用することが可能である。
【0039】そして、上記のケイ素アルコキシド系コー
ティング剤(A)あるいは(B)に紫外線吸収剤を添加
することによって、本発明に係る無機コーティング剤を
得ることができる。紫外線吸収剤としては、2(2′ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等
のベンゾトリアゾール系化合物や、2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物などの有
機系紫外線吸収剤や、微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタ
ンなどの無機系紫外線吸収剤を用いることができるもの
であり、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤とを
併用することもできる。
【0040】有機系の紫外線吸収剤はケイ素アルコキシ
ド系コーティング剤(A)あるいは(B)に比較的容易
に分散させることができる。この有機系の紫外線吸収剤
の添加量は特に制限されるものではないが、ケイ素アル
コキシド系コーティング剤(A)あるいは(B)の固形
分に対して、固形分として0.1〜30重量%の範囲が
好ましい。添加量が0.1重量%未満では紫外線カット
による耐候性の向上の効果が不十分になり、また30重
量%を超えて添加すると有機系紫外線吸収剤の色が強く
なるために好ましくない。
【0041】無機系紫外線吸収剤である微粒子酸化亜鉛
や微粒子酸化チタンについても添加量は特に制限される
ものではないが、ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)あるいは(B)の固形分に対して0.1〜20重
量%の範囲が好ましい。添加量が0.1重量%未満では
紫外線カットによる耐候性の向上の効果が不十分にな
り、また20重量%を超えると白く濁ってくる。
【0042】ここで、紫外線吸収剤は一般に紫外線を吸
収して熱に変換する働きがあり、有機系紫外線吸収剤は
長期の間にこの働きは小さくなるために寿命がある。こ
れに対して無機系紫外線吸収剤の寿命は半永久的であ
り、紫外線吸収剤としては微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化
チタンのような無機系紫外線吸収剤を用いるのが好まし
い。しかし、微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンはケイ
素アルコキシド系コーティング剤(A)あるいは(B)
に対する分散性が悪く、凝集して塗膜が白く濁り、この
結果、紫外線カットの効果が極端に低下するおそれがあ
る。また微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンの粉体には
いずれも光触媒作用があり、耐候性の低いアクリル樹脂
やアルキッド樹脂などを用いる場合、樹脂自身が劣化し
て長期保存安定性が得られない。このために溶剤に微粒
子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを分散して使用すること
が考えられるが、微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンは
溶剤中で沈降が早く、この方法で分散性を高めることは
難しい。
【0043】一方、上記の(a)のオルガノシランのシ
リカ分散オリゴマー溶液に用いる一般式(R3 n Si
4-n で表される加水分解性オルガノシランには微粒子
酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを容易に分散させることが
でき、この分散液は透明性に優れ、長期貯蔵安定性にも
優れていることが、本発明者等によって見いだされた。
そこで請求項4の発明では、この加水分解性オルガノシ
ランに微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを添加して分
散させた状態で使用するようにしている。加水分解性オ
ルガノシランに微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを直
接添加する他に、(R3 n SiX4-n の加水分解性オ
ルガノシランをコロイド状シリカ中で部分加水分解して
調製した(a)のオルガノシランのシリカ分散オリゴマ
ー溶液に微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを添加して
分散させるようにしてもよく、微粒子酸化亜鉛や微粒子
酸化チタンを分散させたこのシリカ分散オリゴマー溶液
をケイ素アルコキシド系コーティング剤(A)あるいは
(B)に添加することによって、微粒子酸化亜鉛や微粒
子酸化チタンを配合した本発明に係る無機コーティング
剤を調製することができる。この場合、微粒子酸化亜鉛
や微粒子酸化チタンの一次粒子(凝集していない粒子)
の粒径は0.01μm〜0.5μmのものであることが
好ましく、(a)のオルガノシランのシリカ分散オリゴ
マー溶液100重量部に対して微粒子酸化亜鉛や微粒子
酸化チタンは200重量部程度まで分散させることが可
能である(200重量部を超えると増粘が激しくなって
攪拌不能になる)。上記の分散はサンドミルやボールミ
ル、ペイントシェーカーなど一般的な混合装置を用いて
おこなうことができる。またこの際に耐候性が落ちない
レベルで添加助剤やフィラーを添加してもよい。
【0044】上記のようにケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(A)あるいは(B)に紫外線吸収剤を配合し
て調製される無機コーティング剤は、通常の塗布方法で
塗装をおこなうことができる。例えば刷毛塗り、スプレ
ー、浸漬、フロー、ロール、カーテン、ナイフコート等
の各種の塗布方法を採用することができる。また有機溶
媒で希釈して使用することもでき、希釈割合は特に制限
はなく必要に応じて希釈割合を決定すればよい。塗布被
膜の厚みは特に制限されないものであり、0.1〜10
0μm程度であればよいが、塗膜が長期的に安定して密
着し、クラックやハガレが発生しないようにするために
は1〜80μmの範囲が好ましい。尚、焼き付けは、ケ
イ素アルコキシド系コーティング剤(A)を用いた無機
コーティング剤の場合で100〜250℃、ケイ素アル
コキシド系コーティング剤(B)を用いた無機コーティ
ング剤の場合で5〜250℃程度が好ましい。さらに限
定しないが、必要であればプライマー層を下地に設けて
もよい。
【0045】図1(a)は窯業系など無機質の基材1の
表面にエポキシ塗料などで有機塗膜2を設け、この上に
無機コーティング剤を塗装して無機塗膜3を設けた塗装
品を示すものであり、図1(b)はポリカーボネートな
ど合成樹脂の有機質の基材1の表面に無機コーティング
剤を塗装して無機塗膜3を設けた塗装品を示すものであ
る。ここで、無機塗膜3はその下の有機塗膜2あるいは
有機質の基材1など有機質の層が透視できるクリヤー塗
膜として形成されるものである。無機コーティング剤に
は既述のように顔料やフィラーを添加しても良いが、有
機質の層が目視で確認できるレベルであることが好まし
い。また無機塗膜3とその下の有機質の層の間に接着剤
の役目をするプライマーを設けてもよい。このプライマ
ーは有機・無機のいずれでもよい。
【0046】このように有機質の層の上に無機コーティ
ング剤による無機塗膜3を設けて作製される塗装品にあ
って、無機コーティング剤による無機塗膜3は耐候性等
が優れているのは勿論であるが、無機コーティング剤に
は紫外線吸収剤が配合してあるので、紫外線は無機塗膜
3においてカットされ、無機塗膜3の下の有機質の層に
紫外線が作用することを防ぐことができ、有機質の層が
耐候性の低い材質であっても紫外線劣化することを防い
で、塗装品の耐候性を高めることができるものである。
【0047】次に、無機コーティング剤の塗装を行なう
基材の具体的な例を挙げて説明する。本発明に係る無機
コーティング剤を塗装することによって上記のように塗
装品の耐候性を高めることができるので、窯業系基材の
外装材、金属系基材の外装材、樹脂系基材の外装材から
選ばれる外装材のように、屋外で使用され耐候性を特に
高く要求される外装材の基材に、本発明に係る無機コー
ティング剤を塗装するのが好適である。このような基材
としては無機質のものであっても、有機質のものであっ
ても、いずれでもよい。窯業系基材の外装材は、瓦や外
壁材等の用途に使用されるものである。窯業系基材は、
無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、
繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬化させて作
製されるものであり、水硬性膠着材としては、特に限定
されるものではないが、例えばポルトランドセメント、
高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等
から選ばれたものの一種あるいは複数種を用いることが
できる。また無機充填剤としてはフライアッシュ、ミク
ロシリカ、珪砂等を、繊維質材料としてはパルプ、合成
繊維、アスベスト等の無機繊維や、スチールファイバー
等の金属繊維を、それぞれ単独であるいは複数種併せて
用いることができる。成形は押出成形や注型成形、抄造
成形、プレス成形等の方法により行なうことができ、成
形の後、必要に応じてオートクレーブ養生、蒸気養生、
常温養生を行なって、外装材として使用される窯業系基
材を作製することができる。
【0048】上記のように作製される窯業系基材の外装
材の表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルジョン系
のシーラーにより目止めを行ない、基材表面への吸い込
みのばらつきを調製するようにしてもよい。使用される
シーラーとしては、特に限定されるものではないが、ア
クリル系やラテックス系のものを使用することができ
る。このシーラーの上には意匠性や耐久性の向上のため
に、アクリル系やラテックス系の有機塗膜を形成するよ
うにしてもよい。
【0049】金属系基材の外装材は、外壁材、瓦、エク
ステリア用品、雨樋等の用途に使用されるものであり、
金属系基材の材質は、アルミニウム、鉄、ステンレスな
どで形成することができる。この金属系基材の外装材の
表面には、塗膜密着性向上のために、脱脂処理や酸化被
膜形成処理等を行なうようにしてもよい。また防錆性の
向上や意匠性の向上のために、金属系基材の外装材の表
面にエポキシ系、ウレタン系、アクリル系のプライマー
など有機塗膜による有機層を設けるようにしてもよい。
【0050】樹脂系基材の外装材は、窓枠やサッシ、雨
樋等の用途に使用されるものであり、樹脂系基材の材質
はアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS系樹脂な
どを用い、インジェクション成形や押出成形などで成形
して作製することができる。樹脂系基材の外装材の表面
には、塗膜密着性や意匠性の向上のために、エポキシ
系、ウレタン系、アクリル系の有機塗膜による有機層を
設けるようにしてもよい。
【0051】請求項8の発明は、これら窯業系基材の外
装材、金属系基材の外装材、樹脂系基材の外装材の上
に、最外層の塗膜として上記の無機コーティング剤によ
るクリヤーな無機塗膜を形成するようにしたものであ
る。窯業系基材の外装材や金属系基材の外装材や樹脂系
基材の外装材の表面には、上記のように必要に応じて有
機塗膜等による有機層を一層以上設けるようにしてもよ
いが(勿論有機層を設けていなくともよい)、この層の
最外層になるようにクリヤーな無機塗膜を形成するもの
である。このように窯業系基材の外装材、金属系基材の
外装材、樹脂系基材の外装材の上に無機コーティング剤
によるクリヤーな無機塗膜を設けて作製される塗装品に
あって、無機コーティング剤による無機塗膜は耐候性等
が優れているのは勿論であるが、無機コーティング剤に
は紫外線吸収剤が配合してあるので、紫外線は無機塗膜
においてカットされ、無機塗膜の下の基材に紫外線が作
用することを防ぐことができ、基材が耐候性の低い材質
であっても紫外線劣化することを防いで、塗装品の耐候
性を高めることができるものである。
【0052】請求項9の発明は、上記のような窯業系基
材の外装材の表面にアクリル系エマルジョン等の有機層
を1層乃至3層施し、この有機層の上に上記の無機コー
ティング剤によるクリヤーな無機塗膜を形成するように
したものである。密度が0.4〜2.6g/cm3 程度
の窯業系基材を用いる場合、窯業系基材はポーラスが状
態になっているために塗料の吸い込みにばらつきが生じ
る。そこで窯業系基材の外装材の表面にアクリル系エマ
ルジョン等の有機層を施して目止めをし、無機塗膜を均
一に形成できるようにしてある。
【0053】請求項10の発明は、上記のようなステン
レス基材の雨樋の表面にアクリルシリコーン系プライマ
ーを施し、この上に上記の無機コーティング剤によるク
リヤーな無機塗膜を形成するようにしたものである。ス
テンレス基材の雨樋には塗膜との密着性向上のために脱
脂処理や酸化被膜形成処理等を施してあってもよいのは
上記の通りである。このようにアクリルシリコーン系プ
ライマーを施しておくことによって、無機塗膜の密着性
を高めることができると共に基材の防錆性を向上させる
ことができ、またデザイン性を高めることもできるもの
である。
【0054】請求項11の発明は、上記のような樹脂基
材の雨樋の上に上記の無機コーティング剤によるクリヤ
ーな無機塗膜を形成するようにしたものである。樹脂系
基材の雨樋の表面に、塗膜密着性や意匠性の向上のため
に有機塗膜による有機層を設けるようにしてもよいのは
上記の通りである。
【0055】
【実施例】次に本発明を実施例及び比較例によって説明
する。尚、実施例及び比較例において特に断らない限り
「部」は総て「重量部」を、「%」は総て「重量%」を
示す。また本発明はこれらの実施例に限定されないのは
いうまでもない。 〔ケイ素アルコキシド系コーティング剤(A)の調製〕
メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトシキシ
ラン20部、イソプロピルアルコールオルガノシリカゾ
ル(触媒化学化成工業株式会社製「OSCAL143
2」、SiO2 含有量30%)150部、ジメチルジメ
トキシシラン40部及びイソプロピルアルコール100
部を混合し、さらに水200部を添加して攪拌し、これ
を60℃の恒温槽中で分子量Mwを1200に調整する
ことによって、ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)を調製した。
【0056】〔ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(B)の調製〕 (a)成分の調製 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計を取
り付けたフラスコ中にイソプロピルアルコール分散コロ
イダルシリカゾル(日産化学工業社製「IPA−S
T」、粒子径10〜20μm、固形分30%、H2
0.5%)100部、メチルトリメトキシシラン68
部、ジメチルジメトキシシラン18部、水2.7部、無
水酢酸0.1部を投入し、攪拌しながら80℃の温度で
約3時間かけて部分加水分解反応を行ない、そして冷却
することによって(a)成分を得た。このものは室温で
48時間放置したときの固形分が36%であった。
【0057】この(a)成分調製条件は次の通り; ・加水分解性基X1モルに対する水のモル数 …0.1 ・(a)成分のシリカ分含有量 …40.2% ・n=1の加水分解性基含有オルガノシランのモル%…77モル% (b)成分の調製 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及
び温度計を取り付けたフラスコに水1000部、アセト
ン50部を計り取り、その混合溶液中にメチルトリクロ
ロシラン59.7部(0.4モル)、ジメチルジクロロ
シラン51.6部(0.4モル)、フェニルトリクロロ
シラン42.3部(0.2モル)をトルエン200部に
溶解したものを攪拌下に滴下しながら加水分解した。滴
下40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し入
れて静置した後、2層に分離した下層の塩酸水を分液除
去し、次に上層のオルガノポリシロキサンのトルエン溶
液を減圧ストリッピングにより残存している水、および
塩酸を過剰のトルエンと共に留去して除去し、平均分子
量3000のシラノール基含有オルガノポリシロキサン
のトルエン60%溶液を得た。このものはR4 中のフェ
ニル基量が14%である。
【0058】(a)成分、(b)成分、(c)成分の調
合 硬化触媒の(c)成分としてN−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシランを用い、
(a)成分65部、(b)成分50部、(c)成分1部
の割合で混合して攪拌することによって、ケイ素アルコ
キシド系コーティング剤(B)を調製した。
【0059】〔微粒子酸化亜鉛分散溶液(C)の調製〕
上記のように調製した(a)成分を固形分が30%にな
るようにトルエンで希釈し、この希釈溶液100部に対
して平均粒径が0.02μmの微粒子酸化亜鉛を45部
添加して、ディスパーで約30分間攪拌した。さらに1
mmビーズを使用した分散機(一丸エンタープライズ社
製「ダイノーミル」、流量25kg/hr、ベッセル容
量1.5リットルで5回通し)で分散することによっ
て、微粒子酸化亜鉛分散溶液(C)を調製した。
【0060】(実施例1)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(A)に、その固形分に対して5%の配合量で
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製
「チヌビン384」)を添加して攪拌することによっ
て、紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を調製し
た。
【0061】一方、アルマイト処理されたアルミニウム
の基材1の表面にエポキシ塗料を塗装し、80℃で20
分間焼き付け処理することによって有機塗膜2を形成
し、さらにこの上に上記の紫外線吸収剤入りの無機コー
ティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装
し、150℃で20分間焼き付けてクリヤーな無機塗膜
3を形成した(図1(a)参照)。
【0062】(実施例2)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(A)に、その固形分に対して酸化亜鉛が5%
になるように微粒子酸化亜鉛分散溶液(C)を添加して
攪拌することによって、紫外線吸収剤入りの無機コーテ
ィング剤を調製した。そしてこの無機コーティング剤を
実施例1と同様に塗装してクリヤーな無機塗膜3を形成
した。
【0063】(実施例3)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(A)に、その固形分に対して酸化亜鉛が5%
になるように、酸化亜鉛溶剤分散品(住友セメント社製
「ZS300」;トルエンに微粒子酸化亜鉛を30重量
%分散)を添加して攪拌することによって、紫外線吸収
剤入りの無機コーティング剤を調製した。そしてこの無
機コーティング剤を実施例1と同様に塗装してクリヤー
な無機塗膜3を形成した。
【0064】(実施例4)実施例1で得た紫外線吸収剤
入りの無機コーティング剤と、実施例2で得た紫外線吸
収剤入りの無機コーティング剤とを等量ずつ混合するこ
とによって、紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を
調製した。そしてこの無機コーティング剤を実施例1と
同様に塗装してクリヤーな無機塗膜3を形成した。
【0065】(実施例5)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(B)に、その固形分に対して5%の配合量で
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製
「チヌビン384」)を添加して攪拌することによっ
て、紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を調製し
た。
【0066】一方、アルマイト処理されたアルミニウム
の基材1の表面にエポキシ塗料を塗装し、80℃で20
分間焼き付け処理することによって有機塗膜2を形成
し、さらにこの上に上記の紫外線吸収剤入りの無機コー
ティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装
し、100℃で20分間焼き付けてクリヤーな無機塗膜
3を形成した(図1(a)参照)。
【0067】(実施例6)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(B)に、その固形分に対して酸化亜鉛が5%
になるように微粒子酸化亜鉛分散溶液(C)を添加して
攪拌することによって、紫外線吸収剤入りの無機コーテ
ィング剤を調製した。そしてこの無機コーティング剤を
実施例5と同様に塗装してクリヤーな無機塗膜3を形成
した。
【0068】(実施例7)ケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤(B)に、その固形分に対して酸化亜鉛が5%
になるように、酸化亜鉛溶剤分散品(住友セメント社製
「ZS300」)を添加して攪拌することによって、紫
外線吸収剤入りの無機コーティング剤を調製した。そし
てこの無機コーティング剤を実施例5と同様に塗装して
クリヤーな無機塗膜3を形成した。
【0069】(実施例8)実施例5で得た紫外線吸収剤
入りの無機コーティング剤と、実施例6で得た紫外線吸
収剤入りの無機コーティング剤とを等量ずつ混合するこ
とによって、紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を
調製した。そしてこの無機コーティング剤を実施例5と
同様に塗装してクリヤーな無機塗膜3を形成した。
【0070】(比較例1)アクリル樹脂系塗料(イサム
塗料社製「ハイアート#1000」)に、その固形分に
対して5%の配合量でベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤(チバガイギー社製「チヌビン384」)を添加して
攪拌することによって、紫外線吸収剤入りの有機コーテ
ィング剤を調製した。
【0071】一方、アルマイト処理されたアルミニウム
の基材1の表面にエポキシ塗料を塗装し、80℃で20
分間焼き付け処理することによって有機塗膜2を形成
し、さらのこの上に上記の紫外線吸収剤入りの有機コー
ティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装
し、100℃で20分間焼き付けてクリヤーな有機塗膜
を形成した。
【0072】(比較例2)アクリル樹脂系塗料(イサム
塗料社製「ハイアート#1000」)に、その固形分に
対して酸化亜鉛が5%になるように、酸化亜鉛溶剤分散
品(住友セメント社製「ZS300」)を添加して攪拌
することによって、紫外線吸収剤入りの有機コーティン
グ剤を調製した。そしてこの有機コーティング剤を比較
例1と同様に塗装して有機塗膜を形成した。
【0073】(比較例3)比較例1で得た紫外線吸収剤
入りの有機コーティング剤と、比較例2で得た紫外線吸
収剤入りの有機コーティング剤とを等量ずつ混合するこ
とによって、紫外線吸収剤入りの有機コーティング剤を
調製した。そしてこの有機コーティング剤を比較例1と
同様に塗装して有機塗膜を形成した。
【0074】実施例1乃至8及び比較例1乃至3で得た
塗装板について、JIS K 5400に準拠してサン
シャインウエザオメータ試験を行なった。結果を表1に
示す。尚、光沢、測色は日本電色社製「Σ80」を用い
て行なった。
【0075】
【表1】
【0076】表1にみられるように、紫外線吸収剤入り
の無機コーティング剤を用いて表面にクリヤーの無機塗
膜を形成するようにした各実施例のものは、光沢や色に
変化がなく、塗装板の耐候性が高いことが確認される。
一方、紫外線吸収剤入りの有機コーティング剤を用いて
表面にクリヤーの有機塗膜を形成するようにした各比較
例のものは、光沢が低下すると共に色が黄変し、さらに
白化も発生し、塗装板の耐候性は低いものであった。ま
た、酸化亜鉛を溶剤に分散して使用した実施例3及び7
のものは、無機塗膜が若干白濁し、また紫外線吸収剤入
りの無機コーティング剤を放置しておくと沈降がみられ
(比較例2も沈降あり)、酸化亜鉛の分散性が良好でな
かったが、(a)のオルガノシランのシリカ分散オリゴ
マー溶液に酸化亜鉛を分散させて用いた他の実施例のも
のでは、このような問題はなかった。
【0077】(実施例9)透明ポリカーボネートの板を
基材1として用い、この表面にアクリルシリコーンをプ
ライマーとして塗布し、さらにその上に上記実施例1で
調製した紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を乾燥
塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装し、100℃で2
0分間焼き付けてクリヤーな無機塗膜3を形成した(図
1(b)参照)。
【0078】(実施例10)上記実施例2で調製した紫
外線吸収剤入りの無機コーティング剤を用いるようにし
た他は、実施例9と同様にしてクリヤーな無機塗膜3を
形成した。 (実施例11)上記実施例5で調製した紫外線吸収剤入
りの無機コーティング剤を用いるようにした他は、実施
例9と同様にしてクリヤーな無機塗膜3を形成した。
【0079】(実施例12)上記実施例6で調製した紫
外線吸収剤入りの無機コーティング剤を用いるようにし
た他は、実施例9と同様にしてクリヤーな無機塗膜3を
形成した。 (比較例4)紫外線吸収剤を配合しないケイ素アルコキ
シド系コーティング剤(A)を無機コーティング剤とし
て用いるようにした他は、実施例9と同様にしてクリヤ
ーな無機塗膜3を形成した。
【0080】(比較例5)紫外線吸収剤を配合しないケ
イ素アルコキシド系コーティング剤(B)を無機コーテ
ィング剤として用いるようにした他は、実施例9と同様
にしてクリヤーな無機塗膜3を形成した。 (実施例13)窯業系アクリルエマルジョン塗装板(松
下電工社製抄造板)を基材1として用い、この表面にア
クリルシリコーンをプライマーとして塗布し、さらにそ
の上に上記実施例5で調製した紫外線吸収剤入りの無機
コーティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で
塗装し、80℃で20分間焼き付けてクリヤーな無機塗
膜3を形成した(図1(b)参照)。
【0081】(実施例14)上記実施例6で調製した紫
外線吸収剤入りの無機コーティング剤を用いるようにし
た他は、実施例13と同様にしてクリヤーな無機塗膜3
を形成した。 (比較例6)紫外線吸収剤を配合しないケイ素アルコキ
シド系コーティング剤(B)を無機コーティング剤とし
て用いるようにした他は、実施例13と同様にしてクリ
ヤーな無機塗膜3を形成した。
【0082】実施例9乃至14及び比較例4乃至6で得
た塗装板について、JIS K 5400に準拠してサ
ンシャインウエザオメータ試験を行なった。結果を表2
に示す。尚、測色は日本電色社製「Σ80」を用いて行
なった。
【0083】
【表2】
【0084】表2にみられるように、紫外線吸収剤入り
の無機コーティング剤を用いた各実施例のものは色に変
化がなく、塗装板の耐候性が高いことが確認される。一
方、紫外線吸収剤を配合しない無機コーティング剤を用
いた各比較例のものは黄変が発生し、耐候性が悪いもの
であった。 (実施例15)抄造法で作製されたセメント系基材のタ
イル柄表面にアクリルエマルジョン(大日本塗料社製
「Vセラン300」)を乾燥膜厚20〜30μmで塗装
して得た窯業系アクリルエマルジョン塗装板(松下電工
社製)を用い、この窯業系アクリルエマルジョン塗装板
で形成される瓦の表面に、上記実施例5で調製した紫外
線吸収剤入りの無機コーティング剤を乾燥塗膜重量10
g/m2 の塗布量で塗装し、80℃で20分間焼き付け
てクリヤーな無機塗膜を形成した。
【0085】(比較例7)実施例15の窯業系アクリル
エマルジョン塗装板の瓦に無機塗膜を形成せず、そのま
ま使用するようにした。 (実施例16)ステンレス基板(表面ヘアーライン仕上
げ)で形成される雨樋の表面をアセトンで脱脂処理した
後、表面にアクリルシリコーンプライマー(イサム塗料
社製「ネオシリカ#5000」)を乾燥膜厚20μで塗
布して、160℃、10分の条件で焼き付け、さらにこ
の上に上記実施例5で調製した紫外線吸収剤入りの無機
コーティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で
塗装し、150℃で20分間焼き付けてクリヤーな無機
塗膜を形成した。
【0086】(比較例8)ステンレス基板(表面ヘアー
ライン仕上げ)で形成される雨樋の表面をアセトンで脱
脂処理した後、表面に防錆剤としてアクリルシリコーン
プライマーを塗布した(無機塗膜は形成せず)。 (実施例17)20重量%のポリ塩化ビニルを含有する
アクリル系樹脂で形成される雨樋の表面に、上記実施例
5で調製した紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤を
乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装し、60℃で
20分間焼き付けてクリヤーな無機塗膜を形成した。
【0087】(比較例9)実施例17のアクリル系樹脂
製の雨樋に無機塗膜を形成せず、そのまま使用するよう
にした。実施例15乃至17及び比較例7乃至9で得た
塗装板について、JIS K5400に準拠してサンシ
ャインウエザオメータ試験を行なった。結果を表3に示
す。尚、測色は日本電色社製「Σ80」を用いて行なっ
た。
【0088】
【表3】
【0089】表3にみられるように、紫外線吸収剤入り
の無機コーティング剤でクリヤーな無機塗膜を形成した
各実施例のものは色に変化がなく、塗装板の耐候性が高
いことが確認される。一方、このような無機塗膜を形成
しない各比較例のものは黄変が発生し、耐候性が悪いも
のであった。
【0090】
【発明の効果】本発明は、上記のような組成のケイ素ア
ルコキシド系コーティング剤(A)又は(B)に紫外線
吸収剤を配合して無機コーティング剤を調製するように
したので、ケイ素アルコキシド系コーティング剤によっ
て耐候性等の優れた無機塗膜を形成することができるの
は勿論のこと、無機コーティング剤に配合された紫外線
吸収剤で紫外線をカットして無機塗膜の下の有機質の層
に紫外線が作用することを防ぐことができ、塗装品の耐
候性を高めることができるものである。
【0091】また、紫外線吸収剤として微粒子酸化亜鉛
や微粒子酸化チタンを用いる場合、一般式(R3 n
iX4-n で表される加水分解性オルガノシランに微粒子
酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを分散した状態で、ケイ素
アルコキシド系コーティング剤(A)又は(B)に微粒
子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを配合することによっ
て、微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを分散性良く配
合することができるものである。
【0092】さらに本発明の塗装品は、請求項5及び6
では、有機質の層の上に上記の紫外線吸収剤入りの無機
コーティング剤によるクリヤーな無機塗膜を形成したも
のであり、無機コーティング剤に配合された紫外線吸収
剤で紫外線をカットして無機塗膜の下の有機質の層に紫
外線が作用することを防ぐことができ、耐候性を高めた
塗装品とすることができるものである。
【0093】また、請求項8では、窯業系基材の外装
材、金属系基材の外装材、樹脂系基材の外装材から選ば
れる外装材の上に、最外層の塗膜として上記の紫外線吸
収剤入りの無機コーティング剤によるクリヤーな無機塗
膜を形成するようにしたものであり、屋外で使用される
これらの外装材の耐候性を高めることができるものであ
る。
【0094】また請求項9では、窯業系基材の外装材の
上に有機層を施し、この有機層の上に上記の紫外線吸収
剤入りの無機コーティング剤による無機塗膜を形成する
ようにしたものであり、有機層で窯業系基材の表面の目
止めをすることができ、無機塗膜を均一に形成できるも
のである。また請求項10では、ステンレス基材の雨樋
の上にプライマーを施し、この上に上記の紫外線吸収剤
入りの無機コーティング剤による無機塗膜を形成するよ
うにしたものであり、プライマーによって無機塗膜の密
着性を高めることができると共にステンレス基材の防錆
性を向上させることがきるものである。
【0095】また請求項11では、樹脂基材の雨樋の上
に上記の紫外線吸収剤入りの無機コーティング剤による
無機塗膜を形成するようにしたものであり、樹脂製雨樋
の耐候性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであり、
(a),(b)はそれぞれ一部の断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 有機塗膜 3 無機塗膜

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 (R1 m Si(OR2 4-m (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
    を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
    mは0,1又は2である。)で表されるケイ素化合物及
    び/又はその部分加水分解物を主成分とするケイ素アル
    コキシド系コーティング剤に、紫外線吸収剤を配合して
    成ることを特徴とする無機コーティング剤。
  2. 【請求項2】 (a)一般式 (R3 n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
    nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
    ガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロ
    イド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシラ
    ンのシリカ分散オリゴマー溶液と、 (b)平均組成式 (R4 d Si(OH)e
    (4-d-e)/2 (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、dおよびeはそれぞれ0.
    2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d+e<4の
    関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノ
    ール基を含有するポリオルガノシロキサンと、 (c)硬化触媒の、(a),(b),(c)の3成分を
    必須成分として含有するケイ素アルコキシド系コーティ
    ング剤に、紫外線吸収剤を配合して成ることを特徴とす
    る無機コーティング剤。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾー
    ル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、微粒子酸化亜
    鉛、微粒子酸化チタンから選ばれるものを用いることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の無機コーティング
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項2の一般式(R3 n SiX4-n
    で表される加水分解性オルガノシランに微粒子酸化亜鉛
    及び/又は微粒子酸化チタンを分散した状態で、ケイ素
    アルコキシド系コーティング剤に微粒子酸化亜鉛及び/
    又は微粒子酸化チタンを配合して成ることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の無機コーティング剤。
  5. 【請求項5】 有機質の層の上に請求項1乃至4のいず
    れかに記載の無機コーティング剤による無機塗膜を形成
    して成ることを特徴とする塗装品。
  6. 【請求項6】 無機コーティング剤による無機塗膜はク
    リヤー塗膜であることを特徴とする請求項5に記載の塗
    装品。
  7. 【請求項7】 基材の上に請求項1乃至4のいずれかに
    記載の無機コーティング剤によるクリヤーな無機塗膜を
    形成して成ることを特徴とする塗装品。
  8. 【請求項8】 窯業系基材の外装材、金属系基材の外装
    材、樹脂系基材の外装材から選ばれる外装材の上に、最
    外層の塗膜として請求項1乃至4のいずれかに記載の無
    機コーティング剤によるクリヤーな無機塗膜を形成して
    成ることを特徴とする塗装品。
  9. 【請求項9】 窯業系基材の外装材の上に有機層を施
    し、この有機層の上に請求項1乃至4のいずれかに記載
    の無機コーティング剤による無機塗膜を形成して成るこ
    とを特徴とする塗装品。
  10. 【請求項10】 ステンレス基材の雨樋の上にプライマ
    ーを施し、この上に請求項1乃至4のいずれかに記載の
    無機コーティング剤による無機塗膜を形成して成ること
    を特徴とする塗装品。
  11. 【請求項11】 樹脂基材の雨樋の上に請求項1乃至4
    のいずれかに記載の無機コーティング剤による無機塗膜
    を形成して成ることを特徴とする塗装品。
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